(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、更なるタクトタイムの短縮を目的として、一方のステージが復路移動(照射領域からワーク搭載位置へ戻る移動)に続くように、他方のステージの往路移動(ワーク搭載位置から照射領域へ向かう移動)を開始してもよいとしている。
しかしながら、各ステージは、照射領域内を移動している間(偏光光を照射している間)と、照射領域外を移動している間とでステージの移動速度が異なる。具体的には、各ステージは、照射領域外を移動してワークの搬送のみをしている場合には、高速で移動することができるが、照射領域内を移動している間は、所定の露光量を得るために低速で移動する場合がある。
【0006】
そのため、単に、一方のステージの復路移動開始のタイミングと、他方のステージの往路移動開始のタイミングとを同期させるだけでは、上記の移動速度差によってステージ間で干渉が発生してしまうおそれがある。
そこで、本発明は、ツインステージ方式において、ステージ同士を干渉させることなく効率的に光照射処理を行うことができる光照射装置および光照射方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る光照射装置の一態様は、予め設定された照射領域を通過するワークに光を照射する光照射装置であって、第一のワークが載置され、前記照射領域を通る搬送軸上において、前記照射領域の一方の側に設定された第一の待機位置と前記照射領域との間を、前記第一の待機位置から前記照射領域へ向かう移動を往路移動として往復移動可能な第一のステージと、第二のワークが載置され、前記搬送軸上において、前記照射領域の他方の側に設定された第二の待機位置と前記照射領域との間を、前記第二の待機位置から前記照射領域へ向かう移動を往路移動として往復移動可能な第二のステージと、前記第一のワークと前記第二のワークとが前記照射領域を交互に通過するように、前記第一のステージ及び前記第二のステージの移動を個別に制御する制御部と、前記第一のステージ及び前記第二のステージの、ステージ面に対して直交する軸回りの回転を個別に制御し、当該ステージの姿勢を光照射時の姿勢とする回転制御部と、を備え、前記制御部は、前記第一のステージ及び前記第二のステージが、前記照射領域内を予め設定された最大移動速度よりも遅い移動速度で移動し、前記照射領域外の復路を前記最大移動速度で移動し、前記照射領域外の往路をステージ間距離が予め設定した最近接距離を下回らない移動速度で移動するよう制御し、前記回転制御部は、前記第一のステージ及び前記第二のステージが、それぞれの待機位置から前記照射領域に到達する前
で、ステージ間距離が前記最近接距離を下回らない位置である回転許容位置までの区間を往路移動している間を、前記回転が可能な回転動作可能区間とする。
【0008】
このように、ワークが載置された2つのステージを備え、各ワークに交互に光を照射する、所謂ツインステージ方式を採用する。これにより、一方のステージへの光照射中に、他方のステージにおけるワーク交換作業等を行うことができる。したがって、ステージが1つのみである場合と比較してタクトタイムを削減し、生産性を向上させることができる。また、照射領域外を往路移動するステージを、ステージ間距離が最近接距離を下回らないような移動速度で移動させるので、第一のステージと第二のステージとの間に移動速度差が存在する場合であっても、ステージ間の干渉が発生することなく効率的に光照射処理を行うべくステージを移動させることができる。
さらに、回転制御部を備えることで、例えばワークに偏光光を照射する場合、ワークの向きを偏光光の偏光軸に対して所定の向きにセットして光照射処理を行うことができる。また、ステージの回転制御を往路移動中に行うことで、タクトタイムが長くなるのを抑制することができる。
【0009】
また、上記の光照射装置において、前記回転許容位置は、前記回転制御部による非回転制御対象のステージが往路移動しているとき、当該非回転制御対象のステージが往路移動から復路移動へ切り替わる折り返し位置から、前記最近接距離だけ回転制御対象の待機位置側に設定し、前記非回転制御対象のステージが復路移動しているとき、当該非回転制御対象のステージの位置から、前記最近接距離だけ前記回転制御対象の待機位置側に設定してもよい。
これにより、ステージ間の干渉を回避しつつ、往路移動中の回転制御を可能とすることができる。
【0010】
また、上記の光照射装置において、前記制御部は、前記第一のステージ及び前記第二のステージのうち一方のステージが前記照射領域外を往路移動しており、他方のステージが復路移動しているとき、前記ステージ間距離が前記最近接距離よりも長いときは、前記一方のステージを前記最大移動速度で移動し、前記ステージ間距離が前記最近接距離以下であるときは、前記一方のステージを前記他方のステージの移動速度で移動してもよい。
このように、ステージ間の干渉が発生しない位置まで比較的高速で往路移動させ、その後、先行移動するステージに追従させるため、ステージ間の干渉が回避しつつ照射領域に早く到達させることができる。そのため、一方のワークに対して光照射処理を行った後、すぐに他方のワークに対して光照射処理を行うことができ、タクトタイムの更なる短縮を実現することができる。
【0011】
さらに、上記の光照射装置において、前記制御部は、前記第一のステージ及び前記第二のステージのうち一方のステージが前記照射領域外を往路移動しており、他方のステージが復路移動しているとき、前記一方のステージを、前記他方のステージに追従移動させてもよい。
このように、照射領域外を往路移動するステージを、他方のステージと同じ移動速度で移動させるので、第一のステージと第二のステージとの間に移動速度差が存在する場合であっても、確実にステージ間の干渉を防止することができる。
【0013】
さらにまた、上記の光照射装置において、前記制御部は、前記第一のステージ及び前記第二のステージのうち一方のステージが往路移動している間、他方のステージの往路移動を禁止してもよい。
これにより、一方のステージが復路移動を開始してから他方のステージの往路移動を開始することができ、2つのステージが共に往路移動する状況を回避することができる。したがって、ステージ同士の干渉を確実に回避することができる。
【0014】
また、上記の光照射装置において、前記制御部は、前記第一のステー
ジが往路移動している間に、前記
第一のステージの往路移動から復路移動へ切り替わる折り返し位置に対して前記最近接距離だけ
前記第二のステージの待機位置側に設定された目標停止位置へ向けて、前記
第二のステージの往路移動を開始し、前記
第二のステージが前記目標停止位置に到達したときに、前記
第一のステージが往路移動しているとき、前記
第二のステージを、前記
第一のステージが復路移動を開始するまで前記目標停止位置で停止してもよい。
このように、一方のステージが往路移動しているときに、他方のステージの往路移動を開始するので、より効率的に2つのワークに対する光照射処理を行うことができる。
【0015】
また、上記の光照射装置において、前記ステージ間距離は、前記第一のステージの往路移動方向における先端位置と、前記第二のステージの往路移動方向における先端位置との間の前記搬送軸方向の距離であってもよい。
このように、各ステージの往路移動方向における先端位置同士の距離をステージ間距離とするので、各ステージの形状やステージ面に直交する軸回りの回転角度等に違いが生じている場合であっても、ステージ間の干渉を回避したステージ移動制御が可能となる。
さらにまた、上記の光照射装置において、前記光は偏光光であってもよい。このように、ワークに対して偏光光を照射し光配向処理を行う偏光光照射装置にも適用可能である。
また、上記の光照射装置において、前記第一のワーク及び前記第二のワークに対して、往路移動と復路移動の双方で前記光を照射してもよい。これにより、エネルギーの無駄無く光照射処理を行うことができる。
【0016】
さらに、本発明に係る光照射方法の一態様は、予め設定された照射領域を通過するワークに光を照射する光照射方法であって、第一のワークが載置され、前記照射領域を通る搬送軸上において、前記照射領域の一方の側に設定された第一の待機位置と前記照射領域との間を、前記第一の待機位置から前記照射領域へ向かう移動を往路移動として往復移動可能な第一のステージと、第二のワークが載置され、前記搬送軸上において、前記照射領域の他方の側に設定された第二の待機位置と前記照射領域との間を、前記第二の待機位置から前記照射領域へ向かう移動を往路移動として往復移動可能な第二のステージとを、前記第一のワークと前記第二のワークとが前記照射領域を交互に通過するように個別に制御するに際し、前記第一のステージ及び前記第二のステージが、前記照射領域内を予め設定された最大移動速度よりも遅い移動速度で移動し、前記照射領域外の復路を前記最大移動速度で移動し、前記照射領域外の往路をステージ間距離が予め設定した最近接距離を下回らないような移動速度で移動するよう制御する。また、前記第一のステージ及び前記第二のステージが、それぞれの待機位置から前記照射領域に到達する前
で、ステージ間距離が前記最近接距離を下回らない位置である回転許容位置までの区間を往路移動している間を、前記回転が可能な回転動作可能区間
として、前記第一のステージ及び前記第二のステージの、ステージ面に対して直交する軸回りの回転を個別に制御し、当該ステージの姿勢を光照射時の姿勢とする。
【0017】
このように、ワークが載置された2つのステージを備え、各ワークに交互に光を照射する、所謂ツインステージ方式を採用する。これにより、一方のステージへの光照射中に、他方のステージにおけるワーク交換作業等を行うことができる。したがって、ステージが1つのみである場合と比較してタクトタイムを削減し、生産性を向上させることができる。また、照射領域外を往路移動するステージを、ステージ間距離が最近接距離を下回らないような移動速度で移動させるので、第一のステージと第二のステージとの間に移動速度差が存在する場合であっても、ステージ間の干渉が発生することなく効率的に光照射処理を行うべくステージを移動させることができる。さらに、ワークの向きを偏光光の偏光軸に対して所定の向きにセットして光照射処理を行うことができる。また、ステージの回転制御を往路移動中に行うことで、タクトタイムが長くなるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の光照射装置では、ツインステージ方式において、往路移動するステージを、他方のステージとのステージ間距離が最近接距離を下回らないような移動速度で移動させることができる。したがって、第一のステージと第二のステージとの間に移動速度差が存在する場合であっても、ステージ同士を干渉させることなく効率的に光照射処理を行うことができる。さらに、ステージの回転制御を往路移動中に行うことで、タクトタイムが長くなるのを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態の偏光光照射装置を示す概略構成図である。
偏光光照射装置100は、光照射部10A及び10Bと、ワークWを搬送する搬送部20とを備える。ここで、ワークWは、光配向膜が形成された、例えば液晶パネルの大きさに整形された矩形状の基板である。
偏光光照射装置100は、光照射部10A及び10Bから所定の波長の偏光光(偏光した光)を照射しながら、搬送部20によってワークWを直線移動させ、ワークWの光配向膜に上記偏光光を照射して光配向処理をするものである。
【0021】
光照射部10A及び10Bは、線状の光源であるランプ11と、ランプ11の光を反射するミラー12とをそれぞれ備える。また、光照射部10A及び10Bは、その光出射側に配置された偏光子ユニット13をそれぞれ備える。さらに、光出射部10A及び10Bは、ランプ11、ミラー12及び偏光子ユニット13を収容するランプハウス14をそれぞれ備える。
光照射部10A及び光照射部10Bは、ランプ11の長手方向をワークWの搬送方向(X方向)に直交する方法(Y方向)に一致させた状態で、ワークWの搬送方向(X方向)に沿って並設されている。
【0022】
以下、光照射部10A及び10Bの具体的構成について説明する。
ランプ11は長尺状のランプであり、その発光部が、ワークWの搬送方向に直交する方向の幅に対応する長さを有する。このランプ11は、例えば、高圧水銀ランプや、水銀に他の金属を加えたメタルハライドランプ等であり、波長200nm〜400nmの紫外光を放射する。
光配向膜の材料としては、波長254nmの光で配向されるもの、波長313nmの光で配向されるもの、波長365nmの光で配向されるものなどが知られており、光源の種類は必要とされる波長に応じて適宜選択する。
なお、光源としては、紫外光を放射するLEDやLDを直線状に並べて配置した線状光源を用いることもできる。その場合、LEDやLDを並べる方向がランプの長手方向に相当する。
【0023】
ミラー12は、ランプ11からの放射光を所定の方向に反射するものであり、その断面が楕円形または放物線状の樋状集光鏡である。ミラー12は、その長手方向がランプ11の長手方向と一致するように配置されている。
ランプハウス14は、その底面に、ランプ11からの放射光およびミラー12による反射光が通過する光出射口を有する。偏光子ユニット13は、ランプハウス14の光出射口に取り付けられ、当該光出射口を通過する光を偏光する。
偏光子ユニット13は、複数の偏光子をランプ11の長手方向に沿って並んで配置した構成を有する。これら複数の偏光子は、例えばフレーム等により支持されている。
偏光子は、例えば、ワイヤーグリッド型偏光素子であり、偏光子の個数は、偏光光を照射する領域の大きさに合わせて適宜選択する。なお、各偏光子は、それぞれ透過軸が同一方向を向くように配置されている。
【0024】
搬送部20は、ワークWをそれぞれ保持する第一のステージ21A及び第二のステージ21Bを備える。これら2つのステージ21A,21Bは、真空吸着等の方法によりワークWを吸着保持する平板状のステージである。なお、本実施形態では、各ステージ21A,21B及びワークWを矩形状としているが、これに限定するものではなく、任意の形状とすることができる。また、ワークWを平板状のステージで吸着保持する構成に限定されるものではなく、複数のピンによってワークWを吸着保持する構成であってもよい。
【0025】
また、搬送部20は、ステージ21A及び21Bの移動方向に沿って延びる2本のガイド22と、ステージ21A及び21Bの移動機構を一例として構成する電磁石23A及び23Bとを備える。ここでは、上記移動機構として、例えば、リニアモータステージを採用する。リニアモータステージは、碁盤目状に強磁性体の凸極が設けられた平面状のプラテンの上に移動体(ステージ21A,21B)をエアーにより浮上させ、移動体に磁力を印加して、移動体とプラテンの凸極との間の磁力を変化させることにより、当該移動体を移動する機構である。なお、上記移動機構としては、例えばボールねじを用いた機構を採用することもできる。
このように、ステージ21A及び21Bは、共通の搬送軸であるガイド22に沿って往復移動可能に構成されている。
【0026】
さらに、搬送部20は、ステージ21A及び21Bをそれぞれθ方向(Z軸回り)に回転可能なθ移動機構24A及び24Bを備える。すなわち、ステージ21A及び21Bは、それぞれ固定ベース25A及び25Bの上に、θ方向に回転可能に取り付けられており、その回転角度がθ移動機構24A及び24Bによって調整されるようになっている。
ステージ21A及び21Bの移動経路は、光照射部10A及び10Bの真下を通るように設計されている。搬送部20は、ワークWを光照射部10A及び10Bによる偏光光の照射領域に搬送し、且つその照射領域を通過させるように構成されている。さらに、搬送部20は、ワークWが照射領域を完全に通過した後、当該ワークWを折り返し、再び当該照射領域を通過させるように構成されている。この往路移動と復路移動の双方で、ワークWの光配向膜が光配向処理される。
【0027】
図2は、ステージ21A及び21Bの移動区間について説明する図である。
第一のステージ21Aは、偏光光の照射領域15の一方の側に設定されたワーク搭載位置である基板搭載位置(第一の待機位置)P11から、照射領域15の他方の側に設定された折り返し位置P12までの区間を往復移動可能である。また、第二のステージ21Bは、照射領域15を挟んで基板搭載位置P11とは反対側に設定されたワーク搭載位置である基板搭載位置(第二の待機位置)P21から、照射領域15を挟んで折り返し位置P12とは反対側に設定された折り返し位置P22までの区間を往復移動可能である。
【0028】
ここで、第一のステージ21Aについては、基板搭載位置P11から折り返し位置P12へ向かう移動を往路移動とする。同様に、第二のステージについても、基板搭載位置P21から折り返し位置P22へ向かう移動を往路移動とする。また、基板搭載位置とは、ステージ上に載置される基板(ワークW)の交換作業及びアライメント作業を行う位置であり、折り返し位置とは、照射領域15と他方のステージの基板搭載位置との間に設定された、ステージの往路移動から復路移動への切替位置である。
【0029】
例えば、第一のステージ21Aの移動区間(P11〜P12)のX方向距離L1と、第二のステージ21Bの移動区間(P21〜P22)のX方向距離L2とは、略等しく設定する。また、第一のステージ21Aの基板搭載位置と照射領域15との間には、第二のステージ21Bがθ方向の回転移動によりいずれの姿勢となっていても、照射領域15を通過できる分以上のスペースを確保する。同様に、第二のステージ21Bの基板搭載位置と照射領域15との間には、第一のステージ21Aがθ方向の回転移動によりいずれの姿勢となっていても、照射領域15を通過できる分以上のスペースを確保する。
【0030】
各ステージ21A及び21Bの基本動作は、以下のとおりである。
第一のステージ21Aは、基板搭載位置P11で、ワークWの交換作業及びアライメント作業が行われ、アライメント完了後、θ移動機構24Aによって回転移動される。これにより、ワークWの向きを偏光光の偏光軸に対して所定の向きにする。
その後、第一のステージ21Aは、照射領域15へ向けて往路移動を開始する。そして、照射領域15を通過して折り返し位置P12に到達すると、復路移動を開始し、基板搭載位置P11まで引き返す。この基板搭載位置P11では、再びワークWの交換作業及びアライメント作業が行われ、アライメント完了後、第一のステージ21Aは、再び照射領域15へ向けて往路移動を開始する。この動作を繰り返す。
【0031】
第二のステージ21Bも同様に、基板搭載位置P21で、ワークWの交換作業及びアライメント作業が行われ、アライメント完了後、θ移動機構24Bによって回転移動されて照射領域15へ向けて往路移動を開始する。このときの第二のステージ21Bの回転角度は、第一のステージ21Aの回転角度とは異なる場合もある。そして、第二のステージ21Bは、照射領域15を通過して折り返し位置P22に到達すると復路移動を開始し、基板搭載位置P21まで引き返す。この動作を繰り返す。
【0032】
また、各ステージ21A及び21Bは、通常動作として、基板搭載位置から照射領域15へ向かう往路移動中、及び照射領域15から基板搭載位置へ戻る復路移動中の移動速度が、比較的高速な第一の移動速度(最大移動速度)V1に設定され、それ以外の領域(照射領域15内、及び照射領域15と折り返し位置との間)での移動速度は、第一の移動速度V1よりも低速な第二の移動速度V2に設定されている。
制御部30は、上記のステージ動作を実現するようステージの移動機構である搬送部20(
図1参照)の各部を制御する。このとき、制御部30は、搬送軸と平行に配置されたリニアスケール31から各ステージ21A及び21Bの位置情報を取得し、取得した位置情報をもとに各ステージ21A及び21Bの速度情報を算出する。そして、制御部30は、取得した位置情報及び算出した速度情報に基づいて、各ステージ21A及び21Bの目標移動位置及び目標移動速度を算出し、これを搬送部20の各部に出力する。
【0033】
また、制御部30は、第一のステージ21Aと第二のステージ21Bとが上記のように共通の搬送軸上を繰り返し往復移動している間、両者が干渉しないように各ステージ21A及び21Bの移動速度を制御する。
具体的には、一方のステージが往路移動している間は、他方のステージの復路移動のみを許可し、往路移動を禁止する。また、一方のステージが復路移動をしており、他方のステージが照射領域外を往路移動している間は、X方向におけるステージ間距離(後述するLa)が、予め設定した最近接距離(後述するL0)よりも接近しないように往路移動しているステージの移動速度を制御する。
【0034】
ここで、最近接距離L0は、仮に先行移動するステージが緊急停止した場合であっても、ステージ間で干渉が発生することなく後続のステージを停止することができる程度の余裕距離である。この最近接距離L0は、例えば、最大移動速度である第一の移動速度V1に基づいて設定することができる。
各ステージ21A及び21Bは、上述したようにθ方向に回転可能に構成されている。したがって、上記ステージ間距離Laは、
図3に示すように、第一のステージ21Aの往路方向(
図3の右方向)の最先端位置P13と、第二のステージ21Bの往路方向(
図3の左方向)の最先端位置P23とのX方向距離とする。
【0035】
また、各ステージ21A及び21Bは、θ方向の回転角度を個別に制御可能であり、
図4に示すように、第一のステージ21Aと第二のステージ21Bとは回転方向が異なる場合がある。この場合にも、第一のステージ21Aの往路方向の最先端位置P14と、第二のステージ21Bの往路方向の最先端位置P24との距離を、上記ステージ間距離Laとする。
図5は、制御部30で実行するステージ速度制御処理手順を示すフローチャートである。この
図5に示す処理は、制御部30が第一のステージ21Aの移動速度を制御する場合に実行する処理である。なお、第二のステージ21Bの移動速度を制御する処理についても、以下の説明における「第一のステージ」を「第二のステージ」、「第二のステージ」を「第一のステージ」と読み替えればよいだけであるため、ここでは説明を省略する。
【0036】
先ずステップS1で、制御部30は、第一のステージ21Aが復路移動中であるか否かを判定する。ここでは、制御部30は、第一のステージ21Aの位置情報をもとに、第一のステージ21Aの位置及び移動方向を判定し、第一のステージ21Aが復路移動中であるか否かを判定する。
そして、このステップS1で、第一のステージ21Aが復路移動中であると判定した場合には、ステップS2に移行する。一方、第一のステージ21Aが復路移動中ではない、即ち往路移動中、若しくは基板搭載位置で停止中であると判定した場合には、ステップS3に移行する。
【0037】
ステップS2では、制御部30は、第一のステージ21Aを通常動作するよう目標移動速度を設定し、これを第一のステージ21Aの移動機構に出力する。すなわち、第一のステージ21Aが照射領域15へ向かう往路移動中、若しくは照射領域15から基板搭載位置へ戻る復路移動中である場合には、目標移動速度を第一の移動速度V1に設定し、それ以外の領域にいる場合には、目標移動速度を第二の移動速度V2に設定する。そして、設定した目標移動速度を第一のステージ21Aの移動機構に出力する。
【0038】
ステップS3では、制御部30は、第二のステージ21Bが往路移動中であるか否かを判定する。ここでは、制御部30は、第二のステージ21Bの位置情報をもとに、第二のステージ21Bの移動方向を判定し、第二のステージ21Bが往路移動をしているか否かを判定する。そして、第二のステージ21Bが往路移動をしていると判定した場合には、ステップS4に移行し、第二のステージ21Bが復路移動をしていると判定した場合には、ステップS5に移行する。
【0039】
ステップS4では、制御部30は、第一のステージ21Aを基板搭載位置で待機させる。すなわち、制御部30は、第一のステージ21Aを停止するよう目標移動速度を0に設定し、これを第一のステージ21Aの移動機構に出力してから後述するステップS9に移行する。
ステップS5では、制御部30は、第一のステージ21Aの少なくとも一部が照射領域15内に存在するか否かを判定する。そして、第一のステージ21Aが照射領域15内に存在する場合にはステップS2に移行し、照射領域15外に存在する場合にはステップS6に移行する。
【0040】
ステップS6では、制御部30は、第一のステージ21Aと第二のステージ21Bとのステージ間距離Laが最近接距離L0よりも長いか否かを判定する。ここで、ステージ間距離Laは、上述したように、第一のステージ21Aの往路方向の最先端位置と、第二のステージ21Bの往路方向の最先端位置とのX方向距離である。各ステージの往路方向の最先端位置は、ステージの位置、ステージサイズ、及びステージの回転角度に基づいて計算によって求められる。
【0041】
そして、ステージ間距離Laが最近接距離L0よりも長い場合には、第一のステージ21Aを通常動作させるものと判断してステップS2に移行し、ステージ間距離Laが最近接距離L0に達している場合にはステップS7に移行する。
ステップS7では、制御部30は、第一のステージ21Aが照射領域15に到達するまでの距離(照射領域到達距離Lb)を算出し、その照射領域到達距離Lbと最近接距離L0とを比較する。ここで、照射領域到達距離Lbとは、
図6に示すように、第一のステージ21Aの往路方向の最先端位置から、照射領域15における第一のステージ21Aの基板搭載位置側の端部位置までの距離である。この照射領域到達距離Lbは、第一のステージ21Aの最先端位置が照射領域15の入口(
図6の左端部位置)よりも後退側(
図6の左側)に位置しているとき、Lb>0とし、第一のステージ21Aの最先端位置が照射領域15の入口よりも前進側(
図6の右側)に位置しているとき、Lb=0とする。
【0042】
そして、照射領域到達距離Lbが最近接距離L0以上であるとき、ステップS8に移行し、照射領域到達距離Lbが最近接距離L0よりも短いとき、ステップS2に移行する。
ステップS8では、制御部30は、第一のステージ21Aを第二のステージ21Bに追従させるべく、第一のステージ21Aの目標移動速度を第二のステージ21Bの移動速度に設定し、これを第一のステージ21Aの移動機構に出力する。
ステップS9では、制御部30は、第一のステージ21Aの駆動制御を終了するか否かを判定し、制御を継続すると判定した場合にはステップS1に戻り、制御を終了すると判定した場合には、ステージ速度制御処理を終了する。
【0043】
以下、本実施形態の動作について、
図6〜
図10を参照しながら詳細に説明する。
偏光光照射装置100では、
図6に示すように、第一のステージ21Aを基板搭載位置P11で停止させた状態で、第一のステージ21A上の基板の交換作業及び当該基板のアライメント作業を行う。そして、アライメント作業が完了すると、第一のステージ21Aの往路移動を開始する準備が整った状態となる(
図5のステップS1でNo)。
このとき、
図6に示すように、第二のステージ21Bが往路移動をしている場合には(ステップS3でYes)、第一のステージ21Aは往路移動を開始せず、基板搭載位置で待機する(ステップS4)。その後、第二のステージ21Bが折り返し位置に達し、復路移動を開始すると、第一のステージ21Aは往路移動を開始する。つまり、第一のステージ21Aは、第二のステージ21Bが復路移動を開始するタイミングに同期して、往路移動を開始する。
【0044】
一方、第一のステージ21Aの往路移動を開始する準備が整った状態となったときに、第二のステージ21Bが復路移動を開始している場合には(ステップS3でNo)、第一のステージ21Aはそのまま往路移動を開始する。
この往路移動開始時における第一のステージ21Aの移動速度は、ステージ間距離La及び照射領域到達距離Lbに基づいて決定される。例えば、
図7に示すように、ステージ間距離Laが予め設定した最近接距離L0よりも長い場合には(ステップS6でYes)、第一のステージ21Aは通常動作を行う(ステップS2)。すなわち、第一のステージ21Aは、比較的高速な第一の移動速度V1で往路移動を開始する。
【0045】
第二のステージ21Bは、復路において照射領域15を完全に通過するまでは、比較的低速な第二の移動速度V2で移動する。そのため、第一のステージ21Aが第一の移動速度V1で往路移動を開始すると、第一のステージ21Aは第二のステージ21Bに徐々に追いつくことになる。
そして、
図8に示すように、第二のステージ21Bの後端部(往路方向の最先端位置)が照射領域15内に入る前に、ステージ間距離Laが最近接距離L0に達すると(ステップS6でNo、ステップS7でYes)、第一のステージ21Aの移動速度は第二の移動速度V2まで減速される(ステップS8)。これにより、第一のステージ21Aは、ステージ間距離Laを最近接距離L0に保った状態で第二のステージ21Bに追従する。
【0046】
その後、
図9に示すように、第二のステージ21Bの後端部(往路方向の最先端位置)が照射領域15内に入り、照射領域到達距離Lbが最近接距離L0よりも短くなると(ステップS7でNo)、第一のステージ21Aの動作は、第二のステージ21Bの追従動作から通常動作へ切り替わる(ステップS2)。すなわち、第一のステージ21Aの移動速度は、第一の移動速度V1となるよう加速される。
このとき、第二のステージ21Bは照射領域15内で比較的低速な第二の移動速度V2で移動しているため、第一のステージ21Aが通常動作に切り替わることで両者が接近し、ステージ間距離Laは、
図10に示すように最近接距離L0よりも短くなる。
【0047】
しかしながら、第一のステージ21Aは、照射領域15に到達すると(ステップS5でYes)、移動速度を第二の移動速度V2まで減速する(ステップS2)。したがって、第一のステージ21Aと第二のステージ21Bとは、共に第二の移動速度V2で移動することになり、両者の干渉が発生することはない。
その後、第二のステージ21Bは、照射領域15を完全に通過すると、第一の移動速度V1まで加速して基板搭載位置へ戻る。このとき、第一のステージ21Aは、第二の移動速度V2で照射領域15内の移動を継続する。第一のステージ21Aは、その後、折り返し位置に到達すると復路移動に移行し、復路においては、基板搭載位置に戻るまで第二のステージ21Bの位置にかかわらず通常動作を行う。
【0048】
このように、本実施形態における偏光光照射装置は、同一軸上を往復移動可能な2つのワークステージ(第一のステージ21A及び第二のステージ21B)を備え、当該ワークステージ上の基板(ワークW)に交互に偏光光を照射する、所謂ツインステージ方式を採用する。これにより、一方のステージへの偏光光の照射中に、他方のステージにおける基板交換作業を行うことができる。したがって、ワークステージが1つのみである場合と比較してタクトタイムを削減し、生産性を向上させることができる。
【0049】
また、一方のステージが往路移動している間は、他方のステージの往路移動の開始を禁止し、一方のステージが折り返し位置に到達して復路移動を開始したタイミングに同期して他方のステージの往路移動を開始するので、2つのステージが共に往路移動する状況を回避することができ、ステージ同士の干渉を確実に回避することができる。また、一方のステージの復路移動に続くように他方のステージの往路移動を開始することができるので、よりタクトタイムを短くすることができる。
【0050】
さらにこのとき、第一のステージ21Aと第二のステージ21Bとの間に移動速度差が存在し得ることを考慮し、復路移動しているステージの位置や移動速度に応じて、照射領域15外を往路移動しているステージの移動速度を制御する。すなわち、ステージ間距離Laが予め設定した最近接距離L0よりも長いときは、往路移動しているステージを第一移動速度(最大移動速度)V1で移動するように制御し、ステージ間距離Laが最近接距離L0以下であるときは、往路移動しているステージを復路移動しているステージを同じ移動速度で移動するように制御する。
【0051】
これにより、往路移動を開始したステージは、ステージ間距離Laが最近接距離L0に達するまで比較的高速な第一移動速度V1で移動し、照射領域15内を比較的低速な第二移動速度V2で復路移動しているステージに追いついてステージ間距離Laが最近接距離L0となると、移動速度を第二移動速度V2に切り替えて移動することになる。そして、その後、往路移動しているステージは、ステージ間距離Laを最近接距離L0に維持して復路移動しているステージに追従する。このように、往路移動を開始したステージは、ステージ間距離Laが最近接距離L0を下回らないように、復路移動しているステージに高速で追いつくことができる。したがって、復路移動しているステージが照射領域を通過した直後に(最近接距離L0によっては、復路移動しているステージが照射領域を通過している最中に)、往路移動しているステージを照射領域に進入させることができる。そのため、ステージ同士が干渉することなく、効率良く光配向処理を行うことができる。
【0052】
また、第一のステージ21Aの往路移動方向における先端位置と、第二のステージ21Bの往路移動方向における先端位置との間の距離をステージ間距離Laとするので、各ステージが
図3や
図4に示すようにそれぞれθ方向に回転移動している場合であっても、適切にステージ同士の干渉を回避することができる。さらにこのとき、ステージの位置や大きさ、θ方向の回転角度に基づいて、当該ステージの往路移動方向における先端位置を算出するので、ステージ間距離Laを適切に算出することができる。
【0053】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態について説明する。
この第二の実施形態は、上述した第一の実施形態において、一方のステージが往路移動をしている間、他方のステージの往路移動の開始を禁止しているのに対し、当該他方のステージの往路移動の開始を許可するものである。
図11は、第二の実施形態における制御部30が実行するステージ速度制御処理手順を示すフローチャートである。この
図11に示す処理は、上述した
図5のステップS4をステップS11に置換したことを除いては、
図5と同様の処理を行う。したがって、
図5と同様の処理を行う部分については同一ステップ番号を付し、ここでは処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS11では、制御部30は、先ず、第一のステージ21Aの目標停止位置を設定する。目標停止位置は、第二のステージ21Bの折り返し位置P22から、第一のステージ21Aの基板搭載位置側に所定距離(例えば、最近接距離L0)だけ離間した位置とする。
【0054】
次に、制御部30は、第一のステージ21Aの位置が、目標停止位置よりも当該第一のステージ21Aの基板搭載位置側であるか否かを判定する。そして、目標停止位置よりも基板搭載位置側であると判定した場合には、第一のステージ21Aを目標停止位置に向けて移動する。このときの移動速度は、第一の移動速度V1とする。一方、第一のステージ21Aが目標停止位置に到達している場合には、第一のステージ21Aを目標停止位置で停止させる。
すなわち、本実施形態では、
図12に示すように、第二のステージ21Bが往路移動している場合であっても、第一のステージ21Aは、基板搭載位置でアライメント処理が完了すると、第一の移動速度V1で往路移動を開始することができる。ただし、このときの第一のステージ21Aの往路移動の許可区間は、第二のステージ21Bの折り返し位置P22から最近接距離L0だけ離間した目標停止位置P15までの区間とする。
【0055】
そして、第一のステージ21Aが目標停止位置P15に到達する前に、第二のステージ21Bが復路移動を開始していれば、上述した第一の実施形態と同様の動作を行う。一方、
図13に示すように、第一のステージ21Aが目標停止位置P15に到達しても、第二のステージ21Bが往路移動している場合には、第一のステージ21Aは目標停止位置P15で停止し、第二のステージ21Bが復路移動を開始するまで待機する。
その後、
図14に示すように、第二のステージ21Bが折り返し位置P22に到達して復路移動を開始すると(ステップS3でNo)、第一のステージ21Aは、第二のステージ21Bの追従を開始する(ステップS6でNo、ステップS8でYes)。すなわち、第一のステージ21Aは、第二のステージ21Bと同じ移動速度(第二の移動速度V2)で移動開始する。以降の動作は、上述した第一の実施形態と同様である。
【0056】
このように、本実施形態では、一方のステージが往路移動している場合であっても、他方のステージの往路移動を開始することができる。したがって、より効率的に2つのワークWに対する光配向処理を行うことができる。特に、第一の移動速度V1と第二の移動速度V2との速度差が比較的小さい場合や、基板搭載位置が照射領域に対して比較的遠方に設定されている場合など、一方のステージの光照射中に他方のステージが往路移動を開始したのでは、当該光照射中に他方のステージが一方のステージに追いつくことが困難な場合に有効である。
また、一方のステージが往路移動している場合には、他方のステージの往路移動許可区間を、他方のステージの折り返し位置から所定距離だけ上記一方のステージの基板搭載位置側に離間した位置までとする。したがって、往路移動している他方のステージとの干渉を確実に防止することができる。
【0057】
(第三の実施形態)
次に、本発明の第三の実施形態について説明する。
この第三の実施形態は、上述した第一及び第二の実施形態において、基板搭載位置でステージのθ方向の回転動作を行い、当該回転動作が完了してから往路移動を開始しているのに対し、θ回転動作しながら往路移動するようにしたものである。
本実施形態では、第一のステージ21A及び第二のステージ21Bのθ回転動作は、照射領域15に進入する前の往路移動中で、且つ最近接距離L0以上のステージ間距離Laを確保できる位置で実施するものとする。なお、θ回転動作に要する時間は、ステージが基板搭載位置から照射領域15まで移動するのに要する時間よりも短いものとする。
【0058】
例えば、基板搭載位置において第一のステージ21Aへの基板搭載が完了すると、当該第一のステージ21Aは、θ回転動作を行いながら往路移動を開始する。このとき、
図15に示すように、第二のステージ21Bが往路移動中である場合には、基板搭載位置から目標停止位置P15までの区間がθ回転動作可能区間となる。ここで、目標停止位置P15は、第二のステージ21Bの折り返し位置P22から所定距離(例えば、最近接距離L0)だけ第一のステージ21Aの基板搭載位置側に離間した位置である。
第二のステージ21Bが折り返し位置P22に到達する前に、第一のステージ21Aが目標停止位置P15に到達した場合には、第一のステージ21Aは目標停止位置P15で停止してθ回転動作を行う。
ここで、第一のステージ21Aが目標停止位置P15に到達したか否かは、第一のステージ21Aの頂点がθ回転により第二のステージ21Bに最も接近する位置が目標停止位置P15に到達したか否かによって判断する。つまり、
図15の二点鎖線で示す円の往路方向先端部が目標停止位置P15に到達したとき、第一のステージ21Aが目標停止位置P15に到達したと判断する。
【0059】
一方、第一のステージ21Aの基板搭載が完了して往路移動を開始したとき、第二のステージ21Bが復路移動中である場合には、
図16に示すように、第二のステージ21Bの後端位置(往路方向の最先端位置)から最近接距離L0だけ第一のステージ21Aの基板搭載位置側に離間した位置までの区間が、第一のステージ21Aのθ回転動作可能区間となる。
この場合、第一のステージ21Aは、ステージ間距離Laが最近接距離L0となるまでは、通常の移動速度である第一の移動速度V1で往路移動しながらθ回転動作を行う。そして、ステージ間距離Laが最近接距離L0となると、第二のステージ21Bと同じ第二の移動速度V2で最近接距離L0を保った状態で往路移動しながらθ回転動作を行う。ここで、ステージ間距離Laの算出起点は、上記と同様に第一のステージ21Aの頂点がθ回転により第二のステージ21Bに最も接近する位置とする。
【0060】
第一のステージ21Aのθ回転動作が完了した後の動作は、上述した第一及び第二の実施形態と同様である。
このように、本実施形態では、往路移動しながらθ回転動作を行うため、よりタクトタイムを短縮することができる。また、最近接距離L0を下回って両ステージが接近しない位置でθ回転動作を可能とするので、ステージ間で干渉が発生するのを確実に防止することができる。
【0061】
(変形例)
上記各実施形態においては、一方のステージが往路移動しており、他方のステージが復路移動しているとき、一方のステージが他方のステージに追いついてステージ間距離Laが最近接距離L0に達してから、一方のステージを他方のステージに追従させる(他方のステージと同じ速度で移動させる)場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、一方のステージの往路移動開始直後から他方のステージに追従させるようにしてもよい。これにより、先行する他方のステージの移動速度に応じて一方のステージの移動速度を制御することになり、上記他方のステージの移動速度が移動区間によって異なる場合であっても、ステージ間で干渉が発生するのを確実に防止することができる。但し、タクトタイムの更なる短縮を目的とした場合、上述した各実施形態のように、ステージ間距離Laが最近接距離L0となるまでは、後続のステージを最大移動速度(第一の移動速度V1)で移動させることが好ましい。
【0062】
また、上記各実施形態においては、ステージ間距離Laを、一方のステージの往路方向における最先端位置と、他方のステージの往路方向における最先端位置との距離とする場合について説明したが、ステージ上のワークW(基板)のサイズがステージサイズよりも大きい場合には、ステージ間距離Laはワーク間距離となる。この場合にも、ワークWの往路方向における最先端位置をワーク間距離の算出基点とする。
さらに、上記各実施形態においては、ステージ間距離Laを、一方のステージの往路方向における辺と、他方のステージの往路方向における辺とのX方向距離(X方向において最も近づいている部分の距離)としてもよい。
【0063】
また、上記各実施形態においては、リニアスケールによる計測結果を用いて各ステージの位置及び移動速度を取得する場合について説明したが、リニアスケール以外の手段を用いて各ステージの位置及び移動速度を取得してもよい。
さらに、上記各実施形態においては、偏光光照射装置に本発明を適用する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2つのステージが同一軸に沿って往復移動可能な構成を有し、2つのステージを、それぞれ光照射領域を挟んで同一軸上に設定された待機位置から交互に光照射領域へ搬送する構成を有する光照射装置であれば、本発明を適用することで上記各実施形態と同様の効果が得られる。このような光照射装置としては、例えば、DI(ダイレクト・イメージ:直描)露光装置や、紫外線より熱硬化処理を行う紫外線照射装置等がある。