特許第6016123号(P6016123)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016123
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】クォータドアウエザストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/70 20160101AFI20161013BHJP
【FI】
   B60J10/70
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-94000(P2013-94000)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-213794(P2014-213794A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】野尻 昌利
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−002414(JP,U)
【文献】 特開昭61−218418(JP,A)
【文献】 特開2006−036007(JP,A)
【文献】 特開2009−056831(JP,A)
【文献】 特開平11−278061(JP,A)
【文献】 実開平07−018940(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアフレームと、ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアのベルトラインとで形成された空間に固定されるクォータ部材の外周を保持し、上記クォータ部材と上記ドアフレームとの間をシールするクォータウエザストリップであって、
該クォータウエザストリップは、上記クォータ部材の外周に嵌合されるように環状に形成され、上記クォータウエザストリップの断面形状は、中央部に基部を形成し、該基部の内周側に、上記クォータ部材の外周が挿入され、保持するクォータ部材保持溝と、上記クォータ部材の車外側側面を保持する車外側側壁と、上記クォータ部材の車内側側面を保持する車内側側壁とを形成するクォータウエザストリップにおいて、
上記ドアのベルトラインに取付けられる上記クォータウエザストリップの底辺部は、上記基部から上記ドアパネルに当接する支持脚部が延設され、該支持脚部の底面に支持脚部の長手方向に延びる支持脚部シールリップを形成し、上記支持脚部の底面に上記ドアパネルに形成された嵌合部に係合される支持脚部突起部を形成し、該支持脚部突起部の底面に突起部底面シールリップを形成し、上記支持脚部突起部の上記支持脚部シールリップと連続する側面に突起部側面シールリップを形成し、上記支持脚部シールリップと、上記突起部側面シールリップと、上記突起部底面シールリップが連続して形成されたことを特徴とするクォータウエザストリップ。
【請求項2】
上記突起部底面シールリップは、上記突起部側面シールリップと連続する側は低く、上記突起部側面シールリップと連続する側と反対側は高く形成された請求項1に記載のクォータウエザストリップ。
【請求項3】
上記突起部底面シールリップは、断面形状が略三角形状に形成され、車外側は上記支持脚部突起部の底面から略垂直に平面上に形成され、車内側は斜面状又は曲面状に形成された請求項1又は請求個2に記載のクォータウエザストリップ。
【請求項4】
上記突起部底面シールリップは、上記支持脚部突起部の底面の車内側にシフトして形成された請求項1乃至請求項3のいずれかに1項に記載されたクォータウエザストリップ。
【請求項5】
上記支持脚部シールリップは、上記支持脚部の底面に位置によって、高低が変化するように形成された請求項1乃至請求項4のいずれかに1項に記載されたクォータウエザストリップ。
【請求項6】
上記支持脚部は、上記基部から断面形状が上記基部よりも幅の狭い支持脚部首部が延設され、該支持脚部首部から該支持脚部首部よりも断面形状が幅の広い支持脚部張出部が形成された請求項1乃至請求項5のいずれかに1項に記載されたクォータウエザストリップ。
【請求項7】
上記クォータ部材は、クォータドアガラスであり、上記クォータウエザストリップは、軟質合成樹脂、熱可塑性エラストマー又は合成ゴムのいずれかで形成された請求項1乃至請求項6のいずれかに1項に記載されたクォータウエザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアフレームと、ドアフレームの上辺の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアのベルトラインとで形成された空間に固定されるクォータ部材の外周を保持し、クォータ部材とドアフレームとの間をシールするクォータドアウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車ドアは図7に示すように、ドア1のベルトラインの上部にドアフレーム2が形成され、リヤドア1bにおいては、ドアフレーム2の上辺部におけるリヤ側に寄った部位の下面から下方にパーティションサッシュ3が延設されている。そして、リヤドア1bのパーティションサッシュ3のリヤ側の部分には固定して装着されるクォータドアガラス6が装着され、パーティションサッシュ3のフロント側にはドアガラス5が昇降自在に装着されている。
【0003】
そして、図8に示すように、クォータドアガラス6とドアフレーム2及びパーティションサッシュ3との間には、クォータドアウエザストリップ120が装着されてその間をシールしている。また、ドアガラス5とドアフレーム2及びパーティションサッシュ3との間には、ガラスラン110が装着されてその間をシールしている。
【0004】
クォータドアウエザストリップ120は、図8に示すように、クォータドアガラス6の外周を全周に亘り取り囲んで取付けられている(例えば、特許文献1参照。)。クォータドアウエザストリップ120の底辺部分、即ち、ドアパネルのベルトラインに取付けられる部分の断面図を図9に示す。図9は、図8のA−A線に沿った断面図である。
【0005】
クォータドアウエザストリップ120の底辺部分では、車外側側壁124と車内側側壁125でクォータドアガラス6を挟持して、ガラス保持溝128でクォータドアガラス6を保持している。クォータドアガラス6とクォータドアウエザストリップ120の重量を支えるために、支持脚部122が下方に延設され、エクステンションパネル9に当接している。
【0006】
また、図10に示すように、クォータドアウエザストリップ220をエクステンションパネル9に位置決めするため、クォータドアウエザストリップ220の底辺部において、基部221から延設した支持脚部222の先端に張出部222bを形成し、図11図12に示すように、エクステンションパネル9に形成した嵌合部9aに張出部222bを嵌め込んでいる。
【0007】
しかしながら、この場合には、図10の矢印Xに示すように、クォータドアガラス6とドアのドアアウタパネル8に取付けたアウタウエザストリップ230の間から進入した雨水は、クォータドアウエザストリップ220の車外側側壁224の表面からエクステンションパネル9の車外側まで流下する。
【0008】
エクステンションパネル9に流下した雨水は、支持脚部222によりせき止められて、エクステンションパネル9の車内側面を移動して、図11の矢印Yに示すように、エクステンションパネル9に形成した嵌合部9aにまで達して、下方に流下する。
しかしながら、図12の矢印Zに示すように、一部の雨水は、支持脚部222の張出部222bの側面を通り、エクステンションパネル9の嵌合部9aと張出部222bの隙間から、車内側に移動することとなり、雨水が車内にまで達する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−56831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願発明は、雨水が車内に到達することを防止できるクォータドアウエザストリップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、ドアフレームと、ドアフレームの上辺部の下面とドアパネルとの間に接続されたパーティションサッシュと、ドアのベルトラインとで形成された空間に固定されるクォータ部材の外周を保持し、クォータ部材とドアフレームとの間をシールするクォータドアウエザストリップであって、クォータドアウエザストリップは、クォータ部材の外周に嵌合されるように環状に形成され、クォータドアウエザストリップの断面形状は、中央部に基部を形成し、基部の内周側に、クォータ部材の外周が挿入され、保持するクォータ部材保持溝と、クォータ部材の車外側側面を保持する車外側側壁と、クォータ部材の車内側側面を保持する車内側側壁とを形成するクォータドアウエザストリップにおいて、
ドアのベルトラインに取付けられるクォータドアウエザストリップの底辺部は、基部からドアパネルに当接する下方支持脚部が延設され、支持脚部の底面に支持脚部の長手方向に延びる支持脚部シールリップを形成し、支持脚部の底面にドアパネルに形成された嵌合部に係合される支持脚部突起部を形成し、支持脚部突起部の底面に突起部底面シールリップを形成し、支持脚部突起部の支持脚部シールリップと連続する側面に突起部側面シールリップを形成し、支持脚部シールリップと、突起部側面シールリップと、突起部底面シールリップが連続して形成されたことを特徴とするクォータドアウエザストリップである。
【0012】
請求項1の本発明では、クォータドアウエザストリップは、クォータ部材の外周に勘合されるように環状に形成されたため、クォータ部材の外周全周を完全に包むことができ、環状のため、クォータ部材に勘合されると、その弾性により締め付けるように保持されて、クォータ部材から外れ難くなる。
【0013】
クォータドアウエザストリップの断面形状は、中央部に基部を形成し、基部の内周側に、クォータ部材の外周が挿入され、保持するクォータ部材保持溝と、クォータ部材の車外側側面を保持する車外側側壁と、クォータ部材の車内側側面を保持する車内側側壁とを形成する。このため、クォータ部材保持溝にクォータ部材の外周端部が確実に挿入されて保持されることができる。又、車外側側壁と車内側側壁でクォータ部材の側面をそれぞれ保持するため、クォータ部材とクォータドアウエザストリップの間のシール性を確保することができる。
【0014】
ドアのベルトラインに取付けられるクォータドアウエザストリップの底辺部は、基部からドアパネルに当接する支持脚部が延設された。このため、支持脚部でクォータドアウエザストリップとクォータ部材の重量を保持することができ、ドアパネルにクォータドアウエザストリップとクォータ部材を長期間、安定して、保持することができる。
【0015】
支持脚部の底面に支持脚部の長手方向に延びる支持脚部シールリップを形成したため、クォータドアウエザストリップをドアに取付けたときに、ドアパネルに支持脚部シールリップが当接して、ドアパネルと支持脚部の間をシールすることができ、車外側から進入した雨水等を車内側に進入することを防止できる。
【0016】
支持脚部の底面にドアパネルに形成された嵌合部に係合される支持脚部突起部を形成したため、ドアパネルからクォータドアウエザストリップをドアパネルに取付けたときに、支持脚部突起部が嵌合部に係止されるので、クォータドアウエザストリップの底辺部がずれることがなく、特に車体の幅方向にずれることがなく、クォータ部材が振動することもなく、安定して保持される。
【0017】
支持脚部突起部の底面に突起部底面シールリップを形成し、支持脚部突起部の支持脚部シールリップと連続する側面に突起部側面シールリップを形成し、支持脚部シールリップと、突起部側面シールリップと、突起部底面シールリップが連続して形成された。このため、支持脚部シールリップと突起部側面シールリップと突起部底面シールリップが切れ目なく連続してシールリップを形成し、ドアパネルの車外側を移動した雨水等が、ドアパネルの嵌合部において、支持脚部突起部の表面と嵌合部の隙間から車内側に進入することがない。
【0018】
請求項2の本発明は、突起部底面シールリップは、突起部側面シールリップと連続する側は低く、突起部側面シールリップと連続する側と反対側は高く形成されたクォータドアウエザストリップである。
【0019】
請求項2の本発明では、突起部底面シールリップは、突起部側面シールリップと連続する側は低く、突起部側面シールリップと連続する側と反対側は高く形成された。このため、ドアパネルの車外側を移動した雨水等が、ドアパネルの嵌合部において、突起部底面シールリップによりドアパネルの嵌合部と支持脚部突起部の隙間から離れて流下することができ、車内側に移動し難くなる。
【0020】
請求項3の本発明は、突起部底面シールリップは、断面形状が略三角形状に形成され、車外側は支持脚部突起部の底面から略垂直に平面上に形成され、車内側は斜面状又は曲面状に形成されたクォータドアウエザストリップである。
【0021】
請求項3の本発明では、突起部底面シールリップは、断面形状が略三角形状に形成され、車外側は支持脚部突起部の底面から略垂直に平面上に形成され、車内側は斜面状又は曲面状に形成された。このため、ドアパネルの車外側を移動した雨水等が、突起部底面シールリップに沿って流れたときに、突起部底面シールリップを乗り越えて、車内側に移動し難くなる。
【0022】
請求項4の本発明は、突起部底面シールリップは、支持脚部突起部の底面の車内側にシフトして形成されたクォータドアウエザストリップである。
【0023】
請求項4の本発明では、突起部底面シールリップは、支持脚部突起部の底面の車内側にシフトして形成されたため、ドアパネルの車外側を移動した雨水等が、突起部底面シールリップに沿って流れたときに、突起部底面の車外側面が広く、突起部底面シールリップを乗り越えて、車内側に移動し難くなる。
【0024】
請求項5の本発明は、支持脚部シールリップは、支持脚部の底面に位置によって、高低が変化するように形成されたクォータドアウエザストリップである。
【0025】
請求項5の本発明では、支持脚部シールリップは、支持脚部の底面に位置によって、高低が変化するように形成されたため、クォータドアウエザストリップの底辺部が取付けられるドアパネルの凹凸に応じて支持脚部シールリップの高低を変化させることができ、支持脚部シールリップが確実にドアパネルに当接して、ドアパネルとクォータドアウエザストリップの底辺部との間のシール性を確保することができる。
【0026】
請求項6の本発明は、支持脚部は、基部から断面形状が基部よりも幅の狭い支持脚部首部が延設され、支持脚部首部から支持脚部首部よりも断面形状が幅の広い支持脚部張出部が形成されたクォータドアウエザストリップである。
【0027】
請求項6の本発明では、支持脚部は、基部から断面形状が基部よりも幅の狭い支持脚部首部が延設されたため、支持脚部首部の重量を軽減して、クォータドアウエザストリップの軽量化に貢献することができるとともに、ドアパネルの形状に応じて柔軟に支持脚部をドアパネルに当接することができる。
支持脚部首部から支持脚部首部よりも断面形状が幅の広い支持脚部張出部が形成されたため、ドアパネルに支持脚部張出部が安定して当接することができ、クォータドアウエザストリップとクォータ部材の重量を安定して保持することができる。
【0028】
請求項7の本発明は、クォータ部材は、クォータドアガラスであり、クォータドアウエザストリップは、軟質合成樹脂、熱可塑性エラストマー又は合成ゴムのいずれかで形成されたクォータドアウエザストリップである。
【0029】
請求項7の本発明では、クォータ部材は、クォータドアガラスであり、クォータドアウエザストリップは、軟質合成樹脂、熱可塑性エラストマー又は合成ゴムのいずれかで形成されたため、クォータドアガラスの周囲を柔軟に保持して、クォータドアガラスの振動を防止できる。
【発明の効果】
【0030】
支持脚部の底面に支持脚部の長手方向に延びる支持脚部シールリップを形成したため、ドアパネルに支持脚部シールリップが当接して、ドアパネルと支持脚の間をシールすることができる。支持脚部の底面にドアパネルに形成された嵌合部に係合される支持脚部突起部を形成したため、支持脚部突起部が嵌合部に係止されるので、クォータドアウエザストリップの底辺部が車体の幅方向にずれることがなく、安定して保持される。
【0031】
支持脚部突起部の底面と側面に突起部底面シールリップと突起部側面シールリップを形成し、支持脚部シールリップと、突起部側面シールリップと突起部底面シールリップが連続して形成されたため、支持脚部シールリップと突起部側面シールリップと突起部底面シールリップが切れ目なく連続してシールリップを形成し、ドアパネルの車外側を移動した雨水等が、支持脚部突起部の表面と嵌合部の隙間から車内側に進入することがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態における、リヤドアの上端にクォータドアウエザストリップの底辺部を取り付けた状態の支持脚部に支持脚部突起部を形成した部分の断面図であり、図6のB−B線に沿った断面図である。
図2】本発明の実施の形態における、リヤドアの上端にクォータドアウエザストリップの底辺部を取り付けた状態の支持脚部に支持脚部突起部を形成されていない部分の断面図であり、図6のC−C線に沿った断面図である。
図3】本発明の実施の形態における、クォータドアウエザストリップの底辺部に支持脚部と支持脚部突起部を形成した部分の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態における、クォータドアウエザストリップの底面図である。
図5】本発明の実施の形態における、クォータドアウエザストリップの底辺部に支持脚部と支持脚部突起部を形成した部分の拡大断面図である。
図6】本発明の実施の形態における、クォータドアウエザストリップの全体の正面図である。
図7】本発明の実施の形態における、自動車の側面図である。
図8】自動車のリヤドアのコーナー部の側面図である。
図9】従来のリヤドアの上端にクォータドアウエザストリップの底辺部を取り付けた状態の断面図であり、図8のA−A線に沿った断面図である。
図10】従来の他のリヤドアの上端にクォータドアウエザストリップの底辺部を取り付けた状態の断面図であり、図8のA−A線に沿った断面図である。
図11】従来の他のリヤドアの上端にクォータドアウエザストリップの底辺部を取り付けた状態の支持脚部の突起部をエクステンションパネルの嵌合部に係合した部分の拡大断面図である。
図12】従来の他のリヤドアの上端にクォータドアウエザストリップの底辺部を取り付けた状態の支持脚部の突起部をエクステンションパネルの嵌合部に係合した部分の拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態を図1図8に基づき説明する。
本発明を自動車のリヤドア1bにはめ込まれるクォータ部材であるクォータドアガラス6に使用されるクォータドアウエザストリップ20を例に取り説明するが、本発明はフロントドア1aに使用されるクォータドアガラスまたは、サイドミラーブラケットに使用されるクォータドアウエザストリップについても使用することができる。
【0034】
図7は、自動車の側面図である。図7に示すように、自動車の側面のドア1であるフロントドア1aとリヤドア1bの両方のベルトラインよりも上部には、ドアガラス5、5が昇降可能に設けられている。
リヤドア1bには、パーティションサッシュ3のフロント側に、上下方向に昇降して、ドア窓を開閉することができるドアガラス5と、パーティションサッシュ3のリヤ側と、ドアフレーム2と、リヤドア1bのドアパネルの上端で形成される三角形又は四角形の部分に固定されたクォータドアガラス6が設けられている。
【0035】
パーティションサッシュ3は、図8に示すように、ドアフレーム2の上辺部の下面から下方に延出され、リヤドア1bのドアパネル内の部分にまで延出されて装着されている。すなわち、ドアのベルトライン位置よりも上方部分では、外部に露出しており、パーティションサッシュ3の下端は、リヤドア1bのドアパネルのパネル内部に固定され、上端はエンドキャップ4を介してドアフレーム2の車内側側壁と車外側側壁の下面に接続され、ブラケットによりドアフレーム2の上辺部の底壁下面に固定されている。
【0036】
リヤドア1bにおいて、図7に示すように、ドアフレーム2の上辺部と、フロント側の縦辺部及びパーティションサッシュ3のフロント側溝部には、ガラスラン10が装着されて、ドアガラス5の昇降を案内するとともに、ドアガラス5とドアフレーム2およびパーティションサッシュ3との間をシールしている。
【0037】
リヤドア1bのドアガラス5のリヤ側において、図8に示すように、ドアフレーム2の上辺部及びリヤ側縦辺部とパーティションサッシュ3のリヤ側溝部とリヤドア1bのドアパネル上端には、クォータドアウエザストリップ20が装着されて、クォータドアガラス6をドアフレーム2と、パーティションサッシュ3、リヤドア1bのドアパネル上端であるベルトラインに固定するとともに、クォータドアウエザストリップ20とドアフレーム2、リヤドア1bの上端であるベルトライン及びパーティションサッシュ3との間をシールしている。
【0038】
クォータドアウエザストリップ20は図6に示すように、全体として型成形で形成される。即ち、ドアフレーム2の上辺部に取付けられる上辺部20aと、パーティションサッシュ3に取付けられる縦辺部20bと、リヤドア1bの上端であるベルトラインに取付けられる底辺部20cと、リヤドア1bのリヤ側縦辺に取付けられるリヤ側縦辺部20dと、それぞれを接続するコーナー部から構成される略四角形状に形成されている。上辺部20aとリヤ側縦辺部20dが連続した直線状又は曲線上に形成され、略三角形状に形成されることもできる。
【0039】
クォータドアウエザストリップ20の各辺部とコーナー部は、合わせて全体として一体に同時に型成形で成形される。
なお、クォータドアウエザストリップ20のコーナー部は、ドアフレーム2の上辺部とパーティションサッシュ3とリヤドア1bの上端との間で形成されコーナー部の部分に装着されるように、コーナー部の角度等を規定して形成されている。
【0040】
クォータドアウエザストリップ20は、軟質合成樹脂、熱可塑性エラストマー又は合成ゴムのいずれかで形成することができる。この場合には、クォータドアガラス6の周囲を柔軟に保持して、車両走行時のクォータドアガラス6の振動を防止できる。
【0041】
リヤドア1bのドアパネルの上端であるベルトラインに取付けられるクォータドアウエザストリップ20の底辺部20c部分の図6のB−B線に沿った断面図を図1に示し、図6のC−C線に沿った断面図を図2に示す。図3は、支持脚部22の部分の断面の斜視図であり、図4は底面図である。図5は、支持脚部22の支持脚部突起部22cの部分の拡大断面図である。
【0042】
クォータドアウエザストリップ20の底辺部20cの上半分は、図1図2に示すように、基部21の上側の車外側に車外側側壁24と、車内側に車内側側壁25と、その間にクォータ部材保持溝であるガラス保持溝28が形成された断面略コ字形である。このガラス保持溝28が形成された断面略コ字形の形状は、上辺部20aと縦辺部20bも同様であり、ガラス保持溝28にクォータドアガラス6の外周が挿入されている。
【0043】
基部21の上側とは、環状に形成されたクォータドアウエザストリップ20の内周側であり、底辺部20cではガラス保持溝28は、基部21の上側に形成されるが、上辺部20aでは、基部21の下側に形成され、縦辺部20bでは、基部21のリヤ側に形成される。リヤ側縦辺部20dでは、基部21のフロント側に形成される。このようにして、クォータドアガラス6の外周の全周にガラス保持溝28をはめ込むことができる。
【0044】
上述のように、ガラス保持溝28にクォータドアガラス6の外周が挿入されると、車外側側壁24と車内側側壁25がクォータドアガラス6の側面に当接して、それぞれ保持するため、クォータドアガラス6とクォータドアウエザストリップ20の間のシール性を確保することができる。
【0045】
車外側側壁24の外面には、車外側保持リップ26が形成されている。車外側保持リップ26は、リヤドア1bのドアアウタパネル8と先端が一体的に接合されるクォータドアウエザストリップ20の支持脚部22が取付けられるエクステンションパネル9に当接している。このため、クォータドアウエザストリップ20とリヤドア1bとの間をシールするとともに、クォータドアウエザストリップ20が傾くことを防止することができる。
【0046】
なお、ドアアウタパネル8の先端と、エクステンションパネル9の先端が接合されたフランジ8aにはアウタウエザストリップ30が取付けられて、アウタウエザストリップ30のトリム部31がフランジ8aを挟持して、トリム部31から一体的に延設されたシールリップ部32がクォータドアガラス6の車外側面に当接して、クォータドアガラス6とドアアウタパネル8との間をシールしている。
【0047】
車内側側壁25の先端には、外側に斜めに延設されるカバーリップ25aが形成され、カバーリップ25aは、リヤドア1bの内面に取付けられたガーニッシュ40の先端に当接して、クォータドアガラス6の車内側面とガーニッシュ40との間をシールしている。
車内側側壁25の外面には、車内側側壁リップ27が形成され、車外側からエクステンションパネル9に沿って進入した空気や雨水がカバーリップ25aの方向に達しないようにしている。
車内側側壁25の内面に車内側側壁凹溝25bが形成されている。車内側側壁凹溝25bにより、車内側側壁25が撓んで、クォータドアガラス6を取付易くなる。
【0048】
次に、クォータドアウエザストリップ20の下半分を説明する。
クォータドアウエザストリップ20の底辺部20cの外周側、即ち下半分においては、基部21から延設され、クォータドアウエザストリップ20を保持するためにエクステンションパネル9に当接する支持脚部22が形成されている。
【0049】
本発明の実施の形態では、支持脚部22は、基部21から断面形状が基部21よりも幅の狭い支持脚部首部22aが延設され、支持脚部首部22aから支持脚部首部22aよりも断面形状が幅の広い支持脚部張出部22bが形成されている。このため、支持脚部首部22aが柔軟性を有して、エクステンションパネル9の形状に応じて柔軟に撓んで、支持脚部22をドアパネルのエクステンションパネル9に当接することができる。また、支持脚部22の重量を低減して、軽量化に貢献することができる。さらに、支持脚部張出部22bを形成することなく、支持脚部首部22aをそのままの太さでエクステンションパネル9に当接するまで延設してもよい。
【0050】
支持脚部首部22aから支持脚部首部22aよりも断面形状が幅の広い支持脚部張出部22bが形成されたため、ドアパネルのエクステンションパネル9に支持脚部張出部22bが安定して当接することができ、クォータドアウエザストリップ20とクォータドアガラス6の重量を安定して保持することができる。
【0051】
図3図4に示すように、支持脚部張出部22bの底面に支持脚部張出部22bの長手方向に延びる支持脚部シールリップ22dが形成されている。支持脚部シールリップ22dは、図2に示すように、クォータドアウエザストリップ20をドアパネルに取付けたときに、エクステンションパネル9に当接して、クォータドアガラス6とアウタウエザストリップ30の間から進入した雨水を、エクステンションパネル9の車内側に流入しないように、シールすることができる。
【0052】
図6に示すように、支持脚部シールリップ22dは、支持脚部張出部22bの底面に位置によって、高低が変化するように形成されている。支持脚部シールリップ22dの当接するエクステンションパネル9は、その位置により溶接等のため凹凸があり、その凹凸に応じて支持脚部シールリップ22dがエクステンションパネル9に確実に当接して、シール性を確保するように、支持脚部シールリップ22dの高さを変化させている。
支持脚部シールリップ22dの高さは、高い部分で1〜2mm程度、低い部分で0.2〜0.5mm程度である。
【0053】
図1図3及び図4に示すように、支持脚部張出部22bの底面にドアパネルのエクステンションパネル9に形成された嵌合部9aに係合される支持脚部突起部22cが形成されている。支持脚部突起部22cは、断面略四角形状に下方に突出するように形成される。支持脚部突起部22cが嵌合部9aに係合されるため、クォータドアウエザストリップ20の底辺部20cがずれることがなく、特に車体の幅方向にずれることがなく、クォータドアガラス6が振動することもなく、安定して保持される。
【0054】
図5に示すように、支持脚部突起部22cの底面と側面に突起部底面シールリップ22fと突起部側面シールリップ22eが形成される。そして、支持脚部シールリップ22dと、突起部側面シールリップ22eと突起部底面シールリップ22fは、切れ目なく連続して形成される。
【0055】
このため、支持脚部シールリップ22dによりシールされて、エクステンションパネル9の車外側を移動した雨水等が、突起部側面シールリップ22eと突起部底面シールリップ22fに沿って移動して、突起部底面シールリップ22fの先端から流下して、車外に排出される。そして、エクステンションパネル9の嵌合部9aと支持脚部突起部22cの間から、突起部側面シールリップ22eと突起部底面シールリップ22fを越えて、エクステンションパネル9の車内側に回り込んで、車内に進入することがない。
【0056】
突起部底面シールリップ22fは、突起部側面シールリップ22eと連続する側は低く、突起部側面シールリップ22eと連続する側と反対側は高く形成されることが好ましい。この場合には、エクステンションパネル9の車外側を移動した雨水等が、エクステンションパネル9の嵌合部9aにおいて、突起部底面シールリップ22fにより嵌合部9aと支持脚部突起部22cの隙間から車内側へ進入することなく、突起部側面シールリップ22eと突起部底面シールリップ22fに沿って移動し、突起部側面シールリップ22eが高く形成された部分から流下することができ、雨水等が車内側に移動し難くなる。
【0057】
図1に示すように、突起部底面シールリップ22fは、断面形状が略三角形状に形成することが好ましい。略三角形状とは、車外側は支持脚部突起部22cの底面から略垂直に平面上に形成され、車内側は斜面状又は曲面状に形成されたものである。この場合には、エクステンションパネル9の車外側を移動した雨水等が、突起部底面シールリップ22fに沿って流れたときに、突起部底面シールリップ22fが垂直に形成されており、突起部底面シールリップ22fに沿って下方に流下するため、突起部底面シールリップ22fを乗り越えて、車内側に移動し難くなる。
【0058】
また、突起部底面シールリップ22fは、支持脚部張出部22bの底面の車内側にシフトして形成されることが好ましい。この場合には、エクステンションパネル9の車外側を移動した雨水等が、突起部底面シールリップ22fに沿って流れたときに、支持脚部張出部22bの車外側面が広く、突起部底面シールリップ22fを乗り越えて、車内側に移動し難くなる。
【0059】
次に、クォータドアウエザストリップ20の製造方法について説明する。
クォータドアウエザストリップ20は、全体を金型で一度に型成形する。
成形材料は、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、金型に成形材料を注入後に加熱されて、加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。
【符号の説明】
【0060】
1 ドア
6 クォータドアガラス(クォータ部材)
20 クォータドアウエザストリップ
21 基部
22 支持脚部
22b 支持脚部張出部
22c 支持脚部突起部
22d 支持脚部シールリップ
22e 突起部側面シールリップ
22f 突起部底面シールリップ
図1
図2
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