(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1方向に沿って進退移動する移動部材に設けられた被当接部と当接可能な当接部を有する移動規制部材を含み、前記移動規制部材を前記第1方向と直交する第2方向に沿って進退移動させると共に、前記被当接部と前記当接部との当接により前記移動部材の前記第1方向における移動が規制されるように磁力により前記移動規制部材をロックする電磁ロック装置であって、
磁性体により形成されると共に前記第2方向に沿って移動可能なプランジャと、前記プランジャを前記移動部材側に付勢する付勢部材と、コイルへの通電に伴って前記プランジャを吸引して前記移動部材から後退しないようにロックする吸引部とを含むソレノイド部を備え、
前記移動規制部材は、先端に前記当接部を有する小径部と、該小径部から前記当接部とは反対側に延出された前記小径部よりも大径の大径部とを含むように非磁性体により形成されており、
前記プランジャには、前記移動規制部材の前記大径部が挿入されると共に該大径部の前記当接部とは反対側の端面と当接する底面を有する凹部が形成されており、
前記移動規制部材および前記プランジャは、前記当接部が前記移動規制部材の前記被当接部と当接可能となると共に、前記大径部の前記小径部側の端面が前記ソレノイド部の一部と当接するように前記付勢部材により前記移動部材側に付勢されることを特徴とする電磁ロック装置。
請求項1から7の何れか一項に記載の電磁ロック装置を備え、前記移動部材に連結されるパーキングロッドの移動に応じて変速機の回転軸をロックすると共に該回転軸のロックを解除するパーキングロック装置であって、
前記移動部材と、前記パーキングロッドが前記回転軸をロックする方向に移動するように前記移動部材を前記第1方向のロック側に付勢するパーキング付勢部材とを含み、前記パーキングロッドが前記回転軸のロックを解除する方向に移動するように前記移動部材を油圧により前記第1方向のロック解除側に移動させる油圧アクチュエータを備えることを特徴とするパーキングロック装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に記載されたパーキングロック装置では、油圧によりピストンユニットを引外し部材側に移動させてラッチ機構と係合させた後、電磁操作装置に通電して引外し部材の位置を固定することによりパーキングロックの解除状態が維持される。従って、ピストンユニットに付与される油圧が低下した際にパーキングロックの解除状態をより確実に維持するためには、電磁操作装置による保持力(吸引力)をより高める必要がある。しかしながら、電磁操作装置による保持力を高めるためにソレノイド部の体格を大きくすると、電磁操作装置、ひいてはパーキングロック装置をコンパクト化し得なくなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、第1方向に沿って進退移動する移動部材の移動をより確実に規制することができるコンパクトな電磁ロック装置およびそれを備えたパーキングロック装置の提供を主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電磁ロック装置およびそれを備えたパーキングロック装置は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
【0009】
本発明による電磁ロック装置は、
第1方向に沿って進退移動する移動部材に設けられた被当接部と当接可能な当接部を有する移動規制部材を含み、前記移動規制部材を前記第1方向と直交する第2方向に沿って進退移動させると共に、前記被当接部と前記当接部との当接により前記移動部材の前記第1方向における移動が規制されるように磁力により前記移動規制部材をロックする電磁ロック装置であって、
磁性体により形成されると共に前記第2方向に沿って移動可能なプランジャと、前記プランジャを前記移動部材側に付勢する付勢部材と、コイルへの通電に伴って前記プランジャを吸引して前記移動部材から後退しないようにロックする吸引部とを含むソレノイド部を備え、
前記移動規制部材は、先端に前記当接部を有する小径部と、該小径部から前記当接部とは反対側に延出された前記小径部よりも大径の大径部とを含むように非磁性体により形成されており、
前記プランジャには、前記移動規制部材の前記大径部が挿入されると共に該大径部の前記当接部とは反対側の端面と当接する底面を有する凹部が形成されており、
前記移動規制部材および前記プランジャは、前記当接部が前記移動規制部材の前記被当接部と当接可能となると共に、前記大径部の前記小径部側の端面が前記ソレノイド部の一部と当接するように前記付勢部材により前記移動部材側に付勢されることを特徴とする。
【0010】
この電磁ロック装置のソレノイド部は、磁性体により形成されると共に第2方向に沿って移動可能なプランジャと、プランジャを移動部材側に付勢する付勢部材と、コイルへの通電に伴ってプランジャを吸引して移動部材から後退しないようにロックする吸引部とを含む。また、移動規制部材は、先端に当接部を有する小径部と、当該小径部から当接部とは反対側に延出された小径部よりも大径の大径部とを含むように非磁性体により形成されている。更に、プランジャには、移動規制部材の大径部が挿入されると共に当該大径部の当接部とは反対側の端面と当接する底面を有する凹部が形成されている。これにより、非磁性体により形成された移動規制部材と磁性体により形成されたプランジャとを互いに固定することなく付勢部材によって移動部材側に一体に付勢することができる。
【0011】
そして、移動規制部材およびプランジャは、当接部が移動部材の被当接部と当接可能となると共に、大径部の小径部側の端面がソレノイド部の一部と当接するように付勢部材により移動部材側に付勢される。これにより、移動規制部材の当接部が移動部材の被当接部と当接可能となっている状態でソレノイド部のコイルに通電してプランジャをロックすれば、移動規制部材が移動部材から後退するのを規制し、被当接部と当接部との当接により移動部材の第1方向における移動を規制することができる。また、この電磁ロック装置では、移動規制部材が非磁性体により形成されることから、ソレノイド部における磁束の漏れを低減することが可能となる。更に、移動規制部材の大径部の小径部側の端面がソレノイド部の一部と当接するように移動規制部材およびプランジャを付勢部材により移動部材側に付勢することで、ソレノイド部の吸引部とプランジャとの間隔を一定に保っておくことができるので、ソレノイド部の大型化を抑制しつつ、プランジャに対してより大きな吸引力を速やかに作用させることができる。従って、この電磁ロック装置によれば、装置全体のコンパクト化を図りつつ、第1方向に沿って進退移動する移動部材の移動をより確実に規制することが可能となる。
【0012】
また、前記移動規制部材の前記大径部の外周面と、前記プランジャの前記凹部の内周面との間には所定のクリアランスが形成されてもよい。これにより、移動規制部材が径方向にガタついたとしても、当該移動規制部材のガタつきを大径部の外周面と凹部の内周面との間のクリアランスにより吸収して、プランジャが径方向にガタつくのを抑制することが可能となる。この結果、プランジャの外周に形成される磁気ギャップを小さくすることができるので、ソレノイド部の大型化を抑制しつつ、ソレノイド部における磁気効率を高めて吸引部にプランジャを吸引するための吸引力をより大きくすることが可能となる。
【0013】
更に、前記大径部の前記第2方向における長さは、前記プランジャの前記凹部の前記第2方向における深さよりも長くてもよい。これにより、プランジャの凹部の周囲の端面のみが上記ソレノイド部の一部と当接することで移動規制部材が当該ソレノイド部の一部とプランジャの凹部の底面との間で第2方向にガタついてしまうのを抑制することが可能となる。
【0014】
また、前記大径部の外周面と前記プランジャの前記凹部の内周面とのクリアランスは、前記大径部の前記第2方向における長さと前記プランジャの前記凹部の前記第2方向における深さとの差よりも大きくてもよい。これにより、移動規制部材のガタつきを当該クリアランスにより良好に抑制しつつ、ソレノイド部の吸引部と大径部の小径部側の端面とが当接した際の吸引部とプランジャとの間隔を小さくしてプランジャに対してより大きな吸引力を速やかに作用させることが可能となる。
【0015】
更に、前記大径部の前記第2方向における長さは、前記プランジャの前記第2方向における最大ストローク長さより大きくてもよい。これにより、プランジャおよび移動規制部材が第2方向に沿って移動する際に、移動規制部材の大径部がプランジャの凹部から抜け出してしまうのを抑制することが可能となる。
【0016】
また、前記ソレノイド部の前記吸引部は、前記大径部の前記小径部側の端面および前記プランジャの前記凹部の周囲の端面と対向するように配置されてもよく、前記移動規制部材および前記プランジャは、少なくとも前記大径部の前記小径部側の端面が前記吸引部と当接するように前記付勢部材により前記移動部材側に付勢されてもよい。このようにプランジャを吸引するソレノイド部の吸引部を移動規制部材の大径部を当接させる上記一部として兼用することで、ソレノイド部の構造を単純化すると共に、吸引部と移動規制部材の大径部とが当接した際の当該吸引部とプランジャとのギャップを容易に小さくすることが可能となる。
【0017】
更に、前記小径部と前記大径部との境界の近傍における該小径部の外周面は、前記当接部側から前記大径部の前記小径部側の端面に向けて先細に形成されてもよい。これにより、大径部の小径部側の端面における上記ソレノイド部の一部との当接範囲をできるだけ小径部側に寄せることができるので、大径部の外径増を抑制して電磁ロック装置をコンパクト化することが可能となる。
【0018】
また、本発明によるパーキングロック装置は、上記何れかの電磁ロック装置を備え、前記移動部材に連結されるパーキングロッドの移動に応じて変速機の回転軸をロックすると共に該回転軸のロックを解除するパーキングロック装置であって、前記移動部材と、前記パーキングロッドが前記回転軸をロックする方向に移動するように前記移動部材を前記第1方向のロック側に付勢するパーキング付勢部材とを含み、前記パーキングロッドが前記回転軸のロックを解除する方向に移動するように前記移動部材を油圧により前記第1方向のロック解除側に移動させる油圧アクチュエータを備えることを特徴とする。
【0019】
このようなパーキングロック装置では、油圧により移動部材を第1方向のロック解除側に移動させれば、変速機の回転軸のロックを解除することができる。また、油圧アクチュエータの油圧を低下させれば、移動部材を第1方向のロック側に移動させて、変速機の回転軸をロックすることができる。そして、変速機の回転軸のロックが解除された状態で電磁ロック装置によりプランジャおよび移動規制部材が移動部材から後退するのを規制すれば、油圧アクチュエータの油圧が低下したとしても、移動規制部材により移動部材のロック側への移動を規制して回転軸のロックの解除状態をより確実に維持することが可能となる。
【0020】
また、前記パーキングロック装置の前記電磁ロック装置は、前記コイルの通電時に、前記被当接部から前記移動規制部材の前記当接部に付与される力に抗して前記移動規制部材をロックすると共に、前記コイルの非通電時に、前記移動部材の前記第1方向に沿った移動に伴って前記被当接部から前記当接部に付与される力により前記移動規制部材が前記移動部材から後退するのを許容するように構成されてもよい。
【0021】
更に、前記パーキングロック装置では、前記油圧により前記移動部材が前記ロック解除側に移動して前記回転軸のロックが解除されている際に、前記移動部材の前記被当接部と、前記移動規制部材の前記当接部とが互いに離間していてもよい。これにより、油圧により移動部材がロック解除側に移動して変速機の回転軸のロックが解除されている際に、付勢部材によって当接部と移動部材の被当接部とが当接可能となるように付勢された移動規制部材の大径部をソレノイド部の一部に確実に当接させておくことができる。従って、変速機の回転軸のロックが解除されている際にソレノイド部のコイルに通電すれば、吸引部からの大きな吸引力によりプランジャをしっかりとロックしておくことができる。この結果、油圧アクチュエータの油圧の低下に伴ってパーキング付勢部材の付勢力により移動部材がロック側へと移動し始めても、移動部材の更なるロック側への移動を移動規制部材により規制して、回転軸のロックの解除状態をより確実に維持することが可能となる。
【0022】
また、前記移動規制部材の前記当接部は、前記油圧により前記移動部材が前記ロック解除側に移動する際に前記被当接部からの力を受ける当接面を有してもよく、前記当接面は、前記移動規制部材の前記当接部側から前記大径部側に向かうにつれて前記ロック側に傾斜するように形成されてもよく、前記パーキング付勢部材の付勢力により前記移動部材が前記ロック側に移動して前記回転軸がロックされている際に、前記移動部材の前記被当接部が前記移動規制部材の前記当接面と当接してもよい。これにより、移動部材の移動ストロークを小さくしてパーキングロック装置のコンパクト化を図ると共に、変速機の回転軸がロックされた状態から回転軸のロックの解除状態へと速やかに移行させることが可能となる。更に、移動部材がロック側からロック解除側へと移動する際に被当接部と移動規制部材の当接面とが衝突しないようにして移動規制部材や被当接部の耐久性を向上させると共にノイズの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係るパーキングロック装置1を示す概略構成図であり、
図2は、パーキングロック装置1の要部を示す部分断面図である。これらの図面に示すパーキングロック装置1は、車両に搭載される図示しない変速機のトランスミッションケース(図示省略)の内部または外部に配置される。そして、パーキングロック装置1は、図示しないシフトレバーの操作位置(シフトレンジ)に応じて出力される電気信号に基づいて変速機の何れかの回転軸(図示省略)のロックおよびその解除を実行する、いわゆるシフトバイワイヤ式パーキングロック装置として構成されている。
【0026】
図1に示すように、パーキングロック装置1は、複数の歯2aを有すると共に変速機の上記何れかの回転軸に取り付けられるパーキングギヤ2と、当該パーキングギヤ2と係合可能な突部を有すると共に図示しないスプリングによりパーキングギヤ2から離間するように付勢されるパーキングポール3と、進退移動可能なパーキングロッド4と、パーキングロッド4の軸方向に移動可能な筒状のカム部材5と、例えばトランスミッションケースにより回転自在に支持されてパーキングポール3と共にカム部材5を挟持する支持ローラ6と、パーキングロッド4により一端が支持されると共にパーキングポール3をパーキングギヤ2に押し付けるようにカム部材5を付勢するカムスプリング7とを含む。更に、パーキングロック装置1は、パーキングロッド4を進退移動させるための油圧アクチュエータ10と、電磁ロック装置20とを含む。
【0027】
パーキングギヤ2、パーキングポール3と、パーキングロッド4、カム部材5、支持ローラ6、カムスプリング7は、何れも周知の構成を有するものであり、変速機の回転軸は、図示するように、パーキングポール3の突部がパーキングギヤ2の歯間の凹部と係合することによりロックされる。パーキングロッド4には、略L字状に形成されたディテントレバー8が連結される。ディテントレバー8は、第1遊端部8aと第2遊端部8bとを有し、パーキングロッド4の基端(
図1における右端)は、ディテントレバー8の第1遊端部8aに回転自在に連結される。また、第2遊端部8bには、例えばトランスミッションケースにより支持される図示しないディテントスプリングに取り付けられた係合部材9と係合可能な係合凹部8rが形成されている。更に、ディテントレバー8のコーナー部(第1および第2遊端部8a,8bの基端部)は、例えばトランスミッションケースにより支持された支軸8sにより回動自在に支持される。
【0028】
油圧アクチュエータ10は、図示しない電子制御装置によりシフトレバーの操作位置(シフトレンジ)に応じて出力される電気信号に基づいて制御される変速機の油圧制御装置(図示省略)からの油圧により動作するものである。
図2に示すように、油圧アクチュエータ10は、複数の部材から構成されるケース11と、ディテントレバー8の第2遊端部8bに連結されると共にケース11により軸方向すなわち図中上下方向(第1方向)に移動自在に支持されるピストンロッド(移動部材)12と、当該ピストンロッド12に固定されると共にケース11に形成されたピストン室11p内に配置されるピストン14とを含む。
【0029】
ピストンロッド12は、先端部(図中上端部)がケース11から外部に突出するように当該ケース11により支持される。ケース11から突出するピストンロッド12の先端部には、
図3に示すように、先端側から基端側に向けて軸方向に延びる連結凹部12rが形成されている。当該連結凹部12rには、ディテントレバー8の第2遊端部8bが差し込まれる。また、ディテントレバー8には、当該連結凹部12r内に位置するように長穴8hが形成されており、当該長穴8hには、ピストンロッド12の先端部により支持された連結ピン12pが挿通される。長穴8hは、その内周と連結ピン12pの外周面との間に空間が画成されるように形成されている。これにより、ピストンロッド12とディテントレバー8とは、互いにある程度の相対移動を許容するように連結される。
【0030】
更に、ピストンロッド12の軸方向における中央部付近には、当該ピストンロッド12を径方向に貫通すると共に軸方向に延在する穴部12hが形成されており、当該穴部12hの内部には、被当接部としてのローラ13が配置されている。ローラ13は、本実施形態ではローラベアリングであり、穴部12hの長手方向(図中上下方向)における長さよりも小さい外径を有する。そして、ローラ13は、上記連結ピン12pと平行に延在するようにピストンロッド12により支持される支持シャフト12sによって穴部12h内で回転自在となるように支持される。なお、ローラ13の代わりに、ピストンロッド12により回転自在に支持される円柱体を被当接部として用いてもよい。
【0031】
ピストン14は、ピストンロッド12の基端部(図中下端部)に固定され、シール部材15を介してピストン室11pの内壁面によりピストンロッド12の軸方向に移動自在に支持される。そして、ピストン14は、ピストン室11pの内部を油室11fとスプリング室11sとに区画する。油室11fは、ピストンロッド12の先端部やディテントレバー8から離間するようにピストン室11pの図中下側に画成され、ケース11に形成された油孔11hと連通する。油室11f内には、図示しない油路や油孔11hを介して油圧制御装置からの油圧(作動油)が供給される。また、スプリング室11sは、ピストンロッド12の先端部やディテントレバー8に近接するようにピストン室11pの図中上側に画成される。そして、スプリング室11sには、ケース11とピストン14との間に位置するようにリターンスプリング16が配置され、ピストン14は、リターンスプリング16によってスプリング室11s側から油室11f側に向けて図中下方に付勢される。
【0032】
油圧アクチュエータ10の組立状態(組立完了時の状態)において、ピストン14は、リターンスプリング16により図中下方に付勢されて油室11fの底部に最接近し、ピストンロッド12のケース11からの突出量が最小となる。これにより、ディテントレバー8を介してピストンロッド12に連結されたパーキングロッド4は、パーキングポール3の図示しない基端部に最接近し、カムスプリング7により付勢されたカム部材5によってパーキングポール3がパーキングギヤ2と係合するように押圧され、それにより変速機の回転軸がロックされることになる。
【0033】
これに対して、
図1に示すように変速機の回転軸がロックされている状態(以下、適宜「パーキングロック状態」という)で、油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されると、ピストン14は、油室11f内の油圧によりリターンスプリング16の付勢力に抗してピストンロッド12の移動方向(第1方向)における
図1中上側(以下、「ロック解除側」という)へと移動する。これにより、ピストン14に固定されたピストンロッド12も
図1中上側すなわちロック解除側へと移動し、それに伴ってディテントレバー8が支軸8sの周りに
図1における時計方向に回動すると共にパーキングロッド4が
図1中右側に移動する。そして、パーキングロッド4が
図1中右側に移動することでカム部材5によるパーキングポール3の押圧が解除され、パーキングギヤ2とパーキングポール3との係合、すなわち変速機の回転軸のロック(以下、適宜「パーキングロック」という)が解除される。従って、車両の走行中に油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されていれば、変速機の回転軸がロックされることはない。
【0034】
また、パーキングロックが解除されている状態(以下、適宜「パーキングロック解除状態」という)で、油圧制御装置から油孔11hへの油圧の供給が断たれて油室11fから油孔11hを介して作動油が流出していくと、ピストン14は、リターンスプリング16の付勢力によりピストンロッド12の移動方向における
図1中下側(以下、「ロック側」という)へと移動する。これにより、ピストン14に固定されたピストンロッド12も
図1中下側すなわちロック側へと移動し、それに伴ってディテントレバー8が支軸8sの周りに
図1における反時計方向に回動すると共にパーキングロッド4が
図1中左側に移動する。そして、パーキングロッド4が
図1中左側に移動することでカムスプリング7により付勢されたカム部材5によってパーキングポール3がパーキングギヤ2と係合するように押圧され、それにより変速機の回転軸がロックされることになる。なお、第2遊端部8bの係合凹部8rと係合部材9とが係合することによりディテントレバー8の支軸8s周りの回動が図示しないディテントスプリングによりある程度規制され、それによりパーキングロッド4の移動もある程度規制される。
【0035】
図4は、パーキングロック装置1に含まれる電磁ロック装置20を示す部分断面図である。同図に示す電磁ロック装置20は、例えばアイドルストップ等により車両のエンジンと当該エンジンにより駆動されるオイルポンプとが停止されるのに伴って油圧アクチュエータ10の油室11fに供給される油圧が低下した際に、リターンスプリング16の付勢力によってピストンロッド12がロック側へと移動するのを規制してパーキングロック解除状態からパーキングロック状態へと移行してしまわないようにするためのものである。電磁ロック装置20は、図示するように、ピストンロッド12に設けられた被当接部としてのローラ13と当接可能な当接部210を有するロックシャフト(移動規制部材)21と、ロックシャフト21を軸方向に移動自在に支持するシャフトホルダ25と、ソレノイド部30とを含む。
【0036】
ロックシャフト21は、例えばステンレスといった非磁性体により形成されており、
図4および
図5に示すように、小径部22と、当該小径部22から当接部210とは反対側に延出された小径部22よりも大径の大径部23とを含む。小径部22は、略円柱状に形成されており、先端に当接部210を有する。なお、本実施形態において、小径部22の先端部(当接部210)は、二面幅形状を有するように成形されている。大径部23は、略円柱状に形成されており、小径部22側に位置する環状の端面23aと、当接部210とは反対側に位置する平坦な端面23bとを有する。また、小径部22と大径部23との境界の近傍における小径部22の外周面には、テーパ部22tが形成されている。テーパ部22tは、大径部23との境界の近傍で小径部22の外周面を当接部210側から大径部23の小径部22側の端面23aに向けて先細に形成することにより構成される。
【0037】
小径部22の先端部に形成される当接部210は、図中下側すなわちピストンロッド12の移動方向におけるロック側に位置する第1当接面211と、図中上側すなわちピストンロッド12の移動方向におけるロック解除側に位置する第2当接面212とを含む。第1当接面211は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれて図中下側すなわちロック側に傾斜するように形成されている。本実施形態において、第1当接面211は、ローラ13の外周面の半径(曲率半径)よりも小さい曲率半径を有すると共に図中下側すなわちロック側に凸となる断面円弧状の曲面とされている。ただし、第1当接面211は、円弧以外の断面形状を有すると共にロック側に凸となる曲面であってもよく、当接部210側から大径部23側に向かうにつれてロック側に一定の角度で傾斜する(平坦な)斜面であってもよい。また、第2当接面212は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれて図中上側すなわちロック解除側に傾斜するように形成されており、本実施形態では、一定の角度で傾斜する(平坦な)斜面とされている。
【0038】
シャフトホルダ25は、
図4に示すように、非磁性体により略有底筒状に形成されており、ソレノイド部30により保持される。シャフトホルダ25の底部には、ロックシャフト21の小径部22が挿通される孔部が形成されており、ロックシャフト21の小径部22の先端部すなわち当接部210は、シャフトホルダ25の先端から突出する。また、シャフトホルダ25の内部には、小径部22の外周面を摺動自在に支持する直動軸受27が固定されている。このように小径部22を直動軸受27により支持することで、ガタつきの発生を抑制しつつロックシャフト21を軸方向にスムースに移動させることが可能となる。
【0039】
ソレノイド部30は、
図4に示すように、軸方向に移動可能なプランジャ31と、プランジャ31を囲むように配置されるコイル32と、上述のシャフトホルダ25を保持すると共にプランジャ31やコイル32を収容するケースとして機能するヨーク33と、プランジャ31とコイル32との間に配置されるコア34と、プランジャ31を付勢するスプリング(付勢部材)35とを含む。
【0040】
プランジャ31は、鉄等の磁性体の表面に非磁性材料からなる表層を形成することにより構成され、軸方向における一端側に形成された凹部310と、凹部310を囲む平坦かつ環状の端面31aとを有する。凹部310は、軸方向と直交する方向に延びる底面310bを有する円孔部であり、凹部310内には、端面23bが底面310bと当接するようにロックシャフト21の大径部23が挿入される。凹部310の深さ(軸長)は、大径部23の軸長よりも僅かに(例えば0.1mm程度)小さく定められており、凹部310内に挿入された大径部23の小径部22側の端面23aは、プランジャ31の端面31aよりも外方に突出する。
【0041】
また、凹部310の内周面の内径は、ロックシャフト21の大径部23の外径よりも若干(例えば0.5〜1mm程度)大きく定められており、凹部310内に挿入されたロックシャフト21の大径部23の外周面と、凹部310の内周面との間には、
図4に示すように、所定のクリアランスが形成される。これにより、ロックシャフト21が径方向に多少ガタついたとしても、当該ロックシャフト21のガタつきを大径部23の外周面と凹部310の内周面との間のクリアランスにより吸収して、プランジャ31が径方向にガタつくのを抑制することが可能となる。この結果、プランジャ31とコア34との間に形成される磁気ギャップを小さくすることができるので、ソレノイド部30の大型化を抑制しつつ、ソレノイド部30における磁気効率を高めることが可能となる。本実施形態では、大径部23の外周面とプランジャ31の凹部310の内周面とのクリアランスは、大径部23の軸長とプランジャ31の凹部310の深さとの差よりも大きく定められる。
【0042】
コイル32は、ケースとしてのヨーク33に取り付けられる図示しないコネクタに接続される端子を有する。コイル32には、油圧制御装置を制御する上述の電子制御装置あるいは他の電子制御装置により制御される電源回路や上記コネクタを介して図示しない車両の補機バッテリからの電流が印加される。ヨーク33は、鉄等の磁性体により形成されており、コイル32の通電時に一端側すなわちシャフトホルダ25側(
図4中左端側)に設けられた吸引部33aに磁力によってプランジャ31を吸引するように構成される。吸引部33aは、環状に形成され、プランジャ31により保持されたロックシャフト21の小径部22が挿通される孔部を有する。
【0043】
そして、ヨーク33内には、コイル32およびコア34が配置され、コア34の内部には、凹部310を囲む端面310aと凹部310内に挿入されたロックシャフト21の大径部23の端面23aとがヨーク33の吸引部33aと対向するようにプランジャ31が配置される。更に、ヨーク33の他端部(
図4中右端部)には、コイル32およびコア34を保持するようにリヤキャップ36が装着され、プランジャ31の凹部310とは反対側の端部(図中右側の端部)とリヤキャップ36との間にスプリング35が配置される。スプリング35は、油圧アクチュエータ10のリターンスプリング16よりも小さいバネ定数(剛性)を有し、互いに固定されていないロックシャフト21とプランジャ31とをシャフトホルダ25側(
図4中左側)に一体に付勢すると共に、その付勢力よりも大きい外力が作用した際に、ロックシャフト21とプランジャ31とが一体となってリヤキャップ36側に移動するのを許容する。
図4からわかるように、ケースとしてのヨーク33内におけるプランジャ31の軸方向における最大ストローク長さS
max(
図4の例では、プランジャ31の当接部210とは反対側の端面とリヤキャップ36の内底面との間の間隔と)は、ロックシャフト21の大径部23の軸長よりも小さく定められる。これにより、ロックシャフト21およびプランジャ31が軸方向に移動する際に、大径部23がプランジャ31の凹部310から抜け出してしまうのを抑制することが可能となる。
【0044】
図4に示すように、電磁ロック装置20の組立状態(組立完了時の状態)において、ロックシャフト21の大径部23の小径部22側の端面23aは、ヨーク33の吸引部33aと当接し、プランジャ31の凹部310の周囲の端面31aと吸引部33aとの間には、僅かな隙間が形成される。従って、電磁ロック装置20では、プランジャ31の端面31aのみが吸引部33aと当接することでロックシャフト21が吸引部33aとプランジャ31の凹部310の底面310bとの間で軸方向にガタついてしまうのを抑制することが可能となる。また、ロックシャフト21の小径部22には、大径部23との境界の近傍にテーパ部22tが形成されているので、大径部の端面23aにおける吸引部33aとの当接範囲をできるだけ小径部22側に寄せることが可能となり、大径部23の外径増を抑制して電磁ロック装置20をコンパクト化することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、電磁ロック装置20の組立状態において、プランジャ31の端面31aと吸引部33aとの間に僅かな隙間が形成されるが、これに限られるものではない。すなわち、電磁ロック装置20の組立状態においてプランジャ31の端面31aのみが吸引部33aと当接しなければ、ロックシャフト21の軸方向にガタつきを抑制することができるので、電磁ロック装置20の組立状態において、大径部23の端面23aとプランジャ31の端面31aとの双方が吸引部33aと当接するように凹部310の深さ等を定めてもよい。
【0046】
上述のように構成される電磁ロック装置20は、
図1および
図2に示すように、油圧アクチュエータ10のピストンロッド12の軸方向(
図1における一点鎖線参照)と、ロックシャフト21およびプランジャ31の軸方向(
図1における二点鎖線参照)とが直交すると共に、ロックシャフト21(小径部22)の当接部210がピストンロッド12の穴部12h内でローラ13と当接可能となるように油圧アクチュエータ10のケース11に固定される。このように、ピストンロッド12の軸方向とロックシャフト21等の軸方向とが直交するように油圧アクチュエータ10に電磁ロック装置20を取り付けることにより、両者を同軸に配置する場合に比べて、トランスミッションケースの内部または外部の限られたスペースに油圧アクチュエータ10および電磁ロック装置20を容易に配置することが可能となる。
【0047】
油圧アクチュエータ10のケース11に対して電磁ロック装置20が取り付けられた際、ロックシャフト21の当接部210すなわち第1当接面211および第2当接面212は、ピストンロッド12の軸方向からみて(
図2における上側または下側からみて)ローラ13の外周面の少なくとも一部と重なり合う。そして、本実施形態において、電磁ロック装置20は、
図2に示すように、ロックシャフト21の当接部210の第1当接面211がピストンロッド12の穴部12h内に配置されたローラ13の外周面と当接するように油圧アクチュエータ10のケース11に取り付けられる。
【0048】
これにより、油圧アクチュエータ10および電磁ロック装置20の組立状態(組立完了時の状態)において、ロックシャフト21の当接部210には、ピストンロッド12のローラ13から当該ロックシャフト21の軸方向の力(強制力)が付与され、それにより、電磁ロック装置20のロックシャフト21およびプランジャ31がスプリング35の付勢力に抗してリヤキャップ36側(図中右側)に僅かに移動する。従って、本実施形態の電磁ロック装置20では、油圧アクチュエータ10および電磁ロック装置20の組立状態において、電磁ロック装置20の組立状態(組立完了時の状態)において、ロックシャフト21の大径部23の小径部22側の端面23aと、ヨーク33の吸引部33aとの間に多少の隙間が形成される。ただし、電磁ロック装置20は、ロックシャフト21の大径部23の小径部22側の端面23aと、ヨーク33の吸引部33aとが当接したままとなるように油圧アクチュエータ10に取り付けられてもよい。そして、この場合には、ロックシャフト21の当接部210の第1当接面211がピストンロッド12の穴部12h内に配置されたローラ13の外周面から離間していてもよい。
【0049】
続いて、上述のパーキングロック装置1および電磁ロック装置20の動作について説明する。
【0050】
油圧アクチュエータ10の油室11fに油圧制御装置からの油圧(作動油)が供給されておらず、かつ電磁ロック装置20のソレノイド部30のコイル32への通電が断たれている場合、油圧アクチュエータ10および電磁ロック装置20は、それぞれ上述した
図2等に示す状態にあり、パーキングロック装置1により変速機の回転軸がロックされる。車両の走行開始に伴って、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態へと移行させる場合には、油圧アクチュエータ10の油室11fに油圧制御装置からの油圧が供給される。この際、ソレノイド部30のコイル32への通電は断たれたままである。
【0051】
油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されると、ピストン14およびピストンロッド12は、
図6に示すように、油室11f内の油圧によりリターンスプリング16の付勢力に抗して図中上側すなわちロック解除側へと移動する。上述のように、パーキングロック状態では、穴部12h内のローラ13が、ロックシャフト21の当接部210の第1当接面211と当接している。従って、ピストンロッド12がロック解除側へと移動し始めると、ローラ13がロックシャフト21の第1当接面211上を転動し、それに伴ってピストンロッド12からロックシャフト21にローラ13と第1当接面211との接線と直交する方向の力(法線方向の力)が加えられる。そして、当該法線方向の力の分力(ロックシャフト21の軸方向の力)によって、互いに固定されていないロックシャフト21とプランジャ31とは、スプリング35の付勢力に抗して一体となってリヤキャップ36側(
図6における右側)に移動する。
【0052】
また、
図6に示すように、ピストンロッド12のロック解除側への移動に伴ってローラ13がロックシャフト21の第1当接面211から離れると、ロックシャフト21とプランジャ31とがスプリング35により付勢されて穴部12hの奥へと押し込まれ(
図6における左側へと移動し)、ローラ13がロックシャフト21の第2当接面212上を転動するようになる。なお、この際には、ローラ13がピストンロッド12と共にロックシャフト21から離間していくことから、基本的に、ローラ13から第2当接面212にロックシャフト21等をリヤキャップ36側に移動させる力が加えられることはない。その後、油圧によりピストンロッド12は更にロック解除側に移動し、
図7に示すように、ローラ13とロックシャフト21の第2当接面212との間に所定の間隔が形成された段階で停止する。
【0053】
上述のようにしてピストンロッド12が油圧によりロック解除側へと移動を開始してから停止するまでの間に、ディテントレバー8が支軸8sの周りに
図1における時計方向に回動すると共に、パーキングロッド4が
図1中右側に移動する。これにより、パーキングロッド4の移動に伴ってカム部材5によるパーキングポール3の押圧、すなわちパーキングロックを解除することが可能となる。また、パーキングロック装置1では、
図2に示すパーキングロック状態で、ピストンロッド12のローラ13がロックシャフト21の第1当接面211と当接している。従って、パーキングロック状態でローラ13がロックシャフト21の第1当接面211と当接しない場合に比べて、ピストンロッド12の移動ストロークを小さくしてパーキングロック装置1のコンパクト化を図ると共に、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態へと速やかに移行させることができる。更に、パーキングロック装置1では、ピストンロッド12がロック側からロック解除側へと移動する際にローラ13と第1当接面211とが衝突しないようにして、ロックシャフト21やローラ13の耐久性を向上させると共にノイズの発生を抑制することが可能となる。
【0054】
また、ピストンロッド12が油圧によりロック解除側へと移動する際にローラ13からの力を受ける第1当接面211は、当該ローラ13の外周面の半径(曲率半径)よりも小さい曲率半径を有している。これにより、ピストンロッド12がロック解除側へと移動する間にローラ13からロックシャフト21に付与される軸方向の力(上記法線方向の力の分力)をより大きくすることができるので、パーキングロックの解除に際して油圧アクチュエータ10の油室11fに供給すべき油圧の上昇を抑制することが可能となる。更に、被当接部としてのローラ13をピストンロッド12により回転自在に支持して第1当接面211や第2当接面212上を転動可能とすることで、ローラ13と第1当接面211との間の摩擦抵抗を低下させて両者の耐摩耗性(耐久性)を向上させることができる。
【0055】
図7に示すように、油圧によりピストンロッド12がロック解除側に移動してパーキングロックが解除された後、油圧制御装置からの油圧が油圧アクチュエータ10の油室11fに供給されていれば、パーキングロック状態を維持することができる。ただし、アイドルストップ等により車両のエンジンと当該エンジンにより駆動されるオイルポンプとが停止されると、油圧アクチュエータ10の油室11fに充分な油圧を供給し得なくなり、リターンスプリング16の付勢力によってピストンロッド12がロック側へと移動してしまうおそれがある。このため、パーキングロック装置1を搭載した車両では、例えばアイドルストップ実行条件が成立した段階で、電磁ロック装置20のソレノイド部30のコイル32への通電が開始される。
【0056】
ここで、本実施形態では、上述のように、油圧によりピストンロッド12がロック解除側に移動してパーキングロックが解除されている際、ピストンロッド12のローラ13とロックシャフト21の当接部210すなわち第2当接面212とが互いに離間する。従って、ロックシャフト21は、プランジャ31と共にスプリング35により付勢されて当接部210の第2当接面212がピストンロッド12の軸方向からみてローラ13の外周面の一部と重なり合うように穴部12h内に突出し、ロックシャフト21の大径部23の小径部22側の端面23aは、ヨーク33の吸引部33aと当接する。
【0057】
このように、パーキングロック装置1では、油圧によりピストンロッド12がロック解除側に移動して変速機の回転軸のロックが解除されている際に、スプリング35によって当接部210とピストンロッド12のローラ13とが当接可能となるように付勢されたロックシャフト21の大径部23をソレノイド部30の吸引部33aに確実に当接させ、吸引部33aとプランジャ31との間隔を一定に保っておくことができる。更に、電磁ロック装置20では、ロックシャフト21が非磁性体により形成されることから、ソレノイド部30における磁束の漏れを低減することが可能となる。従って、パーキングロックが解除されている際に、ソレノイド部30のコイル32に通電すれば、プランジャ31に対してより大きな吸引力を速やかに作用させて当該プランジャ31をピストンロッド12から後退しないようにしっかりとロックし、ロックシャフト21がピストンロッド12から後退するのを規制しておくことができる。
【0058】
これにより、アイドルストップの実行によるエンジンの停止に伴って油圧アクチュエータ10への油圧が低下し、スプリング35の付勢力によりピストンロッド12がロック側へと移動し始めても、ローラ13と当接部210のロックシャフト21の第2当接面212との当接によりピストンロッド12の軸方向における移動すなわちロック側への移動を規制することができる。この結果、アイドルストップの実行等により油圧アクチュエータ10への油圧が低下しても、パーキングロック解除状態をより確実に維持することが可能となる。更に、本実施形態において、ロックシャフト21の第2当接面212は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれて図中上側すなわちピストンロッド12の移動方向におけるロック解除側に一定の角度で傾斜するように形成されている。これにより、ロックシャフト21によりピストンロッド12のロック側への移動が規制されている際にローラ13からロックシャフト21に付与される力は、ローラ13と第2当接面212との接触位置に拘わらず一定になる。従って、パーキングロック装置1では、ソレノイド部30の吸引部33aから発生させるべき吸引力(磁力)を必要以上に高める必要がなくなるので、それによりソレノイド部30の大型化を抑制することができる。
【0059】
また、
図7に示すように、油圧によりピストンロッド12がロック解除側に移動してパーキングロックが解除されている状態で、ソレノイド部30のコイル32への通電を断ったまま油圧制御装置から油孔11hへの油圧の供給を停止させれば、油室11fから油孔11hを介して作動油が流出し、ピストン14およびピストンロッド12は、リターンスプリング16の付勢力により図中下側すなわちロック側へと移動する。そして、ピストンロッド12がロック側へと移動し始めると、ローラ13がロックシャフト21の第2当接面212に当接すると共に当該第2当接面212上を転動し、それに伴ってピストンロッド12からロックシャフト21に第2当接面2121と直交する方向の力(法線方向の力)が加えられる。そして、当該法線方向の力の分力(ロックシャフト21の軸方向の力)によって、互いに固定されていないロックシャフト21とプランジャ31とは、スプリング35の付勢力に抗して一体となってリヤキャップ36側(図中右側)に移動する。
【0060】
更に、ピストンロッド12のロック側への移動に伴ってローラ13がロックシャフト21の第2当接面212から離れると、ロックシャフト21とプランジャ31とがスプリング35により付勢されて穴部12hの奥へと押し込まれ(図中左側へと移動し)、ローラ13がロックシャフト21の第1当接面211上を転動するようになる。なお、この際には、ローラ13は、ピストンロッド12と共にロックシャフト21から離間していくことから、基本的に、ローラ13から第1当接面211にロックシャフト21等をリヤキャップ36側に移動させる力が加えられることはない。その後、油圧によりピストンロッド12は更にロック側に移動し、
図2に示す位置(組立状態)で停止する。
【0061】
上述のようにしてピストンロッド12がリターンスプリング16の付勢力によりロック側へと移動を開始してから停止するまでの間に、ディテントレバー8が支軸8sの周りに
図1における反時計方向に回動すると共に、パーキングロッド4が
図1中左側に移動する。これにより、パーキングロッド4の移動に伴ってカムスプリング7により付勢されたカム部材5によってパーキングポール3がパーキングギヤ2と係合するように押圧され、それにより変速機の回転軸がロックされることになる。また、ピストンロッド12がリターンスプリング16の付勢力によりロック側へと移動するのに伴ってローラ13がロックシャフト21の当接部と当接する際にも、当該ローラ13は、第2当接面212や第1当接面211上を転動する。従って、ローラ13と第1当接面211との間の摩擦抵抗を低下させて両者の耐久性を向上させることができる。
【0062】
以上説明したように、電磁ロック装置20のロックシャフト21は、先端に当接部210を有する小径部22と、当該小径部22から当接部210とは反対側に延出された小径部22よりも大径の大径部23とを含むように非磁性体により形成されている。また、プランジャ31には、ロックシャフト21の大径部23が挿入されると共に当該大径部23の当接部210とは反対側の端面23bと当接する底面310bを有する凹部310が形成されている。そして、ロックシャフト21およびプランジャ31は、当接部210がピストンロッド12のローラ13と当接可能となると共に、大径部23の小径部22側の端面23aがソレノイド部30の一部と当接するようにスプリング35によりピストンロッド12側に付勢される。これにより、ソレノイド部30の大型化を抑制しつつ、プランジャ31に対してより大きな吸引力を速やかに作用させることができる。従って、電磁ロック装置20によれば、装置全体のコンパクト化を図りつつ、軸方向(第1方向)に沿って進退移動するピストンロッド12の移動をより確実に規制することが可能となる。
【0063】
また、電磁ロック装置20では、ロックシャフト21が径方向にガタついたとしても、当該ロックシャフト21のガタつきを大径部23の外周面と凹部310の内周面との間のクリアランスにより吸収して、プランジャ31が径方向にガタつくのを抑制することが可能となる。この結果、プランジャ31の外周に形成される磁気ギャップを小さくすることができるので、ソレノイド部30の大型化を抑制しつつ、ソレノイド部30における磁気効率を高めて吸引部33aにプランジャ31を吸引するための吸引力をより大きくすることが可能となる。そして、電磁ロック装置20では、大径部23の外周面とプランジャ31の凹部310の内周面とのクリアランスが大径部23の軸長とプランジャ31の凹部310の深さとの差よりも大きく定められる。これにより、ロックシャフト21のガタつきを当該クリアランスにより良好に抑制しつつ、ソレノイド部30の吸引部33aと大径部23の小径部22側の端面23aとが当接した際の吸引部33aとプランジャ31との間隔を小さくして吸引部33aからプランジャ31に対してより大きな吸引力を速やかに作用させることが可能となる
【0064】
更に、電磁ロック装置20では、ロックシャフト21の軸方向(第2方向)における大径部23の長さが、プランジャ31の凹部310の深さ(軸長)よりも長く定められる。これにより、プランジャ31の凹部310の周囲の端面31aのみがソレノイド部30の吸引部33aと当接することでロックシャフト21が当該ソレノイド部30の吸引部33aとプランジャ31の凹部310の底面310bとの間で軸方向(第2方向)にガタついてしまうのを抑制することが可能となる。加えて、電磁ロック装置20では、ロックシャフト21の大径部23の軸長がプランジャ31の軸方向における最大ストローク長さS
maxよりも大きく定められる。これにより、ロックシャフト21およびプランジャ31が軸方向に移動する際に、大径部23がプランジャ31の凹部310から抜け出してしまうのを抑制することが可能となる。
【0065】
また、電磁ロック装置20のようにプランジャ31を吸引するソレノイド部30の吸引部33aにロックシャフト21の大径部23を当接させることで、ソレノイド部30の構造を単純化すると共に、吸引部33aとロックシャフト21の大径部23とが当接した際の当該吸引部33aとプランジャ31とのギャップを容易に小さくすることが可能となる。ただし、上記ソレノイド部30の吸引部33aから吸引機能を省略し、ヨーク33等の大径部23の端面23aと対向しない部分にプランジャ31を吸引する吸引部を設けてもよい。
【0066】
更に、電磁ロック装置20では、大径部23との境界の近傍における小径部22の外周面が、当接部210側から大径部23の小径部22側の端面23aに向けて先細に形成される。これにより、大径部の端面23aにおける吸引部33aとの当接範囲をできるだけ小径部22側に寄せることが可能となり、大径部23の外径増を抑制して電磁ロック装置20をコンパクト化することができる。
【0067】
また、上記パーキングロック装置1では、油圧によりピストンロッド12をロック解除側に移動させれば、パーキングロックを解除することができる。更に、油圧アクチュエータ10への油圧を低下させれば、リターンスプリング16の付勢力によりピストンロッド12をロック側に移動させて、パーキングロックを実行することができる。そして、パーキングロック解除状態で電磁ロック装置20によりプランジャ31およびロックシャフト21がピストンロッド12から後退するのを規制すれば、油圧アクチュエータ10への油圧が低下したとしても、ロックシャフト21によりピストンロッド12のロック側への移動を規制してパーキングロック解除状態をより確実に維持することが可能となる。なお、パーキングロックの速やかな実行を可能とするために、
図7において二点鎖線で示すように、油圧アクチュエータ10のスプリング室11sに油圧制御装置からの油圧を供給可能としてもよい。
【0068】
更に、パーキングロック装置1では、油圧によりピストンロッド12がロック解除側に移動してパーキングロックが解除されている際に、ピストンロッド12のローラ13と、ロックシャフト21の当接部210とが互いに離間する。これにより、パーキングロックが解除されている際に、スプリング35によって当接部210とピストンロッド12のローラ13とが当接可能となるように付勢されたロックシャフト21の大径部23をソレノイド部30の吸引部33aに確実に当接させておくことができる。従って、パーキングロックが解除されている際にソレノイド部30のコイル32に通電すれば、吸引部33aからの大きな吸引力によりプランジャ31をしっかりとロックしておくことができる。この結果、油圧アクチュエータ10の油圧の低下に伴ってスプリング35の付勢力によりピストンロッド12がロック側へと移動し始めても、ピストンロッド12の更なるロック側への移動をロックシャフト21により規制して、パーキングロック解除状態をより確実に維持することが可能となる。
【0069】
また、ロックシャフト21の第1当接面211は、当接部210側から大径部23側に向かうにつれてロック側に傾斜するように形成されており、スプリング35の付勢力によりピストンロッド12がロック側に移動して回転軸がロックされている際に、ピストンロッド12のローラ13は、ロックシャフト21の第1当接面211と当接する。これにより、ピストンロッド12の移動ストロークを小さくしてパーキングロック装置1のコンパクト化を図ると共に、パーキングロック状態からパーキングロック解除状態へと速やかに移行させることが可能となる。更に、ピストンロッド12がロック側からロック解除側へと移動する際にローラ13と第1当接面211とが衝突しないようにしてロックシャフト21やローラ13の耐久性を向上させると共にノイズの発生を抑制することができる。
【0070】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の外延の範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。また、上記発明を実施するための形態は、あくまで課題を解決するための手段の欄に記載された発明の具体的な一形態に過ぎず、課題を解決するための手段の欄に記載された発明の要素を限定するものではない。