【実施例】
【0010】
図1〜
図8は、この発明の実施例を示すものである。
図1・
図2において、1は車両、2は車体、3はダッシュパネル、4はフロアパネルである。車両1は、車体2の前部にダッシュパネル3を配置し
ている。車体1のフロア部は、ダッシュパネル3の下部から車体2の後部に向かうフロアパネル4を配置し
、フロアパネル4
の幅方向中央に上方に突出して車体2の前後方向に伸びるフロアトンネル5を備え、
フロアパネル4の右側部及び左側部に夫々サイドシル6・7を
配置し、フロアトンネル5と右側部及び左側部のサイドシル6・7とを接続するクロスメンバ8を
配置している。フロアパネル4の後部には、上方に立ち上がる段差部9を備え、段差部9の上部から後部に向かう後部パネル10を備えている。
車両1は、ダッシュパネル3の前側にエンジンルーム11を設け、ダッシュパネル3の後側のフロアパネル4及び後部パネル10上に車室12を設けている。車両1は、エンジンルーム11にエンジン13と変速機14とを配置し、車輪15を駆動する。変速機14の上部には、バッテリなどの電機機器16を配置している。また、車両1は、車室12のフロアパネル4、段差部9、後部パネル10の各上面にフロアマット17を配置している(
図5参照)。フロアパネル4の上面に配置したフロアマット17上には、フロアトンネル5を挟むように右側及び左側にそれぞれ前部シート18・19を配置している。後部パネル10の上面に配置したフロアマット17上には、後部シート20を配置している。
【0011】
前記フロアパネル4
とサイドシル6・7を含んで構成される車体1のフロア部は、
図3、
図4に示すように、右側及び左側のサイドシル6・7に水抜き孔21を備えている。なお、
図3、
図4においては、右側のサイドシル6の水抜き孔を省略し、左側のサイドシル7の水抜き孔21のみを図示している。水抜き孔21を有するフロアパネル4の上方に配置され、フロアトンネル5より左側の部分を覆うフロアマット17は、
図5、
図6に示すように、車両下方に窪んだマット側凹部22を備えている。マット側凹部22は、
図4に示すように、前記左側の前部シート19のクッション部23により覆われている。マット側凹部22内には、車両用バッテリパック24(以下「バッテリパック24」と記す。)を配置している。
バッテリパック24は、左側の前部シート19のクッション部23の下側で、フロアマット17のマット側凹部22内に配置されている。バッテリパック24は、
図5〜
図7に示すように、四角箱形状に形成されたケース25内にバッテリモジュール(図示せず)を収納している。バッテリパック24には、バッテリモジュールの電力を出力する電力ケーブル26が接続され、バッテリパック24の上側に電力ケーブル26を覆うケーブルカバー27を配置している。バッテリパック24から引き出され電力ケーブル26は、ケーブルカバー27に覆われた状態でフロアパネル4の下側に引き出され、エンジンルーム11に導かれ、電機機器16に接続している。
【0012】
前記バッテリパック24は、
図7に示すように、ケース25下部の右側及び左側にそれぞれ固定部28を設けている。マット側凹部22の下方に配置されるフロアパネル4の上面側には、上方へ立ち上がる門型形状のブラケット29を取り付けている。このブラケット29の上部には、バッテリパック24の固定部28が締結具30によって固定される取付部31を設けている。
前記バッテリパック24を配置したマット側凹部22は、その底面がフロアパネル4の上面から上方に離れるように形成されている。これより、前部シート19のクッション部23の下側には、
図7に示すように、マット側凹部22の上方にバッテリパック24を配置する空間32を形成し、マット側凹部22の下面とフロアパネル4の上面との間に排水のための空間33を形成している。
フロアマット17のマット側凹部22には、
図8に示すように、固定部28を取付部31に固定するための開口部34を形成している。開口部34は、ブラケット29の取付部31に対して接しないように、隙間35を有して形成している。この隙間35は、マット側凹部22の上方の空間32とマット側凹部22の下方の空間33とを連絡している。
【0013】
このように、バッテリパック24の車載構造は、フロアマット17のマット側凹部22に形成した開口部34にブラケット29の取付部31に対する隙間35を有せしめることで、マット側凹部22に専用の排水孔の加工を要することなくマット側凹部22に流入した水を排水できる構造としている。これにより、この車載構造は、乗員の不注意による飲料容器の転倒や雨の吹き込みなどによってマット側凹部22の上面に水が流入した場合、
図7に矢印で示すように、水をバッテリパック24直近に配置された開口部34とブラケット29の取付部31との間の隙間35を通して、マット側凹部22の下側の空間33へ流し、
サイドシル6・7の水抜き孔21から車外に排出させることができる。
このため、バッテリパック24の車載構造は、周辺よりも窪んだ形状のマット側凹部22内にバッテリパック24を配置した場合であっても、マット側凹部22からの排水性を高め、水がバッテリパック24内へ侵入することを防止できる。
また、このバッテリパック24の車載構造は、
図5に示すように、マット側凹部22の外側部に隣接する部分に位置するフロアマット4の下面とフロアパネル17の上面との間に、発泡樹脂製のパッド36を配置している。
これにより、バッテリパック24の車載構造は、フロアマット17の下面側に水が侵入した際、発泡樹脂製のパッド36が侵入した水に浮いてマット側凹部22を持ち上げることで、マット側凹部22の下面とフロアパネル4の上面との間の空間33の容積を増大させ、マット側凹部22の上下の空間32・33を連絡する隙間35を拡げてマット側凹部22からの排水を速くし、バッテリパック24内への水侵入を防止することができる。
さらに、このバッテリパック24の車載構造は、
図8に示すように、バッテリパック24の固定部28を車両1の上方から見た場合、開口部34全体を覆う大きさに形成している。
このように、バッテリパック24の車載構造は、バッテリパック24の側に設けた固定部28を車両1上方から見た場合、マット側凹部21に形成した開口部34全体を覆う大きさに形成したため、開口部34に向かう乗員の視線を固定部28によって遮ることができ、開口部34を通して車室12内からフロアパネル4が目視されることを防止でき、車両1の外観性を向上できる。