(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板を前記基板保持用枠体に収められた際の形状が、短辺と長辺を有し、対向する長辺から中央に向かって等距離にある領域を鉛直方向下方に最も低く、対向する両長辺に向かって鉛直方向上方に漸次高くした湾曲形状であることを特徴とする請求項1記載の基板の基板保持用枠体への受け渡し方法。
請求項4記載の基板の移載用架台への受け取り方法において、前記基板保持用枠体を前記移載用架台の下方に移動させた後、前記基板保持用枠体を前記移載用架台の下部に配置し、
前記基板の移載用架台への受け取り方法を繰り返して、前記基板が載置されていない複数の前記基板保持用枠体を前記移載用架台の下部に積み重ねし、
次に、積み重ねされた複数の前記基板保持用枠体を纏めて移動することを特徴とする
基板の移載用架台への受け取り方法。
前記基板が前記基板保持用枠体に収められた際の形状は、短辺と長辺を有し、対向する長辺から中央に向かって等距離にある中央域を鉛直方向下方に最も低く、対向する両長辺に向かって鉛直方向上方に漸次高くした湾曲形状であることを特徴とする請求項4または5記載の基板の移載用架台への受け取り方法。
基板を、平面状態から基板保持用枠体に湾曲状態にして収めて受け渡しし、もしくは基板保持用枠体に収めて湾曲状態にしたものを平面状態にして受け取りする用途の移載用架台であって、
前記移載用架台の鉛直方向上部には、複数の回転輪を取り付けた回転軸が回転可能に複数並列され、且つ、全ての前記回転輪と載置する前記基板との接点が水平な架台水平面を形成するように配設された前記回転輪を有し、
前記架台水平面の外形が前記基板保持用枠体の開口の大きさより小さくされて、前記架台水平面を含む前記移載用架台の外周域を前記基板保持用枠体の開口が鉛直方向上方又は下方に通過することが可能なように形成されており、
前記移載用架台の鉛直方向下部には、前記架台水平面より下方に配設された複数のリフトピンを有し、
前記リフトピンは、前記基板を、平面状態から基板保持用枠体に湾曲状態にして収めて受け渡しし、もしくは基板保持用枠体に収めて湾曲状態にしたものを平面状態にして受け取りするために、鉛直方向上下に可動し、前記架台水平面を超えて上方に突出して、各リフトピンの頂点を任意の高さに調整することが可能なように配設されており、
前記リフトピンが前記基板を湾曲状態に支持する際に、
最も低い位置になる前記リフトピンは、先端を半球状にしたリフトピンであり、
最も高い位置になる前記リフトピンは、基板を空気圧により非接触で支持するピンであることを特徴とする
基板の移載用架台。
前記基板が前記基板保持用枠体に収められた際の形状は、短辺と長辺を有し、対向する長辺から中央に向かって等距離にある中央域を鉛直方向下方に最も低く、対向する両長辺に向かって鉛直方向上方に漸次高くした湾曲形状であることを特徴とする請求項8または請求項9記載の基板の移載用架台。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、特に、液晶表示装置においては、表示装置の大型化や製造方法の多面付け化に伴ってより大型のカラーフィルター基板の製造が要求されており、カラーフィルターやその中間工程基板の輸送や保管に対して、さらに一層の、輸送効率向上による輸送コスト低減や保管場所の省スペース化、中間製品の安全な扱いが求められている。
【0008】
カラーフィルター基板は、一定の剛性を有するガラス材料が使用されているが、薄板状であるので衝撃により破損し易く、大サイズ化したものは、基板の中央部分でかなりの撓みが生じるのが実情である。ちなみに、1メートル角程度のサイズにもなると、0.7mm厚のガラス基板でも対向する2辺または4辺を支持した場合は、中間部が100mm近く下方(重力方向)に湾曲した状態になるのを避けられない。
大サイズのガラスを平面状態で収納し、輸送時の振動が加わった場合、数百mm程度、上下に振動でうねり、跳ね上がり、収納間隔を極めて大きくとらないと基板同士で接触破損が生じる。あるいは、ガラス自体が振動で上下に数百mm跳ね上がり、変形しているうちに自壊する。
このようなガラス基板を嵩高にならないように、高い密度で集積して搬送・保管することは、保管スペースの節減のみだけではなく、取り扱い装置や搬送装置の大型化を防ぎ、ひいては、資源の節減や製造コストの低減に寄与することになる。
従来、使用されている基板保持枠では、積み重ねや取り出し操作時に、枠体相互間の位置合わせ部に変形が生じ易く、積み重ね時や搬送時の衝撃でガラス基板の破損が生じ易い問題があった。また、装置自体からの塵埃の発生や外部からの混入は、不良品を増大させる原因となるので、厳重な対策が要求されている。
また、生産効率、輸送効率を高める為、この様な大型ガラス基板を大量に保管、輸送する省スペース化した基板保管装置、搬送装置が要求される。一方、輸送、ハンドリングでの大型ガラス基板の破損が1枚でも発生した場合、他のガラス基板へのガラス破片の付着、ガラス破片の付着したガラス基板が装置へ持ち込まれる事による他のガラスの破損、装置の破損や工程内で使用される高価なマスクや治具などへ傷を付けたり2次的な損失が発生する。そのガラス基板破損による2次的なダメージを防止する為、生産を中断して装置、治具など徹底した清浄が必要であり、1枚のガラス破損による損失は、甚大なものとなる。
たとえガラス基板が完全に破損しなくてもガラス基板周辺部などにキズが生じた場合においても、後工程での接触や加熱処理などのガラス基板へのストレスにより破損が発生する場合もあり、大型ガラス基板の取扱いに対しては、1枚でも破損が発生しない事が重要である。
本発明は、このような課題を解決すべく、鋭意研究して完成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、矩形状の基板を、移載用架台から基板保持用枠体へ受け渡す方法であって、複数の回転輪が、全ての該回転輪と載置する基板との接点が架台水平面を形成するように配設された移載用架台の前記架台水平面に、前記基板を載置して水平に移動させ、前記基板よりは外周4辺の寸法が小さくされた前記架台水平面に、前記基板の外周4辺が前記架台水平面の外形よりは外側に延出するように位置決めし、前記架台水平面より下方に配列して待機させた複数のリフトピンを、前記架台水平面を超えて突出させて、前記基板の下面に接触させて、次に、前記リフトピンを鉛直方向上方に各位置に応じた高さに移動させて、全ての前記リフトピンの頂点で形成された面が前記基板を前記基板保持用枠体に収めた際の面形状になるように前記基板を支持し、次に、前記移載用架台の下方に備え置きした内側が開口となっている前記基板保持用枠体を水平状態で上昇させることにより、前記基板保持用枠体の開口が前記移載用架台の外周域を通過すること、前記架台水平面の外形より外側に延出した前記基板の周縁部に前記基板保持用枠体の内周側に設けた基板保持部材の上面が接触すること、前記基板を前記基板保持用枠体に受け渡しすることを連続して行うステップを備え、前記リフトピンを鉛直方向上方に各位置に応じた高さに移動させて、全ての前記リフトピンの頂点で形成された面が前記基板を前記基板保持用枠体に収めた際の面形状になるように前記基板を支持する際に、最も低い位置になる前記リフトピンには、先端を半球状にしたリフトピンを使用し、最も高い位置になる前記リフトピンには、基板を空気圧により非接触で支持するピンを使用することを特徴とする基板保持用枠体への受け渡し方法、である。
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、矩形状の基板を、基板保持用枠体から移載用架台へ受け取りする方法であって、複数の回転輪が全ての該回転輪と載置する基板との接点が架台水平面を形成するように配設された移載用架台において、前記架台水平面より下方に待機させた複数のリフトピンを上昇させて前記架台水平面を超えて突出させて、全ての前記リフトピンの頂点が形成する面が前記基板を前記基板保持用枠体に収めた際の湾曲形状になるように調整され、次に、前記基板保持用枠体を前記移載架台の上方から水平状態で下降させることにより、前記基板保持用枠体に載置された前記基板の下面を前記リフトピンの頂点に接触させること、前記リフトピンにより前記基板を支持させること、前記基板保持用枠体のみを前記移載用架台の外周域を通過させ下方に移動させることを連続して行い、次に、前記リフトピンを前記架台水平面より下方に下降させることにより、前記基板を平面状態にして前記架台水平面に受け取りするステップを備え、前記架台水平面より下方に待機させた複数のリフトピンを上昇させて前記架台水平面を超えて突出させて、全ての前記リフトピンの頂点が形成する面が前記基板を前記基板保持用枠体に収めた際の湾曲形状になるように調整される際に、最も低い位置になる前記リフトピンには、先端を半球状にしたリフトピンを使用し、最も高い位置になる前記リフトピンには、基板を空気圧により非接触で支持するピンを使用することを特徴とする基板の移載用架台への受け取り方法、である。
【0011】
上記課題を解決する本発明の要旨の第3は、基板を、平面状態から基板保持用枠体に湾曲状態にして収めて受け渡しし、もしくは基板保持用枠体に収めて湾曲状態にしたものを平面状態にして受け取りする用途の移載用架台であって、前記移載用架台の鉛直方向上部には、複数の回転輪を取り付けた回転軸が回転可能に複数並列され、且つ、全ての前記回転輪と載置する前記基板との接点が水平な架台水平面を形成するように配設された前記回転輪を有し、前記架台水平面の外形が前記基板保持用枠体の開口の大きさより小さくされて、前記架台水平面を含む前記移載用架台の外周域を前記基板保持用枠体の開口が鉛直方向上方又は下方に通過することが可能なように形成されており、前記移載用架台の鉛直方向下部には、前記架台水平面より下方に配設された複数のリフトピンを有し、前記リフトピンは、前記基板を、平面状態から基板保持用枠体に湾曲状態にして収めて受け渡しし、もしくは基板保持用枠体に収めて湾曲状態にしたものを平面状態にして受け取りするために、鉛直方向上下に可動し、前記架台水平面を超えて上方に突出して、各リフトピンの頂点を任意の高さに調整することが可能なように配設されており、前記リフトピンが前記基板を湾曲状態に支持する際に、最も低い位置になる前記リフトピンは、先端を半球状にしたリフトピンであり、最も高い位置になる前記リフトピンは、基板を空気圧により非接触で支持するピンであることを特徴とする基板の移載用架台、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の基板の基板保持用枠体への受け渡し方法によれば、基板が載置された移載用架台の下方に備え置きされた基板保持用枠体を引き上げて、その開口が移載用架台の外周域を通過するように上昇させて、基板を掬い上げて基板保持用枠体に受け渡しすることにより、受け渡しの際に基板の下方から基板保持用枠体を近づけるので、基板の上方からの塵埃や異物の落下を少なくすることができる。
また、本発明の基板の基板保持用枠体への受け渡し方法によれば、基板を複数のリフトピンにより予め基板保持用枠体の形状に沿った面形状にしておいてから基板保持用枠体に載置することにより、基板を平面状態のまま基板保持用枠体に直接移載した場合に比べて、基板が基板保持用枠体に接触した状態で面形状が変化することから生ずる基板と基板保持部材との間の摩擦や基板自体の歪や割れや汚れなどの発生を防ぐことができる。
【0013】
そして、本発明の基板の移載用架台への受け取り方法によれば、基板保持用枠体に載置された基板を移載用架台の架台水平面に複数のリフトピンを介して受け取りし、空の基板保持用枠体をその開口が移載用架台の外周域を通過するように下降させて、下方に移動することにより、受け取りの際に基板の下方に基板保持用枠体が移動されるので、基板の上方からの塵埃や異物の落下を少なくすることができる。
また、本発明の基板の移載用架台への受け取り方法によれば、複数のリフトピンの頂点が形成する面を基板保持用枠体の湾曲形状にしておいてから、基板を複数のリフトピンの頂点に接触させて支持した後、リフトピンを下降させて基板を平面状態にして架台水平面に受け取ることにより、基板保持用枠体に湾曲状態で載置された基板を平面状態の架台に直接移載した場合に比べて、基板が基板保持用枠体に接触した状態で面形状が変化することから生ずる基板と基板保持部材との間の摩擦や基板自体の歪や割れや汚れなどの発生を防ぐことができる。
【0014】
本発明の基板の移載用架台によれば、基板の基板保持用枠体への受け渡しの際には、基板の下方から基板保持用枠体を近づけられるように、また、基板の受け取りの際には、基板の下方に基板保持用枠体が移動されるように基板保持用枠体の開口が移載用架台の外周域を通過するような構造を有しているので、基板の上方からの塵埃や異物の落下を少なくすることができる。
また、本発明の基板の移載用架台によれば、基板の基板保持用枠体への受け渡しの際には、基板を複数のリフトピンにより予め基板保持用枠体の形状に沿った面形状にしておいてから基板保持用枠体に受け渡しし、また、基板の移載用架台への受け取りの際には、複数のリフトピンの頂点が形成する面を基板保持用枠体の湾曲形状にしておいてから、基板を複数のリフトピンの頂点に接触させて支持した後、リフトピンを下降させて基板を平面状態にして架台水平面に受け取りするような複数のリフトピンを架台水平面の下方に配設された構造を有しているので、リフトピンを介さないで架台と基板保持用枠体との間の移載を行う場合に比べて、基板が基板保持用枠体に接触した状態で面形状が変化することから生ずる基板と基板保持部材との間の摩擦や基板自体の歪や割れや汚れなどの発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明するが、理解を容易にするため、本発明の基板の基板保持用枠体への受け渡し方法、移載用架台への受け取り方法、基板の移載用架台について詳細に説明する前に、本発明に関する基板保持用枠体を用いた基板の搬送や保管について全体から説明することとする。
【0017】
図11は、基板保持用枠体の外観を示す斜視図である。基板保持用枠体10は、平面視は矩形状の枠体であるが、斜視図では中央部が下方(重力方向)に湾曲した枠体となっている。四辺に、フレーム状の枠部11(11a、11b、11c、11dからなる)を有している。この枠部11が、多段に積み重ねる基板保持用枠体10と基板の全重量を支える構造部材となっている。
枠部11の左右の辺11a、11bは平坦な直線状の形状であるが、前後の辺11c、11dは下方に湾曲した形状にされている。ここで、枠体の前後と左右は、本来、対向する2辺のいずれを前後または左右としても良いが、本明細書では、区別し易いように矩形状の基板の長辺側が載る2辺を左右辺としている。
【0018】
枠部11の上面内周側に一定幅の基板支持部13が延出して形成されている。また、
図11では図示されないが、下面内周に沿って嵌合部が形成されている(後述の
図1、
図2参照)。基板支持部13と嵌合部は、枠部11と同質の材料からなっている。
基板支持部13には、一定間隔でその金属面を覆うように、樹脂製の基板保持部材14が装着されている。基板保持部材14は、基板支持部13に一定間隔で切り欠きを設けて、その切り欠き部に取り付ける場合もあるので、その場合は、基板保持部材14を含めた基板支持部13が一定幅で内周側に延出することになる。ただし、基板保持部材14は、一定間隔を置かず帯状に連続して装着してもよい。
基板支持部3と基板保持部材14で囲まれた中央の領域Kは、何もない開口(空間域)である。
【0019】
図12は、基板保持用枠体に基板を載せる状態の外観斜視図である。
図12(A)は、図の下方に基板保持用枠体10、図の上方に基板Aが準備されている状態であり、
図12(B)は、基板保持用枠体10に基板Aが載置された状態である。基板Aの周縁部が基板保持部材14の上面に接するように載置される。
基板Aを基板保持用枠体10に近づける方法として、静置された基板Aの下方から上昇させた基板保持用枠体10に基板Aを掬い上げるように載せる方法がとられる。この方法は、静止させた状態の基板保持用枠体10に、上方から基板Aを下降させて載置する場合に比べて、基板Aの上方において装置が作動することがないので、それを起因とする塵埃や異物が基板Aの表面に落下することを少なくする利点がある。
【0020】
図13は、基板保持用枠体に基板を載せ、基板保持用枠体を多段に積み重ねた状態で、上蓋を被せ、下側にインナーパレットと防振パレットをあてがう状態を示す斜視図である。
基板保持用枠体10を既に基板Aを載せた他の基板保持用枠体10に順次重ねることにより、基板保持用枠体10の多段積み重ね体100にすることができる。上下の基板保持用枠体10の積み重ねは、下方の基板保持用枠体10の基板支持部13の枠部11に近い嵌合部上面と、上方の基板保持用枠体10の嵌合部の下面とが係合することにより、嵌め合わせされ、位置合わせが確実に行われる。
【0021】
インナーパレット30は、最下段に載せられている基板Aに接触しないように基板の湾曲面に合わせた形状の金属または樹脂製の表面板31を有している。また、多段に積み重ねた基板保持用枠体10と基板Aの全重量をパレットの四辺で受けるようにされている。
基板保持用枠体10と同様に、塵埃等を発生させない考慮がされている。密封構造とするため、最下段の基板保持用枠体10の下面嵌合部と嵌合するパレット自体の嵌合部を有するものとする。
【0022】
防振パレット40は、基板に及ぼす搬送中の振動等を抑制するためのものである。一般的には、防振ゴムを使用して輸送中や荷役中の振動や衝撃を緩衝する働きをする。塵埃や異物を発生させないものであれば、市販品を用いてもよい。
上蓋20にも、基板Aの湾曲形状に合わせ、下方に湾曲した表面板21を有するものを使用する。これには、上方からの衝撃等に耐えるように強固な金属または樹脂材料を使用するのが好ましい。また、略密封状態とするため、最上段の基板保持用枠体10の上面と嵌合するように、上蓋20自体にも嵌合部を有する構造のものとする。結束機構22と結束ベルト23が付いたものがさらに好ましい。
【0023】
図14は、基板保持用枠体とインナーパレットとを結束材で梱包した状態を示す斜視図である。基板保持用枠体10の多段積み重ね体100を上蓋20とインナーパレット30の間に挟み、結束機構22と結束ベルト23を用いて結束している。図示しない外カバーを被せて梱包体が完成する。この状態で保管することができ、貨物や航空便として輸送することもできる。
【0024】
本願は、上記で説明した基板の搬送・保管装置の全体説明中における基板の基板保持用枠体への受け渡し方法と移載用架台への受け取り方法、および基板の移載用架台に関するものなので、以下、基板保持用枠体10とその使用方法等に関して詳述する。
【0025】
図1は、基板保持用枠体を上面から見た平面図である。
基板保持用枠体10は、
図1のように、平面状態で観察した場合の外形は、基板Aの形状をほぼ比例して拡大した形状の矩形状のものである。ただし、枠部11は、左右の枠部11a、11bは直線状の形状で互いに平行に形成されており、前後の枠部11c、11dは、湾曲した形状に形成されている。
左右の枠部11a、11bの外側には、手掛部15が形成されている。手掛部15は、
ロボットアーム等で把持する部分であり、辺の全長に沿って設ける必要はなく部分的な長さのものであっても良い。
【0026】
基板保持用枠体10は、枠部11に構造強度を有する金属材料等を使用する。基板保持用枠体10自体と基板Aの合計荷重に耐える必要があるからである。例えば、前記第6世代(1500mm×1850mm、0.7mmt)の場合、1枚のガラス基板が5kg、基板保持用枠体が5.5kgになるので、150段にした場合、1.5トン以上となる。第6世代と言われるガラスは、段落[0009]で前述したようにサイズや板厚が、若干異なるものがあり、当然の事であるが、ガラス基板の重量及び基板保持枠体10の重量も若干異なり、総重量も変わってくる。
枠部11の上面からは内周側に向けて、一定幅の基板支持部13が延出して形成されている。基板支持部13の枠部11に沿う部分は第1嵌合部12nとなり、下側の第2嵌合部と嵌め込みできる傾斜面にされている。枠部11の下面には、この傾斜面に沿って第2嵌合部12dが形成されているが、
図1では図示されていない(
図2または
図3参照)。
嵌合部12n、12dは、四辺の全てまたは少なくとも三辺に設けるのが好ましい。枠体10の前後左右を位置合わせするためである。
【0027】
基板支持部13には、一定間隔で基板支持部13の金属面を覆うように、樹脂製の基板保持部材14が装着される。ガラスを代表する基板は、金属面に対してよりも表面が柔らかい樹脂材料に接していれば、衝撃を受けた際に損傷し難いからである。
基板保持部材14は、その寸法によって異なるが、一の辺に5〜20個程度、装着される。
図1の場合は、左右辺に各8個、前後辺に各6個が装着されている。従って、1枚の基板保持部材14は、幅5〜10cm、長さ10〜25cm程度のものとなる。ただし、基板保持部材14を間隔を置いて装着しなくても良いのは、前記のとおりである。
基板支持部13と基板保持部材14により囲まれる開口Kは何もない空間域となっている。
【0028】
図2は、基板保持用枠体を3段に積み重ねした左辺の枠部と嵌合部、および基板支持部の断面図である。3段としたのは例示であり、実際はさらに多段にする。
枠部11には、軽量化の目的からアルミやアルミ合金等の材料を使用する。図のように、断面が矩形状または正方形状であって、中空構造を好適に採用できる。
ロボットアーム等の把手部となる手掛部15は、枠部11の上面と平行な平滑面として、外方に定幅で延びている。平滑面にするのは、塵埃の発生防止と清浄化の容易、および密封性の問題からである。ただし、完全な気密性を求めるものではない。
【0029】
図2の場合、基板支持部13は枠部11の上面から延出して設けられているが、下面側から延出して基板支持部13としてもよい。基板支持部13の枠部11に沿う部分は、第1嵌合部12nとなっている。第2嵌合部12dは枠部11の下面から短く延出する突起片として設けられている。基板支持部13を下側にした場合は、この突起片は上面側から突出することになる。第1形態の基板保持用枠体では、上側から基板支持部13が延出し、第2形態の基板保持用枠体では、下側から基板支持部13が延出している。嵌合用の突起片が逆の位置になるだけの違いである。どちらもあまり効果は変わらないが、基板支持部13が上面である場合が、基板への塵埃の落下を少なくできると考えられる。
【0030】
基板支持部13は、一定幅H1で設ける。H1は、6〜15cm程度となる。左右の枠部11a、11bに設ける基板支持部13a、13bは、角度αで下方に屈曲されている。
第6世代のガラス基板(1500mm×1850mm、0.7mmt)の場合は、基板の短辺を湾曲させて、その最も湾曲した中央部分と、対向する長辺2辺を含む平面との垂直方向の距離が100mmから120mm程度とした湾曲の程度とするのが好ましいが、その場合、角度αは、5度から25度程度の範囲となる。前後の枠部11c、11dにも基板支持部13c、13dを設けるが、枠部11c、11d自体が湾曲しているので、長さ方向はその湾曲形状に従うが、内周側下方には僅かに屈曲させる程度で良い。
【0031】
図2の場合、第2嵌合部12dは、枠部11の下辺から傾斜屈曲して形成されている。このように、嵌合部12dは、枠部11自体にではなく、基板保持用枠体自体や基板の荷重を直接受けない枠部11の内周部分に形成されている。このようにすることで、嵌合部の変形を防ぐことができる。
枠部11に沿う部分には第1嵌合部12nが形成される。この部分は第2嵌合部12dの形状に合致するように、同様に下方に傾斜した形状にされる。この第2嵌合部12dの下面と第1嵌合部12nの上面の嵌め合わせにより、上下の基板保持用枠体10相互間の位置合わせがされる。このように、嵌合部12n及び12dは、枠体を多段積みした場合に枠部11自体の荷重を受けない内周部分に形成するのが好ましい。
【0032】
嵌合部の傾斜面の枠部11の水平面に対する角度βは、5度から45度程度、より好ましくは、10度から20度となる。また、その斜辺の幅hは5mm〜20mm程度となる。
適度な傾斜をつけることで、多少の位置ずれが生じてもその荷重で嵌合し、位置調整がされる(セルフアライメント)機能が生じることになる。
枠部11の上下面を平滑な面仕上げにし、嵌合部12n及び12dと基板支持部の枠部11に沿う部分の上下面を正しく位置合わせして積み重ねることにより、上下の枠部11の間隔dを一定にするとともに、内部を略密封状態にすることができる。
【0033】
図3は、
図2の基板支持部に対して、基板保持部材を装着し、基板を載置してから、基板保持用枠体を3段に積み重ねした状態の左端断面図である。
基板保持部材14が基板支持部13面に装着されている。基板保持部材14の少なくとも先端側(開口Kにのぞむ側)は薄肉に形成するのが好ましい。厚肉であれば、上下の基板保持用枠体間の間隙を狭くしてしまうからである。ただし、基板保持部材14の後端14aは基板支持部間の間隙幅近くまで肉厚にして、基板Aの前後左右の揺動によるずれを抑える機能を果たさせるのが好ましい。
【0034】
基板保持部材14の基板支持部13への装着は、各種の方法を採用できる。基板保持部材14の先端(開口Kにのぞむ側)近くを蝶番状に開閉できる構造にし、後端(枠部側)において、表裏の片を、基板支持部に設けた数個の小孔を通じて、嵌め合わせして装着しても良い。あるいは、前記のように、基板支持部13に基板保持部材14よりも小さく比例した形状の切り欠きや抜き孔を設け、薄い基板保持部材14の後端と左右側面に形成したスライド溝により、該切り欠きや抜き孔内に差し込むようにすることもできる。いずれにしても、簡単には脱落しなく、塵埃等を発生させない構造にする必要がある。
【0035】
図3の場合、基板保持部材14は、基板支持部13に複雑な構造により、嵌め込み固定されているが、図面に詳細構造は示されていない。また、基板保持部材14の肉厚にされた最後端部14fにより、基板Aが揺動するのを停止させるストッパーの機能を持たせている。このような、基板保持部材14の構造により、基板Aの揺動を一定範囲に抑えることができる。
図3中、上段の基板A1は、最後端部14fに接触しており、下段の基板A2は右側によっていることを示している。
基板Aの揺動範囲を±5mmとした場合、湾曲形状に沿う左右のストッパー14f間の距離は、基板Aの幅+10mmとすることができる。
【0036】
枠部11の四隅は、
図1に図示のように、樹脂製等のコーナーピース16を端部に嵌め込みして連結できるが、可能であれば溶接等で接合してもよい。コーナーピースの場合、枠部11との連結部が平滑に接続されるように注意する。
コーナーピース16内に差し込みされる枠部11は切削するかプレスして薄肉化し、コーナーピース16の表面と枠部11の表面との間に段差が生じないようにする。
コーナーピース16自体にも表裏の嵌合溝を形成するのが好ましい。枠部11とコーナーピース16は、2辺の角度が直角に維持されるように、ボルトとナットで強く固定される。
なお、基板としては、典型的には、ガラス基板やプラスチック基板が対象となり、特には、カラーフィルター基板、すなわち液晶ディスプレイ装置用やプラズマディスプレイ装置用のカラーフィルターやそれらのカラーフィルターの製造過程における中間製品が対象となる。
【0037】
以上のように、基板保持用枠体は、矩形状の基板1枚を載置して、この基板保持用枠体を複数積み重ねた状態で搬送または保管する用途に供するものであって、矩形状の枠部と、該枠部の上面から内周下方側に傾斜して設けた第1嵌合部とさらにその先に延出して形成された基板支持部と、前記枠部の下面から内周下方側に設けた第2嵌合部と、からなり、前記基板支持部に基板を載置した状態の基板保持用枠体を、第1嵌合部と第2嵌合部の嵌め合わせにより、上下の枠部間の位置合わせをして、多段に積み重ね可能とされたものが好ましい。
【0038】
(材質と製法に関する実施形態)
枠部11に使用する材料には、軽量で腐食を生じない金属材料を使用できる。具体的には、純アルミニウム、ジュラルミン系、アルミニウム−マンガン系等のアルミニウム合金等を使用できる。これらの材料を中空押し出し加工して枠形を製造することができる。
基板保持部材14には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂材料、超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)、ナイロン66、ナイロン610といったポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の材料を使用できる。これらの材料を、金型を用いインジェクション成形して製造できる。
コーナーピース16にも基板保持部材14と同様な材料を同様に加工して製造することができる。
【0039】
次に、
図4〜
図9を参照して、基板Aを基板保持用枠体10に移載する、または基板Aが基板保持用枠体10から移載される移載用架台とその操作について説明することとする。
【0040】
図4は、基板を基板保持用枠体に移載する装置の概略を説明する図であって、
図4(A)は平面図、
図4(B)は正面図、
図4(C)は側面図、である。
図4(A)のように、基板Aが基板保持用枠体10に移載される際(受け渡し)、および基板Aが基板保持用枠体10から移載される際(受け取り)において、移載用架台50と
図4には、図示しないロボットアームを使用する。
移載用架台50は、基板Aを載置できる大きさを有する平面視が略矩形状の架台である。略矩形状とするのは、基板Aを搬送する複数本の回転軸W(W1、W2、W3、・・Wn)とそれに取り付けられた回転輪sw、基板Aを昇降させる多数本のリフトピンP(P1、P2、P3、・・Pn)、およびそれらの駆動機構等からなり、テーブルのような明確な外形形状を有しないからである。
基板Aを搬送する各回転軸Wには複数の回転輪swが取り付けされており、各回転軸Wは、軸受けJに支持されている。
また、回転輪は、各回転輪swの頂点(最上面)が存在する一つの面を水平に形成するように配列されている。すなわち、回転輪は、各回転輪と基板Aとの接点が水平な架台水平面を形成するように配設されている。
【0041】
移載用架台50の外形形状は、基板保持用枠体10の基板支持部13が囲んで形成する開口K(
図4中破線で示す。)よりも小さい寸法である必要がある。移載用架台50の架台水平面を通して、前記架台水平面より下方の外周に基板を載せていない基板保持用枠体10を重ねて準備しておく必要があり、基板Aを移載する際は、該基板保持用枠体10の開口Kを通じて架台50を通過させる必要があるからである。
【0042】
回転軸Wは、基板Aの搬送方向に直交して複数本配列されている。前工程の製造装置90により処理を終えた基板A(
図4において、一点鎖線で示される。)は、この回転軸Wの回転輪swに載せられて、滑らかに架台水平面に排出される。従って、回転輪swは等速度で回転し基板を矢印Y方向に運ぶことになる。回転輪swの基板Aと接触する面には、基板への損傷が少なく基板による摩耗等が少ない超高分子量ポリエチレン等の材質を用いる。
移載用架台50の架台水平面では、基板Aは、左右前後の各辺のいずれもが架台水平面よりも外側に張り出した位置で停止しなければならない。基板Aの下側にある基板保持用枠体10が上昇した際に手際よく基板Aが基板保持用枠体10の基板支持部13に掬われる必要があるからである。そのため、移載用架台50には基板Aの位置検査装置や位置補正装置が設けられていてもよい。
前工程の製造装置90と移載用架台50の接続部は、基板保持用枠体10の後辺11dを移載時に通過させるため、所定幅の間隔に回転軸Wは、基板保持用枠体10が通過する際は、退避可能な構造にされている。
【0043】
移載用架台50には、さらに、基板Aを移載の際、湾曲形状にすることができるリフトピンP(P1、P2、・・Pn)が垂直に起立した状態で、縦横に整列して設けられている。リフトピンPは、基板Aが、回転輪sw上を移動している際は、前記架台水平面から突出しないように待機状態にされている(
図4(B)参照)。
図4では、1列(左右方向の)に6本のリフトピンが配列しているが、ピン数は必要な限度で自由に設定できる。ただし、最低中央の1本と左右の2本の合計3本が必要であり、10本程度まで増やすことができる。移載時は、基板Aを左辺端と右辺端を高く上昇させ、中央部分が下側(鉛直方向下方)に湾曲した撓んだ状態にするため、第1列(
図4(A)において下側)のP3とP4のピンは、最も低い位置にあり、P1とP6のリフトピンは、最も高い位置に上昇させられる。リフトピンPを使用しなくても、基板保持用枠体10への移載はできるが、平面状態の基板Aが、いきなり湾曲形状にされると急激な応力変化を与え、割れ等が生じ易くなるからである。ピン高さについては、後に詳述する。
【0044】
P3とP4のリフトピンは、最も低い位置にあるので、移載時に架台水平面から、それほど突出する必要はなく、架台水平面と同等かあるいは僅かに突出できる程度でよい。
P3とP4のピンには、先端を半球状にしたピンを使用するが、負圧により吸着するピンを使用してもよい。左右端に近いピンは、基板Aを撓ませ動作に伴い裏面を擦過し易いので、逆に加圧空気により、基板を非接触で上昇保持するピンの使用が好ましい。もっとも空気圧を使わないで、ピンの先端に回転可能な球体を装填したリフトピンを使用することもできる。
【0045】
リフトピンPは、空気圧を使用しない場合は、先端が半球状にされた金属または樹脂製の小径(5mm〜50mm程度)の単なる直棒状のものでも良いが、空気圧を利用する場合は、ポンプに接続した配管が必要になる。いずれの場合も基板の中心線に対して、左右の対称位置にあるリフトピンPは、一対にされて同等の上昇高さに調整されることになる。
図4(B)において、リフトピンPに接続する各配管またはロッドは、それぞれサーボシリンダ等による駆動機構に接続される。なお、図において配管等は、摸式的に図示したものであり、実際の構造を示したものではない。
図4(C)においては、回転輪swとリフトピンPの位置関係が明瞭化されている。
【0046】
図5は、基板の位置補正装置を説明する外観斜視図である。
図5のように、移載用架台50(
図5ではその外形が破線で示されている)の架台水平面に基板Aが載置されている。基板Aの外周端面に直角に当接するように配設された複数の位置補正部材(S1、S2、S3、S4、S5、S6)が、少なくとも基板Aの3辺の各辺2箇所に対応して離間して設けられている。この基板Aは、前工程から矢印Y方向に搬送され架台水平面に載置されたもので、基板Aの外周4辺のいずれもが架台水平面の外周よりも外側に張り出した位置に停止した状態である。
ここで、位置補正装置は、上記の位置補正部材(S1〜S6)とこれらの動作を制御する制御部(図示していない)からなるものである。
図5のように、S3とS4の位置補正部材は、搬送方向の先頭部となる基板Aの端面に直角に当接されて、予め設定された位置に基板の位置を補正するように配設されている。
また、S1とS2の位置補正部材と、それらと対向するS5とS6の位置補正部材は、搬送方向に沿う基板Aの両辺の端面に当接されて、予め設定された位置に基板の位置を補正するものである。この位置補正によって、
図12(A)及び
図12(B)のように、基板Aの周縁部が基板保持用枠体10の基盤保持部材14に正確に載置されることになる。
また、これらの各位置補正部材(S1、S2、S3、S4、S5、S6)は、その先端部(
図5の2段の円柱形状の位置補正部材の直径が小さい方の円柱部分)は、基板Aの端面から離れる方向に動いて直径が大きい円柱部分に引き込まれる構造になっており、前記基板Aの外周を、移載用架台50の下方に備え置きした基板保持用枠体10を上昇させて通過させることができるようになっている。 適応することが可能な位置補正部材としては、筒型シリンダーなどが挙げられる。
【0047】
図6は、リフトピンが突出した際の高さ位置を説明する図である。
前記のように、P3とP4のリフトピンは最も低い位置にされ、P1とP6のピンは最も高い位置に上昇させられる。
勿論、第1列のピンにならい、後続のピン列も原則としてほぼ同一高さに調整される。
各リフトピンP1〜P6の頂点が形成する面は、基板Aを基板保持用枠体10で支持した場合の基板Aの湾曲形状に、概略一致する形状にされる。移載の際は、予め設定した高さ位置に各ピンが突出するように制御される。その際、基板Aの左右中心線に対して対称位置にあるリフトピンは、同一高さに制御される。
ただし、以上の説明は、基板をその長辺に平行する中心線域が低く、左右の両長辺域をより高く上昇させた湾曲状態にする場合であって、それ以外の湾曲状態にすることもできる。例えば、基板保持用枠体10の前後辺の枠部が湾曲のない平坦な四辺枠である場合は、基板は中央域のみが下方に撓んだ形状になるが、その場合は、リフトピンが前記架台水平面より上方に突出した際において、全ての隣接リフトピンの頂点が形成する面が、基板の湾曲形状に概略合致するようにするのが好ましい。
【0048】
図7は、基板の移載時(受け渡し時)の状態を示す図である。
移載用架台50の架台水平面に平面状態で搬送された基板を、に配設された移載用架台の前記架台水平面に、前記基板を載置して水平に移動させ、基板よりは外周4辺の寸法が小さくされた架台水平面に、基板の外周4辺が架台水平面の外形よりは外側に延出するように位置決めし、前記架台水平面より下方に配列して待機させた複数のリフトピンを、前記架台水平面を超えて突出させて、前記基板の下面に接触させる。次に、前記リフトピンを鉛直方向上方に各位置に応じた高さに移動させて、全ての前記リフトピンの頂点で形成された面が前記基板を前記基板保持用枠体に収めた際の面形状になるように前記基板を支持する(
図7(A))。
次に、移載用架台50の下方に備え置きした内側が開口となっている基板保持用枠体10を水平状態で上昇させることにより、基板保持用枠体10の開口が移載用架台の外周域を通過すること、前記架台水平面の外形より外側に延出した基板Aの周縁部に前記基板保持用枠体の内周側に設けた基板保持部材の上面が接触すること、基板Aを前記基板保持用枠体に受け渡しすること(
図7(B))を連続して行うことを特徴とする、その後、基板Aは所定の場所に搬送される。各リフトピンPは、移載用架台50の架台水平面の下方に沈み、次の基板Aが回転輪swによって架台水平面に運ばれて来る(
図7(C))。
【0049】
図8は、基板の移載時(受け取り時)の状態を示す図である。
受け取り時は、受け渡し時とは逆に、基板保持用枠体10内に湾曲状態で納まっている基板Aが運ばれてくる。架台水平面より下方に待機させた複数のリフトピンPを上昇させて架台水平面を超えて突出させて、全てのリフトピンPの頂点が形成する面が基板を前記基板保持用枠体に収めた際の湾曲形状になるように調整される(
図8(A))。次に、基板保持用枠体10を移載用架台の上方から水平状態で下降させることにより、基板保持用枠体10に載置された基板Aの下面を前記リフトピンの頂点に接触させてリフトピンPに基板Aを支持させ(
図8(B))、基板保持用枠体のみを前記移載用架台の外周域を通過させ下方に移動させる。次に、基板Aを受け取ったリフトピPンを架台水平面より下方に下降させることにより、基板Aを平面状態にして架台水平面に受け取りする(
図8(C))。回転輪sw面に載った基板Aは次工程の製造装置に搬送される。
空になった基板保持用枠体10は、そのまま移載用架台50の下方に積み重ねられるか、他の必要な箇所に運搬される。
【0050】
図9は、基板保持用枠体の開口、基板、移載用架台のそれぞれの大きさの関係を示す図である。
以上の説明で明らかなように、基板保持用枠体10の開口K、基板A、移載用架台50のそれぞれの大きさ(平面外形)の関係は、
図9のようになる。すなわち、基板Aの平面外形が最大であって、その次が開口Kの大きさであり、移載用架台50は最小でなければならない。ただし、基板保持用枠体10の外形は、基板Aよりも大きいのは当然なことである。移載用架台50に備え置きされる基板保持用枠体10は、移載用架台50を中に置いてその周囲であって、架台水平面を超えない下方に置かれることになる。
【0051】
図10は、リフトピンの各種を説明する図である。
図10(A)は、半球状の先端2を有する金属または樹脂製の小径の単なる直棒状の形態のものである。リフトピンPの断面直径は、5mm〜50mm程度が好ましい。材質としては、ステインレススチールやフッ素樹脂系、超高分子量ポリエチレン等が好ましく、特に、先端の材質は基板に損傷を与えないものが選択される。
図10(B)は、先端に微小な回転球体3を有するピンの形態である。ボールベアリングにより回転する回転体3は、固定部31により固定され、軸体32に接続している。回転球体3の材質には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の材質が用いられる。
【0052】
図10(C)は、空気圧を利用するピンであり、吸着目的のものと、非接触支持を目的とする用途とがある。いずれも先端に小さい開口部4を有している。吸着目的の場合は移載時の基板Aを固定する目的で使用され、パイプ配管は真空ポンプに接続される。
非接触支持を目的とする場合は、先端から空気を吹き出して開口部4から近接距離に基板Aを非接触で支持する目的であり、パイプ配管は加圧ポンプに接続される。非接触支持状態は、基板Aが枠体に納まるまでの間継続される。
図10(D)のように、基板Aの左右端近くでは基板Aの滑りが生じ易いので、回転球体3を有するもので、基板Aを直角に支持するように、ピンの先端を内側に屈曲させたものを用いることも好ましい。
【0053】
次に、基板保持用枠体10の移動について説明する。
まず、予め積み重ねてある基板保持用枠体10を数段から十数段単位で運び、基板保持用枠体10の開口Kにより移載用架台50を通してその表面より下面に位置するように積み置きをする。基板保持用枠体10は、水平状態で運ばれ、数段単位を最下段の手掛部15を把持して一括して移動させることができる。
基板保持用枠体を移動する際には、ロボットアームが使用される。
ロボットアームは、基板保持用枠体10の手掛部15(
図1、
図2参照)を把持できる構造を有している。ロボットアームはアームの伸縮や上下動や回転が可能である。
また、ロボットアームは基板保持用枠体10を把持し下降して、基板Aがリフトピン上に移載され架台水平面で平面状態にされた後に、ロボットアームの把持部は、基板Aの外周を通過することを妨げない構造にされている。
また、基板の移載時には、ロボットアームは基板保持用枠体と移載用架台との位置関係を調整することができる。例えば、基板受け取り時には、ロボットアームにより基板保持用枠体10を移載用架台の上方から水平状態で下降させることにより、基板保持用枠体10に載置された基板Aの下面を前記リフトピンの頂点に接触させてリフトピンPに基板Aを支持させ、基板保持用枠体のみを前記移載用架台の外周域を通過させ下方に移動させことができるように、基板保持用枠体と移載用架台との位置関係を設定することができる。
【実施例】
【0054】
アルミニウム合金材料を使用して、1500mm×1850mmサイズの基板保持用枠体10を製造した。まず、
図2図示の断面形状の枠部を中空押し出し加工して製造した。
左右の枠部11a、11bはそのまま使用したが、前後の枠部11c、11dは押し出し後、曲げ加工を行った。湾曲率の半径は3000mmとなるようにした。枠部11の厚み(段ピッチ)dを10mmとし、枠部幅W1を30mmとし第2嵌合部12dの幅W2を20mmとした。各部の肉厚は、3mmから5mmとなった。
【0055】
完成した基板保持用枠体10と前記の移載用架台50を用いて基板A(厚み0.7mm、1500mm×1850mmガラス基板)の移載試験を行ったが(
図9において、開口Kのサイズは、1410mm×1760mm、移載用架台のサイズは、1360mm×1710mm)、円滑に、基板の受け渡し、受け取りができることが確認された。