特許第6015883号(P6015883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015883電縫溶接管の製造状況監視方法、電縫溶接管の製造状況監視装置、及び電縫溶接管の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6015883
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電縫溶接管の製造状況監視方法、電縫溶接管の製造状況監視装置、及び電縫溶接管の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 13/00 20060101AFI20161013BHJP
   B23K 13/06 20060101ALI20161013BHJP
   B23K 13/08 20060101ALI20161013BHJP
   B21C 37/08 20060101ALI20161013BHJP
   B21C 51/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B23K13/00 A
   B23K13/06 Z
   B23K13/08 542
   B21C37/08 S
   B21C51/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-544485(P2016-544485)
(86)(22)【出願日】2016年2月17日
(86)【国際出願番号】JP2016054533
【審査請求日】2016年7月1日
(31)【優先権主張番号】特願2015-47625(P2015-47625)
(32)【優先日】2015年3月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 俊文
(72)【発明者】
【氏名】岡部 能知
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 周一
【審査官】 奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−231084(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/057830(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 13/00
B23K 13/06
B23K 13/08
B21C 37/08
B21C 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の鋼帯を円筒状に成形し、該鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造状況を監視する電縫溶接管の製造状況監視方法であって、
鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部を有し、前記開口部から前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を前記不活性ガスでシールドするガスシールドノズルの内部に、前記領域を視野に含む撮像手段を配置し、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定するステップを含むことを特徴とする電縫溶接管の製造状況監視方法。
【請求項2】
前記ガスシールドノズルの開口部は、前記鋼帯が溶融を開始する位置と鋼帯の長さ方向両端部が突き合わされる位置との間に位置し、鋼帯の誘導加熱開始点の間の所定の区間において、前記ガスシールドノズルとは別のノズルから鋼帯の幅方向両端部に不活性ガスを吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の電縫溶接管の製造状況監視方法。
【請求項3】
帯状の鋼帯を円筒状に成形し、該鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造状況を監視する電縫溶接管の製造状況監視装置であって、
鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部を有し、前記開口部から前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を前記不活性ガスでシールドするガスシールドノズルの内部に配置された、前記領域を視野に含む撮像手段と、
前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定する解析手段と、
を備えることを特徴とする電縫溶接管の製造状況監視装置。
【請求項4】
帯状の鋼帯を円筒状に成形し、該鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造方法であって、
鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部を有し、前記開口部から前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を前記不活性ガスでシールドするガスシールドノズルの内部に、前記領域を視野に含む撮像手段を配置し、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定する判定ステップと、
前記判定ステップの結果に基づいて前記電縫溶接管を製造するステップと、
を含むことを特徴とする電縫溶接管の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電縫溶接管の製造状況監視方法、電縫溶接管の製造状況監視装置、及び電縫溶接管の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電縫溶接管(以下、電縫鋼管と略記)は、鋼帯等の金属帯(金属板を含む)を管状に成型しながら長手方向に搬送し、高周波誘導加熱圧接や抵抗加熱圧接等の手段を利用して金属帯の幅方向両端部を長手方向に沿って連続的に突き合わせ溶接することによって製造される。電縫鋼管の製造工程では、突き合わせ溶接部に酸化物等の異物を残存させないようにすることが突き合わせ溶接部の強度といった品質管理上重要である。このため、電縫鋼管の品質管理については、非特許文献1に開示されているような、超音波検査装置を利用して突き合わせ溶接部を中心に電縫鋼管内部の探傷を行う技術が普及している。
【0003】
一方、電縫鋼管の製造時の品質管理については、特許文献1に開示されているような、光切断法を利用して溶接ビード部の形状を測定し、測定結果から溶接ビード部の特徴量を算出して品質管理に用いる技術が提案されている。この技術では、断面のメタルフローとの間に相関関係を有する特徴量がオンラインで算出されるため、溶接工程を一旦中断して溶接突き合わせ部を採取して断面観察を行う工程を省略できる。また、品質管理に関する別の技術としては、特許文献2に開示されているような、撮像装置によって撮影された溶接突き合わせ部の画像から平面形状の特徴量を算出し、平面形状の特徴量が管理範囲内にあるか否かを判定する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4374845号公報
【特許文献2】特許第5510615号公報
【特許文献3】特開2011−206813号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】鉄と鋼 Vol.9 (1993) No.7 p.91
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1記載の技術は、電縫鋼管の品質保証には有効であるが、探傷結果と製造条件とが一意に結びつかないために探傷結果を製造条件に反映させることが難しい。また、超音波検査装置が最終検査工程に設置されている場合には、製造から検査までのリードタイムが大きいために溶接不良が発見された場合に製品のロスが大きい。また、特許文献1記載の技術では、溶接電力(入熱)や突き合わせ溶接部の段差等は的確に判別できるが、介在物排出により密接に関係する突き合わせ状態と製造条件との相関は得られにくい。一方、特許文献2記載の技術は、突き合わせ溶接部の平面形状を検出するので上記のような問題は発生しない。
【0007】
ところが、一般に、ラインパイプや自動車足回り材等の高級品向けの電縫鋼管の製造ラインには、一対のスクイズサイドロールに加えて、一対のスクイズトップロールが電縫鋼管の上方に設けられている。このため、特許文献2記載の技術を高級品向けの電縫鋼管の製造ラインに適用した場合、突き合わせ溶接部がスクイズトップロールの間に位置することによってスクイズトップロールの冷却や潤滑のために用いられる水が突き合わせ溶接部に滞留し、電縫鋼管の上方から突き合わせ溶接部の明瞭な画像が得られにくくなるために、突き合わせ溶接部の良否判定が困難になる。さらに、近年、抵抗溶接でも用いられ始めたガスシールド併用溶接においては、不活性ガスを噴出するノズルが突き合わせ溶接部の直上に配置されるために、特許文献2記載の技術によれば、電縫鋼管の上方に配置される撮像装置の視野を確保することができなくなり、突き合わせ溶接部の良否判定が困難になる。
【0008】
他方、特許文献3記載の発明に倣って、電縫鋼管の加熱開始位置から溶接点に至る部分全体をシールドボックスで覆い、シールドボックス内に所定流量のガスを供給するシールド溶接装置を導入し、このシールド溶接装置に観察装置を設ける方法を用いることが考えられる。しかしながら、このような方法によれば、装置構造が大規模、且つ、複雑となり、鋼管の製造サイズを変更する度毎に鋼管の供給・排出部のシールド治具を交換、調整する必要が生じる等、能率面でのデメリットが大きい。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ガスシールド併用溶接であっても冷却水や潤滑水の影響を受けることなく電縫溶接管の突き合わせ溶接部の良否を判定可能な電縫溶接管の製造状況監視方法及び電縫溶接管の製造状況監視装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ガスシールド併用溶接であっても冷却水や潤滑水の影響を受けることなく電縫溶接管の突き合わせ溶接部の良否を判定し、判定結果に基づいて溶接不良が発生することを抑制可能な電縫溶接管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電縫溶接管の製造状況監視方法は、帯状の鋼帯を円筒状に成形し、該鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造状況を監視する電縫溶接管の製造状況監視方法であって、鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部を有し、前記開口部から前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を前記不活性ガスでシールドするガスシールドノズルの内部に、前記領域を視野に含む撮像手段を配置し、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定するステップを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電縫溶接管の製造状況監視方法は、上記発明において、前記ガスシールドノズルの開口部は、前記鋼帯が溶融を開始する位置と鋼帯の長さ方向両端部が突き合わされる位置との間に位置し、鋼帯の誘導加熱開始点の間の所定の区間において、前記ガスシールドノズルとは別のノズルから鋼帯の幅方向両端部に不活性ガスを吹き付けることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電縫溶接管の製造状況監視装置は、帯状の鋼帯を円筒状に成形し、該鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造状況を監視する電縫溶接管の製造状況監視装置であって、鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部を有し、前記開口部から前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を前記不活性ガスでシールドするガスシールドノズルの内部に配置された、前記領域を視野に含む撮像手段と、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定する解析手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電縫溶接管の製造方法は、帯状の鋼帯を円筒状に成形し、該鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造方法であって、鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部を有し、前記開口部から前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を前記不活性ガスでシールドするガスシールドノズルの内部に、前記領域を視野に含む撮像手段を配置し、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定する判定ステップと、前記判定ステップの結果に基づいて前記電縫溶接管を製造するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電縫溶接管の製造状況監視方法及び電縫溶接管の製造状況監視装置によれば、ガスシールド併用溶接であっても冷却水や潤滑水の影響を受けることなく電縫溶接管の突き合わせ溶接部の良否を判定することができる。
【0016】
本発明に係る電縫溶接管の製造方法によれば、ガスシールド併用溶接であっても冷却水や潤滑水の影響を受けることなく電縫溶接管の突き合わせ溶接部の良否を判定し、判別結果に基づいて溶接不良が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、図1に示す撮像部によって撮影された突き合わせ溶接部の画像の一例を示す図である。
図3図3は、撮像条件を同一に保ったまま図1に示す撮像部をノズルから取り外して再設置し、シールドガスやパージガスも適用せずに撮影された突き合わせ溶接部の画像の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置の変形例の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置1は、鋼帯を円筒状に成形し、鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管(以下、電縫鋼管と略記)Pの突き合わせ溶接状態を監視する装置であり、ノズル2、撮像部3、及び解析部4を主な構成要素として備えている。ノズル2、撮像部3、及び解析部4はそれぞれ、本発明に係るガスシールドノズル、撮像手段、及び解析手段として機能する。
【0020】
ノズル2は、突き合わせ溶接部を含む電縫鋼管Pの2次元領域に対向配置された開口部2aを有し、開口部2aから2次元領域に向けてシールドガス(不活性ガス)を噴出することによって2次元領域をシールドガスでシールドするホーン状のノズルによって構成されている。
【0021】
鋼帯の長手方向における開口部2aの寸法は、突き合わせ溶接部の前後30mm程度又は撮像部3の長手視野の大きさより大きく設計されている。一方、鋼帯の幅方向における開口部2aの寸法は、10mm程度又は電縫鋼管Pの上方に配置された一対のスクイズトップロールRに干渉しないだけの大きさに設計されている。
【0022】
なお、鋼帯の板厚に関係する溶接電力や鋼帯の搬送速度に応じて鋼帯の好適な突き合わせ角が変化し、結果として搬送ライン上における突き合わせ溶接位置が鋼帯の長手方向に変動することがある。このため、鋼帯の長手方向における開口部2aの寸法を突き合わせ溶接位置の変動幅を考慮した大きさにするか、ノズル2を長手方向に移動可能にすることによって突き合わせ溶接位置の変動をカバーできるようにすることが望ましい。
【0023】
また、ノズル2へのシールドガスの供給は図示しないガス供給源及び配管経路を用いて行えばよい。また、ガス供給源及び配管経路はシールドガスの種別に応じて市販されているボンベ、タンク、及び配管材を用いて構成すればよく、また必要に応じてシールドガスの圧力や流量を調整する機構を設けてもよい。
【0024】
撮像部3は、ノズル2の内壁面に設けられた固定部材2bによってノズル2の内部に固定された撮像装置によって構成されている。撮像部3は、電縫鋼管Pの突き合わせ溶接部の画像を撮影し、撮影された画像のデータを解析部4に出力する。撮像部3の視野Fは、好適には突き合わせ溶接部の搬送方向上流側20mmの範囲を含むことが望ましい。また、搬送方向下流側における撮像部3の視野は、溶接ビード形成部まで含むことが望ましい。
【0025】
図2は、撮像部3によって撮影された突き合わせ溶接部の画像の一例を示す図である。一方、図3は、撮像条件(撮像距離や露光時間、レンズの絞り)を同一に保ったまま撮像部3をノズル2から取り外して設置し、シールドガスやパージガスも適用せずに撮影した突き合わせ溶接部の画像の一例を示す図である。
【0026】
図2及び図3との比較から明らかなように、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置における撮像部3によれば、突き合わせ溶接部の画像が明瞭に撮影できている。これに対して、撮像部3をノズル2から取り外して設置し、シールドガスやパージガスも適用せずに撮影した場合には、スクイズトップロールRの冷却水が突き合わせ溶接部に滞留して明瞭な画像が撮影できなかった。以上のことから、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置における撮像部3によれば、ガスシールド併用溶接であっても冷却水や潤滑水の影響を受けることなく電縫鋼管Pの突き合わせ溶接部の画像を明瞭に撮影し、撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定できることが確認された。
【0027】
なお、解析部4の画像処理能力の関係上、撮像部3の露光時間は1/100000秒以下とし、撮像部3はこの露光時間でサチュレートしないレンズ絞り及び撮像感度を有することが望ましい。また、撮像部3は極力小型に構成し、撮像部3を内部に有するノズル2の管断面積がなるべく小型になるようにすることが望ましい。例えば現時点で市販されている電子露光機能付きの撮像装置で断面積が22mm×22mmであるものがあるのでそれを用いればよい。
【0028】
解析部4は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。解析部4は、公知のエッジ抽出処理や直線近似手段を利用して撮像部3によって撮影された突き合わせ溶接部の画像から突き合わせ溶接部の搬送方向上流側及び下流側の鋼帯の幅方向端部位置を抽出し、抽出された幅方向端部位置に基づいて突き合わせ溶接部の幾何的特徴量を算出する。そして、解析部4は、算出された幾何的特徴量に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定し、図示しない表示手段や警報手段に判定結果を出力する。これにより、オペレータは、判定結果に基づいて電縫鋼管の製造条件を調整することによって溶接不良が発生することを抑制できる。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態である電縫溶接管の製造状況監視装置の変形例の構成を示す模式図である。図4に示すように、本変形例では、ノズル2の搬送方向上流側に補助ノズル5が配置され、この補助ノズル5から鋼帯のエッジ部に不活性ガスが吹き付けられる。ここで、補助ノズル5から不活性ガスを吹き付ける鋼帯の範囲やノズル2の視野範囲は、鋼帯のエッジ部又は端面の温度が誘導加熱装置6によって昇温し、酸素濃度20.1%で酸化を開始する温度に達する位置より搬送方向下流側とすればよく、ノズル2の視野範囲としては鋼帯のエッジ部が溶融を開始する位置を含む範囲とした。これにより、ガスシールドノズルの効果を保ちつつ、ノズル2の開口部の長手方向の大きさを必要最小源に抑えることができる。なお、本変形例の動作は図1に示す装置と同じであるので、その説明は省略する。
【0030】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、ガスシールド併用溶接であっても冷却水や潤滑水の影響を受けることなく電縫溶接管の突き合わせ溶接部の良否を判定可能な電縫溶接管の製造状況監視方法及び電縫溶接管の製造状況監視装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 電縫溶接管の製造状況監視装置
2 ノズル
2a 開口部
3 撮像部
4 解析部
5 補助ノズル
6 誘導加熱装置
P 電縫溶接管(電縫鋼管)
【要約】
帯状の鋼帯を円筒状に成形し、鋼帯の幅方向両端部を長手方向に沿って突き合わせ溶接することによって製造される電縫溶接管の製造状況を監視する電縫溶接管の製造状況監視装置1であって、鋼帯の幅方向両端部が突き合わせ溶接される領域に対向する開口部2aを有し、開口部2aから前記領域に不活性ガスを噴出することによって前記領域を不活性ガスでシールドするノズル2の内部に配置された、前記領域を視野に含む撮像部3と、撮像部3によって撮影された画像に基づいて突き合わせ溶接部の良否を判定する解析部4と、を備える。
図1
図4
図2
図3