【文献】
芹澤 正芳,華麗なるPCの引越し アプリの再インスト・設定のやり直しはもうイヤだ!,PCfan 第13巻 第19号,日本,(株)毎日コミュニケーションズ,2006年 9月 1日,第13巻 第19号,pp.86-94
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態による設定情報複製範囲作成装置100の構成を示すブロック図である。図に示すように、設定情報複製範囲作成装置100は、設定情報更新部101、再起動部102、起動検知部103、結果生成部104、プログラムファイル記憶部200、設定情報データベース201、調査対象テーブル202、および結果テーブル203を備えている。
【0011】
設定情報複製範囲作成装置100は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、各種の情報を格納する外部記憶装置、入力インタフェース、出力インタフェース、通信インタフェース及びこれらを結ぶバスを備える専用又は汎用のコンピュータを適用することができる。なお、設定情報複製範囲作成装置100は、単一のコンピュータにより構成されるものであっても、通信回線を介して互いに接続された複数のコンピュータにより構成されるものであってもよい。
【0012】
設定情報更新部101、再起動部102、起動検知部103、および結果生成部104は、CPUがROM等に格納された所定のプログラムを実行することにより実現される機能のモジュールに相当する。設定情報データベース201、調査対象テーブル202、および結果テーブル203は、メモリ等により実装される。プログラムファイル記憶部200は外部記憶装置により実装される。外部記憶装置は、設定情報複製範囲作成装置100とネットワーク等を介して接続されていてもよい。
【0013】
本実施形態では、第1PC(パーソナルコンピュータ)から第2PCへ設定情報を複製する場合を例に説明する。第1および第2PCのオペレーティングシステムはWindows(登録商標)であり、設定情報(レジストリ)のデータの構造は基本的に同一である。再起動部102は、第2PCのオペレーティングシステムの起動制御ができるように、ネットワークなどを介して第2PCと接続されている。同様に、起動検知部103は、第2PCのオペレーティングシステムが起動したことを検知するために、ネットワークなどを介して第2PCと接続されている。また、プログラムファイル記憶部200には、第2PCの記憶装置が接続されている。
【0014】
プログラムファイル記憶部200には、プログラムファイルとして、オペレーティングシステムやオペレーティングシステム以外のライブラリ等の共有プログラムを格納する共有ファイル(例えば、Windows(登録商標)のdllファイル)、アプリケーションプログラムを格納するアプリケーションファイル(例えば、Windows(登録商標)のexeファイル)、および設定情報が記憶されている。設定情報は、例えばWindows(登録商標)のレジストリである。
【0015】
設定情報データベース201には、オペレーティングシステムの設定情報が格納されている。設定情報とは、たとえば、Windows(登録商標)のレジストリである。オペレーティングシステムの設定情報は、各項目がツリー構造になって保存されている。たとえば、Windows(登録商標)のレジストリは、ツリー構造によってWindows(登録商標)およびWindows(登録商標)にインストールされたアプリケーションの設定情報を格納している。
【0016】
図2は、設定情報データベース201の内部に格納されるデータ構造の例を示す図である。図に示すように、設定情報データベース201には、第1PCと第2PCの設定情報が格納されている。それぞれのPCの設定情報はツリー構造を有しており、ルートの下には設定項目A、設定項目B、設定項目Cが存在する。設定項目Bには子項目である設定項目B−1、設定項目B−2が存在する。さらに設定項目B−2には子項目である設定項目B−2−2が存在する。これらの構造は第1および第2PCで同様である。また、それぞれの設定項目にはデータが付加されている。例えば、設定項目Aには設定Aというデータが紐づいている。このデータは、第1PCと第2PCとで同一とは限らない。
【0017】
調査対象テーブル202は、設定情報データベース201に格納されている設定項目の内、調査中の設定項目を一時的に保管するデータ領域である。
【0018】
結果テーブル203は、例えば第1PCから第2PCに設定情報を複製する際、第2PCに上書きできない項目を格納する領域である。したがって、結果テーブル203に登録されている設定項目については、第2PC自身の設定内容を用いることになる。
【0019】
次に、設定情報複製範囲作成装置100の動作について説明する。
図3は、本実施形態による設定情報複製範囲作成装置100の動作のフローチャートである。
まず、設定情報更新部101は、設定情報データベース201に、第1PCおよび第2PCの設定情報を登録する(ステップS1)。
【0020】
次に、設定情報更新部101は、第1PCの各設定項目に番号を割り当て、調査対象テーブル202に登録する。また、各設定項目に調査対象フラグ1を設定し、
図4に示すような調査対象テーブル202を作成する(ステップS2)。
【0021】
次に、設定情報更新部101は、
図5に示すように、調査対象テーブル202で調査対象フラグが1になっている設定項目の内、項目数の半分を設定項目群Aに設定し、残りの半分を設定項目群Bに設定する(ステップS3)。
【0022】
ステップS4において、設定情報更新部101は、第1PCの設定項目の内、ステップS3で設定項目群Aに仕分けされた項目を第2PCの設定情報に上書きする。その後、再起動部102は、第2PCのオペレーティングシステムを起動させる。さらに、起動検知部103が、第2PCのオペレーティングシステムの起動が成功したか否かを判定できた段階で、再起動部102が第2PCの電源を切断する。
【0023】
起動検知部103が第2PCのオペレーティングシステムの起動を検知できず、かつ、設定項目群Aの設定項目数があらかじめ設定された数以上の場合はステップS5へ進む。また、起動検知部103が第2PCのオペレーティングシステムの起動を検知できず、かつ、設定項目群Aの設定項目数があらかじめ設定された数未満の場合はステップS6へ進む。また、第2PCのオペレーティングシステムの起動を確認した場合はステップS7に進む。
【0024】
ステップS5において、設定情報更新部101は、
図6に示すように調査対象テーブル202の設定項目群Bに仕分けされた設定項目の調査対象フラグを0に設定し、設定項目群Aの調査対象フラグを1にしてステップS11に移行する。ステップS11に移行した後、制御が戻ってきたらステップS7に移行する。
【0025】
ステップS11では、設定情報データベース201に格納されている第2PCの設定内容を第2PCに上書きし、ステップS3へ進む。ステップS3〜S4では、設定情報更新部101が、調査対象テーブル202で調査対象フラグが1になっている設定項目の内の半分の項目が再び第2PCの設定情報に上書きされるため、今回第2PCに上書きされる項目は、1回目のステップS3,S4で上書きした設定項目の半分の数になる。
【0026】
ステップS6において、結果生成部104は、設定項目群Aが第2PCのオペレーティングシステムの起動阻止の原因であると判断し、結果テーブル203に設定項目群Aの項目名を書き込み、制御を呼び出し元に戻す。呼び出し元がステップS5ではない場合は、ステップS7に移行する。
図7には、あらかじめ設定した最小設定項目数を3とした時の結果テーブル203の例を示している。
【0027】
ステップS7において、設定情報更新部101は、設定情報データベース201に格納されている第2PCの設定内容を第2PCに上書きする。
【0028】
ステップS8において、設定情報更新部101は、第1PCの設定項目の内、設定項目群Bに仕分けされた項目を第2PCの対応する設定項目に上書きする。その後、再起動部102は第2PCのオペレーティングシステムを起動させる。さらに、起動検知部103が、第2PCのオペレーティングシステムの起動が成功したか否かを判定できた段階で、再起動部102が第2PCの電源を切断する。
【0029】
起動検知部103が第2PCのオペレーティングシステムの起動を検知できず、かつ、設定項目群Bの設定項目数があらかじめ設定された数以上の場合はステップS9へ進む。また、起動検知部103が第2PCのオペレーティングシステムの起動を検知できず、かつ、設定項目群Bの設定項目数があらかじめ設定された数未満の場合はステップS10へ進む。
【0030】
ステップS8において第2PCのオペレーティングシステムの起動を検知した場合は、制御の呼び出し元が存在する場合は制御を呼び出し元に移行する。制御の呼び出し元が存在しない場合は処理を終了させる。
【0031】
ステップS9において、設定情報更新部101は、調査対象テーブル202の設定項目群Aに仕分けされた設定項目の調査フラグを0に設定し、設定項目群Bの調査フラグを1にして、ステップS11に移行する。ステップS11に移行した後、制御が戻ってきた場合は、呼び出し元が存在する場合は呼び出し元に制御を移行する。呼び出し元が存在しない場合は処理を終了させる。
【0032】
ステップS10において、結果生成部104は、設定項目群Bが第2PCのオペレーティングシステムの起動阻止の原因であると判断し、結果テーブル203に設定項目群Bの項目名を書き込み、制御を呼び出し元に戻す。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、第1PCの設定項目の一部を第2PCに上書きした後に第2PCを再起動し、第2PCのオペレーティングシステムの起動が成功したか否かの結果に基づいて、第1PCの設定項目のうち第2PCに上書きできない項目を出力するようにしたので、コンピュータ間で設定ファイルを複製する際に、オペレーティングシステムの起動に大きく影響する設定個所を特定し、複製可能な設定内容の範囲を提示することができる。
【0034】
本発明は、例えばPCの保守サービスなど、複数のPCに同一の設定を行う場合などに特に有効である。なお、本実施形態では、オペレーティングシステムの起動に影響する設定項目を特定しているが、オペレーティングシステム上で動作するアプリケーションプログラム等のソフトウェアの起動や各種機能動作に影響する設定項目を特定するようにしてもよい。この場合には、起動検知部103がソフトウェアの起動や各種動作の実行を検知し、起動検知部103による判定結果に基づいて、結果生成部104が複製できない設定内容を出力する。
【0035】
この出願は、2011年8月5日に出願された日本出願特願2011−172079を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【0036】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0037】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)複製元コンピュータの設定内容の少なくとも一部を複製先コンピュータの設定内容に反映する設定情報更新部と、
前記設定情報更新部によって設定内容が更新された前記複製先コンピュータを起動させる再起動部と、
前記複製先コンピュータの起動が成功したか否かを判定する起動検知部と、
前記起動検知部による判定結果に基づいて、前記複製元コンピュータの設定内容のうち、前記複製先コンピュータに反映できない設定内容を出力する結果生成部と、を備えた設定情報複製範囲作成装置。
【0038】
(付記2)前記設定情報更新部は、前記複製元コンピュータの設定内容の一部を前記複製先コンピュータの設定内容に反映し、
前記複製先コンピュータの起動が成功せず、かつ反映した前記設定内容の項目数が予め定められた数に満たない場合には、前記結果生成部は、それらの設定内容を前記複製先コンピュータに反映できない設定内容として出力し
前記複製先コンピュータの起動が成功せず、かつ反映した前記設定内容の項目数が予め定められた数以上の場合には、前記設定情報更新部は、設定項目数を半分にして、再度前記複製先コンピュータに反映し、前記再起動部が前記複製先コンピュータを再起動し、前記起動検知部が前記複製先コンピュータの起動が成功したか否かを判定する、付記1に記載の設定情報複製範囲作成装置。
【0039】
(付記3)複製元コンピュータの設定内容の少なくとも一部を複製先コンピュータの設定内容に反映する工程と、
設定内容が更新された前記複製先コンピュータを起動させる工程と、
前記複製先コンピュータの起動が成功したか否かを判定する工程と、
前記判定の結果に基づいて、前記複製元コンピュータの設定内容のうち、前記複製先コンピュータに反映できない設定内容を出力する工程と、を有する設定情報複製範囲作成方法。
【0040】
(付記4)コンピュータを、
複製元コンピュータの設定内容の少なくとも一部を複製先コンピュータの設定内容に反映する設定情報更新部と、
前記設定情報更新部によって設定内容が更新された前記複製先コンピュータを起動させる再起動部と、
前記複製先コンピュータの起動が成功したか否かを判定する起動検知部と、
前記起動検知部による判定結果に基づいて、前記複製元コンピュータの設定内容のうち、前記複製先コンピュータに反映できない設定内容を出力する結果生成部と、して機能させるプログラム。