特許第6016194号(P6016194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6016194-車両用シート 図000002
  • 特許6016194-車両用シート 図000003
  • 特許6016194-車両用シート 図000004
  • 特許6016194-車両用シート 図000005
  • 特許6016194-車両用シート 図000006
  • 特許6016194-車両用シート 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016194
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/44 20060101AFI20161013BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   B60N2/44
   B60N3/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-175613(P2012-175613)
(22)【出願日】2012年8月8日
(65)【公開番号】特開2014-34253(P2014-34253A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097386
【弁理士】
【氏名又は名称】室之園 和人
(72)【発明者】
【氏名】本多 直人
(72)【発明者】
【氏名】松下 優穂
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−059632(JP,A)
【文献】 特開平10−081159(JP,A)
【文献】 特開2004−147728(JP,A)
【文献】 特開平07−052717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/44
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッションと、
前記シートクッションを載置支持する枠状の支持フレームと、
前記支持フレームの枠内に配置される物品収納部とを備え、
前記物品収納部は上側に開口し、
前記シートクッションの前端部と前記支持フレームとの間に、前記シートクッションがシート前端部側の横軸芯周りに揺動回転することを許す回転機構が設けられて、前記シートクッションが、前記物品収納部の開口部を覆い隠す着座姿勢と、前記開口部を開放する起立姿勢とに切り換え自在に構成され、
前記支持フレームの後部にシート後方側から嵌合するカバーを備え、
前記カバーの剛性を向上させる凹部が前記カバーに形成され、
前記凹部はシート前方側に凹んでいる車両用シート。
【請求項2】
前記凹部は、前記カバーのシート幅方向両端部間にわたって形成されている請求項1記載の車両用シート。
【請求項3】
前記シートクッションの起立姿勢時に露出する前記カバーの裏面がシボ加工されている請求項1又は2記載の車両用シート。
【請求項4】
前記支持フレームの後部は、シート幅方向に沿う後側上方の上側パイプと、シート幅方向に沿う前側下方の下側パイプとから成り、
前記カバーの凹部の前側壁部は縦壁状に形成され、
前記下側パイプにシート後方側から嵌合する縦リブ状の下側嵌合壁が前記前側壁部からシート前方側に張り出し、
前記カバーは、前記前側壁部の下端部からシート前方側に延びる底壁を備え、
前記下側嵌合壁の下端部は前記底壁の上面に連なり、
前記下側嵌合壁の側方の底壁に立設された支持壁に前記下側嵌合壁が連なって前記支持壁に支持されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用シート。
【請求項5】
前記凹部の上側壁部の後端部は前記上側パイプの下方に近接配置され、
前記上側パイプにシート後方側から嵌合する断面円弧状の上側嵌合壁が、前記凹部の上側壁部の後端部から立ち上がっている請求項4記載の車両用シート。
【請求項6】
前記物品収納部は、上側に前記開口部を備えた箱状の収納部本体と、前記収納部本体の後側上端部からシート後方側に張り出す後側フランジとを備え、
前記凹部の上側壁部は略水平に形成され、
前記上側壁部の前端部が前記物品収納部の後側フランジの後端部に突き合わされて、前記凹部の上側壁部の上面と前記後側フランジの上面とが上下方向において略同一位置に位置している請求項5に記載の車両用シート。
【請求項7】
前記物品収納部の後側フランジの後端部が当接する前記カバーの裏面がシボ加工されている請求項6に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
シートクッションと、
前記シートクッションを載置支持する枠状の支持フレームと、
前記支持フレームの枠内に配置される物品収納部とを備え、
前記物品収納部は上側に開口し、
前記シートクッションの前端部と前記支持フレームとの間に、前記シートクッションがシート前端部側の横軸芯周りに揺動回転することを許す回転機構が設けられて、前記シートクッションが、前記物品収納部の開口部を覆い隠す着座姿勢と、前記開口部を開放する起立姿勢とに切り換え自在に構成され、
前記支持フレームの後面側を覆うカバーを備えている車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、前記支持フレームを覆うカバーは樹脂で成形されている。そのために、従来、カバーの意匠面とは反対側の裏面に格子状のリブを形成してカバーの面強度を確保していた(特許文献1参照)。
しかしながら、シートクッションが前記着座姿勢と起立姿勢とに切り換え自在に構成された構造(特許文献1、特許文献2参照)に上記従来の技術が採用されている場合、シートクッションを起立姿勢にして物品収納部を使用する時にカバーの裏面のリブが乗員に見えることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−11668号公報
【特許文献2】特開2005−193883号公報
【特許文献3】特開2004−155284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構造によれば、シートクッションを起立姿勢にして物品収納部を使用する時にカバーの裏面のリブが乗員に見えるために外観を損なうという問題があった。
シートクッションの起立姿勢時に露出するカバーの裏面を別のカバーで覆う手段も考えられるが、この手段によれば部品点数や重量が増加する。
本発明の目的は、シートクッションを起立姿勢にして物品収納部を使用する時に見えるカバーの裏面の外観品質を、部品点数及び重量の増加を招くことなく向上させることができる車両用シートを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の特徴は、
シートクッションと、
前記シートクッションを載置支持する枠状の支持フレームと、
前記支持フレームの枠内に配置される物品収納部とを備え、
前記物品収納部は上側に開口し、
前記シートクッションの前端部と前記支持フレームとの間に、前記シートクッションがシート前端部側の横軸芯周りに揺動回転することを許す回転機構が設けられて、前記シートクッションが、前記物品収納部の開口部を覆い隠す着座姿勢と、前記開口部を開放する起立姿勢とに切り換え自在に構成され、
前記支持フレームの後部にシート後方側から嵌合するカバーを備え、
前記カバーの剛性を向上させる凹部が前記カバーに形成され、
前記凹部はシート前方側に凹んでいる点にある。(請求項1)
【0006】
前記カバーの剛性を向上させる凹部が前記カバーに形成されているから、カバーの裏面に剛性を向上させるためのリブを設けなくてもよくなる。従って、シートクッションを起立姿勢にして物品収納部を使用する時に見えるカバーの裏面の外観を損なうことがない。また、シートクッションの背面側のカバーの意匠面の外観を損なうこともない。
そして、前記凹部はシート前方側に凹んでいるから、本発明の上記構成が前席に適用された場合、後席乗員の脚部が位置するスペースを広く確保することができ、後席乗員の室内居住性を向上させることができる。
さらに、前記カバーの裏面を別のカバーで覆う必要がないから、部品点数及び重量の増加を回避することができる。(請求項1)
【0007】
本発明において、
前記凹部は、前記カバーのシート幅方向両端部間にわたって形成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0008】
前記凹部をシート幅方向に長く形成することができて、カバーの剛性を十分確保することができる。(請求項2)
【0009】
本発明において、
前記シートクッションの起立姿勢時に露出する前記カバーの裏面がシボ加工されていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0010】
カバーの裏面の外観を、シートクッションの背面側のカバーの意匠面と同等にすることができ、シートクッションを起立姿勢にして物品収納部を使用する時の物品収納部周辺の外観品質を向上させることができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
前記支持フレームの後部は、シート幅方向に沿う後側上方の上側パイプと、シート幅方向に沿う前側下方の下側パイプとから成り、
前記カバーの凹部の前側壁部は縦壁状に形成され、
前記下側パイプにシート後方側から嵌合する縦リブ状の下側嵌合壁が前記前側壁部からシート前方側に張り出し、
前記カバーは、前記前側壁部の下端部からシート前方側に延びる底壁を備え、
前記下側嵌合壁の下端部は前記底壁の上面に連なり、
前記下側嵌合壁の側方の底壁に立設された支持壁に前記下側嵌合壁が連なって前記支持壁に支持されていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0012】
下側嵌合壁を前記底壁と支持壁で支持するから、下側嵌合壁の剛性を向上させることができ、下側嵌合壁と下側パイプの嵌合状態をより安定させることができる。(請求項4)
【0013】
本発明において、
前記凹部の上側壁部の後端部は前記上側パイプの下方に近接配置され、
前記上側パイプにシート後方側から嵌合する断面円弧状の上側嵌合壁が、前記凹部の上側壁部の後端部から立ち上がっていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0014】
前記上側壁部の後端部からの前記上側嵌合壁の立ち上がり量を短くすることができ、重量を軽減できる。(請求項5)
【0015】
本発明において、
前記物品収納部は、上側に前記開口部を備えた箱状の収納部本体と、前記収納部本体の後側上端部からシート後方側に張り出す後側フランジとを備え、
前記凹部の上側壁部は略水平に形成され、
前記上側壁部の前端部が前記物品収納部の後側フランジの後端部に突き合わされて、前記凹部の上側壁部の上面と前記後側フランジの上面とが上下方向において略同一位置に位置していると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
【0016】
物品収納部からカバーの裏面にかけて段差が生じない。従って、より自然な外観にすることができる。また、物品収納部に収納しようとした小物がカバー側に落ちてしまっても、凹部の上側壁部で小物を受け止めて、物品収納部内に導くことができる。(請求項6)
【0017】
本発明において、
前記物品収納部の後側フランジの後端部が当接する前記カバーの裏面がシボ加工されていると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
【0018】
前記物品収納部の後側フランジの後端部が当接する前記カバーの裏面の傷付きを目立たなくすることができ、物品収納部を取り外した状態でカバーの裏面の外観が損なわれるのを防止することができる。(請求項7)
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、
シートクッションを起立姿勢にして物品収納部を使用する時に見えるカバーの裏面の外観品質を、部品点数及び重量の増加を招くことなく向上させることができる車両用シートを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】シートクッションが起立姿勢状態の車両用シートの斜視図
図2図1のX矢視図
図3】カバーを裏面側から見た斜視図
図4】カバーを意匠面側から見た斜視図
図5】カバーの縦断面図
図6】別実施形態を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1図2に、自動車に前席として搭載される車両用シートを示してある。この車両用シートは、乗員の上半身を支持するシートバック(図示せず)と、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション1と、シートクッション1を載置支持する枠状の支持フレーム2とを備えている。さらに、車両用シートは、支持フレーム2の枠内に配置される物品収納部3と、支持フレーム2をシート前後方向にスライド移動自在に支持する左右一対のスライドレール4と、支持フレーム2の後面側を覆う樹脂製のカバー5とを備えている。自動車の前記車両用シートの後方には、後席としての別の車両用シートが配置されている。
【0022】
[物品収納部3の構造]
前記物品収納部3は、上側に開口部3K(図5参照)を備えた四角形の箱状の収納部本体11と、収納部本体11の後側上端部からシート後方側Rrに張り出す後側フランジ12とを備えている。図1に示すように、後側フランジ12のシート幅方向中央部は切り欠かれている。また、後側フランジ12のシート幅方向両端部はシート幅方向外側ほど上方に位置するように傾斜している。
【0023】
[支持フレーム2の構造]
支持フレーム2は、左右一対のサイドフレーム21と、左右一対のサイドフレーム21の後端部同士を連結するリヤフレーム23(支持フレームの後部に相当)とを備えている。左右一対のサイドフレーム21の下端部は左右一対のスライドレール4の可動レール4Aに各別にボルトBで固定されている。可動レール4Aはスライドレール4の固定レール4Bに対してレール長手方向にスライド移動自在に嵌合している。
【0024】
リヤフレーム23は、シート幅方向に沿う後側上方の上側パイプ24と、シート幅方向に沿う前側下方の下側パイプ25とから成る。上側パイプ24と下側パイプ25は円筒状に形成されている。上側パイプ24の長手方向の端部と下側パイプ25の長手方向の端部は、サイドフレーム21の後端部から後ろ上方に延びる立ち上がり部21Bのパイプ挿通孔に挿通されて溶接固着されている。
【0025】
図1に示すように、シートクッション1は、シートクッション1の骨格を形成するシートクッションフレーム1Fと、シートクッションフレーム1Fに支持されるシートクッションパッドと、シートクッションパッドを覆う表皮材とから成る。シートクッションパッドは発泡ウレタンで形成されている。
【0026】
そして、シートクッション1の前端部1Mとサイドフレーム21の前端部21Mとの間に、シートクッション1がシート前端部側の横軸芯O周りに揺動回転することを許す回転機構51が設けられて、シートクッション1が、物品収納部3の開口部3Kを覆い隠す着座姿勢と、開口部3Kを開放する起立姿勢(図1参照)とに切り換え自在に構成されている。シートクッション1と支持フレーム2の間には、シートクッション1を着座姿勢にロック及びロック解除可能なロック機構が設けられている。
【0027】
乗員は、シートクッション1を前側に引き起こし、起立姿勢にして物品収納部3に物品を出し入れする。つまり、乗員が物品収納部3に物品を出し入れできるように、シートクッション1が前記着座姿勢と起立姿勢に切り換え自在に構成されている。
【0028】
図1に示すように、シートクッションフレーム1Fの前端部から左右一対の脚部52が下方に延び、脚部52の下端部に連結孔が形成されている。脚部52はシート幅方向から見て下窄まりの三角形状に形成されている。また、左右一対のサイドフレーム21の前側下端部にシート幅方向に沿う支持軸53(横軸)が設けられている。そして、前記連結孔を前記支持軸53に回転自在に外挿して前記回転機構51が構成されている。
【0029】
[カバー5の構造]
図3図5に示すように、前記カバー5は、シート幅方向に長い長方形状の底壁30と、後端側ほど上方に位置するように底壁30の後端部から後ろ上方に直線状に延びる傾斜壁31と、傾斜壁31の上端部から立ち上がり、前記上側パイプ24にシート後方側Rrから嵌合する断面円弧状の上側嵌合壁32とを備えている。上側嵌合壁32はシート前方側Frに開放している。
【0030】
そして、前記傾斜壁31に、カバー5の剛性を向上させる凹部35が形成されている。凹部35はシート前方側Frに凹み、傾斜壁31のシート幅方向両端部間にわたって形成されている。
【0031】
図3図5に示すように、前記凹部35の上側壁部46は略水平に形成され、上側壁部46の後端部は上側パイプ24の下方に近接配置されている。前記断面円弧状の上側嵌合壁32は、下側の前端部が、凹部35の上側壁部46の後端部と、前記傾斜壁31の上端部とに連なっている。これにより、上側壁部46の後端部からの上側嵌合壁32の立ち上がり量を短くすることができ、重量を軽減できる。
【0032】
上側嵌合壁32の内周部には、シート幅方向に間隔を空けて並ぶ複数の円弧状のリブ40が立設され、前記複数のリブ40の頂部が上側パイプ24にシート後方側Rrから嵌合する。図3図5に示すように、シート幅方向外側のリブ40の付け根には、上側嵌合壁32の意匠面と傾斜壁31の意匠面にヒケが発生することを防止するための溝40Zが形成されている。溝40Zはシート幅方向外側に開放している。
【0033】
カバー5の凹部35の前側壁部45は略鉛直な縦壁状に形成されている。つまり、前側壁部45は上側壁部46の前端部から下方に延びて、前側壁部45と上側壁部46とで断面L字状の凹部壁を形成している。図3に示すように、前側壁部45のシート幅方向中央部45Bは、このシート幅方向中央部45Bの両側の部分45Aよりも、シート前後方向における凹部35の深さが浅く設定されている。
【0034】
前記底壁30は前側壁部45の下端部からシート前方側Frに略水平に延びている。図3図5に示すように、前記下側パイプ25にシート後方側Rrから嵌合する左右一対の縦リブ状の下側嵌合壁36が、前側壁部45からシート前方側Frに張り出している。下側嵌合壁36はカバー5のシート幅方向の端部に位置する。
【0035】
前記下側嵌合壁36は、長方形状の壁本体にシート前方側Frに開放する円弧状の大きな孔を形成して構成されている。下側嵌合壁36の上面36Jは上側に凸の緩やかな円弧状に形成されている。また、図3に示すように、左右一対の下側嵌合壁36のシート幅方向内側の底壁30に、シート前後方向に沿う複数のパイプ支持リブ70が複数個ずつ立設されている。パイプ支持リブ70は下側パイプ25を下方から受け止め支持する。
【0036】
下側嵌合壁36の下端部は前記底壁30の上面に連なっている。図3図5に示すように、下側嵌合壁36の下端部と後端部には、底壁30の意匠面と前側壁部45の意匠面にヒケが発生することを防止するための溝36Zがそれぞれ形成されている。溝36Zはシート幅方向外側に開放している。また、下側嵌合壁36の側方(シート幅方向外側)の底壁30に立設された支持壁37に下側嵌合壁36が連なって支持壁37に支持されている。
【0037】
支持壁37は、下側嵌合壁36の後端部の側方の底壁30から下側嵌合壁36の頂部付近まで立ち上がる立ち上がり壁38と、立ち上がり壁38の上端部からシート前方側Frに、下側嵌合壁36の前端付近まで延びる上壁39とから成る。立ち上がり壁38と上壁39の間のコーナー部は円弧状に形成されている。また、立ち上がり壁38のシート幅方向内側の側部と、上壁39のシート幅方向内側の側部とは、下側嵌合壁36のシート幅方向外側の側面に連なっている。
【0038】
図3に示すように、前記シートクッション1の起立姿勢時に露出する前記カバー5の裏面がシボ加工されている。また、物品収納部3の後側フランジ12の後端部が当接するカバー5の裏面がシボ加工されている。図3の斜線部はシボ加工された箇所を示している。シボ加工された個所は、前側壁部45の裏面(前面)と、上側壁部46の上面と、左右一対の下側嵌合壁36間の底壁30の上面である。
【0039】
物品収納部3の後側フランジ12の後端部が当接するカバー5の裏面がシボ加工されているから、前記後側フランジ12の後端部が当接するカバー5の裏面の傷付きを目立たなくすることができる。その結果、物品収納部3を取り外した状態でカバー5の裏面の外観が損なわれるのを防止することができる。
【0040】
上記の構成によれば、
(1) 前記カバー5の剛性を向上させる凹部35がカバー5に形成されているから、カバー5の裏面に剛性を向上させるためのリブを設けなくてもよくなる。従って、シートクッション1を起立姿勢にして物品収納部3を使用する時に見えるカバー5の裏面の外観を損なうことがない。また、シートクッション1の背面側のカバー5の意匠面の外観を損なうこともない。
そして、前記凹部35はシート前方側Frに凹んでいるから、後席乗員の脚部が位置するスペースを広く確保することができ、後席乗員の室内居住性を向上させることができる。
さらに、前記カバー5の裏面を別のカバーで覆う必要がないから、部品点数及び重量の増加を回避することができる。
【0041】
(2) 前記凹部35は、カバー5のシート幅方向両端部間にわたって形成されているから、凹部35をシート幅方向に長く形成することができて、カバー5の剛性を十分確保することができる。
【0042】
(3) シートクッション1の起立姿勢時に露出するカバー5の裏面がシボ加工されているから、カバー5の裏面の外観を、シートクッション1の背面側のカバー5の意匠面と同等にすることができる。そして、シートクッション1を起立姿勢にして物品収納部3を使用する時の物品収納部3周辺の外観品質を向上させることができる。
【0043】
(4) 下側嵌合壁36を前記底壁30と支持壁37で支持するから、下側嵌合壁36の剛性を向上させることができ、下側嵌合壁36と下側パイプ25の嵌合状態をより安定させることができる。
【0044】
[別実施形態]
図6に示すように、前記上側壁部46の前端部が前記物品収納部3の後側フランジ12の後端部に突き合わされて、凹部35の上側壁部46の上面46Jと前記後側フランジ12の上面12Jとが上下方向において略同一位置に位置していてもよい。
【0045】
この構成によれば、物品収納部3からカバー5の裏面にかけて段差が生じない。従って、より自然な外観にすることができる。また、物品収納部3に収納しようとした小物がカバー5側に落ちてしまっても、凹部35の上側壁部46で小物を受け止めて、物品収納部3内に導くことができる。
【符号の説明】
【0046】
1 シートクッション
1M シートクッションの前端部
2 支持フレーム
3 物品収納部
3K 開口部
5 カバー
11 収納部本体
12 後側フランジ
12J 後側フランジの上面
23 支持フレームの後部(リヤフレーム)
24 上側パイプ
25 下側パイプ
30 底壁
32 上側嵌合壁
35 凹部
36 下側嵌合壁
36J 下側嵌合壁の上面
37 支持壁
45 前側壁部
46 上側壁部
46J 上側壁部の上面
51 回転機構
Fr シート前方側
O 横軸芯
Rr シート後方側
図1
図2
図3
図4
図5
図6