(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、スマートフォン等の携帯電子機器やモーターを動力源とする電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電源として用いられる電池に対して、高エネルギー密度化が望まれている。特に、リチウムイオン二次電池は、リチウムが小さな原子量を有しかつイオン化エネルギーが大きな物質であることから、高エネルギー密度を得ることができる電池として各方面で盛んに研究が行われている。
【0003】
現行のリチウムイオン二次電池には、電解液として有機電解液が使用されている。しかしながら、この有機電解液は、高いイオン伝導度を示すものの、可燃性の液体であることから、当該有機電解液を電池の電解液として用いた場合、リチウムイオン二次電池本への保護回路等の設置が必要となることがある。また、前記有機電解液を伝との電解液として用いた場合、当該有機電解液との反応によって金属負極が不動態化し、インピーダンスが増大することがある。その結果、インピーダンスの低い部分への電流集中が起こってデンドライトが発生し、このデンドライトが正負極間に存在するセパレータを貫通するため、電池が内部短絡するといった問題が生じやすい。
このため、リチウムイオン二次電池の更なる安全性の向上及び高性能化が技術的課題となっている。
【0004】
そこで、上記の課題を解決するために、有機電解液に替えて、より安全性の高い無機固体電解質が用いられたリチウムイオン二次電池が研究されている。無機固体電解質は、一般に不燃性であって高い耐熱性を有しているため、無機固体電解質が用いられた全固体リチウム二次電池の開発が望まれている。
【0005】
例えば、特許文献1には、Li
2SとP
2S
5とを主成分とし、モル%表示でLi
2S 82.5〜92.5、P
2S
57.5〜17.5の組成を有するリチウムイオン伝導性硫化物セラミックスを全固体電池の電解質として用いることが記載されている。
【0006】
特許文献2には式M
aX−M
bY(式中、Mはアルカリ金属原子であり、X及びYはそれぞれSO
4、BO
3、PO
4、GeO
4、WO
4、MoO
4、SiO
4、NO
3、BS
3、PS
4、SiS
4及びGeS
4から選ばれ、aはXアニオンの価数であり、bはYアニオンの価数である)で表されるイオンガラスにイオン液体が導入された高イオン導電性イオンガラスを固体電解質として使用することが記載されている。
【0007】
特許文献3には、正極活物質として遷移金属酸化物及び遷移金属硫化物からなる群より選択される化合物を含む正極と、Li
2Sを含むリチウムイオン導電性のガラス固体電解質と、リチウムと合金化する金属を活物質として含む負極とを備え、正極活物質及び負極金属活物質の少なくとも一方がリチウムを含む全固体リチウムイオン二次電池が記載されている。
【0008】
更に、特許文献4には、全固体電池における電極材料層の柔軟性や機械的強度を向上させて、電極材料の欠落や割れ、及び、集電体からの剥離を抑制し、さらに、集電体と電極材料の接触性、及び、電極材料同士の接触性を向上させるために、全固体リチウムイオン二次電池の電極の集電体として三次元網目構造を有する多孔質金属シートの気孔部に無機固体電解質を挿入してなる電極材料シートを用いることが記載されている。
【0009】
集電体が三次元網目構造を有する場合、活物質との接触面積が増大する。したがって、かかる集電体によれば、電池の内部抵抗を低下させることができ、電池効率を向上させることができる。更に、前記集電体によれば、電解液の流通を向上させることができ、電流の集中及び従来の問題点であるLiデンドライト形成を防止することができることから、電池信頼性の向上、発熱の抑制及び電池出力の増大を図ることができる。更に、前記集電体は、骨格表面に凹凸を有するため、当該集電体によれば、活物質の保持力の向上、活物質の脱落の抑制、大きい比表面積の確保、活物質の利用効率の向上及び電池のさらなる高容量化が可能となる。
【0010】
特許文献5には、三次元網目構造を有する合成樹脂の骨格表面に対し、無電解めっき、化学気相蒸着(CVD)、物理気相蒸着(PVD)、金属コーティング、グラファイトコーティングなどにより、一次導電処理を施した後、電気めっきによる金属化処理をさらに施すことによって得られる金属多孔体を集電体として用いることが記載されている。
【0011】
汎用リチウム系二次電池用正極の集電体の材料としては、アルミニウムが好ましいとされている。しかしながら、アルミニウムは、水素よりも標準電極電位が卑であるため、水溶液中では、めっきされる前に水が電気分解されるので、水溶液中でのアルミニウムめっきは困難である。
これに対し、特許文献6には、溶融塩めっきによってポリウレタンフォームの表面にアルミニウム被膜を形成させ、次いでポリウレタンフォームを除去することによって得られたアルミニウム多孔体を電池用の集電体として用いることが記載されている。
【0012】
一方、全固体電池においては、電極と固体電解質膜との界面での接合状態が良好でないと、接触不良によって電池特性、特に充放電サイクル特性が著しく低下するという問題点がある。このため、全固体電池に圧力を印加して電極と固体電解質膜との間の接触を良好にすることが提案されている(特許文献7及び8参照)。
【0013】
ところで、全固体電池においては、固体電解質膜の膜厚が薄いものの方が、抵抗が小さくなるため好ましい。しかしながら、正極用集電体として三次元網状アルミニウム多孔体を用い、負極用集電体として三次元網状銅多孔体を用い、電解質として固体電解質膜を用いて全固体リチウムイオン電池を作製し、この全固体リチウムイオン電池に圧力を印加したところ、固体電解質膜が破れて短絡するという問題があることがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、リチウム二次電池10の基本的構成を示す縦断面図である。以下においては、リチウム二次電池10として、全固体リチウム電池を例としてあげて説明する。
この二次電池10は、正極1と、負極2と、両電極1,2間に配置される固体電解質層(SE層)3とを備える。正極1は、正極層(正極体)4と正極集電体5とからなる。また、負極2は、負極層6と負極集電体7とからなる。
【0021】
本発明においては、正極1は、正極集電体である三次元網状アルミニウム多孔体と、この三次元網状アルミニウム多孔体の気孔に充填された正極活物質粉末及びリチウムイオン伝導性の固体電解質とからなる。また、負極2は、負極集電体である三次元網状銅多孔体と、この三次元網状銅多孔体の気孔に充填された負極活物質粉末とからなる。
場合によっては、前記三次元網状アルミニウム多孔体又は三次元網状銅多孔体の気孔には、更に導電助剤を充填することができる。
なお、本明細書においては、三次元網状アルミニウム多孔体及び三次元網状銅多孔体を、「三次元網状金属多孔体」と総称することもある。
【0022】
(三次元網状金属多孔体)
正極用集電体として三次元網状アルミニウム多孔体を用い、負極用集電体として三次元網状銅多孔体が用いられた全固体二次電池は、前記したように短絡の危険性がある。前記電池の短絡は、三次元網状金属多孔体の機械的強度が高い場合において、全固体二次電池に圧力を印加した際に、三次元網状金属多孔体の金属骨格によって固体電解質膜が突き破られることによって生じると考えられる。そこで、本発明においては、三次元網状金属多孔体に焼鈍処理を施して金属骨格を軟質化することによって電池の短絡を防ぐようにした。
【0023】
また、本発明のリチウム二次電池においては、集電体として三次元網状金属多孔体が用いられているので、集電体と活物質との接触面積が大きくなっている。したがって、本発明のリチウム二次電池は、低い内部抵抗を示し、高い電池効率を発現する。更に、本発明のリチウム二次電池においては、集電体における電解液の流通性が高くなっており、電流の集中が防止されている。したがって、本発明のリチウム二次電池は、高い信頼性を有し、発熱を抑制することができ、しかも電池出力を増大することができる。前記三次元網状金属多孔体は、骨格表面に凹凸を有するので、当該三次元網状金属多孔体を集電体として用いることにより、活物質の保持力の向上、活物質の脱落の抑制、比表面積の増加、活物質の利用効率の向上及び電池のさらなる高容量化を図ることができる。
【0024】
三次元網状金属多孔体は、樹脂基材としての不織布や発泡ウレタン等の連続気孔を有する多孔質樹脂成形体の表面に、めっき法、蒸着法、スパッタ法、溶射法等の方法を用いて所望の厚さの金属膜を形成したのち、得られた金属−樹脂複合多孔体から樹脂基材を除去することによって得ることができる。以下、不織布及び多孔質樹脂成形体を、「樹脂基材」と表記することもある。
【0025】
−樹脂基材(不織布)−
本発明においては、不織布として、合成樹脂からなる繊維(以下、「合成繊維」という)の不織布が用いられる。合成繊維に用いられる合成樹脂としては、特に限定されるものではない。前記合成樹脂として、公知の合成樹脂又は市販の合成樹脂を用いることができる。前記合成樹脂のなかでは、熱可塑性樹脂が好ましい。前記合成繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィン単独重合体からなる繊維、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体からなる織碓、これらの繊維の混合物等が挙げられる。なお、以下において、オレフィン単独重合体からなる繊維及びオレフィン共重合体からなる繊維を「ポリオレフィン樹脂繊維」と総称する。また、オレフィン単独重合体及びオレフィン共重合体を「ポリオレフィン樹脂」と総称する。ポリオレフィン樹脂繊維を構成するポリオレフィン樹脂の分子量及び密度は、特に限定されるものではなく、ポリオレフィン樹脂の種類等に応じて適宜決定すればよい。また、前記合成繊維として、融点の異なる2種の成分からなる芯鞘型複合繊維を用いてもよい。
【0026】
−樹脂基材(多孔質樹脂成形体)−
多孔質樹脂成形体の素材として、任意の合成樹脂からなる多孔質体を選択できる。前記多孔質樹脂成形体としては、例えば、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡体等が挙げられる。なお、多孔質樹脂成形体は、合成樹脂の発泡体のみならず、連続した気孔(連通気孔)を有するものであればよく、多孔質樹脂成形体として任意の形状の樹脂成形体を用いることができる。また、合成樹脂の発泡体の代わりに、例えば繊維状の合成樹脂を絡めて不織布のような形状を有するものも使用可能である。多孔質樹脂成形体の気孔率は、80%〜98%が好ましい。また、多孔質樹脂成形体の気孔径は、50μm〜500μmが好ましい。多孔質樹脂成形体のなかでも、ポリウレタンの発泡体(ポリウレタンフォーム)及びメラミン樹脂発泡体は、高い気孔率を有し、また気孔の連通性があるとともに熱分解性にも優れているため、多孔質樹脂成形体として好ましく使用できる。
多孔質樹脂成形体のうち、合成樹脂の発泡体には、製造過程に用いられる製泡剤、未反応モノマーなどの残留物が含まれることが多いため、三次元網状金属多孔体の製造に際し、後の工程を円滑に行なう観点から、用いられる合成樹脂の発泡体に対して洗浄処理を予め施しておくことが好ましい。多孔質樹脂成形体においては、骨格が三次元的に網目を構成することで、全体として連続した気孔を構成している。ポリウレタンフォームの骨格は、その延在方向に垂直な断面において略三角形状をなしている。ここで、気孔率は、次式で定義される。
気孔率=(1−(多孔質樹脂成形体の質量[g]/(多孔質樹脂成形体の体積[cm
3]×素材密度)))×100[%]
また、気孔径は、多孔質樹脂成形体表面を顕微鏡写真等で拡大し、1インチ(25.4mm)あたりの気孔数を計数して、平均気孔径=25.4mm/気孔数として平均的な値を求める。
【0027】
樹脂基材のなかでは、特に、気孔の均一性や入手の容易さ等を確保する目的では、ポリウレタンフォームが好ましく、気孔径の小さな三次元網状金属多孔体を得る目的では、不織布が好ましい。
【0028】
−導電化処理及び金属被膜の形成−
樹脂基材の表面に金属被膜を形成する方法としては、例えば、めっき法、蒸着法、スパッタ法、溶射法等が挙げられる。これらのなかでは、めっき法が好ましい。
めっき法によって金属被膜を形成する場合には、まず、樹脂基材の表面に導電層を形成して基材が導電性を有するようにする。導電層は、めっき法等による樹脂基材の表面における金属皮膜の形成を可能にする役目を果たすものであるため、導電性を有していればその材料及び厚みは限定されない。導電層は、樹脂基材に導電性を付与することができる種々の方法により樹脂基材表面に形成される。樹脂基材に導電性を付与する方法として、例えば、無電解めっき法、蒸着法、スパッタ法、又はカーボン等の導電性粒子を含有した導電性塗料を塗布する方法等の任意の方法を用いることができる。
導電層の材料は、金属被膜と同じ材料であることが好ましい。
【0029】
無電解めっき法としては、公知の方法、例えば、洗浄、活性化及びめっきの工程を含む方法等が挙げられる。
スパッタ法として、公知の種々のスパッタ法、例えば、マグネトロンスパッタ法等を用いることができる。スパッタ法には、導電層の形成に用いられる材料として、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅、モリブデン、タンタル、金、アルミニウム・チタン合金、ニッケル・鉄合金等を用いることができる。これらのなかでは、アルミニウム、ニッケル、クロム、銅やこれらを主とする合金がコスト等の点で適当である。
【0030】
本発明においては、導電層を、黒鉛、チタン及びステンレススチールからなる群より選ばれた少なくとも1種の粉末を含む層とすることも可能である。かかる導電層は、例えば、黒鉛、チタン、ステンレススチール等の粉末とバインダとを混合したスラリーを樹脂基材の表面に塗布すること等によって形成させることができる。この場合、各粉末は、耐酸化性及び耐食性を有しているので、有機電解液中で酸化されにくくなる。前記粉末は、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの粉末のなかでは、黒鉛の粉末が好ましい。バインダとして、例えば、耐電解液性、耐酸化性に優れたフッ素樹脂系であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が最適である。なお、本発明のような三次元網状金属多孔体の集電体では、骨格が活物質を包むように存在しているので、前記スラリー中におけるバインダの含有量は、集電体として汎用の金属箔を用いる場合の1/2程度でよく、例えば0.5重量%程度とすることができる。
【0031】
前記導電化処理が施された樹脂基材の表面に、めっき法、蒸着法、スパッタ法、溶射法等の方法を用いて所望の厚さの金属被膜を形成させる。これにより、金属−樹脂複合多孔体が得られる。
アルミニウムの被膜は、国際公開2011/118460号に記載されている方法にしたがい、表面が導電化された樹脂基材の表面に、アルミニウムの成分を含有する溶融塩浴中でめっきする方法を用いることによって形成させることができる。
銅の被膜は、表面が導電化された樹脂基材の表面に、銅の成分を含有する水系めっき浴中でめっきする方法を用いることによって形成させることができる。
【0032】
−樹脂基材の除去−
つぎに、金属−樹脂複合多孔体から樹脂基材を除去する。これにより、金属多孔体が得られる。
【0033】
金属被膜がアルミニウムの被膜である場合、樹脂基材を金属−樹脂複合多孔体の燃焼によって除去すると、得られるアルミニウム多孔体の表面に酸化膜が形成される。したがって、この場合、金属−樹脂複合多孔体を溶融塩中で熱分解する。溶融塩中での熱分解は以下の方法で行なう。
表面にアルミニウムめっき層が形成された樹脂基材(すなわち、金属−樹脂複合多孔体)を溶融塩に浸漬させ、アルミニウムめっき層に負電位を印加しながら加熱して樹脂基材を分解する。溶融塩に浸漬した状態でアルミニウムめっき層に負電位を印加すると、アルミニウムを酸化させることなく樹脂基材を分解することができる。加熱温度は、樹脂基材の種類に合わせて適宜選択できるが、アルミニウムを溶融させないためにはアルミニウムの融点(660℃)以下の温度で処理する必要がある。好ましい温度範囲は、500℃以上600℃以下である。また、印加する負電位の量は、アルミニウムの還元電位よりマイナス側で、かつ溶融塩中のカチオンの還元電位よりプラス側とする。
【0034】
樹脂基材の熱分解には、溶融塩として、アルミニウムの電極電位が卑となるようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物の塩が使用できる。具体的には、前記溶融塩は、塩化リチウム(LiCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)及び塩化アルミニウム(AlCl
3)からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましい。このような方法によって連通気孔を有し、表面の酸化層が薄く酸素含有量の少ないアルミニウム多孔体を得ることができる。
【0035】
銅多孔体は、金属−樹脂複合多孔体を加熱処理して樹脂基材を焼却除去し、次いで、得られた産物を還元性雰囲気で加熱することにより表面の酸化銅を還元することにより得られる。
【0036】
−焼鈍処理−
上記のようにして得られたアルミニウム多孔体を還元性雰囲気又は不活性雰囲気中で250〜400℃で1時間以上熱処理して加熱処理したのち、空冷又は炉冷によって冷却する。この焼鈍処理によって、得られる三次元網状アルミニウム多孔体の硬さを1.0GPa以下とする。
一方、銅多孔体については、還元性雰囲気又は不活性雰囲気中で400〜650℃で1時間以上熱処理したのち、空冷又は炉冷によって冷却する。この焼鈍処理によって、得られる三次元網状銅多孔体の硬さを2.2GPa以下とする。
得られた三次元網状金属多孔体の硬度は、金属多孔体を樹脂に埋め込んで切断し、切断面を研磨し、骨格(めっき)断面にナノインデンターの圧子を押し当てることによって測定することができる。
なお、ナノインデンターは、微少領域の硬さを測定するために用いられる測定手段である。
【0037】
(活物質)
−正極活物質−
正極活物質として、リチウムイオンの挿入又は脱離が可能な物質を用いることができる。
このような正極活物質の材料としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、ニッケルコバルト酸リチウム(LiCo
xNi
1−xO
2;0<x<1)、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)、リチウムマンガン酸化合物(LiM
yMn
2−yO
4;M=Cr、Co又はNi、yは0<y<1)、リチウム酸等が挙げられる。他の正極活物質の材料としては、リチウムリン酸鉄(LiFePO
4)、LiFe
0.5Mn
0.5PO
4等のオリビン型化合物等のリチウム遷移金属酸化物等が挙げられる。
【0038】
更に他の正極活物質の材料としては、例えば、カルコゲン化物又は金属酸化物を骨格としたリチウム金属(すなわち、カルコゲン化物又は金属酸化物の結晶内にリチウム原子を含む配位化合物)等が挙げられる。前記カルコゲン化物としては、例えば、TiS
2、V
2S
3、FeS、FeS
2、LiMS
z〔Mは遷移金属元素(例えば、Mo、Ti、Cu、Ni、Fe等)、Sb、Sn、又はPbを示し、zは1.0以上、2.5以下を満たす数を示す〕等の硫化物等が挙げられる。また、前記金属酸化物としては、TiO
2、Cr
3O
8、V
2O
5、MnO
2等が挙げられる。
【0039】
正極活物質は、導電助剤及びバインダと組み合わせて使用することができる。なお、正極活物質の材料が遷移金属原子を含む化合物である場合、かかる材料中に含まれる遷移金属原子が、別の遷移金属原子に一部置換されていてもよい。前記正極活物質は、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。前記正極活物質のなかでは、効率の良いリチウムイオンの挿入及び脱離を行なう観点から、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、ニッケルコバルト酸リチウム(LiCo
xNi
1−xO
2;0<x<1)、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)及びリチウムマンガン酸化合物(LiM
yMn
2−yO
4;M=Cr、Co又はNi、0<y<1)からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。なお、前記正極活物質の材料のうち、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)は、負極活物質として使用することもできる。
【0040】
−負極活物質−
負極活物質として、リチウムイオンの挿入又は脱離が可能な物質を用いることができる。このような負極活物質としては、例えば、黒鉛、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)等が挙げられる。
また、他の負極活物質として、金属リチウム(Li)、金属インジウム(In)、金属アルミニウム(Al)、金属ケイ素(Si)、金属スズ(Sn)、金属マグネシウム(Mn)、金属カルシウム(Ca)等の金属;前記金属の少なくとも1種と他の元素及び/又は化合物とを組み合せた合金(すなわち、前記金属の少なくとも1種を含む合金)等を用いることができる。
前記負極活物質は、単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。前記負極活物質のなかでは、効率の良いリチウムイオンの挿入及び脱離並びに効率の良いリチウムとの合金形成を行なう観点から、黒鉛、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、又はLi、In、Al、Si、Sn、Mg及びCaからなる群より選ばれた金属、或いは前記金属の少なくとも1種を含む合金が好ましい。
【0041】
(三次元網状金属多孔体に充填するための固体電解質)
三次元網状金属多孔体の気孔に充填するための固体電解質として、リチウムイオン伝導度の高い硫化物固体電解質を使用することが好ましい。前記硫化物固体電解質としては、リチウムとリンと硫黄とを構成元素として含む硫化物固体電解質が挙げられる。硫化物固体電解質は、さらに、O、Al、B、Si、Ge等の元素を構成元素として含んでいてもよい。
【0042】
このような硫化物固体電解質は、公知の方法により得ることができる。かかる方法としては、例えば、出発原料として硫化リチウム(Li
2S)及び五硫化二リン(P
2S
5)を用い、Li
2SとP
2S
5とをモル比(Li
2S/P
2S
5)が80/20〜50/50となるように混合し、得られた混合物を溶融させて急冷する方法(溶融急冷法)、前記混合物をメカニカルミリングする方法(メカニカルミリング法)等が挙げられる。
【0043】
上記方法により得られる硫化物固体電解質は、非晶質である。本発明においては、硫化物固体電解質として、非晶質の硫化物固体電解質を用いてもよく、非晶質の硫化物個体電解質を加熱することによって得られる結晶性の硫化物固体電解質を用いてもよい。結晶化することで、リチウムイオン伝導度の向上が期待できる。
【0044】
(導電助剤)
本発明においては、導電助剤として、公知又は市販のものを用いることができる。前記導電助剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;活性炭;黒鉛等が挙げられる。導電助剤として黒鉛を用いる場合、その形状は、球状、フレーク状、フィラメント状、カーボンナノチューブ(CNT)などの繊維状等のいずれの形状であってもよい。
【0045】
(活物質等のスラリー)
活物質及び固体電解質(「活物質等」ともいう)に必要に応じて導電助剤やバインダを加え、得られた混合物に有機溶剤、水等を混合してスラリーを作製する。
バインダは、リチウム二次電池用正極で一般的に用いられるものであればよい。バインダの材料としては、例えば、PVDF、PTFE等のフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン樹脂;増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、ペクチンアガロース等の水溶性増粘剤等)等が挙げられる。
【0046】
スラリーを作製する際に用いる有機溶剤は、金属多孔体に充填する材料(即ち、活物質、導電助剤、バインダ、及び必要に応じて固体電解質)に対して悪影響を及ぼさない有機溶剤であればよく、かかる有機溶剤のなかから適宜選択することができる。このような有機溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。また、溶媒に水を使う場合、充填性を高めるために界面活性剤を使用してもよい。
【0047】
バインダは、スラリーを形成する際に溶媒と混合してもよいが、前もって溶媒に分散又は溶解させておいてもよい。例えば、フッ素樹脂を水に分散させたフッ素樹脂の水性ディスパージョン、カルボキシメチルセルロース水溶液等の水系バインダ;集電体として金属箔を用いたときに通常用いられるPVDFのNMP溶液等を使用することができる。本発明では、集電体として三次元多孔体を用いることで正極活物質は導電性骨格に包まれた構造になるので、水系溶媒を用いることが可能であり、また、高価な有機溶媒の使用、再利用、環境への配慮等が不要になることから、フッ素樹脂、合成ゴム及び増粘剤からなる群から選択される少なくとも1種のバインダと、水系溶媒とを含む水系バインダを用いることが好ましい。
スラリー中の各成分の含有量は特に限定されるものではなく、用いられるバインダ、溶媒等に応じて適宜決定すればよい。
【0048】
(三次元網状金属多孔体への活物質等の充填)
三次元網状金属多孔体の気孔への活物質等の充填は、例えば、活物質等のスラリーを、浸漬充填法や塗工法などの公知の方法を用い、三次元網状金属多孔体内部の空隙に前記活物質等のスラリーを入り込ませることによって行なうことができる。塗工法としては、例えば、ロール塗工法、アプリケーター塗工法、静電塗工法、粉体塗工法、スプレー塗工法、スプレーコーター塗工法、バーコーター塗工法、ロールコーター塗工法、ディップコーター塗工法、ドクターブレード塗工法、ワイヤーバー塗工法、ナイフコーター塗工法、ブレード塗工法、及びスクリーン印刷法などが挙げられる。
充填させる活物質の量は、特に限定されないが、例えば、20〜100mg/cm
2、好ましくは30〜60mg/cm
2程度であればよい。
【0049】
電極は、集電体にスラリーが充填された状態で加圧されていることが好ましい。
この加圧により、電極の厚みを、通常、100〜450μm程度にする。前記電極の厚みは、高出力用二次電池の電極の場合、好ましくは100〜250μmであり、高容量用二次電池の電極の場合、好ましくは250〜450μmである。加圧工程は、ローラプレス機で行なうことが好ましい。ローラプレス機は、電極面の平滑化に最も効果があるので、当該ローラプレス機で加圧することにより、短絡のおそれを少なくすることができる。
【0050】
電極の製造に際しては、必要に応じて、上記の加圧工程後に加熱処理を行なってもよい。加熱処理を行なうことにより、バインダが溶融して活物質と三次元網状金属多孔体とをより強固に結着することができ、また、活物質が焼成されることにより活物質の強度が向上する。
加熱処理の温度は、100℃以上であり、好ましくは150〜200℃である。
加熱処理は、常圧下で行なってもよく、減圧下で行なってもよいが、減圧下で行なうことが好ましい。減圧下で加熱処理を行なう場合、圧力は、例えば、1000Pa以下、好ましくは1〜500Paである。
加熱時間は、加熱雰囲気、圧力等に応じて適宜決定されるが、通常1〜20時間、好ましくは5〜15時間とすればよい。
さらに必要に応じて、充填工程と加圧工程との間に、常法に従って乾燥工程を行なってもよい。
【0051】
(固体電解質膜(SE膜))
固体電解質膜は、前記の固体電解質材料を膜状に形成することによって得ることができる。
本発明においては、活物質が充填された三次元網状金属多孔体を基材とし、その片方の面に、無機固体電解質材料を蒸着法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法等によって成膜することによって固体電解質膜を形成させる。
蒸着法による固体電解質膜の形成には、例えば、特開2009−167448号公報に記載されているような方法(蒸着原料容器に装入した原料に、電子ビームまたはレーザービームを照射して蒸気を発生させ、基板上に蒸着膜を蒸着する真空蒸着法)や、特開2011−142034号公報に記載されているような抵抗加熱蒸着法を用いることができる。
固体電解質膜は、正極用集電体の片方の面及び負極表集電体の片方の面のそれぞれに形成する。
固体電解質膜の膜厚は、1〜500μmとすることが好ましい。
【実施例】
【0052】
以下、本発明のリチウムイオン二次電池を、実施例に基づいてより詳細に説明する。しかし、かかる実施例は例示であって、本発明は、これらに限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、以下においては、非水電解質として固体電解質が用いられた二次電池を実施例として示すが、非水電解質として非水系電解液が用いられた二次電池も、以下の実施例の二次電池による効果と同様の効果を奏することは当業者には容易に理解できる。
【0053】
以下の製造例においては、三次元網状アルミニウム多孔体及び三次元網状銅多孔体それぞれの硬さは、該多孔体を樹脂に埋め込んで切断し、切断面を研磨し、骨格(めっき)断面にナノインデンターの圧子を押し当てることによって測定することによって評価した。
【0054】
(製造例1)
<アルミニウム多孔体1の製造>
(導電層の形成)
樹脂基材として、ポリウレタンフォーム(気孔率95%、厚さ1mm、1インチ当たりの気孔数が30個(気孔径847μm))を使用した。このポリウレタンフォームの表面にスパッタ法によってアルミニウムの目付量が10g/m
2となるように成膜して導電層を形成させた。
【0055】
(溶融塩めっき)
表面に導電層が形成された前記ポリウレタンフォームをワークとして用いた。ワークを、給電機能を有する治具にセットした後、当該治具を、アルゴン雰囲気及び低水分条件(露点−30℃以下)に保たれたグローブボックス内に入れ、温度40℃の溶融塩アルミめっき浴(組成:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(EMIC)33mol%及びAlCl
367mol%)に浸漬させた。ワークがセットされた治具を整流器の陰極側に接続し、対極のアルミニウム板(純度99.99%)を陽極側に接続した。次に、溶融塩アルミニウムめっき浴を撹拌しながら、ワークと対極との間に、電流密度3.6A/dm
2の直流電流を90分間流してめっきすることにより、ポリウレタンフォーム表面にアルミニウムめっき層(アルミニウムの目付量:150g/m
2)が形成された[アルミニウム−樹脂複合多孔体1]を得た。溶融塩アルミニウムめっき浴の攪拌は、テフロン(登録商標)製の回転子とスターラーとを用いて行なった。ここで、電流密度は、ポリウレタンフォームの見かけの面積で計算した値である。
【0056】
(ポリウレタンフォームの除去)
前記[アルミニウム−樹脂複合多孔体1]を温度500℃のLiCl−KCl共晶溶融塩に浸漬させ、−1Vの負電位を30分間印加した。溶融塩中にポリウレタンの分解反応による気泡が発生した。その後、得られた産物を、大気中で室温まで冷却した後、水洗して前記産物から溶融塩を除去し、ポリウレタンフォームが除去された[焼鈍前アルミニウム多孔体1]を得た。
【0057】
(焼鈍処理)
前記[焼鈍前アルミニウム多孔体1]を窒素雰囲気中において、345℃で1.5時間加熱することによって熱処理を行なった後、自然冷却(炉冷)させ、[アルミニウム多孔体1]を得た。ナノインデンターを用いて硬さを測定したところ、[アルミニウム多孔体1]の硬さは0.85GPaであった。
【0058】
[製造例2]
<アルミニウム多孔体2の製造>
製造例1において、345℃で1.5時の熱処理を行なう代わりに200℃で30分間の熱処理を行なったことを除き、製造例1と同様の操作を行ない、[アルミニウム多孔体2]を得た。[アルミニウム多孔体2]の硬さは、1.12GPaであった。
【0059】
(製造例3)
<銅多孔体1の製造>
(導電層の形成)
樹脂基材として、製造例1で用いられたものと同様のポリウレタンフォームを用いた。ポリウレタンフォームの表面にスパッタ法によって銅の目付量が10g/m
2となるように成膜して導電層を形成させた。
【0060】
(電気めっき)
次に、導電層が形成された前記ポリウレタンフォームを硫酸銅めっき浴に浸漬させて電気めっきを行ない、ポリウレタンフォーム表面に銅めっき層(銅の目付量:400g/m
2)が形成された[銅−樹脂複合多孔体1]を得た。
【0061】
(ポリウレタンフォームの除去)
上記の[銅−樹脂複合多孔体1]を熱処理してポリウレタンフォームを焼却除去した。その後、得られた産物を、還元性雰囲気で加熱して還元することにより、[焼鈍前銅多孔体1]を得た。[焼鈍前銅多孔体1]の硬さは3.14GPaであった。
【0062】
(焼鈍処理)
前記[焼鈍前銅多孔体1]を窒素雰囲気中において、300℃で1.5時間加熱して熱処理を行なった後、自然冷却(炉冷)させ、[銅多孔体1]を得た。[銅多孔体1]の硬さは1.82GPaであった。
【0063】
(製造例4)
<銅多孔体2の製造>
製造例3において、300℃で1.5時間の熱処理を行なう代わりに300℃で30分間の熱処理を行なったことを除き、製造例3と同様の操作を行ない、[銅多孔体2]を得た。[銅多孔体2]の硬さは2.54GPaであった。
【0064】
(製造例5)
<正極1の製造>
正極活物質として、コバルト酸リチウム粉末(平均粒子径:5μm)を用いた。コバルト酸リチウム粉末(正極括物質)とLi
2S−P
2S
2(固体電解質)とアセチレンブラック(導電助剤)とPVDF(バインダ)とを、質量比(正極括物質/固体電解質/導電助剤/バインダ)が55/35/5/5となるように混合した。得られた混合物に、N−メチル−2−ピロリドン(有機溶剤)を滴下して混合し、ペースト状の正極合剤スラリーを得た。次に、得られた正極合剤スラリーを、[アルミニウム多孔体1]の表面に供給し、ローラで5kg/cm
2の負荷をかけて押圧することにより、[アルミニウム合金多孔体1]の気孔に正極合剤を充填した、その後、正極合剤が充填された[アルミニウム多孔体1]を100℃で40分間乾燥させて有機溶剤を除去することにより、[正極1]を得た。
【0065】
(製造例6)
<正極2の製造>
製造例5において、[アルミニウム多孔体1]に代えて[アルミニウム多孔体2]を用いたことを除き、製造例5と同様の操作を行ない、[正極2]を得た。
【0066】
(製造例7)
<正極3の製造>
製造例5において、[アルミニウム多孔体1]に代えて[焼鈍前アルミニウム多孔体1]を用いたことを除き、製造例5と同様の操作を行ない、[正極3]を得た。
【0067】
(製造例8)
<負極1の製造>
負極活物質として、チタン酸リチウム粉末(平均粒子径:2μm)を用いた。チタン酸リチウム粉末(負極活物質)とLi
2S−P
2S
2(固体電解質)とアセチレンブラック(導電助剤)とPVDF(バインダ)とを、質量比(不局括物質/固体電解質/導電助剤/バインダ)が50/40/5/5となるように混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドン(有機溶剤)を滴下して混合し、ペースト状の負極合剤スラリーを得た。次に、得られた負極合剤スラリーを[銅多孔体1]の表面に供給し、ローラで5kg/cm
2の負荷をかけて押圧することにより、[銅多孔体1]の気孔に負極合剤を充填した、その後、負極合剤が充填された[銅多孔体1]を100℃で40分間乾燥させて有機溶剤を除去することにより、[負極1]を得た。
【0068】
(製造例9)
<負極2の製造>
製造例8において、[銅多孔体1]に代えて[銅多孔体2]を用いたことを除き、製造例8と同様の操作を行ない、[負極2]を得た。
【0069】
(製造例10)
<負極2の製造>
製造例8において、[銅多孔体1]に代えて[焼鈍前銅多孔体1]を用いたことを除き、製造例8と同様の操作を行ない、[負極3]を得た。
【0070】
(製造例11)
<固体電解質膜1の製造>
リチウムイオン導電性ガラス状固体電解質であるLi
2S−P
2S
2(固体電解質)を乳鉢で100メッシュ以下に粉砕し、直径10mm、厚さ1.0mmのディスク状に加圧成形して、[固体電解質膜1]を得た。
【0071】
(実施例1)
[正極1]と[負極1]との間に[固体電解質膜1]を挟んで圧接し、[全固体リチウム二次電池1]を製造した。
【0072】
(実施例2)
実施例1において、[正極1]に代えて[正極2]を用いたこと及び[負極1]に代えて[負極2]を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、[全固体リチウム二次電池2]を製造した。
【0073】
(比較例1)
実施例1において、[正極1]に代えて[正極3]を用いたこと及び[負極1]に代えて[負極3]を用いたことを除き、実施例1と同様の操作を行ない、[全固体リチウム二次電池3]を製造した。
【0074】
(試験例1)
上記で得た全固体リチウム二次電池1〜3について電流密度100μA/cm
2で充放電サイクル試験を行った。その結果を表1に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
表1にされた結果から、本発明の集電体が用いられたリチウム二次電池は、サイクル特性が良好であることがわかる。