(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
A.第1実施例:
A1.装置構成:
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのプリンタを示す説明図である。プリンタ900は、制御装置100と、タッチパネル等の操作部170と、液晶ディスプレイ等の表示部180と、外部装置との通信のためのインタフェースである通信部190と、印刷実行部300と、を含んでいる。本実施例では、印刷実行部300は、いわゆるカラーレーザプリンタである。印刷実行部300は、シアンCとマゼンタMとイエロYとブラックKとのトナーを利用可能である。通信部190は、例えば、いわゆるUSBインタフェース、または、IEEE802.3に準拠したインタフェースである。制御装置100は、CPU110と、DRAM等の揮発性記憶装置120と、EEPROM等の不揮発性記憶装置130と、を含むコンピュータである。
【0026】
不揮発性記憶装置130は、プログラム132と、ディザマトリクスデータ136と、部分露光パターンデータ138と、を格納している。CPU110は、プログラム132を実行することによって、印刷実行部300を制御する。具体的には、CPU110は、
二値画像データ生成部210と、二値画像データ取得部220と、部分二値画像データ取得部230と、部分露光パターン選択部240と、露光パターン決定部250と、パッチ印刷処理部260と、印刷データ生成部290と、として機能する。これらの処理部の詳細については、後述する。
【0027】
なお、破線で示された処理部245、270、280は、後述の実施例の制御装置100に設けられている。従って、処理部245、270、280については、後述の実施例で説明する。
【0028】
図2(A)は、プリンタ900の概略断面図を示している。プリンタ900は、筐体10を有する。筐体10は、印刷実行部300と給紙トレイ30とを収容している。筐体10の上面には、排紙トレイ20(傾斜面)が形成されている。印刷実行部300は、搬送装置90と、露光部51と、プロセスユニット59C、59M、59Y、59Kと、転写ローラ55C、55M、55Y、55Kと、定着部56と、印刷実行部300の各構成要素を制御する制御回路310と、を含んでいる。制御回路310は、制御装置100から受信した印刷データに従って印刷実行部300の要素を制御することによって、印刷データによって表される画像を印刷する。制御回路310は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の専用の電子回路を含む。
【0029】
搬送装置90は、水平に並んで配置された駆動ローラ57Aおよび従動ローラ57Bと、ローラ57A、57Bに掛けられたループ状の搬送ベルト58と、反射濃度を測定するセンサ47と、搬送ベルト58をクリーニングするベルトクリーナ48と、図示しないモータや他のローラを含んでいる。搬送装置90は、給紙トレイ30から排紙トレイ20に至る搬送経路SR(
図2:一点破線)に沿って、印刷媒体Pを搬送する。搬送ベルト58は、駆動ローラ57Aの回転と同期して回転し、搬送ベルト58の上面58A(鉛直上側の面)に印刷媒体Pを載せた状態で、印刷媒体Pを搬送する。
【0030】
プロセスユニット59C、59M、59Y、59Kは、搬送ベルト58の上面58A側に、下流側から上流側に向かってこの順番に並んでいる。プロセスユニット59C、59M、59Y、59Kの下方には、転写ローラ55C、55M、55Y、55Kが、下流側から上流側に向かってこの順番に並んでいる。
【0031】
本明細書では、プロセスユニットを表す符号と、プロセスユニットの構成要素を表す符号と、転写ローラを表す符号と、の末尾に、対応するトナーの種類を識別する符号を付加している。具体的には、「C」はシアントナーを示し、「M」はマゼンタトナーを示し、「Y」はイエロトナーを示し、「K」はブラックトナーを示す。以下の説明では、個別の部材を区別する必要のない場合には、末尾のトナーの種類を識別する符号を省略する。
【0032】
プロセスユニット59は、トナーカートリッジ52と、現像ローラ53と、感光体ドラム54とを、それぞれ、含んでいる。現像ローラ53と感光体ドラム54は、現像のために互いに接触している。感光体ドラム54は、現像によって感光体ドラム54の表面に形成されたトナー像を印刷媒体Pに転写するために、搬送ベルト58に接触している。転写ローラ55は、対応する感光体ドラム54の反対側(下方)に配置されている。感光体ドラム54と転写ローラ55とのペアは、搬送ベルト58を挟んでいる。
【0033】
露光部51は、プロセスユニット59の上方に配置されている。
図2(B)は、露光部51の概略構成を示す説明図である。
図2(B)には、1種類のトナーのための構成が示されている。露光部51は、複数のトナー毎に、
図2(B)と同様の構成を含んでいる。露光部51は、レーザダイオードなどのレーザ光源51aと、レーザ光源51aからのレーザ光が通過する第1レンズ51b(例えば、シリンドリカルレンズ)と、第1レンズ51bを通過したレーザ光の反射角度を制御することによって感光体ドラム54の表面上の照射位置を制御するポリゴンミラー51cと、ポリゴンミラー51cからのレーザ光LZが通過する第1走査レンズ51d(例えば、fθレンズ)と第2走査レンズ51e(例えば、トーリックレンズ)と、を含んでいる。ポリゴンミラー51cは図示しないモータによって回転駆動される。
【0034】
制御回路310は、ポリゴンミラー51cを回転させることによって、感光体ドラム54の表面におけるレーザ光LZの照射位置LZeを第2露光方向D2eに移動させる主走査を行う。第2露光方向D2eは、感光体ドラム54の回転軸54axとおおよそ平行な方向である。以下、第2露光方向D2eを「主走査方向」とも呼ぶ。感光体ドラム54の表面上における第2露光方向D2eに延びるラインを「露光ラインEL」とも呼ぶ。本実施例では、1本の露光ラインELは、1回の主走査によって照射位置LZeが描くラインと同じである。
【0035】
制御回路310は、感光体ドラム54を、回転軸54axを中心に、搬送ベルト58(
図2(A))の移動と同期して回転させる。第1露光方向D1eは、この回転に起因する感光体ドラム54の表面の移動方向の反対方向を示している。感光体ドラム54が回転しつつ、ポリゴンミラー51cは主走査を行う。これにより、感光体ドラム54の表面上では、第2露光方向D2eに沿った主走査が、第1露光方向D1eに沿って繰り返される。すなわち、第1露光方向D1eの位置が互いに異なる複数の露光ラインELの露光が行われる。以下、第1露光方向D1eを「副走査方向」とも呼ぶ。
【0036】
制御回路310は、走査の最中に、制御装置100から受信した印刷データに従って、形成すべきトナー像を表すように、レーザ光源51aのビームの強度(オンとオフ)を制御する(例えば、PWM(pulse width modulation)制御)。この結果、感光体ドラム54の表面には、トナー像を表す静電潜像が形成される。
【0037】
図2(C)は、感光体ドラム54の表面に形成される静電潜像LIの概略図である。図示するように、感光体ドラム54の表面には、第2露光方向D2eに延びる複数の露光ラインELが、第1露光方向D1eに沿って並んで配置されている。これら複数の露光ラインELが、静電潜像LIを形成する。本実施例では、複数の露光ラインELは、第1露光方向D1eに沿って、第2解像度(例えば、600lpi(line per inch)、すなわち、600dpi(dot per inch))で、並んでいる。現像ローラ53(
図2(A))は、トナーを感光体ドラム54の表面に供給することによって、静電潜像LIを現像する。現像によって、感光体ドラム54の表面には、トナー像が形成される。本実施例では、感光体ドラム54の表面の露光部分にトナーが付着する。形成されたトナー像は、搬送ベルト58によって搬送される印刷媒体Pに、転写される。
【0038】
定着部56(
図2(A))は、搬送経路SRにおける搬送ベルト58よりも下流側に配置されている。定着部56は、一対のローラを用いて、印刷媒体P上のトナーを加圧・加熱することによって、トナーを印刷媒体Pに定着させる。
【0039】
後述するように、搬送ベルト58上に直接にトナー像が転写される場合がある。ベルトクリーナ48は、ベルトクリーナ48に付着したトナーを除去する。
【0040】
A2.印刷処理:
図3は、印刷処理のフローチャートである。制御装置100(
図1)は、ユーザの指示に応じて、印刷処理を開始する。最初のステップS120では、二値画像データ生成部210は、印刷対象の画像データ(「入力画像データ」とも呼ぶ)を取得して、入力画像データを、印刷用の処理解像度のビットマップデータに変換する。以下、画像データを処理解像度のビットマップデータに変換する処理を「ラスタライズ」とも呼ぶ。生成されるビットマップデータは、例えば、赤Rと緑Gと青Bとの3つの色成分の階調値(例えば、256階調)で複数の画素(以下「印刷画素」とも呼ぶ)のそれぞれの色を表している。生成されるビットマップデータは、入力画像データによって表される画像(「対象画像」と呼ぶ)と同じ画像を表している。なお、本実施例では、印刷用の処理解像度は、上述の第2解像度よりも細かい第1解像度(例えば、1200dpi)である。
【0041】
次のステップS130では二値画像データ生成部210は、ビットマップデータの色変換を実行する。本実施例では、印刷画素毎に、赤Rと緑Gと青Bの階調値が、複数のトナーのそれぞれの階調値(ここでは、シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックKのそれぞれの階調値(例えば、256階調))に、変換される。このように互いに異なる色空間の間での色変換は、色空間変換とも呼ばれる。CMYKの階調値は、CMYKのトナー量を、それぞれ表している。RGBとCMYKとの間の対応関係は、図示しない色変換プロファイルによって、予め定められている。
【0042】
次のステップS140では、二値画像データ生成部210は、階調値の変化に対して、印刷媒体Pに印刷される色の実際の濃度がリニアに変化するように、階調値を補正する。以下、階調値のこのような補正を「キャリブレーション」とも呼ぶ。キャリブレーションは、元の階調値とキャリブレートされた階調値とを対応付ける1次元ルックアップテーブルを利用して行われる。ルックアップテーブルは、色成分毎(シアンC、マゼンタM、イエロY、ブラックK毎)に準備されている。なお、ステップS140を省略してもよい。
【0043】
次のステップS150では、二値画像データ生成部210は、キャリブレートされたビットマップデータを利用して、CMYK毎の二値画像データを生成する。本実施例では、二値画像データ生成部210は、ディザマトリクスデータ136(
図1)を利用したハーフトーン処理によって、二値画像データを生成する。生成される二値画像データは、複数の画素毎の濃度を、「ゼロ」と「1」との二値で表している。「ゼロ」は、濃度がゼロ%(トナー無)であることを示し、「1」は、濃度が100%(トナー有)であることを示している。なお、二値画像データの解像度は、ステップS120で生成されるビットマップデータの解像度と同じ第1解像度である。なお、ハーフトーン処理としては、ディザマトリクスデータ136を用いる処理に限らず、他の任意の処理(例えば、誤差拡散法に基づく処理)を採用可能である。
【0044】
図3中の第1部分
図PF1は、ステップS150で生成される二値画像データの一部分の概略を示している。第1部分
図PF1には、6行6列の36個の画素PXa1が示されている。以下、二値画像データの画素を「二値画素」とも呼ぶ。複数の二値画素PXa1は、互いに交差する(本実施例では、互いに直交する)第1画像方向D1iと第2画像方向D2iとに沿って、マトリクス状に配置されている。また、ハッチングが付された画素PXa1は、濃度が「1」である画素を示している(以下、「高濃度二値画素」または、単に「高濃度画素」とも呼ぶ)。ハッチングが無い画素PXa1は、濃度が「ゼロ」である画素を示している(以下、「低濃度二値画素」または、単に「低濃度画素」とも呼ぶ)。第1部分
図PF1では、3行3列の位置の画素PXa1が高濃度画素である。
【0045】
次のステップS162では、二値画像データ取得部220(
図1)は、二値画像データ生成部210から、二値画像データを取得する。本実施例では、二値画像データ生成部210は、生成した二値画像データを揮発性記憶装置120に格納しているので、二値画像データ取得部220は、揮発性記憶装置120から二値画像データを取得する。
【0046】
次のステップS164では、部分二値画像データ取得部230(
図1)は、二値画像データから、複数の部分二値領域のそれぞれを表す複数の部分二値画像データを取得する。
図3の第1部分
図PF1には、1つの部分二値領域PAaが示されている。本実施例では、1つの部分二値領域PAaは、2行2列の二値画素PXa1のブロックである。1つの部分二値領域PAaに含まれる2行2列の4つの画素のそれぞれの濃度を表すデータが、部分二値画像データに対応する。複数の部分二値領域は、二値画像データによって表される画像の全体をカバーし、そして、互いに重ならないように、配置されている。
【0047】
次のステップS166では、露光パターン決定部250(
図1)は、複数の部分二値画像データに基づいて、対象画像を表す色材の像を形成するための露光パターンを決定する。具体的には、露光パターン決定部250は、1つの部分二値領域に応じて1つの部分露光パターンを決定する。露光パターン決定部250は、複数の部分二値領域に応じて決定された複数の部分露光パターンを重畳することによって、露光パターンの全体を決定する。当該露光パターンは、全ての部分二値領域でカバーされる画像(すなわち、二値画像データによって表される画像)の全体を表現するために使用される。なお、露光パターン決定部250によって使用される部分露光パターンは、予め、複数の候補を用いて決定されている。使用される部分露光パターンを決定する処理については、後述する。
【0048】
図3中の第2部分
図PF2は、ステップS166で決定される露光パターンの一部分の例を示している。第2部分
図PF2の露光パターンは、第1部分
図PF1の二値画像データに対応している。第2部分
図PF2には、6行24列の144個の画素PXb1が示されている。以下、露光パターンの画素を「露光処理画素」とも呼ぶ。また、露光すべき露光処理画素を「露光画素」とも呼び、露光すべきではない露光処理画素を「非露光画素」とも呼ぶ。露光画素が占める領域の範囲は、露光位置の範囲に相当する。
【0049】
複数の露光処理画素PXb1は、第1画像方向D1iに対応付けられた第1露光方向D1eと、第2画像方向D2iに対応付けられた第2露光方向D2eと、に沿ってマトリクス状に配置されている。本実施例では、第1露光方向D1eと第2露光方向D2eとは、互いにほぼ直交する。第1露光方向D1eの解像度は、第2解像度である(ここでは、600 dpi)。第2露光方向D2eの解像度は、第2解像度の8倍(第1解像度の4倍)である(ここでは、4800 dpi)。
【0050】
各部分
図PF1、PF2において、行ラベルRLa1は、第1画像方向D1iの二値画素の位置(行番号)を示し、列ラベルCLa1は、第2画像方向D2iの二値画素の位置(列番号)を示している。第2部分
図PF2中のラベルRLa1、CLa1は、二値画像データによって表される画像(すなわち、対象画像)が露光パターンによって表される画像(すなわち、対象画像)と重なるように二値画像データのパターンを露光パターンに重ねた場合の、行番号と列番号とである。
【0051】
第2部分
図PF2に示された部分出力領域PAbは、第1部分
図PF1の部分二値領域PAaに対応付けられた領域である。部分出力領域PAbは、2行8列の露光処理画素PXb1のブロックである。第2部分
図PF2に示すように、部分出力領域PAbは、第1露光方向D1eに連続する2つの露光ライン(ここでは、ラインEL2、EL3)と重なっている。部分二値領域PAaは、それら2つの露光ラインの境界を跨ぐように、配置されている(第3行と第4行)。なお、露光パターンの決定の詳細については、後述する。
【0052】
次のステップS170では、印刷データ生成部290(
図1)は、露光パターンを表す印刷データを生成する。印刷データは、制御回路310によって解釈可能な形式のデータである。次のステップS190では、印刷データ生成部290は、生成した印刷データを、印刷実行部300に供給する。印刷実行部300は、受信した印刷データに従って、印刷を実行する。
【0053】
A3.部分出力領域の部分露光パターン:
次に、部分出力領域PAb(
図3)の露光パターン(以下「部分露光パターン」と呼ぶ)について説明する。
図4は、1本の露光ラインELにおける露光位置(露光画素)と、露光強度分布と、トナー像と、の例を示す概略図である。図中には、3つの露光処理画素ブロックPBa、PBb、PBcが示されている。各ブロックPBa、PBb、PBcは、第2露光方向D2eに沿って連続する8つの露光処理画素PXb1で構成されている。各ブロックPBa、PBb、PBcの形状は、おおよそ、正方形である。各ブロックPBa、PBb、PBcの上に記された列ラベルCLa、CLb、CLcは、各ブロックPBa、PBb、PBc内における第2露光方向D2eの画素位置(列番号)を示している。以下、第2露光方向D2eに連続する複数の露光処理画素で構成されるブロック内において、列番号がi番である画素を、第i画素と呼ぶ。
【0054】
第1ブロックPBaでは、第1〜第8の画素PXb1の全てが、露光画素である。図中の第1強度分布IDaは、第1ブロックPBaにおける露光強度の分布を示している。
図4では、露光強度の分布が、強領域S1と中領域S2と弱領域S3との3段階で示されている。図示するように、露光強度は、第1ブロックPBaの中心に近いほど強く、3つの領域S1、S2、S3は、同心円状に形成されている。図中の第1現像パターンDPaは、第1ブロックPBaにおけるトナーTNの分布(現像結果)の概略を示している。図示するように、第1ブロックPBaのほぼ全域に亘ってトナーTNが分布している。
【0055】
露光される領域(例えば、弱領域S3)は、第1ブロックPBaの外まで拡がっている。ただし、弱領域S3の露光強度は、トナーTNの付着のためには不十分であるので、弱領域S3内では、トナーTNの濃度(量)は小さい。
【0056】
第2ブロックPBbでは、第1〜第3の画素PXb1が、露光画素であり、第4〜第8の画素PXb1が、非露光画素である。露光される領域の第2露光方向D2eの大きさ(露光位置の範囲)が、第1ブロックPBaと比べて、小さい。従って、第2ブロックPBbにおける露光量は、第1ブロックPBaと比べて、小さい。
【0057】
図中の第2強度分布IDbは、第2ブロックPBbにおける露光強度分布を示している。第1ブロックPBaの第1強度分布IDaと比べて、各領域S1〜S3の第2露光方向D2eの大きさが小さい。また、露光強度が比較的強い領域S1、S2については、第1露光方向D1eの大きさも、小さくなっている。このように、露光強度の比較的強い領域S1、S2の大きさが小さくなる理由は、第4〜第8の画素PXb1を非露光画素にするために、レーザ光LZ(
図2(B))の主走査において、レーザ光LZの強度が十分に大きくなる前に、レーザ光源51aのビームがオフに制御されるからである。なお、第1露光方向D1eに関しては、弱領域S3は、第1ブロックPBaと同様に、第2ブロックPBbの外まで拡がっている。
【0058】
図中の第2現像パターンDPbは、第2ブロックPBbにおけるトナーTNの分布(現像結果)の概略を示している。図示するように、第2ブロックPBbの左半分の領域に、薄くトナーTNが分布している。
【0059】
第3ブロックPBcでは、第1〜第2の画素PXb1が、露光画素であり、第3〜第8の画素PXb1が、非露光画素である。露光される領域の第2露光方向D2eの大きさ(露光位置の範囲)は、第2ブロックPBbと比べて、小さい。従って、第3ブロックPBcにおける露光量は、第2ブロックPBbと比べて、小さい。
【0060】
図中の第3強度分布IDcは、第3ブロックPBcにおける露光強度分布を示している。第2ブロックPBbとは異なり、強領域S1は形成されていない。また、中領域S2と弱領域S3との第2露光方向D2eの大きさが小さくなっている。この理由は、第3〜第8の画素PXb1を非露光画素にするために、レーザ光LZ(
図2(B))の主走査において、レーザ光LZの強度が十分に大きくなる前に、レーザ光源51aのビームがオフに制御されるからである。なお、第1露光方向D1eに関しては、弱領域S3は、上記の各ブロックPBa、PBbと同様に、第3ブロックPBcの外まで拡がっている。
【0061】
図中の第3現像パターンDPcは、第3ブロックPBcにおけるトナーTNの分布(現像結果)の概略を示している。図示するように、第3ブロックPBcの左側の一部の領域に、第2ブロックPBbよりも薄くトナーTNが分布している。
【0062】
上述のように、本実施例では、感光体ドラム54の表面上におけるレーザ光LZの径は、第1露光方向D1eに関しては、露光対象の1本の露光ラインELの外にはみ出るのに十分な大きさを有している(ただし、露光対象の露光ラインELの外の領域における露光強度は、1回の露光でトナーTNの濃度が高い領域を形成するほど強くない)。従って、第1露光方向D1eに連続する2本の露光ラインELを露光する場合には、一方の露光ライン上の露光強度分布が、他方の露光ライン上の露光強度分布に、影響を与え得る。
【0063】
図5は、第1露光方向D1eに連続する2本の露光ラインEL21、EL22における露光位置と、露光強度分布と、トナー像と、の例を示す概略図である。図中には、2本の露光ラインEL21、EL22と重なる部分出力領域PAbが示されている。部分出力領域PAb中の、第1露光ラインEL21と重なる部分(8つの画素PXb1の全体)を、第1ブロックPB1と呼び、第2露光ラインEL22と重なる部分(8つの画素PXb1の全体)を、第2ブロックPB2と呼ぶ。
図5の例では、第1ブロックPB1の露光パターンは、
図4の第2ブロックPBbの露光パターンと同じであり、第2ブロックPB2の露光パターンは、
図4の第3ブロックPBcの露光パターンと同じである。
【0064】
図5中の強度分布IDpは、部分出力領域PAbにおける露光強度の分布を示している。第1ブロックPB1の露光パターンは、
図4の第2強度分布IDbと同じ強度分布を生じさせる。第2ブロックPB2の露光パターンは、
図4の第3強度分布IDcと同じ強度分布を生じさせる。
図5の強度分布IDpは、それらの強度分布の重ね合わせである。
【0065】
第1ブロックPB1では、第2強度分布IDb(
図4)に、第2ブロックPB2から拡がる弱領域S3が重なる。この結果、第2ブロックPB2に近い一部の領域PB1p(第1ブロックPB1内の左下の部分領域PB1p)の露光強度が強くなる。部分領域PB1p内において、強領域S1と中領域S2とが拡がっている。
【0066】
第2ブロックPB2では、第3強度分布IDc(
図4)に、第1ブロックPB1から拡がる弱領域S3が重なる。この結果、第1ブロックPB1に近い一部の領域の露光強度が強くなる(中領域S2が拡がっている)。なお、
図5の例では、第2ブロックPB2には、強領域S1は、生じていない。
【0067】
図中の現像パターンDPpは、部分出力領域PAbにおけるトナーTNの分布(現像結果)の概略を示している。図示するように、第1ブロックPB1内の部分領域PB1pにおいて、トナーTNの濃度(量)が、視認容易なトナー像を形成するのに十分大きい。部分領域PB1pの外では、トナーTNの濃度は、薄いままである。以下、トナーTNの濃度が視認容易なトナー像を形成するのに十分に高い領域を「高濃度現像領域」とも呼ぶ。
【0068】
高濃度現像領域PB1pは、部分二値領域の1つの二値画素に対応する。
図5中の現像パターンDPpの右側には、部分出力領域PAbに対応付けられた部分二値領域PAaが示されている。現像パターンDPpに示す高濃度現像領域PB1pは、部分二値領域PAaの左上の二値画素PXa1とほぼ同じ領域である。なお、部分二値領域PAaの4つの画素PXa1には、2つの番号のペア(例えば、「1,1」)が示されている。最初の番号は、部分二値領域PAa内の行番号を示し、2つ目の番号は、部分二値領域PAa内の列番号を示している。以下、部分二値領域PAa内の画素の位置を、行番号と列番号とを用いて特定する。
【0069】
図6は、第1露光方向D1eに連続する2本の露光ラインEL21、EL22における露光位置と、露光強度分布と、トナー像と、の別の例を示す概略図である。
図5の例との差異は、第1ブロックPB1の露光パターンと第2ブロックPB2の露光パターンとが置換されている点だけである。この場合には、強度分布IDqと現像パターンDPqとは、
図5の強度分布IDpと現像パターンDPpとを、2つのブロックPB1、PB2の境界線BLを中心に反転させて得られるものと、それぞれ同じである。この結果、
図6の例では、第2ブロックPB2の左上の部分領域PB2p内において、強領域S1と中領域S2とが拡がり、部分領域PB2pが高濃度現像領域となる。この部分領域PB2pは、部分二値領域PAaの2行1列の位置の画素PXa1に対応する。
【0070】
このように、部分出力領域PAb内の2本の露光ラインEL21、EL22間の露光量のバランスを制御することによって、高濃度現像領域(例えば、部分領域PB1p、PB2p)の第1露光方向D1eの位置を、露光ラインの解像度(第2解像度)よりも細かい第1解像度で、制御することができる。
【0071】
第2露光方向D2eに関しては、露光画素の第2露光方向D2eの位置を制御することによって、高濃度現像領域の第2露光方向D2eの位置を、第1解像度で制御することができる。例えば、
図5の例で、第1ブロックPB1内では、第6〜第8の画素PXb1のみを露光画素に設定し、第2ブロックPB2内では第7〜第8の画素PXb1のみを露光画素に設定すれば、第1ブロックPB1内の右下の部分領域PB1qが高濃度現像領域になる(部分領域PB1qは、1行2列の位置の二値画素PXa1に対応する)。
図6の例においても、露光画素の位置を同様に変更することによって、第2ブロックPB2の右上の部分領域PB2qが高濃度現像領域になる(部分領域PB2qは、2行2列の位置の二値画素PXa1に対応する)。
【0072】
図7は、部分二値領域PAaの濃度パターンと部分出力領域PAbの基準部分露光パターンとの対応関係の例を示す概略図である。この対応関係は、部分露光パターンデータ138(
図1)によって、予め定められている。図中には、部分二値領域PAaの全ての濃度パターン(16個のパターン)と、対応する16個の基準部分露光パターンP01〜P16と、が示されている。部分二値領域PAa内では、高濃度画素にハッチングが付されている。部分出力領域PAb内では、露光画素にハッチングが付されている。また、
図7中では、第1画像方向と第1露光方向とは同じ方向を向いており、図中の第1方向D1は、それらの方向を示している。同様に、
図7では、第2画像方向と第2露光方向とは同じ方向を向いており、図中の第2方向D2は、それらの方向を示している。
【0073】
第1〜第4のパターンP01〜P04は、部分二値領域PAa内の高濃度画素の総数が「1」である場合の部分露光パターンである。第1パターンP01は、
図5のパターンと同じであり、第3パターンP03は、
図6のパターンと同じである。第2パターンP02は、部分二値領域PAa内の1行2列の位置の画素PXa1が高濃度画素である場合のパターンであり、第1パターンP01を左右反転させたパターンと同じである。第4パターンP04は、部分二値領域PAa内の2行2列の位置の画素PXa1が高濃度画素である場合のパターンであり、第3パターンP03を左右反転させたパターンと同じである。以下、高濃度画素の総数が「1」である場合の部分露光パターンを「単位露光パターン」とも呼ぶ。
【0074】
第5〜第10パターンP05〜P10は、高濃度画素の総数が「2」である場合の部分露光パターンであり、第11〜第14パターンP11〜P14は、高濃度画素の総数が「3」である場合の部分露光パターンであり、第15パターンP15は、全ての(4つの)二値画素PXa1が高濃度画素である場合の部分露光パターンであり、第16パターンP16は、高濃度画素の総数が「ゼロ」である場合の部分露光パターンである。本実施例では、第16パターンP16においては、全ての画素PXb1が、非露光画素である。
【0075】
第5パターンP05は、部分二値領域PAa内の4つの画素のうちの第1行の2つの画素が高濃度画素であるパターンである。この第5パターンP05では、高濃度画素に対応する第1ブロックPB1内の第1〜第6の6つの画素が露光画素であり、低濃度画素に対応する第2ブロックPB2内の第1〜第3の3つの画素が露光画素である。第6パターンP06は、第5パターンP05の第1ブロックPB1と第2ブロックPB2とを置換することによって得られるパターンと、同じである。
【0076】
第7〜第15パターンP07〜P15は、それぞれ、1つの高濃度二値画素に4つの露光画素を対応付けることによって、設定されている。例えば、第9パターンP09に関しては、1行2列の二値画素PXa1と、2行1列の二値画素PXa1とが、高濃度画素である。1行2列の高濃度画素に応じて、第1ブロックPB1の第5〜第8の4つの画素が露光画素であり、2行1列の高濃度画素に応じて、第2ブロックPB2の第1〜第4の4つの画素が露光画素である。他のパターンに関しても、同様である。
【0077】
図7に示す基準部分露光パターンは、基準としての部分露光パターンを示している。部分二値領域PAa内の濃度のパターンに対応する、実際の印刷に用いられる部分露光パターンは、部分露光パターン選択部240によって変更され得る。すなわち、実際の印刷には、
図7の基準部分露光パターンとは異なる部分露光パターンが用いられる場合がある。このような部分露光パターンの変更の詳細については、後述する。
【0078】
A4.露光パターンの決定:
図3のステップS166では、露光パターン決定部250(
図1)は、
図7で説明した対応関係(部分露光パターンデータ138(
図1))を参照することによって、露光パターンを決定する。
図8は、印刷すべき画像PIの例を示す概略図である。画像PIは、第1部分領域AR1と、第1部分領域AR1よりも濃度の高い(暗い)第2部分領域AR2と、を含んでいる。
【0079】
図9(A)は、二値画像データにおける第1部分領域AR1を表す部分の例を示し、
図9(B)は、第1部分領域AR1の露光パターンの例を示している。図中には、1種類のトナー(例えば、マゼンタトナー)のパターン例が示されている。
図9(A)の例では、互いに離れた4つの二値画素PXa1a〜PXa1dが高濃度画素である。図中には、4つの二値画素PXa1a〜PXa1dにそれぞれ対応する4つの部分二値領域PAaa〜PAadが、二重線で示されている。4つの部分二値領域PAaa〜PAadも、互いに離れている。部分二値領域PAaa〜PAad内における高濃度画素PXa1a〜PXa1dの位置は、以下の通りである。
1)第1二値画素PXa1a:第1部分二値領域PAaaの左上の画素
2)第2二値画素PXa1b:第2部分二値領域PAabの右上の画素
3)第3二値画素PXa1c:第3部分二値領域PAacの左下の画素
4)第4二値画素PXa1d:第4部分二値領域PAadの右下の画素
【0080】
図9(B)には、4つの部分二値領域PAaa〜PAadにそれぞれ対応する4つの部分出力領域PAba〜PAbdが示されている。4つの部分出力領域PAba〜PAbdは、互いに離れている。部分出力領域PAba〜PAbdの部分露光パターンは、部分二値領域PAaa〜PAad内の高濃度画素の配置(
図9(A))に応じて決まる。具体的には、以下の通りである。
1)第1部分出力領域PAba:第1パターンP01
2)第2部分出力領域PAbb:第2パターンP02
3)第3部分出力領域PAbc:第3パターンP03
4)第4部分出力領域PAbd:第4パターンP04
【0081】
図5、
図6で説明したように、第1〜第4パターンP01〜P04は、トナーが付着する領域(高濃度現像領域)を、第1露光方向D1eと第2露光方向D2eとの両方の方向に沿って、第1解像度で制御可能である。従って、
図9(A)の例のように複数の高濃度二値画素が互いに離れて配置される場合には、複数の露光ライン(例えば、
図9(B)の露光ラインELa〜ELc)の第1露光方向D1eの解像度が第1解像度よりも粗い第2解像度であるにも拘わらずに、第1解像度で表されるトナー像を再現可能である。
【0082】
図10は、第2部分領域AR2の二値画像データと露光パターンとの例を示す概略図である。図中の二値パターンDAは、二値画像データにおける第2部分領域AR2を表す部分を示している。二値パターンDAでは、部分二値領域PAaが実線で示され、二値画素PXa1が破線で示されている。二値パターンDAは、3行×4列の12個の部分二値領域PAaで構成される領域、すなわち、6行×8列の48個の二値画素PXa1で構成される領域を、示している。二値パターンDAにおいて、ハッチングが付された二値画素PXa1は、高濃度二値画素である。第2部分領域AR2は、第1部分領域AR1(
図9)よりも濃いので、第2部分領域AR2においては、第1部分領域AR1と比べて、高濃度二値画素の密度が高い。
【0083】
図中の露光パターンDBは、第2部分領域AR2に対応する領域(4本の露光ラインEL31〜EL34)の露光パターンを示している。露光パターンDB中のハッチングが付された画素PXb1は、露光画素である。
【0084】
露光パターン決定部250(
図1)は、複数の部分二値領域PAa毎に部分出力領域の部分露光パターンを決定し、決定された部分露光パターンを重ね合わせて得られる露光パターンを、最終的な露光パターンとして採用する。
図10には、部分二値領域PAaの4本の列C1、C2、C3、C4毎の部分露光パターンの重ね合わせが、示されている。例えば、部分二値領域PAaの第2列C2に関しては、以下のように、露光パターンが決定される。
【0085】
第2列C2は、第1画像方向D1iに連続する3つの部分二値領域PAaを含んでいる(第1行R1、第2行R2、第3行R3)。露光パターン決定部250は、
図7で説明した対応関係(部分露光パターンデータ138)を参照することによって、部分二値領域PAa毎の部分露光パターンを決定する。
図10の例では、決定される部分露光パターンは、以下の通りである。
1)第1行R1:第2パターンP02
2)第2行R2:第2パターンP02
3)第3行R3:第13パターンP13
【0086】
露光パターン決定部250(
図1)は、各部分二値領域PAaの部分露光パターンを重ね合わせて得られる露光パターンを、第2列C2の最終的な露光パターンとして決定する。他の列C1、C3、C4についても、同様である。
【0087】
A5.部分露光パターンの決定:
図11は、部分露光パターンの決定処理のフローチャートである。部分露光パターン選択部240(
図1)は、
図11の手順に従って、部分露光パターンの複数の候補の中から、実際に印刷に使用される部分露光パターンを決定する。この処理は、レーザ光源51a(
図2)の発光強度の個体差や経時変化等に起因して印刷画像の濃度が意図された濃度からずれることを抑制するために、行われる。また、本実施例では、CPU110は、ユーザの指示に応じて、
図11の処理を開始する。ユーザの指示は、例えば、操作部170を介して、入力される。
【0088】
図11の手順は、部分二値領域内の1つの濃度パターンに対応する部分露光パターンを選択するための手順である。以下、
図11の処理対象の濃度パターンを「対象濃度パターン」と呼ぶ。本実施例では、
図11の処理は、
図7(A)〜
図7(O)に示す15個の濃度パターンのそれぞれに関して、実行される。以下、
図7(A)の濃度パターンのための部分露光パターンを選択する場合を例として挙げて、説明する。
【0089】
最初のステップS200では、パッチ印刷処理部260は、複数のパッチ画像を表す所定の印刷データを印刷実行部300に供給する。印刷実行部300は、印刷データに従って、複数のパッチ画像を搬送ベルト58上に印刷する。
図12(A)〜
図12(F)は、各パッチ画像の印刷に用いられる部分露光パターンの例を示し、
図12(G)は、搬送ベルト58上に印刷された6つのパッチ画像PCa〜PCfを示している。
図12(A)〜
図12(F)の6つの部分露光パターンEP1a〜EP1fは、6つのパッチ画像PCa〜PCfの印刷に、それぞれ用いられる。例えば、第1パッチ画像PCaは、
図12(A)の部分露光パターンEP1aを所定サイズの領域内に所定の密度で配置することによって得られる露光パターンに応じて、印刷される。他のパッチ画像PCb〜PCfについても、同様である。
【0090】
図12(A)〜
図12(F)は、
図7(A)の濃度パターンのための部分露光パターンの6つの候補を示している。図示するように、6つの候補のそれぞれに関しては、第1ブロックPB1内の露光画素の分布が、第2ブロックPB2内の露光画素の分布と、異なっている。このように2本の露光ラインの間で露光位置分布を異ならせることによって、部分露光パターンの各候補は、部分二値領域PAa内の濃度パターンに適した多様なトナー像を実現し得る露光パターンを実現可能である。
【0091】
また、6つの候補のうちの任意の2つの候補の間では、第1ブロックPB1内の露光画素の数と、第2ブロックPB2内の露光画素の数と、の少なくとも一方が、互いに異なっている。従って、これらの複数の候補を用いることによって、適切な部分露光パターンを選択可能である。さらに、露光画素の総数は、
図12(A)〜
図12(F)の順に、増大する。このように、6つの候補の間では、印刷されるパッチ画像の濃度が、異なり得る。
【0092】
図11の次のステップS210では、センサ47(
図2(B))は、各パッチ画像PCa〜PCfのそれぞれの濃度を測定する。搬送ベルト58が循環移動することによって、複数のパッチ画像が、センサ47と対向する位置を、順に通過する。センサ47は、対向する位置を通過する複数のパッチの反射濃度を、順に測定する。反射濃度の測定の後、パッチ画像は、ベルトクリーナ48によって、搬送ベルト58から除去される。
【0093】
次のステップS220では、部分露光パターン選択部240は、測定された濃度のうちの少なくとも1つの濃度が、所定の基準濃度以上であるか否かを判定する。基準濃度は、部分二値領域内の濃度パターン毎に予め決められており、望ましい濃度を示している。また、露光パターンの複数の候補(
図12(A)〜
図12(F))は、印刷実行部300の状態(例えば、レーザ光源51aの発光強度)が想定範囲内で変化した場合に、少なくとも1つの候補が基準濃度に近い濃度を実現できるように、構成されている。以下、濃度が基準濃度以上のパッチ画像のことを「高濃度パッチ」とも呼ぶ。
【0094】
基準濃度以上の濃度の数(すなわち、高濃度パッチの数)がゼロである場合(S220:No)、次のステップS260で、部分露光パターン選択部240は、ユーザにエラーを報知する。例えば、部分露光パターン選択部240は、表示部180にエラーメッセージを表示する。そして、次のステップS265で、部分露光パターン選択部240は、基準部分露光パターン(例えば、
図12の例では、
図12(C)の部分露光パターン)を採用する。部分露光パターン選択部240は、対象濃度パターンと基準部分露光パターンとの対応関係を、部分露光パターンデータ138の一部として、不揮発性記憶装置130に格納する。なお、
図12の例では、
図12(A)から
図12(F)の順に露光画素の総数が増加する。そのため、
図12(A)から
図12(F)の順に反射濃度の測定値が増加することが想定される。ステップS220の判定結果が「NO」となることは、最も高い反射濃度を実現する
図12(F)の部分露光パターンEP1fについても反射濃度の測定値が基準濃度に達しなかったことを意味する。
【0095】
基準濃度以上の濃度の数(すなわち、高濃度パッチの数)が1以上である場合(S220:Yes)、次のステップS230で、部分露光パターン選択部240は、基準濃度以上の濃度の数(すなわち、高濃度パッチの数)が、複数であるか否かを判定する。高濃度パッチの数が1つである場合(S230:No)、次のステップS250で、部分露光パターン選択部240は、高濃度パッチに対応付けられた部分露光パターンを選択し、対象濃度パターンと、選択された部分露光パターンと、の対応関係を、部分露光パターンデータ138の一部として、不揮発性記憶装置130に格納する。
【0096】
高濃度パッチの数が複数である場合(S230:Yes)、次のステップS240で、部分露光パターン選択部240は、複数の高濃度パッチに対応付けられた複数の部分露光パターンのうちの、トナー付着部分(本実施例では、露光画素)の面積が最も小さい部分露光パターンを、選択する。選択される部分露光パターンは、通常は、複数の高濃度パッチのうちの、測定された濃度が最も小さいパッチに対応付けられた部分露光パターンである。部分露光パターン選択部240は、対象濃度パターンと、選択された部分露光パターンと、の対応関係を、部分露光パターンデータ138の一部として、不揮発性記憶装置130に格納する。
【0097】
以上、
図7(A)の濃度パターンのための部分露光パターンを例として挙げて説明したが、他の濃度パターンのための部分露光パターンも、同様に、複数の候補の中から選択される。部分露光パターンの複数の候補は、第1ブロックPB1内の露光画素の分布と、第2ブロックPB2内の露光画素の分布と、の少なくとも一方が、互いに異なるように、予め準備される。例えば、
図7に示す基準部分露光パターンから、第1ブロックPB1の露光画素の数と第2ブロックPB2の露光画素の数との少なくとも一方を増減することによって、部分露光パターンの他の候補を構成可能である。
【0098】
以上のように、本実施例では、
図7、
図11で説明したように、部分二値領域PAa内の濃度パターンに、部分露光パターンが、対応付けられている。そして、1つの部分露光パターンは、2本の露光ラインと重なる部分出力領域PAb(
図7、
図12)の内の露光位置を表している。従って、部分露光パターンは、1本の露光ラインに収まる小さい領域の露光パターンを表す場合と比べて、部分二値領域PAa内の濃度パターンに適した多様なトナー像を実現し得る露光パターンを表現可能である。
【0099】
また、
図11で説明したように、部分露光パターン選択部240は、複数のパッチ画像に基づいて、部分露光パターンの複数の候補の中から、実際に使用される部分露光パターンを選択する。従って、適切な印刷を実現できる。
【0100】
また、
図5〜
図10で説明したように、露光パターン決定部250は、二値画像データから取得された複数の部分二値画像データのそれぞれに、部分露光パターン選択部240によって選択された部分露光パターンを適用することによって、対象画像の全体の露光パターンを決定する。従って、露光パターン決定部250は、対象画像を表す適切な露光パターンを決定できる。特に、本実施例では、二値画像データの第1画像方向D1iの第1解像度は、露光パターンの第1露光方向D1eの第2解像度よりも、細かい。このように、露光パターンの解像度よりも細かい解像度で印刷を行う場合に、適切な印刷を実現できる。
【0101】
また、
図12で説明したように、6つの候補から任意に選択された2つの候補の間では、第1ブロックPB1内の露光画素分布と、第2ブロックPB2内の露光画素分布と、の少なくとも一方が、異なっている。このような複数の候補を用いることによって、適切な印刷を実現可能な部分露光パターンを採用できる。
【0102】
また、
図11のステップS240では、部分露光パターン選択部240は、複数の高濃度パッチに対応付けられた複数の部分露光パターンのうちの、トナー付着部分(本実施例では、露光画素)の面積が最も小さい部分露光パターンを、選択する。従って、トナーが過剰に用いられることを抑制できる。
【0103】
B.第2実施例:
図13は、部分露光パターンの決定処理の別の実施例のフローチャートである。
図11の実施例とは異なり、部分二値領域内の特定の1つの濃度パターン(例えば、
図7(A)の濃度パターン)に対応付けられる部分露光パターンが、
図11の手順に従って決定され、決定された部分露光パターンに従って、他の濃度パターン(例えば、
図7(B)〜
図7(O)の濃度パターン)に対応付けられた部分露光パターンが決定される。第2実施例で用いられるプリンタのハードウェア構成は、
図1のプリンタ900のハードウェア構成と、同じである。CPU110の機能部としては、第1実施例の構成に、部分露光パターン決定部245が追加される。印刷の手順は、
図3に示す実施例と、同じである。
【0104】
図13の最初のステップS300では、部分露光パターン選択部240は、部分二値領域PAa内の特定の濃度パターン(すなわち、特定の部分二値画像データ)に対応する部分露光パターンを、
図11の手順に従って選択する。本実施例では、部分露光パターン選択部240は、
図7(A)の濃度パターンに対応する部分露光パターンを、選択する。
【0105】
次のステップS310では、部分露光パターン決定部245は、基準部分露光パターンの露光面積から、ステップS300で選択された部分露光パターンの露光面積を引いた差分を特定する。露光面積の差分は、露光ライン毎に、特定される。
図14は、選択された部分露光パターンと、露光面積の差分と、の例を示す概略図である。
図14(A)〜
図14(F)は、
図12(A)〜
図12(F)に示す部分露光パターンEP1a〜EP1fが選択された場合を、それぞれ示している。図中には、第1ブロックPB1の露光画素の数の差分(「第1差分dS1」と呼ぶ)と、第2ブロックPB2の露光画素の数の差分(「第2差分dS2」と呼ぶ)と、が示されている。これらの差分dS1、dS2は、基準部分露光パターンEP1c(
図14(C))を基準とする差分であり、露光面積の差分を表している。部分露光パターン決定部245は、このような差分dS1、dS2を算出する。
【0106】
図13の次のステップS320では、部分露光パターン決定部245は、2つの差分dS1、dS2の両方がゼロであるか否かを判定する。2つの差分dS1、dS2の両方がゼロである場合(S320:Yes)、次のステップS340で、部分露光パターン決定部245は、特定の濃度パターンとは異なる他の濃度パターンに対応する部分露光パターンとして、基準部分露光パターンを決定する。すなわち、
図7(B)〜
図7(O)に示す14個の濃度パターンに対して、
図7に示す基準部分露光パターンが、それぞれ対応付けられる。高濃度画素を含まない濃度パターン(
図7(P))に関しては、部分露光パターンに変更はない。部分露光パターン決定部245は、決定した濃度パターンと部分露光パターンとの対応関係を、部分露光パターンデータ138の一部として、不揮発性記憶装置130に格納する。
【0107】
2つの差分dS1、dS2の少なくとも一方がゼロではない場合(S320:No)、次のステップS330で、部分露光パターン決定部245は、他の濃度パターンに対応する基準部分露光パターンを、差分dS1、dS2に応じて調整することによって、調整済の部分露光パターンを決定する。
図14(G)〜
図14(L)は、
図7(I)の濃度パターンに対応する調整済の部分露光パターンEP2a〜EP2fを、それぞれ示している。
図14(G)〜
図14(L)の部分露光パターンEP2a〜EP2fは、
図14(A)〜
図14(F)の部分露光パターンEP1a〜EP1fが選択された場合の調整済のパターンを、それぞれ示している。
【0108】
図示するように、第1ブロックPB1の露光画素の数は、基準部分露光パターンEP2cにおける露光画素の数に、第1差分dS1を加算した数に、調整される。第1差分dS1がゼロよりも大きい場合、追加される露光画素は、第1ブロックPB1内において全ての露光画素が連続するように、配置される。調整後の露光画素の数が第1ブロックPB1の総画素数を超える場合には、超過分は省略される。
【0109】
第1差分dS1がゼロよりも小さい場合、削除される露光画素としては、第1ブロックPB1内で連続する1以上の露光画素の端に位置する露光画素が選択される。ここで、第1ブロックPB1の外部と隣接する端に配置された露光画素(具体的には、ブロックPB1内の列番号が1番または8番の露光画素)よりも、第1ブロックPB1の内部に配置された露光画素(具体的には、列番号が2〜7番の露光画素)が、優先して削除される。なお、これに代えて、外部と隣接する端に配置された露光画素が優先的に削除されてもよい。また、例えば、偶数の列番号の画素が優先的に削除されてもよい。調整後の露光画素の数がゼロよりも小さい場合には、第1ブロックPB1の全ての画素が非露光画素に設定される。
【0110】
第2ブロックPB2内の露光画素の調整も、同様に、第2差分dS2に応じて、行われる。
図7(I)の濃度パターンとは異なる他の濃度パターンについても、同様に、処理対象の濃度パターンの基準部分露光パターンが差分dS1、dS2に応じて調整されることによって、処理対象の濃度パターンのための調整済の部分露光パターンが決定される。
【0111】
図13の次のステップS335では、部分露光パターン決定部245は、調整済の部分露光パターンを、元の基準部分露光パターンに対応する濃度パターンのための部分露光パターンとして、決定する。例えば、
図7(A)の濃度パターンに適用されるべき露光パターンとして
図14(D)の部分露光パターンEP1dが選択された場合には、部分露光パターン決定部245は、
図7(I)の濃度パターンを出力するために、
図14(I)の基準部分露光パターンEP2cに代えて、
図14(J)の部分露光パターンEP2dが適用されることを決定する。部分露光パターン決定部245は、決定した濃度パターンと部分露光パターンとの対応関係を、部分露光パターンデータ138の一部として、不揮発性記憶装置130に格納する。
【0112】
以上のように、本実施例では、部分露光パターン選択部240は、特定の1つの濃度パターンに対応する部分露光パターンを、複数の候補から選択する。そして、部分露光パターン決定部245は、選択された部分露光パターンと、特定の濃度パターンに対応付けられた基準部分露光パターンと、の間の露光面積の差分に応じて、他の濃度パターンに対応する部分露光パターンを決定する。具体的には、処理対象の濃度パターンの基準部分露光パターンを差分に応じて調整することによって、処理対象の濃度パターンに対応する部分露光パターンを決定する。この結果、特定の濃度パターンに関してのみパッチ画像が印刷されるので、複数の濃度パターンのそれぞれの部分露光パターンの決定を簡素化できる。
【0113】
また、部分露光パターン決定部245は、ステップS310で特定された露光面積の差分を処理対象の濃度パターンのための基準部分露光パターンの露光面積に足し合わせた露光面積を実現する部分露光パターンを、処理対象の濃度パターンの部分露光パターンとして決定する。通常は、レーザ光源51a(
図2(B))の発光強度は、濃度パターンに依存しない。従って、パッチ画像に応じて選択された部分露光パターン(すなわち、特定の濃度パターンのための部分露光パターン)から特定される露光面積の差分を、他の濃度パターンにも適用することによって、レーザ光源51aの発光強度の個体差や経時変化が、印刷される画像の濃度に与える影響を、適切に小さくできる。
【0114】
なお、露光面積の差分を他の濃度パターンに適用する方法としては、露光面積の差分が大きいほど、他の濃度パターンの部分露光パターンの露光面積が大きくなるような、種々の方法を採用可能である。例えば、露光面積の差分から露光面積の割合の変化率を特定し、その変化率を他の濃度パターンの基準部分露光パターンに適用してもよい。
【0115】
C.第3実施例:
図15は、部分露光パターンの決定処理の制御のフローチャートである。上述の第1と第2の実施例では、ユーザの指示に応じて
図11、
図13の処理が開始されているが、第3実施例では、
図15の手順に従って、自動的に、部分露光パターンの決定処理が開始される。第3実施例で用いられるプリンタのハードウェア構成は、
図1のプリンタ900のハードウェア構成と、同じである。CPU110の機能部としては、第1実施例、または、第2実施例の構成に、枚数算出部270が追加される。印刷の手順は、
図3に示す実施例と、同じである。
【0116】
図15の処理は、プリンタ900の電源がONである状態で、継続して実行される。最初のステップS400では、枚数算出部270は、印刷の累積枚数をゼロにリセットする。次のステップS410では、枚数算出部270は、画像が印刷された場合の印刷枚数を、累積枚数に加算する。次のステップS420では、枚数算出部270は、累積枚数が所定枚数以上であるか否かを判定する。累積枚数が所定枚数未満である場合(S420:No)、処理は、ステップS410に戻る。累積枚数が所定枚数以上である場合(S420:Yes)、処理は、ステップS430に移行する。このステップS430では、部分露光パターンの決定処理が実行される。この決定処理としては、
図11の処理や、
図13の処理を採用可能である。いずれの場合も、パッチ印刷処理部260は、複数のパッチ画像を表す印刷データを印刷実行部300に供給する(例えば、
図11のステップS200)。そして、部分露光パターン選択部240は、複数のパッチ画像に基づいて、部分露光パターンを選択する。ステップS430が終了したら、処理は、ステップS400に戻る。以後、上述の処理が繰り返される。
【0117】
このように、本実施例では、印刷された原稿の累積枚数が所定数以上となった場合に、パッチ画像の印刷と、印刷されたパッチ画像に基づく部分露光パターンの決定と、が行われる。従って、レーザ光源51aの累積発光時間がおおよそ所定時間増加する毎に、部分露光パターンを決定することができる。レーザ光源51aの発光強度は、累積発光時間の増大に応じて、変動する場合がある。このような場合に、累積枚数の増大に伴って不適切な印刷が行われることを抑制できる。
【0118】
D.第4実施例:
図16は、印刷濃度を指定する指示をユーザから受け付けるためのユーザインタフェースUIの例を示す概略図である。第4実施例では、ユーザは、このユーザインタフェースUIを通じて、好みの印刷濃度を指定することができる。そして、部分露光パターンが、指定された印刷濃度に応じて、決定される。第4実施例で用いられるプリンタのハードウェア構成は、
図1のプリンタ900のハードウェア構成と、同じである。CPU110の機能部としては、第1、第2、または、第3実施例の構成に、濃度指定部280が追加される。印刷の手順は、
図3に示す実施例と、同じである。
【0119】
濃度指定部280は、印刷濃度を指定する指示をユーザから受け付ける。濃度指定部280は、ユーザの指示に応じて、
図16のユーザインタフェースUIを表示部180に表示する。ユーザインタフェースUIは、印刷濃度を指定する指定部SDを含んでいる。指定部SDは、例えば、いわゆるスライダーである。ユーザは、操作部170を操作することによって、指定部SDを操作可能である。
図16の例では、ユーザは、好みの印刷濃度を、「0」「1」「2」「3」の4段階の中から選択可能である。ここで、数字が大きいほど、印刷濃度が高い。なお、濃度指定部280は、指定された印刷濃度を表すデータを、不揮発性記憶装置130に格納する(図示省略)。
【0120】
図17は、
図11のステップS240の代わりに実行される処理を示すフローチャートである。上記各実施例において、
図11のステップS240は、図示されたステップS240aに、置換可能である。ステップS240aは、2つのステップS242、S244を含んでいる。最初のステップS242では、部分露光パターン選択部240は、指定濃度を取得する。指定濃度は、ユーザの指示に応じて濃度指定部280によって設定された印刷濃度である。本実施例では、部分露光パターン選択部240は、不揮発性記憶装置130に格納されたデータを参照することによって、指定濃度を取得する。
【0121】
次のステップS244では、部分露光パターン選択部240は、指定濃度が高いほどトナー量が多い部分露光パターンを選択し、そして、対象濃度パターンと、指定濃度に応じて選択された部分露光パターンと、の対応関係を、部分露光パターンデータ138の一部として、不揮発性記憶装置130に格納する。本実施例では、部分露光パターン選択部240は、
図11のステップS240と同じ手順に従って、部分露光パターンの1つの候補を選択する。そして、部分露光パターン選択部240は、指定濃度に応じて、候補を変更する。
【0122】
例えば、指定濃度が「0」である場合には、選択された候補が、変更されずに採用される。指定濃度が「n(nは1以上の整数)」である場合には、選択された候補よりもn段階濃い候補(すなわち、トナー量が多い候補)が採用される。
図16には、
図11のステップS240と同じ手順に従って基準部分露光パターンEP1cが選択される場合に、指定濃度に応じて採用される部分露光パターンの例が示されている。図示するように、指定濃度が「0」である場合、選択された部分露光パターンEP1c(
図12(C))が変更されずに採用される。指定濃度が「1」である場合、1段階濃い部分露光パターンEP1d(
図12(D))が採用され、指定濃度が「2」である場合、2段階濃い部分露光パターンEP1e(
図12(E))が採用され、指定濃度が「3」である場合、3段階濃い部分露光パターンEP1f(
図12(F))が採用される。なお、一般には、指定濃度が高いほど、露光画素の総数が多い(より一般的には、色材量が多い)露光パターンが選択されればよい。
【0123】
このように、
図11のステップS240の代わりに
図16のステップS240aを採用することによって、ユーザによって指定された濃度に適した部分露光パターンが選択される。この結果、ユーザによって指示された濃度に適した印刷を実現できる。
【0124】
C.変形例:
(1)上記各実施例では、感光体ドラム54の露光部分にトナーが付着することとしたが、感光体ドラム54の非露光部分にトナーが付着することとしてもよい。この場合には、露光パターンとして、上記各実施例の露光パターンにおいて、露光画素を非露光画素に置換し非露光画素を露光画素に置換することによって得られる露光パターンを採用可能である。
【0125】
(2)二値画像データの第1画像方向D1iの解像度が、露光ラインの第1露光方向D1eの解像度と同じであってもよい。この場合には、1本の露光ラインが、1本の画素ラインに、対応する。この場合も、第1画像方向D1iに連続する複数の画素を含む部分二値領域に対応して、複数ラインと重なる部分露光パターンを決定することが好ましい。こうすれば、部分二値領域内の濃度パターンに適した多様なトナー像を実現し得る露光パターンを利用できる。特に、印刷実行部の構成として、2本のレーザ光を用いて2本の露光ラインの露光を同時に行う構成を採用する場合がある。この場合、同時に露光される2本の露光ラインと重なる部分露光パターンを用いることによって、2本のレーザ光の強度の個体差や経時変化等の影響を緩和できる。
【0126】
(3)1つの部分二値領域が、第1画像方向D1iに沿って連続する3以上の画素を含んでもよい。そして、1つの部分露光パターンが3以上の露光ラインと重なっていてもよい。また、1つの部分二値領域の第2画像方向D2iの画素数は、2に限らず、対象画像の第2画像方向D2iの画素数よりも小さい任意の数を採用可能である。1つの部分出力領域の第2露光方向D2eの大きさとしては、1つの部分二値領域の第2画像方向D2iの大きさに相当する大きさを採用することが好ましい。
【0127】
(4)印刷実行部300の構成としては、
図2の構成とは異なる種々の構成を採用可能である。例えば、露光部51は、1本の露光ラインEL上の各露光処理画素の位置を露光するライン光源を含んでもよい。また、印刷実行部300は、感光体ドラム54から印刷媒体Pへトナー像を転写する中間転写体を含んでも良い。また、制御装置100と印刷実行部300とは、互いに異なる筐体に収容された独立の装置として、実現されてもよい。
【0128】
(5)
図1に示す実施例において、二値画像データ生成部210の機能は、制御装置100とは異なる他の装置(例えば、ネットワークを介してプリンタ900と通信可能なコンピュータ)によって、実現されてもよい。この場合、二値画像データ取得部220は、ネットワークを介して二値画像データ生成部210から二値画像データを取得すればよい。
【0129】
また、印刷のための処理を制御する機能(例えば、
図1の処理部210〜290の機能)は、プリンタ900の制御装置100とは異なる種類の装置(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン)によって実現されてもよい。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、制御装置100の機能を一部ずつ分担して、全体として、制御装置100の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが制御装置に対応する)。
【0130】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、
図1の露光パターン決定部250の機能を、論理回路を有する専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0131】
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含んでいる。
【0132】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。