特許第6015980号(P6015980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6015980
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】棒材供給機及び棒材加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23B 13/10 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   B23B13/10
【請求項の数】6
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-543111(P2014-543111)
(86)(22)【出願日】2012年10月26日
(86)【国際出願番号】JP2012077780
(87)【国際公開番号】WO2014064844
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】507351850
【氏名又は名称】育良精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 清
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆三
(72)【発明者】
【氏名】曽根 栄二
(72)【発明者】
【氏名】中里 幸司
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−276102(JP,A)
【文献】 特開平02−088105(JP,A)
【文献】 特開2003−245801(JP,A)
【文献】 特開2009−241217(JP,A)
【文献】 実開平04−076301(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 13/10
B23B 13/02
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に給送する棒材供給機であって、
棒材が載置される材料棚部と、
この材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って案内する主ガイドレール部と、
この主ガイドレール部の上方又は下方に平行に配置され、上記主ガイドレール部上の棒材を上記給送軸線に沿って棒材加工機に給送する送り矢部と、
上記主ガイドレール部及び上記送り矢部を一体的に昇降させる昇降機構部であって、上記主ガイドレール部上の棒材の中心軸線と上記給送軸線とを一致させる一次送り高さ位置と、上記送り矢部の中心軸線と上記給送軸線とを一致させる二次送り高さ位置との間で上記主ガイドレール部及び上記送り矢部を一体的に昇降させ、一次送りモードと二次送りモードとを切り替える切替手段を備えた昇降機構部と、
上記主ガイドレール部が上記一次送り高さ位置にあるときに、上記棒材加工機側へ移動して上記主ガイドレール部上の棒材を上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ移動させるスライダー部と、
上記主ガイドレール部が上記一次送り高さ位置にあるときに、上記スライダー部を上記棒材加工機側へ移動させて上記主ガイドレール部上の棒材を上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ送る一次送りモードを実行し、この一次送りモードが完了した後、上記送り矢部が上記二次送り高さ位置にあるときに、上記送り矢部を上記棒材加工機側へ移動させて上記一次送りモード完了後の棒材を上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ送る二次送りモードを実行する送り駆動部と、
この送り駆動部と上記昇降機構部の作動を制御する制御部と、を有し、
上記送り駆動部は、上記一次送りモードによる送り駆動を行う場合と上記二次送りモードによる送り駆動を行う場合の双方に併用される単一のモータを備え、このモータは、上記制御部により可変速可能に制御されるものであり、
上記昇降機構部の切替手段は、上記スライダー部を支持する一次送り用羽根部と、上記送り矢部を支持する二次送り用羽根部と、上記一次送り用羽根部及び上記二次送り用羽根部を昇降可能に保持する羽根保持部と、を備えており、
上記切替手段は、上記昇降機構部が上記二次送り用羽根部を上記一次送り高さ位置まで上昇させることにより上記一次送り用羽根部と上記羽根保持部とを連結状態にすると共に上記二次送り用羽根部と上記羽根保持部とを非連結状態にして上記一次送りモードに切り替えるものであり、且つ、上記昇降機構部が上記二次送り用羽根部を上記二次送り高さ位置まで下降させることにより上記一次送り用羽根部及び上記二次送り用羽根部のそれぞれと上記羽根保持部とを連結状態にして上記二次送りモードに切り替えるものであることを特徴とする棒材供給機。
【請求項2】
更に、上記昇降機構部を駆動する昇降駆動部と、上記主ガイドレール部に対する上記材料棚部の相対位置を調整する材料棚部位置調整手段と、を有し、上記制御部は、上記一次送りモードを開始する前に、加工すべき棒材の径寸法の入力に応じて、上記昇降駆動部及び上記材料棚部位置調整手段を制御し、上記主ガイドレール部及び上記送り矢部を上記一次送り高さ位置に位置決めして上記主ガイドレール部上の棒材の中心軸線と上記給送軸線とを一致させる請求項1記載の棒材供給機。
【請求項3】
更に、上記主ガイドレール部と上記棒材加工機との間に設けられて上記主ガイドレール部から給送された棒材を上記棒材加工機に案内する補助ガイドレール部と、上記主ガイドレール部に設けられて上記主ガイドレール部と共に一体的に昇降すると共に上記補助ガイドレール部に係合解除可能に連結する係合連結部と、上記補助ガイドレール部の高さ位置を固定するストッパー部と、を有し、上記係合連結部は、上記一次送りモードを最初に実行する前の状態で上記主ガイドレール部が上昇している状態では、上記補助ガイドレール部に係合連結して上記補助ガイドレール部を上昇させ、上記補助ガイドレール部が上記ストッパー部により固定された状態では、上記主ガイドレール部が下降すると上記補助ガイドレール部との係合連結を解除して上記主ガイドレール部と共に下降する請求項1又は2に記載の棒材供給機。
【請求項4】
更に、上記一次送りモードの実行中に上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ給送される棒材の先端部を検知する棒材先端部検知手段を有し、上記制御部は、上記棒材先端部検知手段が検知した情報に基づいて上記送り駆動部の作動を制御する請求項1乃至3の何れか1項に記載の棒材供給機。
【請求項5】
上記制御部は、上記主ガイドレール部上の棒材の一次送りモードを開始する前に、上記スライダー部を上記主ガイドレール部上の棒材の後端部まで移動させて予め位置決めするように上記送り駆動部を制御し、上記スライダー部が上記棒材の後端部まで移動するまでの送り速度は、上記一次送りモードを開始してから上記棒材の先端部が上記棒材先端部検知手段によって検知されるまでの送り速度よりも速い速度に設定されている請求項4記載の棒材供給機。
【請求項6】
上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の棒材供給機と、この棒材供給機から給送された棒材を加工する棒材加工機と、を備えた棒材加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒材供給機及び棒材加工システムに係り、特に、棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に給送する棒材供給機及び棒材加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に給送する棒材供給機として、例えば、特許文献1に記載されているように、棒材が載置された材料棚から棒材を一本ずつ取り出し、送り矢部によって棒材を給送軸線上で棒材加工機に給送するものが知られている。
このような従来の棒材供給機では、棒材が載置される材料棚と、この材料棚から取り出された棒材を給送軸線に沿って案内するためのガイドレールと、このガイドレールに対して上方又は下方に平行に配置され、且つ棒材を給送軸線に沿って棒材加工機に給送する送り矢部と、ガイドレール及び送り矢部が交互に給送軸線上に位置するように、ガイドレール及び送り矢部を上下方向に一体的に移動させる移動機構と、ガイドレール及び送り矢部の移動距離を調整する上下距離調整手段とを備えている。
このような従来の棒材供給機によれば、移動機構によってガイドレールおよび送り矢部を上下方向に一体的に移動させることにより、ガイドレールおよび送り矢部が交互に給送軸線上に位置する。棒材の寸法を変更すると、ガイドレール内に受け入れられた棒材の中心軸線の高さが変わるが、送り矢部とガイドレールとが一体的に移動可能であるため、上下距離調整手段による一回の調整作業で移動機構の上下方向の移動距離が変更され、棒材の中心軸線を給送軸線に一致させることが可能となっている。したがって、棒材の寸法を変更する際には、上下距離調整手段によって移動機構の移動距離だけを調整すればよく、棒材供給機の寸法変更作業が容易となり、かつ短時間で行えるようになっている。
【0003】
さらに、上述した従来の棒材加工機においては、材料棚から取り出された棒材を給送軸線に沿って棒材加工機に給送する際、まず、ガイドレール上の棒材の中心軸線と給送軸線とを一致させた状態でガイドレール上の棒材を給送軸線に沿って一次送り部材によって棒材加工機側へ一次送りを行った後、この一次送りされた棒材の中心軸線と送り矢部の中心軸線とを一致させた状態で送り矢によって棒材を棒材加工機に二次送りを行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−276102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の棒材供給機においては、一次送りを行う送り駆動と二次送りを行う送り駆動のそれぞれが、個別のサーボモータ等の駆動部によって駆動されているため、棒材を棒材加工機に効率よく給送するには、一次送りと二次送りの双方の送り駆動を個々に調整しなければならないという問題がある。したがって、これらの調整作業も煩雑となり、棒材加工作業開始までに時間を要することにもなるため、生産効率にも影響するという問題もある。
また、従来の棒材供給機では、内部の機構や構造に要する部品点数も多く、これらを収容するためのスペースも要するため、いかに部品点数を減らして簡易な構造にすることにより製造コストを抑制し、限られた設置スペースを考慮し、いかに棒材供給機全体を小型化させて棒材を棒材加工機に効率よく給送させるかが従来から要請された課題となっている。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来技術の要請された課題を解決するためになされたものであり、部品点数を減らして簡易な構造にすることにより製造コストを抑制する共に、棒材を棒材加工機に効率よく給送させることができる棒材供給機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に給送する棒材供給機であって、棒材が載置される材料棚部と、この材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って案内する主ガイドレール部と、この主ガイドレール部の上方又は下方に平行に配置され、上記主ガイドレール部上の棒材を上記給送軸線に沿って棒材加工機に給送する送り矢部と、上記主ガイドレール部及び上記送り矢部を一体的に昇降させる昇降機構部であって、上記主ガイドレール部上の棒材の中心軸線と上記給送軸線とを一致させる一次送り高さ位置と、上記送り矢部の中心軸線と上記給送軸線とを一致させる二次送り高さ位置との間で上記主ガイドレール部及び上記送り矢部を一体的に昇降させ、一次送りモードと二次送りモードとを切り替える切替手段を備えた昇降機構部と、
上記主ガイドレール部が上記一次送り高さ位置にあるときに、上記棒材加工機側へ移動して上記主ガイドレール部上の棒材を上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ移動させるスライダー部と、上記主ガイドレール部が上記一次送り高さ位置にあるときに、上記スライダー部を上記棒材加工機側へ移動させて上記主ガイドレール部上の棒材を上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ送る一次送りモードを実行し、この一次送りモードが完了した後、上記送り矢部が上記二次送り高さ位置にあるときに、上記送り矢部を上記棒材加工機側へ移動させて上記一次送りモード完了後の棒材を上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ送る二次送りモードを実行する送り駆動部と、この送り駆動部と上記昇降機構部の作動を制御する制御部と、を有し、上記送り駆動部は、上記一次送りモードによる送り駆動を行う場合と上記二次送りモードによる送り駆動を行う場合の双方に併用される単一のモータを備え、このモータは、上記制御部により可変速可能に制御されるものであり、上記昇降機構部の切替手段は、上記スライダー部を支持する一次送り用羽根部と、上記送り矢部を支持する二次送り用羽根部と、上記一次送り用羽根部及び上記二次送り用羽根部を昇降可能に保持する羽根保持部と、を備えており、上記切替手段は、上記昇降機構部が上記二次送り用羽根部を上記一次送り高さ位置まで上昇させることにより上記一次送り用羽根部と上記羽根保持部とを連結状態にすると共に上記二次送り用羽根部と上記羽根保持部とを非連結状態にして上記一次送りモードに切り替えるものであり、且つ、上記昇降機構部が上記二次送り用羽根部を上記二次送り高さ位置まで下降させることにより上記一次送り用羽根部及び上記二次送り用羽根部のそれぞれと上記羽根保持部とを連結状態にして上記二次送りモードに切り替えるものであることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、送り駆動部の一次送りモードによる送り駆動を行う場合と二次送りモードによる送り駆動を行う場合の双方において、共通の送り駆動部である単一のモータを併用し、このモータを制御部により可変速可能に制御することができるため、材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に効率よく自動的に給送することができる。また、送り駆動部の一次送りモードによる送り駆動と二次送りモードによる送り駆動のそれぞれについて個別のモータを用いた場合に比べて、部品点数を減らすことができ、簡易な構造にすることができる。さらに、棒材供給機全体を小型化することもできる。
【0008】
本発明において、好ましくは、更に、上記昇降機構部を駆動する昇降駆動部と、上記主ガイドレール部に対する上記材料棚部の相対位置を調整する材料棚部位置調整手段と、を有し、上記制御部は、上記一次送りモードを開始する前に、加工すべき棒材の径寸法の入力に応じて、上記昇降駆動部及び上記材料棚部位置調整手段を制御し、上記主ガイドレール部及び上記送り矢部を上記一次送り高さ位置に位置決めして上記主ガイドレール部上の棒材の中心軸線と上記給送軸線とを一致させる。
このように構成された本発明においては、制御部により、一次送りモードを開始する前に、加工すべき棒材の径寸法の入力に応じて、昇降駆動部及び材料棚部位置調整手段を制御し、主ガイドレール部及び送り矢部を一次送り高さ位置に位置決めして主ガイドレール部上の棒材の中心軸線と給送軸線とを一致させることができるため、材料棚部から主ガイドレール部に棒材を供給する動作と、棒材の中心軸線と給送軸線とが一致する棒材の位置決め動作とを効率よく行うことができる。したがって、加工すべき棒材の径寸法にかかわらず、材料棚部から主ガイドレール部への棒材の供給と給送軸線に対する棒材の位置決めを迅速且つ効率よく行うことができる。また、制御部が昇降駆動部の駆動を制御することにより、昇降機構部の切替手段による一次送りモードと二次送りモードとの切り替えを効率よく行うこともできるため、材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に効率よく自動的に給送することができる。さらに、材料棚部から主ガイドレール部に棒材が供給された際の棒材への衝撃を抑制し、この棒材の衝撃により発生する棒材供給機の騒音を抑制することもできる。
【0009】
本発明において、好ましくは、更に、上記主ガイドレール部と上記棒材加工機との間に設けられて上記主ガイドレール部から給送された棒材を上記棒材加工機に案内する補助ガイドレール部と、上記主ガイドレール部に設けられて上記主ガイドレール部と共に一体的に昇降すると共に上記補助ガイドレール部に係合解除可能に連結する係合連結部と、上記補助ガイドレール部の高さ位置を固定するストッパー部と、を有し、上記係合連結部は、上記一次送りモードを最初に実行する前の状態で上記主ガイドレール部が上昇している状態では、上記補助ガイドレール部に係合連結して上記補助ガイドレール部を上昇させ、上記補助ガイドレール部が上記ストッパー部により固定された状態では、上記主ガイドレール部が下降すると上記補助ガイドレール部との係合連結を解除して上記主ガイドレール部と共に下降する。
このように構成された本発明においては、一次送りモードを最初に実行する前の状態で主ガイドレール部が上昇しているときには、主ガイドレール部に設けられている係合連結部が主ガイドレール部と共に一体的に上昇して補助ガイドレール部に係合し、補助ガイドレール部を主ガイドレール部の一次送り高さ位置と一致する位置まで上昇させることができ、ストッパー部により補助ガイドレール部を主ガイドレール部の一次送り高さ位置と一致する位置に固定することができる。したがって、例えば、棒材供給機を棒材加工機に近接して設置することできない状況下で棒材供給機の主ガイドレール部と棒材加工機との相対間隔が生じていたとしても、主ガイドレール部から給送される棒材について、補助ガイドレール部を介して棒材加工機に確実に給送することができる。また、補助ガイドレール部がストッパー部により固定された状態では、主ガイドレール部が下降すると係合連結部が補助ガイドレール部との係合連結を解除して主ガイドレール部と共に下降するため、一次送りモードの開始以後の補助ガイドレール部の高さ位置を、主ガイドレール部上の棒材の中心軸線と給送軸線とが一致する主ガイドレール部の一次送り高さ位置に維持することができると共に、二次送りモードにおいても補助ガイドレール部上の棒材を送り矢部により二次送りすることができるため、以後の一次送りモードと二次送りモードをより確実に且つ効率よく実行することができる。したがって、材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に効率よく自動的に給送することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、更に、上記一次送りモードの実行中に上記所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ給送される棒材の先端部を検知する棒材先端部検知手段を有し、上記制御部は、上記棒材先端部検知手段が検知した情報に基づいて上記送り駆動部の作動を制御する。
このように構成された本発明においては、棒材先端部検知手段が、一次送りモードの実行中に所定の給送軸線に沿って棒材加工機側へ給送される棒材の先端部を検知することができるため、一次送りモードの実行中に棒材加工機側へ給送される棒材が棒材先端部検知手段を通過したか否かを確認することができ、この棒材先端部検知手段による検知情報に基づいて制御部が送り駆動部の作動を制御することができる。したがって、材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に効率よく自動的に給送することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記制御部は、上記主ガイドレール部上の棒材の一次送りモードを開始する前に、上記スライダー部を上記主ガイドレール部上の棒材の後端部まで移動させて予め位置決めするように上記送り駆動部を制御し、上記スライダー部が上記棒材の後端部まで移動するまでの送り速度は、上記一次送りモードを開始してから上記棒材の先端部が上記棒材先端部検知手段によって検知されるまでの送り速度よりも速い速度に設定されている。
このように構成された本発明においては、主ガイドレール部上の棒材の一次送りモードを開始する前に、制御部による送り駆動部を制御により、スライダー部について、一次送りモードを開始してから棒材の先端部が棒材先端部検知手段によって検知されるまでの送り速度よりも速い速度で主ガイドレール部上の棒材の後端部まで予め移動させ、一次送りモードの開始時点で主ガイドレール部上の棒材の後端部に予め位置決めすることができるため、以後の本格的な一次送りモードの実行へ迅速に移行することができる。また、一次送りモードを開始するまでは、スライダー部を比較的速い送り速度で移動させ、一次送りモードを開始してから棒材の先端部が棒材先端部検知手段によって検知されるまでは、スライダー部を比較的遅い速度で移動させることにより、棒材先端部検知手段が棒材の先端部を検知する精度を高めることもできるため、棒材を棒材加工機に効率よく給送することができる。
【0012】
さらに、本発明は、上記棒材供給機と、この棒材供給機から給送された棒材を加工する棒材加工機と、を備えた棒材加工システムである。
このように構成された本発明においては、棒材供給機の材料棚部から供給された棒材を所定の給送軸線に沿って棒材加工機に効率よく自動的に給送することができる棒材加工システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の棒材供給機によれば、部品点数を減らして簡易な構造にすることにより製造コストを抑制する共に、棒材を棒材加工機に効率よく給送させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による棒材供給機とこれを備えた棒材加工システムを示す全体正面図である。
図2】本発明の一実施形態による棒材供給機を示す平面図である。
図3図2の線III−IIIに沿って見た本発明の一実施形態による棒材供給機の内部の一部が見えるように部分的に破断した側面図である。
図4図4の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第1の運転状態(一次送りモードの準備を開始する前の状態、又は、送り矢の中心軸線と棒材加工機のスピンドルの中心軸線とが一致して二次送りモードを開始してから完了するまでの状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図4の(b)は、図4の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図5図5の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第2の運転状態(第1の運転状態の後、一次送りモードの準備を開始し、材料捌き部が主ガイドレールに近接する側へ前進した状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図5の(b)は、図5の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図6図6の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第3の運転状態(第2の運転状態の後、主ガイドレールと送り矢の上昇を開始して材料棚の一本の棒材が主ガイドレール上に向けて捌かれ、次の棒材が主ガイドレールに転がらないように阻止されている状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図6の(b)は、図6の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図7図7の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第4の運転状態(第3の運転状態の後、材料捌き部が主ガイドレールに近接する側へさらに前進し、一本の棒材を主ガイドレールの中心部に導くと共に、主ガイドレールと送り矢の上昇が継続している状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図7の(b)は、図7の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図8図8の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第5の運転状態(第4の運転状態の後、主ガイドレール上の棒材の中心軸線と棒材加工機のスピンドルの中心軸線とが一致し、スライダーによる棒材の一次送りモードが開始した状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図8の(b)は、図8の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図9図9の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第6の運転状態(第5の運転状態の後、材料捌き部が初期位置まで後退し、送り矢の中心軸線と棒材加工機のスピンドルの中心軸線とが一致する第1の運転状態に向けて、主ガイドレールと送り矢の下降が開始する状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図9の(b)は、図9の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図10図10の(a)及び(b)のそれぞれは、本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置において、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知前の状態を示す部分拡大平面図と部分拡大正面図をそれぞれ示す。
図11】本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置において、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知時の状態を示す部分拡大正面図を示す。
図12】本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置において、一次送モードが終了して二次送りモードに移行するときの状態を示す部分拡大正面図を示す。
図13図13の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の一次送りモードにおいて、係合連結ブロックによる主ガイドレールの前端部と補助ガイドレールの後端部との連結状態を示す部分拡大正面図を示し、図13の(b)は、図13の(a)を棒材加工機側から見た側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による棒材供給機について説明する。
まず、図1は、本発明の一実施形態による棒材供給機とこれを備えた棒材加工システムを示す全体正面図であり、図2は、本発明の一実施形態による棒材供給機を示す平面図であり、図3は、図2の線III−IIIに沿って見た本発明の一実施形態による棒材供給機の内部の一部が見えるように部分的に破断した側面図である。
図1図2及び図3に示すように、本発明の一実施形態による棒材供給機1は、棒材加工システム2の一部に組み込まれており、この棒材加工システム2内に設置された棒材加工機4に隣接して設置されている。
【0016】
棒材加工機4は、例えば、主軸固定型のNC旋盤であり、この旋盤のスピンドル(図示せず)の中心軸線と一致する主軸線A1を備えた主軸台6と、この主軸台6に支持された棒材Bを加工する加工部(図示せず)を有している。
また、棒材供給機1は、この棒材加工機4に、主軸線A1と一致する給送軸線C1に沿って棒材Bを一本ずつ供給するようになっている。
なお、棒材Bは棒材供給機1内で棒材加工機4に向かって供給されるから、本実施形態では、説明の簡略化のため、棒材供給機1において棒材加工機4から遠い側を「上流側」又は「後方側」と称し、棒材加工機4に近い側を「下流側」又は「前方側」と称することとする。
【0017】
つぎに、図1図2及び図3に示すように、棒材供給機1は、その主要部の一部として、加工される前の棒材Bが載置される材料棚8と、この材料棚8から供給された棒材Bを所定の給送軸線C1に沿って案内するように長手方向に複数配置され且つ横断面形状がほぼV字形状に形成された主ガイドレール10と、この主ガイドレール10の上方に平行に配置され且つ主ガイドレール10上の棒材Bを給送軸線C1に沿って棒材加工機4側へ給送する送り矢12とを備えている。
また、棒材供給機1は、その主要部の一部として、主ガイドレール10及び送り矢12を一体的に昇降させる昇降機装置14(詳細は後述する)を備え、主ガイドレール10上の棒材Bの中心軸線C2と給送軸線C1とを一致させる一次送り高さ位置P1と、この一次送り高さ位置P1よりも下方に位置し且つ送り矢12の中心軸線C3と給送軸線C1とを一致させる二次送り高さ位置P2との間で主ガイドレール10及び送り矢12を一体的に昇降させることができるようになっている。
さらに、棒材供給機1は、主ガイドレール10が一次送り高さ位置P1にあるときに、棒材加工機4側へ移動することにより主ガイドレール10上の棒材Bの後端を押圧し、棒材Bを給送軸線C1に沿って棒材加工機4側へ移動させるスライダー16を主要部の一部として備えている。
【0018】
つぎに、図1図2及び図3に示すように、棒材供給機1は、送り駆動装置18と、この送り駆動装置18と昇降装置14の作動を制御するコントローラ20を主要部の一部として、備えている。
また、送り駆動装置18は、一次送りモードM1による送り駆動を行う場合と二次送りモードM2による送り駆動を行う場合の双方に併用されるサーボモータ等の単一の送り駆動用モータ22を主要部の一部として備えている。
さらに、コントローラ20は、加工すべき棒材Bの径寸法等の材料情報を入力する操作パネル24(図3参照)と接続されており、この操作パネル24に入力された信号を受信したコントローラ20は、この受信した信号に応じて、棒材供給機1の関連機器の作動を制御するようになっている。
特に、送り駆動用モータ22は、コントローラ20による昇降装置14の制御により主ガイドレール10が一次送り高さ位置P1にあるときに、スライダー16を棒材加工機4側へ移動させて主ガイドレール10上の棒材Bを給送軸線C1に沿って棒材加工機4側へ送る一次送りモードM1を実行することができるようになっている。さらに、この一次送りモードM1が完了した後、コントローラ20による昇降装置14の制御により送り矢12が一次送り高さ位置P1よりも低い二次送り高さ位置P2にあるときに、送り矢12を棒材加工機4側へ移動させて一次送りモードM1の完了後の棒材Bを給送軸線C1に沿って棒材加工機4側へ送る二次送りモードM2を実行することができるようになっている。
【0019】
さらに、図1図2及び図3に示すように、棒材供給機1の材料棚8は、主ガイドレール10に対して遠位側に位置する棚板部26と、給送軸線C1に直交する方向に固定して配置されて棚板部26と主ガイドレール10とを接続する複数の棚フレーム部28と、棚板部26側から主ガイドレール10に向かって前進及び後退する往復動が可能となるように各棚フレーム部28に対して摺動可能に設けられた材料捌き部30とを備えている。また、棒材供給機1は、材料捌き部30を駆動する棚駆動モータ32を備え、コントローラ20が棚駆動モータ32の駆動を制御することにより材料捌き部30の主ガイドレール10に対する往復動が実現可能となっている。
【0020】
また、図1及び図2に示すように、棒材供給機1は、主ガイドレール10と棒材加工機4の主軸台6との間に設けられた補助ガイドレール34を備え、この補助ガイドレール34により、主ガイドレール10側から給送された棒材Bを棒材加工機4に案内することができるようになっている。なお、補助ガイドレール34と主ガイドレール10との接続部の詳細については後述する。
【0021】
つぎに、図1図9を参照して本実施形態の棒材供給機の主要部についてより具体的に説明する。
まず、図4の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第1の運転状態(一次送りモードの準備を開始する前の状態、又は、送り矢の中心軸線と棒材加工機のスピンドルの中心軸線とが一致して二次送りモードを開始してから完了するまでの状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図4の(b)は、図4の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図1図4の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の主要部の一部である昇降装置14は、主ガイドレール10の長手方向のほぼ中央且つ下方に設けられてスクリュージャッキ36と、このスクリュージャッキ36を回転駆動して昇降駆動させる昇降駆動モータ38とを備えている。
また、スクリュージャッキ36の上端部と主ガイドレール10の下端部は、後述する持ち上げ部材40によって連結されている。
さらに、昇降駆動モータ38の回転については、エンコーダ(図示せず)を用いてコントローラ20が数値制御を行うことにより、スクリュージャッキ36の上端部の高さの位置決めが行われ、スクリュージャッキ36の昇降に伴って持ち上げ部材40、主ガイドレール10、及びスライダー16が昇降し、主ガイドレール10の高さの位置決めが行われるようになっている。
【0022】
つぎに、図1図4の(a)及び(b)に示すように、昇降装置14は、主ガイドレール10上の棒材Bの中心軸線C2と給送軸線C1とを一致させる一次送り高さ位置P1と、送り矢12の中心軸線C3と給送軸線C1とを一致させる二次送り高さ位置P2との間で主ガイドレール10及び送り矢12を一体的に昇降させ、一次送りモードM1と二次送りモードM2とを切り替える送りモード切替部42を備えている。
この送りモード切替部42は、スライダー16の正面側に一体的に設けられてスライダー16の正面側端部を片持ち支持する一次送り用羽根部44と、送り矢12の上方にほぼ平行に延びる固定シャフト45の両端を支持する一対の支持フレーム部材46a,46b(図2参照)と、固定シャフト45に対してその長手方向(前後方向)に摺動可能に取り付けられたリニアベアリングユニット47と、このリニアベアリングユニット47の下側に固定され且つ送り矢12の後端部を上方側から固定支持する二次送り用羽根部48と、一次送り用羽根部44を昇降可能に保持する羽根保持部50を備えている。
【0023】
また、支持フレーム部材46a,46bは、持ち上げ部材40と間接的に連結されており、スクリュージャッキ36の昇降に伴って昇降することができるようになっているため、支持フレーム部材46aに固定されている固定シャフト45、これに取り付けられているリニアベアリングユニット47、これに取り付けられている二次送り用羽根部48、及びこれに取り付けられている送り矢12についても、スクリュージャッキ36の昇降に伴って昇降することができるようになっている。
さらに、図4の(a)及び(b)では、一次送りモードM1の準備を開始する前の状態、又は、送り矢12の中心軸線C3と棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4とが一致して二次送りモードM2を開始してから完了するまでの状態を示しているが、主ガイドレール10及び送り矢12が二次送り高さ位置P2にあるときには、一次送り用羽根部44と二次送り用羽根部48の一部が羽根保持部50の内部に挿入され、一次送り用羽根部44及び二次送り用羽根部48と羽根保持部50とが連結するようになっている。より具体的に説明すると、一次送り用羽根部44のほぼ中央を上下方向に延びるように形成された長穴44aが、羽根保持部50の連結用突起50aに連結すると共に、二次送り用羽根部48の連結用切欠き48aが羽根保持部50の連結用突起50aに連結するようになっている。
一方、詳細は後述するが、主ガイドレール10及び送り矢12が一次送り高さ位置P1にあるときには、一次送り用羽根部44の一部のみが羽根保持部50の内部に挿入され、一次送り用羽根部44のみが羽根保持部50と連結するのに対し、二次送り用羽根部48は羽根保持部50よりも上方に位置して羽根保持部50と連結しないようになっている。
すなわち、送りモード切替部42は、二次送り用羽根部48と羽根保持部50とを非連結状態又は連結状態に切り替えることによって、一次送りモードM1と二次送りモードM2とを切り替えることができるようになっている。
【0024】
また、図1図2、並びに、図4の(a)及び(b)に示すように、羽根保持部50は、送り駆動装置18の送り駆動モータ22によって送り駆動されるタイミングベルト52及び台車54の双方に固定されている。この台車54は、棒材供給機1の内部に固定されて主ガイドレール10と平行に前後方向に延びる走行用レール56の上面に沿って走行可能に配置されている。
すなわち、台車52は、送り駆動モータ22の送り駆動によるタイミングベルト52の回転方向に応じて、台車52及びタイミングベルト52と一体的に棒材加工機4側に前進又は後退する往復走行することができるようになっている。
したがって、詳細は後述するが、送りモード切替部42が一次送りモードM1の状態では、スライダー16、一次送り用羽根部44、及び羽根保持部50が、タイミングベルト52及び台車54と一体的に移動(前進及び後退)が可能となるが、羽根保持部50と連結していない二次送り用羽根部48、送り矢12、及びリニアベアリングユニット47は、移動(前進及び後退)不能となり、同じ位置に留まるようになっている。
一方、図4の(a)及び(b)に示す送りモード切替部42が二次送りモードM2の状態では、スライダー16、一次送り用羽根部44、羽根保持部50、及びこれに連結する二次送り用羽根部48、送り矢12、及びリニアベアリングユニット47が、タイミングベルト52及び台車54と一体的に移動(前進及び後退)するようになっている。
なお、羽根保持部50の高さ位置については、各送りモードM1,M2に伴う昇降装置14の昇降にかかわらず一定であり、羽根保持部50の前進位置と後退位置のみが各送りモードM1,M2の送り駆動装置18の作動に応じて変更される。
【0025】
ちなみに、図4の(a)及び(b)に示す棒材供給機1の第1の運転状態O1では、一次送りモードM1の準備を開始する前の状態であるため、又は、給送軸線C1、送り矢12の中心軸線C3、及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4が一致して二次送りモードM2を開始してから完了するまでの状態であるため、昇降装置14のスクリュージャッキ36は最も下降し、送り矢12によって棒材Bを棒材加工機4側へ給送することができるようになっている。
また、第1の運転状態O1では、材料捌き部30は、その主ガイドレール10側の前面が主ガイドレール10の材料棚8側の側面とほぼ同一平面内に一致するような位置(以下「初期位置」)にある。
【0026】
つぎに、図5の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第2の運転状態(第1の運転状態の後、一次送りモードの準備を開始し、材料捌き部が主ガイドレールに近接する側へ前進した状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図5の(b)は、図5の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図5の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の第2の運転状態O2では、図4の(a)及び(b)に示す第1の運転状態O1の後、一次送りモードM1の準備を開始し、コントローラ20の制御により棚駆動モータ32が駆動し、材料棚8の材料捌き部30の先端部30aが主ガイドレール10に近接する側へ前進した状態となっている。これにより、材料棚8に載置された棒材Bが全体的に主ガイドレール10側へ移動するようになっている。このとき、材料捌き部30の先端部30aは、主ガイドレール10同士の長手方向に隣接する隙間(図2参照)に挿入されるため、材料捌き部30と主ガイドレール10とは互いに接触する等の干渉はしないようになっている。
また、第2の運転状態O2では、特に、昇降装置14のスクリュージャッキ36は上昇していないが、最も主ガイドレール10側の一本の棒材B1の一部は、持ち上げ部材40の上縁が外側から内側に向って斜め下方に傾斜した上縁部40aに沿って主ガイドレール10内に前進するようになっている。
さらに、送りモード切替部42の一次送り用羽根部44、二次送り用羽根部48、及びスライダー16の位置については、図4の(a)及び(b)に示す第1の運転状態O1と同一位置に維持される。
また、第2の運転状態O2では、送り駆動装置18は停止しているようになっている。
【0027】
つぎに、図6の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第3の運転状態(第2の運転状態の後、主ガイドレールと送り矢の上昇を開始して材料棚の一本の棒材が主ガイドレール上に向けて捌かれ、次の棒材が主ガイドレールに転がらないように阻止されている状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図6の(b)は、図6の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図6の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の第3の運転状態O3では、図5の(a)及び(b)に示す第2の運転状態O2の後、操作パネル24に入力された棒材Bの径寸法に基づいてコントローラ20の制御により昇降装置14の昇降駆動モータ38が作動し、昇降装置14のスクリュージャッキ36の上昇を開始するようになっている。これにより、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、羽根保持部50に対して上昇するようになっている。
また、第3の運転状態O3では、材料捌き部30の位置は変わらないが、持ち上げ部材40が上昇したことにより、材料捌き部30の一本の棒材B1が主ガイドレール10上に向けて捌かれ、次の棒材B2が持ち上げ部材40の外側側面40bに当接して主ガイドレール10側に転がらないように阻止されるようになっている。
さらに、第3の運転状態O3では、一次送り用羽根部44は、その長穴44aが羽根保持部50の連結用突起50aは連結したままの状態で上昇しており、二次送り用羽根部48は、一次送り用羽根部44との上下方向の距離を維持した状態で羽根保持部50に対して第2の運転状態O2よりも上昇し、連結用切欠き48aと羽根保持部50の連結用突起50aとの連結が解除された状態となっている。
また、第3の運転状態O3では、送り駆動装置18は停止しているようになっている。
【0028】
つぎに、図7の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第4の運転状態(第3の運転状態の後、材料捌き部が主ガイドレールに近接する側へさらに前進し、一本の棒材を主ガイドレールの中心部に導くと共に、主ガイドレールと送り矢の上昇が継続している状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図7の(b)は、図7の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図7の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の第4の運転状態O4では、図6の(a)及び(b)に示す第3の運転状態O3の後、昇降装置14のスクリュージャッキ36が第3の運転状態O3よりもさらに上昇し、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、羽根保持部50に対してさらに上昇するようになっている。
また、第4の運転状態O4では、材料捌き部30は、第2の運転状態O2及び第3の運転状態O3よりも先端部30aが主ガイドレール10側に前進した状態となり、一本の棒材B1が主ガイドレール10のほぼ中心付近に導かれるようになっている。
さらに、第4の運転状態O4では、第3の運転状態O3と同様に、一次送り用羽根部44は、その長穴44aが羽根保持部50の連結用突起50aは連結したままの状態で上昇しており、二次送り用羽根部48は、一次送り用羽根部44との上下方向の距離を維持した状態で羽根保持部50に対して上昇し、連結用切欠き48aと羽根保持部50の連結用突起50aとの連結が解除された状態となっている。
また、第4の運転状態O4では、送り駆動装置18は停止しているようになっている。
【0029】
つぎに、図8の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第5の運転状態(第4の運転状態の後、主ガイドレール上の棒材の中心軸線と棒材加工機のスピンドルの中心軸線とが一致し、スライダーによる棒材の一次送りモードが開始した状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図8の(b)は、図8の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図8の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の第5の運転状態O5では、図7の(a)及び(b)に示す第4の運転状態O4の後、給送軸線C1、主ガイドレール10上の棒材B1の中心軸線C2、及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4のすべてが一致するように、昇降装置14のスクリュージャッキ36が第4の運転状態O4よりもさらに上昇するようになっている。これにより、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、羽根保持部50に対して第4の運転状態O4よりもさらに上昇するようになっている。
また、第5の運転状態O5では、給送軸線C1、主ガイドレール10上の棒材B1の中心軸線C2、及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4のすべてが一致し、操作パネル24に入力された棒材Bの径寸法に応じた位置決め(芯合わせ)が完了し、主ガイドレール10及び送り矢12が一次送り高さ位置P1にある。そして、コントローラ20の制御により、送り駆動装置18の送り駆動モータ22が正回転をし、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、及びスライダー16が一体的に棒材加工機4側に前進し、スライダー16が主ガイドレール10上の棒材B1を給送軸線C1に沿って棒材加工機4側に給送して一次送りモードM1を開始するようになっている。
【0030】
ここで、コントローラ20は、主ガイドレール10上の棒材B1の一次送りモードM1を開始する前に、送り駆動装置18の送り駆動モータ22を予め制御し、スライダー12を主ガイドレール10上の棒材B1の後端部まで移動させて予め位置決するようになっている。このとき、スライダー12が棒材B1の後端部まで移動するまでの送り駆動モータ22の送り速度V1は、一次送りモードM1を開始してから棒材B1の先端部が棒材先端部検知装置58によって検知されるまでの送り速度V2よりも速い送り速度(V1>V2)に設定されている。
また、一次送りモードM1の開始前のスライダー12と棒材B1の後端部との距離は、主ガイドレール10上に供給された棒材B1の長手方向の長さ(材料長)によって異なるなるため、送り駆動装置18の送り駆動モータ22の送り速度V1については、棒材B1の材料長や一次送りモードM1の開始前のスライダー12と棒材B1の後端部との距離に応じて任意に設定可能となっている。
さらに、第5の運転状態O5では、材料捌き部30は、一次送りモード実行中にコントローラ20の制御により棚駆動モータ32が駆動し、図4の(a)に示す棒材供給機1の第1の運転状態O1における材料捌き部30の初期位置に向けて後退するようになっている。
なお、第5の運転状態O5における一次送りモード実行中では、主ガイドレール10及び送り矢12が一次送り高さ位置P1にあり、二次送り用羽根部48の連結用切欠き48aと羽根保持部50の連結用突起50aとの連結が解除された状態となっているため、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44及びスライダー16が一体的に棒材加工機4側に前進していても、二次送り用羽根部48、リニアベアリングユニット47、及び送り矢12は、前進することなく同じ位置に留まるようになっている。
【0031】
つぎに、図9の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の第6の運転状態(第5の運転状態の後、材料捌き部が初期位置まで後退し、送り矢の中心軸線と棒材加工機のスピンドルの中心軸線とが一致する第1の運転状態に向けて、主ガイドレールと送り矢の下降が開始する状態)における主要部を前方側から見た側面図であり、図9の(b)は、図9の(a)におけるb−b線に沿って見た正面図である。
図9の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の第6の運転状態O6では、図8の(a)及び(b)に示す第5の運転状態O5の後、材料捌き部30が初期位置まで完全に戻るようになっている。
【0032】
また、第6の運転状態O6では、主ガイドレール10上の棒材B1が、後述する棒材先端検知装置58によって先端部が検知されるまでの間は、コントローラ20による送り駆動装置18の送り駆動モータ22の制御により、スライダー16が一次送りモードM1を開始する前の送り速度V1よりも遅い送り速度V2で前進するようになっている。また、コントローラ20は、この棒材先端検知装置58が棒材B1の先端部を検知した後、送り駆動装置18の送り駆動モータ22を制御し、スライダー16が再び送り速度V2よりも速い送り速度V3(V3>V2)で棒材B1を棒材加工機4側へ給送するようになっている。そして、スライダー16が所定距離前進すると、コントローラ20が一次送りモードM1が完了したことを判断し、送り駆動装置18の送り駆動モータ22が第5の運転状態O5の正回転と反対の逆回転をする制御を行うようになっている。そして、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、及びスライダー16のすべてが、一体的に棒材加工機4に対して後退し、二次送りモードM2を実行する準備を開始するようになっている。
なお、棒材先端検知装置58が棒材B1の先端部を検知した後の送り駆動装置18の送り駆動モータ22の送り速度V3については、棒材先端検知装置58が棒材B1の先端部を検知する直前までの送り速度V2と等しくなるように設定(V2=V3)してもよい。
【0033】
さらに、第6の運転状態O6では、給送軸線C1、棒材B1の中心軸線C2及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4のすべてが一致している状態から、昇降装置14のスクリュージャッキ36が第5の運転状態O5よりも下降し始め、最終的には、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、図4の(a)及び(b)に示す第1の運転状態O1に戻り、二次送り高さ位置P2まで下降するようになっている。そして、図4の(a)及び(b)に示すように、再び、送り矢12の中心軸線C3と棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4とが一致して二次送りモードM2を開始する状態となる。
【0034】
つぎに、図4の(a)及び(b)に示すように、第6の運転状態O6の次の第1の運転状態O1では、主ガイドレール10及び送り矢12が二次送り高さ位置P2にあり、送り矢12の中心軸線C3と棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4とが一致して二次送りモードM2を開始すると、コントローラ20の制御により、送り駆動装置18の送り駆動モータ22が正回転をし、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、スライダー16、二次送り用羽根部48、リニアベアリングユニット47、及び送り矢12のすべてが、一体的に棒材加工機4側に前進し、送り矢12の前端部が補助ガイドレール34上の棒材B1の後端を給送軸線C1に沿って棒材加工機4側に押圧して給送するようになっている。なお、二次送りモードM2において、送り矢12を移動させるための送り駆動モータ22の送り速度についても、コントローラ20の制御により任意に設定可能となっている。
そして、送り矢12が所定距離前進して補助ガイドレール34上の棒材B1が棒材加工機4側に完全に給送されたときに、二次送りモードM2による二次送りが完了となるようになっている。そして、棒材加工機4による棒材B1の加工が終了した後、コントローラ20の制御により送り駆動装置18の送り駆動モータ22が逆回転し、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、スライダー16、二次送り用羽根部48、リニアベアリングユニット47、及び送り矢12のすべてが、一体的に棒材加工機4に対して後退して元の位置(図4の(a)及び(b))に戻るようになっている。
【0035】
つぎに、図10の(a)及び(b)、図11、並びに図12を参照して、本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置の詳細について説明する。
図10の(a)及び(b)のそれぞれは、本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置において、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知前の状態を示す部分拡大平面図と部分拡大正面図をそれぞれ示す。また、図11は、本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置において、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知時の状態を示す部分拡大正面図を示す。さらに、図12は、本発明の一実施形態による棒材供給機の棒材先端検知装置において、一次送りモードが終了して二次送りモードに移行するときの状態を示す部分拡大正面図を示す。
【0036】
まず、図10の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1の棒材先端検知装置58は、棒材先端検知装置58が主ガイドレール10上の棒材B1の先端部80を検知した際に、この検知した信号がコントローラ20に送信されると、コントローラ20が、予め入力された棒材先端検知装置58から棒材加工機4までの距離に基づいて、一次送りモードM1のスライダー16や二次送りモードM2の送り矢12が棒材Bを送るべき送り量を算出し、送り駆動装置18の送り駆動モータ22の駆動を制御するためのものである。この棒材先端検知装置58は、主ガイドレール10の下側部分に固定して設けられた棒材先端検知装置本体部60と、この本体部60に設けられた近接センサー等の非接触式のセンサー62と、本体部60の前方側に横幅方向に延びるように固定して設けられたシャフト部64と、このシャフト部64に回動可能に取り付けられ且つ上方から見て概ねコの字形形状に形成されて揺動フレーム部材66とを備えている。
また、棒材先端検知装置58は、一端側が本体部60の一部に取り付けられていると共に他端側が揺動フレーム部材66の一部に取り付けられた引張コイルばね68を備えている。
さらに、棒材先端検知装置58は、棒材供給機本体70の前壁部72の内側に固定して設けられ且つ正面側から見て概ねL字形形状に形成された戻し板74を備えている。
【0037】
図10の(a)及び(b)に示すように、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知前の状態の棒材先端検知装置58においては、揺動フレーム部材66の上下方向に延びる検知板部76が、これと上下方向に対向する主ガイドレール10の開口部78を貫いており、上下方向に起立した姿勢状態S1(以下「起立姿勢状態S1」)となっている。このとき、引張コイルばね68は、揺動フレーム部材66の検知板部76が起立姿勢状態S1になるように揺動フレーム部材66を本体部60側に僅かに付勢するような比較的小さい付勢力(引張荷重に相当)が作用した状態となっている。
また、戻し板74の上端部は、一次送りモード実行中においては、主ガイドレール10の開口部78のほぼ真下に位置しており、図12において後述する二次送りモード実行中に主ガイドレール10が下降した際には、戻し板74が主ガイドレール10の開口部78を貫くことができるようになっており、戻し板74と主ガイドレール10は、各送りモードM1,M2にかかわらず互いに干渉しないようになっている。
さらに、図10の(a)及び(b)に示すように、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知前の状態の棒材先端検知装置58では、棒材B1の先端部80は、起立姿勢状態S1の揺動フレーム部材66の検知板部76とは接触していない状態となっており、揺動フレーム部材66の検知板部76と戻し板74も接触していない状態となっている。これにより、センサー62が、揺動フレーム部材66の上板面82の存在をこれと対向する下側から検知している状態となっており、このセンサー62が検知した信号がコントローラ20に送信され、以後の各送りモードM1,M2におけるコントローラ20による送り駆動装置18の送り制御の判断に用いられるようになっている。
なお、本実施形態では、センサー62が検知した信号がコントローラ20による送り駆動装置18の送り制御の判断のみに用いられる形態について説明するが、送り駆動装置18の送り制御の判断に加えて、昇降装置14の昇降制御の判断にも用いられるようにしてもよい。
【0038】
つぎに、図11に示すように、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知時の状態の棒材先端検知装置58においては、図10の(a)及び(b)に示す状態の棒材Bがさらに棒材加工機4側に一次送りされると、この棒材Bの先端部が揺動フレーム部材66の検知板部76に接触し、シャフト部64に回動可能に接続されている揺動フレーム部材66のアーム部84がシャフト部64の中心軸線を中心に回動角度θ1だけ回動し、揺動フレーム部材66全体が揺動し、図10の(a)及び(b)に示す検知板部76が起立姿勢状態S1から揺動して倒れた姿勢状態S2(以下「倒れ姿勢状態S2」)となる。このとき、引張コイルばね68には、揺動フレーム部材66を本体部60側に僅かに付勢する付勢力が作用している。しかしながら、揺動フレーム部材66全体が倒れたことによる揺動フレーム部材66の自重が引張コイルばね68の付勢力を上回るため、棒材Bの先端部80が通過した後の揺動フレーム部材66の検知板部76は、倒れた姿勢状態S2よりもさらに前方側に倒れた姿勢状態S3(以下「倒れ姿勢状態S3」)となり、揺動フレーム部材66の下方側後端部77が棒材先端検知装置本体部60の底面60aに当接し、揺動フレーム部材66の揺動が規制されるようになっている。
また、倒れ姿勢状態S3の揺動フレーム部材66では、検知板部76の先端部が、主ガイドレール10の開口部78から下方に抜け出した状態となるが、戻し板74とは接触していない状態となっている。このとき、センサー62は、揺動フレーム部材66の上板面82が斜め前方へ移動したことにより、センサー62の上側で揺動フレーム部材66の上板面82の存在を検知していない状態となる。
【0039】
つぎに、図12に示すように、一次送りモードが終了して二次送りモードに移行するときの状態の棒材先端検知装置58においては、昇降装置14の昇降駆動モータ38の駆動によって、主ガイドレール10と一体的に一次送り高さ位置P1(図10の(a)及び図11参照)から二次送り高さ位置P2(図12参照)まで下降する途中で、倒れ姿勢状態S3の揺動フレーム部材66の検知板部76の下面が、戻し板74の先端部74aの上側面と接触するようになっている。この接触と共に、揺動フレーム部材66の検知板部76が起立姿勢状態S1になるように揺動フレーム部材66を本体部60側に僅かに付勢する引張コイルばね68の付勢力も加わることにより、揺動フレーム部材66のアーム部84が、シャフト部64の中心軸線を中心に回動角度θ1(図11参照)とは反対方向の回動角度θ2だけ回動し、揺動フレーム部材66全体が揺動し、図12に示す検知板部76が倒れ姿勢状態S1から図10の(b)と同様な起立姿勢状態S1に再び戻されるようになっている。
このとき、揺動フレーム部材66の検知板部76と戻し板74も接触していない状態となっている。また、センサー62が、揺動フレーム部材66の上板面82の存在をこれと対向する下側から検知している状態となっており、このセンサー62が検知した信号がコントローラ20に送信され、以後の各送りモードM1,M2におけるコントローラ20による送り駆動装置18の送り制御の判断に用いられるようになっている。なお、本実施形態では、センサー62が検知した信号は、コントローラ20による送り駆動装置18の送り制御の判断のみに用いられる形態について説明するが、送り駆動装置18の送り制御の判断に加えて、昇降装置14の昇降制御の判断にも用いられるようにしてもよい。
【0040】
つぎに、図13の(a)及び(b)を参照して、本発明の一実施形態による棒材供給機の主ガイドレールと補助ガイドレールと接続部の詳細について説明する。
図13の(a)は、本発明の一実施形態による棒材供給機の一次送りモードにおいて、係合連結ブロックによる主ガイドレールの前端部と補助ガイドレールの後端部との連結状態を示す部分拡大正面図を示し、図13の(b)は、図13の(a)を棒材加工機側から見た側面図を示す。
【0041】
まず、図13の(a)及び(b)に示すように、主ガイドレール10と棒材加工機4との間には、主ガイドレール10とほぼ同一のV字断面形状を備えた補助ガイドレール34が設けられている。この補助ガイドレール34は、例えば、棒材加工機4の主軸台6(図1参照)にカバー(図示せず)が取り付けられている等、棒材供給機1を棒材加工機4に近接させて設置することができない場合において、一次送りモード高さ位置P1の主ガイドレール10と棒材加工機の主軸台6とを架橋するためのものである。
また、主ガイドレール10の棒材加工機4側の前端部付近に位置する棒材供給機本体70の前壁部72の前面には、図13の(b)において左右に対をなす一対の固定板86が固定されている。この固定板86の前方且つ主ガイドレール10の棒材加工機4側の前端部の下側には、ブラケット88が下方に突出するように固定されており、このブラケット88は、主ガイドレール10が昇降に伴って固定板86の前面に沿って上下方向に摺動可能となっている。
さらに、ブラケット88の前面には、前方へ突出するほぼL字形の支持部材90が固定されており、この、支持部材90の前方へ突出した部分の上面には、横断面がほぼM字形で中央部にV字溝が形成された持ち上げ用ブロック92が固定されている。
【0042】
つぎに、各固定板86の前面には、前方へ突出するようにほぼL字形に形成されて上下方向に対をなす一対の支持部材94,96がそれぞれ固定されており、これらの支持部材94,96は、上下方向に延びるロッド98の上端及び下端をそれぞれ固定支持している。
また、補助ガイドレール34の下側で且つロッド98の前方には、ブラケット100が下方に突出するように固定されており、このブラケット100の両側は、各ロッド98に沿って上下方向に摺動可能に取り付けられている。
さらに、ブラケット100のほぼ中央部には、後方側に円柱状に延びる円柱部102が形成されており、この円柱部102の中心部には、後方側に延びるように形成されたロッド104が形成されている。このロッド104の下側の周面は、持ち上げ用ブロック92のV字溝によって下側から係合して支持されている。
すなわち、ブラケット88、支持部材90,94,96、持ち上げ用ブロック92、ロッド104、ブラケット100、及び補助ガイドレール34のすべてが、主ガイドレール10と一体的に昇降可能となっている。
【0043】
さらに、補助ガイドレール34のブラケット100の片側のロッド98には、セットカラー等のストッパー部材106がその高さ位置を変更可能に取り付けられている。このストッパー部材106は、例えば、一次送りモードM1を開始するときに、主ガイドレール10を補助ガイドレール34と共に上昇させて一次送り高さ位置P1に設定した際に、ストッパー部材106に内装されるねじ部材108を締め付けることにより、補助ガイドレール34のブラケット100の下側でストッパー部材106をロッド98に固定することができるようになっている。そして、一次送りモードM1から二次送りモードに移行した際に、主ガイドレール10が二次送り高さ位置P2へ下降した際にも、ストッパー部材106の固定状態が維持されている限り、二次送りモードM2でも補助ガイドレール34は、一次送り高さ位置P1に維持されるため、二次送りモードM2の補助ガイドレール34上の棒材Bの中心軸線C2は、二次送りモードM2の送り矢12の中心軸線C3と一致するようになっている。また、補助ガイドレール34の位置は、同一径の棒材の加工が終了するまで同じ位置に維持されるようになっている。
なお、図13の(a)及び(b)においては、一次送りモードにおいて上昇した状態の主ガイドレール10、を実線で示し、一次送りモードから二次送りモードに移行中に下降している状態の主ガイドレール10を鎖線で示している。
【0044】
すなわち、主ガイドレール10の持ち上げ用ブロック92と補助ガイドレール34のロッド104は、一次送りモードを最初に実行する前の状態で主ガイドレール10が上昇している状態では互いに係合連結した状態となり、補助ガイドレール34がストッパー部材106によりロッド98に固定された後に主ガイドレール10が下降している状態では互いに係合連結を解除する係合連結部となっている。
【0045】
つぎに、図1図13の(a)及び(b)を参照して、本実施形態の棒材供給機1の動作について説明する。
棒材供給機1を作動して棒材加工機4によって棒材の加工を開始する際、まず、加工すべき棒材Bの径寸法等の材料情報を作業者が操作パネル24に入力した後、棒材加工システム2の棒材供給機1と棒材加工機4の作動を開始したときには、図4の(a)及び(b)に示すように、棒材供給機1が、一次送りモードM1の準備を開始する前の状態(第1の運転状態O1)となっている。このとき、給送軸線C1、送り矢12の中心軸線C3、及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4は互いに一致しており、昇降装置14のスクリュージャッキ36は最も下降している。また、第1の運転状態O1では、材料捌き部30は、その主ガイドレール10側の前面が主ガイドレール10の材料棚8側の側面とほぼ同一平面内に一致する初期位置にある。
【0046】
つぎに、図4の(a)及び(b)に示す第1の運転状態O1の後、図5の(a)及び(b)に示す第2の運転状態O2では、一次送りモードM1の準備を開始し、コントローラ20の制御により棚駆動モータ32が駆動し、材料棚8の材料捌き部30の先端部30aが主ガイドレール10に近接する側へ前進する。これにより、材料棚8に載置された棒材Bが全体的に主ガイドレール10側へ移動する。そして、材料捌き部30の先端部30aが、主ガイドレール10同士の長手方向に隣接する隙間d(図2参照)に挿入される。
また、第2の運転状態O2では、特に、昇降装置14のスクリュージャッキ36は上昇していないが、最も主ガイドレール10側の一本の棒材B1の一部は、持ち上げ部材40の上縁が外側から内側に向って斜め下方に傾斜した上縁部40aに沿って主ガイドレール10内に前進する。
このとき、送りモード切替部42の一次送り用羽根部44、二次送り用羽根部48、及びスライダー16の位置については、図4の(a)及び(b)に示す第1の運転状態O1と同一位置に維持され、送り駆動装置18は停止している。
【0047】
つぎに、図5の(a)及び(b)に示す第2の運転状態O2の後、図6の(a)及び(b)に示す第3の運転状態O3では、操作パネル24に入力された棒材Bの径寸法に基づいてコントローラ20の制御により昇降装置14の昇降駆動モータ38が作動し、昇降装置14のスクリュージャッキ36の上昇を開始する。これにより、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、羽根保持部50に対して上昇する。
このとき、一次送りモードを最初に実行する前の状態では、図13の(a)及び(b)に示すように、主ガイドレール10の上昇に伴って、主ガイドレール10の持ち上げ用ブロック92が、補助ガイドレール34のロッド104の下側に係合連結した状態で上昇する。すなわち、ブラケット88、支持部材90,94,96、持ち上げ用ブロック92、ロッド104、補助ガイドレール34のブラケット100のすべてが、主ガイドレール10と一体的に上昇する。
【0048】
また、第3の運転状態O3では、材料捌き部30の位置は変わらないが、持ち上げ部材40が上昇したことにより、材料捌き部30の一本の棒材B1が主ガイドレール10上に向けて捌かれ、次の棒材B2が持ち上げ部材40の外側側面40bに当接して主ガイドレール10側に転がらないように阻止される。
また、一次送り用羽根部44は、その長穴44aが羽根保持部50の連結用突起50aは連結したままの状態で上昇しており、二次送り用羽根部48は、一次送り用羽根部44との上下方向の距離を維持した状態で羽根保持部50に対して第2の運転状態O2よりも上昇し、連結用切欠き48aと羽根保持部50の連結用突起50aとの連結が解除されているが、送り駆動装置18は停止している。
【0049】
つぎに、図6の(a)及び(b)に示す第3の運転状態O3の後、図7の(a)及び(b)に示す第4の運転状態O4では、昇降装置14のスクリュージャッキ36が第3の運転状態O3よりもさらに上昇し、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、羽根保持部50に対してさらに上昇する。また、主ガイドレール10の上昇に伴って、ブラケット88、支持部材90,94,96、持ち上げ用ブロック92、ロッド104、補助ガイドレール34のブラケット100のすべてが、主ガイドレール10と一体的に上昇する。
このとき、材料捌き部30は、第2の運転状態O2及び第3の運転状態O3よりも先端部30aが主ガイドレール10側に前進した状態となり、一本の棒材B1が主ガイドレール10のほぼ中心付近に導かれる。また、上昇している持ち上げ部材40及び主ガイドレール10と材料捌き部30との相互の位置関係により、材料棚8側から主ガイドレール10に棒材B1が供給された際には、主ガイドレール10から棒材B1に与える衝撃が抑制され、棒材B1の衝撃により発生する棒材供給機1の騒音が抑制される。
また、第4の運転状態O4では、第3の運転状態O3と同様に、一次送り用羽根部44は、その長穴44aが羽根保持部50の連結用突起50aは連結したままの状態で上昇している。そして、二次送り用羽根部48は、一次送り用羽根部44との上下方向の距離を維持した状態で羽根保持部50に対して上昇し、連結用切欠き48aと羽根保持部50の連結用突起50aとの連結が解除されているが、送り駆動装置18は停止している。
【0050】
つぎに、図7の(a)及び(b)に示す第4の運転状態O4の後、図8の(a)及び(b)に示す第5の運転状態O5では、給送軸線C1、主ガイドレール10上の棒材B1の中心軸線C2、及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4のすべてが一致するように、昇降装置14のスクリュージャッキ36が第4の運転状態O4よりもさらに上昇する。これにより、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、羽根保持部50に対して第4の運転状態O4よりもさらに上昇する。また、主ガイドレール10の上昇に伴って、ブラケット88、支持部材90,94,96、持ち上げ用ブロック92、ロッド104、補助ガイドレール34のブラケット100のすべてが、主ガイドレール10と一体的に上昇する。
そして、給送軸線C1、主ガイドレール10上の棒材B1の中心軸線C2、及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4のすべてが一致すると、操作パネル24に入力された棒材Bの径寸法に応じた位置決め(芯合わせ)が完了となり、主ガイドレール10及び送り矢12が一次送り高さ位置P1となる。
このとき、作業者は、図13の(a)及び(b)に示すように、補助ガイドレール34についても、主ガイドレール10と同じ高さ位置P1となっていることを確認した後、ストッパー部材106に内装されるねじ部材108を締め付けることにより、補助ガイドレール34のブラケット100の下側でストッパー部材106をロッド98に固定し、以後、補助ガイドレール34は、同一径の棒材の加工が終了するまで同じ位置に維持される。
【0051】
また、第5の運転状態O5では、コントローラ20の制御により、送り駆動装置18の送り駆動モータ22が正回転をし、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、及びスライダー16が一体的に棒材加工機4側に前進し、スライダー16が主ガイドレール10上の棒材B1を給送軸線C1に沿って棒材加工機4側に給送して一次送りモードM1が開始される。
ここで、コントローラ20は、主ガイドレール10上の棒材B1の一次送りモードM1を開始する前に、送り駆動装置18の送り駆動モータ22を予め制御し、スライダー12を主ガイドレール10上の棒材B1の後端部まで移動させて予め位置決する。このとき、スライダー12は、棒材B1の後端部まで移動するまでの間、一次送りモードM1を開始してから棒材B1の先端部80が棒材先端部検知装置58によって検知されるまでの送り速度V2よりも速い送り速度V1で移動する。
さらに、材料捌き部30は、一次送りモード実行中にコントローラ20の制御により棚駆動モータ32が駆動し、図4の(a)に示す棒材供給機1の第1の運転状態O1における材料捌き部30の初期位置に向けて後退する。
【0052】
さらに、第5の運転状態O5の一次送りモード実行中では、主ガイドレール10及び送り矢12が一次送り高さ位置P1にあるため、二次送り用羽根部48の連結用切欠き48aと羽根保持部50の連結用突起50aとの連結が解除された状態となっており、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44及びスライダー16が一体的に棒材加工機4側に前進していても、二次送り用羽根部48、リニアベアリングユニット47、及び送り矢12は、前進することなく同じ位置に留まる。
【0053】
また、第5の運転状態O5において、図10の(a)及び(b)に示すように、一次送りモード実行中で且つ棒材先端検知装置58の棒材先端検知前の状態では、コントローラ20が送り駆動装置18の送り駆動モータ22を制御し、スライダー12が、棒材B1の後端部まで移動するまで送り速度V1よりも遅い送り速度V2で棒材B1と共に前進する。このとき、棒材先端検知装置58の揺動フレーム部材66の上下方向に延びる検知板部76が起立姿勢状態S1となっており、棒材B1の先端部80が、起立姿勢状態S1の揺動フレーム部材66の検知板部76とは接触しておらず、揺動フレーム部材66の検知板部76と戻し板74も接触していない。さらに、センサー62は、揺動フレーム部材66の上板面82の存在をこれと対向する下側で検知しており、このセンサー62が検知した信号がコントローラ20に送信され、以後の各送りモードM1,M2におけるコントローラ20による送り駆動装置18の送り制御の判断に用いられる。例えば、棒材先端検知装置58が棒材B1の先端部80を検知した信号がコントローラ20に送信されると、コントローラ20が、予め入力された棒材先端検知装置58から棒材加工機4までの距離に基づいて、一次送りモードM1のスライダー16や二次送りモードM2の送り矢12が棒材Bを送るべき送り量を算出し、送り駆動装置18の送り駆動モータ22の駆動を制御する。
【0054】
つぎに、図8の(a)及び(b)に示す第5の運転状態O5において、図10の(a)及び(b)に示す状態の棒材B1がさらに棒材加工機4側に一次送りされると、図9の(a)及び(b)に示す棒材供給機1の第6の運転状態O6となり、材料捌き部30が初期位置まで完全に戻る。
このとき、図11に示すように、主ガイドレール10上の棒材B1の先端部80が、棒材先端検知装置58の揺動フレーム部材66の検知板部76に接触する。そして、シャフト部64に回動可能に接続されている揺動フレーム部材66のアーム部84が、シャフト部64の中心軸線を中心に回動角度θ1だけ回動し、揺動フレーム部材66全体が揺動し、図10の(a)及び(b)に示す起立姿勢状態S1から揺動して倒れた図11に示す倒れ姿勢状態S2となる。このとき、コントローラ20が送り駆動装置18の送り駆動モータ22を制御し、スライダー12が、送り速度V2よりも速い送り速度V3で棒材B1と共に前進する。また、図11に示す引張コイルばね68には、揺動フレーム部材66を本体部60側に僅かに付勢する付勢力が作用しているが、揺動フレーム部材66全体が倒れたことによる揺動フレーム部材66の自重が引張コイルばね68の付勢力を上回るため、さらに倒れる状態へ揺動する。そして、揺動フレーム部材66の下方側後端部77が棒材先端検知装置本体部60の底面60aに当接し、揺動フレーム部材66の揺動が規制され、棒材B1の先端部80が通過した後の揺動フレーム部材66の検知板部76が、倒れた姿勢状態S2よりもさらに前方側に倒れた姿勢状態S3(倒れ姿勢状態S3)に維持される。
【0055】
さらに、倒れ姿勢状態S3の揺動フレーム部材66では、検知板部76の先端部が、主ガイドレール10の開口部78から下方に抜け出した状態となり、戻し板74とも接触していない状態となる。このとき、センサー62は、揺動フレーム部材66の上板面82が斜め前方へ移動したことにより、センサー62の上側で揺動フレーム部材66の上板面82の存在を検知していない状態となる。
また、倒れ姿勢状態S3の揺動フレーム部材66は、一次送りモードM1が終了して二次送りモードに移行され、主ガイドレール10が下降するまでは、揺動フレーム部材66の下方側後端部77が棒材先端検知装置本体部60の底面60aに当接し、揺動が規制された状態に維持される。
【0056】
さらに、図8の(a)及び(b)並びに図11に示す第6の運転状態O6では、この棒材先端検知装置58が棒材B1の先端部80を検知した後、スライダー16が所定距離前進すると、コントローラ20が一次送りモードM1が完了したことを判断し、送り駆動装置18の送り駆動モータ22が第5の運転状態O5の正回転と反対の逆回転をする制御を行う。そして、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、及びスライダー16のすべてが、一体的に棒材加工機4に対して後退し、二次送りモードM2を実行する準備を開始する。
【0057】
さらに、第6の運転状態O6では、給送軸線C1、棒材B1の中心軸線C2及び棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4のすべてが一致している状態から、昇降装置14のスクリュージャッキ36が第5の運転状態O5よりも下降し始め、最終的には、持ち上げ部材40、主ガイドレール10、スライダー16、一次送り用羽根部44、支持フレーム部材46a,46a、固定シャフト45、リニアベアリングユニット47、二次送り用羽根部48、及び送り矢12のすべてが、図4の(a)及び(b)に示す第1の運転状態O1に戻り、二次送り高さ位置P2まで下降する。そして、図4の(a)及び(b)に示すように、再び、送り矢12の中心軸線C3と棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4とが一致して二次送りモードM2を開始する状態となる。
このとき、主ガイドレール10が下降すると(図13の(a)の鎖線10参照)、持ち上げ用ブロック92と補助ガイドレール34のロッド104との係合連結が解除され、持ち上げ用ブロック92が主ガイドレール10と共に下降するが、補助ガイドレール34のブラケット100はストッパー部材106によってロッド98に固定された状態に維持されているため、二次送りモードM2においても補助ガイドレール34は一次送り高さ位置P1に維持される。また、二次送りモードM2の補助ガイドレール34上の棒材Bの中心軸線C2は、二次送りモードM2の送り矢12の中心軸線C3と一致する。
【0058】
ここで、一次送りモードが終了して二次送りモードに移行する第6の運転状態O6では、図12に示すように、棒材先端検知装置58が、昇降装置14の昇降駆動モータ38の駆動によって、主ガイドレール10と一体的に一次送り高さ位置P1(図10の(a)及び図11参照)から二次送り高さ位置P2(図12参照)まで下降する途中で、倒れ姿勢状態S3の揺動フレーム部材66の検知板部76の下面が、戻し板74の先端部74aの上側面と接触する。そして、この揺動フレーム部材66の検知板部76が起立姿勢状態S1になるように揺動フレーム部材66を本体部60側に僅かに付勢する引張コイルばね68の付勢力も加わることにより、揺動フレーム部材66のアーム部84が、シャフト部64の中心軸線を中心に回動角度θ1(図11参照)とは反対方向の回動角度θ2(図12参照)だけ回動し、揺動フレーム部材66全体が揺動し、図12に示す検知板部76が倒れ姿勢状態S1から図10の(b)と同様な起立姿勢状態S1に再び戻される。
このとき、揺動フレーム部材66の検知板部76と戻し板74も接触していない状態となり、センサー62が、揺動フレーム部材66の上板面82の存在をこれと対向する下側から検知している状態となる。また、このセンサー62が検知した信号がコントローラ20に送信され、以後の各送りモードM1,M2におけるコントローラ20による送り駆動装置18の送り制御の判断に用いられる。
【0059】
つぎに、図4の(a)及び(b)に示すように、第6の運転状態O6の次の第1の運転状態O1では、主ガイドレール10及び送り矢12が二次送り高さ位置P2にあり、送り矢12の中心軸線C3と棒材加工機4のスピンドル(図示せず)の中心軸線C4とが一致して二次送りモードM2が開始される。そして、コントローラ20の制御により、送り駆動装置18の送り駆動モータ22が正回転をし、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、スライダー16、二次送り用羽根部48、リニアベアリングユニット47、及び送り矢12のすべてが、一体的に棒材加工機4側に前進し、送り矢12の前端部が補助ガイドレール34上の棒材B1の後端を給送軸線C1に沿って棒材加工機4側に押圧して給送する。
そして、送り矢12が所定距離前進して補助ガイドレール34上の棒材B1が棒材加工機4側に完全に給送されたときに、二次送りモードM2による二次送りが完了となる。そして、棒材加工機4による棒材B1の加工が終了した後、コントローラ20の制御により送り駆動装置18の送り駆動モータ22が逆回転し、この送り駆動モータ22の駆動によりタイミングベルト52が駆動し、台車54、羽根保持部50、一次送り用羽根部44、スライダー16、二次送り用羽根部48、リニアベアリングユニット47、及び送り矢12のすべてが、一体的に棒材加工機4に対して後退して元の位置(図4の(a)及び(b))に戻る。
【0060】
上述した本発明の一実施形態による棒材供給機1によれば、送り駆動装置18の一次送りモードM1による送り駆動を行う場合と二次送りモードM2による送り駆動を行う場合の双方において、共通で単一の送り駆動モータ22を併用し、この送り駆動モータ22をコントローラ20により可変速可能に制御することができるため、材料棚8から供給された棒材B1を所定の給送軸線C1に沿って棒材加工機4に効率よく自動的に給送することができる。また、送り駆動モータ22の一次送りモードM1による送り駆動と二次送りモードM2による送り駆動のそれぞれについて個別のモータを用いた場合に比べて、部品点数を減らすことができ、簡易な構造にすることができる。さらに、棒材供給機1全体を小型化することもできる。
【0061】
また、本実施形態による棒材供給機1によれば、コントローラ20が、一次送りモードM1を開始する前に、操作パネル24に入力した加工すべき棒材Bの径寸法に応じて、昇降装置14の昇降駆動モータ38及びスクリュージャッキ36、持ち上げ部材40、並びに、材料棚8の棚駆動モータ32及び材料捌き部30を制御し、主ガイドレール10及び送り矢部12を一次送り高さ位置P1に位置決めして主ガイドレール10上の棒材B1の中心軸線C2と給送軸線C1とを一致させることができる。これにより、材料棚8から主ガイドレール10に棒材B1を供給する動作と、棒材B1の中心軸線C2と給送軸線C1とが一致する棒材の位置決め動作とを効率よく行うことができる。したがって、加工すべき棒材Bの径寸法にかかわらず、材料棚8から主ガイドレール10への棒材B1の供給と給送軸線C1に対する棒材B1の位置決めを迅速且つ効率よく行うことができる。また、コントローラ20が昇降装置14の昇降駆動モータ38の駆動を制御することにより、昇降装置14の送りモード切替部42による一次送りモードM1と二次送りモードM2との切り替えを効率よく行うこともできるため、材料棚8から供給された棒材B1を所定の給送軸線C1に沿って棒材加工機4に効率よく自動的に給送することができる。さらに、材料棚8から主ガイドレール10に棒材B1が供給された際の棒材への衝撃を抑制し、この棒材B1の衝撃により発生する棒材供給機1の騒音を抑制することもできる。
【0062】
また、本実施形態による棒材供給機1によれば、一次送りモードM1を最初に実行する前の状態で主ガイドレール10が上昇しているときには、主ガイドレール10に設けられた持ち上げ用ブロック92が主ガイドレール10と共に一体的に上昇して補助ガイドレール34のロッド104に下側から係合し、補助ガイドレール34を主ガイドレール10の一次送り高さ位置P1と一致する位置まで上昇させることができる。このとき、ストッパー部106により、補助ガイドレール34を主ガイドレール10の一次送り高さ位置P1と一致する位置に固定することができる。したがって、例えば、棒材供給機1を棒材加工機4に近接して設置することできない状況下で、棒材供給機1の主ガイドレール10と棒材加工機4との相対間隔が生じていたとしても、主ガイドレール10から給送される棒材Bについて、補助ガイドレール34を介して棒材加工機4に確実に給送することができる。また、補助ガイドレール34がストッパー部材106により固定された状態では、主ガイドレール10が下降すると、持ち上げ用ブロック92と補助ガイドレール34のロッド104との係合連結が解除され、持ち上げ用ブロック92が主ガイドレール10と共に下降するため、一次送りモードM1の開始以後の補助ガイドレール34の高さ位置を、主ガイドレール10上の棒材B1の中心軸線C2と給送軸線C1とが一致する主ガイドレール10の一次送り高さ位置P1に維持することができる。これにより、二次送りモードM2においても補助ガイドレール34上の棒材B1を送り矢12により二次送りすることができるため、以後の一次送りモードM1と二次送りモードM2をより確実に且つ効率よく実行することができる。したがって、材料棚8から供給された棒材B1を所定の給送軸線C1に沿って棒材加工機4に効率よく自動的に給送することができる。
【0063】
さらに、本実施形態による棒材供給機1によれば、棒材先端検知装置58のセンサー62及び揺動フレーム部材66の検知板部76により、一次送りモードM1の実行中に所定の給送軸線C1に沿って棒材加工機4側へ給送される棒材B1の先端部80を検知することができるため、一次送りモードM1の実行中に棒材加工機4側へ給送される棒材B1が棒材先端部検知装置58を通過したか否かを確認することができ、この棒材先端検知装置58による検知情報に基づいてコントローラ20が送り駆動装置18の作動を制御することができる。したがって、材料棚8から供給された棒材Bを所定の給送軸線C1に沿って棒材加工機4に効率よく自動的に給送することができる。
【0064】
さらに、本実施形態による棒材供給機1によれば、主ガイドレール10上の棒材B1の一次送りモードM1を開始する前に、コントローラ20による送り駆動装置18の送り駆動モータ22を制御することにより、スライダー16について、一次送りモードM1を開始してから棒材B1の先端部が棒材先端部検知装置58によって検知されるまでの送り速度V2よりも速い速度V1で主ガイドレール10上の棒材B1の後端部まで予め移動させ、一次送りモードM1の開始時点で主ガイドレール10上の棒材B1の後端部に予め位置決めすることができる。したがって、以後の本格的な一次送りモードM1の実行へ迅速に移行することができる。また、一次送りモードM1を開始する前に、スライダー16を比較的速い送り速度V1で移動させ、一次送りモードM2を開始してから棒材B1の先端部が棒材先端部検知装置58によって検知されるまでは、スライダー16を比較的遅い速度V2で移動させることにより、棒材先端部検知装置58が棒材B1の先端部を検知する精度を高めることもできるため、棒材B1を棒材加工機1に効率よく給送することができる。さらに、棒材先端部検知装置58が棒材B1の先端部を検知した後は、再び送り速度V2よりも速い送り速度V3(V3>V2)で棒材B1を棒材加工機4側へ給送することができるため、棒材B1を棒材加工機1に効率よく給送することができる。
【0065】
さらに、本実施形態による棒材供給機1を備えた棒材加工システム2によれば、棒材供給機1の材料棚8から供給された棒材Bを所定の給送軸線C1に沿って棒材加工機4に効率よく自動的に給送することができる棒材加工システムを提供することができる。
【0066】
なお、上述した本発明の一実施形態による棒材供給機1においては、例として、主ガイドレール10及びスライダー16を送り矢12よりも常時下方に配置した形態について説明したが、このような形態に限られず、主ガイドレール10及びスライダー16を送り矢12よりも常時上方に配置した形態にしてもよい。
また、本実施形態の棒材供給機1では、補助ガイドレール34を適用させた形態について説明したが、このような形態に限られず、棒材供給機1を棒材加工機4に近接させて設置することができる場合には、補助ガイドレール34を省略して、主ガイドレール10の前端部と棒材加工機4とを直接的に接続させてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 棒材供給機
2 棒材加工システム
4 棒材加工機
6 主軸台
8 材料棚(材料棚部)
10 主ガイドレール(主ガイドレール)
12 送り矢(送り矢部)
14 昇降装置(昇降機構部)
16 スライダー(スライダー部)
18 送り駆動装置(送り駆動部)
20 コントローラ(制御部)
22 送り駆動モータ(モータ)
24 操作パネル
26 棚板部
28 棚フレーム部
30 材料捌き部(材料棚部位置調整手段)
30a 材料捌き部の先端部
32 棚駆動モータ(材料棚部位置調整手段)
34 補助ガイドレール
36 スクリュージャッキ
38 昇降駆動モータ(昇降駆動部)
40 持ち上げ部材
40a 持ち上げ部材の上縁傾斜部
40b 持ち上げ部材の外側側面部
42 送りモード切替部(切替手段)
44 一次送り用羽根部
44a 長穴
45 固定シャフト
46a 後方側支持フレーム部材
46b 前方側支持フレーム部材
47 リニアベアリングユニット
48 二次送り用羽根部
48a 連結用切欠き
50 羽根保持部
50a 連結用突起
52 タイミングベルト
54 台車
56 走行用レール
58 棒材先端検知装置(棒材先端検知手段)
60 棒材先端検知装置本体部
60a 棒材先端検知装置本体部の底面
62 非接触式のセンサー(棒材先端検知手段)
64 シャフト部
66 揺動フレーム部材
68 引張コイルばね
70 棒材供給機本体
72 棒材供給機本体の前壁部
74 戻し板
74a 先端部
76 揺動フレーム部材の検知板部(棒材先端検知手段)
77 揺動フレーム部材の下方側後端部
78 主ガイドレールの開口部
80 棒材の先端部
82 揺動フレーム部材の上板面
84 揺動フレーム部材のアーム部
86 固定板
88 ブラケット
90 支持部材
92 持ち上げ用ブロック(係合連結部)
94 支持部材
96 支持部材
98 ロッド
100 ブラケット
102 円柱部
104 ロッド(係合連結部)
106 ストッパー部材
A1 主軸線
B 棒材
B1 棒材
B2 棒材
C1 給送軸線
C2 棒材の中心軸線
C3 送り矢の中心軸線
C4 棒材加工機のスピンドルの中心軸線
M1 一次送りモード
M2 二次送りモード
O1 第1の運転状態
O2 第2の運転状態
O3 第3の運転状態
O4 第4の運転状態
O5 第5の運転状態
O6 第6の運転状態
P1 一次送り高さ位置
P2 二次送り高さ位置
S1 揺動フレーム部材の検知板部の起立姿勢状態
S2 揺動フレーム部材の検知板部の倒れ姿勢状態
S3 揺動フレーム部材の検知板部の倒れ姿勢状態
V1 送り駆動モータの送り速度
V2 送り駆動モータの送り速度
V3 送り駆動モータの送り速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13