特許第6015945号(P6015945)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6015945有機珪素化合物、その製造方法、及びゴム組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015945
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】有機珪素化合物、その製造方法、及びゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 21/00 20060101AFI20161013BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20161013BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20161013BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   C08L21/00
   C08K3/00
   C08K5/54
   C07F7/18 CCSP
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-65286(P2013-65286)
(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公開番号】特開2014-189606(P2014-189606A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108993
【氏名又は名称】株式会社大阪ソーダ
(72)【発明者】
【氏名】市野 智之
(72)【発明者】
【氏名】中村 正吉
【審査官】 上前 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−500129(JP,A)
【文献】 特開昭48−075530(JP,A)
【文献】 特開平09−111044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/00
C08K 3/00−13/08
C07F 7/00−7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物
【請求項2】
テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有する有機珪素化合物が、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【化1】
(式[1]中、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、R、Rの少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかである。)
【化2】
(式[2]中、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、Rはそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR−、−CR−のいずれかであり、R、R、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素である。)
【請求項3】
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物を縮合成分として含む縮合物は、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物の縮合物、又はテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である請求項2に記載のゴム組成物
【請求項4】
更に他の有機珪素化合物を含む、請求項1〜3いずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする請求項4に記載のゴム組成物
【請求項6】
無機充填材がBET比表面積20〜300m/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のゴム組成物。
【請求項7】
使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のゴム組成物。
【請求項8】
ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)及び/又はポリイソプレンゴム(IR)を10〜90重量%含有することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のゴム組成物。
【請求項9】
請求項1〜8いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
【請求項11】
請求項10に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を持つ有機珪素化合物、その製造方法、及びゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから低燃費性、制動性に優れた、いわゆる低燃費タイヤが普及しつつある。一般的に低燃費タイヤはシリカ配合ゴムとし発熱性を低減することで低燃費化を図っており、低燃費タイヤを使用する事により自動車走行時の燃料油の使用量を低減する事が可能となる。また省資源化の観点から低燃費性を維持した上でタイヤの耐摩耗性を向上させ、タイヤに使用するゴム量を低減する事が望まれている。一方、化石燃料の枯渇と天然資源の活用を背景として、低燃費タイヤに天然ゴム(NR)を使用する試みもなされている。耐摩耗性が重要視されるトラック・バス用タイヤにはNRが使用されているが、NRはシリカとの親和性が低く分散性が悪化することからNR配合においてはシリカを用いられることが少なく、従来から低燃費タイヤ用途で主に使用されているシランカップリング剤を用いても分散性は十分には改善されず、低燃費性と耐摩耗性を両立させることが難しいとされている。
【0003】
上記の問題を解決すべく、様々な手法が提案されている。特許文献1では改質された天然ゴムの低燃費タイヤへの使用が提案されているが、改質によるコスト増や配合の自由度の面から問題がある。特許文献2ではテルペン樹脂の使用が提案されているが、本技術はシリカの分散性を根本的に向上させるものではない。特許文献3ではメルカプトシランの保護化が提案されているが、実用的には経済性や耐磨耗性などの観点から問題が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−182905
【特許文献2】特開2006−249324
【特許文献3】特表2008−110997
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の点に鑑み、新規な構造を有する有機珪素化合物、その製造方法、及びゴム組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を持つ有機珪素化合物により、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
本発明は、テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物、特にテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合がシリル基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物である有機珪素化合物、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
【0008】
また、本発明は以下のように記載することができる。
項1. テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物。
項2. テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることを特徴とする項1に記載の有機珪素化合物。
【化1】
(式[1]中、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、R、Rの少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかである。)
【化2】
(式[2]中、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、Rはそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR−、−CR−のいずれかであり、R、R、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素である。)
項3. テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物を縮合成分として含む縮合物は、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物の縮合物、又はテルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物と二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとの縮合物である項2に記載の有機珪素化合物。
項4. 項1〜3に記載の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物に他の有機珪素化合物を含んでなる有機珪素化合物の混合物。
項5. 項4に記載の他の有機珪素化合物が、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物の1種以上を含んでなることを特徴とする有機珪素化合物の混合物。
項6. ヒドロシリル化反応により製造されることを特徴とする項1又は2に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項7. 白金系触媒を用いて、ヒドロシリル化反応により製造されることを特徴とする項6に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項8. 更に、炭素数が1〜24であるアミン化合物を用いることを特徴とする項7に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項9. ヒドロシリル化反応に用いるシランがトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシランであって、ヒドロシリル化反応後にOH基を持つ化合物と反応させることを特徴とする項6〜8いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項10. 更に、受酸剤として塩基性物質を用いることを特徴とする項9に記載の有機珪素化合物の製造方法。
項11. 更に、溶媒を用いることを特徴とする項6〜10いずれかに記載の有機珪素化合物の製造方法。
項12. ゴム100重量部に対し無機充填材を10〜150重量部を含むゴム組成物であって、無機充填材100重量部に対し、項1〜5いずれかに記載の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物の混合物を1〜30重量部を配合することを特徴とするゴム組成物。
項13. 無機充填材がBET比表面積20〜300m/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項12に記載のゴム組成物。
項14. 使用するゴムが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)から選択される1種である、又は2種以上であることを特徴とする項12又は13に記載のゴム組成物。
項15. ゴム100重量%のうち、天然ゴム(NR)及び/又はポリイソプレンゴム(IR)を10〜90重量%含有することを特徴とする項12〜14いずれかに記載のゴム組成物。
項16. 項12〜15いずれかに記載のゴム組成物と架橋剤を含んでなることを特徴とする架橋用ゴム組成物。
項17. 項16に記載の架橋用ゴム組成物を架橋してなる架橋物。
項18. 項17に記載の架橋物が、タイヤ、ベルト、防振ゴムであることを特徴とする物品。
【発明の効果】
【0009】
本発明による有機珪素化合物は無機充填材と反応し、表面を疎水化した上でNRやIRと良好な親和性を示し、無機充填材の分散性を向上せしめることができ、本発明による有機珪素化合物を用いたゴム組成物は、加工性、低転がり抵抗性や耐摩耗性を向上させることが期待できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物であり、及び該有機珪素化合物を含むゴム組成物である。
【0011】
テルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物について説明する。該有機珪素化合物は、ヘミテルペン系化合物、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、またはそれらの誘導体といったテルペン化合物を由来とする残基、及び無機充填材と結合する基を含有する化合物であり、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物、又はそれらを縮合成分として含む縮合物であることが好ましい。
【化3】
(式[1]中、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、R、Rの少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかである。)
【化4】
(式[2]中、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、R、Rはそれぞれ独立して、置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、Wは−C(=O)−、−O−、−NR−、−CR−のいずれかであり、R、R、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基又は水素である。)
【0012】
一般式[1]においては、R、R、Rはそれぞれ独立して、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
またR、R、Rのうち少なくとも一つは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、ヒドロキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは2〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは4〜18、bは2〜6、cは2〜18である炭素数8以上のポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、炭素数2〜12のアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数4〜12のジアルキルアミノアルコキシ基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[1]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0013】
一般式[2]においては、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜18のアミノアルコキシ基、炭素数2〜18のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜18のジアルキルアミノアルコキシ基、ヒドロキシ基、炭素数2〜18のカルボキシル基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基、ハロゲン原子のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜12であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが好ましく、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基を有するシロキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜2のアルコキシ基を有するシロキシ基、炭素数1〜12のアミノアルコキシ基、炭素数2〜12のアルキルアミノアルコキシ基、炭素数3〜12のジアルキルアミノアルコキシ基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは4〜18、bは2〜4、cは1〜8であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基のいずれかであることが特に好ましい。
一般式[2]において、R、Rは置換又は無置換の炭素数1〜8のアルキレン基であり、置換又は無置換の炭素数1〜4のアルキレン基であることが好ましい。
一般式[2]において、R、R、Rは置換もしくは無置換の炭素数1〜18のアルキル基、又は水素のいずれかであり、置換もしくは無置換の炭素数1〜8のアルキル基、水素のいずれかであることが好ましい。
一般式[2]において、置換しうる原子及び置換基としては、メチル、エチル、イソプロピルなどのアルキル基、フェニルなどのアリール基、ベンジルなどのアラルキル基、ビニルなどの不飽和炭化水素基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基などが挙げられる。
【0014】
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物とは、具体的には以下の化合物群を例示することができる(Zは一般式[1]又は[2]で表される。)。
【化5】
【0015】
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物は、特に以下の化合物群のものが好ましい(式中、Zは一般式[1]又は2)で表される。)。
【化6】
【0016】
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]〜[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物、特に上記に具体的に記載された有機珪素化合物の製造方法は特に限定されることがないが、具体的には炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物をヒドロシリル化することにより製造する方法を例示することができる。
【0017】
炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物を具体的に例示すると、イソプレン、プレノール、3−メチル−3−ブテン−2−オール、チグリン酸等のヘミテルペン系化合物、リモネン、ミルセン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、テルピネン、テルピノレン、カルベオール、α−ピネン、β−ピネン、1,8−p−メンタジエン−4−オール、2,8−p−メンタジエン−1−オール等のモノテルペン系化合物、ファルネソール、ノートカトン等のセスキテルペン系化合物、イソペンテニル二リン酸等のテルペン化合物の誘導体が挙げられる。中でも、炭素―炭素二重結合を分子内に2つ以上有するテルペン化合物が好ましく、イソプレン、リモネン、ミルセン、ゲラニオール、リナロール、テルピネン、テルピノレン、カルベオール、ファルネソール、ノートカトンなどがより好ましく、イソプレン、リモネン、ミルセン、リナロール、テルピネン、テルピノレンが特に好ましい。
【0018】
ヒドロシリル化に用いるシラン化合物としては特に限定されないが、トリクロロシラン、トリブロモシラン、メチルジクロロシラン、メチルジブロモシラン、エチルジクロロシランといったハロゲン化シラン、トリエトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリプロポキシシランといったアルコキシシラン、トリアシロキシシランといったアシロキシシランが例として挙げられ、トリクロロシラン、トリブロモシラン、メチルジクロロシラン、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシランなどが好ましく、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシランが特に好ましい。
【0019】
ヒドロシリル化に用いるシラン化合物の使用量は、炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物に対して、0.6〜2.0モル当量であることが好ましく、0.7〜1.5モル当量であることがより好ましく、0.8〜1.3モル当量であることが特に好ましい。
【0020】
ヒドロシリル化に用いられるシラン化合物がトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシランである場合にあっては、より取り扱いを容易とするため、OH基を持つ化合物と反応させてよく、ヒドロキシル基やカルボキシル基などが例として挙げられる。このような化合物の例としては特に限定はされないが、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデカノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エタノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、オクチル酸、ステアリン酸などが例示される。
【0021】
OH基を持つ化合物と反応した際に副生する塩化水素を除去するため、受酸剤として塩基性物質を用いてよい。このような化合物としては特に限定はされないが、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどが例示される。
【0022】
ヒドロシリル化反応には触媒を用いても良い。触媒の種類に特に制限はないが、白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などが例示でき、特に白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては白金、塩化白金酸などが挙げられる。
【0023】
ヒドロシリル化に用いる触媒の使用量は、炭素−炭素二重結合を分子内に持つテルペン系化合物に対して、0.01マイクロモル〜100ミリモル当量であることが好ましく、0.1マイクロモル〜10ミリモル当量であることがより好ましく、1マイクロモル〜1ミリモル当量であることが特に好ましい。
【0024】
ヒドロシリル化に反応を効率的に行うためには、炭素数1〜24であるアミン類を用いてもよい。アミン類は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、エチレンジアミン、ピリジンなどを例示することができ、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンであることが好ましい。
【0025】
ヒドロシリル化反応条件には制限はないが、常圧〜100MPaの圧力下で行ってよく、常温〜300℃で行ってよい。また必要に応じて溶媒を使用しても良い。
【0026】
ヒドロシリル化に用いる溶媒としては特に限定はされないが、非プロトン性溶媒が好ましく、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトンなどが例示され、これらが特に好ましい。
【0027】
テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物としては、テルペン系化合物の炭素−炭素二重結合が一般式[1]又は[2]で示されるシリル基で付加された構造の化合物を加水分解後に縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良く、他の成分と縮合反応させて得られた縮合物(オリゴマー)であっても良い。他の成分としては二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオール及び/又は二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールが例示され、炭素数2〜60のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜60の(ポリ)アルキルエーテルポリオールが好ましく、炭素数2〜30のアルキルポリオール及び/又は炭素数2〜30の(ポリ)アルキルエーテルポリオールがより好ましい。
【0028】
本発明の二価以上の炭素数1〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよいアルキルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが例示される。二価以上の炭素数2〜60の分子内に窒素原子を含んでいてもよい(ポリ)アルキルエーテルポリオールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが例示される。
【0029】
本発明のテルペン残基、及び無機充填材と結合する基を含有することを特徴とする有機珪素化合物は他の有機珪素化合物と混合して用いても良い。他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。
【0030】
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[3]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R10−O)3−Y(R10)−Si−R11−S−R11−Si−(R10)(O−R10)3−Y [3]
(式[3]中、R10は独立して炭素数1〜18のアルキル基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R11は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、は1〜9、は0、1、又は2の整数である。)
【0031】
他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−Z、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。
【0032】
次に、本発明の有機珪素化合物及び/又は本発明の有機珪素化合物の縮合物を用いたゴム組成物について説明する。
【0033】
本発明のゴム組成物としては、ゴム、無機充填材、本発明の有機珪素化合物及び/又は有機珪素化合物の縮合物を含有する。
【0034】
本発明のゴム組成物に用いるゴムとしては特に限定はされないが、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、各種アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、各種エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、ジエン系ゴムであることが好ましい。ゴムは単独、又は任意にブレンドして使用することができる。特にNR、IRが好ましく、ブレンドする場合においてはNR及び/又はIRの含有量が10〜90重量%であることが特に好ましい。
【0035】
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材としては、水酸化アルミニウム、BET比表面積が10〜400m/gである湿式シリカ、乾式シリカ、マイカ、クレー、又はそれらの混合物であり、水酸化アルミニウム、BET比表面積が20〜300m/gである湿式シリカ、BET比表面積が50〜300m/gである乾式シリカが好ましく、BET比表面積20〜300m/gの湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムであることがより好ましく、BET比表面積が30〜250m/gである湿式シリカ及び/又は水酸化アルミニウムがより好ましい。
【0036】
本発明のゴム組成物に用いる無機充填材は、ゴム100重量部に対して、無機充填材は10〜150重量部を含有することが好ましく、20〜150重量部を含有することがより好ましく、20〜120重量部を含有することが特に好ましい。
【0037】
本発明のゴム組成物においては、無機充填材100重量部に対して、本発明の有機珪素化合物を1〜30重量部を含有することが好ましく、1〜25重量部を含有することがより好ましく、1〜20重量部を含有することが特に好ましい。
【0038】
更に本発明のゴム組成物では他の有機珪素化合物を併用してもよく、他の有機珪素化合物としてはビニル系有機珪素化合物、アミノ系有機珪素化合物、アルキル系有機珪素化合物、エポキシ系有機珪素化合物、メタクリル系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、又はそれらの縮合物が例示され、特に好ましくはアミノ系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物であることが好ましい。これらは無機充填材100重量部に対して0.1〜20重量部を配合することが好ましく、アミノ系有機珪素化合物、(保護化)メルカプト系有機珪素化合物、(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物を無機充填材100重量部に対して0.5〜15重量部を配合することがより好ましい。
【0039】
本発明のビニル系有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン等が例示される。
【0040】
本発明のアミノ系有機珪素化合物としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0041】
本発明のアルキル系有機珪素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトシキシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が例示される。
【0042】
本発明のエポキシ系有機珪素化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0043】
本発明のメタクリル系有機珪素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0044】
本発明の(保護化)メルカプト系有機珪素化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−プロピオニルチオプロピルトリメトキシシラン等が例示される。
【0045】
本発明の(ポリ)スルフィド系有機珪素化合物としては、一般式[4]で表されるポリスルフィド系シランカップリング剤が例示され、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
(R10−O)3−Y(R10)−Si−R11−S−R11−Si−(R10)(O−R10)3−Y [4]
(式[4]中、R10は独立して炭素数1〜18のアルキル基、C2a+1O−((CH2O)で表されaは1〜18、bは1〜6、cは1〜18であるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル基から選択され、R11は炭素数1〜9のアルキレン基又は二価のフェニル基、は1〜9、は0、1、又は2の整数である。)
【0046】
併用される他の有機珪素化合物を具体的に例示すると、ダイソー社製のカブラス2、カブラス4、JNC社製のS330、デグサ社製のSi−75、Si−69、Si−363、モメンティブ社製のA−1289、NXT、NXT−LowV、A−189、信越化学社製のKBE−846などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は混合して使用することもできる。また本発明の有機珪素化合物、及び他の有機珪素化合物を併用する場合には、それらの合計重量が無機充填材100重量部に対し30重量部を超えないことが好ましい。
【0047】
本発明のゴム組成物の製造には、80〜250℃で混練することが好ましく、80〜200℃で混練することがより好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
【0048】
本発明においては、更に、架橋剤を含むことが好ましく、架橋剤は硫黄、セレン、有機過酸化物、モルホリンジスルフィド、チウラム系化合物、オキシム系化合物から選択される少なくとも一種であることが特に好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0049】
上記架橋剤の含有量は、ゴム100重量部に対して、0.1〜20重量部含有することが好ましく、0.2〜15重量部含有することがより好ましく、0.5〜10重量部含有することが特に好ましい。
【0050】
本発明のゴム組成物に架橋剤を添加後の組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、100℃以下で混練することが好ましい。混練時間は特に制限はないが、例えば1分〜1時間である。
【0051】
本発明のゴム組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記の他に、通常ゴム工業で用いられる配合剤を使用できる。例えば、グアニジン系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、亜鉛華などの架橋促進(助)剤、ステアリン酸などの加工助剤、チタネート系などのカップリング剤、フェニル-α-ナフチルアミンなどの老化防止剤、カーボンブラック、炭酸カルシウムなどの充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘着付与剤、スコーチ防止剤等を使用できる。
【0052】
本発明のゴム組成物(架橋用ゴム組成物)の混練は、通常ゴム工業にて使用されるロール、加圧ニーダー、インターミキサー、バンバリーミキサーなどの各種混合機械を用いることが可能である。
【0053】
このように調製された架橋用ゴム組成物は押出成形機、カレンダーロール、又はプレスにより意図する形状に成形し、好ましくは120〜230℃で、1分〜3時間加熱して架橋物を得る。また、架橋の際には金型を用いても良い。
【0054】
本発明のゴム組成物を用い、架橋してなる架橋物はタイヤ(特にトレッド部分)、ベルト、防振ゴムなどの動的に使用されるゴム部品で好適に使用することができる。
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0056】
1−トリクロロシリル−3−メチル−3−ブテンの製造
−20℃に設定した還流管、温度計、滴下漏斗、磁気攪拌装置を備えた100ml三口フラスコに0.1gのイソプロパノールに溶解させた1.4mg(3マイクロモル)の塩化白金酸12水和物(和光純薬工業株式会社製)と0.6mg(3マイクロモル)のトリブチルアミン(和光純薬工業株式会社製)と21.8g(0.32モル)のイソプレン(東京化成工業株式会社製)を加えオイルバスに備えた。室温にて36.1g(0.27モル)のトリクロロシラン(東京化成工業株式会社製)を40分かけて滴下し、滴下終了後オイルバスの温度を60℃に上昇させ、合計2.5時間の反応を行った。この溶液を減圧蒸留し、真空度50mmHgで61℃の留分を分取したところ、収量は21.8g(収率40.2%、トリクロロシラン基準)で無色透明の液体が得られた。
【0057】
1−トリエトキシシリル−3−メチル−3−ブテン(有機珪素化合物1)の製造
温度計、滴下漏斗、機械式攪拌装置を備えた300ml三口フラスコに100gのヘキサン、21.3g(0.21モル)のトリエチルアミン(和光純薬工業株式会社製)、9.7g(0.21モル)エタノール(和光純薬工業株式会社製)を加えた。三口フラスコを−5℃の氷浴にて冷却しながら、そこへ窒素雰囲気下、14.3g(0.07モル)の1−トリクロロシリル−3−メチル−3−ブテンを、フラスコの内部温度が10℃を超えないように30分間かけて滴下したところ、トリエチルアミン塩酸塩が生成し、全体が白色スラリー状となった。このスラリーを1時間攪拌した後、減圧濾過を行った。そのろ液を減圧度30mmHg、55℃にて減圧濃縮を行ったところ、収量は15.7g(収率96.3%、1−トリクロロシリル−3−メチル−3−ブテン基準)で微濁無色透明の液体が得られた。得られた化合物のH−NMRデータを以下に示す。
H−NMR(CDCl3、270MHz、δ;ppm)=4.67−4.70(1H、m)、3.83(6H、q、J=7.0Hz)、2.06−2.13(2H、m)、1.73(3H、s)、1.24(9H、t、J=7.0Hz)、0.75−0.82(2H、m)。
【0058】
ゴム組成物の製造
250ccバンバリーミキサータイプのアタッチメントBR−250を備えたラボプラストミル10C100(東洋精機株式会社製)にて混練試験を行った。装置温度は100℃のオイル循環加熱とし、ミキサーのローター回転速度は60rpm一定とした。配合はゴム125gベースにて試験を行った。手順はゴム成分を30秒間素練りした後、表1の配合(I)に示される薬剤を添加し、30秒間混練した。次いで表1の配合(II)に示される薬剤を添加して3分間混練後、混練物を排出した。排出した混練物は室温の6インチロールにて冷却後、表1の配合(III)に示されるに示される架橋剤成分を添加し6分間混練して、約2mmの厚みのシート(未架橋シート)を得た。翌日、残りのコンパウンドを150℃で10分間熱プレス架橋し、試験用サンプル(架橋シート)を得た。耐摩耗試験用テストピースは150℃で15分熱プレス架橋し、試験用サンプルを得た。なお試験に供したゴムは事前に60℃の12インチオープンロールで5分間素練りし、均質化したものを使用した。
【0059】
加工性試験
未架橋シートを上島製作所製加硫試験機FDRにセットし、150℃にて30分間の粘度挙動を測定した。架橋反応におけるトルクの上昇が全体の10%に達した時間(T10)、全体の90%に達した時間(T90)、その差(T90−T10)として記載する。
【0060】
加工性試験2
未架橋シートを東洋精機製作所製ムーニー粘度計AM−3にセットし、JIS K6300に従い125℃にてL型ロータを用い、ML1+4とスコーチ時間(t5)を測定した。
【0061】
引張試験
架橋シートから3号形ダンベル試験片を打ち抜き、ミネベア社製テクノグラフTG−2kNを用いて、JIS K6301に準拠して引張試験を行った。
【0062】
動的粘弾性試験
架橋シートから幅4×長さ25×厚み2mmの試験片を打ち抜き、株式会社ユービーエム製Rheogel−4000にて、チャック間距離20mm、初期歪10%、動振幅2%、10Hzの加振条件下で測定した。なお測定温度範囲は60℃一定とした。
【0063】
磨耗性試験
JIS K6264に準拠した試験片(架橋シート)を作成し、アクロン磨耗試験機にて15°の傾斜角にて測定を行った。また負荷荷重は44.1N、試験片の回転速度は1分間に250回転とした。15°の測定においては、磨耗輪の回転数で500回転運転し、その時の重量減少とコンパウンドの比重から磨耗容量を測定し、それを2倍とする事で1000回あたりの磨耗量とした。
【0064】
以下に実施例及び比較例で用いた配合剤を示す。
*1 KERILLA FACTORY製 SMR−CV60
*2 東ソーシリカ株式会社製 Nipsil AQ(BET比表面積215m/g)
*3 東海カーボン製 シースト6
*4 日油株式会社製 ステアリン酸さくら
*5 大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C
*6 ダイソー株式会社製 CABRUS−2
*7 ダイソー株式会社製 CABRUS−4
*8 堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
*9 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーD
*10 大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーCZ
*11 細井化学工業株式会社製 コロイド硫黄
【0065】
【表1】
【0066】
上記試験方法より得られた実施例及び比較例の試験結果を表2〜6に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
表2〜6に示されているように、カーボンブラックを配合した比較例1と実施例1、2と比較すると、実施例1、2は動的粘弾性特性、耐摩耗性の点で優れていることが分かった。
また、シリカ、シランカップリング剤を配合した比較例2と実施例1,2を比較すると、実施例1、2はT10が長く、かつT90−T10が短い。これはスコーチ性に優れ、かつシリカ配合の欠点の一つである加硫の遅さを改善することを示唆している。またML1+4も小さく加工性に優れる。更に、一般的に300%モジュラスと100%モジュラスの比が大きい方が有機珪素化合物とシリカの反応が効率よく進行している目安とされるが、この値も大きく優れている。動的粘弾性特性も実施例2では比較例2よりも小さく、低燃費性に優れる事が示唆され、実施例1であっても遜色ない結果であった。また耐摩耗性についても優れ、タイヤの長寿命化を図れることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明にある有機珪素化合物の混合物を使用する事により、動的特性、耐磨耗性、加工性に優れたゴム組成物および架橋物を提供することが出来る。従って、特にタイヤのトレッドや防振ゴム、ベルトなどの動的に使用されるゴム部品の製造には好適である。