【実施例】
【0010】
図1〜
図4はこの発明の実施例を示すものである。
図2において、1は車両用充電装置である。
この車両用充電装置1は、
図2に示す如く、車両(図示せず)に適用される内燃機関2と、この内燃機関2の駆動力により発電する発電機3と、この発電機3で発生する電力を蓄積する蓄電装置(「バッテリ」ともいう。)4と、ECU(「エンジンコントロールユニット」ともいう。)5と、バッテリ監視装置6とを備えている。
このとき、前記発電機3は、前記内燃機関2のクランク軸(図示せず)に図示しないベルトを介して連結されている。
そして、前記発電機3は、前記内燃機関2に駆動される、即ち、内燃機関2のクランク軸が回転するのに伴って回転することで電力を発生させ、前記蓄電装置4に電力を供給する。
また、この蓄電装置4には、種々の電気機器で構成される第1〜第3電気負荷7〜9が接続されており、これらの第1〜第3電気負荷7〜9は蓄電装置4から電流の供給を受けて作動する。
更に、前記ECU5は、前記内燃機関2や前記発電機3を制御するためのものである。
そして、前記ECU5は、アクセルポジションに応じて内燃機関2に所定量の燃料を供給する制御等を行う。
例えば、アクセルポジションが「0」になると、内燃機関2への燃料供給を停止させる。
また、前記ECU5は、発電電圧制御手段として機能する。
このとき、前記ECU5には、アクセルポジションを検出するアクセルポジションセンサ10と前記内燃機関2の回転数を検出するエンジン回転数センサ11とを接続し、アクセルポジションセンサ10及びエンジン回転数センサ11等の検出値が前記ECU5に入力される。
前記バッテリ監視装置6は、前記蓄電装置4の充放電状態等を監視するためのものである。
このバッテリ監視装置6は、
図2に示す如く、電圧を検出する電圧センサからなる電圧検出部12と、温度を検出する温度センサからなる温度検出部13と、電流を検出する電流センサからなる電流検出部14と、検出された電流値に基づいて前記蓄電装置4の残量であるSOCを検出するSOC検出部15とを有している。
前記電圧検出部12や前記温度検出部13は、前記蓄電装置4の劣化を判定するなどの目的で使用される。
このとき、蓄電装置4の劣化の判定は、前記ECU5が行う。
このECU5は、図示しない記憶部に記憶されている前記電圧検出部12や前記温度検出部13での検出値に基づいて、蓄電装置4の劣化の進み具合や劣化の程度を確認し、その確認結果に基づいて蓄電装置4の劣化判定を実行する。
また、前記SOC検出部15は、例えば、前記電流検出部14によって検出された蓄電装置4に流れる電流に基づいてSOCを検出する。
具体的には、前記SOC検出部15では、電流検出部14が所定量を超える電流の変化を検出したときに、変化直前の電流値と前回の変化時からの経過時間とに基づいて蓄電装置4での消費電力を算出する。
そして、前回の変化時に記憶部に記憶されたSOCの値と算出した消費電力とに基づいて現在のSOCの値を検出する。
前記バッテリ監視装置6のSOC検出部15で検出されたSOCの値は、前記ECU5に送信され、ECU5における前記発電機3の制御に利用される。
【0011】
そして、前記車両用充電装置1は、前記蓄電装置4の充電率を検出する充電率検出手段16と、前記充電率が所定値以上であるとき、当該充電率に応じて前記発電機3が発電する電圧を低下させる発電制御手段17とを備える構成とする。
このため、上記のように構成すれば、発電制御手段17は、前記蓄電装置4の充電率が所定値以上であることを検出すると発電機3のコイルに流す電流量を徐々に低下させ、発電電圧を下げるように制御するため、充電が完了し発電が停止した際のトルク変動を抑制することができる。
【0012】
詳述すれば、前記車両用充電装置1の前記ECU5は、
図2に示す如く、燃料停止手段18と、走行状態判定手段19と、前記充電率検出手段16と、前記発電制御手段17と、充電率設定手段20とを有している。
そして、前記燃料停止手段18は、前記内燃機関2への燃料供給を停止する機能を有している。
【0013】
また、前記車両用充電装置1は、前記車両の走行状態を判定する前記走行状態判定手段19を備え、この走行状態判定手段19が減速走行状態又は定速走行状態と判定したとき、加速走行状態と判断された場合と比較して前記充電率の所定値を低い値に設定する前記充電率設定手段20を備えている。
このため、前記発電制御手段17による制御を説明したとおり、前記発電機3の発電電圧を充電完了前に予め低下させて充電を行えば、充電が完了し発電が停止された際のトルク変動は小さく抑えることができる。
このとき、前記内燃機関2に生じるトルクは、車両の走行状態に応じて変化しており、一律に充電率に応じて電圧を低下させるだけでは、十分なトルク抑制を図る制御に改善の余地があった。
そこで、この発明では、車両の走行状態を検出する前記走行状態判定手段19を設け、車両が加速走行、減速走行、定速走行のいずれの状態にあるかを検出するように構成し、この走行状態に応じて前記発電制御手段17が判定する充電率の所定値を加速状態であるときは高く、それ以外の走行状態では低くなるように設定する前記充電率設定手段20を設けている。
この構成によれば、発電停止によるトルク変動が大きい走行状態を検出し、その際には十分なトルク抑制を図ることができる。
即ち、車両が減速走行又は定速走行の場合、加速走行と比較して前記内燃機関2に生じるトルクは小さいため、発電停止によるトルク変動の影響は大きくなる。
そこで、車両が減速走行又は定速走行であるときは、加速走行と比較して、充電率が低い時点から電圧低下を開始し、充電完了時のトルク変動を抑制している。
一方、加速状態の時に内燃機関に生じるトルクは、他の走行状態と比較して高くトルク変動の影響を受け難いため、充電率が高くなるまで高い電圧で充電を行い、早期充電を計ることができる。
【0014】
ここで、
図3のタイムチャートを説明する。
なお、この
図3においてt3位置までの状態は、上述した
図5と同様であるので、説明は省略する。
図3(f)に示すt3位置からの減速では、
図3(c)に示す如く、前記発電機3の発電電圧Vregを最大発電電圧Vmaxとして回生発電を行い、
図3(d)に示す如く、前記蓄電装置4に対して効率的に充電を行う。
その後、
図3(b)に示す如く、SOCが上昇するに伴い(例えば、t5位置のタイミング)、
図3(c)に示す如く、発電電圧Vregを最大発電電圧Vmaxより低下させる。
図3(b)に示す如く、t6位置でSOCが上限(SOCmax)に到達したため、回生発電を禁止する。
このとき、発電電圧Vregを最大発電電圧VmaxからSOCに基づき低下させているために、
図3(e)に示す如く、前記内燃機関2に対して負荷方向に印加されていた発電トルクは小さく、トルク変化が抑制されて、
図3(a)に示す如き車両の減速度の変化や
図3(f)に示す如きエンジン回転数の変動などのドライバビリティの悪化を抑制できる。
【0015】
次に、
図1の前記車両用充電装置1の制御用フローチャートに沿って作用を説明する。
【0016】
この車両用充電装置1の制御用プログラムがスタート(101)すると、前記ECU5は、前記アクセルポジションセンサ10及び前記エンジン回転数センサ11からの検出値を入力し、車両の走行状態が加速走行中であるか否かの判断(102)に移行する。
この車両の走行状態が加速走行中であるか否かの判断(102)において、判断(102)がYESの場合には、電流制御マップ1を取得する処理(103)に移行する。
この電流制御マップ1を取得する処理(103)において、前記ECU5は、前記充電率設定手段20により電流制御マップ1を読み取り、充電率を設定する。
車両の走行状態が加速走行中であるか否かの判断(102)がNOの場合には、車両の走行状態が定速走行中であるか否かの判断(104)に移行する。
ここで、電流制御マップ1〜3について追記する。
この電流制御マップ1〜3は、
図4に示す如く、前記発電機3の発電電圧Vregと前記蓄電装置4の残量であるSOC(%)とからなり、発電機3の最大発電電圧Vmaxと最大SOCとの間で、加速時を電流制御マップ1とする。
また、定速時は、
図4に示す如く、この電流制御マップ1よりも内側となる電流制御マップ2とする。
更に、減速時には、
図4に示す如く、電流制御マップ2よりも更に内側となる電流制御マップ3とする。
上述の電流制御マップ1を取得する処理(103)の後には、前記ECU5は、SOCを取得する処理(105)に移行する。
そして、このSOCを取得する処理(105)の後に、前記ECU5は、SOCに基づく電流を流す処理(106)に移行し、その後に、後述する前記車両用充電装置1の制御用プログラムのリターン(110)に移行する。
また、上述の車両の走行状態が定速走行中であるか否かの判断(104)において、この判断(104)がYESの場合には、電流制御マップ2を取得する処理(107)に移行する。
この電流制御マップ2を取得する処理(107)において、前記ECU5は、前記充電率設定手段20により電流制御マップ2を読み取り、充電率を設定する。
この電流制御マップ2を取得する処理(107)の後には、前記ECU5は、SOCを取得する処理(105)に移行する。
そして、このSOCを取得する処理(105)の後に、前記ECU5は、SOCに基づく電流を流す処理(106)に移行し、その後に、前記車両用充電装置1の制御用プログラムのリターン(110)に移行する。
更に、上述の車両の走行状態が定速走行中であるか否かの判断(104)において、この判断(104)がNOの場合には、車両の走行状態が減速走行中であると判断し、燃料停止の処理(108)に移行する。
この燃料停止の処理(108)の後に、電流制御マップ3を取得する処理(109)に移行する。
電流制御マップ3を取得する処理(109)において、前記ECU5は、前記充電率設定手段20により電流制御マップ3を読み取り、充電率を設定する。
この電流制御マップ3を取得する処理(109)の後には、前記ECU5は、SOCを取得する処理(105)に移行する。
そして、このSOCを取得する処理(105)の後に、前記ECU5は、SOCに基づく電流を流す処理(106)に移行し、その後に、前記車両用充電装置1の制御用プログラムのリターン(110)に移行する。