(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015512
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】スライドシート用のワイヤハーネス配索装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20161013BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20161013BHJP
B60N 2/07 20060101ALI20161013BHJP
B60N 2/44 20060101ALI20161013BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
B60R16/02 620A
B60N2/06
B60N2/07
B60N2/44
B60R16/02 623T
H02G11/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-60731(P2013-60731)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-184838(P2014-184838A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
(72)【発明者】
【氏名】大谷 努
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】岡野 洋輔
【審査官】
菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−244609(JP,A)
【文献】
特開2013−049402(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0024561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60N 2/06
B60N 2/07
B60N 2/44
H02G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドシートのシートレールの側面に隣接して前後方向に延在する1本の直線状のハーネスレールと、前記ハーネスレールの前端に連続させていると共に前記シートレールの前端を越えない位置に配置する余長収容ケースを備え、
前記余長収容ケースは前記ハーネスレールの前端に連続する直線方向の経路の前端を円弧状とし、前記ハーネスレールから該余長収容ケースに直線状に挿通するワイヤハーネスを前端で湾曲させて後方向きにターンさせるようにし、
かつ、前記スライドシートに連結して前記ハーネスレール内を摺動自在に嵌合するスライダを設け、前記ハーネスレールを挿通する前記ワイヤハーネスを前記スライダに通して前記スライドシートに配線する構成としていることを特徴とするスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【請求項2】
前記ハーネスレールの前端に連続させる前記余長収容ケースは前端側で湾曲させたU形状とし、前記ハーネスレールと余長収容ケースとを組み合わせた全体形状をJ字状とし、ワイヤハーネスを前端側で後方へとターンさせ、後端に設けた開口から引き出す形状とし、
あるいは前記ハーネスレールの前端に連続させる前記余長収容ケースは前端側で湾曲させると共に後端側も湾曲させた略長円形状とし、ワイヤハーネスを前端側で後方へとターンさせた後に後端側で再度ターンさせて、前方に設けた開口から引き出す構成としている請求項1に記載のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【請求項3】
前記ハーネスレールと前記余長収容ケースを一体成形し、または別体として前記ハーネスレールの前端のハーネス挿通口と前記余長収容ケースの一側開口とを連続している請求項1または請求項2に記載のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【請求項4】
前記ハーネスレールは、前記シートレールの側壁外面に沿って延在させる断面ボックス状のハーネス挿通部と、該ハーネス挿通部の上面の一側に連通させて突設するスライダ摺動部とを備えた形状であり、該スライダ摺動部の上面開口からスライダ摺動部に嵌合するスライダを突出させ、該スライダを前記スライドシートのシート脚部に連結している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【請求項5】
前記ハーネスレールのハーネス挿通部および前記余長収容ケース内に挿通するワイヤハーネスにはキャタピラ型のプロテクタを外装しており、
前記プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折曲ラインを折り曲げて筒状とすると共に、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて一辺を連続させると共に他辺を分離し、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しない状態で連結している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスライドシート用のワイヤハーネス配索装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートには電動リクライニング装置やシートヒータなど種々の電装品が装備されており、これらの電装品に給電するために、車体フロアからシートに給電用のワイヤハーネスが配索されている。スライドシートの場合には、ワイヤハーネスをシートのスライド動作に追従させる必要があり、そのためワイヤハーネスに余長部を持たせて配索している。自動車のスライドシートのスライド寸法は通常最大240mm〜300mm程度であるが、助手席や後部座席等でスライド寸法を最大400mm〜1200mm程度のロングスライドシートとし、座席前方または座席後方に大きな空間をあけることが出来るようにした自動車が近時提供されている。このようなロングスライドシートでは、ワイヤハーネスの余長部の長さが大となるため、余長収容部からワイヤハーネスをスムーズに出し入れできるようにワイヤハーネスをスライドシートの前後移動に連続させるレール部が必要となる。
【0003】
この種の車体フロアとロングスライドシートとの間に配索するハーネス配索装置として、本出願人は特開2011−121459号公報(特許文献1)で、
図9に示す装置を提案している。該装置では、スライドシート100の車輪を移動自在に搭載するシートレール101内の空間にシート用のワイヤハーネスW/Hを挿通し、シートレール101をワイヤハーネス用レールとして利用し、かつ、シートレール101の前端にワイヤハーネスの余長収容ケース105を配置し、該余長収容ケース105内でワイヤハーネスW/HをUターンさせて引き出し、フロアハーネスと接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−121459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置では、ワイヤハーネス用レールとしてシートレールを利用しているため、ワイヤハーネス用レールを不要にできる利点があるが、シートレール内にワイヤハーネスを挿通する作業に手数がかかり、かつ、シートレール内に充填される潤滑用グリスでワイヤハーネスが汚れる恐れがあると共にシートレール内に侵入して溜まるゴミ等で、シートレール内でのワイヤハーネスの移動が阻害される恐れがある等、改良の余地がある。
【0006】
また、スライドシート100のシートレール101の前端からワイヤハーネスを引き出しているため、余長収容ケース105はシートレール101の前方に設置し、スライドシート100の前方のフロアに配置されている。助手席のフロアの前方にはエアダクト等の既存の配管や部材が設置されている場合が多く、よって、余長収容ケース105を設置するスペースが制限され、かつ、エアダクト等と干渉しないように余長収容ケース105の形状も制約を受ける問題がある。
【0007】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、シートレールとは別にワイヤハーネス用レールを設けると共に、該ワイヤハーネス用レールからワイヤハーネスを連続して挿通する余長収容ケースをスライドシートの前方に配置せず、既存の設置部材と干渉しないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、
スライドシートのシートレールの側面に隣接して前後方向に延在する1本の直線状のハーネスレールと、前記ハーネスレールの前端に連続させていると共に前記シートレールの前端を越えない位置に配置する余長収容ケースを備え、
前記余長収容ケースは
前記ハーネスレールの前端に連続する直線方向の経路の前端を円弧状とし、前記ハーネスレールから該余長収容ケースに直線状に挿通するワイヤハーネスを前端で湾曲させて後方向きにターンさせるようにし、
かつ、前記スライドシートに連結して前記ハーネスレール内を摺動自在に嵌合するスライダを設け、前記ハーネスレールを挿通する前記ワイヤハーネスを前記スライダに通して前記スライドシートに配線する構成としていることを特徴とするスライドシート用のワイヤハーネス配索装置を提供している。
【0009】
本発明のワイヤハーネス配索装置では、シートレールの側面に沿って前記ハーネスレールを設置し、該ハーネスレールの前端に連続して前記余長収容ケースを配置しているため、シートレールの側方に設置スペースをとらない。かつ、余長収容ケースはシートレールより前方へ突出させて配置していないため、スライドシートの前方および側方にエアダクト等の既存の配管や部材が配置されていても干渉するのを防止できる。
【0010】
前記ハーネスレールの前端に連続させる前記余長収容ケースは前端側で湾曲させたU形状とし、前記ハーネスレールと余長収容ケースとを組み合わせた全体形状をJ字状とし、ワイヤハーネスを前端側で後方へとターンさせ、後端に設けた開口から引き出す形状とし、
あるいは前記ハーネスレールの前端に連続させる前記余長収容ケースは前端側で湾曲させると共に後端側も湾曲させた略長円形状とし、ワイヤハーネスを前端側で後方へとターンさせた後に後端側で再度ターンさせて、前方に設けた開口から引き出す構成としてもよい。このように、ワイヤハーネスを前記余長収容ケースの前端側および後端側の両方でターンさせて一周させると余長吸収量を長くできる。
【0011】
前記ハーネスレールと前記余長収容ケースを一体に形成し、または、別体として前記ハーネスレールの前端のハーネス挿通口と前記余長収容ケースのハーネス挿通用の開口とを連続させている。
【0012】
前記ハーネスレールと前記余長収容ケースとを樹脂で一体成形すると、部品点数の削減によりコスト低下が図れると共に車両への取付作業手数も低減できる。
一方、ハーネスレールと前記余長収容ケースとを別体とすると、ハーネスレールの成形樹脂を余長収容ケースの成形樹脂よりも剛性を高めることができ、用途に応じた樹脂材を用いて形成することができる。かつ、ハーネスレールの設置位置はシートレールの側面に沿った位置に固定されるが、余長収容ケースは水平姿勢、垂直姿勢、傾斜姿勢等と設置場所に応じて任意の姿勢で設置することができる。
【0013】
前記ハーネスレールは、前記シートレールの側壁外面に沿って延在させる断面ボックス状のハーネス挿通部と、該ハーネス挿通部の上面の一側に連通させて突設するスライダ摺動部とを備えた形状であり、該スライダ摺動部の上面開口からスライダ摺動部に嵌合するスライダを突出させ、該スライダを前記スライドシートのシート脚部に連結している。
前記スライダはスライドシートのシート脚部に連結することが好ましい。
【0014】
前記ハーネスレールのスライダ摺動部の上面開口を車室床材となるモールに開口し、ハーネスレールおよび前記余長収容ケースは前記モール下方に配置している。
このように、車室床材となるモールの下方で且つフロアパネルの上方の空間に配置して、室内側からの負荷を直接にうけないようにしている。
前記モールは樹脂成形品でレールとカーペットの隙間を隠す化粧材である。カーペット積層材と車両の最下面の金属板からなるフロアパネルとの間に空間があり、該空間に振動吸収材、遮熱材、遮音材等が充填され、車室に伝わる振動、騒音、熱を吸収して車室内は快適空間に保持されている。前記シートレールはフロアパネルの上面に搭載した支持材の上面に固定して敷設され、スライドシートの車輪をスライド自在に嵌合する凹部が前記モールに設けた開口に露出されている。前記ハーネスレールはボックス状のハーネス挿通部は前記モールとフロアパネルとの間の空間に収容して、ハーネス挿通部の上面から突出するスライダ摺動部の上面開口を前記シートレールの凹部表面と同一面に位置させている。
【0015】
前記のように、ハーネスレールのハーネス挿通部に連続させる前記余長収容ケースは前記モールとフロアパネルの間の空間に収容している。該空間に収容する前記余長収容ケースは水平姿勢、垂直姿勢あるいは下向き傾斜姿勢としていずれで配置してもよい。
【0016】
前記ハーネスレールのハーネス挿通部および前記余長収容ケース内に収容するワイヤハーネスにはキャタピラ型のプロテクタを外装しており、
前記プロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在すると共に幅方向に間隔をあけて設けた複数本の折曲ラインを折り曲げて筒状とすると共に、長さ方向に間隔をあけて幅方向に切り込みを入れて一辺を連続させると共に他辺を分離し、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しない状態で連結している。
【0017】
前記キャタピラ型のプロテクタは、四角筒状等の本体に長さ方向に間隔をあけて切り込みをいれて、前記のように、一方側には屈曲するが他方側には屈曲しないキャタピラ型としている。
前記四角筒状のキャタピラ型のプロテクタは、帯状の平板に長さ方向に延在する4本の折曲ラインを幅方向の中間部に間隔をあけて設け、かつ、該幅方向の両側縁の一方側に係止突片を突設すると共に他方側に前記係止突片を挿入係止する係止穴を設け、前記折曲ラインに沿って折り曲げて四角筒形状とすると共に係止突片を係止穴に挿入係止して四角筒状を保持し、さらに、前記4本の折曲ラインを結ぶ幅方向の切込ラインを長さ方向に間隔をあけて設けて四角筒の3辺を分離して折り曲げ自在に連結された形状としていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
前記のように、本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置は、シートレールの側面に沿ってハーネスレールを設置し、該ハーネスレールの前端に連続して前記余長収容ケースを配置し、該余長収容ケースは前記シートレールの前端より前方へ突出させないため、スライドシートの前方に設置スペースをとらず、エアダクト等の既存材と干渉するのを防止できる。
また、ハーネスレールはシートレールの側面に沿って前後方向へ延在させ、該ハーネスレールの前端に前記余長収容ケースの直線部を連続して配置し、ハーネスレールから余長収容ケース内にワイヤハーネスを直線状に保持したままでスムーズに引き込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態におけるスライドシートを示す概略斜視図である。
【
図2】前記第1実施形態のII−II線断面図ある。
【
図3】シートレールとハーネスレールと余長収容ケースとの位置関係およびワイヤハーネスの移動を示し、(A)はスライドシートの前方位置での状態を示し、(B)はスライドシートの後方位置での状態を示す。
【
図4】一体型としているハーネスレールと余長収容ケースを示す斜視図である。
【
図5】スライダを示し、(A)は斜視図、(B)と(C)は断面図である。
【
図6】ワイヤハーネスに外装するプロテクタを示し、(A)は斜視図、(B)は拡大展開図、(C)は要部断面図である。
【
図8】別体としているハーネスレールと余長収容ケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至
図6に本発明の第1実施形態を示す。
図1に示すように、自動車に搭載する助手席側のスライドシート1に装着した電装品(図示せず)に給電するために、フロアパネル2からスライドシート1へワイヤハーネス5(以下、シートハーネス5と称す)を配線している。
【0021】
スライドシート1の下面には
図2に示すように、シート脚部3を左右一対設け、各シート脚部3をフロアパネル2上に支持台50を介して搭載した左右一対のシートレール6に摺動自在に取り付けている。各シートレール6は
図2に示す構造で、スライドシート1の座面下方に突出したシート脚部3の軸部3aをシートレール6内に挿入し、軸部3aから腕部3bを左右に延在させ、腕部3bの外面に軸支した車輪3cをシートレール6内の側部空間6aに回動自在に嵌合させている。シートレール6の中央の上面開口6cを挟む左右の側部空間6aの上壁6fには、その上面に車室床材となるモール10A、10Bを敷設している。
【0022】
一方のシートレール6の側面には、前後方向の略中間位置から後端に向かって1本の直線状のハーネスレール7を設置すると共に、該ハーネスレール7の前端に余長収容ケース8を設置している。
図3に示すように、余長収容ケース8の前端はシートレール6の前端より前方に突出させず、後方に位置させている。
【0023】
前記シートハーネス5は、フロアパネル2に配索するフロアハーネスから分岐した枝線とコネクタ接続し、前記余長収容ケース8およびハーネスレール7に連続して配線している。ハーネスレール7に通したシートハーネス5を、該ハーネスレール7に摺動自在に嵌合するスライダ9に通し、該スライダ9をスライドシート1の脚部3に連結して、シートハーネス5をスライドシート1内に配線している。
【0024】
前記ハーネスレール7と前記余長収容ケース8とは
図3および
図4に示すように一体成形している。ハーネスレール7は直線状に延在し、該ハーネスレール7の前端にU形状の余長収容ケース8を連続させているために、一体としたハーネスレール7と余長収容ケース8は全体として略J字形状としている。よって、スライドシート1に配線するシートハーネス5はスライダ9を通してハーネスレール7に挿入された後、該ハーネスレール7から余長収容ケース8内に直線状のままで挿通し、該余長収容ケース8の前端で湾曲させて後方へUターンさせている。すなわち、ハーネスレール7から余長収容ケース8に全体としてJ字状に挿通させた後に、余長収容ケース8の後端に設けた開口8eから外方に引き出している。
なお、
図8に示すようにハーネスレール7と余長収容ケース8とは別体で形成し、ハーネスレール7の前端に余長収容ケース8の後端の一側部を当接させて連結してもよい。
【0025】
図3に示すように、余長収容ケース8の長さ(L1)はスライドシート1が前端に位置した時のシートハーネス5の余長の約1/2の長さであればよく、スライドシート1の最大スライド長さの約1/2の長さとしている。ハーネスレールの長さ(L2)は、シートレール6の全長の40〜80%の長さとするのが好ましい。
【0026】
図4に示すように、ハーネスレール7は、シートレール6の側壁外面に沿って延在させる断面ボックス状のハーネス挿通部7aと、該ハーネス挿通部7aの上面の一側開口に連通させて突設するスライダ摺動部7bと、スライダ摺動部7bの外側壁の上端から延在させるL字のモール係止部7cと、前記ハーネス挿通部7aの閉鎖上面から突出するモール係止部7dを備えた形状としている。モール係止部7cはモール10Bを係止し、モール係止部7dはモール10Cを係止するものである。スライダ摺動部7bの上面開口7hをモール10Bと10Cの間の開口10Hに露出させている。ハーネスレール7の上面に敷設するモールは、シートレール6に近接配置することで、シートレール側はシートレール上のモール10Bでカバーし、シートレール6と反対側の片面だけをモール10Cでカバーしている。該モール10Cの下向きに突設した係止部10C−aを前記モール係止部7dに挿入係止している。
【0027】
ハーネスレール7のハーネス挿通部7aの前端に連続させる余長収容ケース8は、前端を円弧状に湾曲させた略U形状で、比較的浅底の本体8aと、該本体8aにワイヤハーネスを収容した後に被せる蓋8bとからなる。該余長収容ケース8の後端面の中央に円弧状に窪ませた中央閉鎖部8cを設け、該中央閉鎖部8cを挟んで両側に開口8d、8eを設けている。一方の開口8dをハーネスレール7のハーネス挿通部7aの前端開口に連続させ、他方の開口8eからシートハーネス5を引き出している。引き出したシートハーネス5はフロアハーネスとコネクタ接続している。
【0028】
余長収容ケース8内では、両側の開口8d、8eに出入するシートハーネス5は中央閉鎖部8cの両側とケースの外周壁8fの内面との間で直線状方向に経路を規制され、シートハーネス5がケース外周面に沿うようにガイドしている。該構成として、ハーネスレール7から余長収容ケース8内を迂回して外方へ引き出すシートハーネス5を、余長収容ケース8の前端でUターンさせ、ハーネスレール7を含めて全体としてJ字状に配線している。
【0029】
前記ハーネスレール7のスライダ摺動部7bに摺動自在に嵌合するスライダ9は上面開口7hからスライダ摺動部7bに嵌合するスライダ9を突出させている。かつ、ハーネスレール7の前端に連続する余長収容ケース8の蓋8bにスライダ摺動部7bの上面開口7hに連続する開口8mを設けている。
【0030】
スライダ9は樹脂成形品からなり、
図5(A)〜(C)に示す形状とし、スライダ摺動部7bおよび上面開口8mにスライド自在に嵌合する矩形枠状のワイヤハーネス挿入部9aを外端に設けている。該ワイヤハーネス挿入部9aの内側面に中空部を連続させて上向きに突出する縦枠部9bを設けている。該縦枠部9bの上部内面に連続してシートレール6の上面開口6c側に突出させた後に上壁6fの上方に隙間をあけて延在するように後方へと屈曲させたL形状の横枠部9cを設けている。該横枠部9cの突出側の上面にワイヤハーネス引出用の開口9dを設けている。前記縦枠部9bおよび横枠部9cの中空はワイヤハーネス挿入部9aから引き出すシートハーネス5の挿通路とし、該挿通路を通したシートハーネス5を前記開口9dに通して上方へ引き出すようにしている。引き出したシートハーネス5をスライドシート1内の電装品(図示せず)とコネクタ接続している。
【0031】
さらに、前記横枠部9cの先端側の両側壁にボルト穴9gを穿設している。該ボルト穴9gを前記シート脚部3の前端に固定した支持部材19のボルト穴19hと一致させ、ボルトBを挿入して締結固定している。これにより、スライドシート1の移動に追従してシート脚部3に連結固定したスライダ9が前後移動するようにしている。
【0032】
前記余長収容ケース8およびハーネスレール7のハーネス挿通部7aに摺動自在に配線するシートハーネス5に四角筒状のキャタピラ型のプロテクタ30を外装している。該プロテクタ30は、
図6(B)に示す帯状の連続した長尺材からなる平板40を折り曲げて組み立てている。平板40には、長さ方向Xに延在する4本の折曲ライン41、42、43、44を幅方向Yの中間部に間隔をあけて設け、平板40を幅方向に5個の辺S1〜S5に区画し、折曲ライン41〜44を直角に折り曲げ、幅方向の両側辺S1とS5を重ねることで
図6(A)に示すように、四角筒状に組み立てられるようにしている。
【0033】
また、平板40の幅方向の両側の一方側の辺S1の側縁に係止突片45を長さ方向Xに間隔をあけて突設している。該係止突片45は円弧状の突出部の根元両側に切込45aを設け、両側に係止辺45bが突出する形状としている。平板40の他方側の辺S5に係止突片45を挿入係止する細長い係止穴46を設けている。該係止穴46の長さ方向両端に切込46aを設け、その先端に小径穴46cを設けている。前記切込46aに係止辺45bがかかるようにし、かつ、小径穴46cで切込46aの先端から亀裂が生じないようにしている。平板40を折曲ライン41〜44に沿って折り曲げ、辺S1とS5を重ねた状態で係止突片45を係止穴46に挿入係止することで、四角筒形状を保持できるようにしている。
【0034】
平板40には前記4本の折曲ライン41〜44を結ぶ幅方向Yの切込ライン48を長さ方向Xに間隔をあけて設け、辺S2、S3、S4を分離している。該切込ライン48の両端、すなわち、折曲ライン41および44と接する位置には小径穴48aを連続して設け、先端からの亀裂発生を防止している。さらに、切込ライン48の中央部で辺S3の中央位置に直線を湾曲させた円弧状の切込49を設け、長さ方向に隣接する一方側を円弧状に突出させ、他方を円弧状に窪ませ、凹凸嵌合部を設けている。
【0035】
平板40に設ける折曲ライン41〜44は、
図6(C)に示すように、板厚の1/3程度を切削して断面円弧状のラインとしている。前記切込ライン48、係止穴46、係止突片45はすべて平板を打抜いて形成している。よって、平板40を成形した後に、打抜加工、切削加工で形成している。
【0036】
前記プロテクタ30は予め折曲ライン41〜44を折り曲げる一方、係止突片45は係止穴46に挿入せず、開いた状態でシートハーネス5の電線群を折り曲げたプロテクタ30の両側辺S1とS5の間の開口から挿入する。この電線群の挿入後に辺S1とS5を重ね、係止突片45を係止穴46に挿入係止し、電線群を四角筒の中に挿入した状態で外装する。
【0037】
前記プロテクタ30は四角筒の3辺S2、S3、S4が切込ライン48で長さ方向で分離され、重ねて係止した辺S1とS5が長さ方向で屈曲自在に連結された構成となり、かつ、分離された辺S3は、隣接する辺S3同士が円弧状切込で凹凸嵌合する状態となる。即ち、短尺な四角筒が屈曲自在に長さ方向に順次連結し、かつ、隣接する四角筒同士を凹凸嵌合させているため幅方向にずれない、キャタピラ状のプロテクタとなる。
【0038】
前記スライダ9、ハーネスレール7のハーネス挿通部7a内および余長収容ケース8を通して車体側へと引き出すシートハーネス5は屈曲しながらスライドする。よって、シートハーネス5の外装材は従来汎用されているコルゲートチューブのように屈曲性を有する必要があり、前記キャタピラ型のプロテクタは屈曲性を有するため、シートハーネス5の外装材として用いることができる。
【0039】
また、前記キャタピラ型のプロテクタ30を用いると、スライダ9の矩形状枠からなるワイヤハーネス挿入部9aにぴったりと内嵌できると共に、ハーネスレール7の矩形状中空のハーネス挿通部7aにもガタつきなくスライド自在に内嵌できる。さらに、余長収容ケース8の本体8aの底面と蓋8bの内面にプロテクタ30の上下面がスライド自在に摺動し、安定した姿勢で余長収容ケース8内を移動させることができる。
【0040】
次に、スライドシート1のスライド動作に追従するシートハーネス5の動きについて説明する。
スライドシート1の前後方向のスライドに連動して、ハーネスレール7のスライダ摺動部7bに嵌合したスライダ9が、シートレール6の上壁6fに沿って前後移動する。該スライダ9に連結したシートハーネス5に外装しているプロテクタ30がハーネスレール7のハーネス挿通部7a内を前後移動し、該前後移動に応じて余長収容ケース8内にシートハーネス5が出入する。これにより、スライドシート1のスライド動作にシートハーネス5を滑らかに追従させている。
【0041】
具体的には、
図3(A)はスライドシート1が前方位置にある場合を示し、
図3(B)はスライドシート1が後方位置にある場合を示す。スライドシート1を前方から後方へとスライドさせていくと、余長収容ケース8内に収容されていたシートハーネス5が開口8dから引き出され、ハーネスレール7のハーネス挿通部7aに挿入されていくと共に、余長収容ケース8内のシートハーネス5の前端屈曲部が余長収容ケース8の後方へ移動する。
【0042】
一方、スライドシート1が後方から前方へスライドすると、余長収容ケース8内のU形状の屈曲部が前方へ移動すると共に、ハーネスレール7のハーネス挿通部7aに挿通されていたシートハーネス5が開口8dから余長収容ケース8内へと引き込まれ余長部として収容される。
【0043】
図7に余長収容ケースの変形例を示す。
該余長収容ケース8Bは、ハーネスレール7の前端に直線挿通部80を連続させ、該直線挿通部の前端に前端湾曲部81を設け、該前端湾曲部81と後端湾曲部82を備えた長円状部を前記直線挿通部80の側部に設けている。該長円状部に外側直線挿通部83、内側直線挿通部84を設け、内側直線挿通部84の前端にワイヤハーネス引出口85を設けている。前記構成とすることで、余長収容ケース8B内でのワイヤハーネスの収容寸法を大とし余長吸収量を増大させている。他の構成は前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0044】
また、前記のように、
図8にハーネスレール7と余長収容ケース8とを別体とした変形例を示し、
図4に示す一体型と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0045】
さらに、スライドシートがスライド量が大きなロングスライドシートである場合、前記余長収容ケースから引き出したシートハーネスを更に別の第2余長収容部に収容した後にフロアハーネスとコネクタ接続してもよい。
【0046】
本発明のスライドシート用のワイヤハーネス配索装置は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を越えない範囲で種々に変更することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 スライドシート
2 フロアパネル
3 シート脚部
5 ワイヤハーネス(シートハーネス)
6 シートレール
7 ハーネスレール
7a ハーネス挿通部
7b スライダ摺動部
8 余長収容ケース
8d、8e 開口
9 スライダ
10A〜10C モール
30 キャタピラ型のプロテクタ