特許第6015935号(P6015935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015935
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】燃料蒸発ガス排出抑止装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   F02M25/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-282670(P2012-282670)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-125944(P2014-125944A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】松永 英雄
(72)【発明者】
【氏名】池田谷 文一
(72)【発明者】
【氏名】加村 均
【審査官】 小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−301027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 47/00−47/06、49/00
F02M 25/00−25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路と燃料タンクとを連通する連通路と、前記連通路に連通するように配設されるキャニスタと、前記連通路と前記吸気通路との連通を開閉する連通路開閉手段とを含んで構成される燃料蒸発ガス処理部と、
前記キャニスタの内部と外部とを連通する連通孔を介して前記キャニスタに負圧を発生させる負圧発生手段と、
前記キャニスタの内圧を検出する圧力検出手段と、
前記内燃機関の作動時に前記連通路開閉手段を開にして、前記燃料タンク及び前記キャニスタの燃料蒸発ガスを前記吸気通路にパージする所定のパージ処理と、前記所定のパージ処理中に、前記負圧発生手段を作動させた後に、前記圧力検出手段の検出結果に基づいて前記燃料蒸発ガス処理部の異常検出とを行う制御手段と、を備え
前記制御手段は、
前記所定のパージ処理前の前記キャニスタの内圧を基準圧力とし、
前記負圧発生手段の作動後の前記キャニスタの内圧を作動後圧力とし、
前記基準圧力と前記作動後圧力とから圧力偏差を算出して、
前記圧力偏差が、第1閾値未満であって、前記第1閾値よりも低い第2閾値以上であると、前記燃料蒸発ガス処理部に閉塞ありと判定し、
前記圧力偏差が前記第2閾値未満であると、前記燃料蒸発ガス処理部に漏れありと判定することを特徴とする燃料蒸発ガス排出抑止装置。
【請求項2】
前記第2閾値は、前記負圧発生手段の稼働能力に基づいて変更されることを特徴とする、請求項1に記載の燃料蒸発ガス排出抑止装置。
【請求項3】
前記連通孔に配設され、前記負圧発生手段と前記キャニスタとの連通と、前記キャニスタの大気開放とを切り換える切換手段を備え、
前記制御手段は、
前記基準圧力の設定前に前記切換手段の作動を制御して前記キャニスタを大気開放させ、前記所定のパージ処理の開始時に前記切換手段の作動を制御して前記負圧発生手段と前記キャニスタとを連通させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の燃料蒸発ガスガス排出抑止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料蒸発ガス排出抑止装置に係り、詳しくは、燃料蒸発ガス排出抑止装置の異常を検出するための制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料タンク内で蒸発した燃料蒸発ガスの大気への放出を防止するために、燃料タンクと内燃機関の吸気通路とを連通するパージ通路に介装するキャニスタと、キャニスタ内を大気に開放又は封鎖する切替弁と、燃料タンクとキャニスタとを連通又は封鎖する密閉弁と、パージ通路の連通と遮断とを行うパージソレノイドバルブとからなる燃料蒸発ガス排出抑止装置が設けられている。燃料蒸発ガス排出抑止装置は、給油時には切替弁と密閉弁を開きパージソレノイドを閉じ燃料蒸発ガスをキャニスタに向けて流出するようにし、燃料蒸発ガスをキャニスタ内に配設された活性炭に吸着させている。そして、燃料蒸発ガス排出抑止装置は、内燃機関の作動時に切替弁とパージソレノイドバルブを開きキャニスタの活性炭に吸着させた燃料蒸発ガスを内燃機関の吸気通路に排出して燃料蒸発ガスを処理している。また、燃料蒸発ガス排出抑止装置は、燃料蒸発ガスが当該装置外へ漏れることを防止するために当該装置からの漏れ検出を行っている。
【0003】
漏れ検出は、従来の内燃機関の駆動力のみで走行する車両では、内燃機関の作動時に切替弁、密閉弁及びパージソレノイドバルブの開閉を制御し、内燃機関の吸気通路に発生する負圧によりパージ通路及び燃料タンク内を負圧にし、当該負圧の保持或いは不保持により漏れ判定を実施し漏れの有無を検出するようにしている。
しかしながら、内燃機関の他に電動機を備え、主に電動機の駆動力により走行するプラグインハイブリッド車等の車両では、燃費向上のために内燃機関が作動されることが非常に少なく、内燃機関の作動時に燃料蒸発ガス排出抑止装置の漏れ検出を行おうとすると漏れ検出の機会が少なくなる。
【0004】
そこで、内燃機関の作動が限られる車両に設けられる燃料蒸発ガス抑止装置では、燃料蒸発ガス排出抑止装置内を減圧可能な負圧ポンプを備え、車両のキーOFF中に、負圧ポンプの作動と、切替弁、密閉弁及びパージソレノイドバルブの開閉を制御して燃料蒸発ガス排出抑止装置の漏れ検出を行っている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4151382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の内燃機関の蒸発燃料処理装置では、キャニスタの大気開放側に負圧ポンプユニットが備えられている。
このような負圧ポンプユニットは、負圧ポンプユニットに可動部品があり、隙間を有しているため、大気側とキャニスタ側とを完全に封鎖することができない。
したがって、例えば、内燃機関の作動時に燃料タンク内の燃料蒸発ガス或いはキャニスタに吸着された燃料蒸発ガスを内燃機関の吸気通路に排出するパージ処理を実施しつつ、内燃機関の吸気通路の負圧を利用して、蒸発燃料処理装置のパージ通路の漏れや閉塞等の異常の検出を行うと、負圧ポンプユニットの大気側よりキャニスタ内に大気が流入するので、パージ通路の漏れや閉塞等を正確に検出することが困難となる。また、負圧ポンプユニットの大気側よりキャニスタ内に大気が流入することで、パージ通路内やキャニスタ内を漏れや閉塞等の異常検出を行うために必要な負圧とするまでに時間を要することとなり好ましいことではない。
【0007】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、短期間に異常を検出することのできる燃料蒸発ガス排出抑止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1の燃料蒸発ガス排出抑止装置では、内燃機関の吸気通路と燃料タンクとを連通する連通路と、前記連通路に連通するように配設されるキャニスタと、前記連通路と前記吸気通路との連通を開閉する連通路開閉手段とを含んで構成される燃料蒸発ガス処理部と、前記キャニスタの内部と外部とを連通する連通孔を介して前記キャニスタに負圧を発生させる負圧発生手段と、前記キャニスタの内圧を検出する圧力検出手段と、前記内燃機関の作動時に前記連通路開閉手段を開にして、前記燃料タンク及び前記キャニスタの燃料蒸発ガスを前記吸気通路にパージする所定のパージ処理と、前記所定のパージ処理中に、前記負圧発生手段を作動させた後に、前記圧力検出手段の検出結果に基づいて前記燃料蒸発ガス処理部の異常検出とを行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記所定のパージ処理前の前記キャニスタの内圧を基準圧力とし、前記負圧発生手段の作動後の前記キャニスタの内圧を作動後圧力とし、前記基準圧力と前記作動後圧力とから圧力偏差を算出して、前記圧力偏差が、第1閾値未満であって、前記第1閾値よりも低い第2閾値以上であると、前記燃料蒸発ガス処理部に閉塞ありと判定し、前記圧力偏差が前記第2閾値未満であると、前記燃料蒸発ガス処理部に漏れありと判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の燃料蒸発ガス排出抑止装置では、請求項1において、前記第2閾値は、前記負圧発生手段の稼働能力に基づいて変更されることを特徴とする。
また、請求項3の燃料蒸発ガス排出抑止装置では、請求項1又は2において、前記連通孔に配設され、前記負圧発生手段と前記キャニスタとの連通と、前記キャニスタの大気開放とを切り換える切換手段を備え、前記制御手段は、前記基準圧力の設定前に前記切換手段の作動を制御して前記キャニスタを大気開放させ、前記所定のパージ処理の開始時に前記切換手段の作動を制御して前記負圧発生手段と前記キャニスタとを連通させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、内燃機関の作動時に連通路開閉手段を開にして、燃料タンク及びキャニスタの燃料蒸発ガスを吸気通路にパージする所定のパージ処理において、負圧発生手段を作動させ、圧力検出手段の検出結果に基づいて燃料蒸発ガス処理部の異常を検出している。
したがって、負圧発生手段を作動させ、空気が負圧発生手段の構成部品の隙間を通って、大気側からキャニスタ側に流入することを防止することで、早期に燃料蒸発ガス処理部内を所定の負圧とすることができるので短期間に燃料蒸発ガス処理部の異常を検出することができる。
【0012】
また、例えば、燃料蒸発ガス処理部の異常検出時に、キャニスタの内圧が負圧発生手段にて発生可能な負圧となっている場合には、吸気通路の負圧によるキャニスタの内圧となっていないことから、燃料蒸発ガス処理部の圧力検出手段から吸気通路側で閉塞があると判別することができる。
したがって、これらのことより、短期間に燃料蒸発ガス処理部の漏れや閉塞等の異常を検出することができる。
【0013】
しかも、所定のパージ処理前のキャニスタの内圧を基準圧力とし、負圧発生手段の作動後のキャニスタの内圧を作動後圧力として、当該基準圧力と当該作動後圧力とから圧力偏差を算出し、当該圧力偏差が第1閾値未満であって、第1閾値よりも低い第2閾値以上であると、燃料蒸発ガス処理部に閉塞があると判定し、当該圧力偏差が第2閾値未満であると、燃料蒸発ガス処理部に漏れがあると判定している。即ち、第1閾値と第2閾値の二つの閾値にて燃料蒸発ガス処理部の閉塞と漏れを判別している。
【0014】
通常、燃料蒸発ガス排出抑止装置に用いられる負圧発生手段にて発生することのできる負圧は、内燃機関の吸気通路の負圧よりも小さくなっている。
したがって、例えば、第1閾値をキャニスタの内圧が吸気通路の負圧及び負圧発生手段による負圧で達成することのできる圧力偏差となるような数値に設定し、第2閾値をキャニスタの内圧が負圧発生手段による負圧のみで達成することのできる圧力偏差となるような数値に設定すると、圧力偏差が第2閾値に達しない場合には、燃料蒸発ガス処理部内の圧力が吸気通路の負圧及び負圧発生手段の負圧にて発生することのできる負圧となっておらず、燃料蒸発ガス処理部内で大気を吸入している。即ち燃料蒸発ガス処理部にて漏れが発生していると判定することができる。また、圧力偏差が第1閾値未満であって第2閾値以上である場合には、燃料蒸発ガス処理部内の圧力が負圧発生手段にて発生することのできる負圧となっており、吸気通路の負圧の影響を受けておらず、燃料蒸発ガス処理部の圧力検出手段から吸気通路の間で閉塞していると判定することができる。
【0015】
よって、第1閾値と第2閾値の二つの閾値を用いることで、燃料蒸発ガス処理部の閉塞と漏れを確実に検出することができる。
また、請求項2の発明によれば、第2閾値を負圧発生手段の稼働能力に基づいて変更している。
通常、燃料蒸発ガス排出抑止装置に用いられる負圧発生手段にて発生することのできる負圧は、内燃機関の吸気通路の負圧よりも小さくなっている。
【0016】
したがって、第2閾値を負圧発生手段の稼働能力であるキャニスタの内圧が負圧発生手段による負圧のみで達成することのできる圧力偏差となるような数値に変更することで、圧力偏差が第2閾値に達しない場合には、燃料蒸発ガス処理部内の圧力が吸気通路の負圧及び負圧発生手段の負圧にて発生することのできる負圧となっておらず、燃料蒸発ガス処理部のどこかで大気を吸入している。即ち燃料蒸発ガス処理部にて漏れが発生していると判定することができる。
【0017】
また、請求項3の発明によれば、負圧発生手段とキャニスタとの連通と、キャニスタの大気開放とを切り換える切換手段をキャニスタの連通孔に配設し、基準圧力の設定前に切換手段の作動を制御してキャニスタを大気開放させ、所定のパージ処理の開始時に切換手段の作動を制御して負圧発生手段とキャニスタとを連通させている。
したがって、基準圧力の設定前にキャニスタを大気開放することで基準圧力を大気圧相当とすることができるので、正確に圧力偏差を算出することができる。
【0018】
よって、圧力偏差を正確に算出することができるので、燃料蒸発ガス処理部の漏れと閉塞とを正確に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る燃料蒸発ガス排出抑止装置の概略構成図である。
図2】エバポレーティブリークチェックモジュールの切替弁の非作動時における内部構成部品の作動を示す図である。
図3】エバポレーティブリークチェックモジュールの切替弁の作動時における内部構成部品の作動を示す図である。
図4】本発明に係る電子コントロールユニットが実行する燃料蒸発ガス処理部の異常検出制御の制御フローチャートである。
図5】燃料蒸発ガス処理部が正常である時の燃料蒸発ガス処理部の異常検出制御における切替弁及び負圧ポンプの作動とパージ処理の実行の有無と圧力偏差と各フラグの推移を時系列で示す図である。
図6】燃料蒸発ガス処理部に漏れがある時の燃料蒸発ガス処理部の異常検出制御における切替弁及び負圧ポンプの作動とパージ処理の実行の有無と圧力偏差と各フラグの推移を時系列で示す図である。
図7】燃料蒸発ガス処理部に閉塞がある時の燃料蒸発ガス処理部の異常検出制御における切替弁及び負圧ポンプの作動とパージ処理の実行の有無と圧力偏差と各フラグの推移を時系列で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る燃料蒸発ガス排出抑止装置の概略構成図である。また、図2は、エバポレーティブリークチェックモジュールの切替弁の非作動時における内部構成部品の作動を示す図であり、図3は、エバポレーティブリークチェックモジュールの切替弁の作動時における内部構成部品の作動を示す図である。図2及び図3中の矢印は、図の状態で後述する負圧ポンプを作動させた場合の空気の流れ方向を示す。なお、切替弁は、図2の非作動時が開弁状態であり、図3の作動時が閉弁状態である。以下、燃料蒸発ガス排出抑止装置の構成を説明する。
【0021】
本発明に係る燃料蒸発ガス排出抑止装置は、図示しない走行用モータ及びエンジン(内燃機関)を備え、どちらか一方或いは双方を用いて走行するハイブリット自動車に用いられるものである。
図1に示すように、本発明に係る燃料蒸発ガス排出抑止装置は、大きく車両に搭載されるエンジン10と、燃料を貯留する燃料貯留部20と、燃料貯留部20で蒸発した燃料の蒸発ガスを処理する燃料蒸発ガス処理部30と、車両の総合的な制御を行うための制御装置である電子コントロールユニット40とで構成されている。
【0022】
エンジン10は、吸気通路噴射型(Multi Point Injection:MPI)の4サイクル直列4気筒型ガソリンエンジンである。エンジン10には、エンジン10の燃焼室内に空気を取り込む吸気通路11が設けられている。また、吸気通路11の下流には、エンジン10の吸気ポート内に燃料を噴射する燃料噴射弁12が設けられている。燃料噴射弁12には、燃料配管13が接続され、燃料を貯留する燃料タンク21から燃料が供給される。
【0023】
そして、エンジン10の吸気通路11には、吸入する空気の温度を検出する吸気温センサ14が配設されている。また、エンジン10には、エンジン10を冷却する冷却水の温度を検出する水温センサ15が配設されている。
燃料貯留部20は、燃料タンク21と、燃料タンク21への燃料注入口である燃料給油口22と、燃料を燃料タンク21から燃料配管13を介して燃料噴射弁12に供給する燃料ポンプ23と、燃料タンク21から燃料蒸発ガス処理部30への燃料の流出を防止する燃料カットオフバルブ24及び給油時に燃料タンク21内の液面を制御するレベリングバルブ25とで構成されている。また、燃料タンク21内で発生した燃料の蒸発ガスは、燃料カットオフバルブ24よりレベリングバルブ25を経由して、燃料蒸発ガス処理部30に排出される。
【0024】
燃料蒸発ガス処理部30は、パージ配管(連通路)31と、ベーパ配管(連通路)32と、キャニスタ33と、エバポレーティブリークチェックモジュール34と、密閉弁35と、パージソレノイドバルブ(連通路開閉手段)36と、バイパスソレノイドバルブ37と、圧力センサ(圧力検出手段)38とで構成されている。
パージ配管31は、エンジン10の吸気通路11とキャニスタ33とを連通するように設けられている。
【0025】
そして、ベーパ配管32は、燃料タンク21のレベリングバルブ25とパージ配管31とを連通するように設けられている。即ち、ベーパ配管32は、燃料タンク21とパージ配管31とを連通するように設けられている。
キャニスタ33は、内部に活性炭を有している。また、キャニスタ33には、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガス或いは活性炭に吸着した燃料蒸発ガスが流通可能なようにパージ配管31が接続されている。また、キャニスタ33には、活性炭に吸着した燃料蒸発ガスをエンジン10の吸気通路11に放出するときに外気を吸入する大気孔(連通孔)33aが設けられている。
【0026】
図2及び図3に示すように、エバポレーティブリークチェックモジュール34には、キャニスタ33の大気孔33aに通じるキャニスタ側通路34aと、大気に通じる大気側通路34bとが設けられている。大気側通路34bには、負圧ポンプ(負圧発生手段)34cを備えるポンプ通路34dが連通している。また、エバポレーティブリークチェックモジュール34には、切替弁(切換手段)34eとバイパス通路34fとが設けられている。そして、切替弁34eは、電磁ソレノイドを備え、当該電磁ソレノイドで駆動される。切替弁34eは、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)である時には、図2のように、キャニスタ側通路34aと大気側通路34bとを連通させる(切替弁34eの開弁状態に相当)。また、切替弁34eは、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)である時には、図3のように、キャニスタ側通路34aとポンプ通路34dとを連通させる(切替弁34eの閉弁状態に相当)。バイパス通路34fは、常時キャニスタ側通路34aとポンプ通路34dとを導通させる通路である。そして、バイパス通路34fには、小径(例えば、直径0.45mm)の基準オリフィス34gが設けられている。また、ポンプ通路34dの負圧ポンプ34cとバイパス通路34fの基準オリフィス34gとの間には、ポンプ通路34d或いは基準オリフィス34g下流のバイパス通路32f内の圧力を検出する圧力センサ(圧力検出手段)34hが設けられている。なお、負圧ポンプ34にて燃料蒸発ガス処理部30内に発生させることのできる負圧は、エンジン10の作動中にエンジン10の吸気通路11に発生する負圧によって、燃料蒸発ガス処理部30内に発生する負圧よりも小さくなるように設定されている。
【0027】
圧力センサ34hは、キャニスタ33の内圧であるキャニスタ内圧を検出するものである。なお、圧力センサ34hは、切替弁34eが閉弁状態でキャニスタ側通路34aとポンプ側通路34dとが連通し、パージソレノイドバルブ36が閉弁状態であって、密閉弁35とバイパスソレノイドバルブ37とが開弁状態であると、キャニスタ33とキャニスタ33からパージソレノイドバルブ36までのパージ通路31とベーパ配管32と燃料タンク21の内圧を検出することができる。
【0028】
密閉弁35は、燃料タンク21とパージ配管31との間のベーパ配管32に介装されている。そして、密閉弁35は、電磁ソレノイドを備え、当該電磁ソレノイドで駆動される。密閉弁35は、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)で閉弁状態となり、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)となると開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、密閉弁35は、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)で閉弁状態であるとベーパ配管32を封鎖し、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)で開弁状態であるとペーパ配管32を開放する。即ち、密閉弁35は、閉弁状態であれば燃料タンク21を密閉状態に封鎖し、燃料タンク21内で発生した燃料蒸発ガスのキャニスタ33或いはエンジン10の吸気通路11への流出を不可とし、開弁状態であれば燃料蒸発ガスのキャニスタ33或いはエンジン10の吸気通路11への流出を可能とする。
【0029】
パージソレノイドバルブ36は、吸気通路11とパージ配管31のベーパ配管32の接続部との間のパージ配管31に介装されている。そして、パージソレノイドバルブ36は、電磁ソレノイドを備え、当該電磁ソレノイドで駆動される。パージソレノイドバルブ36は、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)で閉弁状態となり、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)となると開弁状態となる常時閉タイプの電磁弁である。そして、パージソレノイドバルブ36は、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)で閉弁状態であるとパージ配管31を封鎖し、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)で開弁状態であるとパージ配管31を開放する。即ち、パージソレノイドバルブ36は、閉弁状態であればキャニスタ33或いは燃料タンク21よりエンジン10の吸気通路11への燃料蒸発ガスの流出を不可とし、開弁状態であればキャニスタ31或いは燃料タンク21よりエンジン10の吸気通路11へ燃料蒸発ガスの流出を可能とする。
【0030】
バイパスソレノイドバルブ37は、パージ配管31のベーパ配管32の接続部とキャニスタ33との間のパージ配管31に介装されている。そして、バイパスソレノイドバルブ37は、電磁ソレノイドを備え、当該電磁ソレノイドで駆動される。バイパスソレノイドバルブ37は、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)で開弁状態となり、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)となると閉弁状態となる常時開タイプの電磁弁である。そして、バイパスソレノイドバルブ37は、電磁ソレノイドが無通電の状態(OFF)で開弁状態であるとキャニスタ33をパージ配管31に開放し、電磁ソレノイドに外部から駆動信号が供給され通電の状態(ON)で閉弁状態であるとキャニスタ33を封鎖する。即ち、バイパスソレノイドバルブ37は、閉弁状態であればキャニスタ33を密閉し、キャニスタ33への燃料蒸発ガスの流出或いはキャニスタ33からの燃料蒸発ガスの流出を不可とする。そして、バイパスソレノイドバルブ37は、開弁状態であればキャニスタ33への燃料蒸発ガスの流入或いはキャニスタ33からの燃料蒸発ガスの流出を可能とする。
【0031】
圧力センサ38は、燃料タンク21と密閉弁35との間のベーパ配管32に配設されている。そして、圧力センサ38は、燃料タンク21の内圧であるタンク内圧を検出するものである。なお、圧力センサ38は、密閉弁35が閉弁状態であって、燃料タンク21が密閉されている時にのみ、燃料タンク21のみの内圧を検出することができる。
電子コントロールユニット40は、車両の総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成される。
【0032】
電子コントロールユニット40の入力側には、上記吸気温センサ14、水温センサ15、圧力センサ34h及び圧力センサ38が接続されており、これらのセンサ類からの検出情報が入力される。
一方、電子コントロールユニット40の出力側には、上記燃料噴射弁12、燃料ポンプ23、負圧ポンプ34c、切替弁34e、密閉弁35、パージソレノイドバルブ36及びバイパスソレノイドバルブ37が接続されている。
【0033】
電子コントロールユニット40は、各種センサ類からの検出情報に基づいて、負圧ポンプ34cの作動と、切替弁34e、密閉弁35、パージソレノイドバルブ36及びバイパスソレノイドバルブ37の開閉とを制御し、燃料タンク21にて発生した燃料蒸発ガスのキャニスタ33への吸着や、エンジン10の作動時にパージソレノイドバルブ36を開弁状態として、キャニスタ33に吸着した燃料蒸発ガスや燃料タンク21にて発生した燃料蒸発ガスをエンジン10の吸気通路11へ排出するパージ処理制御(本発明の所定のパージ処理に相当)を行うものである。また、電子コントロールユニット40は、エンジン10の作動時のパージ処理時には、燃料蒸発ガス処理部30の漏れや閉塞を検出する燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御を行うものである。
【0034】
以下、このように構成された本発明に係る電子コントロールユニット40での燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御について説明する。当該燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御は、エンジン10の作動時に実施される。なお、燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御中のバイパスソレノイドバルブ37は、常に無通電の状態(OFF)となっている。即ち、燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御中のバイパスソレノイドバルブ37は、常に開弁状態となっている。また、燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御中の密閉弁35は、閉弁状態或いは開弁状態のいずれの状態であってもよい。
【0035】
図4は、電子コントロールユニット40が実行する燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御の制御フローチャートである。そして、図5は、燃料蒸発ガス処理部30が正常である時の燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御における切替弁34e及び負圧ポンプ34cの作動とパージ処理の実行の有無と圧力偏差ΔPと各フラグの推移を時系列で示す図である。また、図6は、燃料蒸発ガス処理部30に漏れがある時の、図7は、燃料蒸発ガス処理部30に閉塞がある時の燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御における切替弁34e及び負圧ポンプ34cの作動とパージ処理の実行の有無と圧力偏差ΔPと各フラグの推移を時系列で示す図である。図5から図7のΔP1は、第1閾値ΔP1を示す。また、ΔP2は、第2閾値ΔP2を示す。そして、t1は、所定時間t1を示す。なお、第1閾値ΔP1は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧により燃料蒸発ガス処理部30内に発生する負圧に基づいて決定される。また、第2閾値ΔP2は、負圧ポンプ34cの作動によって、燃料蒸発ガス処理部30内に発生する負圧に基づいて決定される。即ち、第2閾値ΔP2は、負圧ポンプ34cの稼働能力によって決定される。負圧ポンプ34c自体も経年劣化するので、それに合わせて第2閾値ΔP2を変更するようにしてもよい。そして、所定時間t1は、負圧ポンプ34cによって、圧力偏差ΔPが第2閾値ΔP2以上となるまでに要する時間或いはそれ以上の時間に適宜設定される。第1閾値ΔP1、第2閾値ΔP2及び所定時間t1は、実験や解析等によって予め設定されるものである。
【0036】
図4、5、6及び図7に示すように、ステップS10では、切替弁34eを開弁状態とする。詳しくは、切替弁34eが開弁状態でなければ、切替弁34eの電磁ソレノイドに外部から駆動信号の供給を停止し非通電の状態(OFF)として、切替弁34eを開弁状態とする。また、燃料蒸発ガス処理部30の異常検出制御の開始時に切替弁34eが開弁状態であれば、その状態を維持する。切替弁34eを開弁状態とすることで、燃料蒸発ガス処理部30内に大気を導入して、燃料蒸発ガス処理部30内の圧力を大気圧相当とする。そして、ステップS12に進む。
【0037】
ステップS12では、基準圧力Pbを検出する。詳しくは、圧力センサ34hにてキャニスタ33の内圧であるキャニスタ内圧を検出し、当該キャニスタ内圧を基準圧力Pbに設定する。なお、ステップS12にて切替弁34eが開弁状態とされ、キャニスタ内圧が大気圧相当となっていることから、基準圧力Pbは、大気圧相当となる。そして、ステップS14に進む。
【0038】
ステップS14では、モニタ実行タイマt=0とする。そして、ステップS16に進む。
ステップS16では、パージ処理制御を開始する。詳しくは、パージソレノイドバルブ36の電磁ソレノイドに外部から駆動信号を供給し、通電の状態(ON)として、パージソレノイドバルブ36を開弁状態として、燃料タンク21、パージ配管31、ベーパ配管32及びキャニスタ33をエンジン10の吸気通路11と連通させ、キャニスタ33内や燃料タンク21内の燃料蒸発ガスを、吸気通路11内の負圧によって吸気通路11に排出する(図5図6及び図7の(a))。そして、ステップS18に進む。
【0039】
ステップS18では、切替弁34eの電磁ソレノイドに外部から駆動信号を供給し通電の状態(ON)として、切替弁34eを閉弁状態とする(図5図6及び図7の(a))。そして、ステップS20に進む。
ステップS20では、負圧ポンプ34cを作動させる(図5図6及び図7の(a))。そして、ステップS22に進む。
【0040】
ステップS22では、モニタ実行タイマtのカウントを開始する。そして、ステップS24に進む。
ステップS24では、キャニスタ内圧(作動後圧力)Pcを検出する。詳しくは、圧力センサ34hにてキャニスタ33の内圧であるキャニスタ内圧Pcを検出する。そして、ステップS26に進む。
【0041】
ステップS26では、圧力偏差ΔPcを算出する。詳しくは、基準圧力PbよりステップS24で検出したキャニスタ内圧Pcを減算して圧力偏差ΔPcを算出する。そして、ステップS28に進む。
ステップS28では、圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上であれば、ステップS30に進む(図5(b))。また、判別結果が否(No)で圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1未満であれば、ステップS32に進む。
【0042】
ステップS30では、燃料蒸発ガス処理部30に漏れや閉塞等の異常なしと判定する。詳しくは、キャニスタ33内の圧力は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧によって、圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上となるような負圧となっている。したがって、キャニスタ33と連通する燃料蒸発ガス処理部30内の圧力は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧によって、圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上となるような負圧とっている。よって、燃料蒸発ガス処理部30内に圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上となるような負圧の印加が可能であるので、燃料蒸発ガス処理部30に漏れや閉塞なしと判定し、正常判定フラグをONにする。そして、パージ処理を終了し、負圧ポンプ34cを停止し、切替弁34eの電磁ソレノイドに外部から駆動信号の供給を停止し非通電の状態(OFF)として、切替弁34eを開弁状態とする(図5(b))。そして、本ルーチンをリターンする。
【0043】
また、ステップS32では、モニタ実行タイマtが所定時間t1以上か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でモニタ実行タイマtが所定時間t1以上でモニタ実行タイマtが所定時間t1を経過していれば、ステップS34に進む。また、判別結果が否(No)でモニタ実行タイマtが所定時間t1未満で、モニタ実行タイマtが所定時間t1を経過していなければ、ステップS24へ戻る。
【0044】
ステップS34では、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2未満か、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2未満であれば、ステップS36に進む(図6(b))。また、判別結果が否(No)で圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上であれば、ステップS38に進む(図7(b))。
ステップS36では、燃料蒸発ガス処理部30に漏れありと判定する。詳しくは、モニタ実行タイマtのカウント開始から所定時間t1を経過しても、キャニスタ33内の圧力は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧や負圧ポンプ34cの作動によって、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上となるような負圧にはなっておらず、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2未満となるような負圧となっている。したがって、キャニスタ33と連通する燃料蒸発ガス処理部30内の圧力は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧や負圧ポンプ34cの作動によって、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上となるような負圧にはなっておらず、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP未満となるような負圧となっている。よって、燃料蒸発ガス処理部30内に圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上となるような負圧の印加が不可能であるので、燃料蒸発ガス処理部30に漏れありと判定し、故障判定フラグ(漏れ)をONにする。そして、パージ処理を終了し、負圧ポンプ34cを停止し、切替弁34eの電磁ソレノイドに外部から駆動信号の供給を停止し非通電の状態(OFF)として、切替弁34eを開弁状態とする(図6(b))。そして、本ルーチンをリターンする。
【0045】
また、ステップS38では、燃料蒸発ガス処理部30に閉塞ありと判定する。詳しくは、モニタ実行タイマtのカウント開始から所定時間t1を経過しても、キャニスタ33内の圧力は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧や負圧ポンプ34cの作動によって、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上で第1閾値ΔP1未満となるような負圧となっている。したがって、キャニスタ33と連通する燃料蒸発ガス処理部30内の圧力は、エンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧や負圧ポンプ34cの作動によって、圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上となるような負圧にはなっておらず、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上で第1閾値ΔP1未満となるような負圧となっている。よって、燃料蒸発ガス処理部30内に圧力偏差ΔPcが第1閾値ΔP1以上となるような負圧の印加が不可能であるので、燃料蒸発ガス処理部30に閉塞ありと判定し、故障判定フラグ(閉塞)をONにする。そして、パージ処理を終了し、負圧ポンプ34cを停止し、切替弁34eの電磁ソレノイドに外部から駆動信号の供給を停止し非通電の状態(OFF)として、切替弁34eを開弁状態とする(図7(b))。そして、本ルーチンをリターンする。
【0046】
このように、本発明に係る燃料蒸発ガス排出抑止装置では、図4に示すように、切替弁34eを開弁状態として、基準圧力Pbを検出する。そして、モニタ実行タイマt=0として、パージ処理を開始し、切替弁34eを閉弁状態とする。その後、負圧ポンプ34cを作動させてから、モニタ実行タイマtのカウントを開始する。そして、キャニスタ内圧Pcを検出して、基準圧力Pbよりキャニスタ内圧Pcを減算して圧力偏差ΔPcを算出する。その後、圧力偏差ΔPcがエンジン10の作動時の吸気通路11に発生する負圧によって、燃料蒸発ガス処理部30内に発生する負圧に基づいて決定される第1閾値ΔP1以上であれば、燃料蒸発ガス処理部30に漏れや閉塞等の異常なしと判定する。また、モニタ実行タイマtが所定時間t1以上で、モニタ実行タイマtが所定時間t1を経過していれば、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2未満か、否かを判別する。そして、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2を負圧ポンプ34cの作動によって、燃料蒸発ガス処理部30内に発生する負圧に基づいて決定される第2閾値ΔP2未満か、否かを判別する。そして、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2未満であれば、燃料蒸発ガス処理部30に漏れありと判定する。また、圧力偏差ΔPcが第2閾値ΔP2以上であれば、燃料蒸発ガス処理部30に閉塞ありと判定する。
【0047】
したがって、第1閾値ΔP1をキャニスタ33の内圧がエンジン10の作動時の吸気通路11の負圧により達成することのできる圧力偏差ΔPとなるような数値に設定され、第2閾値ΔP2をキャニスタ33の内圧が負圧ポンプ34cによる負圧のみにより達成することのできる圧力偏差ΔPとなるような数値に設定されているので、圧力偏差ΔPが第2閾値ΔP2に達しない場合には、燃料蒸発ガス処理部30内の圧力が吸気通路11の負圧及び負圧ポンプ34cの負圧にて発生することのできる負圧となっておらず、燃料蒸発ガス処理部30のどこかで大気を吸入している。即ち燃料蒸発ガス処理部30にて漏れが発生していると判定することができる。また、圧力偏差ΔPが第1閾値ΔP1未満であって第2閾値ΔP2以上である場合には、燃料蒸発ガス処理部30内の圧力が負圧ポンプ34cにて発生することのできる負圧となっており、吸気通路11の負圧の影響を受けておらず、燃料蒸発ガス処理部30の圧力センサ34hから吸気通路11の間で閉塞していると判定することができる。
【0048】
よって、第1閾値ΔP1と第2閾値ΔP2の二つの閾値を用いることで、燃料蒸発ガス処理部30の閉塞と漏れを確実に検出することができる。
また、燃料蒸発ガス処理部30の異常判定におけるパージ処理時に負圧ポンプ34cを作動させているので、空気が負圧ポンプ34cの構成部品の隙間を通って、大気側からキャニスタ33側に流入することを防止することで、早期に燃料蒸発ガス処理部30内を負圧とすることができるので短期間に燃料蒸発ガス処理部30の異常を検出することができる。
【0049】
また、基準圧力Pbの設定前に、切換弁34eを開弁状態としてキャニスタ33を大気開放しているので、キャニスタ33を大気開放することで基準圧力Pbを大気圧相当とすることができるので、正確に圧力偏差ΔPを算出することができる。
よって、圧力偏差ΔPを正確に算出することができるので、燃料蒸発ガス処理部30の漏れや閉塞を正確に判別することができる。
【0050】
以上で発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の形態は上記実施形態に限定されるものではない
【0051】
記実施例では、車両をハイブリッド車両としているが、これに限定されるものではなく、エバポレータリークチェックモデュール34を備える燃料蒸発ガス排出抑止装置であれば、燃料蒸発ガス処理部30の異常判定を行うことができるので、エンジンのみで走行する車両に適用しても問題ないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
10 エンジン(内燃機関)
21 燃料タンク
31 パージ配管(連通路)
32 ベーパ配管(連通路)
33 キャニスタ
33a 大気孔(連通孔)
34 エバポレータリークチェックモデュール
34c 負圧ポンプ(負圧発生手段)
34e 切替弁
34h 圧力センサ(圧力検出手段)
36 パージソレノイドバルブ(連通路開閉手段)
40 電子コントロールユニット(制御手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7