(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水を貯留する貯水槽と、前記貯水槽の下方に配置され、一端が前記貯水槽に連通し他端に向かって下降している導水管と、一端が該導水管の前記他端に連通しており、他端に向かって上昇している復水管と、前記導水管の途中に設けられ、該導水管を流れる水流を利用して発電する複数の発電ユニットと、前記復水管の前記他端に接続されており、該復水管内の水を前記貯水槽内に排出するポンプと、前記複数の発電ユニットに接続されており、該複数の発電ユニットからの電力によって充電されると共に前記ポンプに電力を供給する電源装置とを備えており、前記ポンプが前記復水管内の水を排出することによって生じる吸引力により、該復水管及び前記導水管内に一様な吸引流を発生させ、前記導水管を流れる前記水流を形成するように構成されているマイクロ水力発電システムであって、前記ポンプは、前記復水管内の水面と前記貯水槽内の水面との高さの差だけ前記復水管内の水を揚水するように構成されており、
前記複数の発電ユニットの各々は、前記水流によって回転するように構成された水車羽根を有する水車部と、該水車羽根の回転力を電気に変換する発電機部とを備えており、
前記発電機部は、複数の第1の極性の永久磁石を有する回転磁石板と、該複数の第1の極性の永久磁石の一部に対向し静止している複数の第1の極性の永久磁石と、一端が前記回転磁石板の前記C永久磁石の一部に対向し静止している複数の磁心付コイルと、該複数の磁心付コイルの他端に対向し静止している複数の第2の極性の永久磁石を備えており、該静止している複数の第1の極性の永久磁石によってコギングトルクを減少させるように構成されていることを特徴とするマイクロ水力発電システム。
前記静止している複数の第1の極性の永久磁石と前記静止している複数の磁心付コイルは交互に配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のマイクロ水力発電システム。
前記回転磁石板に配置された永久磁石の数は、前記静止している第1の極性の永久磁石の数と前記静止している磁芯付コイルの数との和に等しいことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロ水力発電システム。
前記電源装置は、前記複数の発電ユニットによって生成された電力を充電可能な蓄電池を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロ水力発電システム。
前記発電ユニットは導水管内の水流により回転する水車羽根の回転力を電力に変換する機構であり、前記水車羽根は導水管の側壁に取り付けられたハウジング内に設置され、前記水車羽根の一部は導水管内に突出して、導水管内の水流により回転駆動するように構成され、ハウジング内部は導水管の水流により負圧になっていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロ水力発電システム。
前記発電ユニットは導水管内の水流により回転する水車羽根の回転力を電力に変換する機構であり、前記導水管の内側に突出した突出部を設け、当該突出部の下流側に水車羽根が前記導水管内に配置されており、前記突出部によって偏移された水流によって水車羽根が回転駆動するように構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロ水力発電システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るマイクロ水力発電システムの実施形態を、図を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態として、マイクロ水力発電システムの構成を概略的に示している。
【0020】
同図に示すように、本実施形態のマイクロ水力発電システムは、システムの上方に設けられ、内部に水11が貯留されている貯水槽10と、一端がこの貯水槽10の底面近傍に連通しており、他端に向かって下降している導水管12と、一端がこの導水管12の最低位にある他端に連通しており他端に向かってほぼ垂直に上昇している復水管13と、この復水管13の最上位である他端に弁14aを介して接続されている揚水ポンプ14と、導水管12の途中に設けられておりそれぞれがユニット化されている複数の発電ユニット15と、これら発電ユニット15及び揚水ポンプ14に電気的に接続された電源装置16と、初期時に貯水槽10に水11を供給する給水管17と、復水管13の他端に設けられており、最初に復水管13に水が導入された時のみ開いて残留空気及び水を外部に排出する水抜き弁18とを備えている。
【0021】
貯水槽10は、循環する例えば水道水等の水11をその内部に貯留するためのものであり、その初期時の水11として、給水管17を介して水道水等が供給され貯留される。この貯水槽10の貯留容量は、システム全体の発電量に基づいて定められる。
【0022】
導水管12は、貯水槽10の下方に配置されており、その上端である一端から斜めに直線状に下降して最低位の他端となっている。導水管12の長さは、必要とされる数の発電ユニット15が組み込みできる長さに設定されている。導水管12のこの他端には、復水管13の最低位にあるその一端が連通しており、この復水管13はその最高位にある他端に向かってほぼ垂直に上昇している。導水管12及び復水管13はその全長に渡って貯水槽10以外には水密状態に保たれている。導水管12の径は必要とされる流量が得られるように設定されるが、復水管13の径は導水管12の径より大きく設定されている。
【0023】
揚水ポンプ14は、復水管13の上端に接続され、復水管13内に上昇している水11を汲み上げて貯水槽10に戻し、循環水流を形成するものである。この揚水ポンプ14としては、例えばエフ・オー・ケー(FOK)株式会社の循環型ポンプHB−1500が適用可能である。このポンプは、最大揚水量が35〜40m
3/H、消費電力が127〜165W、最大揚程が25cm、最大揚程時の揚水量が30〜35m
3/Hの仕様を有するものである。この揚水ポンプ14は、自吸式ポンプであり、運転前にこの揚水ポンプ14にのみ呼び水をすることにより、運転が始まった後はポンプ自身の力でその吸込管の空気を排出して揚水することができる。
【0024】
本実施形態においては、揚水ポンプ14が復水管13の上方の水面よりやや高い位置に設置されており、揚水すべき高さが非常に低くなるように設定されている。復水管13内の水面と貯水槽10内の水面とは、揚水ポンプ14を作動させていない状態では、逆サイホンの原理により、同一平面内にあって平衡状態を保っている。従って、揚水ポンプ14は、わずかな高さのみ、例えば高さH=10〜20cmだけ揚水することにより、復水管13の上部の水11を貯水槽10内に排出する。この復水管13内の水11を揚水ポンプ14が排出することによってあたかも生じる空隙に吸引される力により、復水管13及び導水管12内の水が動き、循環が行われる。
【0025】
復水管13及び導水管12内の水は、サイホンの原理によって平衡状態に復帰するまで、減圧状態で一様な吸引流となって管内を循環する。なお、揚水ポンプ14の排出流量を調整することで、導水管12内の水流の速度を変化させて発電量を調整することができる。
【0026】
複数の発電ユニット15は、導水管12の途中に順次設けられ、この導水管12内の水流を利用して発電するものである。各発電ユニット15は、導水管12内の水流をできるだけ効率良くとらえて回転するように構成された水車部と、この水車部に連結されており、水車部の回転力を電力に変換する発電機部とを有する。各発電ユニット15の構成については、詳細に後述する。本実施形態においては、3つの発電ユニット15が導水管12に沿って設けられている。この発電ユニットの数は、必要とする発電量に基づいて設定される。
【0027】
電源装置16は、充電回路と、充放電可能な蓄電池とから主として構成されており、複数の発電ユニット15によって発電された電力をこの蓄電池に充電すると共に、この蓄電池の出力電力を揚水ポンプ14の駆動に使用し、さらに外部に出力するように構成されている。電源装置16の充電用電力として、複数の発電ユニット15からの電力に加えて、太陽光発電システム及び/又は風力発電システムからの電力をも利用することが可能である。電源装置16を商用電源に直接接続しても良い。深夜電力等経済的なエネルギを利用して蓄電池に充電し、運転する際に、蓄電池により揚水ポンプ14を駆動するようにしても良い。
【0028】
図2は本実施形態における発電ユニット15の構成を概略的に示しており、
図3はこの発電ユニット15における水車部20の構成を概略的に示しており、
図4はこの水車部20における各水車羽根の構造を説明している。
【0029】
図2に示すように、発電ユニット15は、水車部20と、回転シャフト21aがこの水車部20の回転シャフト20aに連結されており、水車部20の発生した回転力を電力に変換する発電機部21とを備えている。
【0030】
水車部20は、上述した回転シャフト20aと、ハウジング20bと、このハウジング20bの互いに対向する側壁内側に設けられ、上述の回転シャフト20aを回動自在に支持する1対のベアリング部材(シールベアリング)20cと、回転シャフト20aに同軸に固着された水車羽根20dとを備えている。水車羽根20dは、その一部が導水管12内に突出しており、その内部を流れる水流11aによって回転駆動されるように構成されている。この水流11aは、揚水ポンプ14の作動によって生じた負圧に水が吸引されることによって導水管12内に生じる。しかも、粘性がなく非圧縮性であり定常の流れとなっているため、ベルヌーイの定理が成立する流れとなって循環する。
【0031】
図3に示すように、この導水管12内を流れるベルヌーイの定理が成立する同一流線上の水流11aにより、水車部20におけるハウジング20bの内部20eに負圧が発生し、この内部20eがより真空に近くなることから、水車羽根20dの回転抵抗が減少する。
【0032】
図4に示すように、本実施形態においては、回転シャフト20aの回りに45°の等角度間隔で8枚の水車羽根20d
1〜20d
8が設けられており、これら水車羽根20d
1〜20d
8の各々は、適度の曲率半径を有する断面を有する平板状の軽量の金属材料又は樹脂材料から構成されている。
図4に示すごとく、1つの水車羽根20d
1の導水管12内の水流11aに対する受圧面積が最大となった際に他の1つの水車羽根20d
3がハウジング20bから導水管12内に突出するように構成されており、これによって水車羽根20dは水流11aの有する運動エネルギを効率良く受け取って、回転運動に変換することができる。
【0033】
図5は本実施形態の発電ユニット15における発電機部21の構成を概略的に示しており、
図6はこの発電機部21における磁石の配列及び作用を説明している。
【0034】
図5に示すように、発電機部21は、水車部20の回転シャフト20aに連結された回転シャフト21aと、この回転シャフト21aに固着されており、これと同軸に回転する回転磁石板21bとを備えている。この回転磁石板21bには、S極のみが表面に現れるように軸の周囲方向に45°の等間隔で配置された8つの永久磁石21c
1〜21c
8が設けられている。
【0035】
この回転磁石板21bの永久磁石21c
1〜21c
8に一端が対向するように複数の磁心21d
1〜21d
4が設けられている。ただし、これら複数の磁心21d
1〜21d
4は、固定部21eに固定されて静止している。本実施形態において、複数の磁心21d
1〜21d
4は軸の周囲方向に90°の等間隔で配置された4つの磁心21d
1〜21d
4から構成されている。これら複数の磁心21d
1〜21d
4には、複数のコイル21f
1〜21f
4がそれぞれ巻回されている。さらに、回転磁石板21bの永久磁石に対向しS極のみが表面に現れる4つの永久磁石21g
1〜21g
4が固定部21eに固定されて静止して設けられている。これら4つの永久磁石21g
1〜21g
4は軸の周囲方向に90°の等間隔で配置されており、4つの磁心21d
1〜21d
4間にそれぞれ設けられている。従って、回転磁石板21bの45°の等間隔で配置された8つの永久磁石21c
1〜21c
8に対向して、4つの磁心21d
1〜21d
4と4つの永久磁石21g
1〜21g
4とが交互に45°の等間隔で静止して配置されていることとなる。
【0036】
さらに、本実施形態の発電機部21においては、4つの磁心21d
1〜21d
4の他端に対向してN極のみが表面に現れるように軸の周囲方向に90°の等間隔で配置された4つの永久磁石21h
1〜21h
4が設けられている。ただし、これら4つの永久磁石21h
1〜21h
4は、固定部21eに固定されて静止している。4つの磁心21d
1〜21d
4及び4つのコイル21f
1〜21f
4は、それぞれの一端が回転磁石板21bの8つの永久磁石21c
1〜21c
8に対向し、それぞれの他端が1つおきに4つの永久磁石21h
1〜21h
4に対向するように軸の周囲方向に90°の等間隔でかつ軸に平行に配置されており、各コイル21f
1〜21f
4から得られる起電力が合成されて発電機出力となるように接続がなされている。
【0037】
この発電機部21は、コギングトルクを減少させて永久磁石による回転抵抗をできるだけ低減させた発電機であり、その原理は例えば国際公開第WO2003/056688号公報に開示されている。以下、本実施形態の発電機部21の作用の概略を説明する。
【0038】
回転磁石板21bの8つの永久磁石21c
1〜21c
8が回転することによって、4つの磁心21d
1〜21d
4に印加される磁極が交互に変化し、この磁心を軸方向に横切る磁束の方向が交互に反転することで4つのコイル21f
1〜21f
4に継続的に起電力が発生する。
【0039】
図6は発電機部21の断面の一部を模式的に示しており、4つの磁心21d
1〜21d
4と4つの永久磁石21g
1〜21g
4と4つの永久磁石
21h1〜21h4は静止しており、回転磁石板21bの永久磁石21c
1〜21c
8は回転により移動している。回転磁石板21bの永久磁石21c
1〜21c
8の回転移動方向(下から上方向)が矢印で示されている。
【0040】
図6に示した状態では、回転磁石板21bの永久磁石21c
1、21c
3、21c
5及び21c
7が磁心21d
1〜21d
4の一端にそれぞれ正対しており、これら磁心21d
1〜21d
4に最大の引力が印加されている。一方、回転磁石板21bの永久磁石21c
2、21c
4、21c
6及び21c
8が永久磁石21g
1〜21g
4にそれぞれ正対しており、回転磁石板21bには永久磁石21g
1〜21g
4から最大の反発力が印加されている。
【0041】
回転磁石板21bがこの状態から回転する際に、永久磁石21g
1〜21g
4からの反発力及び次の永久磁石21c
2、21c
4、21c
6及び21c
8と磁心21d
1〜21d
4との吸引力により、回転シャフト21aに印加される引力であるコギングトルクが減少することになる。同様のことが、回転磁石板21bの他の永久磁石と磁心との間においても発生する。言い換えると、回転シャフト21aに印加されるコギングトルクの最大値は減少しないが、永久磁石21c
1〜21c
8が磁心21d
1〜21d
4に強い引力で引かれる時間が短くなる。
【0042】
このように、本実施形態の発電機部21によれば、回転シャフト21aに印加されるコギングトルクの最大値は変動しないが、コギングトルクが回転シャフト21aに強く影響を与える時間が短くなるので、コギングトルクの周期が半分になることと相まって、その回転シャフト21aの回転抵抗が減少し、回転がスムーズとなる。なお、本実施形態における永久磁石及び磁心の数は、上述した値に限定されるものではない。
【0043】
以上説明したように、本実施形態においては、復水管13内の水面と貯水槽10内の水面とが、逆サイホンの原理により、同一平面内にあって平衡状態を保っており(揚水ポンプ14を作動させていない状態)、揚水ポンプ14により揚水すべき高さが非常に低くなるように設定されているため、揚水ポンプ14は、わずかな高さのみ、例えば高さH=10〜20cmだけ揚水すれば良い。このため、揚水ポンプ14によって消費されるエネルギ量は非常に少ない。復水管13内の水11を揚水ポンプ14が排出することによってあたかも生じる空隙に吸引される力により、復水管13及び導水管12内の水が動き、この復水管13及び導水管12内の水は、サイホンの原理によって平衡状態に復帰するまで、減圧状態で一様な吸引流となって管内を循環する。即ち、粘性がなく非圧縮性であり定常の流れであるため、ベルヌーイの定理が成立する流れとなって循環する。このため、比較的に小さいエネルギで循環水流を形成することができ、また、揚水ポンプ14によって生じた負圧に吸引されて水が管内を循環するため、発電ユニット15における水車部20では、水車羽根20dの回転を阻害しない真空に近い空間を形成することができる。また、水車羽根20dは、水流11aの有する運動エネルギを効率良く受け取って、回転運動に変換することができるように構成されている。さらに、発電ユニット15における発電機部21が、コギングトルクを減少させて永久磁石による回転抵抗をできるだけ低減させるように構成されている。
【0044】
その結果、本実施形態のマイクロ水力発電システムは、貯水槽10の水を用い、非常に少ないエネルギ消費で効率的に発電を行い、その発電後の水を貯水槽10に戻して循環利用するマイクロ発電システムとして、災害時の非常用電源はもちろんのこと、エネルギ変換過程を、シンプルでコンパクトにパッケージングすることにより、スマートコミニティにおける地域分散型発電装置として、用途に応じた必要量の電気を供給できると共に、高度なメンテナンス技能を必要としない、装置組立を地域別企業が施行し周期保守点検を実施する装置として、より多くの人々がエネルギ供給過程に参加することを可能となる。
【0045】
また、太陽光や深夜電力など、他の様々なマイクロエネルギと併用することで、自然エネルギを背景とした製品として息の長い利用が期待される。さらに、本実施形態のマイクロ発電システムは、システム全体の規模を拡大しても有効であり、より大きな水資源の活用により、大規模発電への応用も可能である。さらに、本実施形態のマイクロ発電システムは、水を循環利用しているためコストを削減することも可能である。
【0046】
図7は本発明の他の実施形態として、マイクロ水力発電システムの構成を概略的に示している。
【0047】
本実施形態のマイクロ水力発電システムは、復水管13と貯水槽10との間に吐出量調整ポンプ19が追加されていることを除いて、
図1の実施形態におけるマイクロ水力発電システムの場合と、全く同じ構成を有している。従って、
図7において、
図1と同じ構成要素には同一の参照番号が付されている。
【0048】
吐出量調整ポンプ19は、揚水ポンプ14によって排出された水に適切な流れを与えるために吐出量調整を行うためのものであり、吐出量と水管内に発生する自然な水流との調整を行う役割を有している。吐出量の調整により適切な水流(吸引力と押す力(落ちてくる力)とのバランスのとれた水流)が発生すると、導水管12の途中に設けた発電ユニット15における水車部20において、水車羽根20dの回転を阻害しない真空に近い空間を形成することができる。
【0049】
本実施形態におけるその他の作用効果は
図1の実施形態の場合と同様である。
【0050】
図8は上述した実施形態の一変更態様として、導水管の構造及び発電ユニットの配置の一例を示している。
【0051】
本変更態様においては、前述の実施形態の場合と同様の発電ユニット85が7つ、導水管82に沿って設けられている。導水管82の形態及び発電ユニット85の配置以外の構成は、上述した実施形態におけるマイクロ水力発電システムの場合と同様であり、従って詳細な説明は省略する。
【0052】
導水管82は、貯水槽10の直下の垂直部82aと、これに続く第1の水平部82bと、これに続く第1の傾斜部82cと、これに続く第2の水平部82dと、これに続く第2の傾斜部82eと、これに続く第3の水平部82fとを有する屈曲管路である。導水管82の第1の水平部82b、第1の傾斜部82c及び第2の傾斜部82eにはそれぞれ2つの発電ユニット85が、第2の水平部85dには1つの発電ユニット85が配置されている。導水管82の第1の傾斜部82c及び第2の傾斜部82eにも発電ユニット85を配置することにより、その配置場所をより多く確保することができる。
【0053】
導水管82全体の長さは、必要とされる発電ユニット85を組み込める程度に適宜に設計される。また、導水管82の太さは、発電量に応じた水流量に基づいて設計される。
【0054】
図9は上述した実施形態の他の変更態様として、導水管の構造及び発電ユニットの配置の一例を示している。
【0055】
本変更態様においては、前述の実施形態の場合と同様の発電ユニット95が6つ、導水管92に沿って設けられている。導水管92の形態及び発電ユニット95の配置以外の構成は、上述した実施形態におけるマイクロ水力発電システムの場合と同様であり、従って詳細な説明は省略する。
【0056】
導水管92は、貯水槽10の直下の第1の垂直部92aと、これに続く第1の水平部92bと、これに続く第2の垂直部92cと、これに続く第2の水平部92dと、これに続く第3の垂直部92eと、これに続く第3の水平部92fと、これに続く第4の垂直部92gと、これに続く第4の水平部92hとを有する屈曲管路である。導水管92の第1の水平部92b、第2の水平部92d及び第3の水平部92fにはそれぞれ2つの発電ユニット95が配置されている。
【0057】
導水管92全体の長さは、必要とされる発電ユニット95を組み込める程度に適宜に設計される。また、導水管92の太さは、発電量に応じた水流量に基づいて設計される。
【0058】
図10は上述した実施形態のさらに他の変更態様として、導水管の構造及び発電ユニットの配置の一例を示している。
【0059】
本変更態様においては、前述の実施形態の場合と同様の発電ユニット105が8つ、導水管102に沿って設けられている。導水管102の形態及び発電ユニット105及び115の配置以外の構成は、上述した実施形態におけるマイクロ水力発電システムの場合と同様であり、従って詳細な説明は省略する。
【0060】
導水管102は、貯水槽10の直下の垂直部102aと、これに続く単一の長い傾斜部102bと、これに続く単一の水平部102cとを有する屈曲管路である。導水管102の傾斜部102bには4つの発電ユニット105が配置されており、水平部102cには4つの発電ユニット115が配置されている。各発電ユニット115の構成については、次の
図11の変更態様において説明する。
【0061】
導水管102全体の長さは、必要とされる発電ユニット105及び115を組み込める程度に適宜に設計される。また、導水管102の太さは、発電量に応じた水流量に基づいて設計される。
【0062】
図11は上述した実施形態のまたさらに他の変更態様として、導水管の構造及び発電ユニットの配置の一例を示しており、
図12は
図11の変更態様の発電ユニットにおける水車部の構成を概略的に示しており、
図13は
図12のA−A線断面を示している。
【0063】
本変更態様においては、前述の実施形態の場合と異なる構造の発電ユニット115が導水管112に沿って6つ設けられている。導水管112の形態並びに発電ユニット115の構成及び配置以外の構成は、上述した実施形態におけるマイクロ水力発電システムの場合と同様であり、従って詳細な説明は省略する。
【0064】
導水管112は、貯水槽10の直下の第1の垂直部112aと、これに続くコ字状の第1の水平部112bと、これに続く第1の傾斜部112cと、これに続くコ字状の第2の水平部112dと、これに続く第2の傾斜部112eと、これに続くコ字状の第3の水平部112fと、これに続く第2の垂直部112gと、これに続く第4の水平部112hとを有する3次元屈曲管路である。導水管112の第1の水平部112b、第2の水平部112d及び第3の水平部112fにはそれぞれ2つの発電ユニット115が配置されている。導水管112を3次元屈曲管路にすることで、発電ユニット115を配置する場所を多く確保することができる。
【0065】
導水管112全体の長さは、必要とされる発電ユニット115を組み込める程度に適宜に設計される。また、導水管112の太さは、発電量に応じた水流量に基づいて設計される。
【0066】
図13に示すように、発電ユニット115は、水車部120と、回転シャフト21aがこの水車部120の回転シャフト120aに連結されており、水車部120の発生した回転力を電力に変換する発電機部21とを備えている。本変更態様においては、発電ユニット115の特に水車部120の構成が前述の実施形態の場合と異なっているが、発電機部21自体の構成は前述の実施形態の場合と同様である。
【0067】
水車部120は、上述した回転シャフト120aと、この回転シャフト120aに同軸に固着された水車羽根120dとを備えている。この水車部120の回転シャフト120aは、導水管112の底面壁を貫通しており、発電機部21の回転シャフト21aに同軸に連結されている。水車羽根120dは、その全体が導水管112の底面に沿って設けられており、
図12に示すように、導水管112の内部を流れ、その内壁から突出している突出部119によって偏移された水流11aによって回転駆動されるように構成されている。この水流11aは、揚水ポンプ14の作動によって生じた負圧に水が吸引されることによって導水管112内に生じる。
【0068】
水車羽根120dは、
図12に示すように、回転シャフト120aの回りに45°の等角度間隔で8枚の水車羽根が設けられており、これら水車羽根の各々は、適度の曲率半径を有する断面を有する平板状の軽量の金属材料又は樹脂材料から構成されている。
【0069】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。