(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015484
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】安全カバー装置
(51)【国際特許分類】
B41F 13/00 20060101AFI20161013BHJP
B41F 33/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
B41F13/00 136
B41F33/00 N
B41F33/00 M
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-29365(P2013-29365)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-156102(P2014-156102A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100164987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】土屋 賢和
【審査官】
下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−169022(JP,A)
【文献】
実開昭55−018900(JP,U)
【文献】
特開平09−207309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F5/00−13/70
B41F31/00−35/06
B41F21/00−30/06
B41M1/00−3/18
B41M7/00−9/04
B65H7/00−7/20
B65H43/00−43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給紙シャフトの軸を給紙部に固定するためのカムフォロアを作動させる動力が入力されるアクチュエータと、前記アクチュエータの可動部に取り付けられた安全カバーを備え、前記アクチュエータは、前記カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする動力が入力されると、前記安全カバーによって給紙部のギヤ部が覆われる位置に前記可動部を移動させることを特徴とする安全カバー装置。
【請求項2】
前記アクチュエータは、前記カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して脱にする動力が入力されると、前記安全カバーによって給紙部のギヤ部が覆われない位置に前記可動部を移動させることを特徴とする、請求項1に記載した安全カバー装置。
【請求項3】
前記カムフォロアを作動させる動力を圧縮空気とし、圧縮空気で作動するガイド付きシリンダを前記アクチュエータに用いたことを特徴とする、請求項2に記載した安全カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪転印刷機の給紙部のギヤ部を覆う安全カバーを自動で開閉するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
オフセット輪転印刷機などの輪転印刷機の給紙部には、印刷用紙をロール状に巻いた巻取りがセットされる。給紙部に巻取りをセットする機構としては、テーパーコーンを利用したシャフトレスの機構もあるが、印刷用紙が紙の場合、巻取りの重量が重くなるため、コアシャフトなどの給紙シャフトを用いる機構が採用されることが多い。
【0003】
図4は、給紙シャフトを用いるタイプの給紙部に設けられるカムフォロア着脱機構を説明する図である。給紙シャフト3を用いるタイプの給紙部2には、給紙シャフト3を給紙部2に固定するためのカムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着脱させるカムフォロア着脱機構20が設けられる。
【0004】
図4では、カムフォロア着脱機構20は、複動形のエアシリンダ201と、エアシリンダ201のピストンロッド201aと連結しているレバー202と、レバー202が取り付けられた支軸203と、レバー202と対向して支軸203に取り付けられているアーム204と、アーム204の先端に取り付けられたカムフォロア200とから少なくとも構成されている。
【0005】
作業者は、巻取り4を給紙部2にセットする際、まず、給紙部2のギヤ部2aを覆う安全カバー5を開けて、巻取り4を取り付けた給紙シャフト3を給紙部2にのせた後、給紙シャフト3のシャフトギヤ30と給紙部2の駆動ギア21を噛み合わせる(
図4(a))。なお、巻取り4を給紙部2にセットする際、給紙シャフト3を給紙部2から取り外す必要があるため、カムフォロア200は給紙シャフト3の軸31に対して脱、すなわち、カムフォロア200は給紙シャフト3の軸31から離れた状態にある。
【0006】
次に、作業者が、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着にするボタンを押すと、エアシリンダ201が有する押側ポート201bに圧縮空気が供給されて、エアシリンダ201のピストンロッド201aが突出し、レバー202が下方向に回転する。レバー202が下方向に回転すると、レバー202に対向して支軸203に取り付けたアーム204が、カムフォロア200が給紙シャフト3の軸31と接触するまで回転し、カムフォロア200は給紙シャフト3の軸31に対して着、すなわち、カムフォロア200は、給紙シャフト3の軸31と接触した状態になる。なお、カムフォロア200が給紙シャフト3の軸31に対して着になると、給紙シャフト3の軸31は、カムフォロア200と対向するベアリング205とカムフォロア200によって給紙部2に固定される。
【0007】
カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着にした後、作業者は安全カバー5を閉めることになるが、作業者が安全カバー5を閉め忘れると巻き込み事故の危険性が高まるため、特許文献1のように、安全カバー5の開閉をセンサで検知し、安全カバー5が閉じた状態でなければ、印刷できないようにしていることが多い。
【0008】
しかし、給紙シャフト3を給紙部2にセットする際、安全カバー5の開閉を検知するセンサと給紙シャフト3が干渉し、このセンサが故障してしまうと、このセンサを交換するまでの間、輪転印刷機で印刷できなくなってしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−104883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
安全カバーの開閉を検知するセンサを用いずに、安全カバーの閉め忘れを防止するためには、カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする際、安全カバーが自動的に閉まるようにすればよいと考えられる。
【0011】
そこで、本発明では、カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする際、安全カバーが自動的に閉まる安全カバー装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決する第1の発明は、給紙シャフトの軸を給紙部に固定するためのカムフォロアを作動させる動力が入力されるアクチュエータと、前記アクチュエータの可動部に取り付けられた安全カバーを備え、前記カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする際、前記安全カバーが自動的に閉まるように、前記アクチュエータは、前記カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする動力が入力されると、前記安全カバーによって給紙部のギヤ部が覆われる位置に前記可動部を移動させることを特徴とする。
【0013】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載した安全カバー装置であって、前記カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して脱にする際、前記安全カバーが自動的に開くように、前記アクチュエータは、前記カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して脱にする動力が入力されると、前記安全カバーによって給紙部のギヤ部が覆われない位置に前記可動部を移動させることを特徴とする。
【0014】
更に、第3の発明は、第2の発明に記載した安全カバー装置であって、前記カムフォロアを作動させる動力として圧縮空気が用いられることが多いため、前記カムフォロアを作動させる動力を圧縮空気とし、圧縮空気で作動するガイド付きシリンダを前記アクチュエータに用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した発明にかかる安全カバー装置によれば、給紙シャフトの軸を給紙部に固定するためのカムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする動力が入力されると、安全カバー装置に備えられたアクチュエータの可動部は、可動部に取り付けられた安全カバーによって給紙部のギヤ部が覆われる位置に移動するため、カムフォロアを給紙シャフトの軸に対して着にする際、安全カバーが自動的に閉まるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態にかかる安全カバー装置の正面図。
【
図2】本実施形態にかかる安全カバー装置の斜視図。
【
図3】本実施形態にかかる安全カバー装置の配管および動作を説明する図。
【
図4】給紙部に設けられるカムフォロア着脱機構を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここから、本発明の好適な実施形態を記載する。なお、以下の記載は本発明の範囲を束縛するものでなく、理解を助けるために記述するものである。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる安全カバー装置1の正面図、
図2は、本実施形態にかかる安全カバー装置1の斜視図、
図3は、本実施形態にかかる安全カバー装置1の配管および動作を説明する図である。なお、これらの図において、安全カバー装置1に係る符号以外は、
図4と同じ符号を用いている。
【0019】
本実施形態にかかる安全カバー装置1は、巻取り4のセットに、コアシャフトなどの給紙シャフト3を用いる給紙部2に設置され、給紙シャフト3を用いて巻取り4をセットするタイプの給紙部2には、上述しているように、給紙シャフト3を給紙部2に固定するためのカムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着脱させるカムフォロア着脱機構20が設けられる。
【0020】
本実施形態のカムフォロア着脱機構20は、
図4を用いて説明したように、複動形のエアシリンダ201と、エアシリンダ201のピストンロッド201aと連結しているレバー202と、レバー202が取り付けられた支軸203と、レバー202と対向して支軸203に取り付けられているアーム204と、アーム204の先端に取り付けられたカムフォロア200とから少なくとも構成されている。
【0021】
本実施形態の安全カバー装置1は、カムフォロア200に連動して、給紙部2のギヤ部2aを覆う安全カバー11が自動的に開閉するように開発された装置で、給紙シャフト3の軸31を給紙部2に固定するためのカムフォロア200を作動させる動力が入力されるアクチュエータ10と、アクチュエータ10の可動部100に取り付けられた安全カバー11を備え、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着にする動力が入力されると、アクチュエータ10は、安全カバー11によって給紙部2のギヤ部2aが覆われる位置に可動部100を移動させ、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して脱にする動力が入力されると、安全カバー11によって給紙部2のギヤ部2aが覆われない位置に可動部100を移動させる。
【0022】
本実施形態のカムフォロア着脱機構20では、
図4を用いて説明したように、カムフォロア200は複動形のエアシリンダ201で作動するため、カムフォロア200を作動させる動力はエアシリンダ201に供給される圧縮空気になり、本実施形態のアクチュエータ10を、圧縮空気で作動する複動形のガイド付きシリンダの形態としている。
【0023】
図1および
図2に図示したように、ガイド付きシリンダの形態のアクチュエータ10は3本のロッドを有し、給紙部2のギヤ部2aを覆う安全カバー11が取り付けられた可動部100は、ガイド付きシリンダの形態のアクチュエータ10が有する3本のロッドに取り付けられている。
【0024】
アクチュエータ10が有する3本のロッドの内、上下の2本のロッドはガイドロッド101a、cで、真ん中のロッドはピストンロッド101bで、アクチュエータ10は、ピストンロッド101bを作動させる圧縮空気の供給口として、押側ポート102bと引側ポート102aの2つを有している。
【0025】
アクチュエータ10の引側ポート102aに圧縮空気を供給すると、アクチュエータ10のピストンロッド101bが引っ込み、安全カバー11が取り付けられた可動部100はアクチュエータ10の本体と近接し、給紙部2のギヤ部2aが安全カバー11で覆われた状態(
図1(a)および
図2(a))になる。なお、アクチュエータ10のピストンロッド101bのストロークは、給紙部2のギヤ部2a内にある給紙シャフト3が露出するように調整されている。
【0026】
また、アクチュエータ10の押側ポート102bに圧縮空気を供給すると、アクチュエータ10のピストンロッド101bが突出し、安全カバー11が取り付けられた可動部100はアクチュエータ10の本体から離れ、給紙部2のギヤ部2aが露出した状態(
図1(b)および
図2(b))になる。
【0027】
カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着にする際、安全カバー11を自動的に閉じた状態にする、すなわち、給紙部2のギヤ部2aが安全カバー11によって覆われた状態にするためには、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着にする動力によりアクチュエータ10のピストンロッド101bが引っ込めばよいため、本実施形態では、
図3(a)に図示したように、エアシリンダ201の押側ポート201bに接続しているエア配管を分岐して、アクチュエータ10の引側ポート102aに接続している。
【0028】
また、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して脱にする際、安全カバー11を自動的に開いた状態にする、すなわち、安全カバー11によって給紙部2のギヤ部2aが覆われない状態にするためには、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して脱にする動力によりアクチュエータ10のピストンロッド101bが突出すればよいため、本実施形態では、
図3(a)に図示したように、エアシリンダ201の引側ポート201cに接続しているエア配管を分岐して、アクチュエータ10の押側ポート102bに接続している。
【0029】
このように配管することで、安全カバー11が開いた状態で、エアシリンダ201の押側ポート201bに圧縮空気を供給すると、エアシリンダ201のピストンロッド201aが突出して、
図1(a)のように、カムフォロア200は給紙シャフト3の軸31に対して着になる。エアシリンダ201の押側ポート201bに供給される圧縮空気は、エアシリンダ201の押側ポート201bのみならず、アクチュエータ10の引側ポート102aに供給されるのでアクチュエータ10のピストンロッド101bが引っ込み、
図1(a)および
図2(a)に図示したように、安全カバー11は閉じた状態になる。
【0030】
また、安全カバー11が閉じた状態で、エアシリンダ201の引側ポート201cに圧縮空気を供給すると、エアシリンダ201のピストンロッド201aが引っ込み、
図1(b)のように、カムフォロア200は給紙シャフト3の軸31に対して脱になる。エアシリンダ201の引側ポート201cに供給される圧縮空気は、エアシリンダ201の引側ポート201cのみならず、アクチュエータ10の押側ポート102bに供給されるのでアクチュエータ10のピストンロッド101bが突出し、
図1(b)および
図2(b)に図示したように、安全カバー11は開いた状態になる。
【0031】
このように、本実施形態の安全カバー装置1によれば、カムフォロア200を給紙シャフト3の軸31に対して着にする際、給紙部2のギヤ部2aを覆う安全カバー11が自動的に閉じた状態になるため、給紙部2のギヤ部2aを覆う安全カバー11の閉め忘れを防止できる。
【符号の説明】
【0032】
1 安全カバー装置
10 アクチュエータ
100 アクチュエータの可動部
101b アクチュエータのピストンロッド
102a 引側ポート
102b 押側ポート
11 安全カバー
2 給紙部
2a ギヤ部
20 カムフォロア着脱機構
200 カムフォロア
201 エアシリンダ
201a エアシリンダのピストンロッド
201b エアシリンダの押側ポート
201c エアシリンダの引側ポート