特許第6015842号(P6015842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015842光半導体装置用リードフレーム、樹脂付き光半導体装置用リードフレーム、リードフレームの多面付け体、樹脂付きリードフレームの多面付け体、光半導体装置、光半導体装置の多面付け体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015842
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】光半導体装置用リードフレーム、樹脂付き光半導体装置用リードフレーム、リードフレームの多面付け体、樹脂付きリードフレームの多面付け体、光半導体装置、光半導体装置の多面付け体
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20161013BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H01L33/62
   H01L23/48 F
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-236533(P2015-236533)
(22)【出願日】2015年12月3日
(62)【分割の表示】特願2014-116421(P2014-116421)の分割
【原出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2016-36053(P2016-36053A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2015年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100092576
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 久男
(72)【発明者】
【氏名】小田 和範
(72)【発明者】
【氏名】大石 恵
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−159837(JP,A)
【文献】 特開2011−086811(JP,A)
【文献】 特開2012−028743(JP,A)
【文献】 特開2012−234955(JP,A)
【文献】 特表2011−505689(JP,A)
【文献】 特開2012−033724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28−23/31,23/48,33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子が載置される第1の端子部と、前記光半導体素子と電気的に接続される第2の端子部とを有する光半導体装置に用いられる光半導体装置用リードフレームにおいて、
前記第1の端子部は、前記第2の端子部と対向する辺を除いた三辺の外周縁に、表面から窪んだ第1凹部を備え、前記第2の端子部と対向する辺には、裏面から窪んだ第2凹部を備え、
前記第2の端子部は、その外周縁に、表面から窪んだ第3凹部を備えること、
を特徴とする光半導体装置用リードフレーム。
【請求項2】
請求項1に記載の光半導体装置用リードフレームにおいて、
前記第1の端子部及び前記第2の端子部は、それぞれ連結部を備え、
前記連結部は、裏面から窪んだ第4凹部を備えること、
を特徴とする光半導体装置用リードフレーム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の光半導体装置用リードフレームにおいて、
各端子部の外周側面及び端子部間に樹脂が充填された場合に、前記光半導体装置の裏面に表出する各端子部の形状が矩形であること、
を特徴とする光半導体装置用リードフレーム。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の光半導体装置用リードフレームと、
端子部の外周側面及び端子部間に形成される樹脂層とを備えること、
を特徴とする樹脂付き光半導体装置用リードフレーム。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の光半導体装置用リードフレームが枠体に多面付けされていること、
を特徴とするリードフレームの多面付け体。
【請求項6】
請求項に記載の樹脂付き光半導体装置用リードフレームが多面付けされていること、
を特徴とする樹脂付きリードフレームの多面付け体。
【請求項7】
請求項に記載の樹脂付き光半導体装置用リードフレームと、
前記第1の端子部に載置される光半導体素子と、
前記樹脂付き光半導体装置用リードフレームの前記光半導体素子が載置される側の面に形成され、前記光半導体素子を覆う透明樹脂層とを備えること、
を特徴とする光半導体装置。
【請求項8】
請求項に記載の光半導体装置が多面付けされていること、
を特徴とする光半導体装置の多面付け体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体素子を実装する光半導体装置の光半導体装置用リードフレーム、樹脂付き光半導体装置用リードフレーム、リードフレームの多面付け体、樹脂付きリードフレームの多面付け体、光半導体装置、光半導体装置の多面付け体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、LED素子等の光半導体素子は、電気的に絶縁され、樹脂層で覆われた2つの端子部を有するリードフレームに固定され、その周囲を透明樹脂層によって覆い、光半導体装置として照明装置等の基板に実装されていた(例えば、特許文献1)。
しかし、このような光半導体装置は、LED素子の発光や、実装した基板の熱によって、樹脂層及びリードフレームがそれぞれ伸びてしまう場合があった。ここで、リードフレームの端子部は、銅等の導電材料から形成され、樹脂層は、熱可塑性樹脂等から形成されているので、両者の線膨張係数の差によって、樹脂層がリードフレームの端子部から剥離してしまう場合があった。
また、このような光半導体装置は、リードフレームを覆う樹脂層が、リードフレームの厚みとほぼ一致するように形成され、その樹脂層が形成されたリードフレーム上に透明樹脂層が形成される、いわゆるフラットタイプの光半導体装置であるが、このような装置においては、樹脂層とリードフレームの端子部との接触面積が非常に狭いため、上記剥離の発生が顕著になる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−086811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、樹脂層と端子部との剥離を抑制することができる光半導体装置用リードフレーム、樹脂付き光半導体装置用リードフレーム、リードフレームの多面付け体、樹脂付きリードフレームの多面付け体、光半導体装置、光半導体装置の多面付け体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。また、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0006】
第1の発明は、複数の端子部(11、12)を有し、前記端子部のうち、少なくとも一つの表面に光半導体素子(2)が接続される光半導体装置(1)に用いられる光半導体装置用リードフレーム(10)において、前記端子部(11)は、他の端子部(12)と対向する一辺に、その表面から窪んだ第1凹部(M1)と、その裏面から窪んだ第2凹部(M2)とを交互に備え、前記他の端子部は、前記第2凹部と対向する位置に、その表面から窪んだ第3凹部(M3)を有し、かつ、前記第1凹部と対向する位置に、その裏面から窪んだ第4凹部(M4)を有し、前記各端子部の外周側面及び前記端子部間に樹脂(20)が充填された場合に、前記光半導体装置の裏面に表出する前記端子部及び前記他の端子部の互いに対向する辺が直線であること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
第2の発明は、第1の発明の光半導体装置用リードフレーム(10)において、前記端子部(11)は、対向する前記他の端子部(12)に対して突出する突出部(14)を備え、前記第2凹部(M2)は、前記突出部の裏面に形成されること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
第3の発明は、複数の端子部(11、12)を有し、前記端子部のうち、少なくとも一つの表面に光半導体素子(2)が接続される光半導体装置(1)に用いられる光半導体装置用リードフレーム(10)において、前記端子部(11)は、他の端子部(12)と対向する辺に、その表面から窪んだ第1凹部(M1)と、その裏面から窪んだ第2凹部(M2)とを交互に備え、前記他の端子部は、前記第2凹部と対向する位置に、その表面から窪んだ第3凹部(M3)を有し、かつ、前記第1凹部と対向する位置に、その裏面から窪んだ第4凹部(M4)を有し、前記端子部(11)は、対向する前記他の端子部(12)に対して突出する突出部(14)を備え、前記第2凹部(M2)は、前記突出部の裏面に形成されること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
第4の発明は、第2の発明又は第3の発明の光半導体装置用リードフレーム(10)において、前記突出部(14)は、前記光半導体素子(2)が、前記光半導体装置(1)の外形の中心に配置されるように形成されること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
第5の発明は、第2の発明から第4の発明までのいずれかの光半導体装置用リードフレーム(10)において、前記他の端子部(12)は、前記突出部(14)と対向する位置に、前記突出部と係合する係合部(15)を備えること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
第6の発明は、第5の発明の光半導体装置用リードフレーム(10)において、前記第3凹部(M3)は、前記係合部(15)の表面の少なくとも一部に形成されること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかの光半導体装置用リードフレーム(10)において、各端子部(11、12)の外周側面及び前記端子部間に樹脂(20)が充填された場合に、前記光半導体装置の裏面に表出する各端子部の形状が矩形であること、を特徴とする光半導体装置用リードフレームである。
【0007】
第8の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかの光半導体装置用リードフレーム(10)と、前記端子部(11、12)の外周側面及び前記端子部間に形成される樹脂層(20)とを備えること、を特徴とする樹脂付き光半導体装置用リードフレームである。
【0008】
第9の発明は、第1の発明から第7の発明までのいずれかの光半導体装置用リードフレーム(10)が枠体(F)に多面付けされていること、を特徴とするリードフレームの多面付け体ある。
【0009】
第10の発明は、第8の発明の樹脂付き光半導体装置用リードフレームが多面付けされていること、を特徴とする樹脂付きリードフレームの多面付け体である。
【0010】
第11の発明は、第8の発明の樹脂付き光半導体装置用リードフレームと、前記樹脂付き光半導体装置用リードフレームの前記端子部(11、12)のうち少なくとも一つに接続される光半導体素子(2)と、前記樹脂付き光半導体装置用リードフレームの前記光半導体素子が接続される側の面に形成され、前記光半導体素子を覆う透明樹脂層(30)とを備えること、を特徴とする光半導体装置(1)である。
【0011】
第12の発明は、請求項11に記載の光半導体装置(1)が多面付けされていること、を特徴とする光半導体装置の多面付け体である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光半導体装置用リードフレーム、樹脂付き光半導体装置用リードフレーム、リードフレームの多面付け体、樹脂付きリードフレームの多面付け体、光半導体装置、光半導体装置の多面付け体は、樹脂層と端子部との剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の光半導体装置1の全体構成を示す図である。
図2】第1実施形態のリードフレーム10の多面付け体を示す図である。
図3】第1実施形態のリードフレーム10の詳細を説明する図である。
図4】第1実施形態の光反射樹脂層20が形成されたリードフレーム10の詳細を説明する図である。
図5】第1実施形態のリードフレーム10の製造過程を説明する図である。
図6】第1実施形態の光半導体装置1の製造過程を説明する図である。
図7】第1実施形態の多面付けされた樹脂付きリードフレーム及び光半導体装置1を示す図である。
図8】第2実施形態の光半導体装置201を示す図である。
図9第3実施形態のリードフレーム310を示す図である。
図10第3実施形態の光半導体装置301を示す図である。
図11】本発明の変形形態の光半導体装置を示す図である。
図12】本発明の変形形態の光半導体装置を示す図である。
図13】本発明の変形形態の光半導体装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態の光半導体装置1の全体構成を示す図である。
図1(a)、図1(b)は、それぞれ光半導体装置1の平面図、裏面図を示し、図1(c)は、光半導体装置1の側面図を示し、図1(d)は、図1(a)のd−d断面図を示す。
図2は、第1実施形態のリードフレーム10の多面付け体を示す図である。
図3は、第1実施形態のリードフレーム10の詳細を説明する図である。
図3(a)、図3(b)は、それぞれリードフレーム10の平面図、裏面図を示し、図3(c)、図3(d)は、それぞれ図3(a)のc−c断面図、d−d断面図を示す。
図4は、第1実施形態の光反射樹脂層20が形成されたリードフレーム10の詳細を説明する図である。
図4(a)、図4(b)は、それぞれ、光反射樹脂層20が形成されたリードフレーム10の平面図、裏面図を示す。図4(c)、図4(d)は、それぞれ、図4(a)のc−c断面図と、d−d断面図を示す。
各図において、光半導体装置1の平面図における端子部11、12の配列方向を左右方向X、端子部11、12の面内において、その配列方向に直交する方向を上下方向Y、表面及び裏面の方向を厚み方向Zとする。
【0015】
光半導体装置1は、外部機器等の基板に取り付けられることによって、実装したLED素子2が発光する照明装置である。光半導体装置1は、図1に示すように、LED素子2(光半導体素子)、リードフレーム10、光反射樹脂層20(樹脂層)、透明樹脂層30を備える。
光半導体装置1は、図2に示すように、多面付けされたリードフレーム10に光反射樹脂層20を形成し、LED素子2を電気的に接続し、透明樹脂層30を形成して、パッケージ単位に切断(ダイシング)することによって製造される(詳細は後述する)。
LED素子2は、発光層として一般に用いられるLED(発光ダイオード)の素子であり、例えば、GaP、GaAs、GaAlAs、GaAsP、AlInGaP等の化合物半導体単結晶、又は、InGaN等の各種GaN系化合物半導体単結晶からなる材料を適宜選ぶことにより、紫外光から赤外光に渡る発光波長を選択することができる。
【0016】
リードフレーム10は、一対の端子部、すなわち、LED素子2が載置、接続される端子部11と、ボンディングワイヤ2aを介してLED素子2に接続される端子部12とから構成される。また、リードフレーム10は、端子部11、12にそれぞれ連結部13が形成されており、図2に示すように、その連結部13によって、フレームFに多面付けされる。
【0017】
端子部11、12は、それぞれ導電性のある材料、例えば、銅、銅合金、42合金(Ni40.5%〜43%のFe合金)等により形成されており、本実施形態では、熱伝導及び強度の観点から銅合金から形成されている。
端子部11、12は、それぞれ離れて配置されており、互いに電気的に独立している。端子部11、12は、1枚の金属基板(銅版)をプレス又はエッチング加工することにより形成されるため、両者の厚みは同等である。
【0018】
端子部11は、図1に示すように、その表面にLED素子2が載置、接続されるLED端子面11aが形成され、また、その裏面に外部機器に実装される外部端子面11bが形成される、いわゆるダイパッドを構成する。端子部11は、LED素子2が載置されるため、端子部12に比べ、その外形が大きく形成されている。
端子部12は、その表面にLED素子2のボンディングワイヤ2aが接続されるLED端子面12aが形成され、また、その裏面に外部機器に実装される外部端子面12bが形成される、いわゆるリード側端子部を構成する。
端子部11、12は、その表面及び裏面にめっき層Sが形成されており(図5(e)参照)、表面側のめっき層Sは、LED素子2の発する光を反射する反射層としての機能を有し、裏面側のめっき層Sは、外部機器に実装されるときの半田の溶着性を高める機能を有する。
【0019】
端子部11は、図3に示すように、端子部12と対向する辺の中央部に、端子部12に対して矩形状に突出する突出部14が形成されている。突出部14は、LED素子2がリードフレーム10(光半導体装置1)の外形(図3(a)中の破線部)の中心O上に配置されるように形成される。
LED素子2が光半導体装置1のパッケージの中心Oに配置されることにより、LED素子2から発光した光の透明樹脂層30を透過する経路の長さを略均等にすることができ、光半導体装置1から出射する光の色ムラの発生を抑制することができる。
【0020】
ここで、色ムラは、透明樹脂に蛍光体を分散させて白色光を得る方式で効果が大きい。例えば、発光波長が430〜460nm付近にある青色のLEDとYAG黄色蛍光体との組み合わせでは、経路が短い部分は青色に近い発光色、経路が長い部分は橙色に近い発光色となる。また、発光波長が360〜400nmの紫外LEDと、可視光を得るための蛍光体の組み合わせでも同様である。
透明樹脂層30をドーム型(半球形状)として、色ムラを減少させる役割を持たせることもできるが、図1に示すように、透明樹脂層30がPKG全体を一定の厚さで覆う構造は、多面付け体の状態で、一括で封止することが容易である観点から望ましい。この場合には、経路の長さを略一定に保てるため、LED素子2がパッケージの中央に配置されることが特に有効である。
【0021】
端子部12には、端子部11と対向する辺に、突出部14に係合する係合部15が形成されている。具体的には、係合部15は、矩形状の凹みを形成するように凹み部15aと、凹み部15aの両端に形成された側端部15bとから構成され、端子部11、12の面内において、対向する突出部14を挟み込むようにしている。
ここで、本発明において係合とは、突出部14及び係合部15間に一定の隙間が設けられつつも、係合部15の形状が、突出部14の形状に係り合うようにして形成され、かつ、端子部11、12の面内において、対向する端子部11、12が配列する方向に直交する方向から見て、端子部11及び端子部12が、重なり合うように形成されている状態をいう。
【0022】
具体的には、図3(a)に示すように、係合部15が、突出部14の形状に係り合うように凹んだ形状に形成され、突出部14及び係合部15間には、一定の隙間が設けられ電気的に絶縁されている。また、図3(c)に示すように、端子部11、12の面内において、端子部11、12の配列方向であるX方向と直交するY方向から見て、端子部11(突出部14)及び端子部12(側端部15b)が重なり合っているため(図3(a)及び図3(c)中のd部参照)、本実施形態の突出部14は、係合部15に係合している。
突出部14が、上述のように、係合部15に係合することによって、製造された光半導体装置1が、端子部11及び端子部12間の光反射樹脂層20の部分で折れて破損してしまうのを抑制することができる。
【0023】
端子部11には、連結部13の接合部及び突出部14を除いた端子部11の表面の外周縁に、表面から窪むようにして交互に凹部M1が形成されている。また、端子部11には、突出部14及び連結部13の裏面に、端子部11の裏面から窪むようにして凹部M2が形成されている。凹部M2が端子部11の裏面に形成されることにより、端子部11の裏面の凹部M2が形成されない部分(外部端子面11bとなる部分)は、矩形状となる。
端子部12には、係合部15の側端部15bと、連結部13の接合部とを除いた端子部12の表面の外周縁に、表面から窪むようにして交互に凹部M3が形成されている。すなわち、端子部12には、端子部11の凹部M2と対向する位置となる凹み部15aの表面にも凹部M3が形成される。
また、端子部12には、係合部15の側端部15b及び連結部13の裏面に、端子部12の裏面から窪むようにして凹部M4が形成されている。すなわち、端子部12には、端子部11の凹部M1と対向する位置となる側端部15bの裏面にも凹部M4が形成される。凹部M4が端子部12の裏面に形成されることにより、端子部12の裏面の凹部M4が形成されない部分(外部端子面12bとなる部分)は、矩形状となる。
凹部M1〜M4は、それぞれ、その底面の厚みが、端子部11、12の厚みの1/3〜2/3程度に形成されている。
【0024】
リードフレーム10は、図4に示すように、端子部11、12の周囲や、端子部間に、光反射樹脂層20を形成する樹脂が充填される場合に、各凹部M1〜M4にも樹脂が充填され、光反射樹脂層20によって挟み込まれる形態を取る。これにより、各端子部の凹部M1〜M4は、光反射樹脂層20が、平面方向(X方向、Y方向)及び厚み方向(Z方向)において、リードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
特に、端子部12は、上述したように、端子部11と対向する辺において、端子部11の裏面に形成された凹部M2と対向する位置の表面に凹部M3が形成され、また、端子部11の表面に形成された凹部M1と対向する位置の裏面に凹部M4が形成される。すなわち、対向する端子部間において、表面から窪む凹部(M1、M3)と、裏面から窪む凹部(M2、M4)とが交互に形成されることとなるので、各端子部間において充填された樹脂が各端子部に挟み込まれる形態となり、端子部間の光反射樹脂層20がリードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
【0025】
また、凹部M2及び凹部M4が各端子部の裏面に形成されることにより、図4(b)に示すように、樹脂付きリードフレームの裏面に表出する端子部11、12(外部端子面11b、12b)は矩形状となり、また、表出する端子部11、12の対向する辺が直線となる。これにより、製造された光半導体装置1の外部機器の基板への実装を容易にすることができる。
仮に、樹脂付きリードフレームの裏面に表出する端子部の形状が矩形状でなく複雑な形状である場合、端子面への半田等の塗布量を適正に制御することができず、各外部端子面11b、12bと外部機器の基板との接合部分で段差が生じたり、接合不良を生じたりして、適正に光半導体装置1を製造することができない場合がある。本実施形態のリードフレーム10は、このような問題を回避することができる。
【0026】
連結部13は、図2に示すように、製造過程においてフレームF内に多面付けされた各リードフレーム10の各端子部11、12を連結している。連結部13は、各端子部11、12を形成する各辺のうち、端子部11、12が対向する辺を除いた辺に形成されている。
【0027】
具体的には、連結部13aは、端子部11の右(+X)側の辺と、右側に隣接する他のリードフレーム10の端子部12の左(−X)側の辺とを直接接続し、また、端子部12の左側の辺と、左側に隣接する他のリードフレーム10の端子部11の右側の辺とを接続している。
連結部13bは、端子部11の上(+Y)側の辺と、上側に隣接する他のリードフレーム10の端子部11の下(−Y)側の辺とを接続し、また、端子部11の下側の辺と、下側に隣接する他のリードフレーム10の端子部11の上側の辺とを接続する。
【0028】
連結部13cは、端子部12の上側の辺と、上側に隣接する他のリードフレーム10の端子部12の下側の辺とを接続し、また、端子部12の下側の辺と、下側に隣接する他のリードフレーム10の端子部12の上側の辺とを接続する。
連結部13dは、端子部11の上側の辺と、上側に隣接する他のリードフレーム10の端子部12の下側の辺とを接続し、また、端子部12の下側の辺と、下側に隣接する他のリードフレーム10の端子部12の上側の辺とを接続する。連結部13dは、上述の構成によって、端子部11、12の面内において、端子部11及び端子部12間の隙間の延長上に位置することとなり、製造された光半導体装置1が、端子部11及び端子部12間の光反射樹脂層20の部分の強度を向上させることができる。これにより、光半導体装置1が、その部分で折れて破損してしまうのを抑制することができる。
【0029】
ここで、端子部11、12は、隣り合う他のリードフレーム10の端子部11、12と、連結部13によって電気的に導通されるが、光半導体装置1の多面付け体を形成した後に、光半導体装置1の外形(図2中の破線部(リードフレーム10の外形))に合わせて各連結部13を切断(ダイシング)することによって絶縁される。また、個片化された場合に、各々の個片を同じ形状にすることができる。
なお、フレームF内の外周に位置する各リードフレーム10の各端子部11、12は、フレームFと連結部13a〜13dのいずれか1つ又は複数によって接続されている。
【0030】
連結部13は、図3(b)〜図3(d)に示すように、凹部M2又は凹部M4が形成されることによって端子部11、12の厚みよりも薄く形成され、また、その表面が端子部11、12の表面と同一平面内に形成されている。これにより、リードフレーム10を平坦な金型で表裏から抑える又は表裏にテープを貼付け、側面から樹脂を注入する方法により、光反射樹脂層20の樹脂が充填された場合に、図4に示すように、連結部13の裏面にも樹脂が流れ込み、端子部11、12に設けられた各凹部M1〜M4とともに、光反射樹脂層20がリードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
【0031】
光反射樹脂層20は、図4に示すように、各端子部の外周側面(リードフレーム10の外周及び各端子部間の隙間)と、各端子部に設けられた凹部M1〜M4とに充填された樹脂の層である。光反射樹脂層20は、リードフレーム10の厚みとほぼ同一の厚みに形成されている。
光反射樹脂層20は、リードフレーム10に載置されるLED素子2の発する光を反射させるために、光反射特性を有する熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂が用いられる。
光反射樹脂層20を形成する樹脂は、凹み部分への樹脂充填に関しては、樹脂形成時には流動性が高いことが、凹み部分での接着性に関しては、分子内に反応基を導入しやすいためにフレームとの化学接着性を得られることが必要なため、熱硬化性樹脂が望ましい。
【0032】
例えば、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリフタルアミド、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルサルホン、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン等を用いることができる。
また、熱硬化性樹脂としては、シリコーン、エポキシ、ポリエーテルイミド、ポリウレタン及びポリブチレンアクリレート等を用いることができる。
さらに、これらの樹脂中に光反射材として、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素のうちいずれかを添加することによって、光の反射率を増大させることができる。
【0033】
透明樹脂層30は、リードフレーム10上に載置されたLED素子2を保護するとともに、発光したLED素子2の光を外部に透過させるために設けられた透明又は略透明に形成された樹脂層である。
透明樹脂層30は、光の取り出し効率を向上させるために、LED素子2の発光波長において光透過率が高く、また、屈折率が高い材料を選択するのが望ましい。例えば、耐熱性、耐光性、及び機械的強度が高いという特性を満たす樹脂として、エポキシ樹脂や、シリコーン樹脂を選択することができる。特に、LED素子2に高輝度LED素子を用いる場合、透明樹脂層30は、強い光にさらされるため、高い耐光性を有するシリコーン樹脂からなることが好ましい。また、波長変換用の蛍光体を使用してもよく、透明樹脂に分散させてもよい。
【0034】
ここで、高い耐光性を有するシリコーン樹脂は、構造中に芳香族を有しない、又は、可能な限り有しない構造とするため、結果として機械的な強度が劣る構造体となってしまう。
従来の樹脂とフレームとの密着性が十分でないために、例えば、光半導体装置の多面付け体を搬送する際に受ける応力や、パッケージを基板に実装する際および使用時の熱ストレス等によって、端子部間での剥離が発生しやすかった。このため、透明樹脂に機械強度の高いエポキシ系樹脂や、芳香族を含むシリコーン、官能基を含む変性シリコーンなどを使用することで、構造体全体の強度を保つ必要があるが、純度の高いシリコーン樹脂に比べ、耐光性、耐熱性が劣る問題があった。本発明では端子部間の係合が係合部によって十分であるため、機械強度の観点から、純度の高いシリコーン樹脂を使用することができ、耐光性、耐熱性を有するパッケージとすることができる。
【0035】
次に、リードフレーム10の製造方法について説明する。
図5は、第1実施形態のリードフレーム10の製造過程を説明する図である。
図5(a)は、レジストパターンを形成した金属基板100を示す平面図と、a−a断面図から見た側面図とを示す。図5(b)は、エッチング加工されている金属基板100を示す図である。図5(c)は、エッチング加工後の金属基板100を示す図である。図5(d)は、レジストパターンが除去された金属基板100を示す図である。図5(e)は、めっき処理が施された金属基板100を示す図である。
なお、図5においては、1枚のリードフレーム10の製造過程について図示するが、実際には、1枚の金属基板100から多面付けされた複数のリードフレーム10が製造されるものとする。
【0036】
リードフレーム10の製造において、金属基板100を加工してリードフレーム10を形成するが、その加工は、プレス加工でも良いが、薄肉部を形成しやすいエッチング処理が望ましい。以下にエッチング処理によるリードフレーム10の製造方法について説明する。
まず、平板状の金属基板100を用意し、図5(a)に示すように、その表面及び裏面のエッチング加工を施さない部分にレジストパターン40a、40bを形成する。ここで、乾板へのレジストパターンの描画は、レーザ走査量を減らすため、エッチング部分が少なくなるデザインが望ましい。なお、レジストパターン40a、40bの材料及び形成方法は、エッチング用レジストとして従来公知の技術を用いる。
次に、図5(b)に示すように、レジストパターン40a、40bを耐エッチング膜として、金属基板100に腐食液でエッチング処理を施す。腐食液は、使用する金属基板100の材質に応じて適宜選択することができる。本実施形態では、金属基板100として銅板を使用しているため、塩化第二鉄水溶液を使用し、金属基板100の両面からスプレーエッチングすることができる。腐食成分は、金属を腐食後に活性を失い、不要物として液中に蓄積するため、エッチング領域は可能な限り少ないことが望ましい。
【0037】
ここで、リードフレーム10には、端子部11、12の外周部のように貫通した空間と、凹部M1〜M4のように貫通せずに厚みが薄くなっている窪んだ空間とが存在する(図3参照)。本実施形態では、金属基板100の板厚の半分程度までをエッチング加工する、いわゆるハーフエッチング処理を行い、貫通した空間に対しては、金属基板100の両面にレジストパターンを形成しないようにし、金属基板100の両面からエッチング加工して、貫通した空間を形成する。また、窪んだ空間に対しては、窪んだ空間側とは反対側の面にのみレジストパターンを形成して、レジストパターンがない面のみをエッチング加工して、窪んだ空間を形成する。
エッチング処理により金属基板100には、図5(c)に示すように、凹部M1〜M4が形成された端子部11、12と、他の端子部11、12を連結する連結部13とが形成され、金属基板100上に複数のリードフレーム10が形成される(図2参照)。
【0038】
次に、図5(d)に示すように、金属基板100(リードフレーム10)からレジストパターン40を除去する。
そして、図5(e)に示すように、リードフレーム10が形成された金属基板100にめっき処理を行い、端子部11、12にめっき層Sを形成する。めっき処理は、例えば、シアン化銀を主成分とした銀めっき液を用いた電解めっきを施すことにより行われる。
なお、めっき層Sを形成する前に、例えば、電解脱脂工程、酸洗工程、銅ストライク工程を適宜選択し、その後、電解めっき工程を経てめっき層Sを形成してもよい。
以上により、図2に示すようなフレームFに多面付けされたリードフレーム10が製造される。なお、図2において、めっき層の記載は省略している。
【0039】
また、光反射樹脂層20の成形後にめっき処理を施してもよい。係合部15によりリードフレーム10と光反射樹脂層20とがよく密着しているため、めっきが間隙に入り込むことなく、表面及び裏面に対してのみ効率良く金属を析出させることが可能である。
光反射樹脂層20の成形後に無電解めっき処理を行うことも可能である。無電解めっき処理では、化学的な還元反応により金属を析出させることが必要であり、樹脂部へのアタックが大きくなるため、光反射樹脂層20とリードフレーム10とがよく密着していることが特に重要となる。本実施形態のリードフレーム10は、係合部15により光反射樹脂層20とよく密着しているため、例えば、高温で析出させることが必要な無電解ニッケルと、その後の無電解金又は銀めっきなどでも、めっきが隙間に入り込むことなく良好な処理が可能である。
【0040】
次に、光半導体装置1の製造方法について説明する。
図6は、第1実施形態の光半導体装置1の製造過程を説明する図である。
図6(a)は、光反射樹脂層20が形成されたリードフレーム10(金属基板100)を示す図である。図6(b)は、LED素子2が電気的に接続されたリードフレーム10(金属基板100)を示す図である。図6(c)は、透明樹脂層30が形成されたリードフレーム10(金属基板100)を示す図である。図6(d)は、ダイシングにより小片化された光半導体装置1を示す図である。
図7は、多面付けされた樹脂付きリードフレーム及び光半導体素子を示す図である。
なお、図6においては、1台の光半導体装置1の製造過程について図示するが、実際には、1枚の金属基板100から複数の光半導体装置1が製造されるものとする。
【0041】
図6(a)に示すように、金属基板100上にエッチング加工により形成されたリードフレーム10の外周等に上述の光反射特性を有する樹脂を充填し、光反射樹脂層20を形成する。ここで、リードフレーム10は、上述したように、多面付けされているため(図2参照)、光反射特性を有する樹脂が充填されることによって、図7(a)に示すように、多面付けされた樹脂付きリードフレームが形成される。
光反射樹脂層20は、例えば、射出成形やトランスファ成形のように、樹脂成形金型にリードフレーム10(金属基板100)をインサートし、樹脂を注入する方法や、リードフレーム10上に樹脂をスクリーン印刷する方法等によって形成される。このとき、各凹部M1〜M4は、端子部11、12の外周側面につながっているので、樹脂は、各端子部の外周側面側から各凹部M1〜M4へと流れ込む。
光反射樹脂層20は、端子部11、12とほぼ同等の厚みに形成され、リードフレーム10の外周だけでなく、各端子部間や、凹部M1〜M4に形成され、リードフレーム10に接合される。
【0042】
次に、図6(b)に示すように、端子部11のLED端子面11aに、ダイアタッチペーストや半田等の放熱性接着剤を介してLED素子2を載置し、また、端子部12のLED端子面12aに、ボンディングワイヤ2aを介してLED素子2を電気的に接続する。LED素子とボンディングワイヤは、複数あってもよく、一つのLED素子に複数のボンディングワイヤが接続されてもよく、ボンディングワイヤをダイパッドに接続させてもよい。また、LED素子2を載置面で電気的に接続してもよい。ここで、ボンディングワイヤ2aは、例えば、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)等の導電性の良い材料からなる。
そして、図6(c)に示すように、リードフレーム10と、それに接合した光反射樹脂層20の表面に、LED素子2を覆うようにして透明樹脂層30を形成する。これにより、図7(b)に示すように、リードフレーム10上に多面付けされた光半導体装置1が複数製造される。なお、透明樹脂層は、平坦な形状のほかレンズ形状、屈折率勾配等、光学的な機能を持たせてもよい。
最後に、図6(d)に示すように、光半導体装置1の外形に合わせて、光反射樹脂層20及び透明樹脂層30と共に、リードフレーム10の連結部13を切断(ダイシング、パンチング、カッティング等)して、1パッケージに分離(小片化)された光半導体装置1を得る(図1参照)。
【0043】
本実施形態の発明には、以下のような効果がある。
(1)リードフレーム10は、端子部11が、端子部12と対向する辺に、その表面から窪んだ凹部M1と、その裏面から窪んだ凹部M2とを交互に備え、また、端子部12が、凹部M2と対向する位置に、表面から窪んだ凹部M3と、凹部M1と対向する位置に、裏面から窪んだ凹部M4とを備えている。そのため、対向する端子部間において、表面から窪む凹部(M1、M3)と、裏面から窪む凹部(M2、M4)とが交互に形成されることとなる。これにより、リードフレーム10に光反射樹脂層20を形成する場合に、各端子部間において充填された樹脂は、各端子部に挟み込まれる形態となり、端子部間の光反射樹脂層20がリードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
また、光半導体装置1は、その製造過程において、各端子部11、12の外周側面及び端子部間に光反射樹脂層20を形成する樹脂が充填された場合に、裏面に表出する端子部11、12が矩形状になり、また、表出する端子部の互いに対向する辺が直線となる。これにより、製造された光半導体装置1の外部機器の基板への実装を容易にすることができる。
【0044】
(2)リードフレーム10は、突出部14の裏面が、端子部11の裏面から窪むようにして凹部M2が形成されているので、光反射樹脂層20を形成する場合に、樹脂が凹部M2に充填されることにより、光反射樹脂層20がリードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
【0045】
(3)リードフレーム10は、端子部11が、端子部12と対向する辺に突出部14を備えているので、LED素子2を光半導体装置1のパッケージの中心Oに配置することができる。これにより、LED素子2から発光される光の透明樹脂層30を透過する経路の長さを略均等にすることができ、光半導体装置1から出射する光の色ムラの発生を抑制することができる。
また、LED素子2が、光半導体装置1のパッケージの中心Oに配置されることによって、光半導体素子1を実装する外部機器の基板等の設計の自由度を向上させることができる。
【0046】
(4)リードフレーム10は、端子部12が、突出部14と対向する位置に、突出部14と係合する係合部15を備えるので、端子部11と端子部12とは、一定の隙間を有しつつも、端子部11、12の配列方向であるX方向と端子部11、12の面内で直交するY方向から見て、端子部11及び端子部12が重なり合うように配置される。これにより、製造された光半導体装置1が、端子部11及び端子部12間の光反射樹脂層20の部分で折れて破損してしまうのを抑制することができる。
【0047】
(5)リードフレーム10は、係合部15の凹み部15aの表面が、端子部12の表面から窪むようにして凹部M3が形成されているので、光反射樹脂層20を形成する場合に、樹脂が凹部M3に充填されることにより、光反射樹脂層20がリードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
特に、凹み部15aの凹部M3と、突出部14の裏面に形成された凹部M2とが存在することにより、端子部11、12間に形成された光反射樹脂層20が、厚み方向(Z方向)において、リードフレーム10から剥離してしまうのを抑制することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態の光半導体装置201を示す図である。
図8(a)、図8(b)は、それぞれ、光半導体装置201の平面図、側面図を示し、図8(c)は、透明樹脂層230の他の形態例を示す図8(b)に対応する図である。なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0049】
第2実施形態の光半導体装置201は、透明樹脂層230の形状が略半球状に形成されている点で第1実施形態の光半導体装置1と相違する。
透明樹脂層230は、リードフレーム10上に載置されたLED素子2を保護するとともに、発光したLED素子2の光を外部に透過させるために設けられた透明又は略透明に形成された樹脂層である。透明樹脂層230は、リードフレーム10及び光反射樹脂層20の表面全体を覆うように形成される。
【0050】
また、透明樹脂層230は、図8(a)及び図8(b)に示すように、光を効率よく制御するために、LED素子2の全体を覆うようにして略半球状に形成される。具体的には、LED素子2の表面上であって光半導体装置201のパッケージの中央Oを通り、リードフレーム10の厚み方向(Z方向)に平行な線上の所定の点Cを中心として、略半球状に形成される。略半球状の場合は、LED素子2から発光した光が透明樹脂層230から外部へ放出される際に、透明樹脂層230と外部の界面で光が拡散し、下方へ放射された光を均一に上方へ取り出すことができる。
なお、透明樹脂層230は、光半導体装置1の用途等に応じて、図8(c)に示すように、透明樹脂層230を略球形状に形成してもよい。略球形状の場合は、LED素子2から発光した光が透明樹脂層230から外部へ放出される際に、透明樹脂層230と外部の界面で光が拡散し、下方へ放射される光がより多くなるため、均一に上方へ取り出す効果が大きくなる。
【0051】
以上より、本実施形態の発明は、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、透明樹脂層230が、LED素子2の表面上であって光半導体装置201のパッケージの中央Oを通り、リードフレーム10の厚み方向(Z方向)に平行な線上の所定の点Cを中心として略半球状に形成されているので、光半導体装置201は、光半導体素子2から発光される光の透明樹脂層230を透過する経路の長さを、第1実施形態に比べより均等にすることができる。これにより、光半導体装置201から出射する光の色ムラの発生をより効果的に抑制することができる。
【0052】
第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。
図9は、第3実施形態のリードフレーム310を示す図である。図9(a)、図9(b)は、それぞれ、リードフレーム310の平面図、裏面図を示し、図9(c)、図9(d)は、それぞれ図9(a)のc−c断面図、d−d断面図を示す。
図10は、第3実施形態の光半導体装置301を示す図である。図10(a)、図10(b)は、それぞれ、光半導体装置301の平面図、裏面図を示し、図10(c)は、図9(a)のc−c断面図を示す。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0053】
第3実施形態のリードフレーム310は、端子部311に突出部(14)が、端子部312に係合部(15)が形成されていない点で第1実施形態のリードフレーム10と相違する。
リードフレーム310は、図9に示すように、一対の端子部、すなわち、LED素子2が載置、接続される端子部311と、ボンディングワイヤ2aを介してLED素子2に接続される端子部312とから構成される。また、リードフレーム310は、端子部311、312にそれぞれ連結部313が形成されており、その連結部313によって、フレームFに多面付けされる(図2参照)。
【0054】
端子部311は、連結部313の接合部及び端子部312と対向する辺を除いた端子部311の表面の外周縁に、表面から窪むようにして凹部M1が形成されている。また、端子部311は、端子部312と対向する辺と連結部313との裏面に、端子部311の裏面から窪むようにして凹部M2が形成されている。
端子部312は、連結部313の接合部を除いた端子部312の表面の外周縁に、表面から窪むようにして凹部M3が形成されている。また、端子部312は、連結部313の裏面に、端子部312の裏面から窪むようにして凹部M4が形成されている。
凹部M1〜M4は、それぞれ、その底面の厚みが、端子部311、312の厚みの1/3〜2/3程度に形成されている。
【0055】
上記構成により、端子部311には、表面の凹部M1と裏面の凹部M2とが交互に形成され、同様に、端子部312には、表面の凹部M3と裏面の凹部M4とが交互に形成される。これにより、リードフレーム310は、図10に示すように、各端子部311、312の外周(リードフレーム310の外周及び端子部間)に樹脂を流し込んで光反射樹脂層を形成する場合に、樹脂が凹部M1〜M4にも流れ込んで、光反射樹脂層が、平面方向(X方向、Y方向)及び厚み方向(Z方向)において、リードフレーム310から剥離してしまうのを抑制することができる。
また、図10(c)に示すように、端子部311、312の互いに対向する辺に、それぞれ凹部M2、凹部M3が形成されていることによって、端子部間に形成される光反射樹脂層が、端子部間から剥離するのをより効果的に抑制することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0057】
(変形形態)
図11は、本発明の変形形態の光半導体装置の図1(c)に対応する断面図である。
図12は、本発明の変形形態の光半導体装置の平面図である。
図13は、本発明の変形形態の光半導体装置の平面図である。
(1)各実施形態において、光半導体装置1は、リードフレーム10に充填される光反射樹脂層20の表面が平坦となる、いわゆるフラットタイプの例について説明したが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、光反射樹脂層420が、リードフレーム410の外周縁の少なくとも一部において表面から凸となるように、形成されてもよい。こうすることで、光半導体装置401から照射される光の方向を制御することができる。
【0058】
(2)各実施形態においては、リードフレーム10は、一対の端子部11、12を備える例を示したが、リードフレームは、3以上の端子部を備えていてもよい。
例えば、図12(a)に示すように、端子部を4つ設け、その1つ(511)にはLED素子2を実装し、他の3つ(512)にはボンディングワイヤ2aを介してLED素子2と接続してもよい。また、図12(b)に示すように、端子部を3つ設け、その1つ(611)にはLED素子2を2つ実装し、他の2つの端子部(612)には、ボンディングワイヤ2aを介して各LED素子2と接続するようにしてもよい。
【0059】
(3)第1及び第2実施形態において、端子部11の突出部14は、対向する端子部12に対して矩形状に突出する形状に形成され、係合部15は、突出部14に係合する矩形状の凹みを形成する凹み部15a及び側端部15bが構成される例を示したが、これに限定されない。
例えば、図13(a)に示すように、突出部714が、半円若しくは略半円状に形成され、係合部715が、その突出部714に係合する半円又は略半円状の凹みを形成してもよく、また、図13(b)に示すように、突出部814が三角形状に形成され、係合部815が三角形状の凹みを形成してもよい。更に、図13(c)〜(e)に示すように、突出部914、1014、1114が、それぞれ、端子部911、1011、1111の上端側に台形状、矩形状又は三角形状に突出し、係合部915、1015、1115が、突出部914、1014、1114の形状に合わせて係合するように、対向する端子部912、1012、1112の上端側に台形状、矩形状又は三角形状の凹みが形成されるようにしてもよい。
【0060】
(4)各実施形態においては、リードフレーム10は、LED素子2等の光半導体素子を接続する光半導体装置1に使用する例を示したが、光半導体素子以外の半導体素子を用いた半導体装置にも使用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1、201、301 光半導体装置
2 LED素子
10、310 リードフレーム
11、311 端子部
12、312 端子部
13、313 連結部
20、320 光反射樹脂層
30、230、330 透明樹脂層
M1、M2、M3、M4 凹部
図1
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図5
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