【文献】
得能貢一、外1名,ソフトウェア可用性評価のためのアベイラビリティモデル,オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 ,日本,1999年 8月 1日,第44巻,第8号,第405〜409頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
情報処理システムを運用するための操作と、前記操作の操作対象の状態遷移とを情報モデルで表現した可用性モデルモジュールと、前記可用性モデルモジュール同士の接続関係の規則と、を格納するモデルモジュール格納部と、
前記可用性モデルモジュールの少なくとも一部を、上記接続関係の規則に基づいて合成し、前記情報処理システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成する可用性モデル合成部と、
前記可用性モデルの特徴に関する選択肢をユーザに提示する可用性モデル特徴選択部と、
前記選択肢の中から選ばれる選択結果と、前記選択結果に対応するモデルモジュールの対応関係を格納する対応関係格納部と、を備えた可用性モデル生成支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による可用性モデル生成支援装置1の構成を示すブロック図である。可用性モデル生成支援装置1は、サーバ装置、またはパーソナル・コンピュータ等である。可用性モデル生成支援装置1は、図示しない中央処理装置(CPU;Central Processing Unit)、記憶装置(メモリ及びハードディスク駆動装置(HDD;Hard Disk Drive))、入力装置(本例では、キーボード)、および出力装置(本例では、ディスプレイ)を備える。可用性モデル生成支援装置1は、記憶装置に記憶されているプログラムを中央処理装置が実行することにより、後述する機能を実現するように構成されている。
【0012】
本実施形態では、情報処理システムは、少なくとも1つの情報処理装置により構成される。 また、本実施形態では、可用性は情報処理システムの稼働率である。稼働率は、例えば瞬間稼働率、平均稼働率などである。瞬間稼働率は、特定の時点において情報処理システムが機能を維持している確率である。また、平均稼働率は予め設定された期間において情報処理システムが機能を維持している確率である。
【0013】
図1に示すように、可用性モデル生成支援装置1は、可用性モデル合成部101、モデルモジュール格納部102、可用性推定部107を備える。可用性モデル合成部101および可用性推定部107は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される機能のモジュールに相当する。モデルモジュール格納部102は、外部記憶装置により実装される。
【0014】
可用性モデル合成部101は、モデルモジュール格納部102に格納された可用性モデルモジュールの少なくとも一部を接続関係の規則にしたがって合成し、情報処理システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成する。
【0015】
本実施形態では、可用性モデルは、可用性モデルの合成に利用された各モデルモジュールにおける状態遷移の起こりやすさを表す複数のパラメータの値と、情報処理システムの可用性との関係を表すモデルである。
【0016】
また、本実施形態では、パラメータは、ある操作を実行するために要する時間の平均値である平均実行時間、ある操作の実行が成功する確率である成功確率、またはある操作の実行が失敗した際に操作対象に障害を引き起こす確率などである。
【0017】
また、可用性モデル合成部101は、各モデルモジュールのパラメータの値を取得する。可用性モデル合成部101は、モデルモジュール格納部102に格納された各モデルモジュールのパラメータの値を取得する。なお、可用性モデル合成部101は、ユーザによって入力された各パラメータの値を受け付けることにより、値を取得するように構成されていてもよい。
【0018】
モデルモジュール格納部102は、可用性モデルモジュールと、モデルモジュール同士の接続関係の規則とを格納する。可用性モデルモジュールは、情報処理システムを運用するために実施される操作と操作対象システムコンポーネント(例えば、ゲストОS)の状態遷移を部品化したものである。本実施形態では、モデルモジュールは確率分布を用いたモデル(例えば、確率報酬ネットを用いたモデル)により表される。また、本実施形態では、モデルモジュール同士の接続関係の規則は、モデルモジュールを合成して可用性モデルを生成する際に、あるモデルモジュールがどのモデルモジュールに接続可能であるかを規定する。
【0019】
可用性推定部107は、可用性モデル合成部101から可用性モデルとパラメータの値を取得する。なお、可用性モデル合成部101の代わりに、可用性推定部107は、モデルモジュール格納部102に格納された各モデルモジュールのパラメータの値を取得するように構成されていてもよい。また、可用性推定部107は、可用性モデル合成部101から取得する代わりに、ユーザにより入力された各パラメータの値を取得するようにしてもよい。可用性推定部107は、取得した各パラメータの値と、可用性モデル合成部101により生成された可用性モデルに基づいて、情報処理システムの可用性を推定する。
【0020】
次に、可用性モデル生成支援装置1の動作について説明する。
図2は、可用性モデル生成支援装置1の動作のフローチャートである。
まず、可用性モデル生成支援装置1は、モデルモジュール格納部102から、可用性モデル合成に使用するモデルモジュールを取得する(ステップS1002)。このとき、ユーザが、評価対象となる情報処理システムの特徴に基づいて、モデルモジュール格納部102に格納されたモデルモジュールから可用性モデルの合成に使用するものを選択する。モデルモジュールには、モデルモジュールに付随するパラメータの値が予め設定されているものを用いてもよい。または、パラメータの値をユーザが別途入力してもよい。
【0021】
ここで、本実施の形態でモデルモジュールを表すために用いる確率報酬ネットモデルについて
図3、
図4を用いて簡単に説明する。本実施の形態で用いる確率報酬ネットモデルは、プレース、トランジション、アーク、ガード関数、および報酬関数で構成される。ここでは、プレース(白丸)は情報システムが取りうる状態を表す。ここでは、トークン(黒丸)が存在するプレースを現在の状態とみなす。複数のモデルモジュール上に存在する同じ名前のプレースは、同じ状態を表している。ここでは、トランジションは状態の遷移(トークンの移動)を引き起こすイベントに対応する。トランジションには、遷移確率の割り当てられたトランジション(白い長方形)、一定時間ごとに状態遷移を引き起こすようなトランジション(黒い長方形)、状態の遷移を直ちに引き起こすトランジション(一本線)があり、後述のガード関数が割り当てられる場合がある。アークは、トランジションとプレースを接続し、状態遷移の方向を表す。ガード関数は、トランジションに割り当てられ、下記のように条件に応じて状態遷移を不可能にする。
【0022】
図3の(b)のg
1は、トークンが
図4の(4)のプレースP
sv_failにあるとき、T
failの状態遷移を可能にする。
図4の(2)のg
2は、トークンが
図3のプレースP
upにあるとき、T
upの状態遷移を可能にする。
図4の(2)のg
3は、トークンが
図3のプレースP
unplanned_outage、または、P
planned_outageにあるとき、T
downの状態遷移を可能にする。
図3の(c)のg
4は、トークンが
図4の(5)のプレースP
rebootにあるとき、T
haltの状態遷移を可能にする。
【0023】
報酬関数は、プレース内のトークンの数に応じて出力が変わる関数である。ここでは、P
upに1つのトークンがある場合を稼働中と定義する場合を考える。このとき、P
upにトークンが1つある場合に1、トークンが無い場合に0を出力する報酬関数を定義すると、P
up内のトークン数の時間平均値を計算することで、稼働率を得ることができる。
【0024】
図3、
図4に示したモデルモジュールの例のうち、
図3の(a)から(e)は、操作対象システムコンポーネント(例えば、ゲストOS)の状態変化を表すモデルモジュール、
図4の(1)から(5)は、システム運用操作(例えば、設定変更)を表すモデルモジュールである。
【0025】
図3の操作対象システムコンポーネントのモデルモジュールについて、以下に説明する。なお、プレースについては、P
upは操作対象が稼動中の状態、P
unplanned_outageは操作対象が意図せずに停止してしまった状態、P
planned_outageは計画停止中の状態を表す。トークンの初期位置は、P
upとする。パラメータについては、λは操作対象の故障率(運用操作に関係なく負荷やリソース消費などでダウンする確率)、μ
1はシステム障害発生時の障害からの復旧率、μ
2は通常運用時の計画停止からの復旧率を表す。
【0026】
通常、障害発生時にはその原因の診断や対処などの時間が必要となり、計画停止からの復旧より時間がかかると考えられるため、μ
1<μ
2となる。すなわち、(d)の状態遷移のほうが(e)より起こりにくくなる。
【0027】
以下、操作対象システムコンポーネントの各モデルモジュール(a)〜(e)について説明する。
(a)運用操作に無関係な操作対象の障害発生(自発的な状態遷移)を表す。
(b)運用操作の失敗に起因する操作対象の障害発生を表す。
(c)運用操作による計画停止を表す。
(d)障害からの復旧を表す。
(e)計画停止からの復旧を表す。
【0028】
図4のシステム運用操作を表すモデルモジュールについて以下に説明する。なお、プレースについては、P
op_execは操作を実行している状態、P
op_failは操作が失敗した状態、P
op_successは操作が成功した状態、P
sv_failは操作の失敗が操作対象に障害を引き起こした状態、P
sv_availは操作が失敗したが操作対象には何も起こらなかった状態、P
rebootは操作対象を再起動する状態を表す。トークンの初期位置は、Pop_execとする。パラメータについては、t
opは操作の平均実効時間、c
opは操作の成功確率、c
svfailは操作の失敗が操作対象の可用性に影響を与える確率を示す。
【0029】
以下、システム運用操作の各モデルモジュール(1)〜(5)について説明する。
(1)運用操作の実行を表す。
(2)操作対象の状態チェックを表す。
(3)運用操作結果を表す。
(4)操作対象の障害発生を表す。本モデルモジュールの利用条件として、モデルモジュール(b)を必要とする。
(5)操作対象の再起動を表す。本モデルモジュール利用条件として、モデルモジュール(c)、(e)を必要とする。
(6)操作の成功を表す。
(7)操作の失敗を表す。
【0030】
図4においては、各モデルモジュールについて、モデルモジュールを合成するための規則として、接続先のプレース(状態)の候補が示されている。具体的には、例えば、モデルモジュール(1)の接続先のプレースの候補はP
up_or_downであるため、そのプレースから始まるモデルモジュール(2)を接続することができることを示している。
【0031】
可用性モデル生成支援装置1は、取得したモデルモジュールと、
図4に示したモデルモジュールの接続先の状態の候補と条件に基づいて、取得されたモデルモジュールを合成することで可用性モデルを生成する(
図2のステップS1008)。具体的には、取得したモデルモジュールに関して、次の2つの合成が行われる。1つめに、操作対象システムコンポーネントのモデルモジュールを合成(同じプレースを統合)することで、操作対象システムコンポーネントモデルを生成する。2つめに、システム運用操作のモデルモジュールを合成することで、システム運用操作モデルを生成する。このとき、
図4の(3)に示すように、モデルモジュールの接続先の状態の候補が複数ある場合は、取得したシステム運用操作の各モデルモジュールが全て接続されるように合成する。
【0032】
なお、ここではガード関数によって操作対象システムコンポーネントモデルとシステム運用操作モデルの間の相互作用が定義されている。操作対象システムコンポーネントモデルと、システム運用操作モデルをあわせたものが、本実施形態の可用性モデルとなる。
【0033】
合成される可用性モデルの例を、
図5、
図6、
図7に示す。
図5に示す可用性モデルは、状態監視のように操作対象の状態を変えない操作が行われた場合の情報処理システムの可用性モデルであり、モデルモジュール(a)、(d)、(1)、(2)、(3)、(6)、(7)を選んだ場合の可用性モデルである。
【0034】
図6に示す可用性モデルは、オペレーティングシステムの設定変更のような操作の失敗が操作対象の障害を引き起こしうる場合の情報処理システムの可用性モデルであり、モデルモジュール(a)、(b)、(d)、(1)、(2)、(3)、(4)、(6)、(7)を選んだ場合の可用性モデルである。
【0035】
図7に示す可用性モデルは、再起動のように、操作自身が操作対象の計画停止を含む場合の情報処理システムの可用性モデルであり、モデルモジュール(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)を選んだ場合の可用性モデルである。
【0036】
なお、条件を満たさないようなモデルモジュールを合成しようとした場合(たとえば、必要なモデルモジュールが足りない場合)は、ユーザに対して警告を表示してもよい。その際、どの条件を満たしていないのかを提示してもよい。また、モデルモジュールの利用条件に基づき、欠損している一部のモデルモジュールを自動的に補うようにしてもよい。
【0037】
可用性モデル生成支援装置1は、合成された可用性モデルに基づき、モデル解析ツールを用いて、情報システムの可用性を推定(算出)する(
図2のステップS1010)。本実施形態では、可用性モデル生成装置1は、SHARPE(Symbolic Hierarchical Automated Reliability and Performance Evaluator)、またはSPNP(Stochastic. Petri Net Package)等の周知の技術を用いて可用性を推定する。
【0038】
本実施形態では、可用性モデル生成支援装置1は、トークンがプレースP
upにある場合に、情報処理システムの状態が稼動している状態であると仮定する。この場合、可用性モデル生成支援装置1は、可用性を算出するための報酬関数をプレースP
upにアサインすることで可用性推定部107が可用性を算出することができる。
【0039】
例えば、可用性モデル生成支援装置1は、トークンがプレースP
upにある場合に「1」を出力し、トークンがプレースP
up以外のプレースにある場合に「0」を出力する関数を、報酬関数として予めモデルモジュールのプレースP
upにアサインしておく。この場合、可用性推定部107は、報酬関数の出力値の時間平均値を平均稼働率として算出する。
【0040】
その後、可用性推定部107は、可用性モデル合成部101から可用性モデルとパラメータの値を取得する。可用性推定部107は、取得された各パラメータの値と、可用性モデル合成部101により生成された可用性モデルとに基づいて、情報処理システムの可用性を推定する。可用性推定部107は、推定された可用性の値を出力する。本実施形態では、可用性の値をディスプレイに表示する。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、可用性に関わる状態遷移を表すモデルモジュールの少なくとも一部を合成することで、システム運用管理において様々な操作が実行される情報処理システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成できる。この結果、情報処理システムの可用性モデルの生成の生産性を容易に向上させることができる。
【0042】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2による可用性モデル生成支援装置1の構成を示すブロック図である。
図1と同一の符号は同等の構成を表している。実施の形態2では、実施の形態1のようにモデルモジュール格納部102から直接可用性モデル合成に使用するモデルモジュールをユーザに選択させるのではなく、可用性モデルの特徴を自然言語などで提示し、ユーザに選択させることで可用性モデルを合成する。以下、かかる相違点を中心に説明する。
【0043】
図8に示したように、実施の形態2による可用性モデル生成支援装置1は、実施の形態1による可用性モデル生成支援装置1の機能に加えて、対応関係格納部103と、可用性モデル特徴選択部104を備えている。
【0044】
可用性モデル特徴選択部104は、可用性モデルに関する特徴の選択肢をユーザに提示する。たとえば、Webブラウザに選択肢と選択結果入力のためのチェックボックスを表示して、ユーザに選択させてもよい。ユーザは、評価対象の情報処理システムの特性に基づき、選択結果を入力する。このとき、可用性モデル特徴選択部104は、特徴の選択結果に加えて、関連するパラメータの値(例えばλ)を入力するようにユーザに促してもよい。可用性モデル特徴選択部104は、特徴の選択結果を受け付ける。
【0045】
可用性モデル合成部101は、対応関係格納部103に格納された、選択結果とモデルモジュールの対応関係に基づき、可用性モデル特徴選択部104が受け付けた選択結果に対応するモデルモジュールを、モデルモジュール格納部102から取得する。
【0046】
可用性モデル合成部101は、実施の形態1による可用性モデル合成部101と同様に、取得したモデルモジュールを合成して、可用性モデルを生成する。
【0047】
対応関係格納部103は、可用性モデル特徴選択部104の受け付ける選択結果と、選択結果に対応するモデルモジュールの対応関係を格納する。例えば、可用性モデル特徴選択部104が、以下のような自然言語で記述された質問を提示し、対応関係格納部103は各質問に対するYES/NOを選択結果として受け取ってもよい。
【0048】
(I)運用操作が失敗した場合、サーバに障害が起こる可能性があるか。(該当する操作例:ネットワーク設定変更)
(II)運用操作は、操作対象を再起動するか。(該当する操作例:障害を未然に防ぐための若化操作)
【0049】
この場合、選択結果は以下の4種類となる。
(A) 全てがNOの場合
(B) (I)のみがYESの場合
(C) (II)のみがYESの場合
(D) (I)、(II)ともにYESの場合
【0050】
このときの、選択結果に対応するモデルモジュールを
図10に示す。以上のように、自然言語でモデルの特徴を提示し、ユーザの選択結果と対応するモデルモジュールの対応関係を予め対応関係格納部103に格納しておく。
【0051】
また、対応関係格納部103には、質問形式ではなく、操作の種類とモデルモジュールの対応関係を格納しておいてもよい。この場合、可用性モデル特徴選択部104が、例えば、以下のような自然言語で記述された操作の具体例を提示し、ユーザに操作を選択させて、選択結果を受ける。
(α)状態監視
(β)重要な設定項目の変更(例えば、オペレーティングシステムの環境変数の変更など)
(γ)重要な設定項目の変更後に再起動(例えば、ネットワーク設定変更後の設定反映のための再起動など)
【0052】
この場合の操作とモデルモジュールとの対応関係は、(α)に対応するモデルモジュールは(A)と同様、(β)に対応するモデルモジュールは(B)と同様、(γ)に相当するモジュールは(D)と同様である。
【0053】
可用性推定部107は、実施の形態1と同様に、可用性モデル合成部101が生成した可用性モデルに基づいて可用性を推定(算出)する。
【0054】
次に、実施の形態2による可用性モデル生成支援装置1の動作について、
図9を参照しながら説明する。
まず、可用性モデル生成支援装置1が、可用性モデルに関する特徴の選択肢をユーザに提示する(ステップS1000)。
【0055】
次に、可用性モデル生成支援装置1は、ユーザによる特徴の選択結果を受け付ける(ステップS1001)。
【0056】
次に、可用性モデル生成支援装置1は、対応関係格納部103に格納された対応関係に基づいて、選択結果に対応するモデルモジュールをモデルモジュール格納部102から取得する(ステップS1002)。
【0057】
次に、可用性モデル生成支援装置1は、取得したモデルモジュールを合成して可用性モデルを生成する(ステップS1008)。
【0058】
次に、可用性モデル生成支援装置1は、生成された可用性モデルを、既存技術のモデル解析用ツールを用いて解析し、可用性を推定(算出)する(ステップS1010)。
【0059】
以上のように、本実施形態によれば、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、自然言語による選択肢を利用することで、ユーザは数理モデリングの知識が無くても、可用性モデルを構築して評価対象システムの可用性を算出することができる。したがって、ユーザの学習コストも低く抑えることができる。
【0060】
実施の形態3.
図11は、本発明の実施の形態3による可用性モデル生成支援装置1の構成を示すブロック図である。
図1と同一の符号は同等の構成を表している。実施の形態3では、モデルモジュールに不足がある場合にモデルモジュールの追加・修正が可能である。以下、かかる相違点を中心に説明する。
【0061】
図11に示したように、実施の形態3による可用性モデル生成支援装置1は、実施の形態1による可用性モデル生成支援装置1の機能に加えて、モデル判定部105と、モデルモジュール追加入力・修正部106を備えている。
【0062】
モデル判定部105は、モデルモジュール格納部102に格納されたモデルモジュールに不足があるか否かを判定する。判定はユーザ入力によって行う。モデルモジュールに不足がある場合は、モデルモジュール追加入力・修正部106が、ユーザにモデルモジュールの入力を行うように促す。
【0063】
モデルモジュール追加入力・修正部106は、ユーザからモデルモジュールの追加・修正入力を受け付け、モデルモジュール格納部102へのモデルモジュールの追加、既存のモデルモジュールの修正を行う。
【0064】
可用性モデル合成部101は、実施の形態1と同様に、モデルモジュール格納部102に格納された可用性モデルモジュールの少なくとも一部を、接続関係の規則にしたがって合成し、情報システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成する。
【0065】
可用性推定部107は、実施の形態1と同様に、可用性モデル合成部101が生成した可用性モデルに基づいて情報システムの可用性を推定(算出)する。
【0066】
次に、実施の形態3による可用性モデル生成支援装置1の動作について、
図12を参照しながら説明する。
【0067】
まず、可用性モデル生成支援装置1は、モデルモジュール格納部102から、可用性モデルの合成に使用するモデルモジュールを取得する(ステップS1002)。
【0068】
次に、モデルモジュール格納部102に格納されたモデルモジュールのみでは不足が生じるか否かを判定し(ステップS1004)、生じる場合(YES)は、ステップS1006に進み、生じない場合(NO)は、ステップS1008に進む。
【0069】
ステップS1006では、ユーザより、追加するモデルモジュールと付随するパラメータの入力を受け付け、モデル追加入力・修正部106がモデルモジュール格納部102に格納する。モデルモジュールの追加・修正が完了したら、ステップS1002に戻る。
【0070】
次に、可用性モデル生成支援装置1は、可用性モデル合成部101において取得したモデルモジュールを合成して可用性モデルを生成する(ステップS1008)。
【0071】
次に、可用性モデル生成支援装置1は、生成された可用性モデルを、既存技術のモデル解析用ツールを用いて解析し、可用性を推定(算出)する(ステップS1010)。なお、ステップS1002の前に、ステップS1004を実行してもよい。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、モデルモジュールの修正・追加を可能にすることで、内容に変更があった運用操作や、今まで存在しなかった新規の運用操作が可用性に与える影響も評価可能となり、可用性モデリングの柔軟性を向上させることができる。
【0073】
なお、本願発明は上記の実施の形態1〜3に限定されるものではない。本願発明の構成および動作は、本願発明の範囲内において当業者が理解し得る様々な変更を適用することができる。
【0074】
この出願は、2011年3月4日に出願された日本出願特願2011−47423を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0075】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0076】
上記各実施形態において、可用性モデル生成装置1の各機能は、CPUがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現されていたが、回路等のハードウェアにより実現されていてもよい。また、上記各実施形態において、プログラムは記憶装置に記憶されているが、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。記録媒体は、例えばフレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。また、本発明の他の変形例として、上記各実施形態を組み合わせた構成を採用してもよい。
【0077】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)情報処理システムを運用するための操作と、前記操作の操作対象の状態遷移とを情報モデルで表現した可用性モデルモジュールと、前記可用性モデルモジュール同士の接続関係の規則と、を格納するモデルモジュール格納部と、
前記可用性モデルモジュールの少なくとも一部を、上記接続関係の規則に基づいて合成し、前記情報処理システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成する可用性モデル合成部と、を備えた可用性モデル生成支援装置。
【0078】
(付記2)付記1に記載の可用性モデル生成支援装置であって、
前記可用性モデルの特徴に関する選択肢をユーザに提示する可用性モデル特徴選択部と、
前記選択肢の中から選ばれる選択結果と、前記選択結果に対応するモデルモジュールの対応関係を格納する対応関係格納部と、を備えた可用性モデル生成支援装置。
【0079】
(付記3)付記1または2に記載の可用性モデル生成支援装置であって、
前記モデルモジュール格納部に格納されたモデルモジュールに不足があるか否かを判定するモデル判定部と、
ユーザからモデルモジュールの追加または修正入力を受け付け、モデルモジュールの追加を受け付けた場合には、前記モデルモジュール格納部に追加されたモデルモジュールを格納し、モデルモジュールの修正入力を受け付けた場合には、前記モデルモジュール格納部に格納されているモデルモジュールの修正を行うモデルモジュール追加入力・修正部と、を備えた可用性モデル生成支援装置。
【0080】
(付記4)情報処理システムを運用するための操作と、前記操作の操作対象の状態遷移とを情報モデルで表現した可用性モデルモジュールと、前記可用性モデルモジュール同士の接続関係の規則と、を格納するモデルモジュール格納部から、前記可用性モデルモジュールの少なくとも一部を取得する工程と、
上記接続関係の規則に基づいて、取得した前記可用性モデルモジュールを合成し、前記情報処理システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成する工程と、を備えた可用性モデル生成支援方法。
【0081】
(付記5)コンピュータを、
情報処理システムを運用するための操作と、前記操作の操作対象の状態遷移とを情報モデルで表現した可用性モデルモジュールと、前記可用性モデルモジュール同士の接続関係の規則と、を格納するモデルモジュール格納部と、
前記可用性モデルモジュールの少なくとも一部を、上記接続関係の規則に基づいて合成し、前記情報処理システムの可用性を推定するための可用性モデルを生成する可用性モデル合成部と、して機能させるプログラム。