(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アッパートリムの第1側壁の下端部と、前記ロアトリムの上壁の車幅方向外側の端縁との間に、シートベルト装置のウェビングが挿通されるウェビング挿通孔が形成され、
前記アッパートリムの第1側壁の下端部と前記ロアトリムの第2側壁の上端部とのいずれか一方に、他方に当接する第3当接リブが設けられ、
前記第3当接リブが前記他方に当接することで、車幅方向における前記ウェビング挿通孔の幅を設定値に保つ請求項1又は6に記載の車両のピラー内装構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造によれば、前記第1係合爪を第1係合孔に挿入係合し、第2係合爪を第2係合孔に挿入係合することで、ロアトリムの第2前壁と第2後壁が互いに近接する方向に引き込まれ、ロアトリムの第2側壁が車幅方向内側(車室内側)に膨らみやすかった。前記第2側壁の車幅方向内側への膨らみは、気温の変化やアッパートリム及びロアトリムの成形時の寸法誤差などによっても生じることがある。その結果、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部との連結部(合わせ部)の外観品質が低下していた。
本発明の目的は、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部との連結部の外観品質を向上させることができる車両のピラー内装構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本
第1発明の特徴は、
車体側部に設けられたピラーパネルがアッパートリムとロアトリムに覆われ、
前記ロアトリムの上端部が前記アッパートリムの下端部に車室内側から重なり、
前記アッパートリムは、意匠面が車幅方向内側を向く第1側壁と、前記第1側壁の車両前方側の側部から車幅方向外側に延びる第1前壁と、前記第1側壁の車両後方側の側部から車幅方向外側に延びる第1後壁とを備え、
前記ロアトリムは、意匠面が車幅方向内側を向く第2側壁と、前記第2側壁の車両前方側の側部から車幅方向外側に延びる第2前壁と、前記第2側壁の車両後方側の側部から車幅方向外側に延びる第2後壁とを備えている車両のピラー内装構造であって、
前記ロアトリムの第2前壁と第2後壁と第2側壁の上端部から裏側に上壁が張り出し、
前記ロアトリムの上壁の車両前方側の端部と車両後方側の端部と車両前後方向中間部に、上方に突出する第1係合爪と第2係合爪と第3係合爪が各別に設けられ、
前記アッパートリムの第1前壁の下端部と第1後壁の下端部と第1側壁の下端部に、第1係合孔と第2係合孔と第3係合孔が各別に形成され、
前記第1係合爪が前記第1係合孔に車両前方側から挿入係合され、
前記第2係合爪が前記第2係合孔に車両後方側から挿入係合され、
前記第3係合爪が前記第3係合孔に車幅方向内側から挿入係合
され、
前記ロアトリムの第2側壁の上端部の裏面側と、前記アッパートリムの第1側壁の下端部の意匠面側とに、互いに交差して当接する第1当接リブと被当接リブが各別に突設され、
前記第1当接リブと被当接リブは、車幅方向から見て前記第3係合爪の下方に配置されている点にある。(請求項1)
【0006】
上記の構成によれば、ロアトリムの上壁の車両前方側の端部に設けられた上方に突出する第1係合爪が、アッパートリムの第1前壁の下端部に形成された第1係合孔に車両前方側から挿入係合されている。また、ロアトリムの上壁の車両後方側の端部に設けられた上方に突出する第2係合爪が、アッパートリムの第1後壁の下端部に形成された第2係合孔に車両後方側から挿入係合されている。
これにより、ロアトリムの第2前壁の上端部がアッパートリムの第1前壁の下端部に対して車両前方側に開く(離間する)ことと、ロアトリムの第2後壁の上端部が、アッパートリムの第1後壁の下端部に対して車両後方側に開くこととを防止することができる。
上記のように、第1係合爪が第1係合孔に挿入係合し、第2係合爪が第2係合孔に挿入係合することで、ロアトリムの第2前壁と第2後壁が互いに近接する方向に引き込まれ、ロアトリムの第2側壁が車幅方向内側(車室内側)に膨らむことが考えられる。さらに、ロアトリムの第2側壁の車幅方向内側への膨らみは、気温の変化(車室内の温度の変化)やロアトリム及びアッパートリムの成形時の寸法誤差などによっても生じる。そうなると、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部(合わせ部)の見栄えが悪くなる。
しかしながら、本発明の上記構成によれば、ロアトリムの上壁の車両前後方向中間部に設けられた上方に突出する第3係合爪が、アッパートリムの第1側壁の下端部に形成された第3係合孔に車幅方向内側から挿入係合されている。従って、ロアトリムの第2側壁の車幅方向内側への膨らみを抑制することができ、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部の外観品質を向上させることができる。(請求項1)
【0008】
前記第1当接リブと被当接リブが互いに交差して当接することで、前記第1側壁の下端部と第2側壁の上端部との車幅方向における間隔が狭くなりすぎることを回避することができる。
また、前記第3係合爪が前記第3係合孔に挿入係合されたことに起因して、アッパートリムの下端部の意匠面(第1側壁の下端部の意匠面)がロアトリムの上端部の意匠面(第2側壁の上端部の意匠面)よりも車幅方向内側に突出することを防止することができる。
これにより、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部の外観品質を向上させることができる。
さらに、第1当接リブと被当接リブは互いに交差しているから、第1当接リブと被当接リブを確実に当接させることができる。(請求項
1)
【0010】
前記第1当接リブと被当接リブを前記第3係合爪に近づけることができる。その結果、 前記第3係合爪が前記第3係合孔に挿入係合されたことに起因して、アッパートリムの下端部の意匠面(第1側壁の下端部の意匠面)がロアトリムの上端部の意匠面(第2側壁の上端部の意匠面)よりも車幅方向内側に突出することを確実に防止することができる。(請求項
1)
【0011】
本
第1発明において、
前記第1当接リブと被当接リブは、前記アッパートリムとロアトリムの幅方向に間隔を空けて複数組配置され、
前記複数組のうちの一組の第1当接リブと被当接リブが、車幅方向から見て前記第3係合爪の下方に配置されていると、次の作用を奏することができる。(請求項
2)
【0012】
前記第1当接リブと被当接リブは、前記アッパートリムとロアトリムの幅方向に間隔を空けて複数組配置されているから、前記第1側壁の下端部と第2側壁の上端部との車幅方向における間隔が狭くなりすぎることを回避することができる。
また、前記複数組のうちの一組の第1当接リブと被当接リブが、車幅方向から見て前記第3係合爪の下方に配置されている。従って、前記一組の第1当接リブと被当接リブを前記第3係合爪に近づけることができる。その結果、前記第3係合爪が前記第3係合孔に挿入係合されたことに起因して、アッパートリムの下端部の意匠面(第1側壁の下端部の意匠面)がロアトリムの上端部の意匠面(第2側壁の上端部の意匠面)よりも車幅方向内側に突出することを確実に防止することができる。(請求項
2)
【0013】
本
第1発明において、
前記第1当接リブと被当接リブの各組ごとに、前記第1当接リブが1個、前記被当接リブが複数個設けられ、
前記各組において、前記1個の第1当接リブが前記複数個の被当接リブに交差して当接すると、次の作用を奏することができる。(請求項
3)
【0014】
第1当接リブと被当接リブとが格子状に配置される。従って、第1当接リブと被当接リブの当接状態を安定させることができる。(請求項
3)
【0015】
本
第1発明において、
前記ロアトリムの上壁の下面に、下方に突出する第2当接リブが設けられ、
前記第2当接リブが上方から当接する被当接部が前記アッパートリムの下端部に設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項
4)
【0016】
ロアトリムの自重や、車室内の温度低下によるロアトリムの収縮で、ロアトリムが下方に引っ張られる場合、ロアトリムの上壁は車幅方向内側ほど下方に位置するように傾斜しようとする。前記上壁がこのように傾斜すると、上壁の各部(前端部,後端部,車両前後方向中間部)とアッパートリムの下端部との間の隙間が広がって見栄えが悪くなる。
しかしながら、本発明の上記構成によれば、ロアトリムの上壁の下面に設けられた下方に突出する第2当接リブが、アッパートリムの下端部に設けられた被当接部に上方から当接することで、ロアトリムの上壁が傾斜することを防止することができる。これにより、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部の外観品質を向上させることができる。(請求項
4)
【0017】
本
第1発明において、
前記第2当接リブと被当接部は、前記アッパートリムとロアトリムの幅方向に間隔を空けて複数組配置されていると、次の作用を奏することができる。(請求項
5)
【0018】
前記第2当接リブと被当接部は、前記アッパートリムとロアトリムの幅方向に間隔を空けて複数組配置されているから、上記のようにロアトリムの上壁が傾斜することを確実に防止することができる。(請求項
5)
【0019】
本第2発明の特徴は、
車体側部に設けられたピラーパネルがアッパートリムとロアトリムに覆われ、
前記ロアトリムの上端部が前記アッパートリムの下端部に車室内側から重なり、
前記アッパートリムは、意匠面が車幅方向内側を向く第1側壁と、前記第1側壁の車両前方側の側部から車幅方向外側に延びる第1前壁と、前記第1側壁の車両後方側の側部から車幅方向外側に延びる第1後壁とを備え、
前記ロアトリムは、意匠面が車幅方向内側を向く第2側壁と、前記第2側壁の車両前方側の側部から車幅方向外側に延びる第2前壁と、前記第2側壁の車両後方側の側部から車幅方向外側に延びる第2後壁とを備えている車両のピラー内装構造であって、
前記ロアトリムの第2前壁と第2後壁と第2側壁の上端部から裏側に上壁が張り出し、
前記ロアトリムの上壁の車両前方側の端部と車両後方側の端部と車両前後方向中間部に、上方に突出する第1係合爪と第2係合爪と第3係合爪が各別に設けられ、
前記アッパートリムの第1前壁の下端部と第1後壁の下端部と第1側壁の下端部に、第1係合孔と第2係合孔と第3係合孔が各別に形成され、
前記第1係合爪が前記第1係合孔に車両前方側から挿入係合され、
前記第2係合爪が前記第2係合孔に車両後方側から挿入係合され、
前記第3係合爪が前記第3係合孔に車幅方向内側から挿入係合され、
前記アッパートリムの第1前壁の下端部に前記ロアトリムの第2前壁の上端部を重ね合わせるに伴って、前記第1係合爪が前記第1係合孔に挿入されるように、前記ロアトリムの上壁の第1係合爪付近の裏面をガイドする第1ガイド部が前記アッパートリムの下端部に設けられ、
前記アッパートリムとロアトリムの幅方向において前記第3係合爪は前記第2係合爪の近くに配置され、
前記アッパートリムの第1側壁の下端部に前記ロアトリムの第2側壁の上端部を重ね合わせるとともに、前記アッパートリムの第1後壁の下端部に前記ロアトリムの第2後壁の上端部を重ね合わせるに伴って、前記第3係合爪が前記第3係合孔に、前記第2係合爪が前記第2係合孔に挿入されるように、前記ロアトリムの上壁の第3係合爪と第2係合爪付近の裏面をガイドする第2ガイド部が前記アッパートリムの下端部に設けられて
いる点にある。この構成によれば、次の作用を奏することができる。(請求項
6)
【0020】
上記の構成によれば、ロアトリムの上壁の車両前方側の端部に設けられた上方に突出する第1係合爪が、アッパートリムの第1前壁の下端部に形成された第1係合孔に車両前方側から挿入係合されている。また、ロアトリムの上壁の車両後方側の端部に設けられた上方に突出する第2係合爪が、アッパートリムの第1後壁の下端部に形成された第2係合孔に車両後方側から挿入係合されている。
これにより、ロアトリムの第2前壁の上端部がアッパートリムの第1前壁の下端部に対して車両前方側に開く(離間する)ことと、ロアトリムの第2後壁の上端部が、アッパートリムの第1後壁の下端部に対して車両後方側に開くこととを防止することができる。
上記のように、第1係合爪が第1係合孔に挿入係合し、第2係合爪が第2係合孔に挿入係合することで、ロアトリムの第2前壁と第2後壁が互いに近接する方向に引き込まれ、ロアトリムの第2側壁が車幅方向内側(車室内側)に膨らむことが考えられる。さらに、ロアトリムの第2側壁の車幅方向内側への膨らみは、気温の変化(車室内の温度の変化)やロアトリム及びアッパートリムの成形時の寸法誤差などによっても生じる。そうなると、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部(合わせ部)の見栄えが悪くなる。
しかしながら、本発明の上記構成によれば、ロアトリムの上壁の車両前後方向中間部に設けられた上方に突出する第3係合爪が、アッパートリムの第1側壁の下端部に形成された第3係合孔に車幅方向内側から挿入係合されている。従って、ロアトリムの第2側壁の車幅方向内側への膨らみを抑制することができ、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部の外観品質を向上させることができる。
アッパートリムの第1前壁の下端部にロアトリムの第2前壁の上端部を重ね合わせるに伴って、第1係合爪が第1係合孔に挿入されるように、アッパートリムの下端部の第1ガイド部がロアトリムの上壁の第1係合爪付近の裏面をガイドする。
また、アッパートリムの第1側壁の下端部にロアトリムの第2側壁の上端部を重ね合わせるとともに、アッパートリムの第1後壁の下端部にロアトリムの第2後壁の上端部を重ね合わせるに伴って、第3係合爪が前記第3係合孔に、第2係合爪が第2係合孔に挿入されるように、アッパートリムの下端部の第2ガイド部がロアトリムの上壁の第3係合爪と第2係合爪付近の裏面をガイドする。
これにより、第1係合爪と第2係合爪と第3係合爪を第1係合孔と第2係合孔と第3係合孔に円滑に挿入係合することができる。その結果、前記第1係合爪と第2係合爪と第3係合爪を前記第1係合孔と第2係合孔と第3係合孔に各別に挿入係合したことによる組み付け性の低下を回避することができる。(請求項
6)
【0021】
本第1発明又は本第2発明において、
前記アッパートリムの第1側壁の下端部と、前記ロアトリムの上壁の車幅方向外側の端縁との間に、シートベルト装置のウェビングが挿通されるウェビング挿通孔が形成され、
前記アッパートリムの第1側壁の下端部と前記ロアトリムの第2側壁の上端部とのいずれか一方に、他方に当接する第3当接リブが設けられ、
前記第3当接リブが前記他方に当接することで、車幅方向における前記ウェビング挿通孔の幅を設定値に保つと、次の作用を奏することができる。(請求項
7)
【0022】
例えば、ウェビング挿通孔の車幅方向における幅を広く設定すると、ロアトリムの内部がウェビング挿通孔から見えて見栄えが悪くなる。逆に、前記幅を狭くしすぎると、ウェビング挿通孔の内周縁に対するウェビングの摺動抵抗が増大し、シートベルト装置の操作力が大きくなる。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記第3当接リブが前記他方に当接することで、車幅方向における前記ウェビング挿通孔の幅を設定値に保つ。
これにより、ウェビング挿通孔の車幅方向における幅を必要最小限に抑えることができ、アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部の連結部の外観品質を向上させることができる。しかも、シートベルト装置の操作性を向上させることができる。(請求項
7)
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、
アッパートリムの下端部とロアトリムの上端部との連結部の外観品質を向上させることができる車両のピラー内装構造を提供することができた。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図9に示すように、フロントドアの開口A1とリアドアの開口A2との間の車体側部にセンターピラー1が設けられている。このセンターピラー1は、金属製のセンターピラーパネル5(ピラーパネルに相当、
図8参照)と、センターピラーパネル5を車室内側から覆う内装部材としてのセンターピラートリム11とを備えている。
【0026】
図7に示すように、前記センターピラーパネル5は、互いに溶接接合されたセンターピラーインナーパネル5Aとセンターピラーアウターパネル5Bとセンターピラーリンフォース5Cとから成る。センターピラーインナーパネル5Aは、車幅方向外側W2(車室外側)が開放した断面ハット形状に形成され、センターピラーアウターパネル5Bとセンターピラーリンフォース5Cは車幅方向内側W1(車室内側)が開放した断面ハット形状に形成されている。
【0027】
詳しくは、
図5(b),
図6(b)に示すように、センターピラーインナーパネル5Aとセンターピラーアウターパネル5Bとセンターピラーリンフォース5Cとの前側フランジ5F1,5F2,5F3同士、後側フランジ5F4,5F5,5F6同士が溶接接合されている。互いに溶接接合された前側フランジ5F1,5F2,5F3と後側フランジ5F4,5F5,5F6には、オープニングトリム28の取り付け基部がそれぞれ外嵌装着されている。
【0028】
図8に示すように、前記センターピラートリム11は、アッパートリム2とロアトリム3とに上下に2分割されている。つまり、前記センターピラーパネル5がアッパートリム2とロアトリム3に覆われている。アッパートリム2とロアトリム3は樹脂製である。
図1に示すように、ロアトリム3の上端部3Jはアッパートリム2の下端部2Kに車室内側から重なっている。これにより、センターピラーパネル5が車室内に露出することを防止することができる。
【0029】
[アッパートリム2の構造]
図1,
図2(a)〜
図2(c)に示すように、前記アッパートリム2は、意匠面が車幅方向内側W1を向く第1側壁21と、第1側壁21の車両前方側Frの側部から車幅方向外側W2に延びる第1前壁22と、第1側壁21の車両後方側Rrの側部から車幅方向外側W2に延びる第1後壁23(
図7,
図8参照)とを備えている。前記第1側壁21の下端部の車両前後方向中間部21L(
図2(a)参照)は、第1側壁21の下端部の車両前方側Frの端部(以下、前側下端部と称する)と車両後方側Rrの端部(以下、後側下端部と称する)とに対して車幅方向外側W2に凹んでいる。
【0030】
また、アッパートリム2の第1前壁22の下端部と第1側壁21の前側下端部とにわたって略水平方向に延びるスリット状の前側開口51が形成されている。さらに、アッパートリム2の第1側壁21の後側下端部と第1後壁23の下端部とにわたって略水平方向に延びるスリット状の後側開口53が形成されている。
【0031】
図2(a),
図2(b)に示すように、前記前側開口51のうち、第1前壁22の下端部に形成された前側開口部分は第1係合孔51Mに構成されている。この第1係合孔51Mには、前記第1側壁21の前側下端部に形成された前側開口部分51Kが連続している。
【0032】
また、
図2(a),
図2(c)に示すように、第1後壁23の下端部に形成された後側開口部分が第2係合孔53Kに構成され、第1側壁21の後側下端部に形成された後側開口部分が第3係合孔53Mに構成されている。つまり、アッパートリム2の第1前壁22の下端部と第1後壁23の下端部と第1側壁21の下端部に、第1係合孔51Mと第2係合孔53Kと第3係合孔53Mが各別に形成されている。第2係合孔53Kと第3係合孔53Mは連続している。
【0033】
そして、
図1,
図2(a)〜
図2(c)に示すように、前記アッパートリム2の第1側壁21の下端部の意匠面側に、ロアトリム3の上端部3Jの第1当接リブ62,63が当接する被当接リブ71〜74が突設されている。ロアトリム3の第1当接リブ62,63については後で詳しく説明する。
【0034】
前記被当接リブ71〜74は、上下方向に沿う縦リブ状に形成されて、第1側壁21の前側下端部と後側下端部とに前後一対ずつ配置されている。以下、これら合計4個の被当接リブ71〜74を、車両前方側Frから順に第1被当接リブ71、第2被当接リブ72、第3被当接リブ73、第4被当接リブ74と称する。
【0035】
前記第1被当接リブ71と第2被当接リブ72は、略同一の縦長の四角形状に形成されて、第1側壁21に形成された前側開口部分51Kの下方に位置する。そして、第1被当接リブ71の上端縁と第2被当接リブ72の上端縁が、前側開口部分51Kの略水平の下側開口周縁上に位置している。また、第1被当接リブ71の車幅方向内側W1の端部に、上下方向に沿う被当接面71Sが形成され、第2被当接リブ72の車幅方向内側W1の端部に、上下方向に沿う被当接面72Sが形成されている。
【0036】
図2(c)に示すように、前記第3被当接リブ73と第4被当接リブ74は、前記第1側壁21に形成された第3係合孔53Mの下方に位置する。第4被当接リブ74の高さ寸法は第3被当接リブ73の高さ寸法よりも短く設定されている。また、第3被当接リブ73の車幅方向内側W1の端部に、上下方向に沿う被当接面73Sが形成され、第4被当接リブ74の車幅方向内側W1の端部に、上下方向に沿う被当接面74Sが形成されている。
【0037】
第3被当接リブ73と第4被当接リブ74の上端部は前記第3係合孔53Mの下側周縁53M1の上方に突出し、第3被当接リブ73の上端縁73J1と第4被当接リブ74の上端縁74J1は第3係合孔53Mの上下方向中間部に位置する。
【0038】
また、
図1,
図2(a),
図2(c),
図4(a)に示すように、前記アッパートリム2の第1側壁21の下端部に、ロアトリム3の第2側壁31の上端部に当接する第3当接リブ75が突設されている。前記第3当接リブ75は上下方向に沿う縦リブ状に形成され、車両前後方向から見て台形状に形成されている。そして、第3当接リブ75の車幅方向内側W1の端部に、上下方向に沿う当接面75Sが設けられ、この当接面75Sが第2側壁31の上端部の裏面に車幅方向外側W2から当接する。
【0039】
図1に示すように、センターピラーインナーパネル5Aの被係合部に係合する係合部80が前記第1側壁21の下端部から下方に突出している。アッパートリム2の構造については後でさらに詳しく説明する。
【0040】
[ロアトリム3の構造]
図1,
図3(a)〜
図3(c)に示すように、前記ロアトリム3は、意匠面が車幅方向内側W1を向く第2側壁31と、第2側壁31の車両前方側Frの側部から車幅方向外側W2に延びる第2前壁32と、第2側壁31の車両後方側Rrの側部から車幅方向外側W2に延びる第2後壁33とを備えている。そして、第2前壁32の車幅方向外側W2の側部から前側フランジ32Fが車両後方側Rrに延び、第2後壁33の車幅方向外側W2の側部から後側フランジ33Fが車両前方側Frに延びている。
【0041】
さらに、前記第2前壁32の上端部の車幅方向内側W1の部分と、第2後壁33の上端部の車幅方向内側W1の部分と、第2側壁31の上端部とから裏側に上壁34が張り出している。そして、前記上壁34の車両前方側Frの端部34A(以下、「前端部34A」と称する)と車両後方側Rrの端部34B(以下、「後端部34B」と称する)と車両前後方向中間部34Cに、上方に突出する第1係合爪41と第2係合爪42と第3係合爪43が各別に設けられている。前記第3係合爪43は、第2側壁31の車両後方側Rrの上端部から張り出す上壁部分に突設され、アッパートリム2とロアトリム3の幅方向(車両前後方向)において第2係合爪42の近くに位置している。
【0042】
前記第1係合爪41と第2係合爪42は、車幅方向から見た縦断面形状が三角形状に設定され、第3係合爪43は、車両前後方向から見た縦断面形状が三角形状に設定されている(
図4(c)参照)。
【0043】
図3(a)〜
図3(c)に示すように、前記上壁34の前端部34Aの裏面には、第1係合爪41の周りの前端部34Aを補強する前側補強リブ68が設けられている。また、前記上壁34の後端部34Bの裏面には、第2係合爪42の周りの後端部34Bを補強する後側補強リブ69が設けられている。前側補強リブ68と後側補強リブ69は、第2側壁31の幅方向(車両前後方向)に沿う横リブ状に形成されている。前記前側補強リブ68の長手方向一端部は第2前壁32の裏面に連なり、後側補強リブ69の長手方向一端部は第2後壁33の裏面に連なっている。これにより、前側補強リブ68と後側補強リブ69の強度・剛性を向上させることができる。
【0044】
また、ロアトリム3の第2側壁31の上端部の裏面側に第1当接リブ62,63が突設されている。前記第1当接リブ62,63は、第2側壁31の幅方向に沿う横リブ状に形成されて、第2側壁31の車両前方側Frの上端部(以下、「前側上端部」と称する)と車両後方側Rrの上端部(以下、「後側上端部」と称する)とに配置されている。
【0045】
図1に示すように、車両前方側Frの第1当接リブ62は、アッパートリム2の第1側壁21の前側下端部に設けられた第1被当接リブ71と第2被当接リブ72に、車幅方向内側W1から交差(略直交)して当接する。また、車両後方側Rrの第1当接リブ63は、アッパートリム2の第1側壁21の後側下端部に設けられた第3被当接リブ73と第4被当接リブ74に、車幅方向内側W1から交差(略直交)して当接する(
図4(b)も参照)。
【0046】
前記車両後方側Rrの第1当接リブ63と、第3被当接リブ73及び第4被当接リブ74とは、車幅方向から見て前記第3係合爪43の下方(真下)に配置されている。
【0047】
さらに、前記ロアトリム3の上壁34の下面(裏面)に、下方に突出する第2当接リブ61,64が設けられている。前記第2当接リブ61,64は、前記上壁34の前端部34Aと後端部34Bに、第2側壁31の幅方向に沿う横リブ状に形成されている。
【0048】
図1に示すように、車両前方側Frの第2当接リブ61は、アッパートリム2の第1被当接リブ71の上端部71J(
図2(b)参照)と第2被当接リブ72の上端部72Jに上方から当接する。車両後方側Rrの第2当接リブ64は、第2後壁33の第2係合孔53K(後側開口部分)の下側周縁部53K1(
図2(c)参照)に上方から当接する。
【0049】
前記車両前方側Frの第2当接リブ61の長手方向一端部は第2前壁32の裏面に連なり、車両後方側Rrの第2当接リブ64の長手方向一端部は第2後壁33の裏面に連なっている。
【0050】
前記第1被当接リブ71の上端部71Jと第2被当接リブ72の上端部72Jは、前記上壁34の前端部34Aに設けられた第2当接リブ61が上方から当接する被当接部を構成する。また、第2後壁33の第2係合孔53K(後側開口部分)の下側周縁部53K1は、前記上壁34の後端部34Bに設けられた第2当接リブ64が上方から当接する被当接部を構成する。
【0051】
図1〜
図3に示すように、前記第1係合爪41が第1係合孔51Mに車両前方側Frから挿入係合され、第2係合爪42が第2係合孔53Kに車両後方側Rrから挿入係合され、
図4(c)に示すように、第3係合爪43が第3係合孔53Mに車幅方向内側W1から挿入係合されている。
【0052】
上記のように、前記第1当接リブと被当接リブは、アッパートリム2とロアトリム3の幅方向に間隔を空けて二組(複数組)配置されている。つまり、一組の第1当接リブは、車両前方側Frの第1当接リブ62であり、被当接リブは、第1被当接リブ71と第2被当接リブ72である。別の一組の第1当接リブは、車両後方側Rrの第1当接リブ63であり、被当接リブは、第3被当接リブ73と第4被当接リブ74である。
【0053】
そして、複数組のうちの一組の第1当接リブ63と、第3被当接リブ73及び第4被当接リブ74とが、車幅方向から見て前記第3係合爪43の下方(真下)に配置されている。このように、各組ごとに、前記第1当接リブが1個、前記被当接リブが複数個設けられ、各組において、1個の第1当接リブが複数個の被当接リブに交差(直交)して当接する。
【0054】
さらに、上記のように、前記第2当接リブと被当接部は、アッパートリム2とロアトリム3の幅方向に間隔を空けて複数組配置されている。つまり、一組の第2当接リブは、車両前方側Frの第2当接リブ61、被当接部は、第1被当接リブ71の上端部71Jと第2被当接リブ72の上端部72Jである。別の一組の第2当接リブは、車両後方側Rrの第2当接リブ64、被当接部は、第2後壁33の第2係合孔53K(後側開口部分)の下側周縁部53K1である。
【0055】
[シートベルト装置のウェビング挿通孔Sの構造]
図1に示すように、アッパートリム2の第1側壁21の下端部と、ロアトリム3の上壁34の車幅方向外側W2の端縁34Eとの間に、シートベルト装置のウェビングが挿通される車両前後方向に細長いウェビング挿通孔Sが形成されている。
【0056】
そして、アッパートリム2の第1側壁21の下端部に設けられた前記第3当接リブ75が前記第2側壁31の上端部の裏面に当接することで、車幅方向におけるウェビング挿通孔Sの幅を設定値に保つよう構成されている。
【0057】
例えば、前記ウェビング挿通孔Sの車幅方向における幅を広く設定すると、ロアトリム3の内部がウェビング挿通孔Sから見えて見栄えが悪くなる。逆に、前記幅を狭くしすぎると、ウェビング挿通孔Sの内周縁に対するウェビングの摺動抵抗が増大し、シートベルト装置の操作力が大きくなるという不具合が発生する。
これに対して、本発明の上記の構成によれば、前記第3当接リブ75が前記第2側壁31の上端部の裏面に当接することで、車幅方向におけるウェビング挿通孔Sの幅を設定値に保つ。これにより、前記ウェビング挿通孔Sの車幅方向における幅を必要最小限に抑えることができ、アッパートリム2の下端部2Kとロアトリム3の上端部3Jの連結部の外観品質を向上させることができる。しかも、シートベルト装置の操作性を向上させることができる。
【0058】
上記の構造に換えて、前記第3当接リブ75が前記第2側壁31の上端部の裏面に突設され、第3当接リブ75がアッパートリム2の第1側壁21の下端部に当接することで、車幅方向におけるウェビング挿通孔Sの幅が設定値に保たれるよう構成されていてもよい。
【0059】
[第1ガイド部27の構造]
ロアトリム3の上端部3Jをアッパートリム2の下端部2Kに組み付ける場合、
図5(a),
図5(b)に示すように、アッパートリム2の第1前壁22の下端部に前記ロアトリム3の第2前壁32の上端部を重ね合わせる。これに伴って、第1係合爪41が第1係合孔51Mに挿入されるように、ロアトリム3の上壁34の第1係合爪41付近の裏面をガイドする第1ガイド部27(
図2(b)参照)がアッパートリム2の下端部2Kの第1被当接リブ71に設けられている。次に、この第1ガイド部27の構造について説明する。
【0060】
図2(a),
図2(b)に示すように、前記第1被当接リブ71は第1側壁21の前端よりも少し車両後方側Rrに位置している。そして、第1被当接リブ71よりも車両前方側Frの第1側壁部分29の上端部29Jに、車両後方側Rrほど上方に位置する第1傾斜面29J1が形成されている。
【0061】
また、第1被当接リブ71の上端部71Jに、車両後方側Rrほど上方に位置する第2傾斜面71J1が、第1被当接リブ71の突出方向の略全長にわたって形成されている。前記第1傾斜面29J1と第2傾斜面71J1の傾斜角度は同一であり、前記第1傾斜面29J1が第2傾斜面71J1の車幅方向外側W2の端部に連続している。
【0062】
前記第1ガイド部27は、前記第1側壁部分29の上端部29Jと第1被当接リブ71の上端部71Jとに設けられ、そのガイド面27Mは、前記第1傾斜面29J1と第2傾斜面71J1とで構成されている。
【0063】
[第2ガイド部26の構造]
ロアトリム3の上端部3Jをアッパートリム2の下端部2Kに組み付ける場合、前述のように、アッパートリム2の第1前壁22の下端部に前記ロアトリム3の第2前壁32の上端部を重ね合わせる(
図5(a),
図5(b)参照)。さらに、
図6(a),
図6(b)に示すように、アッパートリム2の第1側壁21の下端部に、ロアトリム3の第2側壁31の上端部を重ね合わせるとともに、アッパートリム2の第1後壁23の下端部に、ロアトリム3の第2後壁33の上端部を重ね合わせる。これに伴って、前記第3係合爪43が第3係合孔53Mに、第2係合爪42が第2係合孔53Kに挿入されるように、ロアトリム3の上壁34の第3係合爪43と第2係合爪42付近の裏面をガイドする前後一対の第2ガイド部26(
図2(c)参照)が、アッパートリム2の下端部2K(第1側壁21の後側下端部)に設けられている。
【0064】
図2(c)に示すように、前側の第2ガイド部26は、前記第3被当接リブ73の上端部73Jに設けられている。前記前側の第2ガイド部26のガイド面26Mは、第3被当接リブ73の上端部73Jに形成されて、上側ほど車幅方向外側W2(
図1参照)に位置するように傾斜している。
【0065】
後側の第2ガイド部26は、前記第4被当接リブ74の上端部に設けられている。前記後側の第2ガイド部26のガイド面26Mは、第4被当接リブ74の上端部74Jに形成されて、上側ほど車幅方向外側W2(
図1参照)に位置するように傾斜している。
【0066】
上記の第1ガイド部27と第2ガイド部26を設けたことで、第1係合爪41と第2係合爪42と第3係合爪43を第1係合孔51Mと第2係合孔53Kと第3係合孔53Mに円滑に挿入係合することができる。
その結果、前記第1係合爪41と第2係合爪42と第3係合爪43を前記第1係合孔51Mと第2係合孔53Kと第3係合孔53Mに各別に挿入係合したことによる組み付け性の低下を回避することができる。
【0067】
[ロアトリム3のアッパートリム2への組み付け手順]
(1)
図5(a)に示すように、前記センターピラーパネル5の前後一対の側部(センターピラーインナーパネル5Aとセンターピラーアウターパネル5Bとセンターピラーリンフォース5Cの互いに溶接接合された前側フランジ5F1,5F2,5F3、及び、後側フランジ5F4,5F5,5F6)に前後一対のオープニングトリム28の取り付け基部を各別に外嵌装着する。
【0068】
(2) アッパートリム2をセンターピラーパネル5にクリップや係合爪で取り付ける。
【0069】
(3)
図5(a),
図5(b)に示すように、センターピラーパネル5の車幅方向内側W1において、ロアトリム3を車両後方側Rrほど車幅方向内側W1に位置するように傾斜させる。そして、ロアトリム3の前側フランジ32Fの内面を、車両前方側Frの前記オープニングトリム28の取り付け基部の車幅方向外側W2の側部に係止させる。
【0070】
(4) ロアトリム3の前側フランジ32Fと、オープニングトリム28の取り付け基部の車幅方向外側W2の側部との係止部を中心として、ロアトリム3を車幅方向外側W2に揺動回転させる。そして、ロアトリム3の第2前壁32の上端部をアッパートリムの第1前壁22の下端部に重ね合わせる。
これに伴って、ロアトリム3の上壁34の第1係合爪41付近の裏面が第1ガイド部27(
図2(b)参照)のガイド面27Mにガイドされて、第1係合爪41が第1係合孔51Mに挿入係合される。
【0071】
(5)
図6(a),
図6(b)に示すように、ロアトリム3の後側フランジ33Fを車両後方側Rrに引っ張って、ロアトリム3の第2後壁33が第2前壁32から離間するようにロアトリム3を弾性変形させる。
そして、アッパートリム2の第1側壁21の下端部に、ロアトリム3の第2側壁31の上端部を重ね合わせるとともに、アッパートリム2の第1後壁23の下端部に、ロアトリム3の第2後壁33の上端部を重ね合わせる。
これに伴って、ロアトリム3の上壁34の第3係合爪43と第2係合爪42付近の裏面が、第2ガイド部26のガイド面26M(
図2(c)参照)にガイドされ、前記第3係合爪43が第3係合孔53Mに、前記第2係合爪42が第2係合孔53Kに挿入係合される。
【0072】
(6) ロアトリム3の後側フランジ33Fの内面を、車両後方側Rrのオープニングトリム28の車幅方向外側W2の側部に係止させてロアトリム3を弾性復元させる。
【0073】
上記の組み付けにより、
図1に示すように、ロアトリム3の車両前方側Frの第2当接リブ61は、アッパートリム2の下端部2K(第1側壁21の前側下端部)に設けられた第1被当接リブ71の上端部71Jと第2被当接リブ72の上端部72Jとに乗り上げて上方から当接する。また、車両前方側Frの第1当接リブ62は、前記第1被当接リブ71と第2被当接リブ72に車幅方向内側W1から交差(略直交)して当接する。
【0074】
ロアトリム3の車両後方側Rrの第2当接リブ64は、第2後壁33の第2係合孔53Kの下側周縁部53K1(
図2(c)参照)に上方から当接する。そして、ロアトリム3の車両後方側Rrの第1当接リブ63は、アッパートリム2の下端部2K(第1側壁21の後側下端部)に設けられた第3被当接リブ73と第4被当接リブ74に車幅方向内側W1から交差(略直交)して当接する。さらに、アッパートリム2の第3当接リブ75がロアトリム3の第2側壁31の上端部の裏面に当接する。
そして、
図4(b)に示すように、前記ロアトリム3の上壁34の車両前後方向中間部34Cが、第3被当接リブ73の上端縁73J1と第4被当接リブ74の上端縁74J1(
図2(c)参照)とに乗り上げる。
【0075】
上記の構成によれば、
(1) ロアトリム3の上壁34の前端部34Aに設けられた上方に突出する第1係合爪41が、アッパートリム2の第1前壁22の下端部に形成された第1係合孔51Mに車両前方側Frから挿入係合されている。また、ロアトリム3の上壁34の後端部34Bに設けられた上方に突出する第2係合爪42が、アッパートリム2の第1後壁23の下端部に形成された第2係合孔53Kに車両後方側Rrから挿入係合されている。
これにより、ロアトリム3の第2前壁32の上端部がアッパートリム2の第1前壁22の下端部に対して車両前方側Frに開く(離間する)ことと、ロアトリム3の第2後壁33の上端部が、アッパートリム2の第1後壁23の下端部に対して車両後方側Rrに開くこととを防止することができる。
この効果を得る手段として、例えば、ロアトリム3の上端部3Jの肉厚を厚くすることで前記上端部3Jの剛性を上げることが考えられる。しかしながら、この手段では、材料コストや重量が増大し、その上、組み付け作業性も低下する。
これに対して、本発明によれば、前記第1係合爪41を第1係合孔51Mに挿入係合し、第2係合爪42を第2係合孔53Kに挿入係合することで上記の効果を得ているから、ロアトリム3の上端部3Jの肉厚を厚くする必要がない。従って、ロアトリム3を薄肉に設定できて、材料コスト・重量を低減することができる。
上記のように、第1係合爪41が第1係合孔51Mに挿入係合し、第2係合爪42が第2係合孔53Kに挿入係合することで、ロアトリム3の第2前壁32と第2後壁33が互いに近接する方向に引き込まれ、ロアトリム3の第2側壁31が車幅方向内側W1に膨らむことが考えられる。さらに、ロアトリム3の第2側壁31の車幅方向内側W1への膨らみは、気温の変化(車室内の温度の変化)やアッパートリム2及びロアトリム3の成形時の寸法誤差などによっても生じる。そうなると、アッパートリム2の下端部2Kとロアトリム3の上端部3Jの連結部(合わせ部)の見栄えが悪くなる。
しかしながら、本発明の上記構成によれば、ロアトリム3の上壁34の車両前後方向中間部34Cに設けられた上方に突出する第3係合爪43が、アッパートリム2の第1側壁21の下端部に形成された第3係合孔53Mに車幅方向内側W1から挿入係合されている。
従って、ロアトリム3の第2側壁31の車幅方向内側W1への膨らみを抑制することができ、アッパートリム2の下端部2Kとロアトリム3の上端部3Jの連結部の外観品質を向上させることができる。
【0076】
(2) ロアトリム3の第2側壁31の上端部の裏面側に設けられた車両前方側Frの第1当接リブ62が、アッパートリム2の第1側壁21の前側下端部の意匠面側に設けられた第1被当接リブ71と第2被当接リブ72に交差(略直交)して当接する。また、ロアトリム3の第2側壁31の上端部の裏面側に設けられた車両後方側Rrの第1当接リブ63が、アッパートリム2の第1側壁21の後側下端部の意匠面側に設けられた第3被当接リブ73と第4被当接リブ74に交差(略直交)して当接する。
従って、前記第1側壁21の下端部と第2側壁31の上端部との車幅方向における間隔が狭くなりすぎることを回避することができる。
また、アッパートリム2の下端部2Kの意匠面(第1側壁21の意匠面21M、
図4(b),
図4(c)参照)が、ロアトリム3の上端部3Jの意匠面(第2側壁31の意匠面31M、
図4(b),
図4(c)参照)よりも車幅方向内側W1に突出することを防止することができる。
本実施形態の場合、前記ロアトリム3の上端部3Jの意匠面は、アッパートリム2の下端部2Kの意匠面よりも0.5mm程度、車幅方向内側W1に位置している。このように、ロアトリム3の上端部3Jの意匠面とアッパートリム2の下端部2Kの意匠面との車幅方向における間隔が短い構造であっても、両意匠面の車幅方向の位置が逆転することを防止することができる。
また、車両前方側Frの第1当接リブ62が第1被当接リブ71と第2被当接リブ72に交差(略直交)して当接し、車両後方側Rrの第1当接リブ63が第3被当接リブ73と第4被当接リブ74に交差(略直交)して当接するから、リブ同士を確実に当接させることができる。
【0077】
(3) 車両前方側Frの第1当接リブ62と第1被当接リブ71と第2被当接リブ72とが格子状に配置され、車両後方側Rrの第1当接リブ63と第3被当接リブ73と第4被当接リブ74が格子状に配置される。
これにより、車両前方側Frの第1当接リブ62を第1被当接リブ71と第2被当接リブ72に、より確実に当接させることができ、当接状態を安定させることができる。さらに、車両後方側Rrの第1当接リブ63を第3被当接リブ73と第4被当接リブ74に、より確実に当接させることができ、当接状態を安定させることができる。
また、アッパートリム2の下端部2Kとロアトリム3の上端部3Jとの連結部の車両前方側Frと車両後方側Rrにおいて、前記第1当接リブ62,63と第1〜第4被当接リブ71〜74が交差(略直交)して当接しているから、前記第1側壁21の下端部と第2側壁31の上端部との間隔が狭くなりすぎることをより確実に回避することができる。
さらに、アッパートリム2の下端部2Kの意匠面がロアトリム3の上端部3Jの意匠面よりも車幅方向内側W1に突出することをより確実に防止することができる。
【0078】
(4) 前記第1当接リブ62,63は前記第2側壁31の幅方向に沿う横リブ状に形成され、第1〜第4被当接リブ71〜74は上下方向に沿う縦リブ状に形成されているから、第1当接リブ62,63と第1〜第4被当接リブ71〜74を成形しやすくすることができ、成形コストを低減することができる。
【0079】
(5) ロアトリム3の自重や、車室内の温度低下によるロアトリム3の収縮で、ロアトリム3が下方に引っ張られる場合、ロアトリム3の上壁34は車幅方向内側W1ほど下方に位置するように傾斜しようとする。前記上壁34がこのように傾斜すると、上壁34の各部(前端部34A,後端部34B,車両前後方向中間部34C)とアッパートリム2の下端部2Kとの間の隙間が広がって見栄えが悪くなる。
しかしながら、本発明の上記構成によれば、車両前方側Frの第2当接リブ61は、アッパートリム2の第1被当接リブ71の上端部71J(
図2(b)参照)と第2被当接リブ72の上端部72Jに上方から当接する。また、車両後方側Rrの第2当接リブ64は、第2後壁33の第2係合孔53K(後側開口部分)の下側周縁部53K1(
図2(c)参照)に上方から当接する。
従って、ロアトリム3の上壁34が傾斜することを防止することができる。
また、上記のように、前記車両前方側Frの第2当接リブ61の長手方向一端部は第2前壁32の裏面に連なり、車両後方側Rrの第2当接リブ64の長手方向一端部は第2後壁33の裏面に連なっている。これにより、前記車両前方側Frの第2当接リブ61と車両後方側Rrの第2当接リブ64の強度・剛性を向上させることができる。その結果、前記上壁34が傾斜するように変形するのを防止することができる。
これにより、アッパートリム2の下端部2Kとロアトリム3の上端部3Jの連結部の外観品質を向上させることができる。
【0080】
(6) 前記車両後方側Rrの第1当接リブ63と、第3被当接リブ73及び第4被当接リブ74とは、車幅方向から見て前記第3係合爪43の下方(真下)に配置されているから、前記第1当接リブ63と、第3被当接リブ73及び第4被当接リブ74とを第3係合爪43に近づけることができる。
その結果、第3係合爪43が前記第3係合孔53Mに挿入係合されたことに起因して、アッパートリム2の下端部2Kの意匠面(第1側壁21の意匠面21M)が、ロアトリム3の上端部3Jの意匠面(第2側壁31の意匠面31M)よりも車幅方向内側W1に突出することを確実に防止することができる。