(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
はじめにマルチロータヘリコプタ100の基本的な構成および動作について
図1〜6を参照しながら具体的に説明し、空気流調節部2000などに関するマルチロータヘリコプタ100の構成および動作については
図7〜13を主として参照しながら後に詳しく説明する。
【0020】
まず、本実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の概要について、
図1を用いて説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の概要を示す図である。
【0022】
図1に示す様に、本実施の形態のマルチロータヘリコプタ100は、リモートコントローラ1からの飛行開始コマンドなどに基づく飛行が可能であると共に、GPS衛星2から送信される電波を受信して、自動操縦による自律飛行が可能に構成されている。
【0023】
また、本実施の形態のマルチロータヘリコプタ100は、予め定められた圃場領域内を飛行しながら、農薬等の薬液散布を行う構成であり、少なくとも散布対象となる圃場3の位置情報と駐機場4の位置情報とバッテリユニット400の落下場所の位置情報とをメモリ部340(
図6参照)に格納可能に構成されている。
【0024】
尚、本実施の形態では、メモリ部340に格納されるべき上記各種位置情報は、オペレータがリモートコントローラ1を操作することにより入力する構成である。
【0025】
また、リモートコントローラ1には、USB挿入口(図示省略)が設けられている。また、リモートコントローラ1は、無線方式(RF)リモコンでも良いし、赤外線方式(IR)リモコンでも良い。
【0026】
また、本実施の形態のマルチロータヘリコプタ100は、ロータ駆動用モータ(
図2、
図6参照)などを駆動するためのバッテリユニット400を複数搭載しており(
図3参照)、予め定められた圃場領域内を飛行中にバッテリユニット400の充電残量が基準値以下になると、所定の落下場所5aまたは5bの上空まで飛行して、その該当するバッテリユニット400を機体から切り離して、所定の落下場所5aまたは5bに落下させる構成である。
【0027】
次に、本実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の構成について、
図2、
図6を用いて説明する。
【0028】
図2は、マルチロータヘリコプタ100の構成を説明するための概略斜視図である。
図6は、マルチロータヘリコプタ100の制御関係の構成を示すブロック図である。
【0029】
図2に示す通り、マルチロータヘリコプタ100は、両端にロータ用モータ101aと101bが取り付けられた第1モータステイ103aと、第1モータステイ103aに略直交配置されて、両端にロータ用モータ101cと101dが取り付けられた第2モータステイ103bと、それぞれのロータ用モータ101a〜101dに取り付けられると共に、略同一平面上において第1モータステイ103aと第2モータステイ103bの交差点104から等距離離れた位置に配置されたプロペラ102a〜102dと、複数の薬液散布ノズル105が取り付けられると共に、交差点104を通り第1モータステイ103a及び第2モータステイ103bとの成す角度が略45度である薬液パイプ106と、薬液パイプ106内に供給される薬液を貯留する為の、機体の中央であって交差点104の上方に固定された薬液タンク107とを備えている。
【0030】
尚、本実施の形態では、薬液パイプ106の薬液散布ノズル105が取り付けられている部分の長さは両端側からそれぞれ約2mとし、薬液タンク107の容量は約10リットルとした。
【0031】
また、マルチロータヘリコプタ100は、
図2に示す通り、機体の中心であって薬液タンク107の下方に配置され、制御部301(
図6参照)等が収納された制御ユニット部300と、制御ユニット部300の下面に着脱可能に取り付けられた、ロータ用モータ101a〜101dや各種電気部品等を駆動させるための充電可能なバッテリユニット400を複数収納するバッテリユニット収納部200と、制御ユニット部300の両側面に固定された左右一対のソリ型のスキッド108a、108bとを備えている。
【0032】
尚、複数のバッテリユニット400a〜400eを収納したバッテリユニット収納部200は、独立して供給可能な構成である。
【0033】
また、制御ユニット部300には、
図6に示す様に、制御部301と、バッテリユニット400(400a〜400e)の充電量の残量を検出するバッテリユニット充電残量検出部310と、薬液タンク107内の薬液残量を検出する薬液残量検出部320と、リモートコントローラ1との信号の送受信を行う為の通信部330と、上述したメモリ部340と、GPS衛星2からの電波を受信するGPS受信部350と、マルチロータヘリコプタ100の飛行姿勢を制御するために設けられたジャイロセンサ360及び加速度センサ370と、高度を検知する高度センサ365と、が配置されており、制御部301は、制御ユニット部300に配置された上記全ての構成要素との間で電気的に接続され、制御信号や各種検出結果等の送受信が可能に構成されている。
【0034】
また、通信部330は、リモートコントローラ1が無線方式(RF)リモコンで構成されている場合は、無線方式の受信部・送信部を備え、リモートコントローラ1が赤外線方式(IR)リモコンで構成されている場合は、赤外線方式の受信部・送信部を備えている。
【0035】
また、制御部301は、薬液タンク107と薬液パイプ106との間の薬液供給経路(図示省略)の途中に配置された薬液散布用ポンプ380、及び後述するワイヤ切断装置390(390a〜390e)に対しても電気的に接続されており、制御信号を送信可能に構成されている。
【0036】
また、本実施の形態では、マルチロータヘリコプタ100が犯罪行為などに悪用されるのを未然に防止する為に、マルチロータヘリコプタ100の販売段階において、マルチロータヘリコプタ100の飛行対象地域について、購入者による登録を義務づけておき、その登録された飛行対象地域に対応した位置情報が暗号化されて、メモリ部340に書き換え不能に予め格納される構成である。
【0037】
尚、バッテリユニット400a〜400eは、切り替え回路395(
図6参照)を介してそれぞれ電源供給ライン(図示省略)に並列接続されており、制御部301からの制御信号を受信した切り替え回路395により、バッテリユニット400a〜400eの接続が順次切り替えられて連続的に電源供給を行う構成である。
【0038】
次に、バッテリユニット400、及びバッテリユニット収納部200の構成について、
図3(a)〜
図5(b)を用いて更に説明する。
【0039】
図3(a)はバッテリユニット400の平面図であり、
図3(b)は
図3(a)のA−A’断面矢視図である。
【0040】
図4はバッテリユニット収納部200の構成を示した概略斜視図である。
【0041】
尚、
図4では、図面を見易くする為に、バッテリユニット400a〜400eについては、バッテリセル420、長方形状の開口部411、及び三角形状の開口部412の図示を省略した。更に、図面を見易くする為に、バッテリユニット400b、400cについては、衝撃吸収用のクッション部材430の図示を省略した。
【0042】
また、
図5(a)はバッテリユニット400が地上に対して垂直姿勢で落下した状況を示す模式図であり、
図5(b)はバッテリユニット400が地上に対して傾斜姿勢で落下した状況を示す模式図である。
【0043】
バッテリユニット400は、
図3(a)、
図3(b)に示す様に、中央に円形状の開口部413を有するドーナツ状の基板410と、基板410の主面410a上に等間隔に複数配置されたバッテリセル420と、基板410の外周端縁部の内、
図3(a)に示す基板410の上側端縁部と下側端縁部にそれぞれ固定された、断面が略円形状のゴム製の衝撃吸収用のクッション部材430とにより構成されている。
【0044】
また、基板410には、主面410a上に配置された各バッテリセル420の正極(図示省略)及び負極(図示省略)を、それぞれ電気的に直列接続する為の配線パターン(図示省略)が主面410a上にプリント形成されており、正極側高速充電用電極440aと負極側高速充電用電極440bに接続されている。高速充電装置(図示省略)により、正極側高速充電用電極440aと負極側高速充電用電極440bを介して、バッテリユニット400の高速充電が行える構成である。
【0045】
また、基板410の主面410a上の左右両端側に形成された正極側高速充電用電極440aと負極側高速充電用電極440bには、ワイヤ切断装置390(390a〜390e)にバッテリユニット400(400a〜400e)をつり下げると共に、バッテリユニット400(400a〜400e)を電源供給ライン(図示省略)に電気的に接続する為の左右一対の電源供給ワイヤ441の一端部がそれぞれ半田接続されている。
【0046】
尚、左右一対の電源供給ワイヤ441の他端部は、ワイヤ切断装置390(390a〜390e)に対して連結されており、バッテリユニット400(400a〜400e)をバッテリユニット収納部200に垂直につり下げる構成である。
【0047】
また、基板410において、バッテリセル420が配置される下面にはバッテリセル420の投影面積より小さい長方形状の開口部411が設けられており、更に、隣接配置されたバッテリセル420同士の間には三角形状の開口部412が設けられている。
【0048】
基板410に設けられた長方形状の開口部411、三角形状の開口部412、及び円形状の開口部413により、バッテリユニット400の重量の軽減が図られる。
【0049】
また、基板410に設けられた長方形状の開口部411により、バッテリセル420の背面が空気に触れるので、背面からの放熱が促進され、バッテリセル420を冷却する為の冷却ファンなどは不要である。
【0050】
また、バッテリセル420は、出力が3.7V、4000mAの薄型リチウムイオン二次電池で構成されており、その外形寸法は略120mm×65mm×3mmの薄型長方形状である。
【0051】
本実施の形態のバッテリユニット400は、バッテリセル420を6個搭載しているので、22.2Vの電圧を供給する。
【0052】
また、上記の通り、基板410には、配線パターンがプリント形成された構成であるので、バッテリセル420同士を電気的に接続する配線類のハーネス処理が不要であると共に、配線類が不要になった分、バッテリユニット400の重量を軽くすることが出来る。
【0053】
尚、本実施の形態のバッテリユニット400の重量は略1kgである。
【0054】
また、基板410の上側端縁部と下側端縁部にそれぞれ固定された衝撃吸収用のクッション部材430により、バッテリユニット400がバッテリユニット収納部200に収納されているときは、衝撃吸収用のクッション部材430が緩衝材の役割を果たすので、隣接するバッテリユニット400の基板410やバッテリセル420が互いにぶつかり合うのを防止出来る。また、電源供給ワイヤ441が切断されて、バッテリユニット400が、
図5(a)、
図5(b)に示す様にどの様な姿勢で地上に落下した場合でも、衝撃吸収用のクッション部材430が落下時の衝撃を吸収するので基板410及びバッテリセル420の破損を防止出来る。
【0055】
本実施の形態のバッテリユニット収納部200は、
図4に示す様に、下面に開口部210が形成されて内部に収納スペースを有する直方体状の収納部本体220と、収納部本体220の天井部と両側の側壁部が交差する角部において、それら両端の角部に対向配置された5対のワイヤ切断装置390(390a〜390e)と、により構成されている。
【0056】
バッテリユニット収納部200の内部の収納スペースには、5つのバッテリユニット400a〜400eが、左右一対の電源供給ワイヤ441を介して各ワイヤ切断装置390(390a〜390e)からつり下げられている。
【0057】
各ワイヤ切断装置390(390a〜390e)には、それぞれ電源供給ワイヤ441の電気的接続を維持すると同時に機械的連結を保持する連結保持部(図示省略)と、制御部301から所定の制御信号を受けた際に、連結保持部により保持されている電気的接続及び機械的連結を、電源供給ワイヤ441を鋏(図示省略)で切断することにより解除する切断部(図示省略)とが内蔵されている。
【0058】
ここで、電源供給ワイヤ441の電気的接続とは、電源供給ワイヤ441が切り替え回路395を介して電源供給ライン(図示省略)と電気的に接続されていることを意味している。また、電源供給ワイヤ441の機械的連結とは、電源供給ワイヤ441が、各ワイヤ切断装置390(390a〜390e)の連結保持部(図示省略)に対して機械的に連結されていることを意味している。
【0059】
例えば、天井部の中央に設けられた一対のワイヤ切断装置390a、390aが制御部301から所定の制御信号を受けた際、切断部の鋏により一対の電源供給ワイヤ441が順次切断されて、収納部本体220の下面に設けられた開口部210から下方に向けて自重により落下する構成である。
【0060】
以上においては、マルチロータヘリコプタ100の基本的な構成および動作について
図1〜6を参照しながら具体的に説明した。
【0061】
つぎに、空気流調節部2000の構成および動作について
図7を主として参照しながら詳しく説明する。
【0062】
ここに、
図7は、本発明における実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の空気流調節部2000近傍の模式的な斜視図である。
【0063】
図7においては、理解をより容易にするために、空気流調節部2000がその下部に内蔵されている制御ユニット部300、およびバッテリユニット収納部200が一点鎖線で仮想的に示されている(以下同様)。
【0064】
なお、マルチロータヘリコプタ100は、本発明の飛行体の一例である。
【0065】
また、プロペラ102a〜102dは、本発明のプロペラの一例である。
【0066】
また、バッテリセル420は本発明のバッテリ
又は燃料電池の一例であり、バッテリユニット400a〜400eは本発明の
ユニットの一例であり、バッテリユニット収納部200は本発明の
ユニット収納部の一例である。
【0067】
また、空気流調節部2000は本発明の空気流調節部の一例であり、遮蔽板2100は本発明のプレートの一例であり、空気流流路開閉メカニズム2200は本発明のプレート移動機構の一例である。
【0068】
前述されたように、バッテリユニット収納部200は、プロペラ102a〜102dを駆動するための6個のバッテリセル420を有するバッテリユニット400a〜400eを収納する収納部であり、プロペラ102a〜102dの下方に配置されている。
【0069】
バッテリセル420は、本実施の形態においてはリチウムイオン二次電池で構成されているが、燃料電池で構成されていてもよい。
【0070】
そして、空気流調節部2000は、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]より高い場合には、駆動されるプロペラ102a〜102dからの空気流をバッテリユニット収納部200へ流す調節部であり、プロペラ102a〜102dとバッテリユニット収納部200との間に配置されている。
【0071】
薬液タンク107、空気流調節部2000、プロペラ102a〜102dおよびバッテリユニット収納部200などを配置するレイアウトは、任意である。たとえば、空気流調節部2000の上方に固定された約10リットルの容量をもつ一つの薬液タンク107が利用されるのではなく、空気流調節部2000の下方に固定された約5リットルの容量をもつ二つの薬液タンク107が利用されてもよい。
【0072】
本実施の形態においては、10kg程度の機体重量および15kg程度のペイロードに対応した鉛直方向の浮遊推力および水平方向の運動推力を与えるプロペラ102a〜102dからのダウンバーストを後述の如き空気冷却に効率よく利用するために、バッテリユニット収納部200がプロペラ102a〜102dの下方に配置されており、プロペラ102a〜102dとバッテリユニット収納部200との間に位置し上面および下面が開放された制御ユニット部300においては、制御部301などが制御ユニット部300の上部に空気流を遮らないように右内壁を利用して取り付けられ、空気流調節部2000が制御ユニット部300の下部に内蔵されるレイアウトが採用されている(
図2参照)。
【0073】
すなわち、バッテリセル420を構成する電池の種類に応じたある程度の高い温度がバッテリセル420での発電にはしばしば適切または必要であるので、低温領域においては空気流を流すことによる空気冷却は不必要または不適切な処理である。
【0074】
しかしながら、過度に高い温度はバッテリセル420での発電にはしばしば不適切であるので、高温領域においては空気流を流すことによる空気冷却は必要な処理である。
【0075】
たとえば、バッテリセル420が燃料電池で構成されている場合においては、
(数1)
T=120[℃]
である。
【0076】
発熱をともなう燃料電池発電を継続的に行うためには、空気冷却は特に必要である。
【0077】
空気流調節部2000についてより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0078】
空気流調節部2000は、遮蔽板2100と、空気流流路開閉メカニズム2200と、を有する。遮蔽板2100は、駆動されるプロペラ102a〜102dからバッテリユニット収納部200への空気流を流すまたは遮るように、空気流の流路に配置された、移動可能なプレートである。空気流流路開閉メカニズム2200は、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]より高い場合には、空気流を流すように、形状記憶合金を利用して遮蔽板2100を移動させるプレート移動機構である。
【0079】
本実施の形態においては、4枚の遮蔽板2100が利用されるので、4個の空気流流路開閉メカニズム2200が利用される。
【0080】
そして、それぞれの遮蔽板2100は、対応するそれぞれの空気流流路開閉メカニズム2200によって、駆動されるプロペラ102a〜102dからバッテリユニット収納部200への空気流を流すまたは遮るように移動される。
【0081】
遮蔽板2100がアルミニウムまたは樹脂などの軽量な素材を利用して設けられていることが、望ましい。
【0082】
さて、空気流流路開閉メカニズム2200は、遮蔽板移動メタル2210と、遮蔽板移動メタル固定ビーム2220と、を有する。
【0083】
遮蔽板移動メタル固定ビーム2220は、制御ユニット部300の内壁を利用して設けられた、長手方向がマルチロータヘリコプタ100の前後方向である長板形状のビーム部材である。
【0084】
遮蔽板移動メタル2210は、形状記憶合金を利用して設けられた、ヒンジの如き薄板形状のメタル部材である。
【0085】
遮蔽板移動メタル2210の下半部分は遮蔽板移動メタル固定ビーム2220の左側面に固定されており、遮蔽板移動メタル2210の上半部分は遮蔽板2100の下面に固定されている。
【0086】
遮蔽板移動メタル2210を設けるために利用される形状記憶合金は、たとえば、チタンとニッケルとの合金であり、その変態点にほぼ一致する所定温度T[℃]より高い温度の高温領域において、遮蔽板移動メタル2210の上半部分が遮蔽板移動メタル2210の下半部分に折り重なるように曲げられた初期形状を回復する超弾性をもつ。
【0087】
いうまでもなく、遮蔽板移動メタル2210は、マルチロータヘリコプタ100の離陸前には、低温領域における形状記憶合金の十分な剛性を利用して、上半部分が下半部分に折り重ならないように曲げられる。
【0088】
したがって、遮蔽板2100は、つぎにより詳しく説明するように、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]より高い場合には、空気流を流すように移動させられる。
【0089】
まず、
図8に示されているように、マルチロータヘリコプタ100の離陸直後においては、遮蔽板移動メタル2210は上半部分が下半部分に折り重ならないように曲げられており、遮蔽板2100の主面がほぼ水平面内に含まれている。
【0090】
ここに、
図8は、本発明における実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の空気流調節部2000近傍の、遮蔽板2100が空気流を遮るように移動させられている場合における模式的な正面図である。
【0091】
マルチロータヘリコプタ100の離陸直後の時間帯においては、バッテリセル420での発電が開始されてからの経過時間がまだ大きくなく、バッテリセル420の温度、したがってバッテリセル420に近接する遮蔽板移動メタル2210の温度がそれほど高くない。
【0092】
たとえば、バッテリセル420がリチウムイオン二次電池で構成されている場合においてはリチウムイオン電池発電にともなう発熱量はまだそれほど大きくなく、バッテリセル420が燃料電池で構成されている場合においては燃料電池発電に必要な昇温がしばしば行われている。
【0093】
形状記憶合金は低温領域において十分な剛性をもつので、遮蔽板2100の主面がほぼ水平面内に含まれる状態が安定的に実現される。そして、遮蔽板2100が前述の如く空気流を遮るように移動させられる、低温領域に適合した処理が、実行される。
【0094】
ついで、
図9に示されているように、マルチロータヘリコプタ100の巡航中においては、遮蔽板移動メタル2210は上半部分が下半部分に折り重なるように曲げられており、遮蔽板2100の主面がほぼ鉛直面内に含まれている。
【0095】
ここに、
図9は、本発明における実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の空気流調節部2000近傍の、遮蔽板2100が空気流を流すように移動させられている場合における模式的な正面図である。
【0096】
マルチロータヘリコプタ100の巡航中の時間帯においては、バッテリセル420での発電が開始されてからの経過時間がある程度は大きくなっており、バッテリセル420の温度、したがってバッテリセル420に近接する遮蔽板移動メタル2210の温度がかなり高くなっている。
【0097】
たとえば、バッテリセル420がリチウムイオン二次電池で構成されている場合においてはリチウムイオン電池発電にともなう発熱量はある程度は大きくなっており、バッテリセル420が燃料電池で構成されている場合においては発熱をともなう燃料電池発電が継続的に行われている。
【0098】
形状記憶合金は高温領域において初期形状を回復する超弾性をもち、上方からの空気流は遮蔽板2100を下方に押し下げるので、遮蔽板2100の主面がほぼ鉛直面内に含まれる状態が安定的に実現される。そして、遮蔽板2100が前述の如く空気流を流すように移動させられる、高温領域に適合した処理が、実行される。
【0099】
ところで、マルチロータヘリコプタ100の巡航時間は、高々1時間程度である。
【0100】
したがって、バッテリセル420の温度が離陸から巡航への移行の後に所定温度T[℃]より高くなって、空気流を流すことによる空気冷却が行われているにもかかわらず、バッテリセル420の温度が巡航中において再び所定温度T[℃]以下になる可能性は高くない。
【0101】
しかしながら、つぎにより詳しく説明するように、バッテリセル420の温度が巡航中において再び所定温度T[℃]以下になる可能性を考慮して、一旦は空気流を流すように移動させられた遮蔽板2100が再び空気流を遮るように移動させられてもよい。
【0102】
たとえば、
図10に示されているような構成が、利用されてもよい。
【0103】
ここに、
図10は、本発明における別の実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の空気流調節部2000近傍の、遮蔽板2100が空気流を遮るように移動させられている場合における模式的な正面図である。
【0104】
同構成においては、遮蔽板引き上げバイアスばね2221が、設けられている。
【0105】
遮蔽板引き上げバイアスばね2221の上端部分は遮蔽板移動メタル固定ビーム2220の左側面に固定されており、遮蔽板引き上げバイアスばね2221の下端部分は遮蔽板2100の上面に固定されており、遮蔽板2100が空気流を遮るように移動させられている場合における遮蔽板引き上げバイアスばね2221の長さは自然長である。
【0106】
したがって、遮蔽板2100は、形状記憶合金が高温領域において初期形状を回復する超弾性をもつので、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]より高い場合には、空気流を流すように下方へ移動させられる。
【0107】
そして、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]以下になると、遮蔽板引き上げバイアスばね2221の長さを自然長にする付勢力が作用するので、空気流を流すように下方へ移動させられた遮蔽板2100が空気流を遮るように上方へ移動させられる。
【0108】
あるいは、
図11に示されているような構成が、利用されてもよい。
【0109】
ここに、
図11は、本発明におけるまた別の実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の空気流調節部2000近傍の、遮蔽板2100が空気流を遮るように移動させられている場合における模式的な正面図である。
【0110】
同構成においては、遮蔽板移動メタル2210を設けるために利用される形状記憶合金が、その変態点にほぼ一致する所定温度T[℃]より高い温度の高温領域において、遮蔽板移動メタル2210がほぼ平坦である初期形状を回復する超弾性をもつ。
【0111】
遮蔽板移動メタル2210の下半部分は遮蔽板移動メタル固定ビーム2220の左側面に固定されており、遮蔽板移動メタル2210の上半部分は遮蔽板2100の上面に固定されている。
【0112】
したがって、
図12に示されているように、遮蔽板2100は、形状記憶合金が高温領域において初期形状を回復する超弾性をもつので、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]より高い場合には、空気流を流すように上方へ移動させられる。
【0113】
ここに、
図12は、本発明におけるまた別の実施の形態のマルチロータヘリコプタ100の空気流調節部2000近傍の、遮蔽板2100が空気流を流すように移動させられている場合における模式的な正面図である。
【0114】
そして、バッテリセル420の温度が所定温度T[℃]以下になると、遮蔽板2100の自重にともなう重力が作用するので、空気流を流すように上方へ移動させられた遮蔽板2100が空気流を遮るように下方へ移動させられる(
図11参照)。
【0115】
かくして、高温領域において初期形状を回復する超弾性をもった形状記憶合金が利用されるので、遮蔽板2100は、電気的な駆動源などを必要とする制御系および動力系に依存しない、軽量、簡素および廉価な機構により鉛直方向において移動させられる。
【0116】
なお、高温領域において初期形状を回復する超弾性をもった形状記憶合金が利用されるのではなく、低温領域において初期形状を回復する弾性をもった素材が利用されてもよい。何れにせよ、高温領域から低温領域への移行にともなって変態が発生する温度は、低温領域から高温領域への移行にともなって変態が発生する温度と厳密に一致しないことがあるが、バッテリセル420の温度に応じた可逆的な変態を利用して遮蔽板2100を鉛直方向において移動させることができる。たとえば、形状記憶合金が利用されるのではなく、相異なる熱膨張率をもつ2枚の金属板が貼り合わせられたバイメタルなどが利用されてもよいことは、いうまでもない。
【0117】
また、遮蔽板2100は、鉛直方向において移動させられるのではなく、水平方向において移動させられてもよい。
【0118】
また、バッテリユニット収納部200は、複数のバッテリユニット400a〜400eを収納するのではなく、単数のバッテリユニットを収納してもよい。
【0119】
そして、前述されたように、バッテリユニット収納部200が複数のバッテリユニット400a〜400eを収納するとき、所定の条件が満たされる場合には複数のバッテリユニット400a〜400eの一部は飛行中に落下されてもよい。
【0120】
たとえば、バッテリセル420が燃料電池で構成されている場合においては、飛行継続時間が機体の軽量化にともなってより大きくなるように、使用済みの固体高分子型燃料電池の水素貯蔵合金カートリッジがマルチロータヘリコプタ100の機体重心位置への悪影響が発生しない範囲で落下されてもよい。
【0121】
また、バッテリユニット400a〜400eは、複数のバッテリセル420を有するのではなく、単数のバッテリセル420を有してもよい。
【0122】
そして、バッテリユニット400a〜400eが複数のバッテリセル420を有するとき、複数のバッテリセル420は並列接続されており、複数のバッテリセル420のそれぞれの正極側には電流の逆流を抑制するダイオードが接続されていてもよい。
【0123】
たとえば、
図13に示されているように、バッテリユニット400aが2個のバッテリセル420を有するとき、2個のバッテリセル420は並列接続されており、2個のバッテリセル420のそれぞれの正極側には電流の逆流を抑制するダイオードDが接続されていてもよい。
【0124】
ここに、
図13は、本発明におけるさらにまた別の実施の形態のマルチロータヘリコプタ100のバッテリユニット400aの模式的な回路図である。
【0125】
なお、ダイオードDは、本発明
に関連する発明のダイオードの一例である。
【0126】
ダイオードDについてより具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0127】
マルチロータヘリコプタ100に搭載されるバッテリセルに関しては、必要な瞬時の最大電流値に対応した単数のバッテリセルがしばしば利用される。
【0128】
電池性能を表現するための電流値1C(Capacity)は、公称容量値W[mAh]のバッテリセルにおける1[h]の定電流放電が行われるときの電流値として
(数2)
1C=W[mA]
によって定義される。
【0129】
そこで、たとえば、1C=4200[mA]であるとき、60C程度の電流値が瞬時の最大電流値として要求され、30C程度の電流値が定格の最大電流値として要求されるのであれば、60C程度の瞬時の最大電流値に対応した単数のバッテリセルをリチウムイオン二次電池で構成する実施例が考えられる。
【0130】
しかしながら、このような60C程度の瞬時の最大電流値に対応した単数のバッテリセルを構成するリチウムイオン二次電池においては、電極板が厚くなりがちであるので、抵抗がしばしば大きくなり、重量増加および価格上昇が懸念される。
【0131】
そこで、単数のバッテリセルを全体電池として利用するのではなく、複数のバッテリセルを複合電池として利用することが、望ましい。
【0132】
より具体的には、たとえば、バッテリユニット400aが有する2個のバッテリセル420の内の第一のバッテリセル420を60C程度の瞬時の最大電流値に対応したリチウムイオン二次電池で構成し、第二のバッテリセル420を30C程度の定格の最大電流値に対応した燃料電池で構成することが、望ましい。
【0133】
このとき、マルチロータヘリコプタ100の離陸直後の時間帯においてはリチウムイオン二次電池で構成されたバッテリセル420が60C程度の瞬時の最大電流値に対応するために利用され、マルチロータヘリコプタ100の巡航中の時間帯においては燃料電池で構成されたバッテリセル420が30C程度の定格の最大電流値に対応するために利用される。
【0134】
もちろん、たとえば、切り替え回路395(
図6参照)が、第一および第二のバッテリセル420の内の利用されるべきバッテリセルの切り替えに利用されてもよい。
【0135】
しかしながら、第一および第二のバッテリセル420の抵抗がほぼ同じであっても、第一のバッテリセル420の放電が行われているときには第二のバッテリセル420の充電が行われやすく、第二のバッテリセル420の放電が行われているときには第一のバッテリセル420の充電が行われやすい。
【0136】
充電が行われるとエネルギーロスは小さくなるが、たとえば、一方のバッテリセル420の放電が頻繁に行われると、他方のバッテリセル420の放電がこれにともなって頻繁に行われやすいので、他方のバッテリセル420の劣化が惹起される恐れがある。
【0137】
したがって、前述されたように、並列接続されている2個のバッテリセル420のそれぞれの正極側には電流の逆流を抑制するダイオードDが接続されていることが、望ましい。
【0138】
ダイオード挿入にともなう価格上昇が懸念される場合には、並列接続されている2個のバッテリセル420の内の何れか一方の正極側にのみ電流の逆流を抑制するダイオードDが接続されていてもよい。