特許第6015539号(P6015539)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015539
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】移動体管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   G05D1/02 S
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-88632(P2013-88632)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2014-211811(P2014-211811A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2015年2月23日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「生活支援ロボット実用化プロジェクト 安全技術を導入した移動作業型(自律が中心)生活支援ロボットの開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】辻本 方則
(72)【発明者】
【氏名】原 義正
(72)【発明者】
【氏名】高川 夏生
(72)【発明者】
【氏名】毬山 利貞
(72)【発明者】
【氏名】窪田 耕児
【審査官】 青山 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−195504(JP,A)
【文献】 特開2008−040828(JP,A)
【文献】 特開平5−11039(JP,A)
【文献】 特開2000−187513(JP,A)
【文献】 特開2009−15412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 − 1/12
G08B 23/00 − 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業対象領域の内部にて作業を行う作業者に装備された無線タグの位置、及び、前記作業対象領域の内部を走行する物品搬送台車に装備された無線タグの位置を検出する無線式の位置検出装置と、
前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記作業対象領域に存在する前記作業者を管理する管理装置と、が設けられ
前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記物品搬送台車の走行を制御する台車側走行制御部が設けられた移動体管理システムであって、
前記作業対象領域に含まれる特定領域を撮像自在な撮像装置と、前記撮像装置の撮像画像に基づいて前記特定領域に存在する前記作業者を検出する画像検出部とが設けられ、
前記管理装置は、前記位置検出装置が検出した前記物品搬送台車の位置と、前記作業者の位置とが設定距離以下になると、前記物品搬送台車に減速指令を指令するように構成され、かつ、
前記管理装置が、前記画像検出部にて前記作業者の存在が検出された場合において前記位置検出装置にて前記特定領域に当該作業者に対応する前記無線タグが検出されないときは、異常状態と判別するように構成された移動体管理システム。
【請求項2】
作業対象領域の内部にて作業を行う作業者に装備された無線タグの位置、及び、前記作業対象領域の内部を走行する物品搬送台車に装備された無線タグの位置を検出自在な無線式の位置検出装置と、
前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記作業対象領域に存在する前記作業者を管理する管理装置が設けられ
前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記物品搬送台車の走行を制御する台車側走行制御部が設けられた移動体管理システムであって、
前記作業対象領域に含まれる特定領域を撮像自在な撮像装置と、前記撮像装置の撮像画像に基づいて前記特定領域における前記作業者の数量を計数する画像計数部とが設けられ、
前記管理装置は、前記位置検出装置が検出した前記物品搬送台車の位置と、前記作業者の位置とが設定距離以下になると、前記物品搬送台車に減速指令を指令するように構成され、かつ、
前記管理装置が、前記位置検出装置の検出情報に基づいて、前記特定領域に存在する前記無線タグの数量を計数自在に構成され、かつ、前記画像計数部にて計数された前記作業者の数量に基づいて予測される前記無線タグの数量が前記位置検出装置の検出情報に基づいて計数された前記作業者についての無線タグの数量よりも多いと判別した場合には、異常状態と判別するように構成された移動体管理システム。
【請求項3】
前記作業対象領域が壁面にて包囲された室内に設定され、前記壁面の一部に、前記室内に前記作業者が出入りするための出入口が設けられ、前記特定領域が、前記作業対象領域における前記出入口が備えられた部分に設定されている請求項1又は2に記載の移動体管理システム。
【請求項4】
前記作業対象領域が、包囲する他物の存在しない開放空間に設定された領域であり、
前記特定領域が、前記作業対象領域の外縁に沿って連続して環状に設定されている請求項1又は2に記載の移動体管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業対象領域の内部にて作業を行う作業者に装備された無線タグの位置、及び、前記作業対象領域の内部を走行する物品搬送台車に装備された無線タグの位置を検出自在な無線式の位置検出装置と、前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記作業対象領域に存在する前記移動体を管理する管理装置が設けられ、前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記物品搬送台車の走行を制御する台車側走行制御部が設けられた移動体管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような移動体管理システムとして、作業対象領域の内部にて作業を行う作業者及び物品搬送車が存在し、それら作業者及び物品搬送車に装備された無線タグの位置に基づいて、前記作業対象領域に存在する作業者及び物品搬送車の位置を管理し、物品搬送車の走行を制御するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−241301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には具体的な記載はないが、このような移動体管理システムを用いれば、例えば、作業者と物品搬送車との距離が設定距離以下になったことを検知した場合に、物品搬送車の走行上限速度を通常の走行速度より遅い速度に設定する干渉回避アプリケーション等を実行することができる。
上記のような干渉回避アプリケーションを適切に機能させるためには、作業対象領域の内部に入場する作業者は必ず無線タグを装備する必要がある。しかしながら、仮に、作業対象領域の内部に無線タグを装備していない作業者が存在すると、その作業者は移動体管理システムによって位置を管理できないため、上記のような干渉回避等のアプリケーションが適切に機能しないものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、無線タグを装備していない作業者が作業対象領域の内部に存在する不都合な状況を適切に検出することが可能な移動体管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る移動体管理システムの第1特徴構成は、作業対象領域の内部にて作業を行う作業者に装備された無線タグの位置、及び、前記作業対象領域の内部を走行する物品搬送台車に装備された無線タグの位置を検出する無線式の位置検出装置と、前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記作業対象領域に存在する前記作業者を管理する管理装置と、が設けられ、前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記物品搬送台車の走行を制御する台車側走行制御部が設けられた移動体管理システムであって、
前記作業対象領域に含まれる特定領域を撮像自在な撮像装置と、前記撮像装置の撮像画像に基づいて前記特定領域に存在する前記作業者を検出する画像検出部とが設けられ、前記管理装置は、前記位置検出装置が検出した前記物品搬送台車の位置と、前記作業者の位置とが設定距離以下になると、前記物品搬送台車に減速指令を指令するように構成され、かつ、前記管理装置が、前記画像検出部にて前記作業者の存在が検出された場合において前記位置検出装置にて前記特定領域に当該作業者に対応する前記無線タグが検出されないときは、異常状態と判別するように構成されている点にある。
【0007】
画像検出部により特定領域に作業者が検出されていても、その作業者が無線タグを装備していなければ、位置検出装置にて当該作業者に無線タグは検出されない。したがって、画像検出部が特定領域に存在する作業者を検出したにもかかわらず、位置検出装置にて特定領域に無線タグが検出されない場合は、画像検出部が検出した作業者は無線タグを装備していないと考えられる。
本発明によれば、画像検出部が特定領域に存在する移動体を検出したにもかかわらず、位置検出装置にて特定領域に無線タグが検出されない場合は、管理装置が異常状態と判別するので、無線タグを装備していない作業者が作業対象領域の内部に存在する不都合な状況を適切に検出することが可能な移動体管理システムを提供することができる。
【0008】
本発明に係る移動体管理システムの第2特徴構成は、作業対象領域の内部にて作業を行う作業者に装備された無線タグの位置、及び、前記作業対象領域の内部を走行する物品搬送台車に装備された無線タグの位置を検出自在な無線式の位置検出装置と、前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記作業対象領域に存在する前記作業者を管理する管理装置が設けられ、前記位置検出装置の検出情報に基づいて前記物品搬送台車の走行を制御する台車側走行制御部が設けられた移動体管理システムであって、
前記作業対象領域に含まれる特定領域を撮像自在な撮像装置と、前記撮像装置の撮像画像に基づいて前記特定領域における前記作業者の数量を計数する画像計数部とが設けられ、前記管理装置は、前記位置検出装置が検出した前記物品搬送台車の位置と、前記作業者の位置とが設定距離以下になると、前記物品搬送台車に減速指令を指令するように構成され、かつ、前記管理装置が、前記位置検出装置の検出情報に基づいて、前記特定領域に存在する前記無線タグの数量を計数自在に構成され、かつ、前記画像計数部にて計数された前記作業者の数量に基づいて予測される前記無線タグの数量が前記位置検出装置の検出情報に基づいて計数された前記作業者についての無線タグの数量よりも多いと判別した場合には、異常状態と判別するように構成されている点にある。
【0009】
画像検出部により特定領域に作業者が検出された場合に、その作業者が無線タグを装備していなければ、画像計数部が計数した特定領域における作業者の数量に基づいて予測される無線タグの数量よりも、位置検出装置にて特定領域に検出される無線タグの数量が少なものとなる。したがって、画像計数部が計数した特定領域における作業者の数量に基づいて予測される無線タグの数量が、位置検出装置にて計数された無線タグの数量よりも多い場合は、画像検出部が検出した作業者に無線タグを装備していないものが存在すると考えられる。
本発明によれば、画像計数部が計数した特定領域における作業者の数量に基づいて予測される無線タグの数量が、位置検出装置にて計数された無線タグの数量よりも多い場合は、管理装置が異常状態と判別するので、無線タグを装備していない作業者が作業対象領域の内部に存在する不都合な状況を適切に検出することが可能な移動体管理システムを提供することができる。
【0010】
本発明に係る移動体管理システムの第3特徴構成は、上記第1又は第2の何れかの特徴構成に加えて、前記作業対象領域が壁面にて包囲された室内に設定され、前記壁面の一部に、前記室内に前記作業者が出入りするための出入口が設けられ、前記特定領域が、前記作業対象領域における前記出入口が備えられた部分に設定されている点にある。
【0011】
すなわち、作業対象領域に出入りする移動体は、作業対象領域において出入口が備えられた部分である特定領域を必ず通過することになる。このため、無線タグを装備していない移動体が作業対象領域に入場しようとした場合には、特定領域にて無線タグを装備していない移動体の入場が検出されることになり、無線タグを装備していない移動体が作業対象領域の内部に存在する状態となることを初期段階において確実に漏れなく検出できる。
【0012】
本発明に係る移動体管理システムの第4特徴構成は、上記第1又は第2の何れかの特徴構成に加えて、前記作業対象領域が、包囲する他物の存在しない開放空間に設定された領域であり、前記特定領域が、前記作業対象領域の外縁に沿って連続して環状に設定されている点にある。
【0013】
すなわち、作業対象領域が、包囲する他物の存在しない開放空間に設定された領域である場合に、特定領域が、その作業対象領域の外縁に沿って連続して環状に設定されているから、作業対象領域の外部から内部に入る場合には、必ず特定領域を通過することになる。このため、無線タグを装備していない作業者が作業対象領域に外部から入場しようとした場合には、当該移動体が環状の特定領域に位置する状態が必ず存在することになり、当該作業者が作業対象領域に入場したことが検出されることになる。したがって、無線タグを装備していない作業者が作業対象領域の内部に存在する状態となることを初期段階において確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】作業対象領域における移動体及び特定領域を示す平面図
図2】移動体管理システムの制御ブロック図
図3】物品搬送台車の斜視図
図4】第1実施形態の異常状態判別処理を示すフローチャート
図5】第2実施形態の異常状態判別処理を示すフローチャート
図6】作業対象領域における特定領域の別の例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る移動体管理システムを物品保管設備に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、壁面Wにて包囲された室内に作業対象領域Eが設定されている。この作業対象領域Eは、物品保管設備として使用され、物品が平置き(パレットに載置された物品を床面に載置する)状態で保管されている。作業対象領域Eは、作業対象領域Eに設定された走行経路Lの側脇に、物品移載箇所としての複数のステーション等(図示省略)が設けられ、複数のステーション等に亘る走行経路Lに沿って床面上を走行自在な物品搬送台車1が設けられている。そして、物品搬送台車1が走行経路Lに沿って自律走行して複数のステーション等の間で物品(パレット及びこれに載置支持された荷)を搬送するようになっている。
また、物品搬送設備では、外部から進入した作業者2が床面上を歩行しているとともに、搭乗した運転者の操縦によりフォークリフト3が床面上を自由に走行している。
なお、図1では、走行経路Lを実線で図示しているが、これは物品搬送台車1が走行すべき仮想的な走行経路を示しているのであって物品搬送台車1を案内するレールは設置されていない。
【0016】
図2に示すように、物品搬送台車1には、駆動用走行車輪(図示せず)を回転駆動させる走行用モータ5と、従動用走行車輪(図示せず)を縦軸心周りに回転させて従動用走行車輪の向きを変更させる操向用モータ6と、が設けられている。物品搬送台車1は、走行用モータ5にて駆動用走行車輪を回転駆動させて走行し、操向用モータ6にて従動用走行車輪の向きを変更させて走行方向を変更するように構成されている。
尚、走行用モータ5と操向用モータ6とで走行駆動部7が構成されており、物品搬送台車1は、走行駆動部7の作動により走行経路Lに沿って走行自在に構成されている。
【0017】
図3に示すように、物品搬送設備には、走行経路Lの側方に位置する壁部などを利用して走行経路Lに対応するように複数の反射板9が配設されており、物品搬送台車1の上部には、レーザ光を水平面内に走査して、反射板9にて反射される反射光を受光する投受光部10が設けられている。
また、物品搬送台車1には、駆動用走行車輪の回転に伴ってパルス信号を出力するロータリーエンコーダ等の走行距離検出用の距離検出部11、及び、物品搬送台車1の向きを検出するレートジャイロ等の方位検出部12が備えられている。
尚、投受光部10と距離検出部11と方位検出部12とで、物品搬送台車1の走行位置を検出する走行位置検出部13が構成されており、この走行位置検出部13は、物品搬送台車1に備えられている。
【0018】
図2に示すように、物品搬送台車1には、走行駆動部7の作動を制御する台車側走行制御部としての台車側コントローラH1が設けられている。台車側コントローラH1は、走行位置検出部13にて検出された走行位置情報と地上側走行制御部としての地上側コントローラH2からの走行指令情報とに基づいて、物品搬送台車1を走行経路Lに沿って目標走行位置に向けて目標走行速度で走行させるべく、走行駆動部7の作動を制御するように構成されている。
【0019】
つまり、台車側コントローラH1は、投受光部10にて受光する反射光の走査角情報及び複数の反射板9の位置情報に基づいて物品搬送台車1の現在位置を確認しながら、その現在位置情報、距離検出部11の検出情報、及び、方位検出部12の検出情報に基づいて、地上側コントローラH2から指令される走行指令にて指定されたステーション等に対応する目標走行位置に物品搬送台車1を走行経路Lに沿って目標走行速度で走行させるべく、走行用モータ5及び操向用モータ6の作動を制御するように構成されている。
走行経路Lは、上述の通り物品搬送台車1が走行すべき仮想の経路である。走行経路Lの経路情報がマップデータとして台車側コントローラH1に記憶されており、台車側コントローラH1は、走行指令が指令されると走行経路Lに沿ったルートの設定を行う。
【0020】
図1に示すように、物品搬送設備には、物品搬送台車1に走行指令を指令する地上側コントローラH2が設けられており、台車側コントローラH1及び地上側コントローラH2には、互いに各種情報を送受信するための送受信装置が設けられている。
そして、地上側コントローラH2は、物品を搬送する搬送元のステーション等や搬送先のステーション等を指定する走行指令を台車側コントローラH1に送信するように構成されている。台車側コントローラH1は、走行位置情報と走行指令情報とに基づいて走行駆動部7の作動を制御し、物品搬送台車1の走行位置情報を地上側コントローラH2に送信するように構成されている。
【0021】
物品搬送設備には、位置検出装置として、作業対象領域E内での物品搬送台車1の位置、作業者2、及び、フォークリフト3等の移動体の位置を計測する無線式位置計測システム19を備えている。
また、物品搬送設備には、無線式位置計測システム19にて検出した作業者2、及び、フォークリフトの位置情報と物品搬送台車1の走行位置情報とに基づいて、物品搬送台車1から干渉物までの距離が設定距離以下になると、物品搬送台車1に減速指令を指令する外部管理部としての管理サーバH3が設けられている。さらに、物品搬送設備には、警報装置31が設けられている。警報装置31は、管理サーバH3からの作動指令に基づいて、警告音の鳴動や警告灯の点灯などの各種の警報動作を実行可能に構成されている。
【0022】
図1及び図2に示すように、無線式位置計測システム19は、作業者2やフォークリフト3に装備され、位置計測用の無線信号である測位用無線信号を出力自在な無線タグ22と、作業対象領域Eに存在する無線タグ22から測位用無線信号を受信自在に構成された複数の親機23と、親機23の受信情報に基づいて無線タグ22の位置を算出する位置計測処理を実行するタグ位置計測装置24とを備えて構成されている。無線タグ22から親機23には、UWB方式の無線通信により位置計測用の情報が通信自在に構成されている。
また、無線式位置計測システム19は、位置測定機能により検出した無線タグ22の位置を、当該無線タグ22を装備した移動体の位置とするように構成されている。なお、上記作業者2の夫々には無線タグ22が1つずつ装備される。また、物品搬送台車1及びフォークリフト3の夫々には、無線タグ22が走行前後方向に離間して2つ装備される。
さらに、無線式位置計測システム19は、指定した複数の位置座標で定義される閉領域内に存在する無線タグ22の種別を判別し、かつ、その個数を計数することができる。
【0023】
図1に示すように、作業対象領域Eを包囲する壁面Wの一部には、物品搬送台車1、作業者2、又はフォークリフト3等が作業対象領域Eに出入りするための出入口Gが設けられており、作業対象領域Eにおける出入口Gの前面に位置する部分の天井に、作業対象領域Eの床面を撮像方向とするカメラ20が設けられている。カメラ20は、動画像を継続的に撮像することができるように構成されている。また、図2に示すように、カメラ20で撮像された画像は、画像判別部H4に送信される。画像判別部H4は、カメラ20で撮像した画像の内容を解析して、画像中の作業者2の存否を判別するように構成されている。
【0024】
そして、管理サーバH3は、画像判別部H4にて作業者2の存在が検出されると、無線式位置計測システム19から作業対象領域Eに存在する無線タグ22の種別と座標との情報を取得し、カメラ20の撮像領域Sに合わせて予め座標で設定されている領域に作業者2に装備される無線タグ22が検出されているか否かを判別する。そして、画像判別部H4にて作業者2が検出されているにもかかわらず、無線式位置計測システム19でカメラ20の撮像領域に無線タグ22が検出されないときは、異常状態と判別して警報装置31を作動させるように構成されている。本実施形態において、上記管理サーバH3が管理装置に相当し、画像判別部H4が画像検出部に相当し、カメラ20の撮像領域Sが特定領域に相当する。
すなわち、画像判別部H4にて作業者2の存在が検出された場合において無線式位置計測システム19にて撮像領域Sに無線タグ22が検出されないときは、異常状態と判別するように構成されている。また、撮像領域Sが、作業対象領域における前記出入口の前面に位置する部分に設定されている。
【0025】
次に、図4に基づいて、異常状態判別処理を示すフローチャートを説明する。このフローチャートの処理は、設定インターバルごとに管理サーバH3で実行されるようになっている。
管理サーバH3は、まず、画像判別部H4にカメラ20の撮像画像の取得を指令する(ステップ#11)。画像判別部H4は、取得した画像に作業者2が存在するか否かを判別して、その結果を管理サーバH3に送信する(ステップ#12)。
管理サーバH3は、画像判別部H4の送信情報に基づいて、移動体が存在するか否かを判別し(ステップ#13)、移動体が存在すると判別した場合には、続いて無線式位置計測システム19が管理する無線タグ22の位置座標と無線タグ22の種別とを取得する(ステップ#14)。
管理サーバH3は、カメラ20の撮像領域Sに対応する座標平面に、ステップ#14にて取得した無線タグ22の位置座標のうち作業者2に装備される無線タグ22の位置座標が存在するか否かを判別する(ステップ#15)。そしてカメラ20の撮像領域S内に作業者2に装備される無線タグ22が存在しないと判別した場合には、警報装置31を作動させる(ステップ#16)。なお、ステップ#13で画像判別部H4の送信情報に基づいて移動体が存在しないと判別した場合、及び、ステップ#15でそしてカメラ20の撮像領域S内に作業者2に装備される無線タグ22が存在すると判別した場合には、他の処理を行わず本フローを終了する。
【0026】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を説明するが、この第2実施形態は、第1実施形態において管理サーバH3が実行する異常状態の判別処理が異なるのみであるので、管理サーバH3が実行する異常状態の判別処理のみを説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0027】
第2実施形態では、画像判別部H4は、カメラ20で撮像した画像の内容を解析して、画像中の作業者2の数を計数するように構成されている。
管理サーバH3は、画像判別部H4にて作業者2の数が計数されると、無線式位置計測システム19から作業対象領域Eに存在する無線タグ22の種別と座標との情報を取得し、無線式位置計測システム19の検出情報に基づいて、カメラ20の撮像領域に併せて予め座標で設定されている領域に、作業者2に装備される無線タグ22が何個存在するかを計数する。そして、画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncと、無線式位置計測システム19で計測された無線タグ22位置のうちカメラ20の撮像領域Sに存在する無線タグ22の数とを比較して、画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncの方が多い場合には、異常状態と判別して警報装置31を作動させるように構成されている。本実施形態において、上記管理サーバH3が管理装置に相当し、画像判別部H4が画像計数部に相当し、カメラ20の撮像領域が特定領域に相当する。
すなわち、管理サーバH3が、無線式位置計測システム19の検出情報に基づいて、特定領域に存在する無線タグ22の数量を計数自在に構成され、かつ、画像判別部H4にて計数された作業者2の数量に基づいて予測される無線タグ22の数量が無線式位置計測システム19の検出情報に基づいて計数された無線タグの数量よりも多いと判別した場合には、異常状態と判別するように構成されている。
【0028】
次に、図5に基づいて、異常状態判別処理を示すフローチャートを説明する。このフローチャートの処理は、設定インターバルごとに管理サーバH3で実行されるようになっている。
管理サーバH3は、まず、画像判別部H4にカメラ20の撮像画像の取得を指令する(ステップ#21)。画像判別部H4は、取得した画像における作業者2の数量Ncを計数して、その結果を管理サーバH3に送信する(ステップ#22)。
続いて、管理サーバH3は、無線式位置計測システム19が管理する無線タグ22の位置座標と無線タグ22の種別とを取得し(ステップ#23)、作業者2の無線タグ22の位置座標に基づいて、カメラ20の撮像領域Sに対応する座標平面に位置する作業者2の無線タグ22の数Nrを計数する(ステップ#24)。
そして、管理サーバH3は、画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncと、カメラ20の撮像領域Sに対応する座標平面に位置する作業者2の無線タグ22の数Nrとを比較して(ステップ#25)、作業者2の数Ncの方が多い場合には、警報装置31を作動させる(ステップ#26)。なお、ステップ#25の画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncとカメラ20の撮像領域Sに対応する座標平面に位置する作業者2の無線タグ22の数Nrとの比較結果において、画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncの数の方が多くない(すなわち、Nc=Nr又はNc<Nr)場合には、他の処理を行わず本フローを終了する。
【0029】
〔別実施形態〕
(1)上記第1又は第2実施形態では、移動体管理システムを品保管設備に対して適用する例を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、作業対称領域内にて無線タグ22を装備した移動体が作業を行う設備であれば、例えば生産設備等各種のものに適用できる。
【0030】
(2)上記第1又は第2実施形態では、管理サーバH3が、画像判別部H4にて作業者2の存在が検出された場合において無線式位置計測システム19にて特定領域に無線タグ22が検出されないとき、又は、画像判別部H4にて計数された作業者2の数量に基づいて予測される無線タグ22の数量が無線式位置計測システム19の検出情報に基づいて計数された無線タグの数量よりも多いと判別した場合に、異常状態と判別するように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、画像判別部H4にて物品搬送台車1やフォークリフト3の存在が検出された場合において無線式位置計測システム19にて特定領域に無線タグ22が検出されないとき、又は、画像判別部H4にて計数された物品搬送台車1やフォークリフト3の数量に基づいて予測される無線タグ22の数量が無線式位置計測システム19の検出情報に基づいて計数された無線タグの数量よりも多いと判別した場合に異常状態と判別する構成としてもよい。
【0031】
(3)上記第1又は第2実施形態では、作業対象領域Eを、壁面Wにて包囲された室内に設定し、特定領域を、作業対象領域Eにおける出入口Gの前面に位置する部分に設定する構成を例示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、図6に示すように、作業対象領域Eを、包囲する他物の存在しない開放空間に設定し、カメラ20としてカメラ20a〜20jを、隣接するカメラ20の撮像領域同士の間に隙間ができないように配置する形態で、作業対象領域Eの外縁に沿って連続して環状に設けるようにしてもよい。このようにカメラ20a〜20jを配置することにより、カメラ20a〜20jの撮像領域Sa〜Sjが作業対象領域Eの外縁に沿って連続して環状に設定される。そして、上記図4又は図5に示される処理を、カメラ20a〜20jの撮像領域Sa〜Sjごとに行うことにより、連続して環状に設定された撮像領域Sa〜Sj内に無線タグ22を装備していない移動体が進入したことを検出できるので、作業対象領域Eに無線タグ22を装備していない移動体が存在することを適切に検出することができる。なお、上記第1又は第2実施形態では、特定領域を、作業対象領域Eの一部に設定する例を示したが、1つ又は複数のカメラ20の撮像領域S(Sa〜Sj)と作業対象領域Eとを同一の領域とするように設定してもよい。
【0032】
(4)上記第1又は第2実施形態では、管理サーバH3が、異常状態と判別した場合に警報装置31を作動させる構成を例示したが、異常状態と判別した場合に他の処理を行うようにしてもよい。例えば、異常状態と判別した場合には、不審者が侵入した可能性があるので、不審者が作業対象領域Eから出られないように出入口Gを閉鎖する構成としてもよい。
【0033】
(5)上記第1又は第2実施形態では、複数の作業者2の夫々に、無線タグ22を1つずつ装備する例を示したが、複数の作業者2の夫々に装備する無線タグ22の数を2つ又はそれ以上としてもよい。
この場合、上記第2実施形態における図5のステップ#25では、画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncと、無線式位置計測システム19で計測された無線タグ22位置のうちカメラ20の撮像領域Sに存在する無線タグ22の数Nrとを比較するのではなく、例えば、1人の作業者2が2つの無線タグ22を装備している場合には、Nc×2と無線タグ22の数Nrとを比較することになる。すなわち、画像判別部H4にて計数された作業者2の数Ncの数に基づいて予測される無線タグ22の数と、無線式位置計測システム19で計測された無線タグ22位置のうちカメラ20の撮像領域Sに存在する無線タグ22の数Nrとを比較することになる。
【符号の説明】
【0034】
2 移動体
20 撮像装置
19 位置検出装置
22 無線タグ
E 作業対象領域
G 出入口
H3 管理装置
H4 画像判別部
W 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6