特許第6016056号(P6016056)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6016056-車両のシートレール取付構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016056
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】車両のシートレール取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/06 20060101AFI20161013BHJP
   B60N 2/42 20060101ALI20161013BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B60N2/06
   B60N2/42
   B60N2/44
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-66467(P2012-66467)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-193718(P2013-193718A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】水城 崇
(72)【発明者】
【氏名】中川 貢
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−091248(JP,A)
【文献】 特開平06−255409(JP,A)
【文献】 特開昭58−020527(JP,A)
【文献】 実開平4−96541(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06
B60N 2/44
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルには、レール対向面部と該レール対向面部のシート前後方向の一端縁から下方へ曲折するレール固定面部とが設けられ、前記レール対向面部の上方に、シート前後方向に延びてシートのシート幅方向の端部を下方から支持するシートレールを配置し、前記シートレールの一端部をシートレッグブラケットを介して前記フロアパネルに取り付けるシートレール取付構造であって、
前記シートレッグブラケットは、
前記シートレールの前記一端部の下面に固定されるレール固定部と、
前記レール固定部からシート幅方向の内側に連続して延びて前記レール固定面部と対向し、前記シートレールからシート幅方向に離間するレッグ締結位置で前記レール固定面部にシート前後方向から締結固定されるレッグ締結板部と、
前記レッグ締結板部からシート幅方向の内側に連続して延び、前記レール対向面部に上方から近接又は接触する張出上板部と、を備える
車両のシートレール取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートスライダの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のフロントシートのシートクッションフレームを、左右のシートレールを介してフロアパネルに前後移動可能に支持する構造が記載されている。各シートレールは、フロアパネルに固定される下側の固定レールと、シートクッションフレームに固定され、スライダを介して固定レールの内部に摺動自在に嵌合する可動レールとによって構成される。固定レールの前端および後端にはそれぞれ前部ブラケットおよび後部ブラケットが設けられており、前部ブラケットはフロアパネルのクロスメンバにボルトで締結され、後部ブラケットはフロアパネルにボルトで締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−119983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、シートを下方から支持するシートレールがクロスメンバの上面(レール対向面部)の上方でシート前後方向に延び、シートレールの前端部(一端部)から下方へ延びる前部ブラケット(シートレッグブラケット)を、クロスメンバの起立面(レール固定面部)に固定する構造において、レイアウト上の制約等からシートレールの直ぐ下方のレール固定面部にシートレッグブラケットを固定することができない場合には、レール固定面部に対するシートレッグブラケットの締結位置(レッグ締結位置)を、シートレールからシート幅方向に離間させる(オフセットさせる)必要が生じる。
【0005】
一方、車両の後面衝突時において、シートクッションフレームのシート後端部から起立するシートバックフレームに対して着座者からシート後方へ荷重が作用すると、シートレールの前端部には上方への荷重が作用する。このとき、レッグ締結位置がシートレールからシート幅方向に離間していると、シートレッグブラケットにモーメントが発生し、シートレッグブラケットがレッグ締結位置を中心として回転する可能性が生じる。シートレッグブラケットが回転すると、シートレールの前端部が持ち上がり、シート全体が傾動し、シートバックの後傾角度が増加する。例えば、高速走行中の衝突の場合、シートバックの後傾角度の増加が過大になると、シートベルトやシート自体によって乗員を拘束することができず、乗員の車外への放出や、後席乗員や車内部品との2次衝突を招く可能性がある。また、低速走行中の衝突の場合、シートバックの後傾角度が増加して乗員の体が持ち上がると、シートバックの上部のヘッドレストが乗員の頭部を支えきれなくなり、乗員の首等に強い衝撃を与えてしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、車両の衝突時におけるシートバックの後傾角度の増加を抑制することが可能な車両用のシートレールの取付構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明のシートレール取付構造では、フロアパネルに、レール対向面部と、レール対向面部のシート前後方向の一端縁から下方へ曲折するレール固定面部とが設けられる。レール対向面部の上方には、シート前後方向に延びてシートのシート幅方向の端部を下方から支持するシートレールが配置され、シートレールの一端部は、シートレッグブラケットを介してフロアパネルに取り付けられる。レール対向面部とレール固定面部とは、フロアパネルと一体に設けられてもよく、別体に設けられてフロアパネルに固定されてもよい。
【0008】
シートレッグブラケットは、レール固定部とレッグ締結板部と張出上板部とを有する。レール固定部は、シートレールの一端部の下面に固定される。レッグ締結板部は、レール固定部からシート幅方向の内側に連続して延びてレール固定面部と対向し、シートレールからシート幅方向に離間するレッグ締結位置でレール固定面部にシート前後方向から締結固定される。張出上板部は、レッグ締結板部からシート幅方向の内側に連続して延び、レール対向面部に上方から近接又は接触する。

【0009】
上記構成では、車両の後面衝突時において、シートクッションフレームのシート後端部から起立するシートバックフレームに対して着座者からシート後方へ荷重が作用すると、シートレールの一端部(シート前後方向の前端部)には上方への荷重が作用する。このとき、レッグ締結位置がシートレールからシート幅方向に離間しているので、シートレッグブラケットにモーメントが発生し、シートレッグブラケットがレッグ締結位置を中心として回転しようとするが、レッグ締結位置に対しレール固定部の反対側(シート幅方向内側)で張出上板部がレール対向面部に上方から近接又は接触しているので、張出上板部がレール対向面部に当接することによって、シートレッグブラケットの回転が規制される。これにより、シートレールの前端部の持ち上がりによるシートバックの後傾角度の増加を抑制することができる。
【0010】
また、張出上板部がレッグ締結板部(レッグ締結位置)からレール固定部の反対側へ延びているので、張出上板部とレール対向面部との当接部分に作用する荷重を低減することができ、両者の強度(剛性)を厚肉化等によって増大させることなく変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両の衝突時におけるシートバックの後傾角度の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るシート取付構造を斜め上前方から視た斜視図である。
図2図1のシート取付構造の正面図である。
図3図2の要部拡大図である。
図4図2の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方をそれぞれ示しており、乗員(着座者)は車両前方を向いた状態で着座し、シート前後方向は車両の前後方向と一致し、シート幅方向は車幅方向と一致する。また、以下の説明における左右は、着座した乗員の左右を意味する。
【0014】
車室内のフロアパネル40上には、図1に示すように車両用シート1が配置されている。なお、本実施形態ではフロントシートを例示して説明するが、車室内にフロントシートのみが配置されても、また車室内の後部に配置されるリヤシートなどの他のシートであってもよい。
【0015】
車両用シート1は、着座者の臀部を下方から支持するシートクッション2と、シートクッション2の後端から上方へ延びて着座者の背部を後方から支持するシートバック20とから概ね構成される。
【0016】
シートクッション2は、表皮材に覆われて弾力性を有するクッションパッド4と、クッションパッド4の内部に設けられたクッションフレーム(シートクッションフレーム)3とを備える。クッションフレーム3は、シートクッション2(クッションパッド4)の形状を保持する。クッションフレーム3は、前フレーム部8と左右の側フレーム部9とを有する。
【0017】
シートバック20は、表皮材に覆われて弾力性を有するシートバックパッド21と、シートバックパッド21の内部に設けられたシートバックフレーム22とを備える。シートバックフレーム22は、シートクッションフレーム3のシート後端部から起立し、シートバック20(シートバックパッド21)の形状を保持する。シートバックフレーム22の下端部は、シートクッションフレーム3の後端部に回転自在に支持され、シートバック20の傾動位置は、ロック機構(図示省略)によって固定される。
【0018】
フロアパネル40は、フロア主面部41とレール対向面部42とレール固定面部43とを一体的に有する。レール固定面部43は、レール対向面部42のシート前後方向の一端縁(シート前方の端縁)から斜め前下方へ曲折して延びる。フロア主面部41は、レール固定面部43の下端縁から曲折してシート前方へ延びる。なお、レール対向面部42とレール固定面部43とを、フロアパネル40(フロア主面部41)とは別体に設けてフロア主面部41に固定してもよい。
【0019】
図1図4に示すように、レール対向面部42の上方には、シート前後方向に延びて車両用シート1のシート幅方向の両側を下方から支持する左右1対のシートレール30が配置される。各シートレール30の内部には、シートクッションフレーム3の側フレーム部9の下部に固定されたスライダ31が摺動自在に嵌合され、シートクッション2は、シートレール30によってシート前後方向にスライド移動自在に支持される。各シートレール30の前端及び後端は、それぞれ前部ブラケット32,50及び後部ブラケット33を介してフロアパネル40に取り付けられる。左右の前部ブラケット32,50のうち一側(左側)の前部ブラケット32は、シートレール30の前端部の下面に固定されるとともに、シートレール30の直ぐ下方の締結位置でレール固定面部43にボルト34及びナット(図示省略)によって締結固定される。
【0020】
左右の前部ブラケット32,50のうち他側(右側)の前部ブラケット(シートレッグブラケット)50は、レール固定上板部(レール固定部)51とレール側縦板部52と中間上板部53とレッグ締結板部54と張出上板部55と張出側縦板部56とを一体的に有する。
【0021】
レール固定上板部51は、シートレール30の前端部の下面に固定される。レール側縦板部52は、レール固定上板部51の前端縁から下方へ曲折して延び、レール固定面部43と対向する。中間上板部53は、レール固定上板部51からシート幅方向に延びる。レッグ締結板部54は、中間上板部53の前端縁から曲折して下方に延びてレール固定面部43と対向する。レッグ締結板部54は、シートレール30からシート幅方向に離間するレッグ締結位置で、レッグ取付面部43に面接触した状態でボルト57及びナット58によって締結固定される。ボルト57は、レッグ締結板部54及びシート取付面部43を貫通するボルト挿通孔59を挿通し、ナット58は、レール固定面部43の裏面にボルト挿通孔59に合わせて固着される。
【0022】
張出上板部55は、中間上板部53からシートレール30(レール固定上板部5)の反対側に向かってシート幅方向に延び、レール対向面部42に近接又は接触する。中間上板部53のうちレール固定上板部51側の部分は、張出上板部55がレール対向面部42に近づくように斜め下方へ傾斜する。張出側縦板部56は、張出上板部55の前端縁から下方へ曲折して延び、レール固定面部43と対向する。
【0023】
レール固定上板部51と中間上板部53と張出上板部55とは、レール対向面部42と対向してシート幅方向に連続する。レール側縦板部52とレッグ締結板部54と張出側縦板部56とは、レール固定面部43と対向してシート幅方向に連続する。すなわち、レッグ締結板部54は、レール固定上板部51から連続して延びてレール固定面部43と対向し、張出上板部55は、レッグ締結板部54から連続してシートレール30の反対側に延びてレール対向面部42に上方から近接又は接触する。
【0024】
なお、図3に示すように、シートレール30からレッグ締結位置までのシート幅方向の距離(シートレール30のシート幅方向の中からボルト57の中心までの距離)は、所定距離L1に設定され、レッグ締結位置から張出上板部55の先端までのシート幅方向の距離は、所定距離L2に設定されている。また、図3の2点鎖線60は、中間上板部53及びレッグ締結板部54と張出上板部55及び張出側縦板部56との概ねの境界を示している。また、前部ブラケット32の周縁部分及び前部ブラケット50の周縁部分には、それぞれ剛性を高めるための厚肉状のリップ部が形成されている。
【0025】
本実施形態によれば、車両の後面衝突時において、シートクッションフレーム3のシート後端部から起立するシートバックフレーム22に対して着座者からシート後方へ荷重(図1に矢印61で示す)が作用すると、シートレール30の前端部に上方への荷重(図1及び図3に矢印62で示す)が作用する。このとき、レッグ締結位置がシートレール30からシート幅方向に離間しているので、前部ブラケット50にモーメントが発生し、前部ブラケット50がレッグ締結位置を中心として図3中矢印63方向に回転しようとするが、レッグ締結位置に対しレール固定上板部51の反対側で張出上板部55がレール対向面部42に上方から近接又は接触しているので、張出上板部55がレール対向面部42に当接することによって、前部ブラケット50の回転が規制される。これにより、シートレール30の前端部の持ち上がりによるシートバック20の後傾角度の増加(倒れ)を抑制することができる。従って、例えば、高速走行中の衝突において、シートベルト(図示省略)やシート1自体による乗員の拘束が維持されて、乗員の車外への放出や、後席乗員や車内部品との2次衝突を防止することができる。また、低速走行中の衝突では、乗員の体の持ち上がりが抑制され、シートバック20の上部のヘッドレストによる乗員の頭部の支持が維持されて、乗員の首等が受ける衝撃を軽減することができる。
【0026】
また、張出上板部55がレッグ締結板部54(レッグ締結位置)からレール固定上板部51の反対側へ延びているので、張出上板部55とレール対向面部42との当接部分に作用する荷重を低減することができ、両者の強度(剛性)を厚肉化等によって増大させることなく変形を抑制することができる。
【0027】
さらに、前部ブラケット50は、レール固定上板部51とレール側縦板部52と中間上板部53とレッグ締結板部54と張出上板部55と張出側縦板部56とを一体的に有するので、前部ブラケット50を剛性が高く変形し難い形状とすることができる。
【0028】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定をされるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲では適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1:車両用シート
2:シートクッション
3:クッションフレーム
4:クッションパッド
8:前フレーム部
9:側フレーム部
20:シートバック
22:シートバックフレーム
30:シートレール
31:スライダ
40:フロアパネル
41:フロア主面部
42:レール対向面部
43:レール固定面部
50:前部ブラケット(シートレッグブラケット)
51:レール固定上板部(レール固定部)
52:レール側縦板部
53:中間上板部
54:レッグ締結板部
55:張出上板部
56:張出側縦板部
図1
図2
図3
図4