(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、さらに下記(a)および(b)を満足する請求項2に記載のLED用反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(a)7.5≦ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数
(b)ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数≦0.35
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、さらに下記(a’)および(b’)を満足し、熱可塑性樹脂組成物が下記(c)を満足する請求項2または3に記載のLED用反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(a’)7.5≦ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数≦8.2
(b’)0.28≦ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数≦0.35
(c)熱可塑性樹脂組成物のポリアミド樹脂起因の最も低温側に存在するDSC融解ピーク温度が300〜340℃
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位以外の成分として、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合してなることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
白色顔料(B)が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アンチモン、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉛、炭酸バリウム、および炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、強化材としての補強効果に優れるのみならず、新たに見出した課題である、酸化チタンなどの白色顔料の光反射、散乱効果を阻害する問題がほとんどなく、LEDの高輝度化と耐久性向上に有効なLED反射板用熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために、白色顔料と強化材の系で白色顔料の反射特性を阻害しない強化材組成を鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(10)の構成を有するものである。
(1) 熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、白色顔料(B)3〜100質量部、及び針状又は繊維状の強化材(C)5〜100質量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であり、下記(イ)を満足することを特徴とするLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(イ){熱可塑性樹脂(A)の屈折率}−{強化材(C)の屈折率}≧0.02
(2) 強化材(C)が塩基性硫酸マグネシウムウィスカーである(1)に記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(3) 熱可塑性樹脂(A)が、融点290〜350℃の半芳香族ポリアミド樹脂(A1)である(1)または(2)に記載のLED反射板用樹脂組成物。
(4) 半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、さらに下記(a)および(b)を満足する(3)に記載のLED用反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(a)7.5≦ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数
(b)ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数≦0.35
(5) 半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、さらに下記(a’)および(b’)を満足し、熱可塑性樹脂組成物が下記(c)を満足する(3)または(4)に記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(a’)7.5≦ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数≦8.2
(b’)0.28≦ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数≦0.35
(c)熱可塑性樹脂組成物のポリアミド樹脂起因の最も低温側に存在するDSC融解ピーク温度が300℃〜340℃
(6) 半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位以外の成分として、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合してなることを特徴とする(4)〜(5)のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(7) 半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなることを特徴とする(3)〜(6)のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(8) 白色顔料(B)が、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アンチモン、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉛、炭酸バリウム、および炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である(1)〜(7)のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(9) ハンダリフロー耐熱温度が280℃以上であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物。
(10) 熱可塑性樹脂(A)、白色顔料(B)、及び針状又は繊維状の強化材(C)を含有する熱可塑性樹脂組成物を製造するに際し、下記(イ)を満足するように、熱可塑性樹脂(A)と強化材(C)とを選択することを特徴とするLED反射板用熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
(イ){熱可塑性樹脂(A)の屈折率}−{強化材(C)の屈折率}≧0.02
【発明の効果】
【0009】
本発明のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物は、強化材の屈折率がベース樹脂の屈折率よりも低い屈折率であるため、LED発光素子からの光や白色顔料で反射された光がベース樹脂から強化材の方へ入射することを抑制できる。その結果、本発明のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物は、LED発光素子の光の取り出し効率を高めることができる。
また、ベース樹脂がポリアミド樹脂の場合、強化材のpHがアルカリ性であることにより、熱変色を抑制でき、より耐久性に優れたLED反射板の提供を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のLED反射板用樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)、白色顔料(B)、繊維状強化材及び針状強化材からなる群より選択される少なくとも1種の強化材(C)を含有する。
【0011】
本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリサルホン(PSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエステル(PEs)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリメチルペンテン(TPX)、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、フッ素樹脂、ポリアクリレート等があげられる。中でも、ポリアミド、ポリエステル、液晶ポリマー、シクロポリオレフィン、シンジオタクチックポリスチレンは融点が高く、表面実装技術に適応できるため好ましい。この中でも、ポリアミド、ポリエステルがより好ましく、ポリアミドが特に好ましい。
【0012】
本発明で用いるポリアミド樹脂は、特に限定されないがLED反射板用途では、できるだけ高融点で耐熱性に優れることが望まれることから、半芳香族ポリアミド、半脂環族ポリアミド、あるいは、これらのポリアミドの共重合ポリアミド、これらのポリアミドのブレンド物が好ましく、融点としては、290〜350℃程度が成形しやすさ、取り扱い性、省エネなどの点で実用的である。
半芳香族ポリアミド(A1)としては、6T系ポリアミド(例えば、テレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T6I、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T66、テレフタル酸/イソフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T6I66、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/2−メチル−1、5−ペンタメチレンジアミンからなるポリアミド6T/M−5T、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ε−カプロラクタムからなるポリアミド6T6、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/テトラメチレンジアミンからなるポリアミド6T/4T)、9T系ポリアミド(テレフタル酸/1,9−ノナンジアミン/2−メチル−1,8−オクタンジアミン)、10T系ポリアミド(テレフタル酸/1,10−デカンジアミン)、12T系ポリアミド(テレフタル酸/1,12−ドデカンジアミン)、セバシン酸/パラキシレンジアミンからなるポリアミドなどが挙げられる。
半脂環族ポリアミドとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸/1,9−ノナンジアミン/2−メチル−1,8−オクタンンジアミンからなるポリアミド、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸/1,10−デカンジアミンからなるポリアミドなどが挙げられる。
【0013】
これらのポリアミド樹脂の中で、下記の半芳香族ポリアミド樹脂(A1)が、高融点、低吸水性に加えて、優れた耐UV性を実現できる点で好ましい。
この半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、さらに下記(a)および(b)を満足することが好ましい。
(a)7.5≦ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数
(b)ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数≦0.35
【0014】
さらに、この半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位50モル%以上を含有し、さらに下記(a’)および(b’)を満足し、熱可塑性樹脂組成物が下記(c)をも満足することがより好ましい。
(a’)7.5≦ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数≦8.2
(b’)0.28≦ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数≦0.35
(c)ポリアミド樹脂組成物のポリアミド樹脂(A)起因の最も低温側に存在するDSC融解ピーク温度が300℃〜340℃
【0015】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)における炭素数2〜12のジアミン成分としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1、9−ノナメチレンジアミン、2−メチル―1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミンが挙げられ、これらを単独もしくは複数使用することが可能である。炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位が50モル%未満であると、結晶性、力学物性が低下し、好ましくない。
しかしながら、炭素数が9以上のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位からなる半芳香族ポリアミドの場合、300℃以下に融点を有する場合があるため、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、最も低温側にある融点が300℃以上であるポリアミド樹脂が好ましい。
【0016】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)には、構成単位中50%モル以下で他の成分を共重合することができる。共重合可能なジアミン成分としては、1,13−トリデカメチレンジアミン、1,16−ヘキサデカメチレンジアミン、1,18−オクタデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンのような脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびこれらの水添物等が挙げられる。
【0017】
共重合可能な酸成分としては、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ε−カプロラクタム、11−アミノウンデカン酸、ウンデカンラクタム、12−アミノドデカン酸、12−ラウリルラクタムなどのラクタムおよびこれらが開環した構造であるアミノカルボン酸などが挙げられる。
【0018】
なかでも、共重合成分としては、炭素数10〜18のジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合していることが好ましい。さらに好ましくは、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合していることが好ましい。
【0019】
共重合成分がジカルボン酸とジアミンから構成される場合、組み合わせ次第では、融点が300℃未満になるので好ましくない。炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムは、融点及び昇温結晶化温度を調整し成形性を向上させる役割、吸水率を低減させて吸水時の物性変化や寸法変化によるトラブルを改善させる役割、およびフレキシブルな骨格を導入することにより溶融時の流動性を改善する役割を有する。
【0020】
本発明における半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、
7.5≦[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]
を満足することが好ましい。(以下、[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]は、単にアミド結合間の平均炭素原子数と略すことがある。)
【0021】
[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]が7.5未満では、吸水性が高すぎるため、後のリフローハンダ工程で発泡が生じる場合があり、また、熱や光により変色しやすい。一方、LEDのパッケージングにおいてリフレクターに、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂を封止する場合、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂との反応活性点が減少し、密着性が低下し、LEDパッケージの信頼性を大幅に低下させる場合があるため、[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]は8.2以下を満足することがより好ましい。
【0022】
さらに、本発明における半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、
[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]≦0.35
を満足することが好ましい。(以下、[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]は、単に芳香環上の炭素原子比率と略すことがある。)
【0023】
照明や自動車内外装用のLEDリフレクターにおいては、LEDチップから発せられる光を連続的に受けるだけでなく、屋外使用の際に紫外線を受けるため、材料には高い耐UV性が求められる。[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]が0.35を超えると、特に紫外線領域での光の吸収が大きくなり、その光によりポリアミド樹脂の劣化が顕著となる。また、芳香環が存在すると、ポリアミド樹脂が劣化により変色の要因となる共役構造を形成しやすくなり顕著な変色を示す。したがって、ポリアミド樹脂中の芳香環濃度は低い方が好ましい。一方、耐熱性や高融点を達成する目的から、ポリアミド樹脂中の[芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]は、0.28以上を満足することがより好ましい。
【0024】
本発明における半芳香族ポリアミド樹脂(A1)として、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/11−アミノウンデカン酸(ウンデカラクタム)、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/12−アミノドデカン酸(12−ラウリルラクタム)、デカメチレンジアミン/テレフタル酸/11−アミノウンデカン酸(ウンデカラクタム)、デカメチレンジアミン/テレフタル酸/12−アミノドデカン酸(12−ラウリルラクタム)からなるポリアミドが、特に好ましい。なかでも、高融点の観点から、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位として、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を有する場合は、高い耐熱性、流動性、低い吸水性に加えて優れた成形性を実現するために、該構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなる共重合ポリアミド樹脂であることが好ましい。
【0025】
かかる半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、従来の6T系ポリアミド(例えば、テレフタル酸/イソフタル酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T6I、テレフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T66、テレフタル酸/イソフタル酸/アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンからなるポリアミド6T6I66、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/2−メチル−1、5−ペンタメチレンジアミンからなるポリアミド6T/M−5T、テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ε−カプロラクタムからなるポリアミド6T6)の欠点である高吸水性が大幅に改良されているのみならず、LED反射板に必要な耐熱性や表面反射率も高度に満足するという特徴を有する。さらには、ポリアミド11成分に由来するフレキシブルな長鎖脂肪骨格を有することから流動性を確保しやすいという特徴も有する。
【0026】
ヘキサメチレンジアミン(6)とテレフタル酸(T)を等量モルで共縮重合させることにより得られる6Tポリアミドに相当する成分(以下、6T)は、具体的には、下記式(I)で表されるものである。
【0028】
上記6T成分は、半芳香族ポリアミド樹脂(A1)の主成分であり、半芳香族ポリアミド樹脂(A1)に優れた耐熱性、機械的特性などを付与する役割を有する。半芳香族ポリアミド樹脂(A1)中の6T成分の配合割合は、好ましくは55〜75モル%であり、より好ましくは60〜70モル%、さらに好ましくは62〜68モル%である。6T成分の配合割合が上記下限未満の場合、結晶成分である6Tポリアミドが共重合成分により結晶阻害を受け、成形性や高温特性の低下を招くおそれがある。一方、上記上限を超える場合、融点が高くなりすぎ加工時に分解するおそれがあり、好ましくない。
【0029】
11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムを重縮合させることにより得られる11ポリアミド成分(以下、11NY)は、具体的には、下記式(II)で表されるものである。
【0031】
11NY成分は、6T成分の欠点である吸水性、流動性を改良するためのものであり、半芳香族ポリアミド樹脂(A1)の融点及び昇温結晶化温度を調整し成形性を向上させる役割、吸水率を低減させて吸水時の物性変化や寸法変化によるトラブルを改善させる役割、およびフレキシブルな骨格を導入することにより溶融時の流動性を改善する役割を有する。半芳香族ポリアミド樹脂(A1)中の11NY成分の配合割合は、好ましくは45〜25モル%であり、より好ましくは40〜30モル%、更に好ましくは38〜32モル%である。11NY成分の配合割合が上記下限未満の場合、半芳香族ポリアミド樹脂(A1)の融点が十分に低下せず、成形性が不足するおそれがあると共に、得られた樹脂の吸水率を低減させる効果が不十分であり、吸水時に機械的特性が低下するなど物性の不安定さを招くおそれがある。上記上限を超える場合、半芳香族ポリアミド樹脂(A1)の融点が低下しすぎて結晶化速度が遅くなり、成形性が逆に悪くなるおそれがあると共に、6T成分の量が少なくなり、機械的特性や耐熱性が不足するおそれがあり、好ましくない。
【0032】
本発明のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)が、半芳香族ポリアミド樹脂(A1)である場合、DSC測定において、ポリアミド樹脂起因の最も低温側に存在するDSC融解ピーク温度(ダブルピークの場合は低温側の融解ピーク温度)、すなわち低温側融点(Tm)が290〜350℃であることが好ましい。Tmは、より好ましくは、300〜340℃であり、さらに好ましくは、310〜340℃である。Tmが上記上限を超える場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形する際に必要となる加工温度が極めて高くなるため、加工時に熱可塑性樹脂組成物が分解し、目的の物性や外観が得られない場合がある。逆に、Tmが上記下限未満の場合、結晶化速度が遅くなり、いずれも成形が困難になる場合があり、さらには、ハンダ耐熱性の低下を招く恐れがある。Tmが310〜340℃であると、280℃のリフローハンダ耐熱性を満足し、金/錫共晶ハンダ工程にも適応可能になるので好ましい。融点の測定方法としては、105℃で15時間減圧乾燥したポリアミド樹脂をアルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793.901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794.901)で密封状態にして、測定試料を調製した後、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させる。その後、液体窒素からサンプルを取出し、室温で30分間放置した後、再び、示差走査熱量計DSCQ100(TA INSTRUMENTS製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持する。その際に、融解による吸熱のピーク温度を融点(Tm)とする。
【0033】
本発明における半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を主成分とすると共に、アミド結合濃度と芳香環濃度とを特定の範囲に設定しているので、高融点や成形性に加え、低吸水性や流動性のバランスに優れ、さらには耐光性に優れる。このため、かかる半芳香族ポリアミド樹脂(A1)から得られる本発明のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物は、表面実装型LEDの反射板の成形においては、300℃以上の高融点、低吸水であることに加え、薄肉、ハイサイクルな成形が可能である。
【0034】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、上記炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位、または上記炭素数10〜18のジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種の構成単位以外のアミノカルボン酸もしくはラクタムから得られる構成単位を最大20モル%共重合しても良い。
【0035】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)を製造するに際に、使用する触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸もしくはその金属塩やアンモニウム塩、エステルが挙げられる。金属塩の金属種としては、具体的には、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなどが挙げられる。エステルとしては、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを添加することができる。また、溶融滞留安定性向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ化合物を添加することが好ましい。
【0036】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)の96%濃硫酸中20℃で測定した相対粘度(RV)は、0.4〜4.0であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。ポリアミドの相対粘度を一定範囲とする方法としては、分子量を調整する手段が挙げられる。
【0037】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、アミノ基量とカルボキシル基とのモル比を調整して重縮合する方法や末端封止剤を添加する方法によって、ポリアミドの末端基量および分子量を調整することができる。アミノ基量とカルボキシル基とのモル比を一定比率で重縮合する場合には、使用する全ジアミンと全ジカルボン酸のモル比をジアミン/ジカルボン酸=1.00/1.05から1.10/1.00の範囲に調整することが好ましい。
【0038】
末端封止剤を添加する時期としては、原料仕込み時、重合開始時、重合後期、または重合終了時が挙げられる。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、モノカルボン酸またはモノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することができる。末端封止剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。
【0039】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)の酸価およびアミン価としては、それぞれ0〜200eq/ton、0〜100eq/tonであることが好ましい。末端官能基が200eq/tonを超えると、溶融滞留時にゲル化や劣化が促進されるだけでなく、使用環境下においても、着色や加水分解等の問題を引き起こす。一方、ガラス繊維やマレイン酸変性ポリオレフィンなどの反応性化合物をコンパウンドする際は、反応性および反応基に合わせ、酸価および/又はアミン価を5〜100eq/tonとすることが好ましい。
【0040】
半芳香族ポリアミド樹脂(A1)は、従来公知の方法で製造することができ、例えば、原料モノマーを共縮合反応させることによって容易に合成することができる。共縮重合反応の順序は特に限定されず、全ての原料モノマーを一度に反応させてもよいし、一部の原料モノマーを先に反応させ、続いて残りの原料モノマーを反応させてもよい。また、重合方法は特に限定されないが、原料仕込みからポリマー作製までを連続的な工程で進めても良いし、一度オリゴマーを作製した後、別工程で押出し機などにより重合を進める、もしくはオリゴマーを固相重合により高分子量化するなどの方法を用いても良い。原料モノマーの仕込み比率を調整することにより、合成される共重合ポリアミド中の各構成単位の割合を制御することができる。
【0041】
本発明で用いるポリエステル樹脂は、酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族二塩基酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等の多塩基酸を共重合することができる。
これらのうち、耐熱性や目的の融点を有するポリエステルを得るためにはテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸を用いることがより好ましい。
【0042】
また、グリコール成分としては、特に制限されるものでは無いが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオ−ル、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ポリカーボネートグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロパン酸等を共重合することができる。
これらのうち、耐熱性や目的の融点を有するポリエステルを得るためには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコ−ルを用いることが好ましい。
【0043】
特に、LED反射板用樹脂として用いる場合は、ハンダリフロー耐熱の観点から融点が、290℃以上が好ましく、樹脂組成としては、テレフタル酸/1,4−シクロヘキサンジメタノール、ナフタレンジカルボン酸/任意のグリコール、ジフェニルジカルボン酸/任意のグリコールを主成分とするものが好ましく、テレフタル酸/1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
【0044】
熱可塑性樹脂(A)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物において25〜90質量%の割合で存在することが好ましく、より好ましくは40〜75質量%である。熱可塑性樹脂(A)割合が上記下限未満であると、機械的強度が低くなり、上記上限を超えると、白色顔料(B)や強化材(C)の配合量が不足し、所望の効果が得られにくくなる。
【0045】
白色顔料(B)は、反射板の表面反射率を高めるために配合されるものであり、白色顔料(B)としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アンチモン、水酸化チタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、燐酸アルミニウム、燐酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸鉛、炭酸バリウム、および炭酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも一種である。白色顔料(B)は、屈折率がベース樹脂の屈折率より高いことが好ましい。これらの白色顔料の中で屈折率が高く、安定で安価に入手しやすい点で酸化チタンが好ましい。
【0046】
酸化チタンとしては、例えば硫酸法や塩素法により作製されたルチル型およびアナターゼ型の二酸化チタン(TiO
2)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti
2O
3)などが挙げられるが、特にルチル型の二酸化チタン(TiO
2)が好ましく使用される。酸化チタンの平均粒径は、一般に0.05〜2.0μm、好ましくは0.15〜0.5μmの範囲であり、1種で使用しても良いし、異なる粒径を有する酸化チタンを組み合わせて使用しても良い。酸化チタン成分濃度としては、90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上である。また、酸化チタンは、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、ジルコニア等の金属酸化物、カップリング剤、有機酸、有機多価アルコール、シロキサン等で表面処理を施されたものを使用することができる。
【0047】
白色顔料(B)の割合は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、3〜100質量部、好ましくは10〜70質量部である。白色顔料(B)の割合が上記下限未満であると、表面反射率が低下し、上記上限を超えると、物性の大幅な低下や流動性が低下するなど成形加工性が低下するおそれがある。
【0048】
針状又は繊維状の強化材(C)としては、ベース樹脂の熱可塑性樹脂(A)の屈折率より、0.02以上低い屈折率を有するものであれば特に限定されず、従来公知の強化材をベース樹脂の屈折率に応じて使用できる。{熱可塑性樹脂(A)の屈折率}−{強化材(C)の屈折率}は、0.03以上であることが好ましい。
針状強化材としては、例えばチタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、酸化亜鉛ウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、ワラストナイトなどが挙げられる。繊維状強化材及び針状強化材から選択される少なくとも1種を使用する。繊維状強化材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、セラミック繊維、金属繊維などが挙げられ、ガラス繊維としては、0.1mm〜100mmの長さを有するチョップドストランドまたは連続フィラメント繊維を使用することが可能である。ガラス繊維の断面形状としては、円形断面及び非円形断面のガラス繊維を用いることができる。円形断面ガラス繊維の直径は20μm以下、好ましくは15μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。また、物性面や流動性より非円形断面のガラス繊維が好ましい。非円形断面のガラス繊維としては、繊維長の長さ方向に対して垂直な断面において略楕円形、略長円形、略繭形であるものをも含み、偏平度が1.5〜8であることが好ましい。ここで偏平度とは、ガラス繊維の長手方向に対して垂直な断面に外接する最小面積の長方形を想定し、この長方形の長辺の長さを長径とし、短辺の長さを短径としたときの、長径/短径の比である。ガラス繊維の太さは特に限定されるものではないが、短径が1〜20μm、長径2〜100μm程度である。また、ガラス繊維は繊維束となって、繊維長1〜20mm程度に切断されたチョップドストランド状のものが好ましく使用できる。
一般的に、熱可塑性樹脂の屈折率は、1.35〜1.74程度であり、強化材として使用できる物質の屈折率を考慮すると、{熱可塑性樹脂(A)の屈折率}−{強化材(C)の屈折率}は、0.4以下が好ましい。強化材(C)の屈折率は、1.70以下が好ましく、1.65以下がより好ましく、1.60以下が更に好ましく、1.54以下が特に好ましい。
熱可塑性樹脂(A)として、上記の半芳香族ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂を用いる場合は、上記屈折率の差を満足させるため、強化材(C)の屈折率は、1.54以下が好ましい。
【0049】
上記強化材の中で、塩基性硫酸マグネシウムウィスカーが、屈折率が比較的低く、ベース樹脂との屈折率の差をとりやすいので特に好ましい。なかでも、少なくとも表面が塩基性を有するものが、ポリアミド樹脂の熱変色を抑制する傾向が高く、好ましい。
【0050】
針状又は繊維状の強化材(C)の割合は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、5〜100質量部、好ましくは10〜60質量部である。強化材(C)の割合が上記下限未満であると、成形品の機械的強度が低下し、上記上限を超えると、表面反射率、成形加工性が低下する傾向がある。
【0051】
本発明の効果を損なわない範囲で目的に応じて非繊維状又は非針状充填材を含有させることができる。非繊維状又は非針状充填材としては、目的別には強化用フィラーや導電性フィラー、磁性フィラー、難燃フィラー、熱伝導フィラー、熱黄変抑制用フィラーなどが挙げられ、具体的にはガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、アルミナ、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉄、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、赤燐、炭酸カルシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫酸バリウム、および針状ではないワラストナイト、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等が挙げられる。これら充填剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。これらの中では、タルクが昇温時結晶化温度(Tc1)を低下させ成形性が向上することから好ましい。充填材の添加量は最適な量を選択すれば良いが、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して最大50質量部を添加することが可能であるが、樹脂組成物の機械的強度の観点から、0.1〜20質量部が好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。また、繊維状強化材、充填材は熱可塑性樹脂との親和性を向上させるため、有機処理やカップリング剤処理したものを使用するか、または溶融コンパウンド時にカップリング剤と併用することが好ましく、カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤のいずれを使用しても良いが、その中でも、特にアミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤が好ましい。
【0052】
本発明のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物には、従来のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物の各種添加剤を使用することができる。添加剤としては、安定剤、衝撃改良材、難燃剤、離型剤、摺動性改良材、着色剤、可塑剤、結晶核剤、熱可塑性樹脂(A)とは異なる樹脂などが挙げられる。
【0053】
安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの有機系酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤、金属不活性化剤などが挙げられる。ポリアミド用安定剤である銅化合物としては、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、燐酸第二銅、ピロリン酸第二銅、硫化銅、硝酸銅、酢酸銅などの有機カルボン酸の銅塩などを用いることができる。さらに銅化合物以外の構成成分としては、ハロゲン化アルカリ金属化合物を含有することが好ましく、ハロゲン化アルカリ金属化合物としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどが挙げられる。これら添加剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。安定剤の添加量は最適な量を選択すれば良いが、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して最大5質量部を添加することが可能である。
【0054】
衝撃改良剤としては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル共重合体等のビニルポリマー系樹脂、ポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコールまたはポリカプロラクトンまたはポリカーボネートジオールをソフトセグメントとしたポリエステルブロック共重合体、ポリアミドエラストマー、ウレタンエラストマー、アクリルエラストマー、シリコンゴム、フッ素系ゴム、異なる2種のポリマーより構成されたコアシェル構造を有するポリマー粒子などが挙げられる。衝撃改良剤の添加量は最適な量を選択すれば良いが、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して最大30質量部を添加することが可能である。
【0055】
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤と難燃助剤の組み合わせが良く、ハロゲン系難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモビフェニル、臭素化ポリカーボネート、パークロロシクロペンタデカン及び臭素化架橋芳香族重合体等が好ましく、難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、錫酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、モンモリロナイトなどの層状ケイ酸塩、フッ素系ポリマー、シリコーンなどが挙げられる。中でも、熱安定性の面より、ハロゲン系難燃剤としては、ジブロムポリスチレン、難燃助剤としては、三酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、錫酸亜鉛のいずれかとの組み合わせが好ましい。また、非ハロゲン系難燃剤としては、メラミンシアヌレート、赤リン、ホスフィン酸の金属塩、含窒素リン酸系の化合物が挙げられる。特に、ホスフィン酸金属塩と含窒素リン酸系化合物との組み合わせが好ましく、含窒素リン酸系化合物としては、メラミンまたは、メラム、メロンのようなメラミンの縮合物とポリリン酸の反応性生物またはそれらの混合物を含む。その他難燃剤、難燃助剤としては、これら難燃剤の使用の際、金型等の金属腐食防止として、ハイドロタルサイト系化合物やアルカリ化合物の添加が好ましい。難燃剤の添加量は最適な量を選択すれば良いが、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して最大50質量部を添加することが可能である。
【0056】
離型剤としては、長鎖脂肪酸またはそのエステルや金属塩、アマイド系化合物、ポリエチレンワックス、シリコーン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。長鎖脂肪酸としては、特に炭素数12以上が好ましく、例えばステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などが挙げられ、部分的もしくは全カルボン酸が、モノグリコールやポリグリコールによりエステル化されていてもよく、または金属塩を形成していても良い。アマイド系化合物としては、エチレンビステレフタルアミド、メチレンビスステアリルアミドなどが挙げられる。これら離型剤は、単独であるいは混合物として用いても良い。離型材の添加量は最適な量を選択すれば良いが、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して最大5質量部を添加することが可能である。
【0057】
本発明のLED反射板用熱可塑性樹脂組成物は、上述の各構成成分を従来公知の方法で配合することにより製造されることができる。例えば、熱可塑性樹脂(A)の重縮合反応時に各成分を添加したり、熱可塑性樹脂(A)とその他の成分をドライブレンドしたり、または、二軸スクリュー型の押出機を用いて各構成成分を溶融混練する方法を挙げることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によって測定したものである。
【0059】
(1)屈折率
熱可塑性樹脂の屈折率は、未延伸のフィルムについて、JIS K−7142のA法に準じ、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッベ屈折計4形((株)アタゴ製)を用いて測定した。このとき、接触液は1−ブロモナフタレンを使用し、温度23℃、相対湿度65%の条件下にて測定した。
強化材の屈折率は、JIS K−7142のB法(ベッケ線法)に準じ、ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、温度23℃、相対湿度65%の条件下にて測定した。また、文献値があるもの、及び測定が困難なものは文献値に拠った。
【0060】
(2)拡散反射率及びその保持率
東芝機械製射出成形機EC−100を用い、シリンダー温度は樹脂の融点+20℃、金型温度は140℃に設定し、縦100mm、横100mm、厚み2mmの平板を射出成形し、評価用試験片を作製した。この試験片を用いて、日立製作所製の自記分光光度計「U3500」に同社製の積分球を設置し、350nmから800nmの波長の反射率を測定した。反射率の比較には460nm、600nmの波長における拡散反射率を求めた。また、耐熱変色性の評価には、オーブンにて170℃、2時間処理したサンプルの拡散反射率を測定した。
なお、強化材を含有させない場合の評価用試験片の拡散反射率に対する各強化材含有評価用試験片の拡散反射率の比率を、保持率(%)として表記した。
【0061】
(3)曲げ特性、熱変形温度
実施例、比較例のペレットはISO 294−1に従い、試験片を射出成形し物性評価を行った。物性評価の方法は以下の通りである。
曲げ特性・・・ ISO 178
熱変形温度(荷重1.8MPa)・・・ ISO 75−1
(4)ハンダ耐熱性
東芝機械製射出成形機EC−100を用い、シリンダー温度は樹脂の融点+20℃、金型温度は140℃に設定し、長さ127mm、幅12.6mm、厚み0.8mmtのUL燃焼試験用テストピースを射出成形し、試験片を作製した。試験片は85℃、85%RH(相対湿度)の雰囲気中に72時間放置した。試験片はエアリフロー炉中(エイテック製 AIS−20−82C)、室温から150℃まで60秒かけて昇温させ予備加熱を行った後、190℃まで0.5℃/分の昇温速度でプレヒートを実施した。その後、100℃/分の速度で所定の設定温度まで昇温し、所定の温度で10秒間保持した後、冷却を行った。設定温度は240℃から5℃おきに増加させ、表面の膨れや変形が発生しなかった最高の設定温度をリフロー耐熱温度とし、ハンダ耐熱性の指標として用いた。
◎:リフロー耐熱温度が280℃以上
○:リフロー耐熱温度が260℃以上280℃未満
×:リフロー耐熱温度が260℃未満
【0062】
<ポリアミド樹脂1の合成例>
1,6−ヘキサメチレンジアミン7.54kg、テレフタル酸10.79kg、11−アミノウンデカン酸7.04kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN
2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N
2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、樹脂温度を330℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、ポリアミド樹脂1を得た。
得られたポリアミド樹脂1は、6T/11=65/35(モル比)、相対粘度2.1、アミド結合間の平均炭素原子数8.0、芳香環上の炭素原子比率0.281で、融点314℃、屈折率は、1.56であった。
【0063】
<ポリアミド樹脂2の合成例>
1,10−デカメチレンジアミン15.51kg、テレフタル酸14.95kg、11−アミノウンデカン酸2.01kg、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端調整剤として酢酸40gおよびイオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、ポリアミド樹脂1と同様の手法でポリアミド樹脂2を合成した。
得られたポリアミド樹脂2は、10T/11=90/10(モル比)、相対粘度2.0、アミド結合間の平均炭素原子数9.1、芳香環上の炭素原子比率0.312で、融点304℃、屈折率は、1.57であった。
【0064】
<ポリエステル樹脂1の合成例>
米国特許第2901466号明細書に記載の方法によって、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT樹脂)を得た。このPCT樹脂の融点は、290℃、屈折率は、1.57であった。
【0065】
実施例、比較例及び参考例
合成例の熱可塑性樹脂100質量部に対し、酸化チタンの含有量が55質量部、下記の各強化材の含有量が30質量部となるように、離型剤及び安定剤の含有量は、それぞれ0.6質量部になるように、コペリオン(株)製二軸押出機STS−35を用いて、ポリアミド樹脂1、ポリアミド樹脂2に関しては330℃、ポリエステル樹脂1に関しては310℃で溶融混練し、実施例及び比較例の熱可塑性樹脂組成物を得た。また、参考例として強化材を配合しないだけが異なる組成物も得た。評価結果を表1〜3に示す。
【0066】
白色顔料(B)
酸化チタン:石原産業(株)製 タイペークCR−60、ルチル型TiO
2、平均粒径0.2μm
強化材(C)
塩基性硫酸マグネシウムウィスカー(略号:MS):宇部マテリアルズ製、モスハイジA−1、pH9.5、屈折率1.53、平均繊維径0.7μm、平均繊維長28μm、アスペクト比28
ガラス繊維(略号:GF):日本電気ガラス(株)製、T−275H
針状ワラストナイト(略号:WN):(株)NYCO製、NYGLOS8
炭酸カルシウムウィスカー(略号:CC):白石カルシウム製、ウィスカル
硼酸アルミニウムウィスカー(略号:AB):四国化成製、アルボレックス
【0067】
離型剤:ステアリン酸マグネシウム
安定剤:ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャリティーケミカルズ製、イルガノックス1010)
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
白色LEDにおいては、より発光効率を上げるためには、青色LED(発光ピーク440〜460nm)、黄色蛍光体(発光ピーク550〜650nm)の反射率を高めることが重要である。表1〜3から、{熱可塑性樹脂(A)の屈折率}−{強化材(C)の屈折率}≧0.02の特性を有した、塩基性硫酸マグネシウムウィスカーを用いることで、他の強化材に比べ、460nm、600nmでの初期の反射率が高い。
また、170℃2時間の熱処理後でも、高い反射率を維持している。さらに、塩基性硫酸マグネシウムウィスカーでは、十分な補強効果が得られるため、リフロー耐熱試験においても、高い耐熱性を示した。
以上より、{熱可塑性樹脂(A)の屈折率}−{強化材(C)の屈折率}≧0.02の特性を満足する組み合わせにおいて、LED反射板に必要な初期反射率および長期的な反射率維持に格別な効果が確認できた。