(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ショット処理装置に備えられた消耗品の稼働時間と、予め設定された寿命時間とを比較し、前記消耗品の交換時期を計算する計算部と、前記計算部の計算結果を表示可能な表示部とを有する制御装置を備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のショット処理装置。
前記ショット処理装置に備えられた消耗品の交換履歴の情報が入力され該交換履歴の情報を記憶する記憶部と、前記記憶部で記憶された前記交換履歴の情報を表示可能な表示部とを有する制御装置を備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のショット処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような装置では、内部に振動篩機が配置されるため装置が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、装置の大型化を抑えながら、回収した投射材と異物とを精度良く分離することができるショット処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
ワークに投射材を投射する投射機と、
前記投射機により投射された投射材を回収する回収機構と、
回収された投射材に上向きの気流をあてながら、前記回収された投射材を自由落下させ、前記回収された投射材に混入している異物を、前記回収された投射材から分離する風力選別機構と、
前記投射材が投射される投射室が内部に形成され、前記ワークを前記投射室に搬入するための投射室入口と前記ワークを前記投射室から搬出する投射室出口をと備えたキャビネットと、
前記投射室入口の上部から投射材をカーテン状に落下させる第一ショットカーテン装置と、
前記投射室出口の上部から投射材をカーテン状に落下させる第二ショットカーテン装置と、
投射された投射材を前記投射室から回収する回収機構と、
前記回収機構によって回収された投射材を、前記風力選別機構と前記第一ショットカーテン装置と前記第二ショットカーテン装置とに分配する分配箱と、を備えている、
ことを特徴とするショット処理装置が提供される。
【0007】
このような構成のショット処理装置によれば、投射機により投射された後に回収された投射材(投射材と異物の混合物)を自由落下させるとともに、上向きの気流が当てられることで、選別が精度良くなされる。
これは、投射材と異物の混合物が気流にさらされる時間が長くなることにより選別精度が良くなるためである。
このような構成のショット処理装置によれば、第一ショットカーテン装置および第二ショットカーテン装置から連続的に落下させられる投射材によって、投射機内で投射された投射材が投射室入口及び投射室出口から飛び出すことが阻止または抑制される。
また、投射された投射材は、分配装置により風力選別機構と、第一ショットカーテン装置と、第二ショットカーテン装置とに分配されるため、風力選別機構に供給される投射材の量が適正化され、風力選別機構及び集塵機の大型化が抑えられる。
【0008】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記風力選別機構は、
前記上向きの気流が生成され、前記回収された投射材が自由落下させられる自由落下ゾーンと、
最下部が前記自由落下ゾーンと開口部を介して連通し、前記回収された投射材が供給される供給部と、を備え、
前記開口部は、前記供給部の自由落下ゾーン側に上下方向に延びるよう配置された規制板と、該規制板の下端と前記供給部の自由落下ゾーンに向かって斜め下方に傾斜して延びる傾斜部との間に形成されている。
【0009】
このような構成のショット処理装置によれば、回収された投射材は、自由落下ゾーンに流入する際、流量が規制板によって規制され、且つ規制板の板幅方向に拡げられるので、規制板の幅方向に拡がった状態で自由落下ゾーン内を落下し、この結果、気流による異物の分離が促進される。
【0010】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記風力選別機構は、
前記自由落下ゾーン内を横切って配置された複数の分散棒を備えている。
【0011】
このような構成のショット処理装置によれば、回収された投射材は、自由落下する際、複数の分散棒で分散させられて、落下する投射材の間に適度な空間が生じる、この結果、上向きの気流は、落下する投射材の間で概ね均一に流れ、上向きの気流による混合物の選別(分級)が容易になる。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記自由落下ゾーンの下方には、自由落下した投射材を受ける凹状の受部が設けられている。
【0013】
このような構成のショット処理装置によれば、投射材は、自由落下ゾーンの下方の部材に衝突する前に、受部でその落下が一旦、停止するので、下方の部材の投射材による部品の摩耗が抑えられる。
【0014】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記風力選別機構は、前記自由落下ゾーンの上方に連通した
セトリングチャンバー部を備え、
前記
セトリングチャンバー部では、前記異物を、案内板によって迂回流を生じさせ、前記迂回流に乗せられる粉状物と落下する粒状物とに分離する。
【0015】
このような構成のショット処理装置によれば、異物中の軽量物を、セトリングチャンバー部によって迂回流に乗せられる粉状物と落下する粒状物とに分離できる。
【0018】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記風力選別機構により異物が分離された投射材は、前記投射機に供給される。
【0019】
このような構成のショット処理装置によれば、異物が取り除かれた投射材を投射機において再利用できる。
【0020】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記投射機から投射材を投射される位置に前記ワークを搬送する搬送手段を備え、
前記搬送手段は、
回転駆動される無端のチェーンと、前記チェーンの外周側に取り付けられ前記ワークを支持するキャリアとを有するチェーンコンベアと、
前記キャリアの前記ワークの搬送方向両側に配置され、前記ワークの搬送方向に延びる軸線を中心に自転且つ揺動可能とされた一対の自転ローラと、を備えている。
【0021】
このような構成のショット処理装置によれば、自転ローラの自転によって自転ローラに載置されたワークが回転し、ワークの全面に投射材が投射され、均一なショット処理がなされる。
【0022】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記一対の自転ローラの間隔を変更調整する変更調整機構が設けられている。
【0023】
このような構成のショット処理装置によれば、ワークの大きさに応じて一対の自転ローラの間隔が設定可能となるので、キャリアの上下方向の長さが抑えられる。
例えば、大きなワークを一対の自転ローラに載せる場合には一対の自転ローラの間隔を広げれば、ワークの上端高さ位置を低く抑えることができるので、ワークを支持するキャリアの上下方向の長さを抑えることも可能になり、装置全体の高さが抑えられる。
また、一対の自転ローラの間隔が変更調整可能となることで、様々な外径のワークを一対の自転ローラ上に載せることができるので、様々な外径のワークに対してショット処理をすることができる。
【0024】
本発明の他の好ましい態様によれば、
ショット処理装置の底面はフラットに形成されている。
【0025】
このような構成のショット処理装置によれば、ピットを掘る必要がなくなり、設置時の労力・コストを低減することができる。
【0026】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ショット処理装置に備えられた消耗品の稼働時間と、予め設定された寿命時間とを比較し、前記消耗品の交換時期を計算する計算部と、前記計算部の計算結果を表示可能な表示部とを有する制御装置を備えている。
【0027】
このような構成のショット処理装置によれば、消耗品の寿命を容易に把握することが可能となる。
【0028】
本発明の他の好ましい態様によれば、
前記ショット処理装置に備えられた消耗品の交換履歴の情報が入力され該交換履歴の情報を記憶する記憶部と、前記記憶部で記憶された前記交換履歴の情報を表示可能な表示部とを有する制御装置を備えている。
【0029】
このような構成のショット処理装置によれば、ショット装置の消耗品の交換履歴を容易に把握することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、装置の大型化を抑えながら、回収した投射材と異物とを精度良く分離することができるショット処理装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1〜
図6を参照して、本発明の一実施形態のショット処理装置であるショットピーニング装置について説明する。なお、これらの図に示される矢印FRは装置正面視の手前側を示しており、矢印UPは装置上方側を示しており、矢印LHは装置正面視の左側を示している。
【0033】
図1にはショットピーニング装置10が正面図にて示され、
図2にはショットピーニング装置10が右側面図にて示され、
図3にはショットピーニング装置10が平面図にて示されている。本実施形態に係るショットピーニング装置10のワークWは、コイルばね等の円筒型の製品とされる。なお、図中において適宜示される矢印Dは、ワークWが搬送される搬送方向を示している。
【0034】
図1に示されているように、ショットピーニング装置10は、キャビネット12を備えている。キャビネット12は、キャビネット12内で投射材(ショット、またはショット材)として使用される鋼球が、ショットピーニング装置10の外部に飛散しないように、ショットピーニング装置10の内部空間と外部空間とを区切る外壁部を備えている。また、装置下部の底面は、フラットに形成、すなわち装置上下方向の高さが同一になるように設定されている。
【0035】
キャビネット12は、ワークWの搬送方向の中間部にキャビネット本体14を備えている。キャビネット本体14の内部には、投射室14A(「投射ブース」、「加工室」、「研掃室」ともいう。)が形成されている。投射室14Aは、後述する投射機42により投射された投射材によって、ワークWの表面加工(本実施形態ではピーニング処理)を施すブースである。
【0036】
キャビネット本体14には、ワークWの搬送方向の上流側(図中左側)に投射室入口14Bが形成され、ワークWの搬送方向の下流側(図中右側)に投射室出口14Cが形成されている。投射室入口14Bは、ワークWを投射室14Aに搬入するための開口であり、投射室出口14Cは、ワークWを投射室14Aから搬出するための開口である。
【0037】
キャビネット本体14のワークWの搬送方向の上流側(図中左側)には、キャビネット12の一部を構成する上流側ブース16が隣接して配置されている。上流側ブース16は、投射室14Aに投射室入口14Bで連通する空間16Aを形成している。
また、上流側ブース16には、ワークWを搬入するための上流側ブース入口(図示省略)が、キャビネット本体14の投射室入口14Bに対向して形成されている。さらに、上流側ブース16に対して、ワークWの搬送方向のさらに上流側(図中左側)には、ショットピーニング装置10にワークWをセットするためセット部15が設けられている。なお、ワークWが重い、又は高温である等の手作業が困難となる場合には、セット部15にマニピュレータ、ハンドリング装置等の搬入装置(図示省略)を設け、この搬入装置からワークWを機械的に投入してもよい。
【0038】
一方、キャビネット本体14のワークWの搬送方向の下流側(図中右側)には、キャビネット12の一部を構成する下流側ブース18が隣接して配置されている。下流側ブース18は、投射室14Aに投射室出口14Cで連通する空間18Aを形成している。
また、下流側ブース18には、ワークWを搬出するための下流側ブース出口(図示省略)がキャビネット本体14の投射室出口14Cに対向して形成されている。
【0039】
上流側ブース16の天井部及び下流側ブース18の天井部からは、投射材の飛び出しを防止するためのワーク搬送方向に直交する方向に延びる複数の垂れ幕状のシール体(図示省略)が垂下されている。各シール体は、ワークWの搬送方向に所定間隔をおいて、互いにほぼ並行に配置されている。このシール体は、弾力性及び可撓性を備えた複数の長尺材で構成された暖簾状の部材(所謂ゴム暖簾)であり、ワークWの通過時には、ワークWの搬送方向に撓むように設定されている。
【0040】
キャビネット12の内部には、ワークWを連続的に搬送するためのチェーンコンベア20が設けられている。このチェーンコンベア20は、無端のチェーン22を備えている。チェーン22は、搬入側に配置されたスプロケット24と搬出側に配置されたスプロケット24とに巻回されている。スプロケット24は、モータ等の駆動源25に連結され回転駆動される。
【0041】
図6は、チェーンコンベア20によるワークWの搬送状態を示す正面図である。なお、図中手前側の後述するスピナーローラ28は、
図5では省略されている。
図6に示されているように、チェーン22の外周面には、ワークWを支持する複数のキャリア26が取り付けられている。キャリア26は、本体部分が棒状とされ、チェーン22の長手方向に沿って等間隔に配置され、チェーン22の周回時にワークWの端部を搬送方向上流側から支持し、ワークWを連続的に移送するようになっている。
図5(B)に示されるように、チェーン22は、左右に対をなして設けられており、キャリア26は、左右一対のチェーン22に掛け渡されたチェーンプレート23上に垂直に立設されている。
【0042】
チェーン22の上方側でかつキャリア26の両サイドには、自転ローラによって構成された一対のスピナーローラ28が、配置されている。一対のスピナーローラ28は、ワークWの搬送方向の両側に配置され、一対のスピナーローラ28上に、ワークWが載せられる。なお、これらチェーンコンベア20及びスピナーローラ28によりワークWを搬送する搬送手段が構成される。
【0043】
一対のスピナーローラ28の軸部には、スピナーローラ28間の距離を変更調整する変更調整機構30が設けられている。変更調整機構30は、キャリア26の両サイドに配置された一対の回動アーム30Aを備えており、回動アーム30Aの先端部は、一対のスピナーローラ28の中心軸を、回転可能に支持している。各回動アーム30Aの基端部は、キャリア26の近接位置に配置され、回転軸30Bにそれぞれ固定されている。
図5(A)に示されるように、回転軸30Bは、装置フレーム側に回転可能に支持されると共に、無端ベルト30Cを介して駆動源である駆動モータ30Dの軸部側に接続されている。すなわち、変更調整機構30は、駆動モータ30Dの回転に応じて回転軸30Bが回転することで、回動アーム30Aが枢動し、
図5(B)に示されるように、スピナーローラ28の軸部を円弧軌道に沿って変位させるようになっている。
【0044】
本実施態様の構成では、大きなワークWを一対のスピナーローラ28に載せる場合に、一対のスピナーローラ28の軸部を互いに離反させるように円弧状に変位させると、一対のスピナーローラ28の高さ位置を下げることができる。このため、本実施形態の変更調整機構30を備えた装置では、例えば、一対のスピナーローラ28の軸部を互いの接近位置と離反位置との間で水平移動させるような他の変更調整機構を備えた装置に比べて、大きなワークWの上端高さ位置を低く抑えられるので、キャリア26の長さを抑えることができ、この結果、装置全体の高さを抑えることが可能となっている。
【0045】
また、
図5(A)に示されるように、回動アーム30Aの先端部には、駆動モータ29がブラケット31を介して固定されており、駆動モータ29の出力軸がスピナーローラ28の軸部に連結されている。これにより、スピナーローラ28は、中心軸を中心として回転駆動可能とされている。
図5(B)に示される一対のスピナーローラ28は、中心軸を中心として、同一方向に回転駆動されるようになっている。また、一対のスピナーローラ28は、同一径であり、かつ同一の一定速度で回転されるのが好ましい。
【0046】
また、安定したピーニング効果を得るためには、ワークWの位置制御が重要である。ワークWの位置制御を正確に行うためには、スピナーローラ28の自転機構及びワークWの搬送機構が正確に作動することが必要である。
スピナーローラ28の自転機構では、仕上り品質に合わせたローラ回転数を設定するために自転ローラインバータを装備し、及び安定した製品搬送用として高精度・高寿命部品を使用することが好ましい。自転ローラインバータを装備することで、仕上り品質に応じたローラ回転数の設定変更が可能(容易)となり、搬送速度とリンクした制御も可能となる。また、スピナーローラ28に高精度・高寿命部品を用いることで早期偏摩耗による搬送不良が防止、又は効果的に抑制され、最小の段差で引っ掛かりが少なくなる。
また、ワークWの搬送機構は、安定した製品搬送のためにチェーン22に特殊チェーンを用い、及び、仕上り品質に合わせた搬送速度を設定するためにインバータを装備するのが好ましい。
特殊チェーンとしては、投射材(ショット)の噛み込みを抑制するため、クリアランスがあって耐摩耗性を有するものが使用される。このような特殊チェーンを用いることで、ワークWの搬送機構の寿命が延びて搬送トラブルも防止又は効果的に抑制できる。また、インバータを装備することで、仕上り品質に応じた搬送速度の設定変更が可能(容易)になり、自転回転数とリンクした制御も可能となる。
【0047】
図1に示されるように、キャビネット12のワークWの搬送方向最下流側には、搬出シュート32が設けられている。搬出シュート32は、その上端部が、スピナーローラ28の延長線上に配置され、キャビネット12側から離れる方向において下方に向かって傾斜している。すなわち、搬出シュート32は、スピナーローラ28に載せられてチェーンコンベア20のキャリア26(
図6参照)によって移送されてきたワークWを、キャビネット12外に案内する部材である。
【0048】
キャビネット本体14内の、ワークWの搬送通路の上方側に複数台(本実施形態では一例として計二台)の投射機42が取り付けられている。投射機42は、公知の構造を有する遠心式投射機であり、複数のブレードを備えた羽根車(インペラ)の回転により、コントロールケージ内の投射材(ショット)に遠心力を付与し、コントロールケージの開口窓を通して投射材を放出する。
すなわち、投射機42は、投射材を遠心力で加速して、投射室14Aに搬送されたワークWに向けて鉛直下方に又は斜め下方に投射するようになっている。なお、本実施形態では、投射機42が複数台配置されているが、本発明は、投射機42が一台である構成でもよい。
【0049】
ここで、安定したピーニング効果を得るために重要となるショット投射管理について補足説明する。なお、安定したピーニング効果を得るためには、ショット粒度管理も重要となるが、この点については後述する。
【0050】
ショット投射管理においては、ショット流量、インペラ回転数、及び投射パターンが重要項目となる。
ショット流量については、適正量の投射材を安定的に投射するために、ショットタンクレベル計、及び、下限検知付きインペラ電流計を設けるのが好ましい。ショットタンクレベル計は、後述する投射材ホッパ48に取り付けられ、ショット補給タイミングをする計量器である。
下限検知付きインペラ電流計は、投射量不足を検知し、投射不足の場合には、異常表示を行い、さらに装置を停止させ、処理が不十分な不良品が装置から流出することを防止するための装置である。
インペラ回転数については、仕上り品質に合わせた適正投射速度の設定、及び、その状態の維持をなすために、インペラへの駆動力伝達用とされたVベルトの状態(摩耗や伸び)の点検、及びインペラインバータの装備が好ましい。インペラインバータを用いることで、仕上り品質に応じたインペラ回転数の設定変更が可能(容易)となる。
投射パターンについては、ワーク(ワーク)に対し適正な投射位置で投射材を投射するために、コントロールケージ角度の表示(矢印名盤で基準位置表示)、及びインペラ関係の消耗品(ブレード、コントロールケージ、ディストリビュータ等)についての交換時期を知らせる機能を設けるのが好ましい。後者については、インペラ関係部品の摩耗によって投射位置・投射量が変化するのを防止するためである。
【0051】
各投射機42の上方側には、投射材導入パイプ44(「導入管」ともいう)が配置されている。投射材導入パイプ44の上端は、カットゲート46(流量調整装置)を介して投射材ホッパ48(ショットタンク)に接続されている。投射材ホッパ48は、投射材を一時的に貯留するためのホッパである。本実施形態の投射材ホッパ48の内部空間であるメイン部48Aは、ワーク搬送方向の上流および下流側が仕切壁48Dで区切られ、ワーク搬送方向に直交する方向の両側がサイド部48B、48Cによって区切られている。
投射材ホッパ48のメイン部48Aの底部側に、前述したカットゲート46が接続されている。なお、カットゲート46は、投射材ホッパ48のメイン部48Aから供給される投射材の流量を調整するための開閉ゲートである。
【0052】
投射材ホッパ48の左側のサイド部48Bの底部側には、供給パイプ34Aを介して第一ショットカーテン装置36が接続されている。第一ショットカーテン装置36は、投射室入口14Bの上方側に配置されキャビネット12に固定されている。第一ショットカーテン装置36は、供給パイプ34Aに接続された容器部36Aを備えると共に、容器部36Aの底部に接続された下向きの矩形パイプ36Bを備えている。矩形パイプ36Bは、矩形筒状に形成され、投射材を流出させるために使用される。
【0053】
容器部36Aは、内部空間が、上部仕切板によって上部空間とその下方側空間とに仕切られている。そして、第一ショットカーテン装置36には、上部仕切板の開口部を開閉可能なゲート機構36Dが設けられている。また、容器部36Aの内部の上部仕切板の開口部の下方側には、上方に向かって開口する箱状の受け部が設けられ、受け部は、上部仕切板の開口部を通って落下する投射材を一旦受け止めてから下方側へ供給するように構成されている。
【0054】
このように構成された第一ショットカーテン装置36は、供給パイプ34Aから供給された投射材を、容器部36A経由で矩形パイプ36Bを通して、投射室入口14Bの上部から連続的にカーテン状に落下させ、所謂ショットカーテンの生成することが可能となる。つまり、投射室入口14Bは、ゲート機構36Dのゲート開閉によって、ショットカーテンが開閉される構造を備えている。
【0055】
また、投射材ホッパ48の右側のサイド部48Cにおける底部側には、供給パイプ34Bを介して第二ショットカーテン装置38が接続されている。第二ショットカーテン装置38は、投射室出口14Cの上方側に配置されてキャビネット12に固定されている。第二ショットカーテン装置38は、供給パイプ34Bに接続される容器部38Aを備え、容器部38Aの底部に接続された下向きの矩形パイプ38Bを備えている。矩形パイプ38Bは、矩形筒状に形成されており、投射材の流出用とされている。
【0056】
容器部38Aは、その内部空間が上部仕切板によって上部空間とその下方側空間とに仕切られている。そして、第二ショットカーテン装置38には、上部仕切板の開口部を開閉可能なゲート機構38Dが設けられている。また、容器部38Aの内部において、上部仕切板の開口部の下方側には、上方に向かって開口する箱状の受け部が設けられ、受け部は、上部仕切板の開口部を通って落下する投射材を一旦受け止めてから下方側へ供給するようになっている。
【0057】
このように構成された第二ショットカーテン装置38は、供給パイプ34Bから供給された投射材を、容器部38A経由で矩形パイプ38Bを通して投射室出口14Cの上部から連続的にカーテン状に落下させ、所謂ショットカーテンを生成することが可能となっている。つまり、投射室出口14Cは、ゲート機構38Dのゲート開閉でショットカーテンが開閉される構造を備えている。
【0058】
また、キャビネット12上において第一ショットカーテン装置36と第二ショットカーテン装置38との間に配置された投射機42は、投射材導入パイプ44、カットゲート46、及び投射材ホッパ48のメイン部48Aを介して循環装置50に連結されている。循環装置50は、投射機42によって投射された投射材を搬送して投射機42へ循環させるための装置であり、キャビネット12の内部におけるチェーンコンベア20の下方側に下部スクリューコンベヤ52を備えている。
【0059】
下部スクリューコンベヤ52が、ワークWの搬送方向を長手方向として水平に配置されている。下部スクリューコンベヤ52のスクリュー羽根の螺旋巻き方向は、ショットピーニング装置10の搬送方向上流側に配置される部位とショットピーニング装置10の搬送方向下流側に配置される部位とで逆方向とされている。この結果、下部スクリューコンベヤ52は、軸を中心に回転することで、投射された投射材等をショットピーニング装置10の搬送方向上流および下流側から中央部側へ搬送し、投射材等を一箇所で回収できるようにしている。
下部スクリューコンベヤ52のショットピーニング装置10の搬送方向中央部は、投射材の回収経路の配置されたバケットエレベータ54(
図2)の下部収集部に隣接して配置されている。そして、バケットエレベータ54は、下部スクリューコンベヤ52によってショットピーニング装置10の搬送方向上流および下流側から中央部側に搬送されてきた投射材等を下部スクリューコンベヤ52から受けることになる。
【0060】
バケットエレベータ54は、公知の構造であるため詳細な説明を省略するが、ショットピーニング装置10の上部及び下部に配置されたプーリ54Aに無端ベルト54Bが巻回され、この無端ベルト54Bに多数のバケット(図示省略)が取り付けられた構造を有している。
プーリ54Aは、モータによって回転駆動される。この回転駆動により、バケットエレベータ54は、ショットピーニング装置10の下部に落下して下部スクリューコンベヤ52で回収された投射材等(ワークWに投射された投射材と粉粒状の異物とを含む混合物)をバケットで掬い上げ、ショットピーニング装置10の下部から上部(キャビネット12の上方側)へ搬送するようになっている。
本実施態様では、下部スクリューコンベヤ52、バケットエレベータ54等によって、投射材の回収機構が構成されている。
【0061】
バケットエレベータ54の上端部の装置前側には、分配箱56が隣接して配置されており、バケットエレベータ54の上部搬出口(投出し口部)を介して分配箱56に連通接続されている。
図1及び
図2に示されるように、分配箱56は、バケットエレベータ54のバケットから投射された投射材を、投射機42に供給するための第一ルート40Aと、第一ショットカーテン装置36に供給するための第二ルート40Bと、第二ショットカーテン装置38に供給するための第三ルート40Cとに分配する。
【0062】
第一ルート40Aは、投射材が、分配箱56からセパレータ60、投射材ホッパ48のメイン部48A、カットゲート46、及び投射材導入パイプ44を通って投射機42に至るルートである。
また、
図1に示されている第二ルート40Bは、投射材が、分配箱56から分配パイプ58A、投射材ホッパ48の左側のサイド部48B、及び供給パイプ34Aを通って第一ショットカーテン装置36に至るルートである。
さらに、第三ルート40Cは、投射材が分配箱56から分配パイプ58B、投射材ホッパ48の右側のサイド部48C、及び供給パイプ34Bを通って第二ショットカーテン装置38に至るルートである。
【0063】
図2に示されるように、バケットエレベータ54の上部排出側は、分配箱56を介してセパレータ60(風力選別機構62)に接続されると共に、分配箱56を介しかつセパレータ60(風力選別機構62)を介さずに第一ショットカーテン装置36(
図1参照)及び第二ショットカーテン装置38に接続されている。
【0064】
図4には、風力選別機構62を備えたセパレータ60(対向式分級装置)の構成が示されている。
図4(A)はセパレータ60の側断面図(
図4(B)の4A−4A線に沿った断面図)であり、
図4(B)はセパレータ60の正面図である。なお、以下の
図4の説明においては、装置左右方向と同じ方向をセパレータ幅方向という。
【0065】
セパレータ60は、ワークWに投射された投射材を回収するための回収経路に設けられ、
図4(A)に示されるように、集塵機80の吸気側に通じるセトリングチャンバー部68を備えている。セトリングチャンバー部68の上側部にはダクト接続用のフランジ68B(
図4(B)参照)が形成されている。
なお、集塵機80は、投射材に混入した微粉などの異物(不純物)を回収するためのものであり、空気を吸入する吸入装置(ブロワ)を備え、吸引ダクト70(セパレータダクト)を介してセトリングチャンバー部68に接続されている。セトリングチャンバー部68の気流上流側には、対向風選部66が設けられている。また、対向風選部66のセトリングチャンバー部68側と反対側の側方には、バケットエレベータ54の上部搬出口から搬出された投射材等を対向風選部66へ供給するための供給部64が設けられている。
【0066】
供給部64には、供給部64を上下2つの空間に区分するメッシュ状のスクリーン64Aが水平に取付けられている。スクリーン64Aの網目の粗さは、投射材が通過可能なサイズに設定されている。供給部64のスクリーン64Aよりも下方側に、傾斜部64Bが形成されている。傾斜部64Bは、対向風選部66の流路上流側に設けられ、下方側へ向けて対向風選部66側(つまり、斜め下方)に傾斜して、対向風選部66(自由落下ゾーン66B)に供給される投射材と異物との混合物が流動するように流れ落ちる領域とされている。
【0067】
また、供給部64の最下流部には、対向風選部66との連通開口部65の上部側を塞ぐように配置された規制板64Cが設けられている。規制板64Cは、セパレータ幅方向(
図4(A)の紙面に垂直な方向)に延びる板体である。規制板64Cは、その上端部が連通開口部65の上方側において供給部64と対向風選部66との隔壁に固定されることによって、下方に垂下され、規制板64Cの下端縁と傾斜部64Bの下流端との間にセパレータ幅方向に延びる細長い隙間を形成するように配置されている。この隙間を通って、投射材と異物との混合物が流出させられる。なお、規制板64Cの高さ位置は、調整可能とされている。
傾斜部64Bは、混合物を自由落下させる自由落下ゾーン66Bの流路上流側に設けられ、規制板64Cは、供給部64から対向風選部66へ流出する粉粒物(投射材を含む混合物)の層をセパレータ幅方向(
図4(A)の紙面に垂直な方向)に十分に広げて均一にする機能を有する。
【0068】
対向風選部66は、筒状に形成されてショットピーニング装置10の上下方向に延びる周壁部66Aを備えている。周壁部66Aは、その内側が空気通路とされ、長手方向中間部に、規制板64Cの下端縁と傾斜部64Bの下流端との間に形成された隙間が供給部64との連通口として開口している。
周壁部66Aにおいて供給部64との連通部よりも下方側の部位の内側空間は、混合物を自由落下させるための自由落下ゾーン66Bとされている。
周壁部66Aの下端開口部66Cは、下向きに開口したエア導入口とされ、その外周側には、図示しないメッシュ状のスクリーンが水平に張られている。このため、自由落下ゾーン66Bでは、集塵機80が作動すると、スクリーンを通過した外気が周壁部66Aの下端開口部66Cから流入して周壁部66Aを通る上向きの気流f1が生じる。
【0069】
周壁部66Aの下部には、複数の分散棒66Dが自由落下ゾーン66Bを横切るように取付けられている。分散棒66Dは、角柱あるいは円柱形状を有し、間隔をあけて傾斜部64Bの延長線上に傾斜部64Bから離れるにつれて下方に位置するように配置されている。分散棒66Dは、自由落下ゾーン66B内を自由落下する投射材と異物との混合物を、自由落下ゾーン66B内で分散させるように構成されている。そして、自由落下する投射材と異物との混合物が、分散棒66Dで分散されることで、落下する混合物の間に適度な空間が生じ、自由落下ゾーン66B内の上向きの気流f1が、落下する混合物の間で概ね均一に流れる。この結果、上向きの気流は、自由落下する投射材と異物の間で概ね均一に流れ、上向きの気流による混合物の選別(分級)が容易になっている。
分散棒の間隔は、分散棒上で投射材が滞留させず、気流f1を妨げないような広さであり、且つ自由落下する投射材と異物をムラなく分散できる間隔に設定されている。
【0070】
風力選別機構62の自由落下ゾーン66Bの下方側には、周壁部66Aの下端開口部66Cの対向位置に凹状(皿状)の受部72が設けられている。受部72は、投射材による部品の摩耗防止用とされ、自由落下する投射材を一旦、受け止めて、落下を停止させてから、その下方側の投射材ホッパ48のメイン部48A(
図1参照)へ供給するようになっている。
【0071】
以上のような構成により、対向風選部66では、上向きの気流f1を当てながれ投射材と粉粒状の異物との混合物を自由落下させることで、気流f1に乗せられる軽量物を、落下する(矢印S1方向参照)重量物から分離する。
より具体的には、対向風選部66は、気流f1に乗せられる「粒径が小さく軽いもの」(異物)と落下する「粒径が大きく重いもの」(投射材)とを選別している。
【0072】
セトリングチャンバー部68の上部には、案内板68Aが上壁側から垂れ下がるように配置されている。案内板68Aは、集塵機80の吸入力でセトリングチャンバー部68の内部に吸入された粉粒物を含む空気を案内し、その空気へ分級流としての迂回流f2を生じさせるようになっている。
すなわち、セトリングチャンバー部68は、吸入された空気中の粒子を迂回流f2によって分離(選別)するようになっている。より具体的には、セトリングチャンバー部68は、吸入された粉粒物(異物)のうち、より粒径が小さく軽い微粉(粉状物)等を気流に乗せて集塵機80側へ排出し(矢印S3)、より粒径が大きく重い微粉(粒状物)等を落下させ(矢印S2)、
図2に示される粗出しパイプ82を介して粗出ケース84側へ排出するようになっている。
【0073】
安定したピーニング効果を得るためには、ショット粒度管理が重要であり、分級装置(セパレータ60)の構成及び集塵風量の管理がポイントになる。分級装置については、ショット粒度の維持のために、前述のように、対向式分級装置を採用している。このような対向式分級装置を用いることで、直向式分級装置に比べてより精度の良い(細かな)粒度管理が可能となる。また、集塵風量の管理については、分級装置の性能を維持するために、差圧上限スイッチを集塵機80(
図3及び
図4(A)参照)等に設置し、これにより差圧上限検知機能を持たせ、必要風量以下になった場合には異常表示をさせるのが好ましい。
【0074】
なお、ショットピーニング装置10において、安定したピーニング効果を得るためには、消耗品管理も重要となり、予防保全のため交換時期を表示することがポイントになる。このため、例えば、
図3に示される制御盤90A等に消耗品お知らせ機能を設けてタッチパネルで消耗品の交換時期を表示し、また、制御盤90A等に消耗品交換履歴を表示して消耗品の交換周期を把握できるようにすることが好ましい。
【0075】
ショットピーニング装置10を構成する消耗品としては、
図1〜
図3に示される投射機42を構成する各消耗品、ワークWを搬送するための搬送機構を構成する各消耗品、循環装置50を構成する各消耗品、及び、投射室14A内の保護ライナに関連する各消耗品等がある。
投射機42を構成する各消耗品には、例えば、ブレード、コントロールケージ、ディストリビュータ、及びライナ関係の部品がある。ワークWを搬送するための搬送機構を構成する各消耗品には、例えば、スピナーローラ28、チェーン22、キャリア26、及び搬送ガイドがある。循環装置50を構成する各消耗品には、例えば、下部スクリューコンベヤ52、バケットエレベータ54の無端ベルト54B、及びバケットエレベータ54のバケットがある。
【0076】
図3に示されるように、本実施形態では、制御盤90Aを備えた制御装置90は、計算部92を備えている。計算部92は、コンピュータ等によって構成され、ショットピーニング装置10を構成する各消耗品について、その稼働時間tx(消耗時間)と、予め設定された寿命時間tzと、を比較して、各消耗品の交換時期を計算する。ここで、稼働時間txは、投射機42の投射時間と等しい時間として計測されており、シーケンサー制御により積算されている。そして、制御盤90Aには、表示部94(ディスプレイ)が設けられており、表示部94は、計算部92の計算結果を表示可能とされている。
【0077】
制御装置90は、制御盤90Aの操作等に応じて、計算部92の計算結果の全て、または一部を表示部94に表示させる。後者の例(一部表示)では、制御装置90は、表示対象を特定するための判定部(図示省略)を備えてもよい。判定部は、例えば、ショットピーニング装置10を構成する各消耗品について、その稼働時間txと、寿命時間tzよりも短く予め設定された標準時間taと、を比較して、稼働時間txが標準時間taを上回るか否かを判定する。そして、制御装置90は、判定部によって稼働時間txが標準時間taを上回ると判定された消耗品についてのみ、その交換時期を表示部94において表示するように制御する。
【0078】
また、制御装置90は、記憶部96を備えている。記憶部96には、ショットピーニング装置10を構成する各消耗品についての交換履歴の情報が、例えば、制御盤90Aから作業者によって、入力されるようになっている。そして、記憶部96は、ショットピーニング装置10を構成する各消耗品についての交換履歴の情報を記憶する。一方、表示部94は、記憶部96で記憶された交換履歴の情報を表示可能とされている。すなわち、例えば、制御盤90Aで前記交換履歴の情報の表示を要求する操作がなされた場合、表示部94には、交換履歴の情報が表示される。
【0079】
記憶部96は、過去に発生した動作異常履歴の情報を記憶するものであってもよく、表示部94は、記憶部96で記憶された動作異常履歴の情報を表示可能なものとしてもよい。このような動作異常履歴の表示機能を持つことで、動作異常の発生の頻度や傾向が把握しやすくなり、重大トラブルが未然に防止される。また、動作異常の原因解明時には、動作異常の発生履歴から動作異常の原因がある程度推測可能となる。よって、動作異常履歴の表示機能を持つことは、動作異常状態からの早期復帰にも役立つ。
【0080】
次に、前記実施形態のショットピーニング装置10の動作について説明する。
【0081】
本実施形態に係るショットピーニング装置10では、
図1に示されるワークWに対して投射機42が投射材を投射する。本実施態様では、コイルばねなどの円筒形状のワークが処理される。
ワークWに投射された投射材を回収するための回収経路には、
図4に示される風力選別機構62が設けられており、この風力選別機構62は、投射材と粉粒状の異物とを含む混合物を自由落下させながら、混合物に上向きの気流f1を当てることで、気流f1に乗せられる軽量物と落下する重量物とに選別する。このように自由落下する混合物に対して上向きの気流f1が当てられることで、選別が精度良くなされる。また、混合物に軽量の異物が大量に含まれている場合に選別が効率良くなされる。
【0082】
ここで、風力選別機構62には、混合物を自由落下させる自由落下ゾーン66Bの流路上流側に傾斜部64Bが設けられており、この傾斜部64Bは、斜め下方に傾斜して混合物の自由落下ゾーン66Bへの流動用とされている。
傾斜部64Bの下端との間に隙間を形成するように配置された規制板64Cは、傾斜部64Bの下端部の隙間から混合物を自由落下させる。これにより、混合物は、自由落下ゾーン66Bへの流量が規制板64Cによって規制されつつ規制板64Cの板幅方向に広げられて自由落下するので、上向きの気流f1による混合物の選別が容易になる。
【0083】
また、混合物を自由落下させる自由落下ゾーン66Bの周壁部66Aには複数の分散棒66Dが差し渡されているので、周壁部66Aの内側では自由落下する混合物が複数の分散棒66Dで分散させられる。このように、混合物が分散棒66Dで分散させられることで、上向きの気流f1は概ね均一に流れ、その結果として気流f1による混合物の選別(分級)が容易になっている。
【0084】
また、風力選別機構62の対向風選部66の下方側には、凹状の受部72が設けられており、自由落下する投射材は受部72に一旦受け止められてからその下方側の投射材ホッパ48のメイン部48A(
図1参照)へ供給される。これにより、下方に位置する部品の投射材による摩耗が抑えられる。
【0085】
また、本実施形態では、風力選別機構62における軽量物の流路の下流側には、案内板68Aで迂回流f2を生じさせるセトリングチャンバー部68が設けられており、軽量物は、セトリングチャンバー部68によって迂回流f2に乗せられる粉状物と落下する粒状物とに分離される。そして、粉状物は集塵機80側へ排出され、粒状物は
図2に示される粗出しパイプ82を介して粗出ケース84側へ排出される。
【0086】
以上説明した作用で、分級能力を向上させることで、投射機42に供給する投射材の粒度を安定させることができる。その結果として、安定したピーニング効果が得られる。
【0087】
本実施形態では、
図1に示されるよう投射室入口14Bの上部からは第一ショットカーテン装置36が投射材を連続的に落下させ、投射室出口14Cの上部からは第二ショットカーテン装置38が投射材を連続的に落下させる。このため、投射機42により投射された投射材が、仮に投射室入口14B及び投射室出口14Cから飛び出そうとしても、連続的に落下する投射材に衝突して飛び出しが阻止される。
このように、第一ショットカーテン装置36及び第二ショットカーテン装置38が採用されることで、投射材の飛散が防止されるので装置の全長が短縮されると共に、所謂ゴム暖簾の設置枚数を低減できる。また、第一ショットカーテン装置36及び第二ショットカーテン装置38では、所謂ゴム暖簾でシールすることができない部分(例えば、ワークであるコイルばねの通過に伴ってゴム暖簾がめくれた場合におけるコイルばねの内側等)をシールできるため、投射材の装置外への飛散量も低減する。
【0088】
装置下部に落下した投射材は、回収経路に設けられたバケットエレベータ54によって装置上部へ搬送される。ここで、
図1及び
図2に示されるバケットエレベータ54の上部排出側は、風力選別機構62に接続されると共に、風力選別機構62を介さずに第一ショットカーテン装置36及び第二ショットカーテン装置38にも接続される。このため、風力選別機構62への過剰な投射材等の供給が抑制されるので、風力選別機構62及び集塵機80(
図3参照)の大型化が抑えられる。
【0089】
また、本実施形態に係るショットピーニング装置10では、
図5及び
図6に示されるように、ワークWは、チェーン22の周回時にキャリア26によって搬送方向に押されて搬送される。チェーン22の上方側でかつキャリア26に対して両サイドに配置された一対のスピナーローラ28は、ワークWの搬送方向を中心に左右に並設されると共に、搬送方向の延びる軸線を中心に回転駆動可能となっており、ワークWが載せられる。このため、一対のスピナーローラ28上にワークWが載せられてスピナーローラ28が回転することで、ワークWが投射機42(
図1参照)により投射される際にはワークWはまんべんなくショット処理される。
【0090】
図5(B)に示されるように、一対のスピナーローラ28の間隔は、変更調整機構30で変更調整可能となっている。このため、ワークWの大きさ(径)に応じて一対のスピナーローラ28の間隔が変更可能となるので、キャリア26の装置上下方向の長さが抑えられる。すなわち、例えば、大きなワークWを一対のスピナーローラ28に載せる場合には一対のスピナーローラ28の間隔を広げれば、ワークWの上端高さ位置を低く抑えることができるので、ワークWを押圧するキャリア26の装置上下方向の長さを抑えることも可能になり、ショットピーニング装置10の装置全体の高さが抑えられる。また、一対のスピナーローラ28の間隔が変更調整可能となることで、様々な外径のワークWを一対のスピナーローラ28上に載せることができるので、様々な外径のワークWに対してショット処理をすることができる。
【0091】
なお、
図1に示されるように、ショットピーニング装置10の装置下部の底面は、フラットに形成されているので、ピットを掘る必要がなく、かつ、装置の大型化が抑えられている。
【0092】
以上説明したように、本実施形態に係るショットピーニング装置10によれば、装置の大型化を抑えながら、回収した投射材と異物とを精度良く分離することができる。
【0093】
本実施形態では、制御盤90Aの表示部94が、ショットピーニング装置10を構成する各消耗品の交換時期及び交換履歴の情報を表示するので、この表示を参考にして前記消耗品を交換することで、投射位置や投射量の変化、及び搬送トラブルが未然に防止される。
なお、「搬送トラブル」とは、正常にワークWが搬送されないことで(例えば、ワークWの回転不足やワークWの引っ掛りにより)ワークWに投射材が均一に投射されず安定したショットピーニング効果が得られない、又は、ワークWがキャビネット12内で完全に引っ掛って処理できないことを意味する。
【0094】
前記実施形態では、投射機として遠心式の投射機42が使用されているが、投射機は、例えば、圧縮空気とともに投射材を圧送しノズルから噴射するエアノズル式の投射機等のような他の投射機であってもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、ショット処理装置は、ショットピーニング装置10とされているが、ショット処理装置は、ショットブラスト装置等のような他のショット処理装置であってもよい。また、ショットピーニング装置10と同じ構成の装置を、ショットピーニング装置兼ショットブラスト装置として用いてもよい。
【0096】
また、前記実施形態では、
図4(A)に示されるように、風力選別機構62が傾斜部64B及び規制板64Cを備えているが、風力選別機構がこれらを備えない構成とすることも可能である。
【0097】
また、前記実施形態では、規制板64Cは、姿勢変化しないように供給部64と対向風選部66との隔壁に固定されているが、規制板は、例えば、その上端部がセパレータ幅方向(
図4(A)の紙面に垂直な方向)の軸回りに回転移動可能とされるような他の規制板であってもよい。
【0098】
また、前記実施形態では、風力選別機構62が複数の分散棒66Dを備えているが、風力選別機構が複数の分散棒を備えない構成も採り得る。
【0099】
また、前記実施形態では、風力選別機構62の対向風選部66の下方側に凹状の受部72が設けられているが、風力選別機構の下方側にこのような受部が設けられない構成も採り得る。
【0100】
また、前記実施形態では、風力選別機構62における軽量物の流路の下流側にセトリングチャンバー部68が設けられているが、セトリングチャンバー部68に代えて略円筒状のサイクロン部が設けられる構成やセトリングチャンバー部が設けられない構成も採り得る。
【0101】
また、前記実施形態の変形例として、ショット搬送装置としてのバケットエレベータ(54)の上部排出側が風力選別機構(62)を介して第一ショットカーテン装置(36)及び第二ショットカーテン装置(38)に接続される構成も採り得る。
【0102】
また、前記実施形態では、装置下部に落下した投射材を装置上部へ搬送するショット搬送装置が
図2等に示されるバケットエレベータ54とされているが、ショット搬送装置は、例えば軸線方向が装置上下方向に設定されたスクリューコンベヤ等のような他のショット搬送装置であってもよい。
【0103】
また、前記実施形態では、
図5に示されるように、変更調整機構30は、回動アーム30Aを備え、一対の自転ローラとしてのスピナーローラ28の間隔を回転移動によって変更調整しているが、変更調整機構は、例えば、ピニオン及びラックを備え、一対の自転ローラの間隔を直線移動によって変更調整するような他の変更調整機構であってもよい。また、ショット処理装置が変更調整機構を備えないような構成も可能である。
【0104】
また、前記実施形態の変形例として、装置下部の底面の一部が、底面の他の部分と異なる高さになるように設定されてもよい。
【0105】
また、前記実施形態の変形例として、
図3に示されるような、消耗品の交換時期を計算する計算部92を備えない構成も採り得るし、消耗品についての交換履歴の情報を記憶する記憶部96を備えない構成も採り得る。
【0106】
なお、本実施形態では、表示部94は、計算部92の計算結果を表示可能で、かつ、記憶部96で記憶された交換履歴の情報を表示可能となっているが、計算部(92)の計算結果を表示可能な表示部と、記憶部(96)で記憶された前記交換履歴の情報を表示可能な表示部とが別個に設けられてもよい。
【0107】
なお、前記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。