特許第6015799号(P6015799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6015799
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】調光装置及び光源装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20161013BHJP
   H01S 5/062 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
   H01S5/062
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-73418(P2015-73418)
(22)【出願日】2015年3月31日
【審査請求日】2016年7月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】野田 完三
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−186972(JP,A)
【文献】 特開2013−168585(JP,A)
【文献】 特開2011−165496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
H01S 5/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発するレーザ光源の明るさを制御するために、入力される調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記調光値が第1調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力値を制御する第1電力制御部と、
前記調光値が前記第1調光値領域よりも暗い第2調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力値を一定にしつつ、前記レーザ光源に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を制御する第2電力制御部と、
前記調光値が前記第2調光値領域よりも暗い第3調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を一定にしつつ、前記レーザ光源に供給する電力値を制御する第3電力制御部と、を備える調光装置。
【請求項2】
前記第3電力制御部は、前記調光値が前記第3調光値領域における最も暗い値である際に、前記レーザ光源が自然放出により発光するような電力値を、前記レーザ光源に供給する請求項1に記載の調光装置。
【請求項3】
前記第3電力制御部は、前記調光値が前記第3調光値領域における最も明るい値である際に、前記レーザ光源が誘導放出により発光するような電力値を、前記レーザ光源に供給する請求項2に記載の調光装置。
【請求項4】
レーザ光を発するレーザ光源と、
入力される調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力を制御する請求項1〜3の何れか1項に記載の調光装置と、を備える光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光源に供給する電力を制御する調光装置と、該調光装置を備える光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調光装置として、入力される調光値に基づいて、LEDや有機EL等の光源に供給する電力を制御する調光装置が、知られている(例えば、特許文献1)。該調光装置は、入力される調光値が最も明るい領域の値である際に、光源に供給する電流値を制御し、入力される調光値が次に明るい領域の値である際に、光源に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を制御している。
【0003】
なお、入力される調光値が最も暗い領域の値である際には、光源は、発光しない、又は、殆ど発光しない。したがって、入力される調光値が最も暗い領域の値である際には、光源の調光の要望が無かった。それにより、調光装置も、入力される調光値が最も暗い領域の値である際には、光源の調光を実施していなかった。
【0004】
ところで、最近、光源として、レーザ光を発するレーザ光源が、知られている。該レーザ光源は、LEDや有機ELの光源よりも高出力であるため、入力される調光値が最も暗い領域の値である際でも、充分に発光する。したがって、幅広い調光を実現するために、レーザ光を発するレーザ光源に対しては、入力される調光値が最も暗い領域の値であっても、調光の要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−165496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、幅広い調光を実現することができる調光装置及び光源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
調光装置は、レーザ光を発するレーザ光源の明るさを制御するために、入力される調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記調光値が第1調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力値を制御する第1電力制御部と、前記調光値が前記第1調光値領域よりも暗い第2調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を制御する第2電力制御部と、前記調光値が前記第2調光値領域よりも暗い第3調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力値を制御する第3電力制御部と、を備える。
【0008】
また、調光装置においては、前記第3電力制御部は、前記調光値が前記第3調光値領域における最も暗い値である際に、前記レーザ光源が自然放出により発光するような電力値を、前記レーザ光源に供給する、という構成でもよい。
【0009】
また、調光装置においては、前記第3電力制御部は、前記調光値が前記第3調光値領域における最も明るい値である際に、前記レーザ光源が誘導放出により発光するような電力値を、前記レーザ光源に供給する、という構成でもよい。
【0010】
また、光源装置は、レーザ光を発するレーザ光源と、入力される調光値に基づいて、前記レーザ光源に供給する電力を制御する前記調光装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
以上の如く、本発明に係る調光装置及び光源装置は、幅広い調光を実現することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る光源装置の全体図であって、制御ブロック図である。
図2】同実施形態に係る調光装置の制御を説明する図であって、調光値に対するオンデューティ比の関係を示す図である。
図3】同実施形態に係る調光装置の制御を説明する図であって、調光値に対する電流値の関係を示す図である。
図4】同実施形態に係るレーザ光源の特性を説明する図であって、電流値に対する光出力の関係を示す図である。
図5】同実施形態に係る調光装置の制御の効果を説明する図であって、調光値に対する光出力の関係を示す図である。
図6】同実施形態に係る調光装置の制御の効果を説明する図であって、電流値に対する光出力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、調光装置及び光源装置における一実施形態について、図1図6を参酌して説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る光源装置1は、レーザ光を発するレーザ光源2と、レーザ光源2を調光するために調光値の情報を入力する入力装置3とを備えている。そして、光源装置1は、入力装置3に入力される調光値に基づいて、レーザ光源2の明るさを制御する調光装置4を備えている。
【0015】
レーザ光源2は、レーザ光を発する少なくとも一つの半導体レーザを備えている。該半導体レーザは、1つのエミッタを有するCANタイプでもよく、複数のエミッタを有するアレイタイプでもよく、また、外部共振器型半導体レーザであってもよい。そして、光源装置1は、例えば、投影装置(プロジェクタ等)、照明装置(ファイバ照明装置、スポット照明装置等)等に用いられる。
【0016】
入力装置3は、ユーザが所望の調光値を入力するために、ユーザに操作される操作部3aを備えている。本実施形態においては、操作部3aは、スライドスイッチとしているが、斯かる構成に限られず、例えば、回転スイッチ、テンキースイッチ等でもよい。そして、入力装置3は、例えば、操作部3aのスイッチ位置をアナログ電圧値として検出し、当該アナログ電圧値をデジタルデータに変換した後、DMX通信等のシリアル通信にて調光装置4に調光値のデータを送信する。
【0017】
なお、入力装置3は、操作部3aの操作の有無に関わらず、調光値を、所定の周期で連続的に調光装置4へ送信している。そして、調光値は、通信周波数に応じた周期で、入力装置3から調光装置4に連続的に送信される。例えば、調光値は、通信周波数が44Hzである場合には、22.7ms(=1/44Hz)ごとに、入力装置3から調光装置4に送信される。なお、入力装置3は、操作部3aが操作されて調光値が変更された際に、調光値のデータを調光装置4へ送信する、という構成でもよい。
【0018】
また、調光値は、レーザ光源2の階調(調光値変化量)の数に応じたビット数のデータである。例えば、調光値は、レーザ光源2の階調が256階調である場合には、8ビットのデータであり、また、レーザ光源2の階調が512階調である場合には、9ビットのデータとなる。
【0019】
調光装置4は、入力装置3から送信された調光値を受信して入力値として入力される入力部5と、各種データを記憶する記憶部6とを備えている。また、調光装置4は、レーザ光源2の明るさを制御するために、入力部5に入力される調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する直流電力を制御する制御部7と、レーザ光源2に向けて電力を出力する出力部8とを備えている。
【0020】
制御部7は、調光値が第1調光値領域の値である際に、レーザ光源2に供給する電力を制御する第1電力制御部7aと、調光値が第1調光値領域よりも暗い第2調光値領域の値である際に、レーザ光源2に供給する電力を制御する第2電力制御部7bとを備えている。また、制御部7は、調光値が第2調光値領域よりも暗い第3調光値領域の値である際に、レーザ光源2に供給する電力を制御する第3電力制御部7cを備えている。
【0021】
本実施形態に係る光源装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る調光装置4の制御方法について、図2及び図3を参酌して説明する。
【0022】
図2及び図3に示すように、本実施形態においては、レーザ光源2の階調は、512階調とし、調光値の最大値は、「511」であり、調光値の最小値は、「0」である。そして、調光値の数値が大きいほど、レーザ光源2が明るいことを示している。なお、図2に係る調光値とオンデューティ比との関係の情報、及び、図3に係る調光値と電流値との関係の情報は、記憶部6に記憶されている。
【0023】
第1調光値領域R1の調光値は、最大値「511」から第1設定値「S1」(例えば、最大値「511」の40%〜80%)までの範囲であり、第2調光値領域R2の調光値は、第1設定値「S1」から第2設定値「S2」(例えば、最大値「511」の3%〜10%)までの範囲であり、第3調光値領域R3の調光は、第2設定値「S2」から最小値「0」までの範囲である。なお、第1及び第2設定値S1,S2は、記憶部6に記憶されており、既定値としてもよく、また、例えば、入力装置3で入力されることで変更可能であってもよい。
【0024】
第1電力制御部7aは、図3に示すように、入力部5に入力される調光値が第1調光値領域R1の値である際に、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する電流値を制御している。第1電力制御部7aの制御においては、調光値と電流値とは、比例関係である。
【0025】
例えば、調光値が第1調光値領域R1における最も明るい値(即ち、最大値であって、調光値「511」)の際に、電流値は、「I511」(例えば、レーザ光源2の定格電流の70%〜100%)である。そして、例えば、調光値が第1調光値領域R1における最も暗い値(即ち、最小値であって、第1設定値「S1」)の際に、電流値は、「IS1」(例えば、レーザ光源2の定格電流の30%〜80%)である。
【0026】
また、第1電力制御部7aは、図2に示すように、レーザ光源2に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比、即ち、オンデューティ比(=オン時間/(オン時間+オフ時間))を一定値「DR1」(例えば、90%〜100%)としている。即ち、第1電力制御部7aの制御においては、調光値に関わらず、レーザ光源2に供給する電力のオンデューティ比は、一定である。
【0027】
第2電力制御7b部は、入力部5に入力される調光値が第2調光値領域R2の値である際に、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比、即ち、オンデューティ比を制御している。第2電力制御部7bの制御においては、調光値とオンデューティ比とは、比例関係である。
【0028】
例えば、調光値が第2調光値領域R2における最も明るい値(即ち、最大値であって、第1設定値「S1」)の際に、オンデューティ比は、「DS1」である。なお、調光値が第2調光値領域R2における最も明るい値である際のオンデューティ比「DS1」は、調光値が第1調光値領域R1の値である際のオンデューティ比「DR1」と同じである。
【0029】
また、例えば、調光値が第2設定値「S2」の際に、オンデューティ比は、「DS2」(例えば、5%〜15%)である。なお、調光値が第2調光領域R2における最も暗い値(即ち、最小値であって、第2設定値「S2」)である際の、オンデューティ比「DS2」は、人間の目でちらつきなどを感じないPWM周波数(概ね100Hz以上)で、出力部8のスイッチング素子のターンオン時間、ターンオフ時間や時定数で実現可能なオン時間で決定される。
【0030】
また、第2電力制御部7bは、図3に示すように、レーザ光源2に供給する電流値を一定値「IR2」としている。即ち、第2電力制御部7bの制御においては、調光値に関わらず、レーザ光源2に供給する電流値は、一定である。なお、調光値が第2調光値領域R2の値である際の電流値「IR2」は、調光値が第1調光値領域R1の値の最も暗い値である際の電流値「IS1」と同じである。
【0031】
第3電力制御部7cは、入力部5に入力される調光値が第3調光値領域R3の値である際に、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する電流値を制御している。第3電力制御部7cの制御においては、調光値と電流値とは、比例関係である。
【0032】
例えば、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値(即ち、最大値であって、第2設定値「S2」)の際に、電流値は、「IS2」である。なお、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値の際の電流値「IS2」は、調光値が第2調光値領域R2の値である際の電流値「IR2」と同じである。
【0033】
また、例えば、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値(即ち、最小値であって、調光値「0」)の際に、電流値は、「I0」(例えば、レーザ光源2の定格電流の5%〜30%)である。本実施形態においては、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値である際も、レーザ光源2は、発光している。
【0034】
また、第3電力制御部7cは、図2に示すように、レーザ光源2に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比、即ち、オンデューティ比を一定値「DR3」としている。即ち、第3電力制御部7cの制御においては、調光値に関わらず、レーザ光源2に供給する電力のオンデューティ比は、一定である。なお、調光値が第3調光値領域R3の値である際のオンデューティ比「DR3」は、調光値が第2調光値領域R2の最も暗い値である際のオンデューティ比「DS2」と同じである。
【0035】
次に、調光値が第3調光値領域R3の値である際に、レーザ光源2に供給する電流値について、図3及び図4を参酌して説明する。
【0036】
まず、レーザ光源2は、レーザ光を発する光源である。したがって、レーザ光源2は、図4に示すように、供給される電流が閾値電流値It以上(誘電放出領域)である際に、誘電放出により発光(「レーザ発光」ともいう)し、閾値電流値It未満(自然放出領域)である際に、自然放出により発光(「LED発光」ともいう)する。
【0037】
そして、レーザ光源2に供給される電流値が誘電放出領域の値である際も、レーザ光源2に供給される電流値が自然放出領域の値である際も、電流値と光出力とは、比例関係である。しかしながら、誘導放出領域における電流値に対する光出力の変化は、自然放出領域における電流値に対する光出力の変化よりも、大きい。したがって、レーザ光源2における電流値と光出力とは、LED等の光源のような単純な比例関係(電流値と光出力との関係が全域に亘って一直線状となる関係)ではない。
【0038】
そこで、図3及び図4に示すように、第3電力制御部7cは、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値(即ち、調光値「0」)である際に、レーザ光源2が自然放出により発光するような電流値を、レーザ光源2に供給する。即ち、調光値「0」である際の電流値「I0」は、閾値電流値Itより小さい電流値である。
【0039】
また、第3電力制御部7cは、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値(即ち、第2設定値「S2」)である際に、レーザ光源2が誘導放出により発光するような電流値を、レーザ光源2に供給する。即ち、調光値が第2設定値「S2」である際の電流値「IS2」は、閾値電流値Itより大きい電流値である。
【0040】
次に、本実施形態に係る調光装置4の制御による効果について、図5を参酌して説明する。
【0041】
図5において、実線A1は、本実施形態に係る調光装置4の制御により実現できる調光を示している。なお、1点鎖線A0は、リニアリティのある理想的な調光(調光値と光出力との関係が全域に亘って一直線状となるような調光)を示している。
【0042】
まず、調光値が第1調光値領域R1の値である際に、第1電力制御部7aは、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する電流値を制御している。これにより、高いオンデューティ比でレーザ光源2の調光を行うことができる。したがって、オンデューティ比を制御する場合と比較して、人間の目で感じないものの、スキャンタイムが短いカメラ等での撮像データで現れるような光のちらつき(明暗)も、抑制することができる。
【0043】
ところで、レーザ光源2における電流値と光出力とが、LED等の光源のような単純な比例関係ではない(図4参照)。したがって、図5に示すように、第1調光値領域R1において、調光値が小さくなるにつれて、実際の調光A1の光出力と理想的な調光A0の光出力との差が、大きくなる。
【0044】
そこで、調光値が第2調光値領域R2の値である際に、第2電力制御部7bは、レーザ光源2に供給する電力のオンデューティ比を制御している。これにより、第2調光値領域R2において、調光値が小さくなるにつれて、実際の調光A1の光出力と理想的な調光A0の光出力との差が、小さくなる。したがって、第1調光値領域R1から第2調光値領域R2にかけて、理想的な調光A0に近い調光、即ち、リニアリティのある調光を実現することができる。
【0045】
そして、調光値が第3調光値領域R3の値である際に、第3電力制御部7cは、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する電流値を制御している。これにより、調光値が第3調光値領域R3であっても、レーザ光源2に対して調光することができている。したがって、幅広い調光を実現することができている。
【0046】
次に、本実施形態に係る調光装置4の第3電力制御部7cの制御による効果について、図6を参酌して説明する。
【0047】
図6において、実線A11と2点鎖線A12は、双方ともレーザ光源2,2における電流値に対する光出力の関係を示している。斯かる実線A11と2点鎖線A12とで示す関係は、若干相違する個体差を有する関係であるが、この個体差は、例えば、同じ設計に基づいて製造されたレーザ光源2において、製造誤差が存在した場合に発生する。
【0048】
そして、本実施形態に係る第3電力制御部7cにおいては、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値(即ち、調光値「0」)である際に、閾値電流値「It(It11,It12)」よりも小さい電流値「I0」を、レーザ光源2に供給している。即ち、調光値が「0」である際に、自然放出領域の電流値「I0」を、レーザ光源2に供給している。
【0049】
ところで、自然放出領域における電流値に対する光出力の変化は、誘導放出領域における電流値に対する光出力の変化よりも、小さい。したがって、自然放出領域の電流値「I0」をレーザ光源2に供給した際の、レーザ光源2,2間の光出力の相違「ΔP0」は、誘導放出領域の電流値「I0a」をレーザ光源2に供給した際の、レーザ光源2,2間の光出力の相違「ΔP0a」よりも、小さくなる。これにより、第3調光値領域R3における最も暗い調光値「0」における光出力を安定させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る第3電力制御部7cにおいては、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値(即ち、調光値が第2設定値「S2」)である際に、誘導放出領域の電流値「IS2」を、レーザ光源2に供給している(図3及び図4参照)。そして、誘導放出領域における電流値に対する光出力の変化は、自然放出領域における電流値に対する光出力の変化よりも、大きい。
【0051】
これにより、第3調光値領域R3においても、レーザ光源2の明暗の差が表れるため、調光を実現することができる。したがって、第3調光値領域R3においても、幅広い調光を実現することができる。
【0052】
このように、第3調光値領域R3において、誘導放出領域の電流のみを用いる調光では、レーザ光源2の個体差により、最小の電流値「I0a」でも大きな光出力の相違「ΔP0a」が発生するのに対して、誘導放出領域の電流だけでなく、自然放出領域の電流を用いる調光では、最小の電流値「I0」では光出力の相違「ΔP0」が殆ど発生しないようにすることが可能となり、しかも、広い範囲での調光が可能となる。
【0053】
以上より、本実施形態に係る光源装置1は、レーザ光を発するレーザ光源2と、入力される調光値に基づいて、前記レーザ光源2に供給する電力を制御する調光装置4と、を備える。
【0054】
そして、本実施形態に係る調光装置4は、レーザ光を発するレーザ光源2の明るさを制御するために、入力される調光値に基づいて、前記レーザ光源2に供給する電力を制御する制御部7を備え、前記制御部7は、前記調光値が第1調光値領域R1の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源2に供給する電力値を制御する第1電力制御部7aと、前記調光値が前記第1調光値領域R1よりも暗い第2調光値領域R2の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源2に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を制御する第2電力制御部7bと、前記調光値が前記第2調光値領域R2よりも暗い第3調光値領域R3の値である際に、当該調光値に基づいて、前記レーザ光源2に供給する電力値を制御する第3電力制御部7cと、を備える。
【0055】
斯かる構成によれば、調光値が第1調光値領域R1の値である際に、第1電力制御部7aは、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する電力の電力値を制御している。これにより、オンデューティ比を制御する場合と比較して、第1調光値領域R1において、レーザ光源2による光のちらつきを確実に抑制することができる。
【0056】
そして、調光値が第1調光値領域R1よりも暗い第2調光値領域R2の値である際に、第2電力制御部7bは、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を制御している。これにより、第1調光値領域R1から第2調光値領域R2に亘って、リニアリティのある調光を実現することができる。
【0057】
さらに、調光値が第2調光値領域R2よりも暗い第3調光値領域R3の値である際に、第3電力制御部7cは、当該調光値に基づいて、レーザ光源2に供給する電力の電力値を制御している。これにより、第3調光値領域R3であっても、レーザ光源2に対して調光することができる。したがって、幅広い調光を実現することができる
【0058】
また、本実施形態に係る調光装置4においては、前記第3電力制御部7cは、前記調光値が前記第3調光値領域R3における最も暗い値「0」である際に、前記レーザ光源2が自然放出により発光するような電力値を、前記レーザ光源2に供給する、という構成である。
【0059】
斯かる構成によれば、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値「0」である際に、第3電力制御部7cが所定の電力値を供給することで、レーザ光源2は、自然放出により発光する。そして、レーザ光源2の自然放出の領域においては、供給する電力値に対する光出力の変化が小さい。これにより、例えば、レーザ光源2に供給する電力値に対する光出力に、個体差が存在していても、第3調光値領域R3における最も暗い調光値「0」における光出力を安定させることができる。
【0060】
また、本実施形態に係る調光装置4においては、前記第3電力制御部7cは、前記調光値が前記第3調光値領域R3における最も明るい値「S2」である際に、前記レーザ光源2が誘導放出により発光するような電力値を、前記レーザ光源2に供給する、という構成である。
【0061】
斯かる構成によれば、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値「S2」である際に、第3電力制御部7cが所定の電力値を供給することで、レーザ光源2は、誘導放出により発光する。そして、レーザ光源2の誘導放出の領域においては、供給する電力値に対する光出力の変化が大きい。これにより、第3調光値領域R3においても、十分に幅広い調光を実現することができる。
【0062】
なお、調光装置及び光源装置は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、調光装置及び光源装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0063】
上記実施形態に係る調光装置4は、調光値が最も暗い値「0」である際に、レーザ光源2が発光するような電力値(具体的には、電流値)を、レーザ光源2に供給する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置は、調光値が最も暗い値「0」である際に、レーザ光源2に電力を供給しない、という構成でもよい。斯かる構成においては、第3調光値領域R3の最も暗い調光値は、「0」ではなく、レーザ光源2が発光する調光値のうち、最も暗い値となる。
【0064】
また、上記実施形態に係る調光装置4においては、第1電力制御部7aは、レーザ光源2に供給する電流値を制御することで、間接的に電力値を制御する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置においては、第1電力制御部7aは、レーザ光源2に供給する電圧値を制御することで、間接的に電力値を制御する、という構成でもよく、また、レーザ光源2に供給する電力値を直接的に制御する、という構成でもよい。
【0065】
また、上記実施形態に係る調光装置4においては、第3電力制御部7cは、レーザ光源2に供給する電流値を制御することで、間接的に電力値を制御する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置においては、第3電力制御部7cは、レーザ光源2に供給する電圧値を制御することで、間接的に電力値を制御する、という構成でもよく、また、レーザ光源2に供給する電力値を直接的に制御する、という構成でもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係る調光装置4においては、第3電力制御部7cは、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値「0」である際に、レーザ光源2が自然放出により発光するような電力値(具体的には、電流値「I0」)を、レーザ光源2に供給する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置においては、第3電力制御部7cは、調光値が第3調光値領域R3における最も暗い値である際に、レーザ光源2が誘導放出により発光するような電力値を、レーザ光源2に供給する、という構成でもよい。
【0067】
また、上記実施形態に係る調光装置4においては、第3電力制御部7cは、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値「S2」である際に、レーザ光源2が誘導放出により発光するような電力値(具体的には、電流値「IS2」)を、レーザ光源2に供給する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置においては、第3電力制御部7cは、調光値が第3調光値領域R3における最も明るい値である際に、レーザ光源2が自然放出により発光するような電力値を、レーザ光源2に供給する、という構成でもよい。
【0068】
また、上記実施形態に係る調光装置4は、入力装置3と別体であって、通信を経由することで、入力装置3から調光値のデータを受信する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置は、入力装置3と一体であって、操作部3aでの操作により、通信を経由することなく、調光値が入力部5に入力値として入力される、という構成でもよい。
【0069】
また、上記実施形態に係る調光装置4においては、出力部8は、レーザ光源2に向けて電力を出力する、という構成である。しかしながら、調光装置は、斯かる構成に限られない。例えば、調光装置においては、出力部8は、レーザ光源2に向けて出力値(データ)を出力する、という構成でもよい。そして、レーザ光源2は、出力部8から出力された出力値に基づいて、供給される電力を制御してもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…光源装置、2…レーザ光源、3…入力装置、3a…操作部、4…調光装置、5…入力部、6…記憶部、7…制御部、7a…第1電力制御部、7b…第2電力制御部、7c…第3電力制御部、8…出力部、R1…第1調光値領域、R2…第2調光値領域、R3…第3調光値領域
【要約】
【課題】 幅広い調光を実現することができる調光装置及び光源装置を提供する。
【解決手段】 光源装置は、レーザ光を発するレーザ光源と、レーザ光源に供給する電力を制御する調光装置とを備える。調光装置は、調光値が第1調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、レーザ光源に供給する電力値を制御する第1電力制御部と、調光値が第1調光値領域よりも暗い第2調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、レーザ光源に電力を供給するオン時間と供給を停止するオフ時間との比を制御する第2電力制御部と、調光値が第2調光値領域よりも暗い第3調光値領域の値である際に、当該調光値に基づいて、レーザ光源に供給する電力値を制御する第3電力制御部と、を備える。
【選択図】 図1
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図6