(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016022
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】種蒔き用条溝形成補助具
(51)【国際特許分類】
A01C 5/02 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
A01C5/02 B
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-264088(P2012-264088)
(22)【出願日】2012年12月3日
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3177620号
【原出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-247952(P2013-247952A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】510155988
【氏名又は名称】岡田 博夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博夫
【審査官】
中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−154810(JP,U)
【文献】
実公昭47−017229(JP,Y1)
【文献】
特開2005−295982(JP,A)
【文献】
実公昭41−002507(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 5/00 − 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の板材からなる基台の少なくとも一辺側に段差部を形成し、前記基台の前記段差部と直交する方向に、所要の間隔で複数の溝部を形成し、前記溝部が前記段差部まで達していることを特徴とする条溝形成補助具。
【請求項2】
前記溝部の深さは、段差部の高さよりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載の条溝形成補助具。
【請求項3】
前記基台の一辺側に設けられた段差部と対向する辺側にも段差部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載の条溝形成補助具。
【請求項4】
前記基台の段差部以外の場所を切り欠いた把持部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の条溝形成補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や草花等の種子を蒔くための苗床に、条溝を形成するための条溝形成補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭菜園や小規模農家では、苗床に種蒔用条溝を形成するための作業を機械化することはコストや効率の面で適当でないため、人による手作業で行うのが殆どである。
【0003】
従来、手作業で行う際に用いる条溝形成補助具は、適当な板や丸棒或いはパイプ等、あり合わせのものを用いるのが一般的である。その為に使い勝手が悪く、条溝の深さや幅のばらつきが大きくなることから、発芽時に芽揃いが悪くなるといった欠点があった。
【0004】
このため、これまでも条溝の深さや幅のばらつきを小さくする提案もあった。例えば、特許文献1においては、方形板の両側に停止杆を設け、方形板の裏面に所望数の溝を長さ方向に設けて、育苗箱専用の土押作溝器としたものが開示されている。また、特許文献2においては、一定の間隔を保つ下向き突起と、両側に平らな鍔と、上面に把持部とを備えた条播溝形成具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第昭60−191115号公報
【特許文献2】登録実用新案第昭54−44709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のものは、当該土押作溝器が特定の育苗箱専用であるため、家庭菜園のように、サイズの違う育苗箱やプランター或いは畑の苗床等、不特定な形状の苗床に条溝をつける際には使用できない欠点があった。また、特許文献2に記載のものは、当該土押作溝器は特定の育苗箱専用であるため、家庭菜園のように、サイズの違う育苗箱やプランター或いは畑の苗床等、不特定な形状の苗床に条溝をつける際には使用できない欠点があった。
【0007】
本発明は、家庭菜園や小規模農家において、サイズの違う育苗箱やプランター、或いは畑の苗床等の不特定な形状の苗床に、手作業により野菜や草花等の種蒔き用の条溝を形成する作業においても汎用性があり、使い勝手が良く、形成する条溝の深さと幅のバラつきもなく、発芽時の芽揃いも改善できる安価で簡便な条溝形成補助具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、矩形の板材からなる基台の少なくとも一辺側に段差部形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明では、基台の段差部と直交する方向に、所要の間隔で複数の溝部を形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明では、溝部の深さは、段差部の高さよりも小さくしたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明では、基台の一辺側に設けられた段差部と対向する辺側にも段差部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明では、基台の段差部以外の場所を切り欠いた把持部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果を得られる。
(1)請求項1の構成では、段差部の凸部を苗床に押し込み、段差部の凸部全てが苗床に入ることで段差部の凸部と同じ形状の条溝を一度の操作で形成できる。したがって、必要な条溝長さと条溝数を上記作業の繰り返しで、簡便に均一に形成できる。
【0014】
(2)請求項
1の構成では、
更に基台の段差部と直交する方向に所要の間隔で複数の溝部が形成されており、段差部の凸部を苗床に押し込んだ際、条溝が段差部まで達しているかの目印に成り、条溝の深さ確認を簡単にすることができる。したがって、溝部の下端位置を目視すれば、条溝全体が段差部に達していることを確認でき、条溝全体を一定の深さにできる。
【0015】
(3)請求項
2の構成では、溝部が苗床の土が詰まって見えづらくなるのを効果的に抑えることができる。
【0016】
(4)請求項
3の構成では、基台の対向する両辺側に段差部を設けたので、片側の段差部が長期使用により摩耗や破損した場合でも、対辺側の段差部を使用することで長寿命化することができる。また、対向する両辺の段差部形状を異なる形状とすることにより、形成される条溝の深さや幅を変えることで、種に応じた幅や深さで条溝を形成することもできる。
【0017】
(5)請求項
4の構成では、基台の段差部以外の面を切り欠いた把持部を設けることにより、条溝形成作業時に条溝成形補助具を片手又は両手で確実に支えることができるので、条溝形成作業を正確に効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明を実施するための形態を示した1例の全体説明図である。
【
図2】本発明を溝部が無いものと溝部を設けたものを表す比較図である。
【
図3】本発明の条溝形成補助具の段差部形状を表す断面図である。
【
図4】本発明の条溝形成補助具を用いた状態を表す断面図であり、(a)は
図1のA−Aで示す断面面(b)は
図1のB−Bで示す切断面で切断したものである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【実施例】
【0020】
本発明の実施形態に係る条溝形成補助具1は、
図1に記載されているように、矩形の板材からなる基台2の少なくともその一辺側に段差部3が形成されている。基台2の材質としては、木製・樹脂製・金属製・竹製などの材料が使用できる。段差部3は、その凸部4を苗床10に押し込むことによりその段差部3の凸部4と同じ形状の条溝を一度の操作で形成できるように長手方向長さを設定している。この長さが長尺であればあるほど、1度の作業で形成できる条溝の長さを長くすることが可能であるが、必要以上に長すぎると苗床10に押し付ける際の圧力も強くしなければならず、また基台2の材質によっては重量が重くなるなど取り扱いが困難になる。本実施例においてはプランター等へ条溝を形成することを考慮し、段差部3の長手方向長さを
図1では50センチ、
図2では30センチにしている。段差部3の長さを50センチとした場合は基台2を把持しやすくするために把持部6が2か所設けている。また、段差部3の高さは、4ミリにしている。
【0021】
また、基台2の段差部3と直交する方向には、所要の間隔で複数の溝部5を形成している。この溝部5により段差部3の凸部4が苗床10に差し込んだ際に差し込み深さの目安とすることができる。
図2は、基台2に溝部5を設けていない形態と、溝部5を設けた形態を表した図面である。溝部5を設けていない場合でも、条溝を形成することができるが、溝部5を設けることにより、苗床10に基台2を押し込みする際に、条溝の深さが所要の深さまで達しているかを確認するための目安となり、作業効率を高めることができる。溝部5は、条溝を形成したときに目印としての効果が表れる程度の幅と深さを設定する。溝部5の深さは、苗床10の土が詰まって見えづらくならないように、段差部3の高さよりも小さくするのが望ましい。本実施例では、溝部5の幅を2ミリ、深さを1.5ミリとして、5センチ間隔で形成している。
【0022】
また、条溝を形成後に基台2を条溝と平行に苗床10上に載置し、溝部5の目印を基本として種を蒔くことにより所要の間隔で種を蒔くことができる。
【0023】
更に、基台2には作業者が指を入れて基台2を持つための空間として把持部6が設けられており、この把持部6で基台2を保持することにより確実に基台2が保持できるので、効率良く条溝を形成することが出来る。
【0024】
図3は段差部3の断面と形状を表した図面であり、
図3の(a)は基台2の対向する両辺側に設けた段差部3の凸部4が、苗床10に押し込みされる深さが異なる寸法で、凸部4にテーパーをつけて段差部3を形成している。基台2の両辺に設けた段差部3の、苗床10に対する押し込み深さを異なる形状として使い分けることで、深蒔きを好む種と浅蒔きを好む種に適する条溝を簡単に形成することができる。また、テーパーを段差部3に設けることで、凸部4を苗床10に押し込みする力を軽減することができる。凸部4のテーパー角は鋭角にすれば押し込みに必要な力を軽減できる反面、鋭角過ぎると形成した条溝の底幅も狭くなり大きな種子を蒔くには不適当となるため、種子に応じたテーパー角で形成することが望ましい。
【0025】
また、基台2の対向する両辺側の段差部3を同寸にした場合は、片側の段差部3が長期使用により摩耗や破損した場合でも、対辺側の段差部3を使用することができるので、長寿命化することができる。
【0026】
図3の(b)は段差部3の長手方向を中心として、その左右均等に同じ寸法深さの凸部4を備えた段差部3が形成されている。一辺の左右を均等に同じ深さの段差部3を形成する事で、押し込み方向へ均等に圧力をかけることでき正確に条溝を形成することができる。
【0027】
図3の(c)は基台2の一片側の段差部3において、段差部3の長手方向を中心として、その左右に設けた凸部4の深さ寸法が、苗床10に押し込みした際に異なる深さとなるように形成したものである。一辺に設けた段差部3の凸部4の深さを異なる形状に設けたことで、苗床10に凸部4を押し込みした際に、最初の段差で止めると浅い溝が成形され、更に強く押込み、最後の段差で止めると深い溝を成形することができる。つまり、基台2の一方に設けられた段差部3のみで異なる深さの溝を簡単に成形することができる。
【0028】
図4は、本発明の条溝形成補助具1を用いて苗床10に条溝を形成している作業状態を表す断面図である。苗床10に押し込みされた基台2は段差部3の凸部4が苗床10内に押し込まれることで条溝が形成されるとともに、基台2に設けられた溝部5の下端が苗床10に達しているかを確認することで、所要深さの条溝が形成されたかを容易に確認することができる。
【0029】
溝部5は所要の間隔で形成しているので、条溝を形成した後に条溝と平行に条溝形成補助具1を苗床10に載置すれば、溝部5の間隔を指標として種を蒔くことにより、等間隔に種蒔きすることができるので発芽時の芽揃いも改善できる。
【0030】
本実施例では、基台2や段差部3の寸法を記載しているが、この寸法に限定されるものではなく、形成する条溝の深さや苗床の硬さ等に応じて、適宜な寸法で製作すればよい。
【符号の説明】
【0031】
1 条溝形成補助具
2 基台
3 段差部
4 凸部
5 溝部
6 把持部
10 苗床面