特許第6015523号(P6015523)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015523
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】車両用コンソール
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   B60R7/04 C
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-70678(P2013-70678)
(22)【出願日】2013年3月28日
(65)【公開番号】特開2014-193682(P2014-193682A)
(43)【公開日】2014年10月9日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000349
【氏名又は名称】特許業務法人 アクア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 正人
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−042241(JP,A)
【文献】 特開2011−218913(JP,A)
【文献】 特開2005−088780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内において、電子機器もしくはそれに接続されるケーブル類を内部に収容する、または該電子機器もしくは該ケーブル類の上方に配置される車両用コンソールであって、
上面の少なくとも一部に開口部を有する土台部材と、
前記土台部材の開口部を覆うカバーと、
前記カバーの裏面に設けられ該カバーを前記土台部材に取り付ける固定部と、
前記固定部よりも車両前方側の前記カバーの縁と該固定部との間の領域において前記土台部材の上面から該カバーに向かって立設して該カバーの裏面に当接する車幅方向に延びた当接リブと、
前記カバーの縁と前記当接リブとの間の領域において該当接リブの両端部近傍にそれぞれ設けられる複数の排水孔とを備えることを特徴とする車両用コンソール。
【請求項2】
前記カバーの縁と前記当接リブとの間の領域に配置され前記土台部材の上面から該カバーに向かって立設し前記複数の排水孔の間で車幅方向に延びる土台側フランジを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用コンソール。
【請求項3】
前記カバーの縁と前記土台側フランジとの間の領域に配置され該カバーの裏面から前記土台部材に向かって立設して車幅方向に延びるカバー側フランジを更に備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用コンソール。
【請求項4】
前記土台部材の、前記カバーの縁に対応する位置から前記当接リブまでの面が、該当接リブに向かうにしたがって下方に傾斜していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用コンソール。
【請求項5】
前記当接リブは、前記固定部を中心として車両側方に向かうにしたがって車両後方側に傾斜していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用コンソール。
【請求項6】
前記カバーの意匠面は、車両前後方向において該カバーの縁と前記固定部との間に最も高さが高い頂点を有し、該頂点から該カバーの縁に向かうにしたがって下方に傾斜していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用コンソール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内において、電子機器もしくはそれに接続されるケーブル類を内部に収容する、または電子機器もしくはケーブル類の上方に配置される車両用コンソールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車室内において、運転席と助手席の間にパーキングブレーキが配置される車種では、かかるパーキングブレーキの下方に、コントローラ(制御装置)等の電子機器や、それに接続されるケーブル類(ハーネス)が設置される。この電子機器やケーブル類は、車両用コンソール(以下、単にコンソールと称する)に収容されたり、上方にコンソールが配置されたりすることにより覆われている。また特許文献1のように、コンソールはカップホルダとしての機能を備えることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−246004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、車体を組み立てる際には、特許文献1のようなシフトレバーやパーキングレバー(パーキングブレーキ)を車体に組み付けた後にコンソールを取り付ける。このため、コンソールの土台となる部材(以下、土台部材と称する)は、シフトレバーやパーキングレバーを挿通できるように上面が大きく開口していて、その上面に、クリップやスクリュ、嵌め合わせ等の固定部によってカバーを取り付けることにより開口が覆われる。すなわちコンソールは主に、土台部材と、その上面に形成される開口を覆うカバーによって構成されることが多い。
【0005】
ここで、特許文献1のようにカップホルダとしての機能も有するコンソールでは、飲料が入った容器を間違えてカップホルダ近傍(カップホルダ以外の場所)に置いてしまい、容器が倒れて飲料がこぼれてしまったり、かかる容器をカップホルダに置く際に振動等により飲料が飛び散ってしまったりすることが起こりうる。このこぼれてしまったり飛び散ってしまったりした飲料(以下、水滴と称する)が、土台部材とカバーとの合わせ部の隙間を通じてコンソール内に浸入すると、カバーの固定部から落下して電子機器やケーブル類の浸水が生じ、かかる電子機器の正常な動作を妨げるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、電子機器やケーブル類の浸水を防ぎ、それらの正常な動作を確保することが可能なコンソールを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用コンソールの代表的な構成は、車室内において、電子機器もしくはそれに接続されるケーブル類を内部に収容する、または電子機器もしくはケーブル類の上方に配置される車両用コンソールであって、上面の少なくとも一部に開口部を有する土台部材と、土台部材の開口部を覆うカバーと、カバーの裏面に設けられカバーを土台部材に取り付ける固定部と、固定部よりも車両前方側のカバーの縁と固定部との間の領域において土台部材の上面からカバーに向かって立設してカバーの裏面に当接する車幅方向に延びた当接リブと、カバーの縁と当接リブとの間の領域において当接リブの両端部近傍にそれぞれ設けられる複数の排水孔とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、土台部材とカバーとの合わせ部(以下、コンソールの合わせ部と称する)の隙間から水滴が浸入しても、当接リブが水浸入防止壁となり、かかる水滴の固定部への浸入、ひいては固定部を通じての電子機器やケーブル類の浸水を防ぐことができる。また当接リブの両端部近傍に排水孔を設けることにより、コンソール内部へ浸入し、当接リブによって堰き止められた水滴を排出することができる。
【0009】
特に、コンソール内部またはコンソール下部では、電子機器やケーブル類はコンソールの中央近傍に配置されることが多いため、上記構成のように車幅方向に延びた当接リブの両端部近傍、すなわちコンソール内の車幅方向の側方側に排水孔を設けることにより、排出された水滴の電子機器やケーブル類への浸水が防がれる。したがって、上記構成によれば、電子機器やケーブル類の浸水を防ぎ、それらの正常な動作を確保することが可能となる。
【0010】
上記カバーの縁と当接リブとの間の領域に配置され土台部材の上面からカバーに向かって立設し複数の排水孔の間で車幅方向に延びる土台側フランジを更に備えるとよい。かかる構成によれば、土台部材では、固定部より車両前方側において、上述した当接リブ、およびその当接リブよりもコンソールの合わせ部側に設けられた土台側フランジにより、二重の水浸入防止壁が形成される。したがって、固定部への水滴の浸入防止効果を更に高めることが可能となる。
【0011】
上記カバーの縁と土台側フランジとの間の領域に配置されカバーの裏面から土台部材に向かって立設して車幅方向に延びるカバー側フランジを更に備えるとよい。これにより、コンソールの合わせ部から浸入した水滴が当接リブに到達するまでの経路を複雑化することができるため、固定部への水滴の浸入防止効果を一層向上させることが可能となる。
【0012】
上記土台部材の、カバーの縁に対応する位置から当接リブまでの面が、当接リブに向かうにしたがって下方に傾斜しているとよい。かかる構成によれば、カバーの縁すなわちコンソールの合わせ部から当接リブまでの面が下り坂になる。これにより、コンソール内部へ浸入した水滴が、車両走行時の慣性によって当接リブに向かって移動しやすくなり、ひいては排水孔からの排出を促すことができる。
【0013】
上記当接リブは、固定部を中心として車両側方に向かうにしたがって車両後方側に傾斜しているとよい。かかる構成によっても、車両走行時の慣性によって、コンソール内部へ浸入した水滴が移動しやすくなるため、かかる水滴を排水孔まで好適に誘導することができ、排水性能を高めることが可能となる。
【0014】
上記カバーの意匠面は、車両前後方向においてカバーの縁と固定部との間に最も高さが高い頂点を有し、頂点からカバーの縁に向かうにしたがって下方に傾斜しているとよい。これにより、カバーの意匠面に付着した水滴が、かかるカバーの縁に向かって流れる。したがって、水滴をコンソールの合わせ部に誘導し、排水孔を通じて排出することが可能となる。また意匠面が傾斜していることにより、車両走行時の慣性による水滴の移動、ひいてはコンソールの合わせ部への流れ込みを促進する効果も得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子機器やケーブル類の浸水を防ぎ、それらの正常な動作を確保することが可能なコンソールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態にかかる車両用コンソールを示す上面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】土台部材の変形例を示す図である。
図4】当接リブの変形例を示す図である。
図5】カバーの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
図1は、本実施形態にかかる車両用コンソールを示す上面図であり、図1(a)は土台部材110にカバー120を取り付けた状態を図示していて、図1(b)は土台部材110からカバー120を取り外した状態を図示している。図2は、図1のA−A断面図である。なお、理解を容易にするために、図2では、図1において図示していないパーキングブレーキ102を図示している。
【0019】
図2に示すように、本実施形態の車両用コンソール(以下、コンソール100と称する)は、車室内の運転席と助手席(ともに不図示)の間に設けられたパーキングブレーキ102を挿通するようにその上方から取り付けられ、かかるパーキングブレーキ102の下方に配置される電子機器であるコントローラ104や、それに接続されるケーブル類であるハーネス104aを被覆する。なお、本実施形態ではコントローラ104やハーネス104aの上方に配置されるコンソール100を例示したが、これに限定するものではなく、コントローラ104やハーネス104aを内部に収容するコンソールに対しても本実施形態の構成を適用可能である。
【0020】
図1(a)に示すように、本実施形態のコンソール100は、土台部材110とカバー120とを備える。図1(b)に示すように、土台部材110は、それを車体(不図示)取り付ける際にパーキングブレーキ102を挿通できるよう、上面が大きく開口している(以下、この土台部材110の開口を開口部110aと称する)。この開口部110aは、図1(a)に示すようにカバー120によって覆われる。開口部110aに取り付けられたカバー120の上面120aは、小物等(不図示)を載置するトレーとしても活用可能である。なお、本実施形態では、上面が大きく開口している土台部材110を例示したが、上面の少なくとも一部が開口している状態であってもよい。
【0021】
図2に示すように、カバー120を土台部材110に取り付けるための固定部として、カバー120の裏面120bには、爪部122が設けられている。この爪部122を、土台部材110に設けられた取付孔112に嵌め込むことにより、カバー120が土台部材110に取り付けられる。なお、本実施形態では、固定部として爪部122を例示し、その受けとなる取付孔112を土台部材110に形成する構成を例示したが、これに限定するものではない。固定部としては、クリップやスクリュ等を採用することも可能である。
【0022】
また土台部材110には、開口部110aの前方に掘り込み式のカップホルダ106が形成されている。本実施形態のように運転席と助手席の間に配置されるコンソール100にカップホルダ106を設けることにより、かかるカップホルダ106は運転席および助手席の乗員がともに使い勝手がよいものとなり、快適性が高まる。
【0023】
しかしながら、本実施形態のコンソール100に限らず、それがカップホルダ106としての機能も備える場合、飲料が入った容器(不図示)をカップホルダ106に置くつもりが、間違えてカバー120の上面120aにおいてしまい容器が倒れ、飲料がこぼれてしまったり、容器をカップホルダ106に置く際に飲料が飛び散ってしまったりして、飲料(以下、水滴と称する)が、カバー120の上面120aに付着し、土台部材110とカバー120との合わせ部、すなわちコンソールの合わせ部の隙間130を通じてコンソール100内に浸入することが起こりうる。
【0024】
すると、浸入した水滴がカバー120の爪部122(固定部)をつたったり、その受けである取付孔112から落下したりしてコントローラ104やハーネス104aの浸水が生じ、かかるコントローラ104の正常な動作を妨げるおそれがある。仮に、固定部としてクリップやスクリュ等を採用しても、結局はクリップを受ける何らかの穴や、スクリュを挿通するための穴が必然的に設けられるため、同様の事態が生じてしまう。
【0025】
特に爪部122は、それを位置決めとして土台部材110とカバー120の見切りを左右対称にし、美観性(外観性)を高めるために、コンソール100(厳密にはカバー120)の中央部に設定されることが多く、コントローラ104やハーネス104aもコンソール100に対して左右一方に偏った位置に配置されるよりは中央部に配置されることが多い。このため、爪部122や取付孔112から浸入した水はコントローラ104やハーネス104aに伝わってしまう可能性がある。故に、コントローラ104の正常な動作を確保するためには、その浸水を確実に防ぐ必要がある。
【0026】
そこで図1(b)および図2に示すように、本実施形態の1つめの特徴として、土台部材110において、車両前後方向で爪部122よりも車両前方側のカバー120の縁120cと爪部122との間の領域に、かかる土台部材110の上面110bからカバー120に向かって立設し、カバー120の裏面120bに当接する車幅方向に延びた当接リブ114を設けている。
【0027】
上記構成により、当接リブ114が水浸入防止壁となるため、コンソール100の合わせ部の隙間130から水滴が浸入しても、爪部122や取付孔112へ到達することがない。したがって、水滴の爪部122や取付孔112への浸入、ひいては爪部122や取付孔112を通じてのコントローラ104等の浸水が防がれる。
【0028】
次に、本実施形態の2つめの特徴として、図1(b)および図2に示すように、土台部材110において、車両前後方向でカバー120の縁120cと当接リブ114との間の領域には、当接リブ114の両端部近傍それぞれに排水孔116a・116b(複数の排水孔)が設けられている。上記説明したように、コンソール100との合わせ部の隙間130から浸入した水滴は、当接リブ114によって堰き止められる。すなわち土台部材110において、当接リブ114より車両前方側の空間140aは、浸入した水滴が溜まるダムとなる。本実施形態のように当接リブ114の両端部近傍、すなわち当接リブ114の側方に排水孔116a・116bを設けることにより、空間140aに溜まった水滴を排水孔116a・116bを通じて排出することができる。
【0029】
上述したようにコントローラ104はコンソール100の中央近傍に配置されることが多いため、本実施形態のように当接リブ114の側方、すなわちコンソール100内の車幅方向の側方側に排水孔を設けることにより、空間140aに溜まった水滴を、コントローラ104やハーネス104aを避けながら排水することができ、コントローラ104等の被水をより確実に防ぐことが可能となる。このように、本実施形態の構成によれば、当接リブ114によって、コンソール100の合わせ部の隙間130から浸入した水滴を堰き止め、堰き止められた水滴を排水孔116a・116bを通じて排水することで、コントローラ104やハーネス104aの浸水を防ぎ、それらの正常な動作を確保することが可能となる。
【0030】
また本実施形態では、上述したように当接リブ114がカバー120の裏面120bに当接する。これにより、カバー120では、爪部122が土台部材110との固定点となり、当接リブ114が支点となって、カバー120の縁120cにおいてしなり(カバー120の撓み)が生じる。このしなり(撓み)により、上面120aに付着した水滴が130に流れ込みやすくなるため、水滴をコンソール100内に誘い込み、水滴を排出する効果を高めることが可能となる。
【0031】
更に本実施形態では、上述した効果を高めるために、車両前後方向においてカバー120の縁と当接リブ114との間に2つのフランジを設けている。詳細には、図1(b)および図2に示すように、土台部材110には、車両前後方向でカバー120の縁120cと当接リブ114との間の領域に配置され、土台部材110の上面110bからカバー120に向かって立設し複数の排水孔116a・116bの間で車幅方向に延びる土台側フランジ118が設けられている。これにより、爪部122(固定部)より車両前方側において、当接リブ114および土台側フランジ118による二重の水浸入防止壁が形成され、土台側フランジ118より車両前方側の空間140bが第2のダムとなる。したがって、爪部122や取付孔112への水滴の浸入防止効果を更に高めることが可能となる。
【0032】
一方カバー120には、図2に示すように、車両前後方向でカバー120の縁120cと土台側フランジ118との間の領域に配置され、カバー120の裏面120bから土台部材110に向かって立設して車幅方向に延びるカバー側フランジ128が設けられている。これにより、隙間130から浸入した水滴が当接リブ114に至るまでの経路が複雑になるため、爪部122や取付孔112への水滴の浸入防止効果を一層高めることができる。また、カバー側フランジ128を設けることで、水滴がカバー120の裏面120bを伝ってコンソール100内に流れ込んだとしても、かかるカバー側フランジ128を伝って空間140b内に流れ落ちるため、水切りがよくなり、水滴の排出性能を高めることができる。
【0033】
特に本実施形態では、土台側フランジ118およびカバー側フランジ128を、車両前後方向において間隔を有するように配置している。これにより、上述したカバー120の縁120cのしなり(カバー120の撓み)を消失することがないため、コンソール100内に水滴を誘い込む効果を良好に確保できる。また間隔を有することにより、爪部122や取付孔112への水滴の浸入防止効果を高めながらも、土台部材110にカバー120を取り付ける際の土台側フランジ118およびカバー側フランジ128の干渉を防ぎ、土台部材110にカバー120を容易に取り付けることが可能となる(取付容易性を高めることができる)。
【0034】
ただし、上記構成に限定するものではなく、土台側フランジ118およびカバー側フランジ128は間隔を設けることなく配置されてもよい。この場合、取付容易性は低下するが、爪部122や取付孔112への水滴の浸入防止効果においてより優れた性能を得ることができる。
【0035】
次に、上述した実施形態の変形例について説明する。図3は、土台部材110の変形例を示す図である。図4は、当接リブ114の変形例を示す図である。図5は、カバー120の変形例を示す図である。なお、以下に説明する変形例、およびその説明に用いる図面では、上記説明した構成要素について、同一の符号を用いることにより説明を省略する。
【0036】
図3では、土台部材110において、車両前後方向でカバー120の縁120cに対応する位置、すなわちコンソール100の合わせ部に対応する位置から当接リブ114までの面を、当接リブ114に向かうにしたがって下方に傾斜させている。換言すれば、土台部材110において、カバー120の下方に位置する面を、車両後方側に向かうにしたがって下方に傾斜させている。このように、土台部材110においてカバー120の下方に位置する面を下り坂にすることにより、隙間130から浸入した水滴が、車両走行時の慣性によって当接リブ114に向かって移動しやすくなり、ひいては排水孔116a・116bからの排出を促進することができる。
【0037】
図4では、当接リブ114を、取付孔112、およびそこに取り付けられる爪部122(図2参照)を中心として車両側方に向かうにしたがって車両後方側に傾斜させている。これにより、車両走行時の慣性によって、コンソール100内部へ浸入した水滴が排水孔116a・116bまで移動しやすくなる。したがって、水滴を排水孔116a・116bまで好適に誘導することができ、排水性能を高めることが可能となる。なお、本実施形態では図示していないが、当接リブ114に替えて、上述したカバー120の下方に位置する面を、爪部122(図2参照)を中心として車両側方に向かうにしたがって下方に傾斜させても同様の効果を得ることができる。
【0038】
図5では、カバー120の上面120aすなわち意匠面において、車両前後方向でカバー120の縁120cと爪部122との間に最も高さが高い頂点120dを設け、かかる上面120a(意匠面)を、頂点120dからカバー120の縁120cに向かうにしたがって下方に傾斜させている。これにより、カバー120の意匠面に付着した水滴がカバー120の縁120cに向かって流れやすくなるため、水滴をコンソール100の合わせ部に誘導し、排水孔116a・116bを通じての排出を促進することができる。また、車両走行時の慣性が加われば、その効果を更に高めることが可能である。
【0039】
なお、本実施形態では、コンソール100の合わせ部の隙間130を通じてコンソール100内に浸入する水滴を排出する場合を例示して説明したが、これに限定するものではない。本実施形態のカバー120には設けられていないが、コンソールのカバーにはスイッチを露出させるための開口が設けられるものもあり、このような開口から浸入する水滴を防止するために本発明を適用することも可能である。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、車室内において、電子機器もしくはそれに接続されるケーブル類を内部に収容する、または電子機器もしくはケーブル類の上方に配置される車両用コンソールに利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
100…コンソール、102…パーキングブレーキ、104…コントローラ、104a…ハーネス、106…カップホルダ、110…土台部材、110a…開口部、110b…上面、112…取付孔、114…当接リブ、116a・116b…排水孔、118…土台側フランジ、120…カバー、120a…上面、120b…裏面、120c…縁、120d…頂点、122…爪部、128…カバー側フランジ、130…隙間、140a…空間、140b…空間
図1
図2
図3
図4
図5