(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂製のシーブは金属製のシーブに比べて、ロープの長寿命化を図ることが可能となる一方で、製造コストが高くなる場合がある。また、樹脂製のシーブは、そのロープ溝にロープによる傷痕がつきやすいため、シーブが劣化しているという印象を作業者に与えやすい。このため、耐用年数に達していないにも拘わらずシーブの交換が要求され、結果的にシーブの使用年数が短縮されてしまう可能性もある。
【0006】
このようにしてシーブの交換作業が頻繁に要求されると、新たに高価なシーブをクレーン装置に取り付けることとなるため、さらにコストが上昇してしまう。また、シーブを交換する際には、交換前のシーブからロープを取り外す作業と、交換後のシーブにロープを巻き回す作業とが必要となる。このため、煩雑なシーブの交換作業が頻繁に生じると、作業効率が低下する。
【0007】
本発明は、ロープの長寿命化を図りつつ、コストの上昇および作業効率の低下を抑制できるシーブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様におけるシーブは、ロープを巻き回し可能なロープ溝が外周部に形成された金属製のシーブ本体と、ロープ溝内に着脱可能に設けられ、ロープ溝に沿って延びる樹脂製の溝保護部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の態様では、上記第1の態様において、溝保護部は、シーブ本体の周方向に分割された複数の保護部材から構成されている。
【0010】
本発明の第3の態様では、上記第2の態様において、保護部材の上記周方向での長さは、シーブに保持されたロープと接触していないロープ溝の長さよりも短く設定されている。
【0011】
本発明の第4の態様では、上記第2又は第3の態様において、保護部材は、シーブ本体に対してその径方向に移動させて着脱されるように構成されている。
【0012】
本発明の第5の態様では、上記第2から第4のいずれか一つの態様において、ロープ溝は、シーブ本体の外周縁よりも径方向内側に位置する底面部と、底面部からシーブ本体の外周縁まで延びる一対の側面部と、を有する。また、保護部材は、ロープ溝の底面部に接触する底部と、ロープ溝の一対の側面部に各々接触する一対の側部と、を有する。
【0013】
本発明の第6の態様では、上記第5の態様において、上記底部の厚さは、上記側部の厚さよりも厚く設定されている。
【0014】
本発明の第7の態様では、上記第5又は第6の態様において、上記側面部には、第1取付部が設けられ、上記側部には、第2取付部が設けられている。また、第2取付部が第1取付部に固定されることで、保護部材がロープ溝に取り付けられるように構成されている。
【0015】
本発明の第8の態様では、上記第7の態様において、第1取付部は、上記側面部の縁部に形成されると共に径方向外側に向けて開口する凹部を有している。第2取付部は、上記側部の外面から突出する突出片を有している。また、上記凹部内に上記突出片が固定されるように構成されている。
【0016】
本発明の第9の態様では、上記第8の態様において、固定孔が、上記凹部の底部に設けられ、挿通孔が、上記突出片を貫通して設けられている。また、上記固定孔及び上記挿通孔に挿入された固定部材によって、上記突出片が上記凹部内に固定されるように構成されている。
【0017】
本発明の第10の態様では、上記第7の態様において、第1取付部は、上記側面部に設けられる固定孔を有している。第2取付部は、上記側部を貫通して設けられる挿通孔を有している。また、上記固定孔及び上記挿通孔に挿入された固定部材によって、第2取付部が第1取付部に固定されるように構成されている。
【0018】
本発明の第11の態様では、上記第9又は第10の態様において、上記固定部材は、雄ネジ部を有し、上記固定孔は、雌ネジ部を有している。また、上記固定部材の雄ネジ部が、上記固定孔の雌ネジ部に螺合されるように構成されている。
【0019】
本発明の第12の態様では、上記第7から第11のいずれか一つの態様において、第1取付部及び第2取付部は、保護部材の底部に接触した状態でロープ溝に巻き回されているロープよりも、シーブ本体の径方向外方に位置している。
【0020】
本発明の第13の態様では、上記第5から第12のいずれか一つの態様において、上記一対の側面部の間の距離は、上記底面部からシーブ本体の外周縁に向かうに従い増加するように構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ロープの長寿命化を図りつつ、コストの上昇および作業効率の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0024】
(第1実施形態)
図1A,1Bは、本実施形態のシーブを説明する図である。
図1Aはシーブの平面図であり、
図1Bは
図1Aの1B−1B線断面図である。
図1A,1Bに示すように、本実施形態のシーブ100は、平面形状が円形の金属製のシーブ本体1を備えている。このシーブ本体1は、その中心部において厚さ方向(軸方向)に貫通する軸孔2が形成されたボス部3と、シーブ本体1の外周縁の近傍に位置する外周部4と、シーブ本体1の径方向に延びてボス部3と外周部4とを連結する複数のスポーク部5と、が鋳造により一体成形されている。なお、シーブ本体1の製造方法は鋳造に限定されず、切削加工等を用いてもよい。
【0025】
ボス部3は、円筒状に構成されており、シーブ本体1の厚さ方向の一端面3aに環状凹部6が形成され、シーブ本体1の厚さ方向の他端面3bに上記の環状凹部6に嵌合可能な環状突部7が形成されている。クレーン等の機械装置にシーブ100を取り付ける際には、複数のシーブ本体1を厚さ方向に積層し、隣接するシーブ本体1の環状凹部6と環状突部7とを嵌合した状態で、軸孔2をクレーン等の支持軸に回転可能に支持させる。なお、機械装置に取り付けられるシーブ本体1の数は、ロープの巻き回し数や定格荷重等に応じて決定される。このため、シーブ本体1は1つのみで使用してもよいし、上記のように複数積層して使用してもよい。
【0026】
外周部4は、シーブ本体1の外周縁から、ボス部3側すなわちシーブ本体1の中心側に向かって、シーブ本体1の半径の1/5程度の範囲を占める部位である。この外周部4は、その外周縁がボス部3と同程度の厚さであり、シーブ本体1の中心に向かうにしたがって厚さが漸減するように構成されている。
【0027】
スポーク部5は、上記したように、シーブ本体1の径方向に延びてボス部3と外周部4とを互いに連結する部位である。シーブ本体1の周方向に複数のスポーク部5(本実施形態では6個)が、等間隔に離間して設けられている。このスポーク部5は、ボス部3から外周部4に向かうにしたがって厚さ(軸方向での厚さ)が漸減しており、ボス部3に連結する部分はこのボス部3と同程度の厚さを有し、外周部4に連結する部分はこの外周部4と同程度の厚さを有している。
【0028】
シーブ本体1には、隣り合うスポーク部5の間に、このスポーク部5よりも薄い薄肉部8が形成されている。この薄肉部8は、他の部位よりも薄肉化することでシーブ本体1の軽量化に寄与している。薄肉部8は、本実施形態では、ボス部3側から外周部4側に向かって周方向の幅が漸増する略扇状に形成されている。また、薄肉部8の厚さは、スポーク部5の厚さよりも薄い一定の寸法となっている。なお、さらなる軽量化を実現するために、薄肉部8には、シーブ本体1の厚さ方向に貫通する肉抜き孔9が形成されている。
【0029】
シーブ本体1の外周面(外周部4)には、ロープを巻き回し可能な環状のロープ溝20が形成されており、このロープ溝20に、複数の保護部材30が取り付けられている。すなわち、ロープ溝20は、シーブ本体1の周方向に沿って形成されている。以下に、シーブ本体1のロープ溝20と、保護部材30の構成について説明する。
【0030】
図2Aは、
図1Bの部分拡大図であり、
図2Bは、保護部材30の平面図である。
図2Aに示すように、シーブ本体1の外周面には、このシーブ本体1の外周縁から径方向内側に窪むロープ溝20が形成されている。このロープ溝20は、シーブ本体1の最も径方向内側の位置に設けられる底面部20aと、この底面部20aからシーブ本体1の外周縁まで延びる一対の側面部20bと、を備えている。これら一対の側面部20bの間の、シーブ本体1の厚さ方向での距離(離間距離)は、底面部20aからシーブ本体1の外周縁に向かうに従い漸増している。換言すれば、対向する一対の側面部20bは、底面部20a側の離間距離が最も小さく、ロープ溝20の開口側となるシーブ本体1の外周縁側の離間距離が最も大きくなるように傾斜している。
【0031】
ロープ溝20を構成する一対の側面部20bには、固定孔21(第1取付部)がそれぞれ形成されている。この固定孔21は、ロープ溝20の周方向(シーブ本体1の周方向)に複数(本実施形態では12個)形成されている。固定孔21は、
図2Aに示すように、側面部20bを貫通して設けられている。また、後述する保護部材30をロープ溝20に取り付けるための固定部材としてのネジ部材25(平頭皿ネジ、雄ネジ部を備える)が螺合可能なように、固定孔21の内周面にはネジ溝(雌ネジ部)が形成されている。すなわち、ネジ部材25の雄ネジ部が、固定孔21の雌ネジ部に螺合されるように構成されている。
【0032】
保護部材30は、ロープ溝20に沿って延びる樹脂製の部材である。保護部材30は、
図2Bに示すように、環状のロープ溝20の周方向長さ(全周の長さ)に対して、約1/6程度の長さとなっている。つまり、本実施形態のシーブ100においては、ロープ溝20の周方向(シーブ本体1の周方向)に分割された複数(6つ)の保護部材30が設けられている。複数の保護部材30は、ロープ溝20の内面を全周に亘って覆っているため、これら複数の保護部材30が、ロープ溝20に沿って延びると共にロープ溝20を保護するための溝保護部Gを構成している。すなわち、本実施形態のシーブ100は、シーブ本体1と、複数の保護部材30からなる溝保護部Gと、を備える。
【0033】
この保護部材30は、
図2Aに示すように、ロープ溝20に嵌合する断面形状を有している。換言すれば、保護部材30は、ロープ溝20の内面に密着可能に構成されている。より詳細には、保護部材30は、ロープ溝20の底面部20aに対向する底部30aと、ロープ溝20の一対の側面部20bに各々対向する一対の側部30bと、を有している。保護部材30をロープ溝20に取り付けた状態では、保護部材30は、底部30aの外面が底面部20aに接触し、側部30bの外面が側面部20bに接触する寸法関係を維持している。したがって、ロープ溝20と同様に、保護部材30における一対の側部30bのうち、底部30a側の離間距離が最も小さい。すなわち、一対の側部30bの、シーブ本体1の厚さ方向での離間距離が、底部30aからシーブ本体1の外周縁に向かうに従い漸増している。
【0034】
また、保護部材30における一対の側部30bには、これら側部30bの内側から外側、すなわち、厚さ方向に貫通し、上述のネジ部材25(固定部材)が挿通される挿通孔31(第2取付部)がそれぞれ形成されている。挿通孔31は、
図2Aに示すように円錐状に形成されており、保護部材30をロープ溝20に嵌合させたときに、ロープ溝20の固定孔21に対向する位置に配されている。
【0035】
保護部材30をロープ溝20に嵌合させ、固定孔21に挿通孔31を対向させた状態で、挿通孔31にネジ部材25を挿通して、ネジ部材25を固定孔21に螺合させる。このように、ネジ部材25を固定孔21に螺合させることで生じる締結力により、保護部材30はロープ溝20に取り付けられる。したがって、保護部材30を交換する際には、ネジ部材25を取り外すことで、新たな保護部材30に簡単に交換を行うことが可能となっている。つまり、本実施形態の保護部材30は、シーブ本体1のロープ溝20に着脱可能に設けられている。また、保護部材30は、ネジ部材25を取り外した状態において、シーブ本体1に対してその径方向に移動させて着脱されるように構成されており、シーブ本体1の一部を取り外したり変形させたりする等の作業を要しない。
【0036】
なお、ネジ部材25によって保護部材30をロープ溝20に取り付けた状態では、ネジ部材25が挿通孔31内に完全に埋没するか、ネジ部材25の平頭部と側部30bの内面とが面一となるように構成されていることが望ましい。この場合、ロープ溝20に巻き回されたロープが、ネジ部材25に接触して損傷したり、ロープとの摩擦によってネジ部材25が緩み、その締結力が弱まったりすることを防止できる。
【0037】
また、本実施形態では、固定孔21(第1取付部)および挿通孔31(第2取付部)が、保護部材30の底部30aに接触した状態でロープ溝20に巻き回されているロープR(
図2Aにおいて破線の円で示す)よりも、シーブ本体1の径方向外方に位置している。このように、正常に巻き回されているロープが接触しない位置に第1・第2取付部を配することによっても、ネジ部材25がロープによって損傷したりその締結力が弱まったりすることを防止できる。また、ロープがネジ部材25によって損傷することも防止できる。なお、使用状況によっては、ロープの繰り入れ、繰り出しの際に、ロープがシーブ本体1の幅方向に5度程度ずれて、側部30bに乗り上げる場合があるが、この場合にもロープが接触しない位置に第1・第2取付部を設けることがより望ましい。さらには、本実施形態では、固定孔21が側面部20bの厚さ方向に貫通することとしたが、固定孔21は非貫通であってもよい。また、固定孔21を、ネジ溝が形成されていない貫通孔で構成し、固定部材としてボルト及びナットを用いることも可能である。この場合、固定孔21及び挿通孔31に挿入されたボルトにナットを螺合することで、これらのボルト及びナットによって固定孔21と挿通孔31とが互いに固定され、側面部20bと側部30bとが締結される。
【0038】
図3は、ロープ溝20に取り付けられた状態の保護部材30を説明する図である。
図3に示すように、複数(本実施形態では6つ)の保護部材30を、ロープ溝20(
図3では図示せず)の周方向に沿って連続的に取り付けることで、ロープ溝20が全周に亘って保護部材30によって被覆される。これにより、シーブに巻き回されたロープは、常に樹脂製の保護部材30に接触する。ロープや吊り荷の荷重によって保護部材30が圧縮されて変形すると、ロープと保護部材30との接触面積が増大することから、金属製のロープ溝20に直接ロープを巻き回す場合に比べて、ロープが損傷しにくく、ロープの長寿命化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態のように、ロープ溝20にのみ保護部材30が設けられることから、シーブ全体を樹脂で製造する場合に比べて低コストでの製造が可能となり、コストの上昇を抑制することができる。
【0040】
しかも、本実施形態によれば、保護部材30が、ロープ溝20に対して着脱可能に設けられている。したがって、保護部材30に傷がついた場合等には、保護部材30のみを交換すればよく、シーブ全体を交換する場合に比べてランニングコストを抑制することも可能となる。
【0041】
さらには、本実施形態によれば、保護部材30がロープ溝20の周方向に複数に分割して設けられているので、保護部材30の交換作業を簡素化することができる。
図3を用いて具体的に説明すると、シーブに巻き回されるロープRは、ロープ溝20(溝保護部G)の全周に対して、最大でも約半分程度の範囲で接触する。また、各保護部材30の、シーブ本体1の周方向での長さは、シーブ100に保持されたロープRと接触していないロープ溝20の長さ(
図3において鉛直方向に延びている一対のロープR間に位置するロープ溝20の周方向での長さ)よりも短く設定されている。このため、ロープRがロープ溝20(溝保護部G)の約半周に亘って接触している状態では、本実施形態における6つの保護部材30のうち、鉛直下方に位置する2つの保護部材30には、ロープRが接触しない。
【0042】
したがって、例えば、1つのシーブについて、一部の保護部材30を交換する場合には、交換対象の保護部材30が、ロープRに対して非接触となる位置までシーブを回転させれば、ロープRをシーブから取り外すことなく、保護部材30の交換を行うことが可能となる。本実施形態の保護部材30は、ネジ部材25を取り外した状態において、シーブ本体1に対してその径方向に移動させるのみで着脱されるように構成されているため、ロープをシーブに巻き回した状態での交換作業を容易に実施できる。また、1つのシーブについて、全ての保護部材30を交換する場合であっても、ロープRが非接触となる位置で保護部材30を交換した後に、シーブを約60度回転させれば、次の保護部材30を同様の方法で簡単に交換することができる。このように、周方向に分割された複数の保護部材30を用いることで、メンテナンス性および作業効率を著しく向上することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、分割された6つの保護部材30を用いる場合について説明したが、保護部材30の数はこれに限定されるものではなく、ロープの配置状況や作業手順等に基づいて適宜変更してよい。また、本実施形態の保護部材30の材質は、樹脂で構成されていればよく、その具体的な材質は特に限定されるものではない。保護部材30の材質としては、例えば、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリイミド(PI)系樹脂、ポリアミドイミド(PAI)系樹脂など、エンジニアリングプラスチック、汎用樹脂材料、あるいは、スーパーエンジニアリングプラスチック等を広く適用可能である。
【0044】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
図4は、本発明の第2実施形態におけるシーブの一部を示す平面図である。
図5は、
図4の5−5線断面図である。
図6は、保護部材の平面図である。
図7は、
図6の7−7線断面図である。
図8は、保護部材の斜視図である。
図9は、本発明の第2実施形態における保護部材の変形例を示す斜視図である。
【0045】
図4,5に示すように、本実施形態におけるシーブ200は、第1実施形態におけるシーブ100と同様に、クレーン装置等に設けられ、ロープが巻き回された状態で使用される。シーブ200は、シーブ本体1と、シーブ本体1のロープ溝20内に設けられると共にロープ溝20の内面を保護するための溝保護部Gとを備えている。この溝保護部Gは、シーブ本体1の周方向に分割された複数の保護部材40から構成されている。本実施形態では、8つの保護部材40がシーブ本体1に取り付けられている。
【0046】
保護部材40をロープ溝20に取り付けるための構成として、シーブ本体1には、側面部20bの縁部(径方向外側の縁部)に形成されると共に径方向外側に向けて開口する凹部22(第1取付部)が形成されている。
【0047】
保護部材40は、第1実施形態の保護部材30と同様に、樹脂から構成されている。本実施形態の保護部材40は、溶融した樹脂を金型内に射出し充填することで樹脂製品を製造する射出成形を用いて製造されているが、これに限定されるものではなく、切削加工等を用いて製造してもよい。
保護部材40の、シーブ本体1の周方向での長さは、シーブ200に保持されたロープと接触していないロープ溝20の周方向での長さよりも短く設定されている。
【0048】
保護部材40は、ロープ溝20の底面部20aに対向し接触する底部40aと、一対の側面部20bに各々対向し接触する一対の側部40bと、を備えている。
一対の側部40bには、その外面から突出して設けられる突出片41(第2取付部)が各々設けられている。突出片41は、側部40bからシーブ本体1の厚さ方向(軸方向)に突出している。突出片41は、側部40bと一体的に成形され、側部40bの縁部(径方向外側の縁部)近傍に設けられている。また、突出片41は、保護部材40のロープ溝20内への取付け時において、側面部20bにおける凹部22内へ配置される位置に設けられている。
【0049】
側面部20bにおける凹部22の底部には、シーブ本体1の径方向に延びる固定孔23が形成されている。固定孔23の内面には雌ネジ部が形成されている。本実施形態の固定孔23は、側面部20bを貫通して設けられているが、非貫通の孔部であってもよい。
突出片41には、シーブ本体1の径方向で貫通する挿通孔42が設けられている。挿通孔42は、突出片41が凹部22内に配置されたときに、固定孔23と連通する位置に設けられている。
突出片41を凹部22内に固定するために、ボルト26(固定部材)が使用される。突出片41の挿通孔42に挿入されたボルト26の雄ネジ部を、凹部22の固定孔23に挿入し螺合することで、突出片41が凹部22内に固定される。すなわち、ボルト26を用いて突出片41が側面部20bの凹部22内に固定されることで、保護部材40がロープ溝20に取り付けられるように構成されている。
【0050】
図6,7に示すように、突出片41の、シーブ本体1(
図4参照)の周方向での両端には、補強板43がそれぞれ接続されている。補強板43は、突出片41と側部40bの外面とを連結しており、突出片41の強度を向上させるために設けられている。
側部40bの縁部は、周方向に連続して延びるように形成されている。換言すれば、保護部材40には、挿通孔42に挿入されたボルト26の頭部が配置される領域と、保護部材40の内側領域(ロープが配置される領域)とを区画する仕切り部44が設けられている。仕切り部44により、ロープがボルト26によって損傷することを確実に防止できる。
【0051】
図7,8に示すように、底部40aの厚さ(シーブ本体1の径方向での厚さ)は、側部40bの厚さ(側部40bの表面に垂直な方向での厚さ)よりも厚く設定されている。
ロープ溝20における底面部20aの、周方向に直交する方向での断面形状は、径方向外側に向かって凹となる円弧状に形成されている(
図5参照)。また、保護部材40における底部40aの内面の、周方向に直交する方向での断面形状も、径方向外側に向かって凹となる円弧状に形成されている。ここで、底部40aと側部40bとの各厚さを同一に設定すると、保護部材40はロープ溝20の内面に接して取り付けられるために、底部40aの内面での曲率が、底面部20aの曲率よりも小さくなる。
本実施形態での保護部材40は、底部40aの内面での曲率が底面部20aでの曲率と等しい値(又は近い値)となるように、底部40aの厚さが側部40bの厚さよりも厚くなるように構成されている。このため、保護部材40をロープ溝20に取り付けたシーブ200、及び保護部材40を全て取り外したシーブ本体1のいずれにおいても、同じ太さのロープを使用することが可能となる。クレーン装置等の使用態様に応じて、保護部材40を取り付けた状態、及び取り外した状態を任意に選択することができる。また、保護部材40が損傷又は交換時期に達したが、新たな保護部材40の入手が難しい場合に、シーブ本体1のロープ溝20へ直接にロープを巻き回してクレーン装置を使用することも可能である。
【0052】
本実施形態での保護部材40は射出成形を用いて成形しているが、側部40bよりも厚い底部40aの成形が、この射出成形では適切に行われない場合がある。金型内に射出された溶融樹脂は、一定の射出圧力を維持することで金型内の各部へ充填されるが、他の部分よりも厚い底部40aを成形する部分では、大きな空間が形成されているため、欠陥(気泡の発生、陥没、溶融樹脂の未充填等)が発生する可能性がある。
そこで、保護部材40における底部40aの外面には、多数の孔部45が形成されている。多数の孔部45が底部40aに形成されているため、射出成形における金型の、底部40aに相当する部分の空間が縮小され、射出時における欠陥を防止することが可能となる。また、底部40aには孔部45が形成されているが、その外面、すなわちロープ溝20の底面部20aに接する表面の位置は、孔部45を形成しない場合と同一であり、底部40aの厚さが側部40bよりも厚いという構成も確保できる。
なお、射出成形用の金型から成形後の保護部材40を容易に取り出すため、多数の孔部45の延びる方向(底部40aの厚さ方向)を全て等しくすることが好ましい。
【0053】
この第2実施形態における保護部材40には、以下の変形例が考えられる。
図9は、本発明の第2実施形態における保護部材の変形例を示す斜視図である。
図9に示すように、本変形例における保護部材40には、補強板43が設けられていない。補強板43を設けることなく突出片41の強度が確保できる場合は、補強板43を省略することも可能である。
また、底部40aの外面には、複数の孔部45に代えて、複数の溝部46が形成されている。溝部46は、周方向に延びて形成されている。溝部46を形成することによっても、射出成形における金型の、底部40aに相当する部分の空間を縮小することができ、射出時における欠陥を防止できる。ただし、底部40aにおける外面(ロープ溝20と接触する面)の面積に関しては、孔部45を形成した場合の面積が、溝部46を形成した場合の面積よりも多くなる。このため、ロープからの圧縮荷重を受ける底部40aの高い強度を確保するためには、底部40aには複数の孔部45を形成することがより好ましい。
【0054】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態には限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。すなわち、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲において設計要求等に基づき、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、一対の側面部20bの間の距離は、底面部20aからシーブ本体1の外周縁に向かうに従い増加している。しかし、この構成には限定されず、一対の側面部20bの間にロープが配置される隙間を確保すれば、一対の側面部20bを互いに平行に設けることも可能である。また、この場合には、一対の側部30b(40b)も互いに平行に設けられる。
【0056】
上記第2実施形態では、保護部材40をロープ溝20に取り付けるために、ボルト26が用いられている。このボルト26に代えて、固定部材としてボルト及びナットを使用することも可能である。この場合、凹部22における固定孔23の内面に形成された雌ネジ部を省略できる。
また、上記実施形態では保護部材をロープ溝に取り付けるためにネジ部材やボルトが使用されているが、この構成に代えて、側部30bの外面や突出片41の下面に、係合爪を設ける構成を採用してもよい。この場合、側面部20bの内面や凹部22の底部に、上記係合爪を係合可能な係合部が設けられる。すなわち、係合部に係合爪を係合させることで保持部材のロープ溝への取付けが完了するため、ネジ部材等の固定部材を省略できる。
【0057】
また、上記実施形態のシーブは、デッキクレーンに限らず、種々のクレーン装置、さらには、他の機械装置に広く適用可能であり、用途や適用可能な機械装置は特に限定されるものではない。