(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対向する2枚の樹脂製の表皮材シートにより成形されるパネル本体と、前記表皮材シートに熱溶着されない材料で構成され前記パネル本体の成形時に前記2枚の表皮材シートの間に挟まれる芯材と、を有する積層パネルであって、
前記芯材に保持される固定部材を有し、
表皮材シートと当接する芯材の面積の方が、表皮材シートと当接する固定部材の面積より大きく、
前記固定部材は、前記表皮材シートに熱溶着可能な熱可塑性樹脂で構成されると共に前記パネル本体の成形時に前記表皮材シートに熱溶着され、前記芯材を前記パネル本体に固定することを特徴とする積層パネル。
表皮材シートが結晶性熱可塑性樹脂または非晶性熱可塑性樹脂からなり、表皮材シートが結晶性熱可塑性樹脂からなる場合、芯材は非晶性熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなり、表皮材シートが非晶性熱可塑性樹脂からなる場合、芯材は結晶性熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の積層パネル。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施の形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0020】
まず、実施形態の積層パネルの構成を
図1〜
図3に基づいて説明する。
図1に示すように、実施形態の積層パネル10は、パネル本体20と、パネル本体20の内部に設けられる芯材30と、芯材30に保持される固定部材40とを有する。この積層パネル10は、例えば、座席裏面に設けられる格納式テーブルなど鉄道車両に用いられる各種の内装部品や、自動車、航空機などに使用される各種の内装部品、電子機器、精密機器などに用いられる各種の筐体部品、あるいは、建築、物流、包装などに用いられる各種の資材などであり、積層パネル10の用途は任意である。
【0021】
パネル本体20は、対向する2枚の樹脂製の表皮材シート21A,21Bにより中空状に成形される樹脂成形体である。パネル本体20の平面形状は、
図1では、略長方形としたが、この他、正方形や台形、多角形、円形など各種の形状から選択可能である。
【0022】
2枚の表皮材シート21A,21Bは、おもて面側表皮材シート21Aおよび裏面側表皮材シート21Bからなる。各表皮材シート21A,21Bは、略長方形状の平面部22と、平面部22の周縁部に設けられ芯材30の側面に折れ曲がるへり23とを有する。このへり23の周縁同士が突き合わされて熱溶着されることで、表皮材シート21A,21Bが一体化する。熱溶着されたへり23は、パネル側面となる周壁25を構成する。なお、表皮材シート21A,21Bの材料の詳細については、後述する。
【0023】
図2に示すように、芯材30は、パネル本体20の成形時に2枚の表皮材シート21A,21Bの間に挟まれることによって、パネル本体20の中に装填される。本実施形態では、積層パネル10の用途により、芯材30が材質の制約を受けており、芯材30の材料は、表皮材シート21A,21Bに熱溶着されない材料で構成される。このため、芯材30は、パネル本体20の成形時に2枚の表皮材シート21A,21Bの間に挟まれるが、表皮材シート21A,21Bには熱溶着されていない。
【0024】
なお、本発明において、「表皮材シートに熱溶着されない材料」とは、表皮材シートの材料に対して熱溶着の相性が悪く、表皮材シートに接して加熱・冷却されても表皮材シートに接合しない材料であり、一時的には接着しても表皮材シートから容易に剥がれてしまう材料も含む。芯材30の材料の詳細については、後述する。
【0025】
図3に示すように、芯材30には、複数(ここでは5個)の略円形の穴31が設けられる。複数の穴31は、芯材30に一定の間隔で規則的に配列されており、それぞれ芯材30の厚み方向に貫通している。
【0026】
固定部材40は、複数の穴31の個数に合わせて複数(ここでは5個)設けられる。各固定部材40は、略円柱形に形成されており、芯材30の穴31に嵌合されることで、芯材30に保持される。なお、固定部材40および穴31の断面形状は、円形の他、楕円形や四角形、多角形など各種の形状から選択可能である。また、固定部材40および穴31の大きさ、個数、配列は、
図3に示される例に格別に限定されるものではなく、任意である。
【0027】
固定部材40の軸方向の長さは、芯材30の厚みと同程度の大きさに設定される。このため、固定部材40が穴31に嵌合された状態において、固定部材40の軸方向の2つの端面41は、芯材30の表面と略同一平面上に位置して露出する。また、固定部材40は、表皮材シート21A,21B(
図2参照)に熱溶着可能な樹脂材料で構成されており、固定部材40の軸方向の2つの端面41は、パネル本体20(
図2参照)の成形時に表皮材シート21A,21B(
図2参照)の内面に熱溶着される。これにより、固定部材40は、芯材30をパネル本体20(
図2参照)に固定する。
【0028】
なお、本発明において、「表皮材シートに熱溶着可能な樹脂材料」とは、表皮材シートに接して加熱・冷却されることで表皮材シートに接合する樹脂材料をいう。固定部材40の材料の詳細については、後述する。
【0029】
次に、積層パネル10(
図1参照)の構成要素の材質を詳細に説明する。
表皮材シート21A,21Bは、例えば、ポリプロピレン、エンジニアリングプラスチツクス、オレフィン系樹脂などから形成されたシートからなる。より詳細には、積層パネル10を一体成形により製造するため、あるいは、溶融状態の熱可塑性樹脂製シートを垂下させて表皮材シート21A,21Bを成形するために、表皮材シート21A,21Bの材料は、ドローダウン、ネックインなどによる肉厚のバラツキを抑制できる溶融張力の高い樹脂材料を用いることが好ましい一方、金型への転写性、追従性を良好とするため流動性の高い樹脂材料を用いることが好ましい。
【0030】
より具体的には、表皮材シート21A,21Bの材料は、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体である結晶性のポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)であって、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0g/10分以下、さらに好ましくは0.3〜1.5g/10分のもの、またはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリスチレン、高衝撃ポリスチレン(HIPS樹脂)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等の非晶性樹脂であって、200℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度200℃、試験荷重2.16kgにて測定)が3.0〜60g/10分、さらに好ましくは30〜50g/10分で且つ、230℃におけるメルトテンション(株式会社東洋精機製作所製メルトテンションテスターを用い、余熱温度230℃、押出速度5.7mm/分で、直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスからストランドを押し出し、このストランドを直径50mmのローラーに巻き取り速度100rpmで巻き取ったときの張力を示す)が50mN以上、好ましくは120mN以上のものを用いて形成される。
【0031】
また、表皮材シート21A,21Bの材料には、衝撃により割れが生じることを防止するため、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーが30wt%未満、好ましくは15wt%未満の範囲で添加されていることが好ましい。具体的には水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーとしてスチレンーエチレン・ブチレンースチレンブロツク共重合体、スチレンーエチレン・プロピレンースチレンブロツク共重合体、水添スチレンーブタジェンゴムおよびその混合物が好適であり、スチレン含有量が30Wt%未満、好ましくは20wt%未満であり、230℃におけるMFR(JIS K−7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16kgにて測定)は1.0〜10g/10分、好ましくは5.0g/10分以下で、且つ1.0g/10分以上あるものがよい。
【0032】
さらに、表皮材シート21A,21Bの材料には、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。具体的にはシリカ、マイカ、ガラス繊維等を成形樹脂に対して50wt%以下、好ましくは30〜40wt%添加する。
【0033】
一方、芯材30の材料は、各種の合成樹脂材料、各種の金属材料、あるいはこれらの材料の組み合わせたものなど、各種の材料から選択可能である。また、芯材30は、六角形の筒状のセルを連続して形成した構造体である紙製ハニカムを含むものでもよい。但し、本実施形態では、芯材30は、材質の規制を受けていて、表皮材シート21A,21Bに、熱溶着されない材料(非熱溶着性を有する材料)で構成される。
【0034】
例えば、積層パネル10(
図1参照)を車両用内装部品として使用する場合、芯材30には、車両内で火災が発生した際に火災の延焼を防止する共に有毒ガスの発生等を抑制可能な材料による構成が求められることがある。特に公共交通機関では、このような材料による構成が法規上に規定されていることがある。
【0035】
このような場合、フェノール系樹脂発泡体などの難燃性、耐熱性を有する熱硬化性樹脂発泡体で芯材30を構成し、表皮材シート21A,21Bをスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン)や変性ポリフェニレンエーテル樹脂などの非晶性樹脂で構成することがある。また、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)などの結晶性樹脂で表皮材シート21A,21Bを構成した場合、高温時(40〜80℃)における撓み強度を向上させるため、スチレン系樹脂発泡体(例えば、発泡ポリスチレン)や変性ポリフェニレンエーテル樹脂発泡体などの非晶性樹脂で構成することがある。結晶性熱可塑性樹脂、非晶性熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は互いに熱溶着の相性が悪いため、結晶性熱可塑性樹脂または非晶性熱可塑性樹脂からなる表皮材シート21A,21Bは非晶性熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂からなる芯材30または結晶性熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂からなる芯材30は、熱溶着されない材料で構成されることになる。
【0036】
これに対し、ポリオレフィン系樹脂発泡体(例えば、発泡ポリプロピレン)で芯材を構成し、表皮材シートをポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)で構成すれば、芯材と表皮材シートが共にポリオレフィン系樹脂で構成されるため、熱溶着の相性が良く、芯材を表皮材シートに熱溶着することができる。しかし、この場合、求められる難燃性、耐熱性を芯材に付与することができない。
【0037】
なお、芯材30を樹脂発泡体で構成する場合、発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤およびその混合物のいずれを用いてもよい。物理発泡剤としては、空気、炭酸ガス、窒素ガス、水等の無機系物理発泡剤、およびブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の有機系物理発泡剤、さらにはそれらの超臨界流体を用いることができる。
【0038】
また、スチレン系樹脂発泡体やフェノール系樹脂発泡体は、一般に、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレン)などの発泡体に比べ、発泡倍率を高めることが難しく、その分、質量が大きくなる。このため、スチレン系樹脂発泡体やフェノール系樹脂発泡体で芯材30を構成する場合、軽量化のために芯材30に中空部を設けてもよい。
【0039】
固定部材40は、表皮材シート21A,21Bに、熱溶着可能な樹脂材料(熱溶着性を有する樹脂材料)から選択され、望ましくは、表皮材シート21A,21Bと同じ熱可塑性樹脂で構成される。例えば、表皮材シート21A,21Bをポリオレフィン系樹脂で構成した場合、固定部材40もポリオレフィン系樹脂で構成する。
【0040】
続いて、積層パネル10の製造に供される成形装置を
図4に基づいて説明する。
図4に示すように、成形装置50は、押出装置51A,51Bと、押出装置51A,51Bの下方に配置された型締装置52と、を有する。成形装置50では、押出装置51A,51Bから押出された熱可塑性樹脂からなる溶融状態の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを型締装置52に送り、型締装置52によって溶融状態の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを成形する。熱可塑性樹脂製シート26Aおよび熱可塑性樹脂製シート26Bは、それぞれ、おもて面側表皮材シート21A(
図1参照)および裏面側表皮材シート21B(
図1参照)に成形される素材である。
【0041】
なお、押出装置51Aと押出装置51Bは、同様であるので、以下の説明において、熱可塑性樹脂製シート26Aに対応する押出装置51Aのみを説明し、熱可塑性樹脂製シート26Bに対応する押出装置51Bについては説明を省略する。また、成形装置50において、熱可塑性樹脂製シート26Aに対応する要素の符号には「A」を付け、熱可塑性樹脂製シート26Bに対応する要素の符号には「B」を付けることとする。
【0042】
押出装置51Aは、周知の押出装置であり、その詳しい説明は省略するが、ホッパー53Aが付設されたシリンダー55Aと、シリンダー55A内に設けられたスクリュー(図示省略)と、スクリューに連結された油圧モーター56Aと、シリンダー55Aと内部が連通したアキュムレータ57Aと、アキュムレータ57A内に設けられたプランジャー58Aとを有する。押出装置51Aでは、ホッパー53Aから投入した樹脂ペレットをシリンダー55A内で油圧モーター56Aによるスクリューの回転により溶融、混練し、溶融状態の樹脂をアキュムレータ57Aに移送して一定量貯留する。そして、アキュムレータ57A内の溶融状態の樹脂をプランジャー58Aの駆動によりTダイ61Aに送り、押出スリット62Aを通じて所定の長さの連続的な熱可塑性樹脂製シート26Aとして押し出す。押し出した熱可塑性樹脂製シート26Aを、間隔を隔てて配置された1対のローラー63Aによって挟圧しながら下方に送り出して分割型65A,65Bの間に垂下させる。これにより、熱可塑性樹脂製シート26Aは、上下方向(押出方向)に一様な厚みを有する状態で、分割型65A,65Bの間に配置される。
【0043】
押出装置51Aの押出の能力は、成形する表皮材シート21A(
図1参照)の大きさ、あるいは、熱可塑性樹脂製シート26Aのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から適宜定める。より具体的には、実用的な観点から、間欠押出における1ショットの押出量は好ましくは1〜10kgであり、押出スリット62Aからの樹脂の押出速度は、数百kg/時以上、より好ましくは700kg/時以上である。また、熱可塑性樹脂製シート26Aのドローダウンあるいはネックイン発生防止の観点から、熱可塑性樹脂製シート26Aの押出工程は、なるべく短いことが好ましく、樹脂の種類、MFR値、メルトテンション値に依存するが、一般的に、押出工程は40秒以内、より好ましくは10〜20秒以内に完了するのがよい。このため、熱可塑性樹脂の押出スリット62Aからの単位面積、単位時間当たりの押出量は、50kg/時/cm
2以上、より好ましくは150kg/時/cm
2以上である。
【0044】
1対のローラー63Aの間に挟み込まれた熱可塑性樹脂製シート26Aを下方に送り出すことで、熱可塑性樹脂製シート26Aを延伸薄肉化することが可能である。すなわち、押し出される熱可塑性樹脂製シート26Aの押出速度と、1対のローラー63Aによる熱可塑性樹脂製シート26Aの送り出し速度との関係を調整することにより、ドローダウンあるいはネックインの発生を防止することが可能であるため、樹脂の種類、特にMFR値およびメルトテンション値、あるいは単位時間当たりの押出量に対する制約を小さくすることができる。
【0045】
Tダイ61Aに設けられる押出スリット62Aは、鉛直下向きに配置され、押出スリット62Aから押し出された熱可塑性樹脂製シート26Aは、そのまま押出スリット62Aから垂下する形態で、鉛直下向きに送られるようにしている。押出スリット62Aは、その間隔を可変とすることにより、熱可塑性樹脂製シート26Aの厚みを変更することが可能である。
【0046】
1対のローラー63Aは、押出スリット62Aの下方において、各々の回転軸を略水平に向け、且つ、互いに平行に並んだ状態で配置される。1対のローラー63Aは、一方が回転駆動ローラーであり、他方が被回転駆動ローラーである。より詳細には、1対のローラー63Aは、押出スリット62Aから下方に垂下する形態で押し出される熱可塑性樹脂製シート26Aに対して、線対称になるように配置される。
【0047】
ローラー63Aの直径およびローラー63Aの軸方向長さは、成形すべき熱可塑性樹脂製シート26Aの押出速度、熱可塑性樹脂製シート26Aの押出方向長さ、熱可塑性樹脂製シート26Aの幅、樹脂の種類等に応じて適宜設定される。但し、1対のローラー63Aの間に熱可塑性樹脂製シート26Aを挟み込んだ状態で、ローラー63Aの回転により熱可塑性樹脂製シート26Aを円滑に下方に送り出す観点から、回転駆動ローラーの直径を被回転駆動ローラーの直径よりも若干大きく設定することが好ましい。また、ローラー63Aの曲率が大きすぎる、あるいは、小さすぎると、熱可塑性樹脂製シート26Aがローラー63Aに巻き付く不具合が生じるため、ローラー63Aの直径は、50〜300mmの範囲であることが好ましい。
【0048】
一方、型締装置52は、周知の型締装置であり、その詳しい説明は省略するが、金型駆動装置(図示省略)および成形金型を有する。金型駆動装置は、溶融状態の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの供給方向に対して略直交する方向に分割型65A,65Bを移動させる装置であり、分割型65A,65Bを開位置と閉位置との間で移動させる。
【0049】
成形金型は、分割形式であり、分割型65Aと、この分割型65Aに合わさる分割型65Bとを備える。分割型65A,65Bは、キャビティ66A,66Bを対向させた状態で配置され、キャビティ66A,66Bが略鉛直方向に沿うように配置される。
【0050】
分割型65A,65Bのそれぞれにおいて、キャビティ66A,66Bの周りには、ピンチオフ部67A,67Bが形成され、このピンチオフ部67A,67Bは、キャビティ66A,66Bの周りに環状に形成され、対向する分割型65A,65Bに向けて突出する。これにより、分割型65A,65Bを型締めする際、それぞれのピンチオフ部67A,67Bの先端部が当接し、2枚の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bは、その周縁にパーティングラインが形成されるように熱溶着される。これにより、積層パネルの周壁25(
図1参照)が形成される。
【0051】
分割型65A,65Bの外周部には、型枠68A,68Bが密接状態で摺動可能に嵌合される。型枠68A,68Bは、型枠移動装置(図示省略)により、分割型65A,65Bに対して相対的に移動可能である。より詳細には、型枠68A,68Bは、分割型65A,65Bから内向きに突出することにより、分割型65A,65Bの間に配置された熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの外表面28A,28Bに当接可能である。
【0052】
分割型65A,65Bは、それぞれ金型駆動装置により駆動され、開位置において、分割型65A,65Bの間に2枚の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを配置させる一方、閉位置において、分割型65A,65Bのピンチオフ部67A,67Bが互いに当接することにより、分割型65A,65B内に密閉空間を形成する。閉位置は、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの間の中間位置(両熱可塑性樹脂製シート26A,26Bから等距離の位置)に設定される。なお、この閉位置に対して、押出装置51Aおよび1対のローラー63Aと、押出装置51Bおよび1対のローラー63Bとは、左右対称に配置される。
【0053】
また、分割型65A,65Bのそれぞれには、真空吸引室71A,71Bが設けられる。真空吸引室71A,71Bは、吸引穴72A,72Bを介してキャビティ66A,66Bに連通しており、真空吸引室71A,71Bから吸引穴72A,72Bを介して吸引することにより、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bをキャビティ66A,66Bに吸着する。これにより、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bをキャビティ66A,66Bの外表面に沿った形状に賦形する。
【0054】
以上に述べた成形装置50を用いて積層パネル10(
図1参照)を製造する方法を
図4〜
図9に基づいて説明する。
【0055】
まず、
図4において、溶融混練した熱可塑性樹脂をアキュムレータ57A,57B内に所定量貯留し、Tダイ61A,61Bに設けられた所定間隔の押出スリット62A,62Bから、貯留された熱可塑性樹脂を単位時間当たり所定押出量で間欠的に押し出す。これにより、熱可塑性樹脂は、スウェルして溶融状態のシート状に下方に垂下し、所定の厚みにて所定押出速度で押し出される。
【0056】
次いで、ローラー63A,63Bを開位置に移動し、1対のローラー63Aの間隔,1対のローラー63Bの間隔を熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの厚みより広げることにより、下方に押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの最下部を1対のローラー63Aの間と1対のローラー63Bの間に、円滑に供給させる。なお、1対のローラー63Aの間隔,1対のローラー63Bの間隔を熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの厚みより広げるタイミングは、押し出し開始後でなく、ワンショット毎に二次成形が終了した時点で行ってもよい。次いで、1対のローラー63A同士、1対のローラー63B同士を互いに近接させて閉位置に移動し、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを挟み込み、ローラー63A,63Bの回転により熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを下方に送り出す。
【0057】
次いで、押出方向に一様な厚みに形成された熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを分割型65A,65Bの間に配置する。このとき、ピンチオフ部67A,67Bの周りからはみ出す形態で、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを位置決めする。以上のようにして、おもて面側表皮材シート21A(
図1参照)の材料である熱可塑性樹脂製シート26Aと、裏面側表皮材シート21B(
図1参照)の材料である熱可塑性樹脂製シート26Bとを互いに間隔を隔てた状態で、分割型65A,65Bの間に配置する。なお、押出スリット62A,62Bの間隔、あるいはローラー63A,63Bの回転速度を、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bそれぞれに対して個別に調整することにより、分割型65A,65Bの間に配置される熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの厚みを個別に調整することができる。
【0058】
次いで、
図5に示すように、熱可塑性樹脂製シート26Aの外表面28Aに当たるまで分割型65Aから型枠68Aを移動させる。なお、型枠68Bについても同様に、熱可塑性樹脂製シート26Bの外表面28Bに当たるまで分割型65Bから移動させる。
【0059】
すると、キャビティ66A,66B、型枠68A,68Bの内周面73A,73Bおよび熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの外表面28A,28Aにより構成された密閉空間75A,75Bが形成される。
【0060】
図6に示すように、真空吸引室71Aに通じる吸引穴72Aを介して、密閉空間75Aを吸引することにより、熱可塑性樹脂製シート26Aをキャビティ66Aに対して押し付けて、キャビティ66Aの表面に沿った形状に熱可塑性樹脂製シート26Aを賦形して平面部22およびへり23を形成する。熱可塑性樹脂製シート26B(
図5参照)についても同様に真空吸引により、賦形する。次いで、固定部材40が嵌め込まれた芯材30を分割型65Aと分割型65B(
図5参照)の問に配置する。
【0061】
そして、
図7に示すように、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bに当接する型枠68A,68Bをそのままの位置に保持した状態で熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを吸引保持しつつ、それぞれの環状のピンチオフ部67A,67B同士が当接するまで分割型65A,65Bを互いに近づく向きに移動させ、分割型65A,65Bを閉じる。このとき、ピンチオフ部67A,67Bの当接位置を1対の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの中間位置としたので、1対の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bは、ピンチオフ部67A,67Bの当接より、互いの周縁部29A,29B同士が熱溶着される。これにより、周壁25が形成される共に、対向する2枚の表皮材シート21A,21Bによりパネル本体20が成形される。
【0062】
これと同時に、
図8に示すように、分割型65A,65Bを閉じることによって、芯材30および固定部材40が熱可塑性樹脂製シート26A,26Bの間に挟まれる。このとき、芯材30は、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bに熱溶着されない材料で構成されるため、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bに熱溶着されない。
【0063】
一方、固定部材40は、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bに熱溶着される材料で構成されるため、固定部材40の2つの端面41は、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bとの境界面において熱可塑性樹脂製シート26A,26Bにしっかりと熱溶着される。したがって、芯材30に保持された固定部材40の2つの端面41が、熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを連結するように熱可塑性樹脂製シート26A,26Bに熱溶着される。結果、熱可塑性樹脂製シート26A(おもて面側表皮材シート21A),熱可塑性樹脂製シート26B(裏面面側表皮材シート21B)に対して、芯材30が固定部材40を介して固定される。
【0064】
なお、芯材30を分割型65A,65Bの間に配置するための手段には、例えば、周知の吸着式マニュピレータを用いることができる。すなわち、吸着式マニュピレータで芯材30の側面を吸着保持しながら、芯材30を分割型65A,65Bの間に配置した後、吸着式マニュピレータを芯材30から取り外して分割型65A,65Bの間から抜くようにする。
【0065】
次いで、
図9に示すように、分割型65A,65Bを型開きして、成形された積層パネル10を取り出し、ピンチオフ部67A,67Bの外側のバリ部分76を切断する。これで成形が完了となる。
【0066】
以上のように、一次成形において溶融樹脂を間欠的に押し出すたびに、
図4〜
図9に示される工程を繰り返すことにより、シート状の積層パネル10を次々に成形することが可能である。すなわち、一次成形(押出成形)により、熱可塑性樹脂を間欠的に溶融状態の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bとして押し出し、二次成形(真空成形)により、押し出された熱可塑性樹脂製シート26A,26Bを分割型65A,65Bを用いて成形することができる。尚、前記一方および/または他方の熱可塑性樹脂製シート26A,26Bは、押出成形されたものを直接金型間に導入して真空成形するものに限らず、予め押出成形により形成した熱可塑性樹脂製シートを所定の寸法に裁断した後、再加熱して溶融状態とされるのでもよい。
【0067】
以上、説明した積層パネル10の効果について述べる。
積層パネル10によれば、芯材30に保持される固定部材40を表皮材シート21A,21Bに熱溶着することで、表皮材シート21A,21Bに芯材30を固定することができる。例えば、難燃性のスチレン系樹脂発泡体やフェノール系樹脂発泡体で芯材30を構成し、表皮材シート21A,21Bをポリオレフィン系樹脂で構成しても、ポリオレフィン系樹脂で構成した固定部材40を表皮材シート21A,21Bに熱溶着することで、芯材30を表皮材シート21A,21Bに固定することができる。これにより、2枚の表皮材シート21A,21Bの間で芯材30を位置決めできると共に、芯材30と表皮材シート21A,21Bを一体化することができる。
【0068】
したがって、積層パネル10によれば、芯材30の材料が表皮材シート21A,21Bに熱溶着されない材料であっても、芯材30を表皮材シート21A,21Bに固定することができ、芯材30の損傷および積層パネル10の強度低下を防ぐことができる。
【0069】
また、芯材30の穴31に固定部材40を嵌め込むことで、芯材30に固定部材40を容易に保持させることができる。
【0070】
(実施形態の変形例)
次に、固定部材40およびその保持構造の変形例を
図10〜
図13に基づいて説明する。なお、前述した実施形態の積層パネル10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0071】
(第1変形例)
前述した積層パネル10(
図2参照)では、芯材30に穴31を設け、この穴31に固定部材40を嵌合するようにしたが、この他、芯材に設けた凹みに固定部材を嵌合してもよい。例えば、
図10に示すように、第1変形例では、芯材30Cに円形の凹み32を設け、この凹み32に円柱状の固定部材40Cを嵌合することで、芯材30Cに固定部材40Cを保持させるようにした。固定部材40Cの軸方向の1つの端面41は、固定部材40Cが凹み32に嵌合された状態において、芯材30Cの表面と略同一平面上に位置して露出する。この露出した端面41は、パネル本体20(
図2参照)の成形時に表皮材シート21A,21B(
図2参照)の内面に熱溶着される。
【0072】
この第1変形例によれば、前述した実施形態の積層パネル10と同様の作用効果を得ることができる。さらに、凹み32の底に固定部材40Cを当てることで、芯材30Cの表面に端面41を揃えることができるので、固定部材40Cの位置決めが容易になる。
【0073】
(第2変形例)
第2変形例では、
図11に示すように、芯材30Dの側面に半円状の切り欠き33を設け、この切り欠き33に円柱状の固定部材40Dを嵌合することで、芯材30Dに固定部材40Dを保持させるようにした。固定部材40Dが切り欠き33に嵌合された状態において、固定部材40Dの軸方向の1つの端面41は、芯材30Dの表面と略同一平面上に位置する。この端面41は、パネル本体20(
図2参照)の成形時に表皮材シート21A,21B(
図2参照)の内面に熱溶着される。
【0074】
この第2変形例によれば、前述した実施形態の積層パネル10と同様の作用効果を得ることができる。さらに、芯材30Dに切り欠き33を設けるだけなので、芯材30Dの成形が容易になる。
【0075】
(第3変形例)
第3変形例では、
図12に示すように、固定部材40Eを枠状に形成し、この枠状の固定部材40Eを芯材30Eの外周部に嵌合することで、固定部材40Eを芯材30Eに保持させるようにした。固定部材40Eの幅(パネル厚み方向の幅)は、芯材30Eの厚みと同程度の大きさに設定される。このため、固定部材40Eが芯材30Eに嵌合された状態において、固定部材40Eの2つの環状の端面42は、芯材30Eの表面と略同一平面上に位置する。固定部材40Eの2つの端面42は、パネル本体20(
図2参照)の成形時に表皮材シート21A,21B(
図2参照)の内面に熱溶着される。これにより、固定部材40Eは、芯材30Eをパネル本体20(
図2参照)に固定する。
【0076】
この第3変形例によれば、前述した実施形態の積層パネル10と同様の作用効果を得ることができる。また、芯材30Eの外周部に固定部材40Eを嵌め合せることで、芯材30Eに固定部材40Eを容易に保持させることができる。さらに、芯材30Eを固定部材40Eで完全に囲うため、芯材30Eをより確実に位置決めすることができる。加えて、芯材30Eに穴などを加工する必要がないため、芯材30Eの加工コストを削減することができる。
【0077】
(第4変形例)
第4変形例では、
図13に示すように、固定部材40FをL字状に形成し、このL字状の固定部材40Fを芯材30Fの4つの角部に嵌合することで、固定部材40Fを芯材30Fに保持させるようにした。固定部材40Fの幅(パネル厚み方向の幅)は、芯材30Fの厚みと同程度の大きさに設定される。このため、固定部材40Fが芯材30Fの角部に嵌合された状態において、固定部材40Fの2つのL字状の端面43は、芯材30Fの表面と略同一平面上に位置する。各固定部材40Fの2つの端面43は、パネル本体20(
図2参照)の成形時に表皮材シート21A,21B(
図2参照)の内面に熱溶着される。これにより、固定部材40Fは、芯材30Fをパネル本体20(
図2参照)に固定する。
【0078】
この第4変形例によれば、前述した実施形態の積層パネル10と同様の作用効果を得ることができる。さらに、第3変形例と同様に、芯材30Fに穴などを加工する必要がないため、芯材30Fの加工コストを削減することができる。
【0079】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0080】
例えば、実施形態および第1〜第4変形例では、芯材30,30C〜F、および、固定部材40,40C〜Fを示したが、本発明に係る芯材および固定部材は、これらの実施形態、第1〜第4変形例を適宜組み合わせたものであってもよい。