(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、被帯電体の帯電ムラを低減するとともに、静電植毛により帯電部材に設けられ複数の接触子の抜けを抑制または防止することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の帯電装置は、無端筒状の可撓性基材の外周表面に塗布された導電性の接着剤により接着され
、前記可撓性基材の外周から放射状に延在した導電性の複数の接触子を備え、帯電電圧が印加されることにより静電吸着力のみまたは静電吸着力と自重のみで被帯電体に圧力を加えた状態で吸着されるとともに、前記被帯電体の表面を帯電させる
帯電ブラシである帯電部材と、前記可撓性基材の内径よりも小さな直径で形成されて外周の一部が前記可撓性基材の内周の一部に接した状態で前記可撓性基材の筒内に挿入され、前記帯電部材を支持するとともに当該帯電部材を撓んだ状態で前記被帯電体の表面に接触させるシャフトと、前記帯電部材に対して帯電電圧を印加する電圧印加部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記電圧印加部材は、前記可撓性基材の内側から帯電電圧を印加するように前記可撓性基材の内側に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記電圧印加部材は、前記可撓性基材の外側から帯電電圧を印加するように前記可撓性基材の外側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の発明において、前記帯電部材を取り囲むようにして支持する支持部材を備え、前記電圧印加部材は、前記支持部材の内側に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の本発明の画像形成装置は、被帯電体の表面に帯電処理を施す請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電装置と、前記帯電処理後の前記被帯電体に対して露光処理を施す露光手段と、前記露光処理後の前記被帯電体に対して現像処理を施す現像手段と、前記現像処理により前記被帯電体の表面に形成された現像剤像を被転写体に転写する転写手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、被帯電体の帯電ムラを低減するとともに、静電植毛により帯電部材に設けられた複数の接触子の抜けを抑制または防止することが可能になる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、帯電部材を小型にすることが可能になる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、可撓性基材が絶縁体であっても帯電部材に対して帯電電圧を印加することが可能になる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、可撓性基材の筒内側の支持部材を無くすことが可能になる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、画像欠陥の発生を抑制または防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は本発明の一実施の形態に係る画像形成装置1の一例の概念図である。
【0023】
本実施の形態の画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンタであり、複数の作像ユニット20と、中間転写ベルト(被転写体の一例)30と、バックアップロール41および二次転写ロール42の対と、用紙供給トレイ50a,50bと、用紙搬送系60と、定着装置70とを備えている。
【0024】
作像ユニット20は、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成する4つのカラー用の作像ユニット20Y,20M,20C,20Kと、例えば透明色のトナー像を転写する透明色用の作像ユニット20CL,20CLとを備えており、各色の画像情報に応じて形成したトナー像を中間転写ベルト30に一次転写するようになっている。
【0025】
これら6基の作像ユニット20CL,20Y、20M、20C、20Kは中間転写ベルト30の回転方向に沿って透明色、透明色、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の順に配置されている。なお、透明色に代えて、例えばライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアンまたはライトブラックのような淡色のトナー像を転写する淡色用の作像ユニットを設けても良い。また、透明色用の作像ユニット20CLと淡色用の作像ユニットとの両方を並べて設けても良い。
【0026】
各作像ユニット20は、感光体ドラム(被帯電体の一例)21と、感光体ドラム21の表面を予め決められた電位に帯電させる帯電装置80と、帯電された感光体ドラム21上にレーザ光Lを照射して静電潜像を形成する露光装置(露光手段の一例)23と、露光装置23により感光体ドラム21上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置(現像手段の一例)24と、感光体ドラム21上のトナー像を一次転写部において中間転写ベルト30に転写する一次転写ロール(転写手段の一例)25と、トナー像を転写した後の感光体ドラム21の表面から残留トナーや紙粉等を除去するドラムクリーナ26とを備えている。なお、各作像ユニット20の上方には、現像装置24に現像剤を供給するトナーカートリッジ27が設置されている。
【0027】
各作像ユニット20の一次転写ロール25は、各感光体ドラム21との間に中間転写ベルト30を挟むようにして配置されている。そして、各一次転写ロール25にトナーの帯電電極に対して逆極性の転写バイアス電圧が印加されることにより、感光体ドラム21と一次転写ロール25との間に電界が形成され、感光体ドラム21上で電荷を帯びているトナー像がクーロン力により中間転写ベルト30に転写されるようになっている。
【0028】
上記中間転写ベルト30は、各作像ユニット20により形成された各色成分のトナー像が順次転写(一次転写)され保持される部材である。この中間転写ベルト30は、複数の支持ロール31a〜31fおよびバックアップロール41に掛け渡された状態で無端状に形成されており、反時計回りの方向に回転しながら各色の作像ユニット20CL,20Y,20M,20C,20Kのトナー像の一次転写を受けるようになっている。
【0029】
上記バックアップロール41および二次転写ロール42の対は、中間転写ベルト30上に多重転写されたトナー像を用紙(被転写体の一例)等に一括転写(二次転写)してフルカラー画像を形成するための機構部であり、中間転写ベルト30を挟んで互いに対向した状態で配置されている。バックアップロール41と、二次転写ロール42との対向部が二次転写ニップ部になっている。
【0030】
バックアップロール41は、中間転写ベルト30の裏面側に回転自在に設置され、二次転写ロール42は、中間転写ベルト30のトナー像転写面に対向した状態で回転自在に設置されている。バックアップロール41と二次転写ロール42とは、その各々の回転軸方向(
図1紙面に垂直な方向)が互いに沿うように配置されている。
【0031】
中間転写ベルト30のトナー像の転写においては、バックアップロール41にトナーの帯電極性と同極性の電圧を印加するか、または、二次転写ロール42にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加する。これにより、バックアップロール41と二次転写ロール42との間に転写電界が形成され、中間転写ベルト30上に保持された未定着トナー像が用紙上に転写される。
【0032】
上記用紙供給トレイ50a,50bには、各種のサイズおよび厚さの用紙等が収容されている。用紙供給トレイ50a,50b内の用紙は、用紙搬送系60のピックアップロール(図示せず)により引き出された後、用紙搬送系60のレジストロール62によりタイミングが制御され二次転写ニップ部に導入されてトナー像が転写され、さらにその後、用紙搬送系60の搬送ベルト63,64を通じて定着装置70へと搬送される。
【0033】
定着装置70は、二次転写部において用紙等に転写された未定着のトナー像を熱圧着により用紙に定着させる装置であり、加熱ロール70aと、これに対向する位置に設けられた加圧ロール70bとを備えている。
【0034】
二次転写後の用紙は、加熱ロール70aと加圧ロール70bとの対向間の定着ニップ部に搬送され、加熱ロール70aと加圧ロール70bとに挟まれた状態で排出される。この時、用紙等が加熱ロール70aにより加熱されるとともに、加圧ロール70bにより加圧されることにより、トナー像が用紙等に定着される。この定着装置70を通過した用紙等は、搬送ベルト65を通じて排出ロール(図示せず)に送られ、画像形成装置1の外部に排出されるようになっている。
【0035】
次に、
図2は
図1の画像形成装置1の作像ユニット20の概念図、
図3は
図2を上方から見た帯電装置80の帯電ブラシ81の平面図である。
【0036】
感光体ドラム21は、円筒形状に形成されており、矢印R1に示す時計回りの方向に回転駆動するように設けられている。感光体ドラム21は、円筒状の導体基板(図示せず)の外周に電荷発生層および電荷輸送層等のような感光層(図示せず)が積層されることにより形成されている。なお、感光体ドラム21の円筒状の導体基板は接地電位に電気的に接続されている。
【0037】
この感光体ドラム21の外周には、
図2に示すように、帯電装置80の帯電ブラシ(帯電部材の一例)81と、現像装置24の現像ロール24aと、一次転写ロール25と、ドラムクリーナ26のブレード26aとが矢印R1に沿って配置されている。なお、
図2の矢印R2〜R5は、それぞれ帯電ブラシ81の回転方向、現像ロール24aの回転方向、一次転写ロール25の回転方向および中間転写ベルト30の回転移動方向を示している。
【0038】
帯電装置80の帯電ブラシ81は、感光体ドラム21の外周上方において、感光体ドラム21に対向した状態で、また、感光体ドラム21の回転動作に従動するように回転自在の状態で、シャフト82に支持されている。この帯電ブラシ81は、無端円筒状の導電性の可撓性基材81aと、その外周面に設けられた導電性の複数の接触子81bとを備えている。
【0039】
帯電ブラシ81を構成する可撓性基材81aは、例えば厚さが30〜200μmの導電性フィルムにより形成されている。この可撓性基材81aは、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素系樹脂(PFA、PVdF、ETFE、CTFE等)等のような樹脂、あるいは、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等のような合成ゴムに、カーボンブラック、金属粉末または金属酸化物等のような導電性粒子を混入することで形成されている。
【0040】
上記した帯電ブラシ81を構成する接触子81bは、可撓性基材81aの外周面に静電植毛法により設けられている。すなわち、接触子81aは、可撓性基材81aの外周面に塗布された導電性の接着剤により接着されている。静電植毛による帯電ブラシ81を用いた場合、接触子をパイル織りした帯電ブラシを用いた場合に比べて、帯電ブラシ81のコストを下げられる。
【0041】
この接触子81bは、例えば、繊度が2デニールや3デニールの比較的細いもので、例えば長さが0.5〜1.5mm程度の導電性繊維からなり、可撓性基材81aの外周から放射状に延在した状態で設けられている。この接触子81bは、例えばナイロン、レーヨンまたはポリエステルにカーボンブラック等のような導電性粒子を混入することにより形成されている。なお、接触子81bを接着する接着剤は、例えばアクリル系、ウレタン系またはエポキシ系の樹脂により形成されている。
【0042】
また、接触子81bを可撓性基材81aに対して斜めに寝かせる斜毛処理を実施してもよい。この斜毛処理により帯電ムラが低減する。
【0043】
また、斜毛の向きは、帯電ブラシ81と感光体ドラム21の接触位置からみて感光体ドラム21の回転方向下流側に、接触子81bの先端が向く方向(
図2において右傾斜の方向)にした方が帯電ムラが低減されることが多く、本発明の実施の形態でもその方向に設定されている。しかし、斜毛の向きは画像形成システムとの相性もあるので逆向きを採用することもあり限定されるものではない。
【0044】
上記した帯電ブラシ81を支持するシャフト82は、その直径が可撓性基材81aの内径よりも小さくなるように形成されており、シャフト82の外周の一部が可撓性基材81aの内周の一部に接した状態で可撓性基材81aの筒内に挿入されている。ここではシャフト82が帯電ブラシ81の回転に従動するように回転自在の状態に設けられているが、モータ等のような回転駆動体により軸を中心に回転自在の状態としても良いし、帯電ブラシ81とシャフト82の摩擦が小さいならばシャフト82を固定状態にしてもよい。
【0045】
このシャフト82は、例えばアルミニウムやステンレス等のような金属により形成されている。ただし、金属に代えて、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、PEN、PEK、PES、PPS、PFA、PVdF、ETFE、CTFE等のような樹脂、あるいは、シリコーンゴム、EPDM、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等のような合成ゴムに、カーボンブラック、金属粉末または金属酸化物等のような導電性粒子を混入することによりシャフト82を形成しても良い。また、上記樹脂やゴムを主体とする材料で成形されたシャフト82の表面に、アクリル、エポキシ等のような高分子バインダーに、カーボンブラック、金属粉末または金属酸化物等のような導電性フィラーを添加して導電化した塗料を塗布したもの、金属や樹脂等で形成された中空状の棒等の表面に、例えば酸化チタン、不純物を添加したアモルファスシリコンのような抵抗を調整した膜を形成したもの、さらには樹脂等で形成された中空状の棒自体に導電性を持たせたものを使用しても良い。
【0046】
また、シャフト82は、例えば直流電源83と電気的に接続されている。直流電源83は、帯電ブラシ81に対して帯電電圧を印加する電源である。直流電源83の印加電圧は、例えば−900Vであり、その場合に感光体ドラム21の表面に帯電される電位は、例えば−450Vである。
【0047】
このように帯電ブラシ81を支持するシャフト82を帯電電圧を印加する電圧印加部材とてして用いたことにより、当該電圧印加部材を別に設ける場合に比べて構成が簡単になり、帯電装置80が小型になる。また、帯電電圧として直流電圧を用いた場合は、構成および制御が容易になるので、電源システムのコストを下げられる。この直流電源83に代えて、例えば直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する電源を用いても良い。
【0048】
ところで、帯電ブラシを用いて感光体ドラム21の表面を帯電させる方法には、例えば
図4および
図5に示すような2つの方法がある。
【0049】
図4に示す方法は、同図(a)に示すように、ブラシロール100を支持するシャフト101を感光体ドラム21から予め設定された距離だけ離した位置に固定し、同図(b)に示すように、帯電時にブラシロール100の接触子102の先端部のみが感光体ドラム21の表面に当たるようにする方法である。
【0050】
一方、
図5に示す方法は、同図(a)に示すように、ブラシロール100を支持するシャフト101の端部にバネで荷重をかけてシャフト101を感光体ドラム21の表面に接するように押し付け、同図(b)に示すように、帯電時に接触子102を寝かせるようにする方法である。
【0051】
図4に示した方法の場合は、接触子102が立ち気味になるため放電領域が長くとれず帯電ムラが大きくなり易い。一方、
図5に示した方法の場合は、シャフト101を感光体ドラム21に押し当てて接触子102を寝かせることで放電領域を長くとり易く帯電ムラが小さくなるので、
図5に示した方法を選択することが考えられる。しかし、接触子102を静電植毛法により接着剤で接着している場合、そもそも接触子102が抜け易い上に、
図5に示したように、シャフト101を感光体ドラム21に押し当てると接触子102および接着剤層に必要以上に大きな圧力が加わるため接触子102の抜けが発生するという不具合がある。
【0052】
ここで、
図6は、本実施の形態の帯電装置80の帯電時の帯電ブラシ81の概念図を示している。
【0053】
本実施の形態においては、感光体ドラム21の帯電処理に際し、直流電源83からシャフト82に対して帯電電圧が印加されると、シャフト82から可撓性基材81aの筒内側を通じて帯電ブラシ81に帯電電圧が印加される。このようにして帯電ブラシ81に帯電電圧が印加されると、帯電ブラシ81は感光体ドラム21との間に発生する静電気力と帯電ブラシ81の自重(あるいは自重の一部)によって感光体ドラム21に圧力を加えた状態で吸着し、撓んだ状態で感光体ドラム21の表面に接触する。この状態で帯電ブラシ81と感光体ドラム21との接触部の隙間で近接放電が生じて感光体ドラム21の表面が予め決められた電位に帯電される。
【0054】
すなわち、本実施の形態においては、帯電ブラシ81をバネ荷重等により感光体ドラム21に押し当てておらず、帯電ブラシ81の自重(あるいは自重の一部)と静電吸着力のみで感光体ドラム21と接触させているので、帯電ブラシ81の複数の接触子81bおよび接着剤層に必要以上に大きな圧力が加わらない。このため、過荷重に起因する接触子81bの抜けが抑制または防止される。
【0055】
また、帯電ブラシ81が静電気力と帯電ブラシ81の自重(あるいは自重の一部)により感光体ドラム21に圧力を加えた状態で吸着されたときに帯電ブラシ81の接触子81bが充分に寝る状態になるので、放電領域が長くとれ帯電ムラが低減される。しかも、可撓性基材81aは金属シャフト等に比べてしなやかなため、静電吸着力による感光体ドラム21との接触幅が大きくとれ、接触部前後のくさび部の角度も鋭角になり放電領域が長くとれるので、その分からも帯電ムラが低減される。
【0056】
図7は、
図4〜
図6の各々の帯電処理における接触子の抜けと帯電ムラの状態をまとめて示している。
図4で示した帯電処理の場合、接触子102の抜けは無いものの帯電ムラが50Vであった。
図5で示した帯電処理の場合、接触子102等に過荷重がかかり接触子102の抜けが多量である上、帯電ムラが15Vであった。これに対して
図6に示す本実施の形態の場合、接触子81bの抜けが無い上、帯電ムラも10V程度であり、
図4および
図5に比べて帯電ムラが低減されていることが分かる。
【0057】
なお、本実施の形態では、帯電ブラシ81の位置が感光体ドラム21の上側に配置されていたので、自重(あるいは自重の一部)と静電吸着力のみで帯電ブラシ81と感光体ドラム21が接触しており上記に示した通りの良好な結果となった。一方で、感光体ドラム21の下側に帯電ブラシ81を配置した場合は自重成分がなくなり静電吸着力のみで感光体ドラム21と帯電ブラシ81が接触することになるが、このときも接触子81bの抜けになるような必要以上の圧力は加わらないし、静電吸着力のみでも接触子81bは十分に寝る状態になり放電領域は長くとれ帯電ムラも低減される。
【0059】
図8は、第2の実施の形態における帯電装置80の帯電時の帯電ブラシ81の概念図である。
【0060】
本実施の形態においては、帯電ブラシ81の筒外側に設けられた板状の帯電電極84aから帯電ブラシ81に対して帯電電圧が印加されるようになっている。帯電電極84aは、例えばアルミニウムまたはステンレスのような金属からなり、直流電源83に電気的に接続されているとともに、帯電時に帯電ブラシ81の外周に接触した状態で固定される。
【0061】
このように帯電ブラシ81の筒外側から帯電電圧が印加されるので、可撓性基材81aが絶縁材料であっても帯電ブラシ81に対して帯電電圧が印加される。すなわち、可撓性基材81aとしてコストの安い絶縁性基材が使用されるので帯電ブラシ81のコストを下げられる。
【0062】
また、帯電ブラシ81の筒外側から帯電電圧が印加されるので、帯電ブラシ81を支持するシャフト82を絶縁体により形成しても良い。この場合のシャフト82の絶縁材料としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、アクリル、ポリアセタール(POM)、フェノールまたはフッ素系の高分子材料がある。また、シャフト82の強度を上げるために金属シャフトの外周に、例えばポリウレタン等のような絶縁層を形成したロール状シャフト構成としても良い。
【0063】
また、帯電電極84aを、例えば、導電性を有するスポンジ、不織布、ブレード、またはブラシで構成しても良い。ブラシで構成した場合は、帯電ブラシ81の外周に柔らかく接触するので、帯電ブラシ81に接触した時の接触子81bの抜けが抑制または防止される。また、ブラシで構成した場合は、帯電ブラシ81の回転に対する抵抗が小さくなるので、安定した給電が行われる。
【0065】
図9は、第3の実施の形態における帯電装置80の帯電時の帯電ブラシ81の概念図である。
【0066】
本実施の形態においては、帯電ブラシ81の筒外側に設けられたロール状の帯電電極84bから帯電ブラシ81に対して帯電電圧が印加されるようになっている。帯電電極84bは、例えばシャフトと、その外周に設けられた弾性層とを備えている。このシャフトは、例えばアルミニウムまたはステンレスのような金属からなり、直流電源83に電気的に接続されている。また、弾性層は、例えばEPDMにカーボンブラック等のような導電性粒子を分散させた導電性ゴムにより形成されている。
【0067】
このようにロール状の帯電電極84bの外周の弾性層を導電性ゴムにより形成したことにより、帯電ブラシ81に柔らく接触するので、帯電ブラシ81に接触した時の接触子81bの抜けが抑制または防止される。
【0068】
また、ロール状の帯電電極84bは、帯電時に帯電ブラシ81の外周に接触するように設けられ、帯電ブラシ81の回転に従動するように矢印R3に示す方向に回転自在の状態で設けられている。
【0069】
ただし、ロール状の帯電電極84bをモータ等のような回転駆動体により帯電ブラシ81の回転に応じて等速になるように回転させても良い。この場合、帯電ブラシ81の回転が妨げられず、安定した給電が行われる。
【0070】
このロール状の帯電電極84bを、例えば、金属のみ、導電性の樹脂またはゴムのみ、スポンジまたはブラシで構成しても良い。ブラシロール状の帯電電極を用いた場合は、帯電ブラシ81の外周に柔らかく接触するので、帯電ブラシ81に接触した時の接触子81bの抜けが抑制または防止される。また、ブラシロール状の帯電電極を用いた場合は、帯電ブラシ81の回転に対する抵抗がさらに小さくなるので、安定した給電が行われる。
【0071】
なお、帯電ブラシ81を支持するシャフト82については、前記第1の実施の形態や前記第2の実施の形態と同じなので説明を省略する。
【0073】
図10は、第4の実施の形態における帯電装置80の帯電時の帯電ブラシ81の概念図である。
【0074】
本実施の形態においては、帯電ブラシ81の筒外側に帯電ブラシ81を取り囲むようにして支持する枠状の支持部材85が移動しないように固定された状態で設けられている。
【0075】
この場合、帯電ブラシ81が筒外側の枠状の支持部材85により支持されるので、帯電ブラシ81の筒内側にはシャフト82等のような支持部材が必要無くなる。すなわち、シャフト82等のようなコストの高い部材を使用しないで済むので帯電ブラシ81のコストを下げられる。
【0076】
この支持部材85は、例えばポリプロピレン等の絶縁性の樹脂からなり、その枠内側の天井面に帯電ブラシ81に対して帯電電圧を印加する帯電電極84cが設けられている。この帯電電極84cの構成は、前記第2の実施の形態や第3の実施の形態の帯電電極84a,84bと同じなので説明を省略する。
【0077】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0078】
例えば、前記実施の形態においては、中間転写ベルトに転写されたトナー像を用紙に転写する中間転写方式の画像形成装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、感光体ドラムのトナー像を用紙等に直接転写する直接転写方式の画像形成装置に適用しても良い。
【0079】
また、前記実施の形態においては、カラー画像を形成する場合について説明したが、例えばモノクロ画像を形成する場合に適用しても良い。
【0080】
また、前記実施の形態においては、記録媒体として用紙に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、フィルム、はがき等、画像が形成される様々なものに適用しても良い。