(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記送出装置が、前記装填薬箱載置部において薬箱が並べられる方向に移動可能であり、前記装填薬箱載置部において薬箱が載置される装填薬箱載置領域を規定可能な装填領域幅調整部材を有し、
前記補充装置が、前記補充薬箱載置部において薬箱が載置される補充薬箱載置領域を規定可能な補充領域幅調整部材を有し、
前記装填装置の動作を制御可能な制御装置と、
前記補充装置が備える補充領域幅調整部材の位置を検知するための位置検知手段とを備えており、
前記制御装置が、前記位置検知手段の検知結果により把握される補充領域幅調整部材の位置に基づいて前記補充薬箱載置領域を把握し、前記補充薬箱載置領域に対して隣接する位置に前記装填薬箱載置領域が到来するように前記装填装置を動作させることを特徴とする請求項2〜3のいずれかに記載の薬箱払出装置。
前記収容払出装置における薬箱の滞留期間を導出し、前記滞留期間が所定期間以上に亘る薬箱の種類を検出することが可能な長期滞留品検出手段を備えていることを特徴とする請求項2〜26のいずれかに記載の薬箱払出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで近年、未包装状態の錠剤やカプセル剤、散薬などを別途用意されたバイアル瓶に充填したり、分包紙に分包するのではなく、市販薬のように例えば錠剤等の薬剤を紙箱等によってパッケージングした状態のもの(以下、「薬箱」とも称す)を病院や薬局等で患者において処方にあわせてそのまま供給したいという要望あるいは運用があり、かかる供給形態に対応可能な装置の提供が求められていた。また、このような供給方法で薬剤を提供するにあたり、可能な限り作業の自動化や効率化を図りたいという要望があった。
【0005】
かかる要望に対処すべく本発明者らが鋭意研究したところ、上記作業の自動化にあたり、作業者が関与する作業、具体的には、薬箱をストックしておくための薬箱収容部に対して薬箱を補充する作業に手間がかかり、また補充間違いが発生するなど薬箱の払い出し業務の効率化を阻害していることが判明した。これにより、薬箱の払い出し業務を行うための薬箱払出装置において、薬箱の補充作業に関する部分を中心に効率化を図れば、薬箱の払い出し業務全般の効率化を図れることが判明した。
【0006】
ここで、薬箱は、同一種のものを一定数並列に並べられ、段ボール箱等の包装箱に収容された状態、及び紙製あるいは樹脂製フィルム製の包装紙によって包装された状態で病院や薬局に納入されることが多い。そのため、包装箱や包装紙による包装を解いた際に並列に並んでいる薬箱をそのままの状態で補充できれば、より一層薬箱の補充作業の効率を向上させることができると考えられる。
【0007】
そこで、上記した知見に基づき、本発明は薬箱を並列に並べた状態で補充可能な薬箱払出装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の薬箱払出装置は、薬剤が収容された薬箱を多数収容し、処方毎に薬箱を払出可能な収容払出装置と、前記収容払出装置に対して薬箱を装填可能な装填装置と、前記装填装置に対して薬箱を補充可能な補充装置と、を有する。前記収容払出装置は、薬箱を直列に並べた状態で収容し、順次送り出し可能な薬箱通路を複数備えたものである。また、前記装填装置は、前記薬箱通路への薬箱投入側に隣接する位置において移動可能な装填ラックを備えたものである。前記補充装置は、並列で接する薬箱同士をそのまま載置
できるように位置調整可能な補充領域幅調整部材を有する補充薬箱載置部と、前記補充薬箱載置部に載置された薬箱を並列状態を維持したまま前記装填ラックに移載させることが可能な移載機構とを備えている。前記装填ラックは、前記補充装置から送られてきた薬箱を並列状態のままで載置可能な装填薬箱載置部と、装填薬箱載置部に載置された薬箱を一箱ずつ前記薬箱通路に向けて送り出し、装填させることが可能な装填機構とを備えている。
【0009】
本発明の薬箱払出装置では、補充装置の補充薬箱載置部に薬箱を並列状態として載置し、移載機構を作動させることにより、薬箱を並列状態のまま装填ラック側の装填薬箱載置部に移載させることが可能である。また、装填ラックに設けられた装填機構を作動させることにより、並列状態で載置されている薬箱を一箱ずつ薬箱通路に向けて送り出し、装填させることが可能である。従って、本発明の薬箱払出装置は、薬箱を並列に並べた状態で補充薬箱載置部に載置することにより、薬箱を適切な薬箱通路に装填させることが可能である。
【0010】
本発明の薬箱払出装置は、前記装填機構が、前記装填薬箱載置部に載置されている薬箱の側面に接触可能な搬送面を備え、前記搬送面に接触した薬箱を、前記装填薬箱載置部において薬箱が並ぶ方向に対して交差する方向にスライドさせることが可能な送出装置と、前記装填薬箱載置部に載置されている薬箱を前記搬送面側に移動させ、薬箱を順次前記搬送面に接触させることが可能な繰送装置とを備えており、前記搬送面に対して接触した薬箱が、一箱ずつ装填薬箱載置部から外部に送出されるものであることが好ましい。
【0011】
かかる構成とした場合、装填薬箱載置部に載置されている薬箱を、一箱ずつ確実に薬箱通路に向けて送り出し、装填することが可能となる。
【0012】
また、本発明の薬箱払出装置は、前記送出装置が、前記装填薬箱載置部に載置されている薬箱の側面に沿う方向に移動する搬送面を構成する無端ベルトと、前記無端ベルトの搬送面と一体的に移動可能であり、前記搬送面から突出した当接部とを備えたものであり、前記装填薬箱載置部に載置されている薬箱を前記搬送面側に移動させた状態において、前記搬送面を薬箱の側面に沿う方向に移動させることにより、前記当接部が、前記無端ベルトに隣接する位置に存在する薬箱における送り出し方向上流側の端面に当接し、前記無端ベルトに隣接する位置に存在する薬箱が前記収容払出装置に送り出されるものであることが好ましい。
【0013】
かかる構成とした場合、装填薬箱載置部に載置されている薬箱を搬送面側に移動させた状態において、無端ベルトによって形成された搬送面を薬箱の側面に沿う方向に移動させると、無端ベルトに隣接する位置に存在する薬箱の端面に当接部が当接し、薬箱が当接部によって収容払出装置側に押し動かされ、スライドする。従って、本発明の薬箱払出装置によれば、装填薬箱載置部に載置されている薬箱を、より一層確実に一箱ずつ薬箱通路に向けて送り出し、装填しうる。
【0014】
本発明の薬箱払出装置においては、前記送出装置が、前記装填薬箱載置部において薬箱が並べられる方向に移動可能であり、前記装填薬箱載置部において薬箱が載置される装填薬箱載置領域を規定可能な装填領域幅調整部材を有するものであることが望ましい。また、前記補充装置は、前記補充薬箱載置部において薬箱が載置される補充薬箱載置領域を規定可能な補充領域幅調整部材を有するものであることが望ましい。さらに、本発明の薬箱払出装置は、前記装填装置の動作を制御可能な制御装置と、前記補充装置が備える補充領域幅調整部材の位置を検知するための位置検知手段とを備えており、前記制御装置が、前記位置検知手段の検知結果により把握される補充領域幅調整部材の位置に基づいて前記補充薬箱載置領域を把握し、前記補充薬箱載置領域に対して隣接する位置に前記装填薬箱載置領域が到来するように前記装填装置を動作させるものであることが望ましい。
【0015】
かかる構成とした場合は、補充領域幅調整部材の位置に基づいて補充薬箱載置部において薬箱が載置されている載置領域を把握すると共に、載置領域に対して隣接する位置に装填薬箱載置領域が到来するように装填装置を動作させることにより、補充装置側から装填装置側に向けて薬箱を並列配置された状態でスムーズに移載させることが可能となる。
【0016】
本発明の薬箱払出装置においては、前記位置検知手段が、前記装填ラックに装着され前記補充領域幅調整部材を検出可能なセンサーによって構成されていてもよい。また、前記制御装置は、前記補充装置に隣接する位置において、前記位置検知手段によって前記補充領域幅調整部材を検知させることにより、前記補充領域幅調整部材の位置を把握可能なものであってもよい。
【0017】
かかる構成とすることにより、補充領域幅調整部材の位置、及び補充薬箱載置部における載置領域の位置を制御装置にスムーズかつ的確に把握させることが可能となる。従って、上述した構成によれば、補充装置側から装填装置側に向けて薬箱をスムーズに移載させ得るように装填装置を動作させることが可能となる。
【0018】
本発明の薬箱払出装置においては、前記補充領域幅調整部材を、前記補充薬箱載置部において薬箱が並べられる方向に向けて自由に移動可能なものとし、前記位置検知手段を、前記補充領域幅調整部材の移動距離を検知可能なセンサーによって構成することが可能である。また、本発明の薬箱払出装置においては、前記制御装置を、前記位置検知手段により検知された前記補充領域幅調整部材の移動距離に基づき、前記補充領域幅調整部材の位置を把握可能なものとすることが可能である。
【0019】
かかる構成とすることによっても、補充領域幅調整部材の位置、及び補充薬箱載置部における載置領域の位置を制御装置によってスムーズかつ的確に把握することが可能となる。
【0020】
ここで、補充領域幅調整部材が適切な位置に位置決めされていない場合には、補充薬箱載置部に補充された薬箱が倒れてしまう可能性がある。また、補充領域幅調整部材が補充薬箱載置領域を規定するものであることから、上述したように補充領域幅調整部材の位置を指標として装填装置の位置調整等を行う場合には、装填装置の位置精度の低下や、補充装置側から装填装置側への薬箱の移載不良が生じる可能性も想定される。従って、補充薬箱載置部に補充領域幅調整部材を設ける場合は、補充領域幅調整部材を位置決め固定できる構成とすることが望ましい。
【0021】
その一方で、複数の薬箱を効率よく補充可能とするためには、補充作業を行う作業者が並列に並べられた複数の薬箱を両手で挟み込んだまま、補充薬箱載置部に載置可能な構成であることが好ましい。従って、上述したように補充薬箱載置部に補充領域幅調整部材を位置決め固定可能なように設ける場合は、薬箱を両手で挟み込んだ状態であっても、補充領域幅調整部材を容易に固定解除状態として移動させることが可能な構成であることが望ましい。
【0022】
上述した知見に基づけば、本発明の薬箱払出装置は、前記補充装置が、前記補充領域幅調整部材と対向配置された対向壁と、前記補充領域幅調整部材を任意の位置で位置決め固定可能であると共に、前記補充領域幅調整部材を固定解除状態とするための固定解除片を備えた位置決手段とを有し、前記固定解除片が、前記補充領域幅調整部材に対して一体的に取り付けられており、前記固定解除片を前記補充薬箱載置領域を拡大する方向に押圧することにより前記補充領域幅調整部材を固定解除状態とすることが可能であることが望ましい。
【0023】
かかる構成とした場合は、位置決手段により補充領域幅調整部材を位置決め固定することが可能となり、薬箱が補充薬箱載置部において転倒するのを防止できる。また、補充領域幅調整部材を指標として装填装置の位置調整等を行う場合については、装填装置を適切な位置に調整することが可能となり、補充装置側から装填装置側への薬箱の移載不良をより一層確実に防止することができる。
【0024】
ここで、補充装置において補充領域幅調整部材と対向壁との間に形成された補充薬箱載置領域に補充された薬箱を、一箱ずつ送り出す構成とした場合は、薬箱同士が密着するほど高密度に載置された状態になると、薬箱を送り出す動作が困難になる可能性がある。また、補充領域幅調整手段により補充薬箱載置領域に補充された薬箱が過度に押しつけられた状態になると、薬箱の変形あるいは破損等の問題、薬箱の装填不良等の問題が生じる可能性があり、特に補充薬箱載置領域に複数の薬箱が載置された場合にはこのような問題が顕著に生じやすい傾向にある。従って、補充装置に補充領域幅調整部材を設ける場合は、補充作業を行う作業者が仮に補充領域幅調整部材を薬箱に密着する位置まで移動させた場合であっても、並列配置された薬箱同士の間に適度な隙間が形成されるような構成とすることが好ましい。
【0025】
かかる知見に基づけば、上述した本発明の薬箱払出装置は、前記固定解除片が、付勢手段によりを前記補充薬箱載置領域側に向けて突出するように設けられており、前記固定解除片が前記付勢手段による付勢力に反して押圧されているときに前記補充領域幅調整部材が固定解除状態となり、前記固定解除片を押圧により前記固定解除状態とし、前記補充薬箱載置領域に載置された薬箱に対して接触させた後に前記押圧力を解除することにより、前記付勢手段から前記固定解除片に対して付勢力が作用し、前記固定解除片及び前記補充領域幅調整部材が前記補充薬箱載置領域の拡張方向に移動した後、前記固定解除片が突出して前記補充領域幅調整部材が固定状態となることがより一層好ましい。
【0026】
本発明の薬箱払出装置においては、固定解除片を押圧することにより補充領域幅調整部材を固定解除状態とし、補充薬箱載置領域に載置された薬箱の側面に接触させることにより、補充薬箱載置領域の幅を薬箱を載置するために適切な大きさに調整することができる。また、補充薬箱載置領域の幅を調整した後、固定解除片の押圧を解除すると、固定解除片が付勢手段による付勢力により補充薬箱載置領域側に突出した状態に復元し、補充領域に載置されている薬箱の側面に接触することにより補充領域幅調整部材が補充薬箱載置領域の拡張方向に移動する。よって、本発明の薬箱払出装置においては、補充薬箱載置領域に載置された薬箱と補充領域幅調整部材との間に必ず隙間が形成され、補充薬箱載置領域に載置された薬箱同士の間にも適度な隙間が形成される。従って、本発明の薬箱払出装置によれば、補充装置から装填装置に向けて薬箱をスムーズに移載させることが可能であり、薬箱の変形、破損、装填不良等の問題が発生するのを防止することができる。
【0027】
上述した知見に基づいて提供される本発明の薬箱払出装置は、前記補充装置が、前記補充薬箱載置部及び前記補充領域幅調整部材が内部に配された薬箱収容箱と、前記薬箱収容箱を開閉可能なシャッターと、前記補充領域幅調整部材に対して対向配置された対向壁と、前記シャッターの開閉に連動して作動する可動片とを有し、前記シャッターが開状態であるときに、前記可動片が前記対向壁から突出した状態になり、前記可動片と前記補充領域幅調整部材との間に前記補充薬箱載置領域が形成され、前記シャッターが閉状態とされることにより、前記可動片が前記対向壁と面一、あるいは前記対向壁よりも前記補充領域幅調整部材から離れる方向に退避した状態になる
ことを特徴とするものである。
【0028】
かかる構成とした場合は、可動片と補充領域幅調整部材との間に形成される領域内に薬箱を並列状態で載置した後、シャッターを閉状態とすると、可動片が補充領域幅調整部材から離れる方向に移動し、可動片が対向壁と面一、あるいは対向壁よりも補充領域幅調整部材から離れる方向に退避した状態になる。従って、仮に薬箱の補充作業を行う作業者が、補充領域幅調整部材を薬箱に密着する位置に位置決めした場合であっても、その後シャッターを閉状態とした際には並列配置された薬箱同士の間、薬箱と補充領域幅調整部材との間等に適度な隙間が形成された状態になり、補充装置から装填装置に向けて薬箱をスムーズに移載させることが可能となる。
【0029】
また、本発明の薬箱払出装置は、前記収容払出装置における薬箱の在庫を管理する在庫管理手段と、薬箱の払出個数を各薬箱通路毎に検知可能な払出個数検知手段と、前記装填機構の作動状態に基づき、前記収容払出装置の各薬箱通路に装填された薬箱の装填個数を検知可能な装填個数検知手段と、を有し、前記在庫管理手段が、前記装填個数検知手段によって検知された各薬箱通路に対する薬箱の装填個数、及び前記払出個数検知手段によって検知された各薬箱通路における薬箱の払出個数に基づき、各薬箱通路における薬箱の在庫数を導出することを特徴とするものである。
【0030】
上述したように、本発明の薬箱払出装置は、装填装置から収容払出装置に対して薬箱を一つずつ投入(装填)するものであるため、装填された薬箱の個数を装填個数検知手段によって容易かつ正確に把握することができる。また、本発明の薬箱払出装置においては、収容払出装置から払い出された薬箱の個数を払出個数検知手段によって正確に把握することができる。従って、本発明の薬箱払出装置においては、薬箱の払出数、及び装填数に基づき、各薬箱の在庫数を正確に把握することができる。
【0031】
上述した本発明の薬箱払出装置は、前記在庫管理手段が、前記収容払出装置において同一種の薬箱を収容及び払い出しするために設けられた複数の薬箱通路を薬箱通路群として認識し、前記薬箱通路群を構成する各薬箱通路における薬箱の在庫数を導出し、合算することにより前記薬箱通路群における薬箱の在庫数を導出するものであることが好ましい。
【0032】
かかる構成とすることにより、同一種の薬箱を収容及び払い出しするために複数の薬箱通路が設けられている場合にこれらを薬箱通路群として認識し、薬箱通路群全体としての薬箱の在庫数を導出し管理することができる。
【0033】
上述した本発明の薬箱払出装置は、前記補充装置に用意する薬箱の準備個数を導出可能な準備個数導出手段を備えており、前記準備個数導出手段が、前記収容払出装置において同一種の薬箱を収容及び払い出しするために設けられた複数の薬箱通路を薬箱通路群として認識し、前記補充装置に用意する薬箱の種類が前記薬箱通路群に対応する薬箱の種類である場合に、前記薬箱通路群を構成する各薬箱通路に対して装填可能な薬箱の個数を合算した個数を、前記補充装置に用意する薬箱の準備個数として導出するものであることが好ましい。
【0034】
本発明の薬箱払出装置においては、薬箱通路群に対応する薬箱を補充装置に準備する際に、各薬箱通路において装填可能な薬箱の個数を合算した個数を準備個数として把握することができる。これにより、同一種の薬箱を収容する薬箱通路が複数存在している場合に、薬箱の準備数量を各薬箱通路毎に把握する必要がなくなり、薬箱の準備作業をより一層容易なものとすることができる。
【0035】
本発明の薬箱払出装置は、前記装填装置により前記収容払出装置に対して薬箱を装填する装填動作を制御する装填制御手段を有し、前記装填制御手段が、前記収容払出装置において同一種の薬箱を収容及び払い出しするために設けられた複数の薬箱通路を薬箱通路群として認識し、前記薬箱通路群に対応する種類の薬箱が前記補充装置に用意された場合に、前記補充装置に用意された薬箱を、前記装填装置によって前記薬箱通路群を構成する各薬箱通路に対して分配させるものであることが好ましい。
【0036】
本発明の薬箱払出装置においては、薬箱通路群に対応する薬箱を装填する際に、薬箱通路群全体として装填すべき数量の薬箱を纏めて補充装置に準備すれば良く、各薬箱通路毎に別々に準備する必要がない。従って、本発明の薬箱払出装置によれば、薬箱の準備作業をより一層効率化及び簡略化することができる。
【0037】
本発明の薬箱払出装置は、前記薬箱払出装置における薬箱の払い出し動作を制御可能な払出制御手段を有し、前記払出制御手段が、前記収容払出装置において同一種の薬箱を収容及び払い出しするために設けられた複数の薬箱通路を薬箱通路群として認識し、前記薬箱通路群に対応する薬箱を払い出す場合に、薬箱を払い出す薬箱通路が所定の順番で切り替わるものであることが望ましい。
【0038】
かかる構成によれば、薬箱通路群をなす各薬箱通路から略均等に薬箱を払い出させることが可能である。これにより、収容払出装置に対して先に装填されている薬箱から順番に払い出させることが可能となる。
【0039】
本発明の薬箱払出装置は、前記補充装置が複数設けられており、前記補充装置に用意する薬箱の準備個数Jを導出可能な準備個数導出手段と、一基の前記補充装置において前記補充薬箱載置部に最大限載置可能な薬箱の個数を最大載置数Mとして導出する最大載置数導出手段とを有し、前記準備個数Jが前記最大載置数Mを越え、J=n・M+α(n,α:自然数)の関係が成立する場合に、n+1基の補充装置が薬箱の補充用として使用されるものとすることが好ましい。
【0040】
かかる構成によれば、準備個数Jが補充薬箱載置部に最大限載置可能な個数を越えている場合であっても、複数回に分けることなく補充装置に用意することができる。従って、本発明によれば、薬箱の準備作業の作業効率をより一層向上させることが可能となる。
【0041】
本発明の薬箱払出装置は、薬箱の種類を特定可能な薬箱特定装置を有し、前記薬箱特定装置が、薬箱を撮影することが可能な撮影装置と、前記撮影装置によって得られた画像から薬箱を特定する薬箱特定手段とを有し、前記撮影装置が、透光性を有し薬箱を載置可能な載置面を有する撮影台と、前記撮影台に対して前記載置面とは反対側の領域から前記撮影台に載置された薬箱を撮影可能なカメラとを有し、前記薬箱特定手段が、薬箱のサイズに関するサイズ情報、及び薬箱の表面に含まれている色彩に関する色彩情報を薬箱の種類毎に蓄積した薬箱情報データベースを有し、前記カメラによって得られた画像から撮影台に載置された薬箱に相当する薬箱画像領域の大きさを薬箱のサイズとして認識し、薬箱情報データベースに基づいて薬箱の候補を絞り込むサイズ絞り込み工程と、前記薬箱画像領域中に含まれている色彩に関する情報、及びサイズ絞り込み工程により候補として絞り込まれた薬箱の色彩情報を照合し、薬箱の候補を絞り込む色彩絞り込み工程と、を経て薬箱の種類を特定可能であることが望ましい。
【0042】
かかる構成によれば、いわゆるバーコード等の識別標識を備えていない薬箱であっても、補充装置への補充等のために用意した薬箱を撮影台上に配置することにより、薬箱の種類を特定することが可能となる。従って、本発明の薬箱払出装置によれば、薬箱の特定作業をより一層用意かつ的確に行うことが可能となる。
【0043】
また、本発明の薬箱払出装置においては、薬箱を撮影して得られた画像に基づき、先ずサイズ絞り込み工程において薬箱の種類を大きさの観点において絞り込むため、色彩絞り込み工程における色彩情報の照合が極めてスムーズに行われる。従って、本発明の薬箱払出装置においては、撮影から薬箱の種類の絞り込みに要する期間を極めて短時間とし、薬箱特定手段の負荷を最小限に抑制することができる。
【0044】
上述した本発明の薬箱払出装置は、前記撮影装置が、前記撮影台を境界としてカメラ側のカメラ側領域と、撮影対象の薬箱が配置される側の箱配置側領域とに別れており、前記カメラ側領域の明るさと、前記箱配置側領域の明るさを独立的に調整可能な明るさ調整手段を備えており、前記カメラ側領域が前記箱配置側領域よりも明るい状態において撮影することにより得られる画像Aと、箱配置側領域がカメラ側領域よりも明るい状態において撮影することにより得られる画像Bとを取得可能であり、前記サイズ絞り込み工程では、前記画像Bに含まれている薬箱の影の大きさに基づいて薬箱の大きさを認識可能であり、前記色彩絞り込み工程では、前記画像Aにおいて前記画像B中に含まれている薬箱の影に相当する領域中に含まれている色彩に関する情報に基づいて薬箱の絞り込みが可能であることが望ましい。
【0045】
本発明の薬箱払出装置においては、画像B中に薬箱が影として写り、他の部分が薬箱よりも明るく写るため、サイズ絞り込み工程において薬箱の大きさをスムーズかつ正確に把握することができる。また、画像Aにおいて画像B中に含まれている薬箱の影に相当する領域(以下、「影領域」とも称す)は、薬箱が写っている領域であり、色彩絞り込み工程において画像Aにおいて前述した影領域に相当する領域に含まれている色彩情報は薬箱のものであると想定される。本発明の薬箱払出装置においては、画像Aにおいて画像Bの影領域に相当する領域中に含まれている色彩に関する情報に基づいて薬箱の絞り込みを行っている。このため、本発明の薬箱払出装置においては、薬箱とは異なる部分の色彩情報が薬箱の色彩情報として誤認識されることがなく、薬箱の種類の絞り込み精度が高い。また、本発明によれば、色彩絞り込み工程において色彩情報の照合を行う画像領域を絞り込むことが可能であり、色彩絞り込み工程に要する時間、及び薬箱特定手段の負荷を大幅に抑制できる。
【0046】
上述した本発明の薬箱払出装置は、前記明るさ調整手段が、前記カメラ側領域に設けられたカメラ側照明装置と、前記箱配置領域側に設けられた箱配置領域側照明装置とを有し、前記箱配置領域側照明装置をオン状態とし、前記カメラ側照明装置をオフ状態とした状態で前記カメラにより撮影することにより、画像Bを取得し、前記箱配置領域側照明装置をオフ状態とし、前記カメラ側照明装置をオン状態とした状態で前記カメラにより撮影することにより、画像Aを取得することが可能であることが好ましい。
【0047】
かかる構成とすることにより、画像A及び画像Bを鮮明に取得することが可能となり、より一層薬箱の種類の特定精度を向上させることが可能となる。
【0048】
本発明の薬箱払出装置は、薬箱を撮影することが可能な撮影装置と、前記撮影装置によって得られた画像を処理する画像処理手段と、前記補充装置に用意する薬箱の種類に相当する画像を表示可能な準備薬箱表示手段とを有し、前記撮影装置が、前記撮影台を境界としてカメラ側のカメラ側領域と、撮影対象の薬箱が配置される側の箱配置側領域とに別れており、前記カメラ側領域の明るさと、前記箱配置側領域の明るさを独立的に調整可能な明るさ調整手段を備えており、前記カメラ側領域が前記箱配置側領域よりも明るい状態において撮影することにより得られる画像Aと、箱配置側領域がカメラ側領域よりも明るい状態において撮影することにより得られる画像Bとを取得可能であり、前記画像処理手段が、前記画像Aから、前記画像Bに含まれている薬箱の影に相当する領域を切り出すことにより薬箱の画像を取得することが可能であり、前記準備薬箱表示手段が、前記画像処理手段により得られた薬箱の画像を表示可能であることが好ましい。
【0049】
本発明の薬箱払出装置においては、撮影装置によって得られた画像B中に薬箱が影として写り、他の部分が薬箱よりも明るく写る。そのため、画像Aにおいて、画像B中に含まれている影の領域(影領域)に相当する領域を切り出すことにより、薬箱の画像を容易かつ正確に切り出すことが可能である。また、本発明の薬箱払出装置においては、前述したようにして作成された薬箱の画像を、補充装置に用意する薬箱の種類に相当する画像として準備薬箱表示手段に表示可能であるため、補充装置に用意する薬箱の取り違え等を確実に防止することができる。
【0050】
本発明の薬箱払出装置は、前記明るさ調整手段が、前記カメラ側領域に設けられたカメラ側照明装置と、前記箱配置領域側に設けられた箱配置領域側照明装置とを有し、前記箱配置領域側照明装置をオン状態とし、前記カメラ側照明装置をオフ状態とした状態で前記カメラにより撮影することにより、画像Bを取得し、前記箱配置領域側照明装置をオフ状態とし、前記カメラ側照明装置をオン状態とした状態で前記カメラにより撮影することにより、画像Aを取得することが可能なものであることが望ましい。
【0051】
かかる構成とすることにより、画像A及び画像Bを鮮明に取得することが可能となり、より一層容易かつ正確に薬箱の画像を取得することが可能となる。
【0052】
本発明の薬箱払出装置は、薬箱の画像を薬箱の種類毎に登録した薬箱情報データベースと、前記薬箱の画像に対して、所定の領域に標識を付与する標識付与手段と、前記補充装置に用意する薬箱の種類に相当する画像を表示可能な準備薬箱表示手段とを有し、前記補充装置に用意する薬箱の種類が前記標識付与手段により標識が付与されたものである場合に、薬箱の画像が準備薬箱表示手段に標識を付与した状態で表示されるものであることが望ましい。
【0053】
かかる構成によれば、外観が類似した薬箱が存在する場合等に、補充装置に用意すべき薬箱をユーザーに対して正確に認識させることが可能である。
【0054】
本発明の薬箱払出装置は、前記撮影台を覆うことが可能であり、明度、彩度及び色調のうち少なくとも一つが全体に亘って均一なキャリブレーション面を備えたキャリブレーション部材を有し、前記キャリブレーション面によって前記撮影台を覆った状態において前記カメラによって撮影して得られた画像を基準として明度、彩度及び色調のうち少なくとも一つについての校正が行われるものであることが望ましい。
【0055】
かかる構成によれば、カメラによって得られた画像のムラを解消することができ、より一層正確に薬箱の種類を特定することが可能となる。
【0056】
本発明の薬箱払出装置は、前記撮影台が、透光性を有し薬箱を載置可能な載置部を枠体に対して設けたものであり、前記枠体において前記カメラ側の面に、基準となる色彩を有する色彩校正用部材が設けられており、前記カメラが、前記色彩校正用部材、及び撮影台に載置された薬箱を単一の画像に収まるように撮影可能であり、撮影により得られた画像の色彩が、当該画像中に含まれている色彩校正用部材の色彩を基準として補正されるものであることが好ましい。
【0057】
かかる構成によれば、撮影により得られた画像の色彩を一定の品質に維持することが可能である。また、上述したように撮影により得られた画像を用いて薬箱の種類の絞り込み等の処理を行う場合は、画像品質に起因する処理精度の低下を防止することができる。
【0058】
本発明の薬箱払出装置は、前記撮影台が、透光性を有し薬箱を載置可能な載置部を枠体に対して設けたものであり、前記撮影台を介して前記カメラとは反対側の領域から前記カメラ側の領域に向けて透光可能な透光孔が前記枠体に設けられており、撮影により得られた画像の照度が、前記箱配置領域側照明装置をオン状態とした状態で撮影された画像中に含まれている前記透光孔に相当する領域の照度を基準として補正されるものであることが望ましい。
【0059】
かかる構成によれば、撮影により得られた画像を照度の面において一定の品質に維持することが可能である。また、上述したように撮影により得られた画像を用いて薬箱の種類の絞り込み等の処理を行う場合は、照度が不均一であることに起因する処理精度の低下を防止することができる。
【0060】
また、本発明の薬箱払出装置は、前記撮影台が、透光性を有し薬箱を載置可能な載置部を枠体に対して設けたものであり、前記枠体には、前記載置部の隅に隣接する位置に画角調整用標識が設けられており、計測により設定された前記画角調整用標識の座標値を用いることにより、前記カメラのキャリブレーションを実施可能であることを特徴とするものであることが好ましい。
【0061】
かかる構成とすることにより、カメラのキャリブレーションを容易かつ精度良く実施することが可能となる。これにより、薬箱の画像取得精度及び薬箱の種類特定の精度をより一層向上させることが可能となる。
【0062】
本発明の薬箱払出装置は、前記薬箱通路の出口側に、排出規制手段が設けられており、前記排出規制手段が、前記薬箱通路の底面側から薬箱を突き上げる突上片と、前記突上片と連動する受片と、が設けられており、薬箱の払出待機時には、前記受片が前記薬箱通路の底面側から上方に向けて突出し、薬箱が前記薬箱通路においてせき止められた状態になり、薬箱の排出時には、前記突上片が作動して薬箱が突き上げられると共に、前記受片が前記薬箱通路の底面側に向けて退入した状態になるものであり、前記受片が、薬箱通路において払出待機状態である薬箱に対面する対面部と、対面部とは反対側に位置する背部とを有し、先端にローラを備えたものであり、前記対面部が、前記受片の中間部を境として基端側の接触部と、先端側の非接触部とによって構成され、前記非接触部が前記接触部よりも前記背部側に向けて傾斜しており、前記接触部において払出待機状態である薬箱に対して面接触した状態において、薬箱と非接触部との間に隙間が形成されることを特徴とするものであることが好ましい。
【0063】
本発明の薬箱払出装置において、排出規制手段を構成する受片は、払出待機状態である薬箱に対面する対面部が基端側の接触部と、先端側の非接触部とによって構成されており、待機状態にある薬箱を接触部に対して面接触させることができる。そのため、薬箱の払い出しに伴って薬箱通路を下降してきた薬箱に対して局所的に大きな衝撃が加わること、及び衝撃により薬箱が変形等することを防止できる。さらに、薬箱の変形等により、薬箱が予期せぬ形態で排出規制手段に引っかかること、及びこれに伴う排出不良が発生することを防止できる。また、接触部よりも受片の先端側に位置する非接触部が背部側に向けて傾斜している。そのため、薬箱の払い出し時に受片を下方に退入させ、突上片を上方に突出させた状態にすると、受片によってせき止められていた薬箱を非接触部の傾斜に沿ってスムーズに送り出すことが可能となる。
【0064】
また、本発明の薬箱払出装置は、前記収容払出装置における薬箱の滞留期間を導出し、前記滞留期間が所定期間以上に亘る薬箱の種類を検出することが可能な長期滞留品検出手段を備えていることが好ましい。
【0065】
かかる構成によれば、払い出し頻度が低い長期滞留品である薬箱について本発明の薬箱払出装置による取り扱いを中止し、長期滞留品用に割り当てられていた薬箱通路を他品種の薬箱を取り扱うために使用する等の判断をするために有効な情報を得ることができる。これにより、薬箱払出装置による薬箱の払出業務の効率化、及び収容払出装置の有効利用を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0066】
本発明によれば、薬箱を並列に並べた状態で補充可能であり、補充された薬箱の装填装置への移載動作、及び装填装置から各薬箱通路への装填動作をスムーズに実行可能な薬箱払出装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明の一実施形態に係る薬箱払出装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明において上下左右、奥行き方向、幅方向については、特に断りのない限り薬箱払出装置10を背面側から見た状態を基準とする。以下、薬箱払出装置10について、装置構成及び動作に分けて説明する。
【0069】
<薬箱払出装置10の装置構成について>
薬箱払出装置10は、薬剤が収容された薬箱MBを多数、予め準備しておき、準備されている薬箱MBを処方に応じて適宜選択し、払い出すための装置である。具体的には、薬箱払出装置10は、収容払出装置20、装填装置30、補充装置70、及び制御装置100を備えており、補充装置70に補充された薬箱MBを装填装置30によって収容払出装置20に装填することにより準備しておき、準備されている薬箱MBを処方に応じて収容払出装置20から払い出しすることができるものである。
図1及び
図2に示すように、薬箱払出装置10は、正面側から背面側に向けて収容払出装置20、装填装置30、補充装置70の順で配置されている。以下、収容払出装置20、装填装置30、及び補充装置70について説明する。
【0070】
≪収容払出装置20について≫
収容払出装置20は、薬箱MBを多数、種類毎に分類した状態で収容しておき、処方に応じて適切な薬箱MBを払い出すことが可能な装置である。収容払出装置20は、正面視した状態において上下方向および左右方向に複数の薬箱通路22が設けられた構成とされている。薬箱通路22は、いわゆるチャンネル材のように樋状であって、長手方向両端部が開放された形状の部材によって構成されている。
【0071】
図2に示すように、薬箱通路22は、長手方向が薬箱払出装置10の奥行き方向、すなわち正面側から背面側に向けて延びるように配置されている。薬箱通路22は、背面側に位置する開放部分が薬箱MBを装填するための入口22dとして機能し、正面側に位置する開放部分が薬箱MBを払い出すための出口22eとして機能する。薬箱通路22は、入口22d側から出口22e側に向けて下り勾配がつくよう、斜めに設置されている。また、薬箱通路22の通路幅は、準備しておく薬箱MBの厚みと同等あるいは僅かに大きい程度である。従って、薬箱通路22は、薬箱MBを入口22d側から出口22e側に向けて自由落下によってスムーズに移動させることが可能である。
【0072】
図2及び
図3に示すように、薬箱通路22の出口22e側には、排出規制手段26が取り付けられている。排出規制手段26は、常時は薬箱通路22に準備された薬箱MBを出口22e側においてせき止めておき、薬箱MBを払い出すべき状態になったときに薬箱MBを薬箱通路22の底側から上方に向けて跳ね上げ、排出させることが可能なものである。
【0073】
具体的には、排出規制手段26は、
図3に示すように薬箱通路22の出口22eに装着される本体部26aに対し、突上片26b、受片26c、連結片26d、及び動力源26eを設けたものである。排出規制手段26は、突上片26b及び受片26cを連結片26dを介して連結することにより形成されたリンク機構26fを有し、動力源26eを作動させることにより突上片26bと受片26cとが連動して作動する構造とされている。
図3(a)に示すように、排出規制手段26は、常時において突上片26bが薬箱通路22の底面と略面一であり、受片26cが薬箱通路22の底面に対して略垂直に立ち上がった状態になる。そのため、薬箱通路22に準備されている薬箱MBを、出口22eにおいて受片26cによってせき止めることができる。
【0074】
一方、動力源26eを作動させると、
図3(b)に示すように突上片26bが薬箱通路22の底面から上方に跳ね上がった状態になると共に、受片26cが薬箱通路22の底面側に退入した状態になる。そのため、動力源26eを作動させることにより、薬箱通路22において出口22e側に準備されている薬箱MBを突上片26bによって突き上げ、薬箱通路22の外部に払い出すことができる。
【0075】
図2に示すように、収容払出装置20は、上述した薬箱通路22に対して正面側に薬箱収集手段28を有する。薬箱収集手段28は、薬箱通路22から排出された薬箱MBをとりまとめ、収容払出装置20の外に払い出すためのものである。薬箱収集手段28は、ベルトコンベアによって構成されており、薬箱通路22から払い出された薬箱MBを搬送面28aの上に集め、収容払出装置20の側面に設けられた排出口から排出させることが可能とされている。
【0076】
≪装填装置30について≫
装填装置30は、各薬箱通路22に対して入口22d側から薬箱MBを装填するためのものであり、
図2に示すように、収容払出装置20を構成する多数の薬箱通路22に対して入口22d側に隣接する位置に設けられている。装填装置30は、装填ラック32と、駆動装置34とを有する。装填装置30は、駆動装置34を作動させることにより、装填ラック32を各薬箱通路22を入口22d側の領域において上下左右方向に向けて自由に移動させうる。
【0077】
図4〜
図6に示すように、装填ラック32は、装填薬箱載置部36と、装填機構38と、位置検知手段40とを備えている。装填薬箱載置部36は、後に詳述する補充装置70側から送られてきた薬箱MBを装填装置30の幅方向に並列に並んだ状態で載置するためのものである。装填薬箱載置部36は、ベルトコンベア37の搬送面37aによって構成されており、搬送面37aを薬箱払出装置10の背面側から正面側に向かう方向(補充装置70側から収容払出装置20側に向かう方向)に移動させることにより補充装置70側から薬箱MBを引き込み、載置することができる。
【0078】
装填機構38は、装填薬箱載置部36に載置された薬箱MBを一箱ずつ、収容払出装置20の薬箱通路22に向けて送り出し、装填させるためのものである。具体的には、装填機構38は、繰送装置42と送出装置44とを備えている。装填機構38は、装填薬箱載置部36に載置された薬箱MBを繰送装置42によって順次、装填薬箱載置部36に対して幅方向に隣接する位置に設けられた送出装置44に向けて移動させ、後に詳述する無端ベルト54に接触させると共に、送出装置44によって薬箱MBを一箱ずつ、薬箱通路22に向けて送り出すことができる。
【0079】
さらに詳細に説明すると、繰送装置42は、装填領域幅調整部材46と、駆動機構48とを備えている。装填領域幅調整部材46は、装填薬箱載置部36を装填装置30の幅方向に二つの領域に分割することにより、薬箱MBが載置される装填薬箱載置領域αを形成するものである。すなわち、装填領域幅調整部材46は装填薬箱載置領域αを規定する仕切状の部材であり、装填領域幅調整部材46の位置を変更することにより装填薬箱載置領域αの幅を調整することができる。
【0080】
駆動機構48は、装填領域幅調整部材46を装填装置30の幅方向に移動させるためのものであり、装填ラック32の天面側に設けられた二本の支持梁48a,48aと、モータによって構成された動力源48bとを備えている。支持梁48aは、装填ラック32の略全幅に亘って延びるように取り付けられており、上述した装填領域幅調整部材46を装填ラック32の天面側において支持している。また、駆動機構48は、動力源48bを作動させることにより装填領域幅調整部材46を支持梁48a,48aに沿って移動させ、装填薬箱載置領域αの幅を調整することができる。
【0081】
送出装置44は、装填薬箱載置部36をなすベルトコンベアの側方に設けられている。送出装置44は、一対のプーリ50,52と、プーリ50,52間に掛け回された無端ベルト54と、モータによって構成された動力源56とを備えている。プーリ50,52は、それぞれ装填装置30の手前側及び奥側(薬箱払出装置10の背面側及び正面側)に設けられており、略垂直に設置された支軸50a,52aに対して自由に回転可能なように支持されている。また、プーリ52は、動力源56から動力を受けることにより回転可能とされている。
【0082】
無端ベルト54は、装填装置30の奥行き方向に延び、搬送面54aが装填薬箱載置部36の底面をなす搬送面37aに対して略垂直となるように設置されている。また、無端ベルト54には、当接片54b(当接部)が表面において突出するように設けられている。当接片54bは、外観が略直方体でブロック状のものであり、無端ベルト54の周方向に二つ、等間隔に設けられている。そのため、動力源56を作動させることにより、無端ベルト54をプーリ50,52間において回動させ、当接片54bを順次、装填薬箱載置部36側に出現させることが可能である。
【0083】
位置検知手段40は、後に詳述する補充装置70の補充領域幅調整部材76を検知するためのセンサーである。
図5及び
図6に示すように、位置検知手段40は、装填領域幅調整部材46に取り付けられている(
図4においては図示せず省略)。位置検知手段40は、装填ラック32を補充装置70に隣接する位置に移動させた状態において、装填領域幅調整部材46を幅方向(左右方向)に移動させることにより補充領域幅調整部材76を検出することができる。
【0084】
≪補充装置70について≫
補充装置70は、上述した装填装置30に対して薬箱MBを補充するための装置である。
図1及び
図2に示すように、補充装置70は、薬箱払出装置10をなす筐体12の背面12a側に複数設けられている。具体的には、
図1に示すように、背面12aの左側及び右側の領域に、補充装置70がそれぞれ3基ずつ上下に並べて設置されている。
【0085】
図7〜
図9に示すように、補充装置70は、薬箱収容箱72に補充薬箱載置部74、補充領域幅調整部材76等を内蔵させたものである。薬箱収容箱72は、手前側(薬箱払出装置10の背面側)及び奥側(薬箱払出装置10の正面側)に開口を有する箱体であり、手前側及び奥側の開口部分を閉塞可能なようにシャッター78が取り付けられた構造とされている。また、薬箱収容箱72の両側面には、薬箱収容箱72の手前側から天面部を経て奥側に至る一連のガイド72a,72aが設けられており、ガイド72a,72aに沿ってシャッター78をスライドさせることが可能とされている。
【0086】
シャッター78を開状態とすると、補充装置70に対して手前側の開口部分から薬箱MBを充填することが可能になると共に、奥側の開口がシャッター78によって閉じられた状態になる。一方、シャッター78を閉状態とすると、補充装置70の手前側の開口が閉じた状態になり、薬箱MBを充填できない状態になると共に、奥側の開口が開き、内部に収容されている薬箱MBを装填装置30側に向けて排出可能な状態となる。
【0087】
補充薬箱載置部74は、上述した装填薬箱載置部36と同様にベルトコンベア75の搬送面75aによって形成された部位であり、複数の薬箱MBを搬送面75a上に並列に並べた状態として載置可能とされている。補充薬箱載置部74(搬送面75a)に薬箱MBを載置した状態において、搬送面75aを薬箱払出装置10の背面側から正面側に向かう方向(補充装置70側から装填装置30側に向かう方向)に移動するようにベルトコンベア75を作動させることにより、薬箱MBを並列状態のまま装填装置30側に向けて移送することが可能である。すなわち、ベルトコンベア75は、薬箱MBを装填装置30に移載するための移載機構として機能する。
【0088】
補充領域幅調整部材76は、補充薬箱載置部74をなす搬送面75aに対して略垂直に立設された板状の部材である。補充領域幅調整部材76は、薬箱収容箱72の幅方向一端側(図示状態において左側)に設けられた機構収容部72bの側壁72c(対向壁)に対向するように設けられている。補充領域幅調整部材76は、補充薬箱載置部74において薬箱MBが載置される領域(補充薬箱載置領域β)を区画する仕切状の部材であり、並列状態に載置された薬箱MBが転倒するのを防止することができる。また、補充領域幅調整部材76は、補充薬箱載置部74の幅方向にスライド可能とされている。そのため、薬箱MBの補充数量にあわせて補充領域幅調整部材76の位置調整を行うことにより、補充薬箱載置領域βを薬箱MBを並列配置するために適切な大きさに調整することができる。なお、補充領域幅調整部材76を介して載置領域βとは反対側の領域γに誤って薬箱MBを設置することがないよう、
図9に示すように補充領域幅調整部材76と連結されたアコーディオンカーテン等の遮蔽部材92を設け、遮蔽部材92によって領域γを閉塞することが好ましい(
図7及び
図8においては図示せず省略)。
【0089】
補充装置70は、補充領域幅調整部材76を位置決め固定するための位置決手段80を備えている。補充領域幅調整部材76は、常時において、位置決手段80によって位置決め固定された状態となっている。また、補充領域幅調整部材76は、位置決手段80が備える固定解除片83を操作することにより固定解除とされると、幅方向に向けて自由にスライド可能な状態になる。
【0090】
さらに詳細に説明すると、
図10に示すように、位置決手段80は、ラック板81と、ラック板81に対して噛合可能な噛合部材82と、噛合部材82に対して接続された固定解除片83と、補充領域幅調整部材76に対して固定されたアーム片84とを有する。また、位置決手段80は、噛合部材82、固定解除片83及びアーム片84によって形成されたリンク機構85を有する。位置決手段80は、固定解除片83を操作することにより補充領域幅調整部材76を固定解除状態とし、補充領域幅調整部材76を幅方向(左右方向)に自由に移動させることが可能となる。
【0091】
位置決手段80の各部についてさらに具体的に説明すると、
図10〜
図12に示すように、ラック板81は、多数の歯81aが長手方向に等間隔に形成された板状の部材である。ラック板81は、補充装置70において補充薬箱載置部74よりも手前側(薬箱払出装置10の背面側)の位置において、歯81aが奥側(薬箱払出装置10の正面側)を向くように取り付けられている。
【0092】
図10に示すように、固定解除片83は、基端部に設けられたピン86によって補充領域幅調整部材76に対して回動自在に支持されている。また、アーム片84は、固定解除片83に対して側壁72cとは反対側に隣接する位置において、補充領域幅調整部材76に対して片持ち状に取り付けられたアーム状の部材である。アーム片84は、補充領域幅調整部材76から手前側(薬箱払出装置10の背面側)に向けて突出するように取り付けられている。固定解除片83とアーム片84との間にはバネ87が設けられており、常時は、バネ87の付勢力によって固定解除片83がアーム片84から離反した状態になっている。
【0093】
固定解除片83及びアーム片84には、噛合部材82を取り付けるための開口及び切欠の他、噛合部材82との接続に用いられるピン88,89を挿通するためのピン孔83b,84bが設けられている。ピン孔83bは、ピン88が略隙間無く納まる大きさを有し、上下方向に貫通した丸孔である。ピン孔84bは、アーム片84の長手方向、すなわち補充装置70の奥行き方向に延び、上下方向に貫通した長孔であり、ピン89が内部を移動可能とされている。
【0094】
図12に示すように、噛合部材82は、リンク機構85において固定解除片83とアーム片84とを繋ぐリンクとして機能するリンク部82aと、ラック板81と噛合可能な歯82bを備えた噛合部82cとを有する部材である。噛合部82cは、リンク部82aの一端側の下方に形成されている。噛合部材82は、リンク部82aの一端側及び噛合部82cがアーム片84に設けられた切欠内に納まり、リンク部82aの他端側が固定解除片83の開口内に納まるように配置されている。噛合部材82は、ピン孔83b,84bに挿通されたピン88,89によって固定解除片83及びアーム片84に対して自由に回動できるように連結されている。
【0095】
位置決手段80は、固定解除片83がバネ87によってアーム片84から離れる方向に付勢されていることから、常時においては、
図10(a)及び
図11(a)に示すように、リンク機構85の作用により噛合部材82がラック板81側の位置に存在し、噛合部82cに設けられた歯82bがラック板81の歯81aと噛み合った状態になっている。従って、補充領域幅調整部材76は、常時において、補充薬箱載置部74の幅方向に移動できないように固定された状態になっている。
【0096】
一方、固定解除片83をバネ87の付勢力に反してアーム片84側に向けて押圧した場合は、
図10(b)及び
図11(b)に示すように、リンク機構85の作用により噛合部材82がラック板81から離れる方向(補充装置70の奥行き方向)に退避し、噛合部82cの歯82bとラック板81の歯81aとの噛合が解除される。これにより、補充領域幅調整部材76は、固定解除状態となり、補充薬箱載置部74の幅方向に自由に移動可能な状態になる。
【0097】
また、
図7及び
図8に示すように、補充装置70は、薬箱収容箱72の幅方向一端側に可動片90を有する。可動片90は、機構収容部72b内に収容されている機構(図示せず)によりシャッター78の動作に連動して作動する。具体的には、可動片90は、シャッター78が開状態であるときに側壁72cから補充薬箱載置部74側に突出した状態になり、シャッター78が閉状態とされることにより、側壁72cと面一、あるいは機構収容部72bの内側(補充領域幅調整部材76から離れる方向)に退避した状態になる。これにより、補充薬箱載置部74上に並列配置された薬箱MB同士の間に適度な隙間が形成された状態になる。
【0098】
≪制御装置100について≫
制御装置100は、従来公知のパーソナルコンピュータなどによって構成されている。制御装置100は、外部から入力された処方データに基づき、上述した収容払出装置20、装填装置30及び補充装置70の動作を制御し、収容払出装置20による薬箱MBの払出動作、及び補充された薬箱MBを補充装置70と装填装置30とを用いて収容払出装置20に装填する準備動作を実行させうる。
【0099】
<薬箱払出装置10の動作について>
以下、薬箱払出装置10の動作について説明する。薬箱払出装置10の動作は、上述した収容払出装置20における薬箱MBの払出動作と、収容払出装置20に対する薬箱MBの準備動作に大別される。以下、薬箱払出装置10の動作を各動作毎に説明する。
【0100】
≪払出動作について≫
薬箱払出装置10が払出動作を行う場合は、外部から制御装置100に入力された処方データに基づき、処方すべき薬箱MBの種類、数量、及び処方すべき薬箱MBが収容されている薬箱通路22が特定される。薬箱MBの種類、数量、及び薬箱通路22の特定が完了すると、制御装置100からの指令に基づき、払い出すべき薬箱MBが収容されている薬箱通路22に設けられた排出規制手段26が作動する。これにより、処方すべき薬箱MBが薬箱通路22の出口22eから薬箱収集手段28に集められる。一処方分の薬箱MBが集められると、制御装置100からの指令に基づき、薬箱収集手段28をなすベルトコンベアが作動する。これにより、一処方分の薬箱MBが収容払出装置20から払い出され、払出動作が完了する。
【0101】
≪準備動作について≫
薬箱払出装置10は、補充装置70に補充した薬箱MBを、補充装置70から装填装置30に移載させた後、薬箱MBに対応する薬箱通路22に装填する動作(準備動作)を行うことができる。薬箱MBを補充装置70に補充する際にシャッター78が開状態とされると、薬箱収容箱72の幅方向一端側(図示状態では左側)に設けられた機構収容部72b内の機構(図示せず)が作動し、可動片90が側壁72cから補充領域幅調整部材76側に向けて突出した状態になる(
図9参照)。
【0102】
補充薬箱載置部74において、上述した可動片90と補充領域幅調整部材76との間に形成された領域(補充薬箱載置領域β)には、薬箱MBを載置することができる。ここで、補充装置70に補充しようとしている薬箱MBを並列状態に並べるために必要な幅dが、補充薬箱載置領域βの幅D1以上である場合は、使用者は、並列に並べられた薬箱MBを両手で挟み込んだ状態のまま、補充薬箱載置領域βに薬箱MBを補充することができる。一方、薬箱MBを並列状態に並べるために必要な幅dが、補充薬箱載置領域βの幅D1よりも小さい場合は、位置決手段80の固定解除片83を操作し、補充領域幅調整部材76を側壁72c及び可動片90から離れる方向にスライドさせる必要がある。
【0103】
上述したように、固定解除片83は、アーム片84よりも側壁72c側において手前側に突出するように設けられており、側壁72cから離れる方向に押圧することにより補充領域幅調整部材76を固定解除状態とすることができる。また、位置決手段80が補充領域幅調整部材76に対して一体的に取り付けられていることから、固定解除片83を押圧することによって補充領域幅調整部材76を側壁72cから離れる方向にスライドさせることができる。従って、薬箱MBを並列状態に並べるために必要な幅dが、補充薬箱載置領域βの幅D1よりも小さい場合であっても、並列に並べられた薬箱MBを両手で挟み込んだ状態において、使用者の手の甲や指で固定解除片83を押圧することにより、補充領域幅調整部材76の固定を解除し、補充領域幅調整部材76を側壁72c及び可動片90から離れる方向にスライドさせうる。
【0104】
上述したようにして補充薬箱載置部74の補充薬箱載置領域βに薬箱MBが並列状態で載置された後、補充領域幅調整部材76を側壁72c及び可動片90に近づく方向にスライドさせ薬箱MBの側面に接触させると、補充装置70への薬箱MBの補充が完了した状態になる。この状態においてシャッター78を閉じると、側壁72cから補充領域幅調整部材76側に突出していた可動片90が退避し、側壁72cと面一あるいは機構収容部72b側に退入した状態になる。これにより、補充薬箱載置領域βに並列状態で載置されている薬箱MB同士の間、側壁72c及び補充領域幅調整部材76と薬箱MBとの間、及び薬箱MBと無端ベルト54との間に若干の隙間が形成された状態になる。
【0105】
シャッター78が閉状態になったことが確認されると、制御装置100は、装填装置30の装填ラック32を補充装置70に隣接する位置まで移動させる。また、装填ラック32が補充装置70に隣接する位置に到着すると、制御装置100は、位置検知手段40を作動させつつ装填領域幅調整部材46を幅方向にスライドさせることにより、補充領域幅調整部材76の検出を試みる。制御装置100は、位置検知手段40の検知信号に基づき、補充装置70における補充領域幅調整部材76の位置を把握する。
【0106】
制御装置100は、装填領域幅調整部材46の位置と、補充領域幅調整部材76の位置とが合致するように装填領域幅調整部材46の位置を調整する(
図13参照)。これにより、装填薬箱載置部36において薬箱MBを載置するための領域(装填薬箱載置領域α)の幅D2と、補充薬箱載置部の幅D1とが略同一に調整され、補充薬箱載置領域βに対して奥行き方向に隣接する位置に、装填薬箱載置領域αが形成された状態になる。
【0107】
上述したようにして装填薬箱載置部36の装填薬箱載置領域α、及び補充薬箱載置部74の補充薬箱載置領域βが隣接した位置関係になると、制御装置100は、補充装置70側のベルトコンベア75及び装填装置30側のベルトコンベア37を作動させ、搬送面37a,75aを奥行き方向に向けて移動させる。これにより、補充薬箱載置領域β上に載置されている薬箱MBが、並列状態を維持したまま装填薬箱載置領域αに引き込まれ、移載される。
【0108】
薬箱MBの移載が完了すると、制御装置100は、薬箱MBを装填すべき薬箱通路22に隣接する位置まで装填ラック32を移動させる(
図14参照)。装填ラック32の移動が完了すると、制御装置100は、繰送装置42及び送出装置44を作動させ、薬箱MBを一箱ずつ薬箱通路22に装填する。具体的には、制御装置100は、繰送装置42の動力源48bを作動させることにより、装填領域幅調整部材46を送出装置44側に順次移動させ、送出装置44の無端ベルト54に隣接する位置に存在する薬箱MBの側面を無端ベルト54の搬送面54aに接触させる。
【0109】
また、制御装置100は、搬送面54aの薬箱MBに接触している部分が手前側から奥側(薬箱通路22側)に向けて移動するように送出装置44の動力源56を作動させる。これに伴い、薬箱MBの側面に手前側から奥側に向かう方向への応力が作用する。また、無端ベルト54に設けられた当接片54bが薬箱MBの端面94に当接した状態になり、薬箱MBが手前側から奥側に押し込まれる。これにより、薬箱MBは、薬箱通路22側に一箱ずつ送り込まれる。なお、薬箱通路22の入口22d側に図示しないセンサーを設け、薬箱MBが一箱装填される度に前記センサーにより検知できる構成とすることにより、装填された薬箱MBの数量を計数することができる。
【0110】
上述したように、本実施形態の薬箱払出装置10では、補充装置70の補充薬箱載置部74に薬箱MBを並列に並べて載置し、ベルトコンベア75を作動させることにより、薬箱MBを並列状態のまま装填ラック32側の装填薬箱載置部36に移載させることが可能である。また、装填ラック32を薬箱MBに対応した薬箱通路22に隣接する位置まで移動させ、その後装填ラック32に設けられた装填機構38を作動させることにより、並列状態で載置されている薬箱MBを一箱ずつ薬箱通路22に向けて送り出し、装填させることが可能である。従って、本実施形態の薬箱払出装置10は、薬箱を並列に並べた状態で補充薬箱載置部74に載置するだけで、補充装置70に準備された薬箱MBを適切な薬箱通路22に装填させることが可能である。
【0111】
本実施形態の薬箱払出装置10は、装填機構38が、送出装置44と繰送装置42とを有し、繰送装置42により装填薬箱載置部36に載置されている薬箱MBの側面を順次、送出装置44の無端ベルト54の搬送面54aに接触させうる。また、無端ベルト54には、当接片54bが設けられており、無端ベルト54をプーリ50,52間で回動させることにより当接片54bを薬箱MBの端面94(載置状態において薬箱MBの送り出し方向手前側の面)に当接させ、当接片54bによって薬箱通路22側に押し込むことが可能である。そのため、薬箱払出装置10では、装填薬箱載置部36上に載置された薬箱MBを一箱ずつ確実に送出させ、薬箱通路22に装填することができる。なお、当接片54bが無端ベルト54の搬送面54aに2個設けられており、薬箱通路22に向けて薬箱MBを送出する際に薬箱MBの端面94に当接片54bが接触することから、無端ベルト54の回転数、移動距離等に基づいて装填された薬箱MBの数量を計数することが可能である。具体的には、無端ベルト54が半回転分移動するごとに、薬箱MBが1個送出されたとみなして計数することができる。
【0112】
本実施形態では、無端ベルト54の搬送面54aに当接片54bを設けた例を示したが、本発明はこれに限定される訳ではなく、当接片54bを設けないこととしてもよい。また、本実施形態では、当接片54bを2個設けた例を示したが、当接片54bは1個あるいは3個以上であってもよい。
【0113】
また、上述した送出装置44は、無端ベルト54と薬箱MBの側面とを接触させることにより薬箱MBを薬箱通路22側に送り出すものであるが、送出装置44は、薬箱MBを一箱ずつ薬箱通路22側に送出可能なものであればいかなるものであってもよい。具体的には、載置状態にある薬箱MBを手前側(補充装置70側)から奥側(収容払出装置20側)に向けて押圧可能なプランジャ等を上述した送出装置44の代わりに使用してもよい。
【0114】
本実施形態の薬箱払出装置10では、装填薬箱載置部36において薬箱MBが載置される装填薬箱載置領域αを装填領域幅調整部材46により規定し、補充薬箱載置部74において薬箱MBが載置される補充薬箱載置領域βを補充領域幅調整部材76によって規定可能とされている。また、薬箱払出装置10では、準備動作に際し、制御装置100が装填装置30側に設けられた位置検知手段40の検知結果に基づき補充領域幅調整部材76の位置を把握し、補充薬箱載置領域βに対して隣接する位置に装填薬箱載置領域αが到来するように装填装置30を動作させることができる構成とされている。そのため、薬箱払出装置10では、準備動作において補充装置70から装填装置30に薬箱MBを移載する段階において装填薬箱載置領域α及び補充薬箱載置領域βが適切な大きさ及び位置に調整される。従って、薬箱払出装置10では、補充装置70に準備された薬箱MBが、並列状態を維持したまま装填装置30側にスムーズに移載される。
【0115】
本実施形態では、位置検知手段40が装填装置30側に装着されたセンサーによって構成され、装填ラック32及び装填領域幅調整部材46を移動させることにより補充領域幅調整部材76を検知可能とした例を示したが、本発明はこれに限定される訳ではない。具体的には、位置検知手段40を補充領域幅調整部材76の移動距離を検知可能なセンサーによって構成し、制御装置100が補充領域幅調整部材76の移動距離に基づいて補充領域幅調整部材76の位置を把握可能なものとすることが可能である。このような構成とした場合は、補充領域幅調整部材76の位置、及び補充薬箱載置部74における補充薬箱載置領域βの大きさを把握するために装填ラック32及び装填領域幅調整部材46を移動させる必要がなく、その分だけ準備動作に要する時間を短縮することが可能となる。
【0116】
上述した補充装置70は、補充領域幅調整部材76を位置決め固定する位置決手段80を有する。そのため、薬箱MBを補充薬箱載置部74に載置した後、薬箱MBの側面に略接触する位置まで補充領域幅調整部材76を移動させることにより、薬箱MBが転倒しないように補充領域幅調整部材76によって支持することが可能である。また、装填領域幅調整部材46は、補充領域幅調整部材76を指標として位置決めされるため、位置決手段80を設けることにより補充領域幅調整部材76についても適切な位置に移動させることが可能となる。
【0117】
また、上述したように位置決手段80は、固定解除片83を補充薬箱載置領域βを拡大する方向に押圧することにより補充領域幅調整部材76を固定解除状態とすることが可能とされている。そのため、作業者が補充を行うための薬箱MBを両手に挟み込んだ状態であっても、手の甲や指によって固定解除片83を押圧することにより補充領域幅調整部材76を移動させることが可能であり、利便性に優れている。
【0118】
本実施形態の薬箱払出装置10は、補充装置70は、薬箱収容箱72のシャッター78の開閉に連動して作動する可動片90を有し、シャッター78が開状態であるときに、可動片90が側壁72cから突出した状態になる。また、シャッター78が閉状態とされると、可動片90が側壁72cと面一、あるいは側壁72cよりも補充領域幅調整部材76から離れる方向に退避した状態になる。そのため、仮に薬箱MBの補充作業を行う作業者が、補充領域幅調整部材76を薬箱MBの側面に密着する位置に位置決めしてしまった場合であっても、薬箱MBが無端ベルト54に対して過度に接触した状態にならず、薬箱MB同士も過度に密着した状態とならない。これにより、補充薬箱載置部74の補充薬箱載置領域βに載置されている薬箱MBをスムーズに装填装置30に移載させることが可能となる。なお、本実施形態では、シャッター78の開閉に連動して作動する可動片90を設けた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、可動片90を備えていないものであってもよい。また、可動片90の形状や大きさについては、特に限定されるものではなく、図示した突起状のものの他、補充装置70の手前側から奥側に向けて延びるバー状のもの等としてもよい。
【0119】
≪制御装置100の変形例について≫
制御装置100は、上述したように収容払出装置20、装填装置30及び補充装置70の動作制御を行うだけでなく、収容払出装置20を校正する各薬箱通路22における薬箱MBの在庫管理、及び補充装置70に用意する薬箱MBの個数の導出等についても実施可能な構成とすることが可能である。以下、変形例に係る制御装置100の構成、及び制御装置100による在庫管理方法について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0120】
図15に示すように、制御装置100は、在庫管理手段200、準備個数導出手段202、装填制御手段204、払出制御手段206、最大載置数導出手段208、及び補充制御手段210を備えている。本変形例に係る在庫管理手段200等の構成は、アプリケーションを制御装置100にインストール等することにより形成される。
【0121】
在庫管理手段200は、収容払出装置20における薬箱MBの在庫状況を把握し、管理するためのものである。在庫管理手段200は、上述した準備動作を実施することにより装填装置30により収容払出装置20の各薬箱通路22に装填された薬箱MBの装填個数X、及び準備動作後に各薬箱通路22から払い出された薬箱MBの払出個数Yに基づき、各薬箱通路22における在庫数Zを導出するためのものである。
【0122】
具体的には、薬箱払出装置10は、各薬箱通路22の入口22d側あるいは装填装置30の出口側に装填個数検知手段23を設け、各薬箱通路22の出口22e側に払出個数検知手段24を設けておき、これらの検知手段23,24からの出力を在庫管理手段200に入力させることにより、装填個数X及び払出個数Yを各薬箱通路22毎に把握することができる。また、在庫管理手段200は、装填個数Xから払出個数Yを差し引くことにより、各薬箱通路22における薬箱MBの在庫数Zを導出することができる。さらに、在庫管理手段200は、収容払出装置20において同一種の薬箱MBを収容及び払い出しするために複数の薬箱通路22が設けられている場合に、これらの薬箱通路22を薬箱通路群22Gとして認識し、薬箱通路群22Gにおける合計在庫数ZGを導出することができる。具体的には、薬箱通路群22Gを構成する各薬箱通路22について在庫数Zを導出し、合算することにより合計在庫数ZGを導出することができる。
【0123】
準備個数導出手段202は、補充装置70に用意する薬箱MBの個数(準備個数J)を導出するためのものである。準備個数導出手段202は、各薬箱通路22において最大限在庫可能な薬箱MBの数量(最大在庫可能数Q)から、在庫管理手段200によって把握された在庫数Zを差し引くことにより各薬箱通路22に準備個数Jを導出する。また、準備個数導出手段202は、準備個数Jを制御装置100を構成するパーソナルコンピュータのディスプレイ等の表示装置を用いて、薬箱払出装置10のオペレータに対して報知することができる。具体的には、
図23(a)〜(c)に示すような充填案内インターフェイスを表示装置に表示させ、報知することが可能である。また、制御装置100を構成するパーソナルコンピュータが備えるスピーカ等を用い、音声により準備個数Jを報知することが可能である。
【0124】
さらに、収容払出装置20において同一種の薬箱MBを収容及び払い出しするために複数の薬箱通路22が設けられている場合に、これらの薬箱通路22を薬箱通路群22Gとして認識し、薬箱通路群G全体としての準備個数J(合計準備個数JG)を導出することができる。具体的には、薬箱通路群Gを構成する各薬箱通路22について準備個数Jを導出し合算することにより合計準備個数JGを導出することができる。薬箱通路群Gに対応する薬箱MBを補充装置70に準備する場合には、準備個数導出手段202は、合計準備個数JGを制御装置100を構成するパーソナルコンピュータのディスプレイ等の表示装置を用いて薬箱払出装置10のオペレータに対して報知することができる。この場合についても、
図23(a)〜(c)に示す充填案内インターフェイスを表示装置に表示させること、あるいはスピーカ等を用いて音声を発生させることにより準備個数Jを報知することが可能である。
【0125】
装填制御手段204は、装填装置30の動作を制御するためのものである。装填制御手段204は、在庫管理手段200及び準備個数導出手段202と同様に、同一種の薬箱MBを収容及び払い出しするために設けられた複数の薬箱通路22を薬箱通路群22Gとして認識する。装填制御手段204は、薬箱通路群22Gに対応する種類の薬箱MBが補充装置70に用意された場合に、装填装置30に用意された薬箱MBを薬箱通路群22Gを構成する各薬箱通路22に対して分配させることができる。そのため、薬箱払出装置10は、合計準備個数JG分の薬箱MBを補充装置70に纏めて準備した場合であっても、装填制御手段204の制御の下、装填装置30を作動させることにより、各薬箱通路22に分配して装填させることができる。
【0126】
払出制御手段206は、収容払出装置20における薬箱MBの払い出し動作を制御するためのものである。払出制御手段206は、上述した在庫管理手段200等と同様に、同一種の薬箱MBを収容及び払い出しするために設けられた薬箱通路22を薬箱通路群22Gとして認識する。払出制御手段206は、薬箱通路群22Gをなす各薬箱通路22について払い出し動作を行う順番を予め規定している。払出制御手段206は、薬箱通路群22Gに対応する薬箱MBを払い出す際に、予め規定されている順番で各薬箱通路22の排出規制手段26を作動させ、薬箱MBを払い出させる。これにより、薬箱通路群22Gをなす特定の薬箱通路22に収容されている薬箱MBのみが払い出され、他の薬箱通路22から薬箱MBが払い出されずに残ることを防止できる。従って、各薬箱通路22において薬箱MBを略均等に払い出させることが可能となり、各薬箱通路22における在庫状況が偏ることを防止できる。具体的には、ロット番号や製造年月日の異なる同種の薬箱MBが、薬箱通路22に滞留するような偏った在庫状況となることがない。
【0127】
最大載置数導出手段208は、一基の補充装置70において補充薬箱載置部74に最大限載置可能な薬箱の個数を最大載置数Mとして導出する。具体的には、最大載置数導出手段208は、補充装置70に準備しようとしている薬箱MBのサイズ(厚み)を把握し、補充薬箱載置部74の幅を薬箱MBの厚みで除することにより最大載置数Mを導出する。最大載置数Mの導出に際して必要となる薬箱MBのサイズ(厚み)については、予め薬箱MBのサイズ情報を含むデータベースを作成しておき、このデータベースに基づいて把握する他、オペレータが制御装置100に対して把握することとしてもよい。
【0128】
補充制御手段210は、補充装置70の動作制御を行うものである。補充制御手段210は、薬箱MBの補充動作を行う際に、準備個数導出手段202によって導出された準備個数Jあるいは合計準備個数JGが、最大載置数導出手段208によって導出された最大載置数M以下である場合は、補充薬箱載置部74に薬箱MBが搭載されていない補充装置70を一つ選択し、この補充装置70のシャッター78を開状態として薬箱MBを補充可能な状態とする。
【0129】
また、補充制御手段210は、準備個数Jあるいは合計準備個数JGが最大載置数Mよりも多い場合に、複数基の補充装置70を薬箱MBの補充に使用可能な状態とする。具体的には、準備個数Jと最大載置数Mとの間にJ=n・M+α(n,α:自然数)の関係が成立する場合には、n+1基の補充装置70を薬箱MBの補充用として使用可能な状態とする。また、補充する薬箱MBの種類が薬箱通路群22Gに対応するものである場合には、合計準備個数Jと最大載置数Mとの関係に基づき、JG=n・M+α(n,α:自然数)数式による演算を行い、n+1基の補充装置70を薬箱MBの補充用として使用可能な状態とする。
【0130】
上述したように、本実施形態の薬箱払出装置10は、装填装置30から収容払出装置20に対して薬箱MBを一つずつ投入(装填)するものであるため、装填された薬箱MBの個数を装填個数検知手段23によって容易かつ正確に把握することができる。また、収容払出装置20から払い出された薬箱MBの個数については払出個数検知手段24によって正確に把握することができる。従って、上述したように在庫管理手段200を設けることにより、薬箱MBの払出数及び装填数に基づき、薬箱MBの在庫数を正確に把握することができる。
【0131】
また、上述した準備個数導出手段202を設けた場合は、同一種の薬箱MBを薬箱通路22を薬箱通路群22Gとみなし、薬箱通路群22G全体として準備すべき薬箱MBの数量を把握し、報知することができる。従って、本実施形態の薬箱払出装置10によれば、薬箱MBの準備作業をより一層効率化及び簡略化することが可能となる。
【0132】
上述したように装填制御手段204を設けた場合は、薬箱通路群22Gに対応する種類の薬箱MBが補充装置70に用意された場合に、補充装置70に用意された薬箱MBを、装填装置30によって薬箱通路群22Gを構成する各薬箱通路22に対して分配させることが可能である。従って、薬箱通路群22G全体として装填すべき数量の薬箱MBを纏めて補充装置70に準備することが可能となり、各薬箱通路22毎に薬箱MBを別々に準備する必要がなくなる。
【0133】
また、最大載置数導出手段210を設けた場合は、補充装置70に準備すべき薬箱MBの個数が一基の補充装置70に補充可能な数量を超えている場合に、複数の補充装置70を薬箱MBの補充に用いることができる。従って、最大載置数導出手段210を設けることにより、補充装置70に最大限載置可能な個数を越える薬箱MBを準備すべき場合であっても、複数回に分けることなく薬箱MBを用意することが可能であり、より一層作業効率を向上させることができる。
【0134】
また、上述した払出制御手段206を設けた場合は、薬箱通路群22Gに対応する薬箱MBを払い出す場合に、薬箱MBを払い出す薬箱通路22が所定の順番で切り替わり、各薬箱通路22から略均等に薬箱MBを払い出させることが可能である。これにより、収容払出装置20に対して先に装填されている薬箱MBから順番に払い出させることが可能となる。
【0135】
なお、本変形例においては、在庫管理手段200、準備個数導出手段202、装填制御手段204、払出制御手段206、準備個数導出手段202、及び最大載置数導出手段210を制御装置100として設けた構成を例示したが、これらのうちの一部又は全部を他のパーソナルコンピュータ等の制御装置によって構成してもよい。また、本変形例において説明した在庫管理手段200等は、必ずしも全て設けなくてもよく、一部については省略してもよい。
【0136】
≪薬箱特定装置について≫
ここで、一般に流通している薬箱MBの多くには、種類毎に規定されたバーコード等の識別標識が付されていることから、この識別標識を用いることにより補充しようとしている薬箱MBの種類を特定することができる。しかしながら、薬箱MBの種類によっては、バーコード等が付されていないものが存在している。このような薬箱MBを補充する場合には、種類の特定作業をオペレータの視認等に頼らざるを得ず、作業効率が低下してしまうという問題がある。また、オペレータの視認による作業が介在することにより、薬箱MBの種類の取り違え等が発生する可能性もあり得る。そこで、かかる問題を防止すべく、薬箱MBの種類特定を機械的に実施可能とすることが好ましい。以下、薬箱MBの種類特定に用いることが可能な薬箱特定装置、及び当該薬箱特定装置を備えた薬箱払出装置10の例について説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態における説明と重複する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0137】
図16(a)に示す薬箱特定装置250は、薬箱MBのパッケージを撮影することにより得られたパッケージ画像に基づいて薬箱MBの種類を特定するものである。薬箱特定装置250は、薬箱MBを撮影するための撮影装置260と、制御装置100との組み合わせによって構成されるものである。
図20に示すように、制御装置100には、薬箱特定装置250用のアプリケーションをインストール等することにより、薬箱特定手段290、画像処理手段292、標識付与手段294、準備薬箱表示手段296、校正手段298、及び薬箱情報登録手段300が設けられている。
【0138】
図16(b)に示した撮影装置260は、薬箱MBを撮影するための装置である。
図17に示すように、撮影装置260は、筐体262に対して撮影台264、カメラ266、明るさ調整手段267、反射鏡272、センサー274等を組み込んだ構成とされている。また、撮影装置260は、撮影台264に対して着脱可能なキャリブレーション部材286を備えている。
【0139】
図16(b)に示すように、筐体262は、略直方体状であって側面に開口部262aを有する箱体である。また、
図17に示すように、撮影台264を境界として筐体262の下方側の空間はカメラ側領域262bとされており、反対側の空間は、撮影対象の薬箱MBを配置するための箱配置領域262dとされている。カメラ側領域262bには、カメラ266、明るさ調整手段267の一部であるカメラ側照明装置268、及び反射鏡272等の機器類が収容されている。筐体262の天面262cには、明るさ調整手段267の一部である箱配置領域側照明装置270が内蔵されている。また、筐体262の高さ方向の中間部には、撮影台264が天面262cに対して略平行となるように設置されている。また、
図16(b)に示すように、筐体262において開口部262aの両脇に位置する側面には、センサー274が設けられており、オペレータが開口部262aに手を差し込んだことを検知可能とされている。
【0140】
図18に示すように、撮影台264は、載置部276を枠体278に対して取り付けたものである。載置部276は、ガラス板あるいは樹脂板によって形成された透光性を有する部材であり、薬箱MBを載置することができる。枠体278の表面278bには、撮影台264の中央を指し示すための載置位置指示目印279が設けられている。載置位置指示目印279は、撮影台264をなす四辺のうち三辺に対してそれぞれ隣接する位置に設けられた三角形の目印である。
図18(a)において二点鎖線で示すように、載置位置指示目印279の延長線を結んだ位置が撮影台264の略中央に該当し、延長線の交点が薬箱MBを載置する位置の指標となる。
【0141】
図18(b)に示すように、枠体278は、カメラ266等が設けられている側の面(裏面278a)に、白色の樹脂によって形成された色彩校正用部材280を有する。また、色彩校正用部材280に対して隣接する位置には、枠体278の厚み方向に貫通した透光孔282が設けられている。さらに、枠体278の裏面278a側には、画角調整用標識284が設けられている。画角調整用標識284は十文字型に交差した形状の印であり、枠体278の四隅に設けられている。各画角調整用標識284の交差点同士を結ぶことにより形成される仮想線は、載置部276の輪郭線よりも外側にオフセットした位置に形成される。また、画角調整用標識284は、十文字型の交点においてカメラ266のセット時に調整し、計測された座標を有しており、この座標値をもって以降のカメラ266の位置等のキャリブレーションを実施する。なお、カメラ266やレンズの交換等を行った場合、あるいは画像認識の精度に問題が出た場合等には、再度カメラ266をセッティングし、画角調整用標識284の座標を計測しなおし、キャリブレーションの元データを作成しなおしてもよい。
【0142】
カメラ266は、上述した載置部276の略直下に設けられた反射鏡272を介し、載置部276上に載置された薬箱MB、枠体278に設けられた色彩校正用部材280、透光孔282、及び画角調整用標識284を単一の画像に収まるように撮影可能とされている。また、明るさ調整手段267は、カメラ側領域262bの明るさ、及び箱配置側領域262dの明るさを独立的に調整可能なものである。明るさ調整手段267は、カメラ側照明装置268と箱配置領域側照明装置270によって構成されている。
【0143】
カメラ側照明装置268は、カメラ側領域262bを構成する対向する内壁面に一基ずつ設けられており、載置部276の略全体をカメラ側領域262b側(カメラ266側)から照射することができる。箱配置領域側照明装置270は、筐体262の天面262cに内蔵されており、撮影台264に載置された薬箱MBをカメラ266とは反対側から照射することができる。明るさ調整手段267は、カメラ側照明装置268をオン状態とし、箱配置領域側照明装置270をオフ状態とすることにより、カメラ側領域262bが箱配置側領域262dよりも明るくなるように調整できる。また、明るさ調整手段267は、カメラ側照明装置268をオフ状態とし、箱配置領域側照明装置270をオン状態とすることにより、箱配置側領域262dをカメラ側領域262bよりも明るくなるように調整できる。
【0144】
撮影装置260は、箱配置領域側照明装置270をオン状態とし、カメラ側照明装置268をオフ状態とした状態でカメラ266により撮影することにより、
図19(a)に示すような画像Bを取得することができる。画像Bにおいては、図中においてハッチングを付したように、撮影台264に載置された薬箱MBが影となって写る。また、撮影装置260は、箱配置領域側照明装置270をオフ状態とし、カメラ側照明装置268をオン状態とした状態でカメラ266により撮影することにより、
図19(b)に示すような画像Aを取得することができる。画像Aにおいては、図中に示すように、撮影台264に載置された薬箱MBのパッケージが識別可能な状態で写る。
【0145】
撮影装置260は、筐体262に設けられた開口部262aにオペレータの手が挿入され、引き抜かれたことがセンサー274によって検知されることを条件として、カメラ側照明装置268及び箱配置領域側照明装置270のオンオフ、並びにカメラ266による撮影を行う。具体的には、センサー274によりオペレータの手が挿入された後、引き抜かれたことが確認されると、その後所定時間が経過した時点でカメラ側照明装置268がオン状態とされ、箱配置領域側照明装置270がオフ状態とされた状態でカメラ266により画像Aの撮影が行われる。その後、直ちにカメラ側照明装置268がオフ状態を切り替えると共に、箱配置領域側照明装置270をオン状態に切り替え、カメラ266により画像Bの撮影が行われる。
【0146】
キャリブレーション部材286は、撮影台264の略全体を覆うことが可能なキャリブレーション面286aを有する板状の部材である。キャリブレーション面286aは、白色であって、明度、彩度及び色調が全体に亘って均一な色ムラのない樹脂によって形成されている。撮影装置260は、カメラ266の校正を行うために使用されるものであり、薬箱MBの種類を特定する際には撮影台264から取り外される。
【0147】
薬箱特定手段290は、撮影装置260によって得られた画像に基づいて薬箱MBの種類を特定するためのものである。薬箱特定手段290は、薬箱MBの大きさに関する情報、薬箱MBのパッケージ画像の色彩に関する色彩情報、及び薬箱MBのパッケージ画像を薬箱MBの種類毎に蓄積した薬箱情報データベース302を備えている。薬箱情報データベース302には、後に詳述する画像処理手段292により得られた画像の他、オペレータが別途準備した画像をパッケージ画像として登録することができる。また、薬箱情報データベース302に登録されている薬箱MBについての情報及びパッケージ画像等は、制御装置100を用いることにより適宜参照することができる。
【0148】
画像処理手段292は、撮影装置260によって得られた画像を処理するためのものである。画像処理手段292は、撮影装置260によって取得された画像Aから、薬箱MBに相当する領域のみを切り出すことにより薬箱MBのパッケージ画像を取得する処理を行うことができる。
【0149】
具体的には、画像処理手段292は、画像Bに含まれている影の領域(影領域)を薬箱MBが配置された領域として認識する。その後、画像処理手段292は、画像Bと共に取得された画像Aにおいて、前述した影領域に対応する領域を薬箱MBのパッケージが写っている領域(パッケージ画像領域)として認識し、パッケージ画像領域を切り出す。このようにして、画像処理手段292は、薬箱MBのパッケージ画像を取得する。画像処理手段292により得られたパッケージ画像は、薬箱情報データベース302に薬箱MBの種類毎に保存される。
【0150】
標識付与手段294は、画像処理手段292により得られた薬箱MBのパッケージ画像、あるはいオペレータが別途準備した画像に対して標識を付与するためのものである。標識付与手段294により標識が付与された画像は、薬箱MBの種類毎に分類され、薬箱情報データベース302に蓄積される。
【0151】
準備薬箱表示手段296は、パーソナルコンピュータのディスプレイ等の表示装置によって構成される。準備薬箱表示手段296は、補充装置70に用意すべき薬箱MBのパッケージ画像を薬箱情報データベース302から読み出し、表示することができる。また、準備薬箱表示手段296は、補充装置70に用意する薬箱MBのパッケージ画像が標識付与手段294によって標識が付与されたものである場合に、パッケージ画像に標識を付与した状態で表示することができる。
【0152】
校正手段298は、キャリブレーション部材286を撮影台264に装着した状態においてカメラ266によって撮影して得られた画像に基づき、明度、彩度及び色調の校正を行うものである。
【0153】
薬箱情報登録手段300は、未登録の薬箱MBについての情報を薬箱情報データベース302に登録するために設けられたものである。薬箱情報登録手段300は、登録対象の薬箱MBのサイズ情報、及び薬箱MBに関連する画像を入力し、薬箱情報データベース302に登録することができる。薬箱MBに関連する画像としては、上述した撮影装置260により取得した薬箱MBのパッケージ画像の他、オペレータが別途準備した画像等を用いることができる。
【0154】
≪薬箱特定装置を備えた薬箱払出装置の動作≫
続いて、薬箱特定装置250を備えた薬箱払出装置10において薬箱MBを収容払出装置20に装填するまでの動作について、
図21のフローチャートを参照しつつ説明する。薬箱特定装置250を備えた薬箱払出装置10において薬箱MBを装填する場合は、
図22(a)あるいは
図22(b)に示すように薬箱MBの充填リストがインターフェイスの形式で制御装置100に表示される。この状態において薬箱MBを撮影装置260の撮影台264にセットすると、薬箱MBが撮影される。これにより、用意しようとしている薬箱MBの画像A、及び画像Bが取得される。
【0155】
ステップ1−1において薬箱MBの撮影が完了すると、制御フローがステップ1−2の画像処理工程に進む。画像処理工程においては、画像処理手段292により画像が補正され、薬箱MBのパッケージ画像が取得される。具体的には、ステップ1−2においては、ステップ1−1において取得された画像Aに写っている画角調整用標識284を指標として画角の補正が行われる。これにより、薬箱MBを撮影した画像の平面歪みが補正される。また、画像Aに写っている白色の色彩校正用部材280を基準として、画像Aの色ムラが補正される。さらに、画像Aにおいて透光孔282に相当する部分の照度を基準として、画像Aの照度が補正される。
【0156】
また、ステップ1−2においては、画像処理手段292により画像Aから薬箱MBのパッケージ画像が切り出される。具体的には、画像処理手段292は、画像B中に含まれている影領域を薬箱MBが設置された領域であると認識する。画像処理手段292は、ステップ1−1において画像Bと共に取得された画像Aにおいて、前述した影領域に相当する領域を薬箱MBのパッケージ画像として切り出す。また、画像処理手段292は、画像Aから切り出したパッケージ画像を長手方向が横向きとなるように補正する。これにより、薬箱MBのパッケージ画像が取得される。
【0157】
ステップ1−2において薬箱MBのパッケージ画像が取得されると、制御フローがステップ1−3以降の工程に進められ、薬箱特定手段290による薬箱MBの種類の特定が行われる。具体的には、ステップ1−3の薬箱MBのサイズに基づき薬箱MBの種類を絞り込むサイズ絞り込み工程、及びステップ1−4の薬箱MBのパッケージ画像に含まれている色彩情報に基づき薬箱MBの種類を絞り込む色彩絞り込み工程を経ることにより薬箱MBの種類が特定される。
【0158】
さらに具体的に説明すると、制御フローがステップ1−3のサイズ絞り込み工程に進行すると、薬箱特定手段290は、ステップ1−1において取得された画像B中に含まれている影領域を薬箱MBが設置された領域であると認識し、影領域の大きさから薬箱MBのサイズを割り出す。薬箱特定手段290は、薬箱情報データベース302にアクセスし、同様のサイズを有する薬箱MBの種類を絞り込む。
【0159】
ステップ1−3においてサイズによる薬箱MBの種類の絞り込みが完了すると、制御フローがステップ1−4の色彩絞り込み工程に進む。ステップ1−3において、薬箱特定手段290は、ステップ1−2における画像処理により得られた薬箱MBのパッケージ画像に含まれている色彩情報を解析すると共に、薬箱情報データベース302にアクセスすることによりサイズ絞り込み工程において候補として挙げられたものの色彩情報を読み出して照合する。
【0160】
色彩情報の解析及び照合は、種々の方法で実施することができるが、例えばパッケージ画像を複数の領域に分割し、各領域中に含まれている色彩の種類及び色彩の含有率が薬箱情報データベース302に登録されているものと合致するか否かを確認することにより実施することができる。また、絞り込みの段階に応じてパッケージ画像の分割領域数を増減させることにより、色彩情報の解析及び照合に要する処理時間の短縮及び負荷を抑制することができる。
【0161】
ステップ1−4の色彩絞り込み工程が完了すると、制御フローがステップ1−5に進み、特定結果が導出される。上述した色彩絞り込み工程において候補として絞り込まれた薬箱MBの種類が複数である場合には、
図24に示す種類確定用のインターフェイスが準備薬箱表示手段296に表示され、全ての候補がリスト形式で表示される。その後、制御フローがステップ1−6に進む。
【0162】
制御フローがステップ1−6に進むと、補充装置70に用意する薬箱MBの種類の確定作業が行われる。具体的には、ステップ1−5において薬箱MBの候補が一つに絞られている場合には、薬箱MBの種類がそのまま確定される。また、薬箱MBの種類の候補が複数存在する場合には、
図24に示す種類確定用のインターフェイスにおいては、オペレータが薬箱MBの種類を選定し、確定することができる。なお、薬箱MBが、薬箱情報データベース302に登録されていない種類のものである場合には、オペレータによる手入力、あるいは後に詳述する薬箱情報データベース302の構築方法により薬箱MBの種類を登録した後、再度上述したフローを実行することにより薬箱MBの種類を特定する。
【0163】
ステップ1−6において薬箱MBの種類が確定すると、制御フローがステップ1−7に進む。ステップ1−7においては、収容払出装置20における在庫状況が確認され、補充しようとしている薬箱MBの在庫数、及び補充個数が導出される。この結果は、
図23(a)〜(c)に示すように、薬箱MBのパッケージ画像と共に補充案内用のインターフェイスに表示される。また、ステップ1−8において薬箱MBを補充するための補充装置70のシャッター78が開かれ、薬箱MBを補充可能な状態となる。その後、補充装置70のシャッター78が閉じられると、制御フローがステップ1−9に進められ、準備動作が実行される。これにより、補充装置70に準備された薬箱MBが装填装置30を経由して収容払出装置20の薬箱通路22に装填され、一連の動作が完了する。なお、準備動作は、上述したものと同一であるため、詳細については説明を省略する。
【0164】
≪薬箱情報データベースの構築方法≫
続いて、上述した撮影装置260を用いた薬箱情報データベース302の構築方法について説明する。薬箱情報データベース302は、撮影装置260を用いて取得した薬箱MBのパッケージ画像を用いることにより、薬箱情報データベース302に登録されていない種類の薬箱MBを登録することができる。具体的には、薬箱情報データベース302は、
図25に示すフローチャートに則って構築することができる。以下、撮影装置260により得られた画像を用いた薬箱情報データベース302の構築方法を
図25を参照しつつ説明する。なお、
図25に示す制御フローにおいて、
図16に示す薬箱特定装置250を採用した薬箱払出装置10の制御フローと重複する部分については、詳細の説明を省略する。
【0165】
薬箱情報データベース302を構築する場合は、制御装置100のディスプレイ等によって構成された表示装置に
図26に示すような登録用のインターフェイスが表示される。ステップ2−1においては、登録用インターフェイスを介して薬箱MBの固有情報を入力する。具体的には、ステップ2−1においては、薬箱MBの登録名、薬箱MBのサイズ等の情報を入力する。薬箱MBの固有情報の入力が完了すると、制御フローがステップ2−2に進む。具体的には、
図26の登録用インターフェイスに表示されている表示画像登録ボタンが選択されると制御フローがステップ2−2に進む。
【0166】
制御フローがステップ2−2に進むと、
図27(a)に示すような表示画像登録インターフェイスが表示される。表示画像登録インターフェイスにおいては、薬箱MBのパッケージ画像を登録したい面を指定することができる。薬箱MBのパッケージ画像を登録する面が選択されると、
図28に示すようなガイダンス用のインターフェイスが表示される。薬箱MBがパッケージ画像を登録する面をカメラ266側を向けた姿勢とされて撮影台264の上に載置されると、制御フローがステップ2−2に進み、撮影が行われる。ステップ2−2においては、上述した
図21の制御フローのステップ1−1におけるのと同様にして画像A、及び画像Bが撮影される。
【0167】
ステップ2−2において撮影が完了すると、制御フローがステップ2−3に進み、ステップ2−2において取得した画像について画像処理が行われる。ステップ2−3では、上述したステップ1−2と同様にして画像処理が行われ、画像Aから薬箱MBが写っている領域を切り取ったパッケージ画像が取得される。ステップ2−3において取得されたパッケージ画像は、
図27に示すようにサムネイル形式で表示画像登録インターフェイスに表示される。また、
図27の表示画像登録インターフェイスにおいては、ステップ2−1において登録された薬箱MBのサイズに基づき薬箱MBに相当する直方体、あるいは立方体の立体形状が形成され、撮影を行った面に対応する位置に撮影により取得されたパッケージ画像が表示される。
【0168】
ステップ2−5において薬箱MBの一面についてのパッケージ画像の取得が完了すると、制御フローがステップ2−5に進み、パッケージ画像の取得を継続するか否かが確認される。具体的には、表示画像登録インターフェイスにおいて、薬箱MBの他の面についてパッケージ画像を取得する面として指定された場合、あるいは先に取得したパッケージ画像の変更が指定された場合には、制御フローがステップ2−2に戻され、引き続きパッケージ画像が取得される。一方、ステップ2−5において画像の取得が指示されない場合、具体的には表示画像登録インターフェイスに表示されている登録ボタンが選択された場合には、制御フローがステップ2−6に進み、薬箱MBのパッケージ画像が薬箱情報データベース302に登録される。これにより、薬箱情報データベース302の構築が終了する。
【0169】
上記制御フローの説明においては省略したが、上記制御フローの中途において薬箱MBのパッケージ画像に対して識別標識を付すことが可能である。具体的には、
図27に示す表示画像登録インターフェイスに設けられた編集ボタンを選択することにより、
図29(a)に示すような表示画像編集インターフェイスが表示される。この状態においては、編集対象であるパッケージ画像が表示され、上述した標識付与手段294により任意の位置、大きさ、形状の標識を付することが可能となる。識別標識が付与されると、
図29(b)に示すように識別標識がパッケージ画像と合成された状態で表示される。識別標識の付与後、表示画像編集インターフェイスの保存ボタンを選択することにより、パッケージ画像が識別標識を付与した状態で保存される。
【0170】
上述した薬箱特定装置250によれば、バーコード等の識別標識を備えていない薬箱MBであっても、補充装置70への補充等のために用意した薬箱MBを撮影台264上に配置することにより種類を特定することが可能となる。また、薬箱MBを撮影して得られた画像B中の影領域から薬箱MBの種類を大きさの観点において絞り込み(サイズ絞り込み工程)、その後色彩情報の照合により候補をさらに絞り込む(色彩絞り込み工程)ものであるため、薬箱MBの種類の特定が極めてスムーズに行われる。従って、上記した薬箱特定装置250を用いれば、カメラ266による撮影から薬箱MBの種類の絞り込みまでに要する期間を極めて短時間に抑制でき、薬箱特定手段290の負荷も最小限に抑制することができる。
【0171】
なお、上述した例においては、薬箱MBが判別可能なように撮影した画像(画像A)に加えて、薬箱MBが影画像として写るようにして撮影した画像(画像B)を撮影することにより、色彩の観点による候補の絞り込みに加えてサイズの観点による絞り込みを行うものを示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、影画像を利用した候補の絞り込みを行わず、オペレータによる手入力あるいは他の測定装置を用いて得られた薬箱MBのサイズに基づいて薬箱MBの候補を絞り込むこととしてもよい。また、サイズの観点から候補を絞り込む工程を設けず、色彩情報等から薬箱MBの種類を特定することとしてもよい。
【0172】
薬箱特定装置250においては、画像B中に含まれている薬箱MBの影の領域を認識し、画像Aにおいて前述した影の領域に対応する領域を切り出すことにより薬箱MBのパッケージ画像を取得することができる。そのため、薬箱MBのパッケージ画像を取得するために要する手間や時間を大幅に削減することができる。また、上述したような構成とすることにより、補充装置70に用意する薬箱MBのパッケージ画像を非表示することができるため、薬箱MBの取り違えによる誤装填を抑制することができる。さらに、標識付与手段294により標識を付与した種類の薬箱MBについては、標識によって取り違えを起こさないように注意喚起することができる。
【0173】
撮影装置260は、キャリブレーション部材286によりを用いて校正を行うことにより、カメラ側照明装置268による照明ムラ等に起因して発生する画像のムラを解消することができる。また、撮影装置260においては、撮影により得られた画像中に写っている色彩校正用部材280及び透光孔282の画像を基準として、色彩及び照度の補正を行うことができる。従って、薬箱特定装置250においては、画像のムラに起因する薬箱MBの種類の特定精度の低下が生じにくい。なお、本変形例においては、キャリブレーション部材286、色彩校正用部材280、及び透光孔282を設けた例を示したが、撮影装置260はこれらのいずれか又は全てを有さない構成であってもよい。
【0174】
本実施形態では、明るさ調整手段267が、カメラ側照明装置268及び箱配置領域側
262dをそれぞれオン、オフさせることによりカメラ側領域262b及び箱配置領域262dの明るさを相違させることが可能なものを例示したが、本発明はこれに限定される訳ではない。具体的には、カメラ側照明装置268及び箱配置領域262dの双方ともオン状態であったとしても、両者の照度等を相違させることによりカメラ側領域262b及び箱配置領域262dの明るさを相違させることが可能なものであってもよい。なお、カメラ側照明装置268及び箱配置領域側262dの双方ともオン状態としつつカメラ側領域262b及び箱配置領域262dの明るさを相違させる構成とする場合には、薬箱MBのパッケージ画像の取得及び種類特定を適切に行えるように明るさを適宜調整することが望ましい。
【0175】
≪装填装置30の変形例について≫
上述したように、装填装置30は、無端ベルト54の搬送面54aに装着された当接片54bを薬箱MBの後端側(薬箱通路22への装填方向上流側)の面に当接させて押し動かすことにより、薬箱MBを一つずつ薬箱通路22に装填する構成とされている。このような構成とした場合、薬箱MBの重心Gの位置よりも下方側の位置において当接片54bが当接すると、薬箱MBの先端側(薬箱通路22への装填方向下流側)が持ち上がった状態になり、薬箱MBの装填に支障が生じる可能性もある。そこで、かかる現象が想定される場合には、
図30、
図31等に示すように当接片54bの大きさ及び設置位置を薬箱MBの重心Gの位置よりも高い位置まで到達するように調整することが好ましい。
【0176】
また、組み立て時のバラツキ、外力の作用等の影響によって当接片54bが前後方向に傾き、同様の現象及び支障が生じる可能性がある場合には、当接片54bの形状を
図31(c)に示すようなものとすることが好ましい。具体的には、当接片54bにおいて薬箱MBに当接する面(当接面54c)に、下端側に向かうに連れて薬箱通路22への装填方向下流側から上流側に向けて傾斜する傾斜部54dを設けた構成とすることが好ましい。
【0177】
また、装填装置30は、
図31(a)及び
図32(a)に示すように、無端ベルト54に対して対向する壁面をなす装填領域幅調整部材46にガイド55を設けた構成とすることが可能である。ガイド55を当接片54bと同様の位置(高さ)において、装填薬箱載置領域α側に向けて僅かに膨出するように設けることにより、薬箱MBが当接片54bによって押し動かされる際に薬箱MBの重心部分がガイド55によって軽く押圧された状態になる。これにより、薬箱MBが先端側(薬箱通路22への装填方向下流側)の部分が持ち上がった状態になることを防止できる。また、
図32(b)に示すように、ガイド55に隣接する位置に存在する薬箱MBと装填領域幅調整部材46との間には、ガイド55の上下に隙間が形成された状態になる。これにより、当接片54bが当接することにより、薬箱MBの先端側(薬箱通路22への装填方向下流側)が持ち上がった状態になることを回避できる。
【0178】
≪補充装置70の変形例について≫
上述した補充装置70は、補充領域幅調整部材76が薬箱MBに対して過度に押圧された状態になることにより、薬箱MBが撓む等して装填装置30に対して薬箱MBをスムーズに移載できなくなることを防止すべく、さらに他の構造を採用することにより同様の課題を解消することも可能である。具体的には、
図33に示すように補充領域幅調整部材76の固定を解除するための固定解除片83をバネ87によって付勢し、補充領域幅調整部材76の固定状態において固定解除片83が補充領域幅調整部材76をなす板体よりも補充薬箱載置領域β側に突出する構成とすることが可能である。
【0179】
上述したような構成とした場合、
図34(a)に示すように補充領域幅調整部材76の延長線上の位置まで固定解除片83を押圧すると、補充領域幅調整部材76が固定解除された状態になる。
図34(b)に示すように補充領域幅調整部材76を補充薬箱載置領域βに載置された薬箱MBに面接触するように薬箱MB側に移動させた後、固定解除片83を放すと、
図33に示すように固定解除片83がバネ87の付勢力によって薬箱載置領域β側に突出した状態に戻る。この際、
図33(b)に示すように薬箱載置領域β側において最も補充領域幅調整部材76に近い位置にある薬箱MBに固定解除片83が当接する。これと共に、補充領域幅調整部材76は、バネ87の付勢力により位置決手段80が薬箱MBから離れる方向、すなわち薬箱載置領域βが拡張する方向に移動し、その後固定状態になる。これにより、補充領域幅調整部材76と薬箱MBとの間には、必ず隙間が形成される。従って、固定解除片83を補充領域幅調整部材76よりも補充薬箱載置領域β側に突出するようバネ87等の付勢手段によって付勢することにより、薬箱MBを補充装置70から装填装置30に向けてスムーズに移載させることが可能となる。
【0180】
薬箱MBに対して補充領域幅調整部材76が過度に押し付けられた状態になることを確実に防止するためには、補充装置70は、上述した可動片90(
図7及び
図8参照)を設け、さらに固定解除片83を補充薬箱載置領域β側に突出するように付勢した構造とすることが好ましい。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、補充装置70は、可動片90を設けた構成、あるいは固定解除片83を補充薬箱載置領域β側に突出させた構成のいずれか一方の構成だけ備えたものであってもよい。
【0181】
≪薬箱通路22の変形例について≫
上述した薬箱通路22は、全長に亘って一体的に形成されたものであっても良いが、
図35に示すように入口22dに相当する部分なす部材(以下、「入口形成部22x」とも称す)を他の部分(以下、「通路形成部22y」とも称す)とは別部材として作成することも可能である。これにより、装填ラック32あるいは装填ラック32によって搬送されている薬箱MBが薬箱通路22の入口22dに衝突することにより、入口22dにおいて変形あるいは欠損等が発生した場合であっても、入口22dに相当する部分をなす入口形成部22xを交換するだけで良い。
【0182】
また、薬箱通路22は、底面及び側面が平滑に形成されたものであっても良いが、例えば、底面22aや側面22b,22cに入口22d側から出口22e側に向けて直線状に伸びる凹凸を形成したものであっても良い。これにより、薬箱と薬箱通路22との接触面積や摩擦抵抗を最小限に抑制することにより、薬箱通路22の入口22d側から出口22e側に向けて薬箱をスムーズに落下させることが可能となる。また、
図35に示すように、直線状に伸びる凹凸が表面に形成された部材(以下、「滑動促進部材」240とも称す)を別途準備し、滑動促進部材240を薬箱通路22の底面22aや側面22b,22cのいずれかの表面(薬箱側に向く面)に固定した構成とすることも可能である。
【0183】
上述した滑動促進部材240は、薬箱通路22を構成する鋼材と異なる材質によって構成されることが好ましい。具体的には、滑動促進部材240を、鋼材に比べて動摩擦係数の小さな材質を採用することが可能である。さらに具体的には、滑動促進部材240を構成する素材として、シリコーン樹脂を含浸させたポリエチレンなどを好適に採用することが可能である。このように滑動促進部材240の材質として動摩擦係数の小さなものを採用すれば、薬箱通路22における薬箱の落下速度及び払出速度をより一層向上させ、薬箱の払出業務全般の効率をさらに改善することが可能である。
【0184】
ここで、上述したように薬箱通路22を入口形成部22x、及び通路形成部22yの組み合わせにより形成することとした場合、入口形成部22xの交換等を行うことを想定すると、入口形成部22xの底面22aに取り付ける滑動促進部材240(以下、「入口側滑動促進部材240x」とも称す)と、通路形成部22yの底面22aに取り付ける滑動促進部材240(以下、「通路側滑動促進部材240y」とも称す)とを別部材として形成することが望ましい。
【0185】
上述したように滑動促進部材240を薬箱通路22とは別部材として構成した場合、滑動促進部材240が幅方向中央部分において撓みが生じ、盛り上がるように湾曲した状態になることが想定される。また、入口側滑動促進部材240xと通路側滑動促進部材240yとを別部材として構成した場合、それぞれの長さが相違するため、両者において発生する撓み量についても相違するものと想定される。入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yにおいて撓み量の差が生じると、入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yの境界部分に段差が生じ、薬箱MBが引っかかる等の問題が生じる可能性を完全に否定することができない。さらに、滑動促進部材240は、温度条件等によっては長手方向に収縮し、入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yの間に隙間が生じる可能性がある。両促進部材240x,240y間に隙間が形成されると、この隙間が原因となって薬箱MBがスムーズに通過できない可能性がある。
【0186】
滑動促進部材240を入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yによって構成することにより想定される上述した懸念を払拭すべく、入口側滑動促進部材240xについては、
図36に示すような構成とすることが望ましい。具体的には、
図36に示す入口側滑動促進部材240xは、通路側滑動促進部材240yとの境界側に向く境界部240pと、薬箱通路22の入口22dの末端側に向く入口部240qとを有する。
図36に示すように、境界部240pは、入口側滑動促進部材240xの裏面側が他よりも薄く、段状に形成されている。境界部240pにおいては、入口側滑動促進部材240xが通路側滑動促進部材240yの厚み相当分だけ肉薄とされている。境界部240pの段差形成部分の長さは、入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yにおいて想定される収縮量以上となるように形成されている。また、入口側滑動促進部材240xの入口部240qは、端部から長手方向中央部に向けてなだらかに傾斜し、長手方向中央部に連続するように形成されている。
【0187】
入口側滑動促進部材240xを上述したように形成した場合、入口側滑動促進部材240xは、境界部240pが通路側滑動促進部材240yの上流端(入口22d側の端部)に被さった状態になるように取り付けられる。このようにして入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yを取り付けることにより、滑動促進部材240の撓みや収縮に伴い段差等が形成されることを防止できる。これにより、滑動促進部材240を取り付けた場合に、入口側滑動促進部材240x及び通路側滑動促進部材240yの境界部分において薬箱MBが引っかかることを防止できる。
【0188】
≪排出規制手段26の変形例について≫
上述したように、排出規制手段26は、本体部26aに対し、突上片26b、受片26c、連結片26d、及び動力源26eを設けた構成であるが、各構成部材の形状、構造等については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。具体的には、上述した排出規制手段26において採用されている受片26cは、
図3に示すように略平坦な外観形状を有する片状体の先端部分にローラ26gを取り付けたものである。そのため、薬箱MBの払出待機時には、薬箱通路22の先頭に位置する薬箱MBに対してローラ26gが接触した状態になる。すなわち、上述した排出規制手段26においては、受片26cの表面の延長上を越えた位置にローラ26gが存在するように受片26cが構成されている。排出規制手段26においては、このような構成の受片26cに代えて、
図37に示すような形状の受片230を採用することも可能である。
【0189】
具体的には、
図37に示すように、受片230は、先細り形状となるように形成されている。受片230は、薬箱通路22において払出待機状態にある薬箱MBの搬送方向前面側を向く面をなす正面部232と、正面部232とは反対側の面をなす背部234とを有する。受片230は、側面視した状態において、背部234が略平坦に形成されているのに対し、正面部232が受片230の先端側に向かうに連れて背部234側に近づくように傾斜あるいは湾曲した形状に形成されている。
【0190】
また、正面部232は、受片230の基端側から先端側に向かう方向(以下、上下方向とも称す)の中間部分、さらに具体的には受片230の上下方向中央部から先端側に外れた位置(以下、「変曲部236」とも称す)において傾斜あるいは曲率が変化している。すなわち、正面部232は、変曲部236を境として基端側よりも先端側の部分が背部234側に傾くように傾斜あるいは湾曲している。さらに、受片230を側面視した状態において変曲部236よりも基端側の部分に面接触する仮想面Pを想定した場合、受片230の先端に取り付けられるローラ238は、仮想面Pよりも背部234側の領域内に位置している。そのため、
図38(a)に示すように、受片230を排出規制手段26に採用した場合には、払出待機状態にある薬箱MBの搬送方向前面側の面が、正面部232において変曲部236を境として基端側の部分に面接触した状態になる。その一方で、受片230の変曲部236よりも先端側の部分、及びローラ238は、薬箱MBの側面から離れた状態になる。従って、上述した受片230を排出規制手段26に用いた場合には、薬箱通路22を下降してきた薬箱MBの搬送方向前面側の面にローラ238が直接的に接触せず、変曲部236よりも基端側の部分に面接触した状態になる。これにより、ローラ238との衝突の衝撃等により薬箱MBが変形することを防止できる。また、薬箱MBの変形に伴う副次的な不具合、具体的には変形部分にローラ238が引っかかり、薬箱MBの払い出し動作時に受片230を下降させることができない等の不具合が発生しない。
【0191】
また、排出規制手段26において上述した受片230を採用した場合には、薬箱MBを確実かつスムーズに払い出すことが可能である。すなわち、受片230を採用した場合には、正面部232のうち変曲部236よりも先端側の部分と薬箱MBの搬送方向前面側の面との間に隙間が形成される。このような状態において突上片26bにより薬箱MBを突き上げると共に受片230を下降させると、
図38(b)に示すように、薬箱MBの底面がローラ238の高さまで持ち上げられた状態になる。薬箱MBを持ち上げる過程においても、薬箱MBの搬送方向前面側の面にローラ238は接触しない。薬箱MBが持ち上がると共に、受片230が退避した状態になると、薬箱MBの底面に対して突上片26bの先端に設けられたローラ、及び受片230の先端に設けられたローラ238が接触した状態になり、薬箱MBが送り出される。
【0192】
≪跳ね抑制手段220について≫
上述したように排出規制手段26によって薬箱MBを払い出す場合には、薬箱MBが底側から突き上げられ、跳ね上がる。この際、薬箱通路22及び薬箱MBの高さの関係、薬箱MBの跳ねの大きさ等の要因により、薬箱MBが薬箱通路22の上流側に押し戻される等の現象が生じる可能性がある。このような現象を抑制するためには、例えば
図39に示す跳ね規制手段220のようなものを薬箱通路22の天面22側に取り付け可能とすることが望ましい。
【0193】
跳ね規制手段220は、いかなる形状のものであっても良いが、薬箱通路22を通過する薬箱MBが引っかからないように配慮した形状とすることが好ましい。具体的には、
図39に示す跳ね規制手段220は、跳ね抑制板222と、これを支持する支持部224とを有する。跳ね抑制板222は、長手方向一端側から他端側に向けてなだらかに湾曲した湾曲面222aを有する板体である。
【0194】
跳ね規制手段220は、跳ね抑制板222の長手方向一端側において支持部224を一体化したものであり、支持部224を他部材に装着することにより跳ね抑制板222を片持ち状として支持することができる。跳ね抑制板222は、支持部224を跳ね規制手段220の取り付け対象となる薬箱通路22の天面側(上方に位置する薬箱通路22の底面側)に装着することにより、湾曲面222aが薬箱通路22側に向き、吊り下げられたような状態になる。湾曲面222aは、支持部24側よりもこれとは反対側(自由端側)の方が支持部224側(上方)に跳ね上がるような形状とされている。跳ね規制手段220は、薬箱通路22を出口22e側から見た状態において手前側(出口22e側)に跳ね規制手段220の支持部224側が向き、奥側(入口22d側)に自由端側が向く姿勢とされ、装着される。これにより、湾曲面222aと薬箱通路22の底面22aとの間には、薬箱MBが通過可能な程度の間隔が形成される。
【0195】
跳ね規制手段220を薬箱通路22の出口22e側に設置すると、排出規制手段26によって薬箱MBが底側から突き上げられたとしても、薬箱MBは跳ね規制手段220によって規制されて過度に跳ね上がらない。また、跳ね抑制板222の長さは、跳ね規制手段220を設置した状態において跳ね抑制板222の末端部分が薬箱通路22の天面に隙間なく当接した状態になる程度とされている。そのため、薬箱通路22を通過する薬箱MBが跳ね規制手段220の端部に引っかからない。
【0196】
≪薬箱通路22の追加・変更方法について≫
上述したように、薬箱払出装置10は、収容払出装置20に多数の薬箱通路22を設置することが可能とされているが、薬箱通路22は一つずつ独立的に追加あるいは変更可能なものとする他、複数の薬箱通路22からなる薬箱通路群22Gをユニット化したものを追加あるいは変更可能なものとすることも可能である。具体的には、
図35に示すように、複数の薬箱通路22からなる薬箱通路群22Gをユニット化したもの(以下、「薬箱ラック245」とも称す)を薬箱払出装置10に用いることが可能である。
【0197】
また、収容払出装置20に準備する薬箱通路22の数量を増減させる作業を行う場合に、増減させうる薬箱通路22の数量を増減可能数量Zとして導出し、作業者に通知可能な制御システムを制御装置100等に搭載することが望ましい。具体的には、単一種の薬箱MBについて割り当て可能な薬箱通路22の数量の上限値を上限設置数量X、増減対象である薬箱通路22と同種の薬箱MB用として既に収容払出装置20に登録されている薬箱通路22の数量を既登録数量Yとした場合、増減可能数量Zは、上限設置数量Xから既登録数量Yを差し引く(Z=X−Y)ことにより導出される。この際、薬箱通路22を増減させる作業を行う作業者が使用するディスプレイに、
図40(a),(b)に示すようなインターフェイスを表示し、増減可能数量Zを通知すると共に、必要に応じて上限設置数量X及び既登録数量Yのいずれか一方又は双方を表示できるようにすることが望ましい。
【0198】
また、
図40(a),(b)に示すようなインターフェイスにおいて、新たに追加(登録)しようとしている薬箱通路22の数量を入力することにより、収容払出装置20において空き状態である薬箱通路22を検索できるようにすることが望ましい。さらに、検索結果に基づいて、自動あるいは手動により、空き状態にある薬箱通路22に対して新規登録可能な構成とすることが望ましい。また、
図40(c)に示すように、新規登録した薬箱通路22の位置をアドレス表示等の手法により表示可能な構成とすることが望ましい。
【0199】
具体的には、収容払出装置20に対し上述した薬箱ラック245を設置することにより、多数の薬箱通路22が収容払出装置20内に設置されている場合には、薬箱ラック245に付与されたラック番号NR、及び各薬箱ラック245内における薬箱通路22の通路番号NCの組み合わせ、例えばNR−NCのような形態によって新規登録した薬箱通路22の位置をアドレス表示することができる。
図40(c)に示す例のように表示することにより、ラック番号が1であって通路番号が1,2の薬箱通路22、及びラック番号が5であって通路番号が1,2の薬箱通路22が新規登録されたことを作業者に対して認識させることが可能となる。
【0200】
図41に示すように、収容払出装置20に対して設置されている薬箱ラック245の設置状況、及び各薬箱ラック245における薬箱通路22の使用状況(登録状況)を一覧可能としたインターフェイスを作業者が使用するディスプレイに表示するようにしても良い。また、
図41に示すように、収容払出装置20内における薬箱ラック245の配置に対応するようにマトリックス表示すれば、表示と収容払出装置20とを対比することにより薬箱ラック245の使用状況を直感的に把握することが可能となる。
【0201】
具体的には、
図41に示す例においては、各薬箱ラック245に割り当てられたマス目を、薬箱ラック245の使用状況に応じて異なる表示形態で表示している。具体的には、薬箱MBが実装されている薬箱通路22の有無に応じて薬箱ラック245に相当するマス目の表示色を変更している。さらに、新たに設置された薬箱ラック245に該当するマス目には、既に設置されている薬箱ラック245を示すマス目とは異なる色で表示することができる。
【0202】
また、
図41に示す例においては、各薬箱ラック245に割り当てられたマス目に、ラック番号NRに加えて、各薬箱ラック245が備える薬箱通路22の数量(総通路数Pa)、薬箱MBが実装されている薬箱通路の数量(実装通路数Pb)、及びスペーサ等の付属品の有無等についての付加的な情報(付加情報Pc)についての情報も一見して把握できるように構成されている。すなわち、
図41に示す例においては、ラック番号NRの下欄に、(Pb/Pa・Pc)の表示形態により総通路数Pa、実装通路数Pb、及び付加情報Pcを表示している。また、本実施形態では、付加情報Pcを付属品の種類を記号(図示の例ではA,B,C)によって規定されており、付属品が存在しない場合には付加情報Pcは表示されない。
【0203】
図41に示す例においては、各薬箱ラック245についての情報をマトリックス表示すると共に、各薬箱ラック245に相当するマス目を操作用ボタンとして機能させるようにしている。また、薬箱ラック245の差し替え等を行った場合に、各薬箱ラック245に割り当てられたマス目(操作用ボタン)を選択することにより、新たに設置された薬箱ラック245の総通路数Pa及び付加情報Pcを登録あるいは変更することが可能となる(
図41(b)参照)。
【0204】
≪長期滞留品の確認方法について≫
上述した薬箱払出装置10は、収容払出装置20に多数の薬箱通路22を備えているが、薬箱MBの払出業務の効率化、収容払出装置20の有効利用等の観点からすると、長期間に亘って滞留したままの薬箱MBの存否を確認し、必要に応じて取り扱う薬箱MBの種類を変更する等の措置を講じることが好ましい。かかる観点から、薬箱払出装置10は、収容払出装置20を構成する各薬箱通路22について、薬箱MBの払出履歴を確認して長期滞留品の存否を確認することができる長期滞留品検出手段を備えた制御システムを搭載したものとすることが好ましい。具体的には、
図42に示すように、長期滞留品の存否を確認するための操作を実行するためのボタンを供えたインターフェイスを準備し、長期滞留品が存在する場合にリストアップすることができるようにすることが望ましい。
【0205】
≪充填リストの表示方法について≫
上述したように、薬箱払出装置10において薬箱MBを充填する場合は、
図22に示すような充填リストが表示される。また、薬箱MBを充填する際に、充填しようとしている薬箱MBを特定する方法として、薬箱MBに付されたバーコード等の識別標識を読み取る方法の他、上述した薬箱特定装置250を用いて画像認識を実行する方法等が想定される。ここで、薬箱特定装置250を設けた場合には、バーコードの有無によらず薬箱MBの種類を特定することが可能であるものの、バーコードによる特定を行った方が速度面、あるいは制度面等の観点からして得策である場合がある。このような場合には、充填リストにリストアップされた薬箱MBを、バーコードの有無に応じて分類可能とすれば、さらなる作業効率の向上が見込める。
【0206】
上述したような知見に基づけば、薬箱払出装置10は、充填リストにリストアップされた薬箱MBをバーコードの有無によりソート、あるいはフィルタリング可能な制御システムを制御装置100に搭載した構成とすることが望ましい。具体的には、
図43(a)に示すように、充填リストのインターフェイスにバーコードの有無によりソートあるいはフィルタリングするための制御プログラムを実行するためのボタンを設け、このボタンをクリックして表示されるメニュー(
図43(b)参照)において選択された実行方法によりソートあるいはフィルタリングを実行するようにすることが可能である。
【0207】
本発明は、上述した実施形態、実施例、あるいは変形例において例示したものに限定される訳ではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示および精神から他の実施形態があり得ることは当業者に容易に理解できよう。