(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような構成の搬送装置の場合、以下のような問題点がある。つまり、給送ローラから給送されたシートの先端部がローラ対に挟持され、当該シートの後端部が給送ローラとトレイとの間に挟持された状態において、ローラ対の回転によってシートの先端部が引っ張られる状態となると、シートがインナーフレームに配置されており搬送路の湾曲内側を形成するガイド部材に押しつけられて、当該ガイド部材に貼り付いた状態となる。すると、シートに押しつけられたガイド部材ががたついてしまい、メインフレームに配置された給送ローラとの間に、位置ずれを起こしてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートが搬送される湾曲した搬送路の湾曲内側を形成するガイド部材と、当該搬送路へシートを給送する給送ローラとの位置ずれを低減することができる搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係る搬送装置は、樹脂製材料で一体成形されたベース部と、上記ベース部の上部に支持されており、シートを搬送する搬送部と、シートを支持するトレイと、上記ベース部の下部に支持されており、上記トレイに支持されたシートの上面に当接して当該シートを上記搬送部へ向けて給送する給送ローラを有する給送部と、を備える。上記ベース部は、上記給送部によって給送されたシートを上記搬送部へ案内する湾曲した湾曲路の湾曲内側を形成する内側ガイド部を構成する。
【0008】
本構成によれば、ベース部は樹脂で構成されている。そのため、装置のコストのアップを低減することができる。
【0009】
また、本構成によれば、ベース部が内側ガイド部を構成している。つまり、内側ガイド部は、ベース部と一体成形されている。そのため、湾曲路を搬送されるシートの搬送向きの先端部が搬送部に到達し、シートの搬送向きの後端部が給送ローラに当接された状態において、シートが搬送部によって搬送向きに引っ張られて、シートが内側ガイド部に押しつけられた場合でも、内側ガイド部のがたつきを最小限に抑えることができる。また、内側ガイド部を構成しているベース部には、給送部が支持されている。そのため、内側ガイド部ががたついたとしても、内側ガイド部と給送ローラとの相対距離のずれを、内側ガイド部と給送ローラとの寸法公差以内に抑えることができる。以上より、本構成によれば、ベース部を樹脂製にすることで装置のコストを低く抑えつつも、内側ガイド部によって形成される湾曲路を搬送されるシートの搬送精度を良好に維持することができる。
【0010】
(2) 本発明に係る搬送装置は、上記ベース部の上部に支持された金属製の第1フレームを更に備える。上記搬送部は、上記第1フレームに支持されている。
【0011】
本構成によれば、搬送部は金属製の第1フレームに取り付けられているため、搬送部の位置精度を良好に維持することができる。
【0012】
(3) 上記ベース部及び上記第1フレームは、締結部によって上下方向に締結されている。
【0013】
本構成においては、ベース部及び第1フレームが締結手段によって上下方向に締結されているために、シートの上下方向への移動の可能性を低くすることができる。
【0014】
(4) 本発明に係る搬送装置は、上記搬送部よりもシートの搬送向きの下流側において、上記第1フレームによって支持されており、シートを搬送する排出部と、上記第1フレームによって支持されており、搬送されるシートに画像を記録する記録部を支持する第2フレームと、を更に備える。
【0015】
本構成によれば、排出部が金属製の第1フレームに支持され且つ記録部が第2フレームを介して金属製の第1フレームに支持されているため、排出部及び記録部の位置精度を良好に維持することができる。その結果、排出部によって搬送されるシートの搬送精度や、記録部によってシートに記録される画質を良好に維持することができる。
【0016】
(5) 本発明に係る搬送装置は、正転及び逆転するモータと、上記モータの正転または逆転の一方の駆動力を、上記湾曲路を案内されてきたシートを搬送する駆動力として上記搬送部に伝達し、上記モータの正転または逆転の他方の駆動力を、上記トレイに支持されたシートを上記湾曲路へ給送する駆動力として上記給送ローラに伝達する伝達部と、を更に備える。
【0017】
本構成によれば、搬送部が湾曲路を案内されてきたシートを搬送している際に、給送ローラはトレイに支持されたシートを湾曲路へ給送しない。そのため、湾曲路を案内されるシートの搬送向きの先端部が搬送部に到達し且つシートの搬送向きの後端部が給送ローラと当接された状態において、シートが搬送部によって搬送向きに引っ張られる状況が生じやすい。つまり、本構成は、本発明を実現するための好適な構成である。また、本構成によれば、搬送部と給送部とを共通のモータで駆動することができるため、装置のコストを下げることができる。
【0018】
(6) 本発明に係る搬送装置は、上記内側ガイド部と対向して配置されており、上記湾曲路の湾曲外側を形成する外側ガイド部を更に備える。上記内側ガイド部におけるシート側は、シートの搬送向きと直交し且つシートの表面に沿った幅方向において、中央側が外側よりも上記外側ガイド部側へ突出している。
【0019】
本構成によれば、シートが搬送部によって搬送向きに引っ張られて内側ガイド部に貼り付く状況が生じた場合でも、当該シートは、突出が小さい内側ガイド部の幅方向の外側において貼り付きにくい。つまり、シートが内側ガイド部へ貼り付く領域を小さくすることができる。その結果、内側ガイド部のがたつきを低減することができる。
【0020】
(7) 本発明に係る搬送装置は、上記内側ガイド部と対向して配置されており、上記湾曲路の湾曲外側を形成する外側ガイド部を更に備える。上記外側ガイド部は、その少なくとも一部が上記ベース部によって支持されている。
【0021】
本構成によれば、外側ガイド部の少なくとも一部がベース部によって支持されているため、外側ガイド部を位置決めすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シートが搬送される湾曲路の湾曲内側を形成する内側ガイド部と、当該湾曲路へシートを給送する給送ローラとの位置ずれを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙12(
図2参照)の片面に画像を記録する機能を有している。なお、複合機10は、記録用紙12の両面に画像を記録するものであってもよい。また、複合機10は、インクジェット方式以外の方式、例えば電子写真方式で記録用紙12に画像を記録するものであってもよい。
【0026】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。給送トレイ20(本発明のトレイの一例)が、前後方向8に移動することによって、開口13を介してプリンタ部11に挿入及び脱抜可能である。給送トレイ20は、上側が開放された箱形状の部材である。
図2に示されるように、給送トレイ20の底板22には、記録用紙12が重ねられた状態で支持される。給送トレイ20の前側且つ上側には、排出トレイ21が支持されている。排出トレイ21は、給送トレイ20と一体に前後方向8に移動する。排出トレイ21の上面には、後述する記録部24によって画像を記録された記録用紙12が排出される。
【0027】
[給送部16]
図2に示されるように、給送部16は、プリンタ部11に挿入された状態の給送トレイ20の上方であって後述する記録部24の下方に設けられている。
図2及び
図10に示されるように、給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、及び支軸28を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部で軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられ且つ左右方向9に延びた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給送トレイ20または当該給送トレイ20に支持された記録用紙12の上面に対して、当接及び離間が可能である。
【0028】
給送ローラ25は、後述する伝達部90(
図10参照)によって、搬送用モータ53(本発明のモータの一例、
図6参照)の駆動力が伝達されて回転する。これにより、給送トレイ20の底板22に載置された記録用紙12のうち、給送ローラ25と当接している最も上側の記録用紙12が、後述する搬送路65及び当該搬送路65に配置された後述する搬送ローラ対59へ向けて給送される。
【0029】
[搬送路65]
図2に示されるように、給送トレイ20の後端部から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33(本発明の湾曲路の一例)と直線部34とを備える。湾曲部33は、後側を湾曲外側とし前側を湾曲内側として湾曲しつつ延びている。直線部34は、前後方向8に延びている。
【0030】
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部18と内側ガイド部19とによって形成されている。外側ガイド部18は、湾曲部33の湾曲外側を形成している。内側ガイド部19は、湾曲部33の湾曲内側を形成している。各ガイド部18、19は、
図2における紙面と直交する方向である左右方向9に延設されている。以上より、各ガイド部18、19は、搬送路65の少なくとも一部を形成している。なお、後述するように、内側ガイド部19は、ベース部70と一体成形されている(
図3参照)。
【0031】
直線部34は、記録部24が配置されている位置において所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42とによって形成されている。
【0032】
給送トレイ20に支持された記録用紙12は、給送ローラ25によって湾曲部33を下方から上方へUターンするように搬送されて後述する搬送ローラ対59に到達する。つまり、湾曲部33は、給送部16によって給送された記録用紙12を搬送ローラ対59へ案内する。搬送ローラ対59に挟持された記録用紙12は、直線部34を記録部24へ向けて前後方向8に搬送される。記録部24の直下に到達した記録用紙12は、記録部24により画像を記録される。画像記録が行われた記録用紙12は、直線部34を前後方向8に搬送されて排出トレイ21に排出される。以上より、記録用紙12は、
図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き15に沿って搬送される。
【0033】
図6に示されるように、内側ガイド部19の後面には、複数のリブ80が形成されている。各リブ80は、
図7に示される状態における外側ガイド部18へ向けて突出している。また、複数のリブ80は、左右方向9において間隔を空けて形成されている。また、各リブ80は、湾曲部33に沿って湾曲して延設されている。給送部16によって湾曲部33へ給送された記録用紙12は、複数のリブ80と当接しつつ、湾曲部33を案内される。
【0034】
各リブ80は、搬送向き15と直交し且つ湾曲部33を案内される記録用紙12の表面に沿った方向である左右方向9(本発明の幅方向の一例)において、湾曲部33の中央部に形成された複数の第1リブ81と、湾曲部33の左右両端部に形成された複数の第2リブ82とで構成されている。各第1リブ81の外側ガイド部18へ向けての突出長は、各第2リブ82の外側ガイド部18へ向けての突出長よりも長い。換言すると、内側ガイド部19は、左右方向9において、中央側が外側よりも外側ガイド部18側へ突出している。
【0035】
図6に示されるように、外側ガイド部18が
図7に示される状態のときにおける外側ガイド部18の前面には、複数のリブ83が形成されている。外側ガイド部18が
図7に示される状態において、各リブ83は、対向する内側ガイド部19へ向けて突出している。また、複数のリブ83は、左右方向9において間隔を空けて形成されている。また、各リブ83は、湾曲部33に沿って湾曲して延設されている。給送部16によって湾曲部33へ給送された記録用紙12は、複数のリブ83と当接しつつ、湾曲部33を案内される。
【0036】
図2及び
図7に示されるように、外側ガイド部18の下部には、軸48が形成されている。本実施形態において、軸48は、外側ガイド部18の下部の左右両端から外側に突出した突起である。軸48は、プリンタ部11の下部を形成する後述するベース部70(
図3及び
図6参照)に形成された孔(不図示)に挿通される。つまり、軸48は、ベース部70によって回転可能に支持される。なお、本実施形態において、外側ガイド部18は、軸48の部分のみがベース部70に支持されているが、軸48に加えて他の部分(例えば、外側ガイド部18の左面及び右面)がベース部70に支持されていてもよい。つまり、外側ガイド部18は、その少なくとも一部がベース部70によって支持されている。
【0037】
なお、プリンタ部11は、ベース部70に外装カバー14(
図1参照)が取り付けられることによって形成される。
【0038】
外側ガイド部18は、下部に形成された軸48を中心として、矢印66(
図2参照)の方向に回動可能に構成されている。外側ガイド部18は、
図2に実線で示され且つ
図7に示される位置に位置する第1状態のときに湾曲部33の湾曲外側を形成し、
図2に破線で示され且つ
図6に示される位置に位置する第2状態のときに湾曲部33を外部に露出させる。複合機10のユーザは、外側ガイド部18を第1状態から第2状態に状態変化させることにより、湾曲部33に詰まった記録用紙12を取り出すことができる。
【0039】
なお、外側ガイド部18は、回動以外によって状態変化してもよい。例えば、外側ガイド部18は、プリンタ部11に対して着脱可能に構成されていてもよい。この場合、外側ガイド部18は、プリンタ部11に取り付けられ且つ湾曲部33の湾曲外側を形成する第1状態と、プリンタ部11から取り外され且つ湾曲部33を外部に露出させる第2状態との間で状態変化する。
【0040】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線部34の上側に設けられている。記録部24の下側且つ記録部24と対向する位置には、プラテン42が設けられている。
図8に示されるように、プラテン42は、左右方向9に間隔を空けて複数配置され且つ前後方向8に延接されたリブ76を備え、当該リブ76の上端によって搬送路65の直線部34を搬送される記録用紙12を支持する部材である。
図2、
図6、
図7、及び
図9に示されるように、記録部24は、キャリッジ40とキャリッジ40に搭載された記録ヘッド38とを備えている。
【0041】
キャリッジ40は、前後方向8に間隔を空けて配置された2つのガイドレール56、57(本発明の第2フレームの一例)によって左右方向9へ往復移動可能に支持されている。つまり、ガイドレール56、57は、記録部24を支持している。具体的には、キャリッジ40は、2つのガイドレール56、57を跨ぐようにして配置されている。ガイドレール57の上面には、公知のベルト機構が配置されている。
図9に示されるように、ベルト機構は、ガイドレール57の上面の左右両端部に配置されたプーリ84、85と、当該プーリ84、85に架け渡されたベルト86とを備えている。ベルト86は、キャリッジ40とキャリッジ40に駆動力を付与するキャリッジ駆動用モータ87とに連結されている。キャリッジ駆動用モータ87が駆動すると、左右方向9への駆動力がベルト機構を介してキャリッジ40に伝達される。これにより、キャリッジ40は、左右方向9へ往復移動する。
【0042】
なお、
図6及び
図7に示されるように、ガイドレール56、57は、後述するように一対のサイドフレーム55によって支持されている。
【0043】
図2、
図6、
図7、及び
図9に示されるように、記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。
図2に示されるように、記録ヘッド38の下面には、ノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、ノズル39からインク滴をプラテン42に向けて吐出する。これにより、搬送向き15に搬送されてプラテン42に支持された記録用紙12に画像が記録される。
【0044】
[搬送ローラ対59及び排出ローラ対44]
図2に示されるように、搬送路65の直線部34における記録部24の記録ヘッド38よりも搬送向き15の上流側には、搬送ローラ対59が配置されている。直線部34における記録部24の記録ヘッド38よりも搬送向き15の下流側には、排出ローラ対44が配置されている。
【0045】
搬送ローラ対59は、直線部34の下側に配置された搬送ローラ60(本発明の搬送部の一例)と、直線部34の上側に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。搬送ローラ60は、左右方向9に延びた中空且つ円柱状の部材である。
図8に示されるように、ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。ピンチローラ61は、弾性部材(不図示)によって搬送ローラ60に押圧されている。
【0046】
図2に示されるように、排出ローラ対44は、直線部34の下側に配置された排出ローラ62(本発明の排出部の一例)と、直線部34の上側に排出ローラ62と対向して配置された拍車63とを備えている。
図8に示されるように、排出ローラ62は、左右方向9に延びた軸64と、左右方向9に間隔を空けて軸64を覆うように取り付けられたローラ部58とを備えている。拍車63は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各拍車63は、排出ローラ62のローラ部58と対向する位置に設けられている。拍車63は、弾性部材(不図示)によって排出ローラ62のローラ部58に押圧されている。
【0047】
搬送ローラ60は、正転及び逆転する搬送用モータ53(
図6参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対59に記録用紙12が挟持されている状態で、搬送ローラ60が搬送用モータ53から正転の駆動力を付与されて回転すると、当該記録用紙12は、搬送ローラ対59によってプラテン42上に、つまり搬送向き15に搬送される。一方、搬送ローラ60が搬送用モータ53から逆転の駆動力を付与されると、搬送ローラ60は、搬送用モータ53から正転の駆動力を付与されたときは逆向き、つまり記録用紙12を搬送向き15とは逆向きに搬送する回転向きに回転する。
【0048】
また、排出ローラ62と搬送ローラ60との間には、不図示のベルトが架け渡されている。これにより、搬送ローラ60の駆動力が排出ローラ62に伝達される。排出ローラ対44に記録用紙12が挟持されている状態で、排出ローラ62が搬送用モータ53から搬送ローラ60を介して正転の駆動力を付与されて回転すると、当該記録用紙12は、排出ローラ対44によって搬送向き15に搬送される。これにより、記録用紙12は、排出トレイ21上に排出される。
【0049】
なお、搬送ローラ60及び排出ローラ62は、後述するように一対のサイドフレーム55によって支持されている。また、搬送用モータ53から搬送ローラ60への駆動力の伝達については、後述する。
【0050】
[ベース部70]
図3に示されるように、ベース部70は、プリンタ部11の下部を構成するフレームである。ベース部70は、PBT/ABS樹脂などの樹脂製材料によって一体成形されている。ベース部70は、前上部71と、前上部71の右側に前上部71と接合された右側部72と、前上部71の左側に前上部71と接合された左側部73と、右側部72の前下端部と接合され左側部73の前下端部と接合された前下部68と、右側部72の後下端部と接合され左側部73の後下端部と接合された後下部69と、前上部71の後方に前上部71と間隔を空けて配置された後上部74とを備えている。後上部74は、右端を右側部72と接合され、左端を左側部73と接合されている。
【0051】
図3(A)に示されるように、給送トレイ20が挿入及び脱抜される開口13は、前上部71によって上側を構成され、右側部72によって右側を構成され、左側部73によって左側を構成され、前下部68によって下側を構成されている。
【0052】
図4に示されるように、後上部74の下側には、多数のリブが形成されている。そして、当該リブのいくつかには、左右方向9への開口75が形成されている。当該開口75には、給送部16の支軸28が挿通されている。これにより、支軸28は、ベース部70の後上部74の下側に、回転可能に支持されている。つまり、
図5に示されるように、給送部16は、ベース部70の後上部74の下部に支持されている。
【0053】
図3及び
図6に示されるように、ベース部70の後上部74の後面は、湾曲されている。そして、この湾曲されている後面は、上述した内側ガイド部19を構成している。つまり、内側ガイド部19は、ベース部70の後上部74と一体成形されている。
【0054】
図示されていないが、ベース部70の右側部72の後下端部と、ベース部70の左側部73の後下端部とには、上述した外側ガイド部18の軸48が挿通される孔が形成されている。そして、上述した外側ガイド部18の軸48が当該孔に挿通されることにより、ベース部70の右側部72及び左側部73は、外側ガイド部18を回動可能に支持する。
【0055】
[サイドフレーム55]
図3及び
図6に示されるように、一対のサイドフレーム55は、ベース部70の上部に配置されている。詳細には、一対のサイドフレーム55は、後上部74の右端部及び左端部の上面に、左右方向9において互いに対向して取り付けられている。サイドフレーム55は金属製である。また、サイドフレーム55は、概ね90度に屈曲した板状の部材である。つまり、サイドフレーム55は、後上部74に取り付けられた状態において、前後方向8及び左右方向9に拡がる板状の底部77と、底部77から上向きに立設されており上下方向7及び前後方向8に拡がる板状の側部78とを備えている。
【0056】
底部77には、上下方向7に開口された孔79が形成されている。また、サイドフレーム55がベース部70の後上部74に取り付けられた状態において、後上部74における底部77の孔79と対応する位置にも、上下方向7に開口された孔88が形成されている。そして、底部77の孔79と後上部74の孔88とにビス(不図示)が上下方向7に沿って挿入されることによって、サイドフレーム55は、ベース部70の後上部74に固定される。つまり、ベース部70及びサイドフレーム55は、底部77の孔79と後上部74の孔88とビスとによって上下方向7に締結されている。以上より、底部77の孔79、後上部74の孔88、及びビスは、本発明の締結部の一例である。
【0057】
図3及び
図8に示されるように、一対のサイドフレーム55の各々には、切り欠き51が形成されている。切り欠き51は、サイドフレーム55の後部において、サイドフレーム55の上端から下向きに円弧状に切り欠かれている。切り欠き51には、軸受(不図示)が嵌め込まれる。当該軸受には、搬送ローラ60が挿通されている。なお、
図8では、軸受の図示が省略されている。以上より、一対のサイドフレーム55は、搬送ローラ60を支持する。ここで、上述したように、一対のサイドフレーム55は、ベース部70の上部に配置されている。つまり、搬送ローラ60は、一対のサイドフレーム55を介してベース部70の上部に支持されている。
【0058】
また、
図3及び
図8に示されるように、一対のサイドフレーム55の各々には、切り欠き52が形成されている。切り欠き52は、サイドフレーム55の前部に形成された開口である。切り欠き52には、軸受89(
図8参照)が嵌め込まれる。当該軸受89には、排出ローラ62が挿通されている。以上より、一対のサイドフレーム55は、排出ローラ62を支持する。
【0059】
また、
図6及び
図7に示されるように、ガイドレール56、57は、一対のサイドフレーム55によって支持されている。以下に詳述する。
図3に示されるように、一対のサイドフレーム55には、上端部から上向きに突出した突部49、50が形成されている。突部49は、サイドフレーム55の後部に形成されている。突部50は、サイドフレーム55の前部に形成されている。一方、ガイドレール56には、突部49に対応した大きさの開口が形成されており、当該開口にサイドフレーム55の突部49が係合される。これにより、ガイドレール56は、サイドフレーム55によって支持される。また、ガイドレール57には、突部50に対応した大きさの開口が形成されており、当該開口にサイドフレーム55の突部50が係合される。これにより、ガイドレール57は、ガイドレール56よりも前側においてガイドレール56と前後方向8に間隔を空けた状態で、サイドフレーム55によって支持される。
【0060】
[伝達部90]
プリンタ部11には、
図10に示されるような伝達部90が配置されている。伝達部90は、以下に詳述するように、搬送用モータ53(
図6参照)の正転または逆転の一方(本実施形態では正転)の駆動力を、搬送路65の湾曲部33を案内されてきた記録用紙12を搬送向き15に搬送する駆動力として搬送ローラ60に伝達し、搬送用モータ53の正転または逆転の他方(本実施形態では逆転)の駆動力を、給送トレイ20に支持された記録用紙12を搬送路65の湾曲部33へ給送する駆動力として給送ローラ25に伝達するものである。
【0061】
図10に示されるように、伝達部90は、第1ギヤ列91及び第2ギヤ列92を備えている。
【0062】
第1ギヤ列91は、
図4及び
図6に示される空間94に配置されたメンテナンスベース95に設けられている。なお、
図4及び
図6では、メンテナンスベース95の図示は、省略されている。ここで、空間94は、ベース部70の右側部72における記録ヘッド38と対向可能な位置に形成されている。また、
図10に示されるように、メンテナンスベース95は、概ね箱形状の部材であり、内部にメンテナンスユニット(不図示)が配置される。メンテナンスユニットは、記録ヘッド38のノズル39内のインクの乾燥を防止したり、ノズル39から気泡や異物を吸引除去するものであるが、ここではその詳細な説明は省略される。
【0063】
図10に示されるように、第1ギヤ列91は、メンテナンスベース95の左面に形成された複数の軸96の各々に挿通された複数のギヤ97と、給送部16の支軸28の右端部に形成されたギヤ98と、内部に公知のワンウェイクラッチ(不図示)を有する伝達切替ギヤ45と、を備えている。各ギヤ97、98、45は、互いに噛合されたギヤ列を構成している。伝達切替ギヤ45には、搬送ローラ60からギヤ37を介して駆動力が伝達される。なお、伝達切替ギヤ45の詳細については、後述する。
【0064】
第2ギヤ列92は、給送部16の給送アーム26に回転可能に支持された複数のギヤ99で構成されている。各ギヤ99は、互いに噛合されたギヤ列を構成している。複数のギヤ99のうち最も前上側のギヤ99は、給送部16の支軸28に形成されている。つまり、最も前上側のギヤ99は、第1ギヤ列91のギヤ98と一体に回転する。複数のギヤ99のうち最も後下側のギヤ99は、給送ローラ25と同軸に形成されている。
【0065】
以上より、伝達部90は、第1ギヤ列91及び第2ギヤ列92を介して、搬送ローラ60から伝達された駆動力を給送ローラ25へ伝達する。
【0066】
伝達切替ギヤ45は、第1ギヤ46と第2ギヤ47とを備えている。第1ギヤ46と第2ギヤ47とは、上記のワンウェイクラッチを介して連結されている。ここで、第1ギヤ46は、後述する駆動ギヤ43とギヤ37を介して噛合しており、第2ギヤ47は、ギヤ97と噛合している。
【0067】
図9に示されるように、搬送ローラ60は、メンテナンスベース95に形成された凹部100を介して、メンテナンスベース95の内部にまで延設されている。また、搬送ローラ60の右端部には、駆動ギヤ43が形成されている。駆動ギヤ43は、
図10に示されるギヤ37と噛合している。そして、伝達切替ギヤ45の第1ギヤ46は、ギヤ37と噛合している。つまり、伝達切替ギヤ45は、搬送用モータ53から搬送ローラ60及びギヤ37を介して駆動力を付与されて回転する。
【0068】
上述したように、伝達切替ギヤ45は、ワンウェイクラッチを有している。ワンウェイクラッチは、搬送用モータ53の逆転の駆動力によって回転する第1ギヤ46の駆動力を第2ギヤ47へ伝達する一方、搬送用モータ53の正転の駆動力によって回転する第1ギヤ46の駆動力を第2ギヤ47へ伝達しない。
【0069】
以上より、搬送用モータ53が逆転したとき、給送ローラ25には、搬送用モータ53から搬送ローラ60、ギヤ37、及び伝達部90を介して駆動力が伝達される。これにより、給送ローラ25は回転して記録用紙12を湾曲部33へ給送する。一方、搬送用モータ53が正転したとき、第1ギヤ46の駆動力が第2ギヤ47へ伝達されないため、給送ローラ25は回転しない。一方、上述したように、搬送ローラ60は、搬送用モータ53が逆転したときに記録用紙12を搬送向き15とは逆向きに搬送する回転向きに回転し、搬送用モータ53が正転したときに記録用紙12を搬送向き15に搬送する回転向きに回転する。
【0070】
給送ローラ25によって給送トレイ20に支持された記録用紙12を給送する際、搬送用モータ53を逆転させておき、給送された記録用紙12が搬送ローラ60へ到達した際、搬送用モータ53を逆転から正転へ切り替えることにより、搬送ローラ60による搬送と給送ローラ25による給送とが、同一の記録用紙12に対して同時に実行されることが防止される。
【0071】
なお、伝達部90が、搬送用モータ53の正転または逆転の一方の駆動力を、搬送路65の湾曲部33を案内されてきた記録用紙12を搬送向き15に搬送する駆動力として搬送ローラ60に伝達し、搬送用モータ53の正転または逆転の他方の駆動力を、給送トレイ20に支持された記録用紙12を搬送路65の湾曲部33へ給送する駆動力として給送ローラ25に伝達することができるのであれば、伝達部90の具体的な構成は、以上説明した構成に限らない。
【0072】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、ベース部70は樹脂で構成されている。そのため、複合機10のコストのアップを低減することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、ベース部70が内側ガイド部19を構成している。つまり、内側ガイド部19は、ベース部70と一体成形されている。そのため、湾曲部33を搬送される記録用紙12の搬送向き15の先端部が搬送ローラ60に到達し、記録用紙12の搬送向き15の後端部が給送ローラ25に当接された状態において、記録用紙12が搬送ローラ60によって搬送向き15に引っ張られて、記録用紙12が内側ガイド部19に押しつけられた場合でも、内側ガイド部19のがたつきを最小限に抑えることができる。
【0074】
また、内側ガイド部19を構成しているベース部70には、給送部16が支持されている。そのため、内側ガイド部19ががたついたとしても、内側ガイド部19と給送ローラ25との相対距離のずれを、内側ガイド部19と給送ローラ25との寸法公差以内に抑えることができる。つまり、記録用紙12が搬送される湾曲部33の湾曲内側を形成する内側ガイド部19と、当該湾曲部33へ記録用紙12を給送する給送ローラ25との位置ずれを低減することができる。
【0075】
以上より、本実施形態によれば、ベース部70を樹脂製にすることで複合機10のコストを低く抑えつつも、内側ガイド部19によって形成される湾曲部33を搬送される記録用紙12の搬送精度を良好に維持することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、搬送ローラ60は金属製のサイドフレーム55に取り付けられているため、搬送ローラ60の位置精度を良好に維持することができる。
【0077】
その一方で、搬送ローラ60がサイドフレーム55に取り付けられているために、湾曲部33を搬送される記録用紙12の搬送向き15の先端部が搬送ローラ60に到達し且つ記録用紙12の搬送向き15の後端部が給送ローラ25に当接された状態において、記録用紙12が、搬送ローラ60によって搬送向き15に引っ張られることによって、内側ガイド部19及び給送ローラ25に対して相対的に上下方向7に移動してしまう可能性がある。しかし、本実施形態においては、ベース部70及びサイドフレーム55が上下方向7にビスによって締結されているために、記録用紙12の上下方向7への移動の可能性を低くすることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、排出ローラ62が金属製のサイドフレーム55に支持され且つ記録部24がガイドレール56、57を介して金属製のサイドフレーム55に支持されているため、排出ローラ62及び記録部24の位置精度を良好に維持することができる。その結果、排出ローラ62によって搬送される記録用紙12の搬送精度や、記録部24によって記録用紙12に記録される画質を良好に維持することができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、搬送ローラ60が湾曲部33を案内されてきた記録用紙12を搬送している際に、給送ローラ25は給送トレイ20に支持された記録用紙12を湾曲部33へ給送しない。そのため、湾曲部33を案内される記録用紙12の搬送向き15の先端部が搬送ローラ60に到達し且つ記録用紙12の搬送向き15の後端部が給送ローラ25と当接された状態において、記録用紙12が搬送ローラ60によって搬送向き15に引っ張られる状況が生じやすい。つまり、本実施形態は、本発明を実現するための好適な構成である。また、本実施形態によれば、搬送ローラ60と給送部16とを共通の搬送用モータ53で駆動することができるため、複合機10のコストを下げることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、記録用紙12が搬送ローラ60によって搬送向き15に引っ張られて内側ガイド部19に貼り付く状況が生じた場合でも、当該記録用紙12は、突出が小さい内側ガイド部19の左右方向9の外側において貼り付きにくい。つまり、記録用紙12が内側ガイド部19へ貼り付く領域を小さくすることができる。その結果、内側ガイド部19のがたつきを低減することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、外側ガイド部18の少なくとも一部がベース部70によって支持されているため、外側ガイド部18を位置決めすることができる。