特許第6015925号(P6015925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6015925-給湯器の制御装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015925
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】給湯器の制御装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20161013BHJP
   F24H 1/10 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   F24H1/00 E
   F24H1/10 301Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-240016(P2012-240016)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-89010(P2014-89010A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】矢野 由依子
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真一
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−318003(JP,A)
【文献】 特開2002−257339(JP,A)
【文献】 特開2008−035879(JP,A)
【文献】 特開2009−135655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00
F24H 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器の動作制御用の各種パラメータを測定するための複数のセンサと、これらセンサが出力するアナログ検出信号を入力して給湯器を制御する制御部とを備え、前記複数のセンサのうち少なくとも一つは前記制御部による即時応答が不要な非即時応答性パラメータを測定するものであり、前記制御部は、第1のマイコンと、該第1のマイコンと互いに通信する第2のマイコンとを備え、これら第1及び第2のマイコンはアナログ信号入力端子を備え、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサが出力するアナログ検出信号は、第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力され第1のマイコンのアナログ信号入力端子には入力されない構成とし、その他のセンサが出力するアナログ検出信号は少なくとも第1のマイコンのアナログ信号入力端子に入力される構成とし、第2のマイコンは、第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力されるアナログ検出信号をデジタルデータに変換するとともに該デジタルデータを第1のマイコンに通信によって送信するように構成されていることを特徴とする給湯器の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯器の制御装置において、第1及び第2のマイコンは少なくとも電源投入時に互いの通信が正常であることを確認するための通信正常確認処理を行うように構成され、第2のマイコンから第1のマイコンへの前記デジタルデータの送信は前記通信正常確認処理により通信が正常であると確認された後に行われるように構成され、第1のマイコンは、第2のマイコンとの通信によって受信した前記デジタルデータに基づいて所定の制御を行うように構成されていることを特徴とする給湯器の制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給湯器の制御装置において、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサは雰囲気温度センサであることを特徴とする給湯器の制御装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の給湯器の制御装置において、前記第1のマイコンは、給湯動作を行うための給湯制御と、凍結予防動作を行うための凍結予防制御とを実行可能に構成され、前記給湯制御の実行に必要な要即時応答性パラメータを測定するためのすべてのセンサのアナログ検出信号が少なくとも第1のマイコンのアナログ信号入力端子に入力されており、前記凍結予防制御の実行に必要な前記非即時応答性パラメータを測定するための少なくとも一つのセンサのアナログ検出信号が第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力されていることを特徴とする給湯器の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、給湯器用の制御装置は、その制御中枢にマイコンを搭載し、このマイコンによって燃料ガスの供給/停止を切替えるガス電磁弁、燃料ガスの供給量を調節する比例弁、燃焼用空気の送風量を調節するファンモータ、及び、給湯流量を調節する水量調整弁などの各種アクチュエータの動作制御を行っている。
【0003】
かかる給湯器の制御装置における動作制御の安全性向上等の目的で、メインマイコンと、該メインマイコンよりも低能力のサブマイコンとを搭載し、これら両マイコンに全てのセンサの検出信号を入力させる構成とし、給湯器による給湯制御はメインマイコンが担い、サブマイコンはメインマイコンよりも緩やかな停止条件で緊急的な燃料遮断動作を実行するようにしたものが、下記の特許文献1に開示されている。なお、マイコンには、各種センサのアナログ検出信号を入力するためのアナログ信号入力端子と、両マイコン間で通信を行うための通信端子と、各種アクチュエータに対して制御信号を出力するための出力端子とが備えられている。
【0004】
また、例えば下記の特許文献2に開示されているように、この種給湯器には凍結予防を行うための凍結予防ヒータが内蔵され、雰囲気温度(外気温若しくは給湯器内部空間温度)や燃焼缶体温度などを測定する所定の温度センサの検出信号に基づいて制御装置が凍結予防制御を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第WO2006/080223号公報
【特許文献2】特開2007−322004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる凍結予防制御を上記特許文献1に開示された制御装置により行う場合、凍結予防制御を行うための雰囲気温度センサ等のアナログ検出信号もメインマイコンのアナログ信号入力端子に入力させる必要がある。しかし、マイコンのアナログ信号入力端子の数は限定されており(例えば総ピン数64ピンのマイコンの場合で8端子など)、また、市場からのコストダウンの要求に応えるためにメインマイコンとしてより安価なものを採用しようとすると、給湯のための基本的な制御を行うための各種センサによってアナログ信号入力端子がすべて使用されてしまい、凍結予防制御を行うための雰囲気温度センサ等のアナログ検出信号をメインマイコンに入力させることができなくなる。
【0007】
一方、雰囲気温度センサによって検出される雰囲気温度は、給湯制御のために用いられる湯温や燃焼状態やファンモータ回転数などのパラメータに比較すると、日照条件や気候の変化に伴って緩やかに変動するものであるため、雰囲気温度に基づく凍結予防制御は、給湯制御に比較すると即時応答性は要求されないものである。
【0008】
そこで、本発明は、凍結予防制御のために検出される雰囲気温度など、即時応答の要求されない非即時応答性パラメータを測定するセンサの検出値のメインマイコンへの入力経路を改良することによって、入力端子数の比較的少ないメインマイコンを採用することを可能とし、これにより給湯器の性能や機能を維持しつつも制御装置のコストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、次の技術的手段を講じた。
【0010】
すなわち、本発明は、給湯器の動作制御用の各種パラメータを測定するための複数のセンサと、これらセンサが出力するアナログ検出信号を入力して給湯器を制御する制御部とを備え、前記複数のセンサのうち少なくとも一つは前記制御部による即時応答が不要な非即時応答性パラメータを測定するものであり、前記制御部は、第1のマイコンと、該第1のマイコンと互いに通信する第2のマイコンとを備え、これら第1及び第2のマイコンはアナログ信号入力端子を備え、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサが出力するアナログ検出信号は、第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力され第1のマイコンのアナログ信号入力端子には入力されない構成とし、その他のセンサが出力するアナログ検出信号は少なくとも第1のマイコンのアナログ信号入力端子に入力される構成とし、第2のマイコンは、第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力されるアナログ検出信号をデジタルデータに変換するとともに該デジタルデータを第1のマイコンに通信によって送信するように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0011】
かかる本発明の給湯器の制御装置によれば、第1のマイコンは、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサ以外のセンサのアナログ検出信号を直接アナログ信号入力端子を介して入力し、これら検出信号に基づいて即時応答性が要求される各種の動作制御を行う。一方、第2のマイコンは、非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサが接続されて該センサのアナログ検出信号がアナログ信号入力端子に入力される。かかるセンサのアナログ検出信号は第1のマイコンのアナログ信号入力端子には入力しないので、第1のマイコンのアナログ信号入力端子の数を少なくすることができ、これにより第1のマイコンとして低価格のものを採用でき、製品コストを低減することができる。一方、第2のマイコンのアナログ信号入力端子に入力されたアナログ検出信号は、第2のマイコンでデジタルデータに変換された後、第1のマイコンとの通信によってデジタルデータとして第1のマイコンに送信され、第1のマイコンにおける各種制御用データとして用いることができる。かかる第1及び第2のマイコンの相互の通信は、数百ミリ秒乃至数秒毎の定期的な通信によって行うことができ、各マイコンに過度な負荷をかけることなく第2のマイコンにのみ入力されたアナログ検出信号に対応するデジタルデータを第1のマイコンに送信でき、この場合でも当該アナログ検出信号は非即時応答性パラメータを測定するためのものであるから給湯器としての性能や機能性を低下させることがない。
【0012】
なお、第2のマイコンは、上記特許文献1記載の制御装置と同様に、第1のマイコンに入力されるセンサのアナログ検出信号をも第2のマイコンのアナログ信号入力端子に並列的に入力される構成とし、第1のマイコンにおける制御条件よりも緩やかな若しくは同等の停止条件で第2のマイコンが自立的に緊急的な遮断動作を実行するように構成することもできる。さらに、第1のマイコンと第2のマイコンの双方に入力されるアナログ検出信号を第2のマイコンがそれぞれデジタルデータに変換して当該デジタルデータとして第1のマイコンに通信によって送信し、一方、第1のマイコンは、そのアナログ信号入力端子に入力されたアナログ検出信号を変換してなるデジタルデータと、第2のマイコンから送信されたデジタルデータとを比較して、各信号値の異常判定を行うように構成することもできる。
【0013】
上記本発明の給湯器の制御装置において、第1及び第2のマイコンは少なくとも電源投入時に互いの通信が正常であることを確認するための通信正常確認処理を行うように構成され、第2のマイコンから第1のマイコンへの前記デジタルデータの送信は前記通信正常確認処理により通信が正常であると確認された後に行われるように構成され、第1のマイコンは、第2のマイコンとの通信によって受信した前記デジタルデータに基づいて所定の制御を行うように構成されているものとすることができる(請求項2)。これによれば、第1及び第2のマイコンの相互の通信が正常であることが通信正常確認処理によって確認されるまでは第2のマイコンから第1のマイコンに送信される前記デジタルデータに基づく所定の制御を行わず、通信が正常であることが確認された後、第2のマイコンとの通信によって受信した前記デジタルデータに基づいて所定の制御を行うようにしたので、電源投入時のマイコン内の前記デジタルデータを記憶する揮発性メモリの初期値が制御用パラメータとして異常な値であっても、かかる異常値に基づいて所定の制御が行われることを回避できる。
【0014】
また、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサとしては、雰囲気温度センサを挙げることができる(請求項3)。この雰囲気温度センサは、給湯器の内部空間(ハウジング内空間)の適宜の箇所に設けたサーミスタであってもよく、給湯器の外気温を検出する外気温センサであってもよい。
【0015】
また、前記第1のマイコンは、給湯動作を行うための給湯制御と、凍結予防動作を行うための凍結予防制御とを実行可能に構成され、前記給湯制御の実行に必要な要即時応答性パラメータを測定するためのすべてのセンサのアナログ検出信号が少なくとも第1のマイコンのアナログ信号入力端子に入力されており、前記凍結予防制御の実行に必要な前記非即時応答性パラメータを測定するための少なくとも一つのセンサのアナログ検出信号が第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力されているものとすることができる(請求項4)。これによれば、給湯制御の実行に必要な要即時応答性パラメータを測定するためのすべてのセンサのアナログ検出信号が第1のマイコンに入力されているので、これらアナログ検出信号に基づいて即時応答性の高い給湯制御、例えば、燃焼装置の燃焼能力の調節のためのガス比例弁の開度制御、緊急的な遮断動作を行うための元ガス電磁弁の閉制御、最適な燃焼状態を得るための燃焼ファンの回転数制御などを迅速的確に行うことができる。一方、凍結予防制御の実行に必要な非即時応答性パラメータ、例えば雰囲気温度、を測定するためのセンサのアナログ検出信号は、第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力されるが、かかる非即時応答性パラメータは給湯制御に必要な応答速度と比較して非常に遅い応答速度でも問題が生じず、第1及び第2のマイコンの相互の定期通信の際に第2のマイコンから第1のマイコンへデジタルデータとして送信することで第1のマイコンにおける凍結予防制御用パラメータとして利用できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る給湯器の制御装置によれば、第1のマイコンは、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサ以外のセンサのアナログ検出信号を直接アナログ信号入力端子を介して入力し、これら検出信号に基づいて即時応答性が要求される各種の動作制御を行う。一方、第2のマイコンは、非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサが接続されて該センサのアナログ検出信号がアナログ信号入力端子に入力される。かかるセンサのアナログ検出信号は第1のマイコンのアナログ信号入力端子には入力しないので、第1のマイコンのアナログ信号入力端子の数を少なくすることができ、これにより第1のマイコンとして低価格のものを採用でき、製品コストを低減することができる。一方、第2のマイコンのアナログ信号入力端子に入力されたアナログ検出信号は、第2のマイコンでデジタルデータに変換された後、第1のマイコンとの通信によってデジタルデータとして第1のマイコンに送信され、第1のマイコンにおける各種制御用データとして用いることができる。かかる第1及び第2のマイコンの相互の通信は、数百ミリ秒乃至数秒毎の定期的な通信によって行うことができ、各マイコンに過度な負荷をかけることなく第2のマイコンにのみ入力されたアナログ検出信号に対応するデジタルデータを第1のマイコンに送信でき、この場合でも当該アナログ検出信号は非即時応答性パラメータを測定するためのものであるから給湯器としての性能や機能性を低下させることがない。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る給湯器の制御装置によれば、第1及び第2のマイコンの相互の通信が正常であることが通信正常確認処理によって確認されるまでは第2のマイコンから第1のマイコンに送信される前記デジタルデータに基づく所定の制御を行わず、通信が正常であることが確認された後、第2のマイコンとの通信によって受信した前記デジタルデータに基づいて所定の制御を行うようにしたので、電源投入時のマイコン内の前記デジタルデータを記憶する揮発性メモリの初期値が制御用パラメータとして異常な値であっても、かかる異常値に基づいて所定の制御が行われることを回避できる。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る給湯器の制御装置によれば、前記非即時応答性パラメータを測定する少なくとも一つのセンサとしては、雰囲気温度センサを用いることができ、この雰囲気温度センサは、給湯器の内部空間(ハウジング内空間)の適宜の箇所に設けたサーミスタとすることもできるし、給湯器の外気温を検出する外気温センサとすることもできる。
【0019】
また、本発明の請求項4に係る給湯器の制御装置によれば、給湯制御の実行に必要な要即時応答性パラメータを測定するためのすべてのセンサのアナログ検出信号が第1のマイコンに入力されているので、これらアナログ検出信号に基づいて即時応答性の高い給湯制御、例えば、燃焼装置の燃焼能力の調節のためのガス比例弁の開度制御、緊急的な遮断動作を行うための元ガス電磁弁の閉制御、最適な燃焼状態を得るための燃焼ファンの回転数制御などを迅速的確に行うことができる。一方、凍結予防制御の実行に必要な非即時応答性パラメータ、例えば雰囲気温度、を測定するためのセンサのアナログ検出信号は、第2のマイコンのアナログ信号入力端子にのみ入力されるが、かかる非即時応答性パラメータは給湯制御に必要な応答速度と比較して非常に遅い応答速度でも問題が生じず、第1及び第2のマイコンの相互の定期通信の際に第2のマイコンから第1のマイコンへデジタルデータとして送信することで第1のマイコンにおける凍結予防制御用パラメータとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る給湯器を模式的に示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る給湯器1を示しており、高効率タイプの屋外設置型のものを示す。この給湯器1は、ハウジング2内に燃焼缶体3が内蔵され、燃焼缶体3にはその最上流位置(図示例では最下部)に送風ファン4が配設され、以下、最下流位置(最上部)の排気出口5にかけて順に、送風ファン4からの燃焼用空気の供給を受けて燃料(ガス燃料又は石油燃料)を燃焼させる複数のバーナからなる燃焼装置6と、この燃焼装置6による燃焼熱(顕熱)との熱交換により通水を加熱する一次熱交換器7と、一次熱交換器7を加熱した後の燃焼排ガスから潜熱回収して一次熱交換器7での加熱前に通水を予熱するための二次熱交換器8とが配設されている。
【0023】
上記二次熱交換器8の入口には給水接続口9から給水を受けた水道水等を入水させる入水路10の下流端が接続され、二次熱交換器8を通過後の給水がその出口から接続路11を通して一次熱交換器7の入口に送られるようになっている。そして、一次熱交換器7で熱交換加熱された湯が出湯路12に出湯され、この出湯が出湯接続口13から機外の給湯管を経て台所,洗面所,浴室シャワー等の給湯栓に給湯されるようになっている。
【0024】
なお、送風ファン4は、ファンモータ(図示せず)と、ファン回転数を検出するための回転数センサ4aを備えている。入水路10には、通水量を検出するための水量センサ14と、入水温度を検出するための入水温度センサ15とが設けられている。また、出湯路12には、出湯水量を調節するための水量調整弁16と、出湯温度を検出するための出湯温度センサ17とが設けられている。
【0025】
また、ハウジング2内には凝縮水中和装置18が配設されており、缶体3内の二次熱交換器8から回収された凝縮水を中和して排水口19より排水可能になっている。
【0026】
燃焼缶体3内の燃焼装置6の上部近傍には、点火プラグ20と、立ち消え安全装置(フレームロッド)21とが配設されている。また、燃焼缶体3の排気出口5の内側には、排気温センサ22が配設されている。この排気温センサ22は、排気出口5の排気温が所定温度を超えないように排気温度を監視するために設けられているとともに、特に寒冷地において燃焼動作の停止時に排気出口5を介して冷たい外気が流入して缶体内部が凍結したり点火プラグによる燃焼開始に支障を来すような低温となったかを監視する目的でも利用される。
【0027】
燃焼装置6は複数の燃焼領域に区分され、ガス供給口23からガス供給管路24を介して供給される燃料ガスが、各燃焼領域に対応して設けられた能力切替ガス電磁弁25を介して各燃焼領域のバーナに供給されるようになっている。ガス供給管路24には、元ガス電磁弁25と、ガス流量を調節するガス比例弁26とが設けられている。
【0028】
また、ハウジング2内には、上記各センサが検出するパラメータに基づき、給湯器1に含まれる各アクチュエータ、すなわち、送風ファン4、水量調整弁16、点火プラグ20、能力切替ガス電磁弁25、元ガス電磁弁27及びガス比例弁26の制御を行うことによって給湯動作制御を行うための制御部30が設けられている。この制御部30の基本的構成は上記特許文献1に記載の制御装置と同様の構成とすることができ、比較的高性能で高価なメインマイコン31(第1のマイコン)と、比較的低性能で安価なサブマイコン32(第2のマイコン)とを制御基板上に設け、これら両マイコン31,32を相互に通信可能なように接続してなるものである。
【0029】
各マイコン31,32は、電源入力端子、複数のアナログ信号入力端子、デジタル通信用端子、及び、複数の制御信号出力端子を備えるとともに、各アナログ信号入力端子に入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するA/D変換部を内蔵している。なお、サブマイコン32のアナログ入力端子及び制御信号出力端子の数は、メインマイコン31よりも少ない。
【0030】
上記のすべてのアクチュエータは、メインマイコン31の制御信号出力端子に直接或いは各アクチュエータ用の駆動回路を介して間接的に接続され、メインマイコン31によって動作が制御される。また、サブマイコン32がメインマイコン31から独立して燃焼動作の緊急停止を行えるようにするために、元ガス電磁弁25などの一部のアクチュエータはサブマイコン32の制御信号出力端子にも直接或いは駆動回路を介して間接的に接続することができる。
【0031】
上記回転数センサ4a、水量センサ14、入水温度センサ15、出湯温度センサ17、立ち消え安全装置21、排気温センサ22は、給湯動作制御用の各種パラメータを測定するものであり、各センサはそれぞれ各パラメータに応じたアナログ検出信号を出力する。本実施例では、これら全てのセンサのアナログ検出信号はメインマイコン31のアナログ信号入力端子に接続されており、一方、サブマイコン32のアナログ信号入力端子にも燃焼動作の緊急停止の判定に必要な一部のセンサのアナログ検出信号が並列的に入力され、それぞれデジタル変換されて給湯制御プログラムにおいて利用される。メインマイコン31は、これらセンサの検出値に基づいて上記各アクチュエータの動作制御による給湯制御全般を担い、一方、サブマイコン32は、排気温が給湯温度が過熱状態にあるときなどにおいてメインマイコン31よりも緩やかな停止条件で燃焼動作の緊急停止を行うように構成できる。その他、メインマイコン31やサブマイコン32は、適宜の制御を行うことができる。
【0032】
さらに、本実施形態の給湯器1は凍結予防機能を有している。すなわち、給湯器1は、排気出口5からの冷気逆流による缶体3付近の凍結予防用のヒータ33と、中和装置18や入水路10や出湯路12を含む缶体3以外のその他の器具内の凍結予防用のヒータ34a,34bが適所に配設されている。図示実施例では、缶体凍結予防ヒータ33と、その他の器具用の凍結予防ヒータ34a,34bは電気的に直列に接続され、メインマイコン31によってオンオフ制御される電源回路部35に接続されている。
【0033】
また、缶体3以外のその他の器具の温度を測定するためにF点サーミスタ36(雰囲気温度センサ)がハウジング2内の適宜の位置に設けられており、該F点サーミスタ36のアナログ検出信号は、サブマイコン32のアナログ信号入力端子にのみ入力され、メインマイコン31のアナログ信号入力端子には接続されていない。メインマイコン31とサブマイコン32は、動作中、数百m秒〜数秒程度の所定時間間隔で通信することによって、サブマイコン32が取得した上記F点サーミスタ36によって検出された雰囲気温度デジタルデータを含むサブマイコン32が取得した全てのパラメータをメインマイコン31に送信するように構成されており、かかる通信によってF点サーミスタ36のアナログ検出信号がデジタル変換されてなる雰囲気温度デジタルデータをメインマイコン31に送出して、該データに基づいてメインマイコン31が凍結予防制御を行えるようにしている。
【0034】
かかるメインマイコン31による凍結予防制御は適宜のものとすることができるが、例えば、F点サーミスタ36の検出値が所定温度未満となるか、或いは、排気温センサ22の検出値が所定温度未満となったことを検出すると、所定時間(例えば50分)上記ヒータ33,34a,34bをオンするとともに、送風ファン4をもオンして缶体凍結防止用ヒータ33からの熱をその上部に位置する熱交換器7,8へ送り、これら熱交換器7,8内で水が凍結してしまうことを防止できる。
【0035】
但し、電源投入時は、メインマイコン31とサブマイコン32との間の通信が確立しておらず、メインマイコン31はF点サーミスタ36の検出信号に対応する雰囲気温度デジタルデータを受信できないため、メインマイコン31はマイコン内部の揮発性メモリの初期値である0x00(16進数表記)を雰囲気温度デジタルデータの値であるとして制御してしまい、この初期値が凍結予防運転開始条件の範囲に含まれていれば、凍結予防運転が不要であるにもかかわらず電源オン時に所定時間の凍結予防運転が行われてしまうことがある。かかる不要な凍結予防運転を回避するために、メインマイコン31とサブマイコン32は電源投入時に互いの通信が正常であることを確認するための通信正常確認処理を行うように構成している。かかる処理の内容は適宜のものであってよいが、例えば、メインマイコン31からサブマイコン32へチェックサム付きの所定のデータを送信し、サブマイコン32がチェックサムを照合して正常であると、次にサブマイコン32からメインマイコン31へチェックサム付きの所定のデータを送信し、このデータをメインマイコンがチェックサムと照合して正常であれば、通信が正常であると判定することができる。一方、サブマイコン32或いはメインマイコン31がチェックサムとの不整合があることが確認された場合には、通信が異常であると判定して、図示しないリモコンなどを介してユーザーに通信異常報知することができる。そして、通信が正常であることが確認されるまでは、メインマイコン31はF点サーミスタ36の検出値(雰囲気温度デジタルデータ)に基づく凍結予防制御は行わず、排気温センサ22の検出値のみに基づいてヒータ33,34a,34bのオンオフ制御を行うように制御構成することができる。
【0036】
また、上記の通信異常の誤判定防止のために通信異常と判定するための所定の確定時間(例えば5分)を設けておき、この確定時間が経過するまで、上記の通信正常確認処理を繰り返し実行しても継続して正常判定が行われない場合に通信異常と判定するようにすることが好ましい。この場合、異常確定まではサブマイコン32から雰囲気温度デジタルデータが送信されないこととなり、該データに基づく凍結予防制御も行われないこととなるが、それによって入水路10や出湯路12内が凍結し、入水路10や出湯路12等が破損してしまうおそれがある。そこで、通信異常判定の上記確定時間を設ける場合には、メインマイコン31が読み書き可能な不揮発性メモリをメインマイコン31の内部若しくは外部に設けておき、サブマイコン32からメインマイコン31に送信された雰囲気温度デジタルデータをメインマイコン31が上記メモリに記憶保持しておくように構成することで、通信が正常であった時の雰囲気温度デジタルデータを、通信が発生し、通信異常判定の確定時間が経過するまでの間にメインマイコン31が参照できるようにして、通信異常が解消されサブマイコンから雰囲気温度デジタルデータを受信するまでは通信が正常であった時の運転時の雰囲気温度デジタルデータに基づいてヒータ33,34a,34bの凍結予防運転制御を行うことが好ましい。そして、通信が確立してサブマイコンから雰囲気温度デジタルデータを受信すると、上記メモリ内のデータを都度更新する。
【0037】
さらに、通信異常が確定した場合には、F点サーミスタ36の検出値が長時間不明な状態となるため、強制的にヒータ33,34a,34bをオンするように構成できる。
【0038】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、缶体凍結防止用ヒータ33と、その他の器具用ヒータ用34a,34bとは、上記実施形態では直列に接続して、缶体3内の凍結防止条件とその他の器具の凍結防止条件のいずれかが成立すれば凍結予防運転を行うように構成したが、各ヒータへの電源供給系統を独立させて、個々の条件に基づいてオンオフ制御することも可能である。また、上記実施形態では、排気温センサ22に基づいて缶体凍結予防条件を判定するようにしたが、出湯温度センサ17に基づいて缶体凍結予防条件を判定することも可能である。
【0039】
また、上記実施形態の通信正常処理は、メインマイコン31送信=>サブマイコン32受信=>サブマイコン32送信=>メインマイコン31受信の手順で行われていたが、これに代えて、サブマイコン32送信=>メインマイコン31受信の手順のみをもって、メインマイコン31が互いの通信が正常であると判定するものであってもよい。
【0040】
また、上記実施形態は、通信異常判定の確定時間を設ける場合に、メインマイコン31が不揮発性メモリにサブマイコン32から送信された雰囲気温度デジタルデータを記憶保持する構成としたが、不揮発性メモリに代えて、RAMを用いてもよい。
【符号の説明】
【0041】
30 制御部
31 第1のマイコン
32 第2のマイコン
4a、14、15、17、21、22 要即時応答性パラメータを測定するセンサ
36 非即時応答性パラメータを測定するセンサ
図1