(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
身体側表面を形成する透液性トップシートと、その裏面側に位置する液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に配置され、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部まで延在する吸収体と、前記吸収体と前記液不透過性シートとの間に設けられた、尿との接触により変色するインジケータと、を備えたテープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記インジケータと前記吸収体との間に水溶性層が積層された又は水溶性層が積層されていない第一インジケータ領域と、前記インジケータと前記吸収体との間に前記第一インジケータ領域よりも厚い水溶性層が積層された第二インジケータ領域とが、外面に沿う方向に間隔を空けて並設されており、
前記インジケータは、排尿により両領域に尿が供給されてから一定時間以内は第一インジケータ領域のみが当該排尿により変色し、当該排尿から一定時間以上経過してから第二インジケータ領域が変色して、第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域の両方が当該排尿により変色した状態となり、前記第一インジケータ領域のみが変色してから前記第二インジケータ領域が変色するまでの時間差により当該排尿後の経過時間が分かるものである、
ことを特徴とする、使い捨ておむつ。
前記第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域の各インジケータは親水性繊維集合シートにインジケータ塗料が塗布されてなり、第一インジケータ領域のインジケータが付着された親水性繊維集合シートと、第二インジケータ領域のインジケータが付着された親水性繊維集合シートとが、外面に沿う方向に離間している、請求項1記載の使い捨ておむつ。
前記吸収体を有する領域のうち、前後方向中間部に前記第一インジケータ領域が設けられるとともに、その前後両側に前記第二インジケータ領域がそれぞれ設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記吸収体を有する領域のうち、前後方向中間部に前記第二インジケータ領域が設けられるとともに、その前後両側に前記第一インジケータ領域がそれぞれ設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記吸収体を有する領域に、前記第一インジケータ領域及び前記第二インジケータ領域が前後方向に交互に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
前記第一インジケータ領域が前記水溶性層のない領域とされ、前記インジケータと前記吸収体との間に前記第二インジケータ領域よりも厚い水溶性層が積層された第三インジケータ領域が、前記第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域に対して外面に沿う方向に間隔を空けて並設されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の主たる課題は、排尿後の経過時間が分かり易いインジケータを備えた使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
身体側表面を形成する透液性トップシートと、その裏面側に位置する液不透過性シートと、これら透液性トップシートと液不透過性シートとの間に配置され、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部まで延在する吸収体と、前記吸収体と前記液不透過性シートとの間に設けられた、尿との接触により変色するインジケータと、を備えたテープタイプ使い捨ておむつにおいて、
前記インジケータと前記吸収体との間に水溶性層が積層された又は水溶性層が積層されていない第一インジケータ領域と、前記インジケータと前記吸収体との間に前記第一インジケータ領域よりも厚い水溶性層が積層された第二インジケータ領域とが、外面に沿う方向に間隔を空けて並設されており、
前記インジケータは、排尿により両領域に尿が供給されてから一定時間以内は第一インジケータ領域のみが
当該排尿により変色し、当該排尿から一定時間以上経過して
から第二インジケータ領域が変色して、第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域の両方が
当該排尿により変色し
た状態となり、
前記第一インジケータ領域のみが変色してから前記第二インジケータ領域が変色
するまでの時間差により当該排尿後の経過時間が分かるものである、
ことを特徴とする、使い捨ておむつ。
【0011】
(作用効果)
水溶性層が吸収体とインジケータとの間に設けられていると、吸収体側からインジケータへ向かう尿が水溶性層により遮断され、水溶性層が尿により溶けた後にインジケータが変色(呈色又は消色)する。つまり、水溶性層により変色タイミングを調節することができる。本発明ではこれを利用し、水溶性層の薄い又は無い第一インジケータ領域と、水溶性層の厚い第二インジケータ領域とを設けている。これにより、排尿から一定時間以内であれば第一インジケータ領域のみが変色し、排尿から一定時間以上経過して初めて第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域の両方が変色するといったインジケータ機能が実現される。
そして、このように変色の時間差により排尿後の経過時間が分かると、例えば、おむつを装着した子供が排尿直後であるか否かを見分けるのに応用することができ、排尿直後におむつに外圧を加えて漏れを引き起こすといった自体を回避することができる。また、排尿後の経過時間を見分けておむつを適切なタイミングで交換するのにも応用することができる。
しかも、この水溶性層を利用した経時インジケータ機能は、変化が非常にはっきりと起こるため、使用者が判断に迷う恐れが少ないといった利点や、製造が容易で製造コストも嵩まずに済むという利点ももたらすものである。
なお、外面に沿う方向とは前後方向、幅方向、及びこれらと交差する斜め方向を意味する。
【0012】
<請求項2記載の発明>
前記第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域の各インジケータは親水性繊維集合シートにインジケータ塗料が塗布されてなり、第一インジケータ領域のインジケータが付着された親水性繊維集合シートと、第二インジケータ領域のインジケータが付着された親水性繊維集合シートとが、外面に沿う方向に離間している、請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0013】
(作用効果)
尿とインジケータとの接触効率を高めること及び製造容易性を考慮すると、インジケータ塗料を親水性の紙や不織布等の親水性繊維集合シートに塗布して形成するのが好ましい。しかし、各領域のインジケータ塗料が、互いに接する又は一体的な親水性繊維集合シートに付着していると、第一インジケータ領域においてインジケータに達した尿が親水性繊維集合シートを通じて第二インジケータ領域に拡散し、第二インジケータ領域の水溶性層がその上から供給される尿により溶解する前に、第二インジケータ領域のインジケータを変色させてしまうおそれがある。
これに対して、上述のように、各領域のインジケータを、互いに離間する親水性繊維集合シートにインジケータ塗料を塗布することにより形成すると、第一インジケータ領域においてインジケータに達した尿は、可能な限り第一インジケータ領域の親水性繊維集合シートに保持され、第二インジケータ領域の親水性繊維集合シートには移らない。よって、各領域のインジケータをより高精度の時間差で変色させることができる。
【0014】
<請求項3記載の発明>
前記第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域は幅方向に並設されている、前記請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
【0015】
(作用効果)
使い捨ておむつにおいては、尿は前後方向よりは幅方向へ拡散し易い。よって、第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域を幅方向に並設することにより、両領域にバランス良く尿が供給され、時間差変色の精度がより一層向上するようになる。
【0016】
<請求項4記載の発明>
前記吸収体を有する領域のうち、前後方向中間部に前記第一インジケータ領域が設けられるとともに、その前後両側に前記第二インジケータ領域がそれぞれ設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0017】
(作用効果)
使い捨ておむつにおいては、尿は前後方向よりは幅方向へ拡散し易い。よって、前後方向中間部に前記第一インジケータ領域が設けられるとともに、その前後両側に前記第二インジケータ領域がそれぞれ設けられていると、水溶性層として溶解の早い素材を用いても、変色までの時間をより長く確保することができる。なお、この形態では、中間部が先に変色し、その後、所定時間経過してから前後両側が変色するようになる。
【0018】
<請求項5記載の発明>
前記吸収体を有する領域のうち、前後方向中間部に前記第二インジケータ領域が設けられるとともに、その前後両側に前記第一インジケータ領域がそれぞれ設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0019】
(作用効果)
使い捨ておむつにおいては、尿は前後方向よりは幅方向へ拡散し易い。よって、第二インジケータ領域の位置を排尿位置から遠ざけると、場合によっては第二インジケータへの尿の供給が不十分となることもありうる。しかし、上述のように、前後方向中間部に第二インジケータ領域が設けられるとともに、その前後両側に第一インジケータ領域がそれぞれ設けられていると、第二インジケータ領域への尿供給不足は発生し難くなる。なお、この形態では、前後両側が先に変色し、その後、所定時間経過してから中間部が変色するようになる。
【0020】
<請求項6記載の発明>
前記吸収体を有する領域に、前記第一インジケータ領域及び前記第二インジケータ領域が前後方向に交互に設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0021】
(作用効果)
このように第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域の並設部分を前後方向に複数設けることにより、前後方向の排尿位置に関係なく、本発明の時間差変色が可能となる。
【0022】
<請求項7記載の発明>
前記排尿から前記第二インジケータ領域の変色までの時間が印刷により表示されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0023】
(作用効果)
このような変色時間表示により、排尿からの経過時間を直ちに知ることができるようになる。
【0024】
<請求項8記載の発明>
前記第一インジケータ領域が前記水溶性層のない領域とされ、前記インジケータと前記吸収体との間に前記第二インジケータ領域よりも厚い水溶性層が積層された第三インジケータ領域が、前記第一インジケータ領域及び第二インジケータ領域に対して外面に沿う方向に間隔を空けて並設されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0025】
(作用効果)
このような構成により、所定の時間差で少なくとも三段階の変色を実現することができる。
【0026】
<請求項9記載の発明>
前記水溶性層がオブラート又は水溶性インク層により形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0027】
(作用効果)
本発明の水溶性層としては、製造容易性、入手容易性、コストの観点からオブラート又は水溶性インク層が好ましい。
【発明の効果】
【0028】
以上のとおり、本発明によれば、排尿後の経過時間が分かり易いインジケータを備えた使い捨ておむつとなる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
<吸収性物品の例>
図1〜
図7はテープタイプ使い捨ておむつの一例を示しており、図中の符号Xはファスニングテープを除いたおむつの全幅を示しており、符号Lはおむつの全長を示しており、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤の塗布部分を示している。
【0031】
このテープタイプ使い捨ておむつは、幅方向中央に沿って下腹部から股間部を通り臀部までを覆うように延在する部分であって、且つ身体側表面を形成する透液性トップシートと、外面側に位置する液不透過性シートとの間に吸収要素50が介在する部分である吸収性本体部10と、この吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分である腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFとを有するものである。
【0032】
また、このテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体の側縁よりも側方に延出する一対のサイドフラップ部SF,SFを有しており、背側におけるサイドフラップ部SF,SFにはファスニングテープ13がそれぞれ設けられている。
【0033】
より詳細には、吸収性本体部10ならびに各サイドフラップ部SF,SFの外面全体が外装シート12により形成されている。特に、吸収性本体部10においては、外装シート12の内面側に液不透過性シート11がホットメルト接着剤等の接着剤により固定され、さらにこの液不透過性シート11の内面側に吸収要素50、中間シート40、およびトップシート30がこの順に積層されている。トップシート30および液不透過性シート11は図示例では長方形であり、吸収要素50よりも前後方向および幅方向において若干大きい寸法を有しており、トップシート30における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部と、液不透過性シート11における吸収要素50の側縁より食み出る周縁部とがホットメルト接着剤などにより固着されている。また液不透過性シート11は透湿性のポリエチレンフィルム等からなり、トップシート30よりも若干幅広に形成されている。
【0034】
さらに、この吸収性本体部10の両側には、装着者の肌側に突出(起立)する側部立体ギャザー60,60が設けられており、この側部立体ギャザー60,60を形成するギャザーシート62,62が、トップシート30の両側部上から各サイドフラップ部SF,SFの内面までの範囲に固着されている。
【0035】
以下、各部の素材および特徴部分について順に説明する。
(外装シート)
外装シート12は吸収要素50を支持し、着用者に装着するための部分である。外装シート12は、両側部の前後方向中央部が括れた砂時計形状とされており、ここが着用者の脚を入れる部位となる。
外装シート12としては不織布が好適であるが、これに限定されない。不織布の種類は特に限定されず、素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができ、加工法としてはスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、エアスルー法、ニードルパンチ法等を用いることができる。ただし、肌触り及び強度を両立できる点でスパンボンド不織布やSMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。不織布を用いる場合、その繊維目付けは10〜50g/m
2、特に15〜30g/m
2のものが望ましい。
【0036】
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布、防水フィルムを介在させて実質的に液不透過性を確保した不織布(この場合は、防水フィルムと不織布とで液不透過性シートが構成される。)などを例示することができる。もちろん、このほかにも、近年、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材も例示することができる。この液不透過性かつ透湿性を有する素材のシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを例示することができる。さらに、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、防水フィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができる。
【0037】
(トップシート)
トップシート30は液透過性を有するものであれば足り、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。また、このうち不織布は、その原料繊維が何であるかは、特に限定されない。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維などや、これらから二種以上が使用された混合繊維、複合繊維などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。加工方法としては、公知の方法、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を例示することができる。例えば、柔軟性、ドレープ性を求めるのであれば、スパンレース法が、嵩高性、ソフト性を求めるのであれば、サーマルボンド法が、好ましい加工方法となる。
また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
【0038】
(中間シート)
トップシート30を透過した排泄物を吸収体へ移動させ、逆戻りを防ぐために、トップシート30と吸収要素50との間に中間シート(セカンドシートもいわれる)40を設けることができる。この中間シート40は、排泄物を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高めるばかりでなく、吸収した排泄物の吸収体からの逆戻りを防止し、トップシート30表面を肌触りを良くするものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材を用いることができる。中間シート40はトップシート30に接合するのが好ましく、その接合にヒートエンボスや超音波溶着を用いる場合は、中間シート40の素材はトップシート30と同程度の融点をもつものが好ましい。また、便中の固形分を透過させることを考慮するならば中間シート40に用いる繊維の繊度は5.0〜7.0dtexであるのが好ましいが、トップシート30における液残りが多くなる。これに対して、中間シート40に用いる繊維の繊度が1.0〜2.0dtexであると、トップシート30の液残りは発生し難いが、便の固形分が透過し難くなる。よって、中間シート40に用いる不織布の繊維は繊度が2.0〜5.0dtex程度とするのが好ましい。
図示の形態の中間シート40は、吸収要素50の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の長手方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
【0039】
(側部立体ギャザー)
トップシート30上を伝わって横方向に移動する尿や軟便を阻止し、横漏れを防止するために、製品の両側に、使用面側に突出(起立)する側部立体ギャザー60、60を設けるのは好ましい。
この側部立体ギャザー60は、実質的に幅方向に連続するギャザーシート62と、このギャザーシート62に前後方向に沿って伸張状態で固定された細長状弾性伸縮部材63とにより構成されている。このギャザーシート62としては撥水性不織布を用いることができ、また弾性伸縮部材63としては糸ゴム等を用いることができる。弾性伸縮部材は、
図1及び
図2に示すように各複数本設ける他、各1本設けることができる。
ギャザーシート62の内面は、トップシート30の側部上に幅方向の固着始端を有し、この固着始端から幅方向外側の部分は、液不透過性シート11の側部およびその幅方向外側に位置する外装シート12の側部にホットメルト接着剤などにより固着されている。この固着部分のうち固着始端近傍の幅方向外側において、ギャザーシート62と外装シート12とが対向する部分のシート間に、前後方向に沿って糸ゴム等からなる脚周り弾性伸縮部材64がそれぞれ設けられている。
脚周りにおいては、側部立体ギャザー60の固着始端より幅方向内側は、製品前後方向両端部ではトップシート30上に固定されているものの、その間の部分は非固定の自由部分であり、この自由部分が糸ゴム63の収縮力により起立するようになる。おむつの、装着時には、おむつが舟形に体に装着されるので、そして糸ゴム63の収縮力が作用するので、糸ゴム63の収縮力により側部立体ギャザー60が起立して脚周りに密着する。その結果、脚周りからのいわゆる横漏れが防止される。
図示形態と異なり、ギャザーシート62の幅方向内側の部分における前後方向両端部を、幅方向外側の部分から幅方向内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向外側に延在する先端側部分とを有する二つ折り状態で固定し、その間の部分を非固定の自由部分とすることもできる。
【0040】
(吸収要素)
吸収要素50は、尿や軟便などの液を吸収保持する部分である。吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の少なくとも裏面及び側面を包む包装シート58とを有している。包装シート58は省略することもできる。吸収要素50は、その裏面においてホットメルト接着剤等の接着剤を介して液不透過性シート11の内面に接着することができる。
【0041】
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100〜300g/m
2程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30〜120g/m
2程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1〜16dtex、好ましくは1〜10dtex、さらに好ましくは1〜5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1インチ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに好ましくは15〜50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。
【0042】
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56は、高吸収性ポリマー粒子を含むのが好ましく、特に、少なくとも液受け入れ領域において、繊維の集合体に対して高吸収性ポリマー粒子(SAP粒子)が実質的に厚み方向全体に分散されているものが望ましい。
吸収体56の上部、下部、及び中間部にSAP粒子が無い、あるいはあってもごく僅かである場合には、「厚み方向全体に分散されている」とは言えない。したがって、「厚み方向全体に分散されている」とは、繊維の集合体に対し、厚み方向全体に「均一に」分散されている形態のほか、上部、下部及び又は中間部に「偏在している」が、依然として上部、下部及び中間部の各部分に分散している形態も含まれる。また、一部のSAP粒子が繊維の集合体中に侵入しないでその表面に残存している形態や、一部のSAP粒子が繊維の集合体を通り抜けて包装シート58上にある形態も排除されるものではない。
高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子の粒径は、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、1000μm以下、特に150〜400μmのものが望ましい。高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が40秒を超えると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50〜350g/m
2とすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m
2未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/m
2を超えると、効果が飽和するばかりでなく、高吸収性ポリマー粒子の過剰によりジャリジャリした違和感を与えるようになる。
【0043】
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMMS(スパンボンド/メルトブローン/メルトブローン/スパンボンド)不織布が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンなどを使用できる。繊維目付けは、5〜40g/m
2、特に10〜30g/m
2のものが望ましい。
この包装シート58は、
図3に示すように、吸収体56の全体を包む形態のほか、その層の裏面及び側面のみを包装するものでもよい。また図示しないが、吸収体56の上面及び側面のみをクレープ紙や不織布で覆い、下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態、吸収体56の上面をクレープ紙や不織布で覆い、側面及び下面をポリエチレンなどの液不透過性シートで覆う形態などでもよい(これらの各素材が包装シートの構成要素となる)。必要ならば、吸収体56を、上下2層のシートで挟む形態や下面のみに配置する形態でもよいが、高吸収性ポリマー粒子の移動を防止でき難いので望ましい形態ではない。
【0044】
(ファスニングテープ)
図1、
図2及び
図5に示されるように、ファスニングテープ13は、不織布、プラスチックフィルム、ポリラミ不織布、紙やこれらの複合素材からなるシート基材の端部がテープ取付部13Cとしておむつに取り付けられており、おむつ側縁から突出する先端側部分であるテープ本体部13Bには腹側に対する係止部13Aとして、メカニカルファスナーのフック材が設けられている。ファスニングテープのテープ取付部は、サイドフラップ部における内側層をなすギャザーシート及び外側層をなす外装シート間に挟まれ、かつホットメルト接着剤により両シート62,12に接着されている。また、フック材13Aはシート基材13Cに接着剤により剥離不能に接合されている。
乳幼児用おむつにおいては、テープ取付部13Cの寸法のうち、おむつの幅方向の長さX1は10〜50mm、特に20〜40mmであるのが好ましく、前後方向長さY1は、20〜100mm、特に40〜80mmであるのが好ましい。また、テープ本体部13Bの寸法のうち、おむつの幅方向の長さは30〜80mm、特に40〜60mmであるのが好ましく、前後方向の長さ(高さ)は20〜70mm、特に25〜50mmであるのが好ましい。なお、ファスニングテープ13の一部または全部が例えば略テーパ形状をなし、前後方向長さや幅方向長さが一定でない場合は、上記数値範囲は平均値にて定める。ファスニングテープ13の形状は、矩形形状などの左右対称形状でもよいが、幅広の取り付け部分と細長状の先端側部分からなる凸型形状であると、先端側部分の摘み部が摘みやすく、かつ左右の基部間の張力が広範囲に作用するため、好ましい。フック材13Aは、その外面側に多数の係合突起を有する。係合突起の形状としては、(A)レ字状、(B)J字状、(C)マッシュルーム状、(D)T字状、(E)ダブルJ字状(J字状のものを背合わせに結合した形状のもの)等が存在するが、いずれの形状であっても良い。フック材13Aに代えて、ファスニングテープ13の係止部として粘着材層を設けることもできる。
おむつの装着に際しては、背側のサイドフラップ部SFを腹側のサイドフラップ部SFの外側に重ねた状態で、ファスニングテープを腹側F外面の適所に係止する。ファスニングテープ13の係止箇所の位置及び寸法は任意に定めることができる。乳幼児用おむつにおいては、係止箇所は、前後方向20〜80mm、幅方向150〜300mmの矩形範囲とし、その上端縁と腹側上縁との高さ方向離間距離を0〜60mm、特に20〜50mmとし、かつ製品の幅方向中央とするのが好ましい。
ファスニングテープ13は、背側のエンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線上にファスニングテープ13のテープ取付部13Cが重なるように取り付けられていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13の取り付け部分間に働く張力により、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。また、ファスニングテープ13の取り付け部分が、おむつの背側端部(後端部)と離れすぎていると、おむつ装着時に左右のファスニングテープ13のテープ取付部13C間に働く張力がおむつの背側端部にまで及ばないため、おむつの背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすい。従って、背側のエンドフラップ部EFの前後方向長さは、ファスニングテープ13のテープ取付部13Cの前後方向長さと同じか又は短いことが好ましい。
【0045】
(ターゲットシート)
腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所には、係止を容易にするためのターゲット有するターゲットシート12Tを設けるのが好ましい。ターゲットシート12Tは、係止部がフック材13Aの場合、フック材の係合突起が絡まるようなループ糸がプラスチックフィルムや不織布からなるシート基材の表面に多数設けられたものを用いることができ、また粘着材層の場合には粘着性に富むような表面が平滑なプラスチックフィルムからなるシート基材の表面に剥離処理を施したものを用いることができる。 また、腹側Fにおけるファスニングテープ13の係止箇所が不織布からなる場合、例えば図示形態の外装シート12が不織布からなる場合であって、ファスニングテープ13の係止部がフック材13Aの場合には、ターゲットシート12Tを省略し、フック材13Aを外装シート12の不織布に絡ませて係止することもできる。この場合、ターゲットシート12Tを外装シート12と液不透過性シート11との間に設けてもよい。
【0046】
(エンドフラップ部)
エンドフラップ部は、吸収性本体部10の前側及び後側にそれぞれ延出する部分であって、且つ吸収要素50を有しない部分であり、前側の延出部分が腹側エンドフラップ部EFであり、後側の延出部分が背側エンドフラップ部EFである。
背側エンドフラップEFの前後方向長さは、前述の理由によりファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向長さと同じか短い寸法とすることが好ましく、また、おむつ背側端部と吸収要素50とが近接しすぎると、吸収要素50の厚みとコシによりおむつ背側端部と身体表面との間に隙間が生じやすいため、10mm以上とすることが好ましい。
腹側エンドフラップ部EF及び背側エンドフラップ部EFの前後方向長さは、おむつ全体の前後方向長さLの5〜20%程度とするのが好ましく、乳幼児用おむつにおいては、10〜60mm、特に20〜50mmとするのが適当である。
【0047】
(背側伸縮シート)
図示形態では、両ファスニングテープ13間に、幅方向に弾性伸縮する帯状の背側伸縮シート70が設けられ、おむつ背側部におけるフィット性を向上させている。背側伸縮シート70の両端部は両ファスニングテープ13の取り付け部分と重なる部位まで延在されているのが好ましいが、幅方向中央側に離間していても良い。背側伸縮シート70の前後方向寸法は、ファスニングテープ13の取り付け部分の前後方向寸法と概ね同じにするのが適当であるが、±20%程度の寸法差はあってもよい。また、図示のように背側伸縮シート70が背側エンドフラップ部EFと吸収要素50の境界線と重なるように配置されていると、吸収要素50の背側端部がしっかりと体に押し当てられるため、好ましい。背側伸縮シート70は、ゴムシート等のシート状弾性部材を用いても良いが、通気性の観点から不織布や紙を用いるのが好ましい。この場合、伸縮不織布のような通気性を有するシート状弾性部材を用いることもできるが、
図5に示すように、二枚の不織布等のシート基材71をホットメルト接着剤等の接着剤により張り合わせるとともに、両シート基材71間に有孔のシート状、網状、細長状(糸状又は紐状等)等の弾性伸縮部材72を幅方向に沿って伸張した状態で固定したものが好適に用いられる。この場合におけるシート基材71としては、外装シート12と同様のものを用いることができる。弾性伸縮部材72の伸張率は150〜250%程度であるのが好ましい。また、弾性伸縮部材72として細長状(糸状又は紐状等)のものを用いる場合、太さ420〜1120dtexのものを3〜10mmの間隔72dで5〜15本程度設けるのが好ましい。
【0048】
また、図示のように弾性伸縮部材72の一部が吸収要素50を横断するように配置すると、吸収要素50のフィット性が向上するため好ましいが、この場合は、弾性伸縮部材72が吸収要素50と重なる部分の一部又は全部を、切断等の手段により収縮力が働かないようにすると、吸収要素50の背側端部が幅方向に縮まないため、フィット性がさらに向上する。
【0049】
なお、弾性伸縮部材72は、シートの長手方向(おむつの幅方向)にシート基材71の全長にわたって固定されていてもよいが、おむつ本体への取り付け時の縮みやめくれ防止のため、シートの前後方向(おむつの幅方向)端部の5〜20mm程度の範囲においては、収縮力が働かないように、または弾性伸縮部材72が存在しないようにするとよい。
【0050】
背側伸縮シート70は、図示形態では、液不透過性シート11の幅方向両側ではギャザーシート62と外装シート12との間に挟まれ、且つ液不透過性シート11と重なる部位では、液不透過性シート11と吸収要素50との間に挟まれるように設けられているが、液不透過性シート11と外装シート12との間に設けても良いし、外装シート12の外面に設けても良く、またトップシート30と吸収要素50との間に設けてもよい。また、背側伸縮シート70はトップシート30の上に設けても良く、この場合、液不透過性シート11の幅方向両側ではギャザーシート62の上に設けても良い。また、外装シート12を複数枚のシート基材を重ねて形成する場合には、背側伸縮シート70全体を、外装シート12のシート基材間に設けても良い。
【0051】
(インジケータ)
図1〜3、
図10〜16に示すように、吸収体56(図示例では吸収要素50)と液不透過性シート11との間には、尿との接触により変色するインジケータ80が設けられており、特徴的には、インジケータ80と吸収体56との間に水溶性層85が積層された又は水溶性層85が積層されていない第一インジケータ領域91と、インジケータ80と吸収体56との間に第一インジケータ領域91よりも厚い水溶性層85が積層された第二インジケータ領域92とが、外面に沿う方向に間隔を空けて並設されている。
【0052】
水溶性層85が吸収体56とインジケータ80との間に設けられていると、吸収体56側からインジケータ80へ向かう尿が水溶性層85により遮断され、水溶性層85が尿により溶けた後にインジケータ80が変色(呈色又は消色)する。つまり、水溶性層85により変色タイミングを調節することができる。本発明ではこれを利用し、水溶性層85の薄い又は無い第一インジケータ領域91と、水溶性層85の厚い第二インジケータ領域92とを設けている。これにより、排尿から一定時間以内であれば第一インジケータ領域91のみが変色し、排尿から一定時間以上経過して初めて第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92の両方が変色するといったインジケータ機能が実現される。そして、このように変色の時間差により排尿後の経過時間が分かると、例えば、おむつを装着した子供が排尿直後であるか否かを見分けるのに応用することができ、排尿直後におむつに外圧を加えて漏れを引き起こすといった自体を回避することができる。また、排尿後の経過時間を見分けておむつを適切なタイミングで交換するのにも応用することができる。しかも、この水溶性層85を利用した経時インジケータ機能は、変化が非常にはっきりと起こるため、使用者が判断に迷う恐れが少ないといった利点や、製造が容易で製造コストも嵩まずに済むという利点ももたらすものである。
【0053】
変色の時間差は適宜定めることができるが、通常の場合10秒〜10時間の範囲内で適宜設定するのが望ましい。変色の時間差は水溶性層の厚みを変更することにより調整することができる。
【0054】
本発明の水溶性層85としては、製造容易性、入手容易性、コストの観点からオブラート又は水溶性インク層が好ましい。これらは、水溶性層の厚み(遮断時間、つまり尿により溶解して尿を通過させるようになるまでの時間と相関する)を調節するために、図示形態のように溶解層を複数積層するか、又は一の厚みを調整することができる。オブラートを用いる場合、厚み20〜40μm程度のものを好適に用いることができる。また、複数の溶解層を積層する場合、溶解速度の同じ層(例えば厚みや素材等が同じ)を積層する他、厚みや素材等により溶解速度の異なる層を積層することもできる。
【0055】
インジケータ80は、
図3に示す例等では、インジケータ塗料82をクレープ紙や不織布等の親水性繊維集合シート81に塗布することにより形成しているが、他のシート、例えば
図15に示すように包装シート58や水溶性層85に塗布したり、
図16に示すように液不透過性シート11に塗布したりすることにより形成することもできる。
【0056】
インジケータ塗料82は、体液などの水分との接触により呈色反応を示すような着色剤及び/又は水分中のpHを検知して呈色反応を示すような着色剤、或いは体液との反応により着色が消失する反応、着色剤が尿により溶解(分散)して滲んだり消失したりする反応、その他の視覚的変化を示す薬剤が含有されたインク、或いは水分又は体液との接触により視覚的変化を示す薬剤を含有するものであり、適宜の溶剤や接着剤(ホットメルト接着剤等)に混合した状態で、付与対象に塗布することにより用いることができる。例えば、尿などの水分との接触により呈色反応を示すような着色剤として、水溶性、水分解性染料又はロイコ染料と該ロイコ染料を発色させるフェノール性化合物、酸性物質、電子受容性物質等の顕色剤とからなる着色剤を使用することが可能である。呈色により現れる色は特に限定されないが、おむつ外面と同じ色(通常は白色)であると紛れて見え難くなるため、おむつ外面と異なる色に呈色するものが好適である。インジケータ塗料82の塗布パターンは特に限定されず、図示例のような複数の筋状に塗布する他、面状、帯状等に塗布することができる。
【0057】
インジケータ80を周囲部材に固定するためにホットメルト接着剤を塗布する場合、インジケータ80の上面は周囲のみ又はスパイラルパターン等の間欠的なパターンでホットメルト接着剤を塗布して、非接着部分により吸収体56側からの尿の供給を促進させるのが好ましい。一方、インジケータ80の下面はインジケータ80の変色が液不透過性シート11及び外装シート12を通して外部に良く見えるように、ホットメルト接着剤をベタ塗りして液不透過性シート11に密着させることが望ましい。
【0058】
尿とインジケータ80との接触効率を高めること及び製造容易性を考慮すると、図示形態のように、インジケータ塗料82を親水性の紙や不織布等の親水性繊維集合シート81に塗布して形成するのが好ましい。しかし、各領域91〜93のインジケータ塗料82が、互いに接する又は一体的な親水性繊維集合シート81に付着していると、第一インジケータ領域91においてインジケータ80に達した尿が親水性繊維集合シート81を通じて第二インジケータ領域92に拡散し、第二インジケータ領域92の水溶性層85がその上から供給される尿により溶解する前に、第二インジケータ領域92のインジケータ80を変色させてしまうおそれがある。これに対して、図示形態のように、第一インジケータ領域91のインジケータ80が付着された親水性繊維集合シート81と、第二インジケータ領域92のインジケータ80が付着された親水性繊維集合シート81とが、外面に沿う方向に離間していると、第一インジケータ領域91においてインジケータ80に達した尿は、可能な限り第一インジケータ領域91の親水性繊維集合シート81に保持され、第二インジケータ領域92の親水性繊維集合シート81には移らない。よって、各領域91〜93のインジケータ80をより高精度の時間差で変色させることができる。
【0059】
インジケータ80は、所望の領域に設けることができるが、図示形態のように吸収体56と重なる領域内に設けるのが好ましい。以下、各種の配置形態について順に説明する。
(第1形態)
図1〜3、
図8及び
図9に示される形態では、第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92はそれぞれ前後方向に沿って細長状に設けられており、かつ互いに幅方向に平行に並設されている。使い捨ておむつでは、尿は前後方向よりは幅方向へ拡散し易いため、このように第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92を幅方向に並設することにより、両領域にバランス良く尿が供給され、時間差変色の精度がより一層向上するようになる。
図示しないが、インジケータ80と吸収体56との間に第二インジケータ領域92よりも厚い水溶性層85が積層された第三インジケータ領域を、更に幅方向に並設することができる。第三インジケータ領域の位置は適宜定めることができるが、変色時間の順で並設するのが好ましい(他の形態も同様)。
【0060】
(第2形態)
図10に示されるように、吸収体56を有する領域のうち、前後方向中間部に第一インジケータ領域91が設けられるとともに、その前後両側に第二インジケータ領域92がそれぞれ設けられていると、尿は前後方向よりは幅方向へ拡散し易いため、水溶性層85として溶解の早い素材を用いても、変色までの時間をより長く確保することができる。この形態では、中間部が先に変色し、その後、所定時間経過してから前後両側が変色するようになる。なお、この形態は、
図11に示されるように第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92をおむつの幅方向中央部にのみ設ける他、第1形態における第二インジケータ領域92に代えて、
図10に示される第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92をそれぞれ第二インジケータ領域及び第三インジケータ領域として適用することができる。後者における第三インジケータ領域は、インジケータ80と吸収体56との間に第二インジケータ領域92よりも厚い水溶性層85が積層されたものである。これにより、第一インジケータ領域91、第二インジケータ領域92、及び第三インジケータ領域の順に、所定の時間間隔を空けて変色が発現するようになる。
【0061】
(第3形態)
図12に示すように、第一インジケータ領域91、第二インジケータ領域92、及び第三インジケータ領域93を、前後方向に並設することもできる。図示形態では、吸収体56を有する領域のうち、前後方向中間部に第一インジケータ領域91を設け、その前後両側に第二インジケータ領域92を設け、さらにその前後両側に第三インジケータ領域93を設けており、前後方向中間部から前後両側に向かって変色が順次開始されるようになっている。図示しないが、第一インジケータ領域91から第三インジケータ領域93までを、変色時間の順で前若しくは後ろから順に並設することもできる。
【0062】
(第4形態)
図13に示すように、第2の形態と反対に、吸収体56を有する領域のうち、前後方向中間部に第二インジケータ領域92を設け、その前後両側に第一インジケータ領域91をそれぞれ設けることもできる。使い捨ておむつにおいては、尿は前後方向よりは幅方向へ拡散し易い。よって、第二インジケータ領域92の位置を排尿位置から遠ざけると、場合によっては第二インジケータ80への尿の供給が不十分となることもありうる。しかし、本第4形態のように、前後方向中間部に第二インジケータ領域92が設けられるとともに、その前後両側に第一インジケータ領域91がそれぞれ設けられていると、第二インジケータ領域92への尿供給不足は発生し難くなる。なお、この形態では、前後両側が先に変色し、その後、所定時間経過してから中間部が変色するようになる。本第4形態においても、第3形態に倣って第三インジケータ領域を追加することができる(図示略)。
【0063】
(第5形態)
第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92は、それぞれ一つだけ又は複数でも近傍に設けられていると、排尿位置によっては時間差変色が機能しない可能性がある。そこで、
図15に示すように、吸収体56を有する領域に、第一インジケータ領域91及び第二インジケータ領域92を前後方向に交互に設けるのも好ましい形態の一つである。これにより、前後方向の排尿位置に関係なく、本発明の時間差変色が可能となる。本第5形態においても、第3形態に倣って第三インジケータ領域を追加することができる(図示略)。
【0064】
(各領域等の寸法)
各領域91〜93の寸法及び各領域91〜93間の間隔は適宜定めることができるが、通常の場合、各領域91〜93の幅は1〜3cm程度とすることができ、各領域91〜93の長さはおむつ全長Lの40〜70%程度とすることができ、各領域91〜93間の間隔は10〜30mm程度とすることができる。
【0065】
<その他>
(イ)第二インジケータ領域92の変色までの時間や、第三インジケータ領域93の変色までの時間を、例えば液不透過性シート11や外装シート12に印刷により表示するのも好ましい形態である。使用者は、この変色時間表示を外面から視認することにより、排尿からの経過時間を直ちに知ることができるようになる。
(ロ)水溶性層85を形成するオブラートやインク層は、図示形態のように領域間に跨って連続していても良く、また、領域毎に独立していても良い。
【0066】
<用語の説明>
用語「前後方向(縦方向)」とは腹側(前側)と背側(後側)を結ぶ方向を意味し、「幅方向」とは前後方向と直交する方向(左右方向)を意味し、「上下方向」とはおむつの装着状態、すなわちおむつの腹側部分と背側部分を重ね合わせるようにおむつを股間部で2つに折った際に幅方向と直交する方向を意味する。
また、用語「伸長率」は自然長を100%としたときの値を意味する。