【文献】
Chen Fang-Fang et al.,Chinese Journal of Inorganic Chemistry,2008年 8月,Vol.24, No.8,p.1219-1223
【文献】
Tae-Hyuk Kwon et al.,Chemistry-A European Journal,2008年 9月18日,Vol.14, Issue31,p.9613-9619
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項6又は7に記載の有機発光ダイオード又は発光セルを有している、固定型又は移動型のディスプレー、調理器具、広告掲示板、照明、情報板及び行き先表示板から選択されるデバイス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の錯塩、その製造法、金属錯体を含有している電子デバイス及び電子デバイス中での、殊に有機発光ダイオード(OLEDs)又は発光電気化学的セル(LEECs)中でのエミッタとして、光起電デバイス又は電池中での電解質又はイオン性液体として、酸素感応性インジケータとして、バイオアッセイでの燐光インジケータとして及び触媒としてのその使用に関する。
【0002】
発光デバイス中の活性成分として使用するために公知の有機エレクトロルミネセント(organic electroluminescent)化合物には、炭素及び窒素原子を介して(通常はC,N−結合二座配位子)又は特定のカルベン配位子(例えばC,C−結合二座配位子)を介して中心金属原子に結合する配位子を含有している金属錯体が包含される。この種類の錯体は更に、特定のヘテロ原子−結合配位子、例えばアセチルアセトネート、ピリジルカルボキシレート、1,1−ビピリジンの誘導体から選択されるものを含有することができる。最近、小さい非発光イオンで釣合わされた正味電荷を有するこの種類のいくつかの錯体が、主に発光性電子化学的セル(これは特定レベルの移動性イオンの存在を要求する)のために提案された(WO06/011090、WO07/004113)。
【0003】
今般、本質的に錯カチオン及び錯アニオン(この双方とも発光特性を有する)から成っている錯塩が得られることを発見した。発光層中でのこれら物質によるイオン移動度は、存在する小さい対イオンの等量で観察可能な値よりも低く、これが本発明の物質の更なる用途を広げる。
【0004】
従って本発明は、第一に、有機金属錯カチオン及び有機金属錯アニオンの塩に関し、ここでは、カチオンもアニオンも、2個以上の配位子に会合している40より大きい原子量の中心金属原子M1個、Mに結合している炭素原子を有する環状有機原子団を有している配位子少なくとも1個及びMに結合している窒素原子を有する環状有機原子団を有している配位子少なくとも1個を有している。
【0005】
この塩は屡々イオンを含有し、ここで、中心金属原子M及びカチオン中のその配位子の正味電荷は+1であり、アニオン中のそれは−1である。本質的に非錯イオン不含を達することができ、この濃度は、好ましくは塩の5質量%を下回り、殊に1質量%を下回る。この錯塩の各成分、即ちアニオン及びカチオンは、独立して、式I:
【化1】
[式中、Mは40より大きい原子量の金属であり、
CYCは、Mに結合している炭素原子を有する環状有機原子団であり、
CYNは、Mに結合している窒素原子又はカルベンを有する環状有機原子団であり、
Mに結合しているL
1は、無機及び有機配位子から選択され、
mは1〜3の数であり、nは0〜4の数であり、(m+n)は2〜5であることを条件としている]に一致する。
【0006】
一般に、CYC中の(炭素)結合部位は、形式的に負の電荷(相応するCYCHから陽子の引抜きにより誘導される)を有し;CYN中の(窒素又はカルベン)結合部位は、屡々形式的に、電荷を有しない(カルベンは、その通常の意味に従えば、一重項又は三重項状態で2個の付加的電子を有している2−結合炭素原子であると理解される)か、又は形式的に負の電荷(配位子が相応するCYNHから陽子の引抜きにより誘導される場合)を有する。例えば式I中に含有されているような原子団CYC及びCYNは、別個の化学的実体(即ち、一座配位子)であるか、又は好ましくは化学結合により連結されて(従って一緒になって二座配位子を形成)いることができる。これらの種類の配位子は、文献中に公知である(例えばUS−2004−265633;US−2006−172150;WO04/017043;WO06/067074及び前記の文献を参照されたし)。例えば、原子団CYCは、環Aであってよく、
【化2】
は、置換又は非置換のアリール基(これは1個のヘテロ原子を有していることができる)を表し、原子団CYNは環Bであってよく、
【化3】
は置換又は非置換の窒素含有アリール基(これは更に1個のヘテロ原子を有していることができる)を表す。
【0007】
この種類の有利な配位子では、2つの環が相互に結合されて、それぞれ、式:
【化4】
の二座配位子を形成している。この種類のいくつかの(形式的にモノアニオン性の)配位子は、WO06/067074(殊に12頁、15行〜18頁4行に記載されており、この記載はここで参照される)。この種類の有利な配位子は、WO0600544、WO07074093、WO08101842中に記載されている。
【0008】
配位子
【化5】
の有利な基は、式:
【化6】
[式中、R
6、R
7、R
8及びR
9は相互に独立して、水素、C
1〜C
24アルキル、C
2〜C
24アルケニル、C
2〜C
24アルキニル、アリール、ヘテロアリール、C
1〜C
24アルコキシ、C
1〜C
24アルキルチオ、シアノ、アシル、アルキルオキシカルボニル、ニトロ基又はハロゲン原子であるか;又は相互に隣接しているR
6、R
7、R
8及びR
9の2個の置換基は一緒になって、基:
【化7】
(ここで、R
205、R
206、R
207及びR
208は相互に独立して、H、ハロゲン又はC
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8アルコキシである)を形成しており、
環Aは置換又は非置換のアリール又はヘテロアリール基を表すか;又は環A上の置換基はピリジル基に結合している基、殊にR
9と一緒になって環を形成していてよく;R
6、R
7、R
8及びR
9及びR
205、R
206、R
207及びR
208で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシル基及びアルキルオキシカルボニル基は、置換されていてよい]のものである。
【0009】
好ましく、この塩は、式II:
【化8】
[式中、M
1及びM
2は、Mについて定義される金属から選択され、
CYC
1及びCYC
2は、CYCについて定義される環状有機原子団であり、
CYN
1及びCYN
2は、CYNについて定義される環状有機原子団であり、
L
2は、L
1について定義されるものであり、
m
1及びm
2は、mについて定義される数であり、
n
1及びn
2は、nについて定義される数である、但し、
i)(m
1+n
1)及び(m
2+n
2)の各々は、2〜5の範囲であり、
ii)[CYC
1 CYN
1]×m
1+L
1×n
1+M
1の電荷の合計は+1であり、
iii)[CYC
2 CYN
2]×m
2+L
2×n
2+M
2の電荷の合計は−1であることを条件としている]に一致する。
【0010】
前記式中で、CYC及びCYNは屡々、1個以上の化学結合により相互に結合されて、例えば
【化9】
【0011】
【化10】
から選択される二座配位子:
[各々の式中で、点線はN−金属結合を示し、直線は炭素−金属結合を示し、ここで、金属に結合していない炭素原子は非置換であるか又は置換されており;次の態様が有利である:
カチオン配位子としてのL
1は、一座−及び二座有機カチオン配位子から選択され;中性配位子としてのL
1は、一座−及び二座有機配位子から選択され;
アニオン配位子としてのL
1は、一座−及び二座有機アニオン配位子及び一座無機配位子から選択され;
Mは、Tl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、Mo、Cr、Mn、Ta、V、Zn、Fe、Ni、Co、Rh、Re、Os、Ag、Au、ランタニド、例えばEu、Tb、Nd、Yb、Er及び殊にCu、Ru、Ir、Pt、Pdから選択され;及び存在する場合の任意の置換基は次のものから選択される:ハロゲン、ヒドロキシ、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8フルオロアルキル、C
1〜C
8アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、COR、OCOR、COOR、SO
2R、CN、NHR、NRR’及びイオン性置換基
−X’−(スペーサ)
x−Y’(ここで、R、R’は独立して、C
1〜C
12アルキルから選択されるか又は一緒になったペンチレン又は(CH
2)
2O(CH
2)
2又は(CH
2)
2NH(CH
2)
2であり、Rは水素であってもよく;X’は直接結合、O、S、CO、COO、COCO、NR、フェニレンであり;xは0又1であり;スペーサはC
1〜C
12アルキレン、X’で中断されているC
2〜C
12−アルキレン、フェニレン、C
2〜C
12アルケニレンであり;Y’はCOO
−、OCOO
−、SO
3−、OSO
3−、PO
32−、OPO
32−から選択されるアニオン基又はNR
3+から選択されるカチオン基である)]を形成する。
【0012】
更に重要な配位子CYN(及び/又は所望の場合にはL)は、例えばUS2006/258043又はWO06/067074中に記載されているようなカルベンタイプのものである。例は、非環状の親核性カルベン、好ましくは次式の基:
【化11】
(式中、X=YはN、B又はPである);
【化12】
(式中、X
1はN又はPであり、Y
1はS又はO;>SiX
2X
3又は>CZ
5Z
3であり、ここで、X
2及びX
3は各々独立して、C
1〜C
4アルキルであり、R
5、Z
3、Z
4、Z
5及びZ6は下記の様に定義される)の1つを有している配位子である。
【0013】
前記の基の可能性を詳述する例は、次のものである:
【化13】
【0014】
環状カルベン
【化14】
が、非環状カルベンに比べて有利であり、この意味におけるCYNの例は、次のものである:
【化15】
[式中、R
5は、置換基、殊に水素、C
1〜C
24アルキル、C
2〜C
24アルケニル、C
2〜C
24アルキニル、C
2〜C
24アルコキシカルボニル、アリール、C
1〜C
24カルボキシレート、C
1〜C
24アルコキシ、C
2〜C
24アルケニルオキシ、C
2〜C
24アルキニルオキシ又はアリールオキシであり、これは場合によりC
1〜C
8アルキル、ハロゲン、C
1〜C
8アルコキシで又はフェニル基(これはハロゲン、C
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8アルコキシで置換されていてよい)で置換されていてよく;かつ
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5及びZ
6は相互に独立して、水素、C
1〜C
24アルキル、C
2〜C
24アルケニル、C
2〜C
24アルキニル、C
2〜C
24アルコキシカルボニル、アリール、C
1〜C
24カルボキシレート、C
1〜C
24アルコキシ、C
2〜C
24アルケニルオキシ、C
2〜C
24アルキニルオキシ又はアリールオキシからなる群から選択され、ここで、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4の各々は、場合によりC
1〜C
8アルキル、ハロゲン、C
1〜C
8アルコキシで又はフェニル基(これはハロゲン、C
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8アルコキシで置換されていてよい)で置換されているか、又はZ
1及びZ
2は、可能な場合に、芳香環又はヘテロ芳香環を形成し、及び/又はZ
3、Z
4、Z
5及びZ
6は、可能な場合に、アルキル又はヘテロアルキル環を形成している]。
【0015】
前記の態様において、配位子
【化16】
は、有利に、式:
【化17】
の基の1つであり、この式中で、R
1〜R
4は置換基であり、一緒になって環を形成していてよく、yは0又は1、殊に0であり、
基
【化18】
は、次式の基(親核性カルベン):
【化19】
[式中、R
5は置換基、殊に水素、C
1〜C
24アルキル、C
2〜C
24アルケニル、C
2〜C
24アルキニル、C
2〜C
24アルコキシカルボニル、アリール、C
1〜C
24カルボキシレート、C
1〜C
24アルコキシ、C
2〜C
24アルケニルオキシ、C
2〜C
24アルキニルオキシ又はアリールオキシであり、これは場合によりC
1〜C
8アルキル、ハロゲン、C
1〜C
8アルコキシで又はフェニル基(これはハロゲン、C
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8アルコキシで置換されていてよい)であり;
Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5及びZ
6は相互に独立して、水素、C
1〜C
24アルキル、C
2〜C
24アルケニル、C
2〜C
24アルキニル、C
2〜C
24アルコキシカルボニル、アリール、C
1〜C
24カルボキシレート、C
1〜C
24アルコキシ、C
2〜C
24アルケニルオキシ、C
2〜C
24アルキニルオキシ又はアリールオキシからなる群から選択され、ここで、Z
1、Z
2、Z
3及びZ
4は、場合によりC
1〜C
8アルキル、ハロゲン、C
1〜C
8アルコキシで又はフェニル基(これはハロゲン、C
1〜C
8アルキル又はC
1〜C
8アルコキシで置換されていてよい)で置換されているか、又はZ
1及びZ
2は、可能な場合に、芳香環又はヘテロ芳香環を形成し、及び/又はZ
3、Z
4、Z
5及びZ
6は、可能な場合に、アルキル又はヘテロアルキル環を形成している]の1つである。
【0016】
親核性カルベン配位子の更なる特別な例、殊に、
【化20】
タイプの二座配位子は、WO06/067074中に記載されている。
【0017】
更なる例は、配位子:
【化21】
[式中、開放結合は、炭素−金属を示し、2点は、カルベン−金属結合部位を示し、ここで、各々の配位子は非置換であるか又は置換されている]である。
【0018】
配位子
【化22】
の有利な例には、次式のものがこれに包含される:
【化23】
【0019】
【化24】
[各々の式中で、点線はN−金属結合を示し、直線は炭素−金属結合を示し、ここで、金属に結合していない炭素原子は非置換であるか、又は下記に説明されているように置換されており、
R"は下記のRと同様に定義される]。
【0020】
L
1及び存在する場合のL
2は、一座のハロゲニド、シアノ、ホスフィン及び配位原子としてのN、O、P、B又はS又はカルベン配位子の場合にはCを有しており、金属に配位されている場合には5員又は6員環を形成している有機二座配位子から選択され、この有機二座配位子は、次のものから有利に選択される:
【化25】
【0021】
【化26】
【0022】
【化27】
[式中、Phはフェニルを表し、これらの各々は非置換であるか又はその炭素原子の1個以上の上で下記のような置換基で及び/又はC
6〜C
18アリール、殊にフェニルで置換されており;存在する場合の置換基は、次のものから選択される:ハロゲン、ヒドロキシ、C
1〜C
8アルキル、C
1〜C
8フルオロアルキル、C
1〜C
8アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、COR、OCOR、COOR、SO
2R、CN、NHR、NRR’及びイオン性置換基 −X’−(スペーサ)
x−Y’;ここで、R、R’は独立して、C
1〜C
12アルキルから選択されるか、又は一緒になったペンチレン又は(CH
2)
2O(CH
2)
2又は(CH
2)
2NH(CH
2)
2であり、Rは水素であってもよく;X’は直接結合、O、S、CO、COO、COCO、NR、フェニレンであり;xは0又1であり;スペーサはC
1〜C
12アルキレン、X’で中断されているC
2〜C
12アルキレン、フェニレン、C
2〜C
12アルケニレンであり;Y’はCOO
−、OCOO
−、SO
3−、OSO
3−、PO
32−、OPO
32−から選択されるアニオン基又はNR
3+から選択されるカチオン基である]。
【0023】
特別重要な特定の塩において、独立して金属MはIr及びPtから選択され、CYC及びCYNは相互に結合して、通例、式:
【化28】
の2−フェニルピリジンから選択される二座配位子を形成しており、これらは、非置換であるか又はハロゲン、C
1〜C
4ハロアルキル、C
1〜C
4アルキル又はC
1〜C
4アルコキシ及び/又はイオン性置換基で置換されており;
中性配位子としてのL
1は、ビピリジン及びフェナントロリン(この各々は、非置換であるか又はハロゲン、C
1〜C
4ハロアルキル、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、フェニル、ハロフェニルで置換されている)から選択され;
カチオン配位子としてのL
1は、付加的にカチオン置換基を有している前記の中性配位子から選択され;
アニオンリガンとしてのL
1は、ハロゲニド及びシアノ;非置換の又はハロゲン、C
1〜C
4ハロアルキル、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ及び/又はアニオン性置換基で置換されているピリジルカルボキシレートから;及び付加的にアニオン置換基を有している前記の中性配位子から選択され;
任意のイオン性置換基は、式−X’−(スペーサ)
x−Y’(ここで、X’は直接結合、O、S、CO、COO、COCO、NR、フェニレンであり;xは0又1であり;スペーサはC
1〜C
12アルキレン、X’で中断されているC
2〜C
12アルキレン、フェニレン、C
2〜C
12アルケニレンであり;Y’はCOO
−、SO
3−、OSO
3−から選択されるアニオン基又はNR
3+から選択されるカチオン基であり、RはH又はC
1〜C
12アルキルである)の基から選択される。
【0024】
本発明による化合物をベースとしているエレクトロルミネセントデバイスは、良好なデバイス安定性/寿命、発光のための高いターンオン速度、高輝度で動作される場合でも良好な効率を示す。本発明の化合物は、全ての範囲の発光色を生じるように設計することができる。このことは、白色光用途(照明、背面板、標識、ディスプレー等)のための本発明の化合物の組み合わせ物を含有する新規材料の設計を可能とする。
【0025】
本発明の錯塩中の主要素であるアニオン及びカチオンの電荷は、通常、それらの成分の形式的電荷の正味値(net value)として合計される;電荷は、金属中心に局在されうるか又はCYN、CYC、L
1及び/又はL
2配位子の一部(置換基)でありうる。
【0026】
金属Mは一般に、40より大きい原子量を有する金属である。この金属Mは、好ましくはTl、Pb、Bi、In、Sn、Sb、Te、殊にMo、Cr、Mn、Ta、V、Zn、Cu、Fe、Ru、Ni、Co、Ir、Pt、Pd、Rh、Re、Os、Ag及びAu及び/又はランタニド、例えばEu、Tb、Nd、Yb、Erから選択される。より好ましくは、この金属は、Ir及びRu並びにCu、Ag、Au、Pt及びPdから選択され、ここで、Ir及びPtが最も有利である。
【0027】
配位子の数、一座及び/又は(キレート)二座は、一般に、金属の結合部位の数により決定される。金属は中性で、又はより一般的には文献中に一般に公知の好適な酸化状態で存在しうる。例えばIrは最も好ましくは形式的酸化状態3+(通常は6−倍配位)であり、Ruは形式的酸化状態2+(通常は6−倍配位)、PtとPd及びAuとZnは形式的酸化状態2+(通常は4配位)、Ag及びCuは形式的酸化状態1+(通常は4配位)である。
【0028】
従って、全ての配位子が2座である場合には、通常、次の配位が当て嵌まる:MがCo又はFe、殊にIr又はRu又はRhである場合に、(n+m)は3が好ましく、殊にここで、nが1であり、mが2であり;MがNi、Rh又は殊にPd、Ru又はPtである場合には、(n+m)は2が好ましい。
【0029】
本発明の有利な錯体において、中心原子Mは、電荷2+の金属カチオン(例えばPt
2+)又は殊に3+の金属カチオン(例えばIr
3+)の塩から得られる。
【0030】
特別重要な特定の錯体中で、全ての配位子は、二座であり、nは1、mは2である。
【0031】
L
1(及びL
2)は屡々、文献中に公知の1座の無機又は有機配位子及び二座の有機配位子、例えばハロゲニド(殊にF
−、Cl
−)、シアノ(CN
−)、ホスフィン(例えばPCy
3)から選択される。この種類のいくつかの有利なモノアニオン二座配位子は、WO06/067074(殊に18頁、5行〜22頁、5行)中に記載されており、この記載内容はこの参考文献をもって開示されているものとする。
【0032】
一座配位子はモノアニオンであることが好ましい。このような配位子は、配位基、例えばアルコキシド、カルボキシレート、チオカルボキシレート、ジチオカルボキシレート、スルホネート、チオレート、カルバメート、ジチオカルバメート、チオカルバゾンアニオン、スルホンアミドアニオン等と共に、配位原子としてのO又はSを有することができる。ある場合には、β−エノレートのような配位子は、一座配位子として作用することができる。この一座配位子は、配位アニオン、例えばハライド、ニトレート、スルフェート、ヘキサハロアンチモネート等であることもできる。好適な一座配位子は以下に示すものである:
【化29】
【0033】
有用な一座配位子は、大抵は市場で入手可能である。
【0034】
本発明の有利な1態様において、配位子L
1(及びL
2)は、二座配位子である。一般にこれら配位子は、配位原子としてのN、O、P又はSを有し、金属に配位結合する場合に5員又は6員の環を形成する。好適な配位結合する基には、アミノ、イミノ、アミド、アルコキシド、カルボキシレート、ホスフィノ、チオレート等が包含される。これら配位子の好適なペアレント化合物の例には、β−ジカルボニル(β−エノレート配位子)及びこれらのN及びS同族体;アミノカルボン酸(アミノカルボキシレート配位子);ピリジンカルボン酸(イミノカルボキシレート配位子);サリチル酸誘導体(サリチレート配位子);ヒドロキシキノリン(ヒドロキシキノレート配位子)及びこれらのS同族体;ジアリールホスフィノアルカノール(ジアリールホスフィノアルコキシド配位子);ビピリジンがこれに包含される。
【0035】
特別重要な二座配位子は、屡々(2H−ベンゾ)トリアゾール、o−フェニルピリジンから選択され、これらの各々は非置換であるか又は置換されていてもよい。
【0036】
配位子L
1(及びL
2)は、屡々、式III:
D
3−G’−D
4 (III)
に一致し、式中で、G’は有機架橋基又は直接結合を表し、
D
3は窒素、酸素、硫黄、燐から選択される電子供与性ヘテロ原子を有している有機原子団を表し、
前記錯体は窒素、硫黄から選択されるアニオンヘテロ原子を有している有機原子団を表し;
特定の配位子Aに関するこれは、式IV:
【化30】
(式中、Zは、窒素原子と一緒になって不飽和の又は芳香族の4〜8−員環を形成する有機架橋基であり、これは場合により置換されていてよい、
Y
−は、アニオン窒素によって中心Cuに結合している脂肪族又は芳香族の、環状又は非環状の有機原子団である)として表すことができる。
【0037】
式IIIの有利な配位子中で、G’は直接結合を表し;
D
3は5〜14環原子の不飽和又は芳香族のヘテロ環式原子団、例えば3級芳香族アミノ原子団又は相応するオキサ又はチア原子団を表し;
D
4は5〜14環原子の不飽和又は芳香族のN−ヘテロ環式原子団のアニオンを表す;
又は配位子D
3−G’−D
4は、式Vによる8〜14環原子の少なくとも2個の縮合環系:
【化31】
を表し、これは置換又は非置換であってよく、式中のZ’は、窒素、酸素、硫黄、燐から選択される少なくとも1個の電子供与性ヘテロ原子を有し、結合する炭素原子と一緒になって不飽和又は芳香族の4〜8員環(これは、置換又は非置換であってよい)を形成する有機架橋基であり;式中のZ及びZ"は独立して、有機架橋基及び窒素原子と一緒になって不飽和又は芳香族の4〜8員環(これは場合により置換されていてよい)を完成する直接結合から選択され、ここで、Z及びZ"の少なくとも1つは直接結合ではない。
【0038】
D
3は、屡々、次のもの:ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジル、ピラニル、クマリル、プテリジル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、フリル、ベンゾフリル、チアゾリル、チエノチエニル、ジチアインダセニル、キノリル、イソキノニル、キノキサリル、アクリジル、アザナフチル、フェナントロリル、トリアジニル、チエニル、
【化32】
から選択され、これら各々は、非置換であるか又は置換されている;
D
4は、残基プリニル、ピリル、インジル、カルバゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ピラゾリル、ベンゾピラゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、テトラゾリル(これら各々は非置換であるか又は置換されている)のN−脱プロトン化の後に得られるようなアニオン原子団から選択される;
又は配位子D
3−G’−D
4は式Vのものであり、この式中のZ’は2個の連結炭素原子に結合している有機架橋結合であり、NCHCHCH、CHNCHCH、NNCHCH、NCHNCH、NCHCHN、NNNCH、NNCHN、OCHCH、CHOCH、OCHN、SCHCH、SCHN、CHSCH(これらの炭素原子は置換又は非置換であってよい)から選択され;Z"−N−Zは2個の連結炭素原子に結合している有機架橋基であり、N
−CHCH、CHN
−CH、N
−CHN、N
−NCH、N
−NN(存在する場合の炭素原子は置換又は非置換であってよい)から選択される有機架橋基であり;
殊にここで、D
3又はZ’からのヘテロ原子及びアニオン窒素は、1,3−又は1,4−又は1,5−位に存在している。
【0039】
更なる有用な配位子のいくつかは、次式の3−ピリジル−置換された1,2,4−トリアゾールから誘導される:
【化33】
[式中、i及びmは独立して、0、1又は2であり;kは3〜5の範囲であり;
Rは独立して、C
1〜C
12アルキル、C
2〜C
8アルケニル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、メトキシである]。
【0040】
他の好ましい二座有機配位子L
1(及び/又はL
2)は、屡々次のものから選択される:
【化34】
【0041】
【化35】
【0042】
【化36】
[式中、Phはフェニルを表し、これらの各々は、非置換であるか又はその1個以上の炭素原子上で、下記の置換基及び/又はC
6〜C
18アリール、殊にフェニルで置換されている]。
【0043】
好適なホスフィノアルコキシド配位子(X−33、WO03040256)の例は、以下に挙げられているものである:
3−(ジフェニルホスフィノ)−1−オキシプロパン[dppO]
1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2−(ジフェニルホスフィノ)−エトキシド[tfmdpeO]。
【0044】
モノアニオン二座配位子としてのL
1(及びL
2)は、式IIIの1つであることもできる:
【化37】
[式中、WはO、S、NR
4、CR
5R
6から選択され、
XはN又はCR
7であり、
YはO、S、NR
8から選択され;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6は独立して、H、置換又は非置換のC
1〜C
18アルキル、置換又は非置換のC
2〜C
18アルケニル、置換又は非置換のC
5〜C
10アリール、置換又は非置換のC
2〜C
10ヘテロアリール、C
1〜C
18アシルである;
又はR
1、R
2は独立して、次のものから選択される置換基:ハロゲン、C
1〜C
18アルコキシ、C
1〜C
18アルキルチオ、C
1〜C
18アシル、C
5〜C
10アリール、C
3〜C
10シクロアルキル、C
1〜C
18アシルオキシ、C
5〜C
10アリールオキシ、C
3〜C
12シクロアルキルオキシ又は残基:
【化38】
から選択される置換基を表すことができ;
R、R’及びR"は独立して、C
1〜C
12アルキル、C
5〜C
10アリール、C
3〜C
12シクロアルキルから、好ましくはC
1〜C
6アルキル、フェニル、シクロペンチル、シクロヘキシルから選択され;Rは水素であってもよい;
又は隣接している基R
1とR
2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、炭素環式又はヘテロ環式の、非芳香族の又は好ましくは合計5〜7環原子数の芳香環(これは、場合により置換されていてよい)を完成する有機架橋基を形成している;
存在する場合のR
7は、その隣接している基R
3と一緒になって、それらが結合している炭素原子と共に、合計5〜7環原子数の炭素環式又はヘテロ環式の非芳香族又は好ましくは芳香環(これらは場合により置換されていてよい)を完成する有機架橋基を形成しており;かつWがO、NR
4、CR
5R
6であり、及び/又はYが窒素原子を有する場合には、R
7はR
4と同じ意味をも包含する;
又はR
3はH、置換又は非置換のC
1〜C
18アルキル、置換又は非置換のC
2〜C
18アルケニル、置換又は非置換のC
5〜C
10アリール、置換又は非置換のC
2〜C
10ヘテロアリール、C
1〜C
18アシルであり;
R’
3は置換又非置換のC
1〜C
18アルキレン、置換又は非置換のC
2〜C
18アルケニレン、置換又は非置換のC
5〜C
10アリーレン、置換又は非置換のC
2〜C
10ヘテロアリーレン、C
2〜C
18ジアシレンであり;R
8は水素又は置換基である]。
【0045】
前記の化合物及び配位子中の、存在する場合の置換基は、好ましくは次のものから選択される:ハロゲン、ヒドロキシ、C
1〜C
18アルキル、C
1〜C
18フルオロアルキル、C
1〜C
18アルコキシ、フェニル、フェニルオキシ、COR、OCOR、COOR、SO
2R、CN、NHR、NRR’及びイオン性置換基−X’−(スペーサ)
x−Y’;ここで、R、R’は独立してC
1〜C
12アルキルから選択されるか、又は一緒になったペンチレン又は(CH
2)
2O(CH
2)
2又は(CH
2)
2NH(CH
2)
2であり、Rは水素でもあってもよく;X’は直接結合、O、S、CO、COO、COCO、NR、フェニレンであり;xは0又は1であり;スペーサは、C
1〜C
12アルキレン、X’で中断されているC
2〜
12−アルキレン、フェニレン、C
2〜C
12アルケニレンであり;Y’はCOO
−、OCOO
−、SO
3−、OSO
3−、PO
32−、OPO
32−から選択されるアニオン基又はNR
3+から選択されるカチオン基である。
【0046】
2種の異なるタイプの二座配位子を有している6配位された金属錯体(この錯体は本発明で特別重要な(例えばIr又はRuであるMを有する)態様を成す)の場合には、3種の異性体:
【化39】
が存在することができる。ある場合には、異性体の混合物が得られる。屡々、個々の異性体を単離することなしに、この混合物を使用することができる。この異性体は、例えばA.B.Tamayo et al.,J.Am.Chem.Soc,125(2003)7377-7387に記載されているような慣用法によって分離することができる。
【0047】
用語「配位子」は、金属イオンの配位球に結合される分子、イオン又は原子を意味している。名詞として用いられる場合の用語「錯体」は、少なくとも1個の金属イオン及び少なくとも1個の配位子を有している化合物を意味している。用語「基」は、化合物の一部、例えば有機化合物中の置換基又は錯体中の配位子を意味している。用語「facial型」は、その中の3個のa基のすべてが隣接している、即ち八面体の三角面の1角で隣接している八面体形を有している錯体Ma
3b
3の1異性体を示すことを意図している。用語「meridional型」は、八面体形態を有し、その中の3個のa基が、2個が相互にトランスであるように3位置を支配している、即ち3個のa基が、3つの同平面位置に存在して、子午線と考えられうる配位球を横切る弧を形成している、錯体Ma
3b
3の1異性体を意味することを意図している。1以上の芳香環上の2置換基に関する場合の表現「に隣接している」は、それらが縮合芳香環を形成できる置換基であることを意味している。用語「縮合芳香環」は、他の芳香環の少なくとも2個の原子に結合するsp2−軌道原子により形成された環を呼称している。デバイス中の層に関連して使用される場合の表現「に隣接している」は、1つの層が他の層に直接隣接していることを必ずしも意味ない。用語「光活性」は、エレクトロルミネセンス及び/又は光敏感性を示す物質に関連している。
【0048】
有機架橋基としての2個の隣接している基によってそれらのアンカー原子と一緒になって形成される合計5〜7環原子数の炭素環式又はヘテロ環式で、非芳香族の又は有利には芳香族の環は、屡々、以下に説明されているようなアリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又は脂環式不飽和原子団から選択される。
【0049】
アリール(例えばC
1〜C
14アリール)が使用される場合のこれには、有利に、最大可能な数の二重結合を有する単環又は多環系、例えばフェニル、ナフチル、アントラキニル、アントラセニル又はフルオレニルが包含される。用語「アリール」には、主に、環構造の一部として、主にO、N及びSから選択される1個以上のヘテロ原子を含有しているC
1〜C
18芳香族原子団(これはヘテロ環(ヘテロアリールとも称される)であってよい)が包含され;炭化水素アリールの例は、主にフェニル、ナフチル、アントラキニル、アントラセニル、フルオレニル、殊にフェニルを包含するC
6〜C
18である。C
4〜C
18ヘテロアリールの様なヘテロアリールは、殊に芳香環を形成している原子の間にN、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有しているアリール基を表し;例には、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジル、チエニル、ベンゾチエニル、ピリル、フリル、ベンゾフリル、インジル、カルバゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアゾリル、キノリル、イソキノリル、トリアジニル、テトラヒドロナフチル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリルが包含される。C
4〜C
18アリール、例えばフェニル、ナフチル、ピリジル、テトラヒドロナフチル、フリル、チエニル、ピリル、キノリル、イソキノリル、アントラキニル、アントラセニル、フェナンスリル、ピレニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチエニル、殊にC
6〜C
10アリールが包含され;フェニル、ナフチルが最も有利である。
【0050】
ハロゲンは、I、Br、Cl、F、殊にFである。ハロアルキルはハロゲンで置換されたアルキルを表し、これには、過ハロゲン化されたアルキル、例えばペルフロオロアルキル、殊に分枝又は非分枝の基C
1〜C
4ペルフルオロアルキル、例えば−CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2CF
2CF
3、−CF(CF
3)
2、−(CF
2)
3CF
3及び−C(CF
3)
3が包含される。
【0051】
アルキルは、任意の非環式の飽和1価ヒドロカルビル基を表し;アルケニルは、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有しているような基(例えばアリル)を表し;同様にアルキニルは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有しているような基(例えばプロパルギル)を表す。アルケニル又はアルキニル基が1個より多い二重結合を有する場合に、これらの結合は、通常は累積されていないが、交互の順序で配置されていることができ、例えば−[CH=CH−]
n又は−[(CH=C(CH
3)−]
n(ここでnは、例えば2〜50の範囲内にあることができる)であることができる。他に定義されていない限り、有利なアルキルは、炭素原子1〜22を有し;有利なアルキル及びアルキニルは、それぞれ炭素原子2〜22、殊に炭素原子3〜22を有する。
【0052】
中断されていると指示されている場合に、1以上の、殊に2以上の炭素原子数のアルキル基又は他の原子団の一部であるアルキル又はアルキレン原子団は、ヘテロ官能基、例えばO、S、COO、OCNR10、OCOO、OCONR10、NR10CNR10又はNR10(ここで、R10はH、C
1〜C
12アルキル、C
3〜C
12シクロアルキル、フェニルである)で中断されていることができる。これらは、1個以上のスペーサ基で中断されていることができ、各々の場合に1個の基は、一般に、炭素−炭素結合中に挿入されており、この際、ヘテロ−ヘテロ結合、例えばO−O、S−S、NH−NHは生じず;中断されたアルキルが付加的に置換されている場合には、この置換基は、一般にヘテロ原子に対してαではない。タイプ−O−、−NR10−、−S−の2個以上の中断基が1つの基中に存在する場合には、これらは屡々同じである。
【0053】
従って使用されている用語「アルキル」には、主に、殊に中断されておらず、かつ適当な場所で置換されたC
1〜C
22アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルへキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルが包含される。アルコキシはアルキル−O−であり;アルキルチオはアルキル−S−である。
【0054】
ハロアルキルは、ハロゲンで置換されたアルキルを意味し;これには過ハロゲン化されたアルキル、例えばペルフルオロアルキル、殊に分枝した又は非分枝の基であるC
1〜C
4ペルフルオロアルキル、例えば−CF
3、−CF
2CF
3、−CF
2CF
2CF
3、−CF(CF
3)
2、−(CF
2)
3CF
3及び−C(CF
3)
3が包含される。
【0055】
前記定義のアラルキルは、通常はC
7〜C
24アラルキル基、好ましくは置換されていてよいC
7〜C
15アラルキル基、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェネチル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−オクチル、ω−フェニル−ドデシル;又はフェニル環上で1〜3個のC
1〜C
4アルキル基で置換されているフェニル−C
1〜C
4アルキル、例えば2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,6−ジメチルベンジル又は4−t−ブチルベンジル又は3−メチル−5−(1’,1’,3’,3’−テトラメチル−ブチル)−ベンジルから選択される。
【0056】
従って、使用されている用語「アルキル」には、主に、殊に中断されていない、適切な場合には置換されたC
2〜C
22アルキル、例えばビニル、アリル等が包含される。
【0057】
C
2〜24アルキニルは、直鎖であるか又は分枝しており、好ましくは非置換の又は置換されていてよいC
2〜8アルキニル、例えば次のものである:エチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル又は1−テトラコシンー24−イル。
【0058】
脂環式原子団には、シクロアルキル、脂肪族ヘテロ環式基並びにこれらの不飽和の変種、例えばシクロアルケニルが包含される。C
3〜C
18シクロアルキルのようなシクロアルキルは、好ましくはC
3〜C
12シクロアルキルであるか又は1〜3個のC
1〜C
4アルキル基で置換された前記シクロアルキルであり、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロへキシル、t−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロドデシル、1−アダマンチル又は2−アダマンチルが包含される。シクロヘキシル、1−アダマンチル及びシクロペンチルが最も有利である。C
3〜C
12シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルが包含され;これらの基の内でC
3〜C
6シクロアルキル並びにシクロドデシル、殊にシクロヘキシルが有利である。更に存在する環構造は、通常は5〜7環員数を有し、特に少なくとも1個、殊に1〜3個の、通常はO、S、NR10(ここで、R10は中断NR10に関する前記と同じものである)から選択されるヘテロ原子団を有するヘテロ環式脂肪族環であり;その例には、S、O又はNR10で中断されているC
4〜C
18シクロアルキル、例えばピペリジル、テトラヒドロフラニル、ピペラジニル及びモルホリニルが包含される。不飽和の変種は、これら構造から2個の隣接環員上の水素を引抜いてそれらの間に二重結合を形成させることにより誘導することができ;このような基の例はシクロヘキセニルである。
【0059】
C
1〜C
24アルコキシのようなアルコキシは、直鎖の又は分枝した基、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシt−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ又はt−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ及びオクタデシルオキシである。
【0060】
C
6〜C
18シクロアルコキシは、例えばシクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ又はシクロオクチルオキシ又は1〜3個のC
1〜C
4アルキルで置換された前記シクロアルコキシ、例えばメチルシクロペンチルオキシ、ジメチルシクロペンチルオキシ、メチルシクロヘキシルオキシ、ジメチルシクロヘキシルオキシ、トリメチルシクロヘキシルオキシ又はt−ブチルシクロヘキシルオキシである。
【0061】
C
6〜C
24アリールオキシは、典型的にはフェノキシ又は1〜3個のC
1〜C
4アルキル基で置換されたフェノキシ、例えばo−、m−又はp−メチルフェノキシ、2,3−ジメチルフェノキシ、2,4−ジメチルフェノキシ、2,5−ジメチルフェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、3,4−ジメチルフェノキシ、3,5−ジメチルフェノキシ、2−メチル−6−エチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、2−エチルフェノキシ又は2,6−ジエチルフェノキシである。
【0062】
C
6〜C
24アラルコキシは、典型的にはフェニル−C
1〜C
9アルコキシ、例えばベンジルオキシ、α−メチルベンジルオキシ、α,α−ジメチルベンジルオキシ又は2−フェニルエトキシである。
【0063】
C
1〜C
24アルキルチオ基は、直鎖又は分枝鎖のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、イソブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、デシルチオ、テトラデシルチオ、ヘキサデシルチオ又はオクタデシルチオである。
【0064】
SiRR’R"のようなシリルは、好ましくは非置換の又は置換されたヒドロカルビル又はヒドロカルビルオキシ(ここで、置換基は置換されたシリル以外のものが好ましい)から選択された基2個又は好ましくは3個の原子団で前記定義のように置換された又は置換又は非置換のヘテロアリールで置換されたSiが好ましい。Siが2個のみの置換基を有する場合には、このシリル基は、ヒドロカルビル又はヒドロカルビルオキシであるR
2を有する−SiH(R
2)タイプのものが好ましい。有利なヒドロカルビル(オキシ)は、C
1〜C
20アルキル(オキシ)、アリール(オキシ)、例えばフェニル(オキシ)、C
1〜C
9アルキルフェニル(オキシ)であり、ここで、"(オキシ)"は、存在するか又は存在しなくてよい任意のリンカー"−O−"を表す。3個のC
1〜C
20−アルキル又は−アルコキシ置換基がより有利であり、即ち置換されたシリルは、R12がC
1〜C
20−アルキル又は−アルコキシである、殊に3個のC
1〜C
8アルキル置換基、例えばメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル又はイソブチルであるR12を有するSi(R12)
3である。
【0065】
本発明は、金属錯体を含有している電子デバイス及びその製造法をも目的としている。この電子デバイスは、2つの電気接触層の間に配置された少なくとも1種の有機活性金属を含有することができ、ここで、このデバイスの少なくとも1つの層は金属錯化合物を含有している。この電子デバイスは、1アノード層(a)、1カソード層(e)、1活性層(c)を有することができる。アノード層(a)の隣に、場合によっては正孔−注入/輸送層(b)が配置され、カソード層(e)の隣に、場合によっては電子−注入/輸送層(d)が配置されていることができる。層(b)及び(d)は、電荷輸送層の例である。
【0066】
本発明の錯塩は、エレクトロルミネセント用途でのエミッタとして有利に使用される。しかしながら、これら錯塩は、例えば光電池デバイス、電気化学的セル及びバッテリ等の電気化学的電源中でのイオン性液体及び/又は電解質/導電体としても有用であり、ここで、これらは、その中で慣用されるイオン性液体又は電解質を置換するかは補充することができる。
【0067】
活性層(c)は、有利に本発明の発光性金属錯塩少なくとも約1質量%を含有する。
【0068】
いくつかの態様で活性層(c)は、本発明の金属錯塩実質的に100%を含有することができる。それというのも、ホスト電荷輸送物質、例えばAlq
3は必要とされないからである。「実質的に100%」とは、この金属錯体が、不純物又はプロセスからの偶発的副産物を例外として、塩及び/又は層を形成するための層中の唯一の物質であることを意味している。なお、いくつかの態様で、本発明の金属塩は、典型的に活性層(c)中で電荷輸送のために使用されるホスト物質内のドーパントであることができる。この活性層(c)には、付加的なもう一つの発光性物質、例えば発光性金属錯体、殊に小さい分子量の活性物質及び/又はポリマーであることのできる燐光物質(即ち、三重項エミッタ)を含有することができる。
【0069】
このデバイスには、アノード層(a)又はカソード層(e)の隣に支持体又は基材を含有することができる。屡々、支持体は、アノード層(a)に隣り合っている。この支持体は、たわみ性の又は硬直な、有機又は無機物であることができる。一般に、ガラス又はたわみ性の有機フィルムが支持体として使用される。アノード層(a)は、正孔注入のためにカソード層(e)と比べてより有効である電極である。このアノードは、金属、混合金属、合金、金属酸化物又は混合−金属酸化物を含有している物質を含有することができる。アノード層(a)内の好適な金属元素には、4、5、6及び8〜11族の遷移金属が包含されうる。アノード層(a)が光伝送性であるべき場合には、12、13及び14族金属の混合−金属酸化物、例えばインジウム−錫−酸化物を使用することができる。いくつかのアノード層(a)用の非限定的な物質の特別な例には、インジウム−錫−酸化物(ITO)、アルミニウム−錫−酸化物、金、銀、銅、ニッケル及びセレニウムが包含される。
【0070】
アノード層(a)は、化学的又は物理的な蒸気沈着法又はスピン−キャスティング−法、インジェクト又はグラビア印刷法によって形成することができる。化学的蒸着は、プラズマ−加速化学蒸着(PECVD)又は金属有機化学的蒸着(MOCVD)として実行することができる。
【0071】
物理的蒸着には、全ての形のスパッタリング(例えば、イオンビームスパッタリング)、e−ビーム蒸発及び抵抗蒸発を包含することができる。
【0072】
物理的蒸着の特別な形には、rfマグネトロンスパッタリング又は誘導結合プラズマ物理的蒸着(ICP−PVD)が包含される。これらの蒸着技術は、半導体製造分野で周知である。
【0073】
正孔輸送層(b)は、アノードに隣り合っていることできる。正孔輸送性小分子化合物及びポリマーの双方を使用することができる。
【0074】
慣用の正孔輸送分子には次のものが包含される:N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1,−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、4,4’−N,N−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、N,N−ジカルバゾリル−1,4−ジメテン−ベンゼン(DCB)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)、1,3−ビス(9−カルバゾリル)ベンゼン(mCP)、ポルフィリン化合物及びこれらの組み合わせ物。
【0075】
慣用の正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリピロール及びポリアニリンである。正孔輸送ポリマーは、前記のような正孔輸送分子をポリスチレン及びポリカーボネートのようなポリマー中にドーピングすることによって得ることができる。
【0076】
この正孔−注入/輸送層(b)は、スピン−コーティング、キャスティング及び印刷、例えばグラビア印刷を包含する任意の慣用法を用いて形成することができる。この層は、インキジェット印刷、加熱パターン付け(patterning)又は化学的又は物理的蒸着によって適用することもできる。
【0077】
通常、アノード層(a)及び正孔−注入/輸送層(b)(存在する場合に)は、同じリトグラフィック操作の間にパターン付けられる。このパターンは所望に応じて変えることができる。この層は、例えば最初の電気接触層物質の適用の前に、第1のたわみ性コンポジットバリア構造上にパターンマスク又はレジストを置くことによって、パターン付けすることができる。二者択一的に、この層をオーバーオール層(ブランケットデポジットとも言われる)として適用し、引き続き、例えばパターン付きレジスト層及び湿式−化学的又は乾式−エッチング技術を用いてパターン付けることができる。文献に公知のパターン付けのための他の方法も使用することができる。電子デバイスがアレイ内に配置されている場合には、アノード層(a)及び正孔注入/輸送層(b)は、典型的に、実質的に同じ方向に伸びている長さを有している実質的に平行なストリップに成形成される。層(b)は架橋されていることができる。
【0078】
活性層(c)は、本発明の発光錯塩を含有する。選択される特別な物質は、特別な用途、動作の間に使用される電圧又は他の要因に依存することができる。この活性層(c)は、電子、正孔及び/又は励起子をトラップすることのできる放出物質でドーピングされた、電子及び/又は正孔を輸送することのできるホスト物質を含有していることができるので、励起子は、光放出メカニズムによって放出物質から緩和する。活性層(c)は、輸送及び放出特性を結びつける単一物質を含有することができる。本発明の塩を含有している放出性物質がドーパント又は主成分のどちらであっても、活性層は、他の物質、例えば放出物質の放出を調整するドーパントを含有することができる。活性層(c)は、組み合わせて所望の光のスペクトルを放出することのできる、複数の放出物質を含有することができる。燐光放出物質の例には、本発明のコポリマーが包含される。蛍光放出物質の例には、DCM及びDMQAが包含される。ホスト物質の例には、Alq
3、CBP及びmCPが包含される。放出性及びホスト物質の例は、US6303238B中に記載されており、この参考文献をもって、その全内容が開示されているものとする。
【0079】
活性層(c)を形成する方法の例には、溶液処理による沈着が包含される。溶液からの膜形成法の例には、例えばスピンコーティング、キャスティング、マイクログラビアコーティング、ロール−コーティング、ワイアバーコーティング、ディップ−コーティング、スプレーコーティング、スクリーン−印刷、フレキソグラフィ、オフセット−印刷、グラビア印刷及びインキジェット−印刷等の適用法が包含される。
【0080】
この活性層(c)を形成するために使用される組成物は少なくとも1種の本発明の錯塩及び少なくとも1種の溶剤が含有されていると同様に、例えば正孔輸送物質、電子輸送物質、発光物質、レオロジー変性剤又は安定剤が添加されていることもできる。この組成物中の溶剤の量は、組成物全質量の1〜99質量%、好ましくは60〜99質量%、より好ましくは80〜99質量%である。
【0081】
この溶液処理法で使用される溶剤は、特別に限定されず、好ましくはこれら物質を溶解させるか又は均一に分散させることのできるものから選択される。好ましくは、この物質を溶剤中に溶かし、この溶液を基材の上に沈着させ、かつ溶剤を除去して固体膜を残すことができる。任意の好適な溶剤(それは不活性であることを前提として)は、イオン化合物を溶かすために使用することができ、少なくともいくつかの物質を溶かすことができ、かつ慣用の乾燥手段(例えば、熱、減圧、空気流等の適用)によって、基材から除去することができる。好適な有機溶剤には(それに限定されるものではないが)、芳香族又は脂肪族炭化水素、ハロゲン化された例えば塩素化された炭化水素、エステル、エーテル、ケトン、アミド、例えばクロロホルム、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)及びアルコール並びにこれらの混合物が包含される。水及び水と混和可能な溶剤との混合物も可能である。層(c)は架橋されていることができる。
【0082】
随意の層(d)は、電子注入/輸送、正孔ブロッキングの双方を促進する機能をすることができ、緩衝層又は層界面での急冷反応を阻止するための閉じ込め層(confinement layer)としても作用する。特に、層(d)は、電子移動性を促進し、層(c)及び(e)がさもなければ直接接触するであろう場合には、急冷反応の見込みを減少させることができる。随意の層(d)の物質の例には次のものが包含される:金属−キレート化されたオキシノイド化合物(例えばトリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq
3)又は類似物);フェナントロリン−ベースの化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン("DDPA")、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン("DPA")又は類似物;又はアゾール化合物(例えば、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール("PBD")又は類似物;3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール("TAZ")又は類似物;他の類似化合物;又はこれらの任意の1種以上の組み合わせ物。随意の層(d)は、無機物であっても、BaO、LiF、Li
2O又は類似物を含有していてもよい。層(d)は架橋されていてもよい。
【0083】
この電子注入/輸送層(d)は、スピンコーティング、キャスティング、印刷、例えばグラビア印刷を包含する任意の慣用法を用いて形成することができる。この層は、インキジェット印刷、熱パターニング又は化学的又は物理的蒸着によって適用することもできる。
【0084】
カソード層(e)は、電子又は負電荷キャリアを注入するために特に有効である電極である。このカソード層(e)は、第1電気接触層(この場合には、アノード層(a))よりも低い仕事関数を有している任意の金属又は非金属であることができる。第2電気接触層の物質は、1族のアルカリ金属(例えば、Li、Na、K,Rb、Cs)、2族(アルカリ土類)金属、12族の金属、希土類、ランタニド類(例えば、Ce、Sm、Eu
等)及びアクチニドから選択することができる。アルミニウム、インジウム、カルシウム、バリウム、イットリウム及びマグネシウム等の物質及びこれらの組合わせ物を使用することができる。動作電圧を低めるために、有機層とカソード層との間に、Li−含有有機金属化合物、LiF及びLiO
2を沈着せることもできる。カソード層(e)の特定の非限定的な例には、バリウム、リチウム、セリウム、セシウム、ユーロピウム、ルビジウム、イットリウム、マグネシウム又はサマリウムが包含される。
【0085】
カソード層(e)は、通常、化学的又は物理的な蒸着法により形成される。一般に、このカソード層は、アノード層(a)及び場合による正孔注入層(b)との関連で先に議論されている様にパターン化されうる。デバイスがアレイ内に存在する場合には、カソード層(e)は、実質的に平行な片にパターン化されていてよく、ここで、このカソード層片の縦方向は、実質的に同方向で、かつ実質的にアノード層片の縦方向に対して垂直に伸びている。
【0086】
ピクセルと称される電子素子が、交差点(アレイが平面又は俯瞰図から見た場合に、アノード層片とカソード層片が交叉する所)に形成される。
【0087】
他の態様において、付加的な層が有機電子デバイス内に存在することがありうる。例えば、正孔注入層(b)と活性層(c)との間の層は、正電荷輸送、層のバンドギャップ整合、保護層としての機能等を促進することができる。同様に、電子注入層(d)とカソード層(e)との間の付加的な層は、負電荷輸送、層間のバンドギャップ整合、保護層としての機能等を促進することができる。一般に文献中に公知である層が使用されうる。層のいくつか又は全ては、電荷キャリア輸送効率を高めるために表面処理されていてよい。これら構成層の各物質の選択は、高いデバイス効率を有するデバイスを提供する目標と製造のコスト、製造複雑性又は他の潜在的な他の要因との釣り合いによって決定されうる。
【0088】
電荷輸送層(b)及び(d)の物質は屡々、活性層(c)の材料と同じタイプのものである。より特別に、活性層(c)が小分子化合物を含有する場合には、電荷輸送層(b)及び(d)(一方又は双方が存在する場合)は、屡々異なる小分子化合物を含有する。活性層(c)がポリマーを含有する場合には、電荷輸送層(b)及び(d)(一方又は双方が存在する場合)は、屡々ポリマーをも含有する。なお、活性層(c)が小分子化合物を含有し、任意のその隣接層(例えば電荷輸送層)がポリマーであることもできる。
【0089】
各々の機能層は、1以上の層から形成されていることができる。例えばカソード層は、1族の金属の層及びアルミニウムの層から成っていることができる。1族の金属は、活性層(c)に接近して存在し、アルミニウムは、この1族金属を周りの不純物、例えば水から保護することを助けることができる。
【0090】
限定するものではないが、種々の層は、次の範囲の厚さを有することができる:無機アノード層(a)は、通常約500nmを越えず、例えば約50〜200nm;場合による正孔注入層(b)は、通常約100nmを越えず、約50〜200nm;活性層(c)は、通常約100nmを越えず、例えば約10〜80nm;場合による電子注入層(d)は、通常約100nmを越えず、例えば約10〜80nm;かつ、カソード層(e)は通常約1000nmを越えず、例えば約30〜500nmである。アノード層(a)及びカソード層(e)が少なくとも光を透過する必要がある場合には、このような層の厚さは、約100nmを越えることはできない。
【0091】
デバイス中の電子−正孔再結合帯域、従ってこのデバイスの放射スペクトルの位置は、各々の層の相対的厚みによって影響されうる。従ってこの放射は、Alq
3のそれであり、所望の鮮明な放射ではない。従って、電子輸送層の厚さは、電子−正孔再結合帯域が発光層(即ち、活性層(c))内に存在するように選択されるべきである。層厚の所望の割合は、使用物質の正確な特性に依存することができる。
【0092】
金属錯体を有して製造されたデバイスの効率は、このデバイス中の他の層を至適化することによって、更に改良することができる。例えば、より有効なカソード、例えばCa、Ba、Mg/Ag又はLiF/Alを使用することができる。結果的に動作電圧を減少するか又は量子効率を増加する、成形された基材及び正孔輸送物質も適用可能である。種々の層のエネルギーレベルを調整し、かつエレクトロルミネセンスを促進するために、付加的な層を加えることもできる。
【0093】
電子デバイスの適用に依存して、活性層(c)は、信号(発光ダイオード中におけるように)で活性化される発光層であるか、又は放射エネルギーに応答し、適用電圧を用いて又は用いないで(検電器又は電池のように)信号を発する物質の層であることができる。放射エネルギーに応答することのできる電子デバイスの例は、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、フォトトランジスタ及び光電管及び光電池から選択される。本明細書を読んだ後に、当業者は、これらの特定の用途のための物質を選択することが可能になるであろう。
【0094】
このエレクトロルミネセントデバイスは、例えば携帯電話、テレビジヨン及びパソコンスクリーン中のフルカラーディスプレーパネルを得るために使用することができる。従って本発明は、本発明による有機発光ダイオードを有している、固定型又は移動型ディスプレー、例えばコンピュータ、携帯電話、ラップトップ、PDA類、TVセットのディスプレー、印刷機、調理器具、広告掲示板、照明、情報板及び列車及びバス中の行き先表示板中のディスプレーから選択されるデバイスにも関する。
【0095】
OLEDs中で、カソード(e)及びアノード(a)層からそれぞれ光活性層(c)中に注入された電子及び正孔は、活性層(c)中に負及び正に帯電されたポラロン(pola-rons)を形成する。これらポラロンは、適用電界の影響下に移動して、逆電荷を有するポラロン励起子を形成し、引き続き放射性再結合を行う。通常は、約20ボルトを下回り、ある場合には約5ボルトを越えないアノードとカソードとの間の充分な電位差が、このデバイスに適用されうる。実際の電位差は、大きい電子コンポネント中でのこのデバイスの使用に依存されうる。多くの実施態様で、この電子デバイスの動作の間に、アノード層(a)は正電位の方に偏り、カソード層(e)は実質的に大地電位又はゼロボルトである。電池又は他の電源を、回路の部品としてのこの電子デバイスに電気的に結合することができる。
【0096】
有効であるために層(b)、(c)又は(d)中で使用される場合に、この化合物(compound)が固相マトリックス希釈剤(例えばホスト電荷輸送物質)中に存在する必要はない。層の全質量に対して約1質量%より多く、実質的に100%までの本発明の錯化合物を含有している層を活性層(c)として使用することができる。付加的な物質が、活性層(c)中に錯化合物と一緒に存在することができる。例えば蛍光染料が、発光色を変えるために存在することができる。
【0097】
希釈剤を添加することもできる。この希釈剤はポリマー物質、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)及びポリシランであることができる。これは小さい分子、例えば4,4’−N,N’−ジカルバゾールジフェニル又は3級芳香族アミンであることもできる。希釈剤が使用される場合には、この錯化合物は一般に、層の全質量に対して大抵は20質量%を下回る、好ましくは10質量%を下回る少量で存在する。
【0098】
特に照明用のOLEDのために非常に有望な選択は、発光性電気化学的セル(LEEC)である。LEECは低仕事関数の金属電極を必要とせず、動作電圧を低く保持しながら、より厚い電気活性層を使用することができる。この動作メカニズムは、特定の移動性のイオンの存在に基づいている。従って、電圧の適用により、カチオン及びアニオンがそれぞれカソード又はアノードの方向に移動し、電極界面の所に大きい電界勾配を生じる。形成されるイオン分布は、それぞれカソード及びアノードの所での電子及び正孔の注入を促進し、従って電荷キャリアの輸送及び再結合を許容し、これが結果として光子を放出する。電気活性層上の電界は電極界面の所でイオン拡散に基づき殆ど完全に補償されるので、電荷注入は、厚い層にもかかわらず促進される。更に、電極のフェルミ準位と電気活性層のエネルギー準位との整合は必要でないので、種々の電極物質を使用することができる。例えばAu、Ag、Al又はITO等の非反応性物質を、Ba又はCaの代わりにカソードとして使用することができる。
【0099】
エレクトロルミネセント物質は、更にポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリシロキサン又は混合物又はこれらの誘導体の混合物の群から選択される物質を含有することができる。例えば、このエレクトロルミネセント物質は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含有することもできる。この場合に、膜形成が改善されて、低い漏れ電流及び従ってより高い効率を生じる。
LEECの電極は、Au、Ag、Al、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、In、W、Pd、インジウム錫オキシド(ITO)、インジウム亜鉛オキシド、酸化鉛、酸化錫、グラファイト、ドープドシリコン、ドープドゲルマニウム、ドープドガリウム砒素、ドープドポリアニリン、ドープドポリピロール、ドープドポリチオフェン及びこれらの誘導体及び混合物から成る群から選択される物質を含有することができる。これらの物質は、非反応性であり、従って電極としての使用のために非常に有利である。更に本発明は、少なくとも2つの電極の間にエレクトロルミネセント物質を配置して含有している発光性電気化学的セルを製造する方法に関し、ここで前記のエレクトロルミネセント物質は、前記及び下記の実施例中に記載のような帯電金属錯塩を含有する。
【0100】
ここで使用されている用語「発光性電気化学的セル」は、少なくとも2個の電極を有し、その間にエレクトロルミネセント可能な物質又はこの物質の配合物(ここで、この物質又は配合物中の物質はイオンである)が配置されているデバイスである。本発明による電極として使用するために好適な物質は、例えばAu、Ag、Al、Pt、Cu、Zn、Ni、Fe、Pb、In、W、Pd、インジウム錫オキシド(ITO)、インジウム亜鉛オキシド、酸化鉛、酸化錫、グラファイト、ドープドシリコン、ドープドゲルマニウム、ドープドガリウム砒素、ドープドポリアニリン、ドープドポリピロール、ドープドポリチオフェン及びこれらの誘導体及び混合物である。他の好適な電極物質は当業者に公知である。加えて、前記の物質の合金も本発明による電極として使用することができる。
【0101】
二つの電極は、原則的にカソード又はアノードであることができる。カソードは、電子注入電極として定義され、他方、アノードは正孔注入電極である。ここで使用される用語「アノード」は、適当なバイアス条件下にエレクトロルミネセント物質中への正孔注入のための電極として使用される導電層である。
【0102】
本発明によるアノードは構造化され、例えば別々にアドレス可能なピクセルに区分されているか、又は直列に又は並列に又はそのまま、おそらく大面積上での電流の均一な変換のための付加的な厚い金属片と接続されていることができる。ここで使用される用語「カソード」は、適切なバイアス条件下にエレクトロルミネセント物質中への電子注入のための電極として使用される導電層である。
【0103】
本発明によるカソードは、構造化されているか又はそのまま、例えば別々にアドレス可能なピクセルに区分され、又は直列又は並列に又はそのまま、おそらく大面積上の電流の均一な変換のための付加的な厚い金属片と接続されていることができる。
【0104】
本発明によるLEE中では、エレクトロルミネセント物質が、アノードとカソードとの間に配置されている。これに関連する用語「の間に配置されている」とは、正孔及び電子がこのエレクトロルミネセント物質中に導入され、適切なバイアス条件下に電圧発光(Electroluminescence)が達成されるように、エレクトロルミネセント物質がアノード及びカソードと電気的に接触していることを意味している。例えばエレクトロルミネセント物質は、2つの電極層の間にサンドイッチされていることができる。他の態様では、このエレクトロルミネセント物質を先に定義されたアノード及びカソード電極(これらは空間的及び電気的に相互に分離されている)を有する基板の上に堆積させて、ラテラルLEECを形成させることができる。
もう一つの態様では、アノード及びカソード物質の双方を、空間的及び電気的に相互に分離して、エレクトロルミネセント物質の上に堆積させて、ラテラルLEECを生じさせることができる。
【0105】
本発明によれば、膜形成を改良するために、このエレクトロルミネセント物質を、例えばポリメチルメタクリレート、PMMAと混合することができる。このエレクトロルミネセント物質に、他のポリメタクリレート、同様にポリアクリレート、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド又はポリエチレングリコール、ポリエステル、例えばポリカーボネート、ポリオレフィン、例えばzeonex
(TM)、ポリスチレン、ポリシロキサン又はこれらの混合物又は誘導体を添加することもできた。
【0106】
本発明のLEEC中の電極の間に配置されるこのエレクトロルミネセント物質の厚さは、変動可能である。例えばこの厚さは、5nm〜1cmの範囲又は5nm〜1mmの範囲又は10nm〜0.1mmの範囲であることができる。
【0107】
本発明によるLEECを製造する方法では、LEECをガラス基材上に製造することができる。好適な基材は、硬直性又は機械的にたわみ性であってよく、ガラスと並んで金属、合金及びプラスチックが包含されうる。たわみ性基材の例には、担体基材に一時的に膠着されたPET箔、たわみ性鋼箔、珪素及び酸化珪素が包含される。
【0108】
従って本発明は、有機電子デバイス、殊に発光層を有している有機発光ダイオード又は発光セルを提供し、ここでこの発光層は、前記の詳細な記載による本発明の錯塩を含有している。更に有利なデバイスは、殊に次のものから選択される正孔輸送物質を含有している:ポリビニル−カルバゾール、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1,−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス−(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、a−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド−ジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル](4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランス−ビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、4,4’−N,N−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、N,N−ジカルバゾリル−1,4−ジメテン−ベンゼン(DCB)、ポリフィリン化合物、(フェニルメチル)ポリシラン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリアニリン及びこれらの組み合わせ物又はポリスチレン、ポリカーボネート等のポリマー中にドープされた前記成分の1種以上。
【0109】
本発明の成分1種以上を含有しているデバイスは、固定型又は移動型のディスプレー、例えば、前記のような有機発光ダイオード又は発光セルを有している、コンピュータ、携帯電話、ラップトップ、PDA類、TVセットのディスプレー、印刷機、調理器具、広告掲示板、照明、情報板及び例えば列車又はバス中の行き先表示板中のディスプレーであることができる。
【0110】
本発明のもう一つの課題は、発光デバイスを製造する方法であり、この方法は、本発明による錯塩を含有している有機物質層を提供することからなる。本発明による殊に有利な1局面は、本発明の塩中に適切なアニオン及びカチオンを組み合わせることによって、白色又はほぼ白色の光を放出するデバイスの促進された製造である。従って本発明は、発光デバイス、殊に一部又は全ての光が白色光である、有機発光ダイオード又は発光セルの製造法まで及び、この方法は、基材上の1対の電極の間に、錯塩を含有している有機物質層を提供することからなり、ここで、この塩は、その発光が本質的に
補色であるイオンを含有している。
【0111】
本発明の錯塩は、電子デバイス以外の用途でも使用することができる。例えばこれは、触媒又はインジケータ(例えばセンサー、酸素感応−インジケータ、バイオアッセイにおける燐光インジケータ等)として使用することができる。
【0112】
本発明の金属錯化合物は、好都合に、例えば式:
【化40】
[式中、
An
−は、通常は約17〜約400g/モルの分子量の単純アニオン、例えばハロゲニド、カルボキシレート、スルフェート又はスルフェートモノエステル又はホスフェートモノ−又はジエステルの1当量であり;
Ka
+は、通常は1〜約400g/モルの分子量の単純カチオン、例えばアルカリ金属、アンモニウム又はホスホニウムカチオンの1当量であり;
xは通常は1〜3の範囲であり;
M、CYN、CYC、L
1、m及びnは前記定義と同じものを表す、
但し、アニオン出発物質中のM、CYN、CYC、L
1、殊にCYN、CYC、L
1の少なくとも1つは、カチオン出発物質中のその相応する成分とは異なっていて、指示されているような錯イオン電荷を生じさせることを条件とする]の金属Mのシクロメタル化された錯アニオンと単純な(即ち、非−錯有機又は無機の)カチオンKa
+とから成っている出発錯体及び金属Mのシクロメタル化された錯カチオンと単純な(即ち、非−錯の、通常は無機の)アニオンAn
−とから成っている出発錯体の当量を合わせて、指示されているような錯イオン電荷を生じさせることによって製造される。
【0113】
この合一は、有利に、双方の出発物質の溶液及び/又は分散液を、混和可能な溶剤を用いて結合させ、かつ、文献中に公知の好適な方法(抽出、透析、適当なイオン交換物質を用いる吸着等)を用いて、本質的に単純な(即ち、非−錯)イオンを除去することによって、行なわれる。通常、錯イオンは、低い極性の溶剤(例えば炭化水素、ハロゲン化された炭化水素等)中により容易に溶けるが、単純イオンは、より極性の溶剤(例えば水、アルコール等)中で可溶化される。
【0114】
所望の二座錯生成物の単離は、公知方法に従って行うことができ、例えば減圧及び/又は加熱下での溶剤除去及び/又は非溶剤を用いて沈殿を誘発させ、引き続き残留液を分離(例えば濾過、傾斜、遠心分離、乾燥)する。このようにして得られる物質は、高純度であり、本質的に非錯イオン(例えばKa
+、An
−)及び/又は水を含有せず、例えばこれらイオン及び/又は水を、殊に乾燥生成物の5質量%を下回って、1質量%を下回って含有している。
【0115】
従って本発明は、更に前記定義のような有機金属錯カチオン及び有機金属錯アニオンの塩を製造する方法を提供し、この方法は、
i)金属Mのシクロメタル化された錯アニオン及び非−錯有機又は無機カチオンから成っている化合物と金属Mのシクロメタル化された錯カチオン及び即ち非−錯無機アニオンから成っている化合物との当量を、好ましくは溶液及び/又は分散液の形で合する工程、
ii)工程(i)で得られた結合物を、実質的に非−錯アニオン及びカチオンの濃度を減少させる技術に、例えば極性溶剤を用いる抽出又は透析に供する工程、
iii)かつ、場合により本発明の錯塩を単離させる工程
から成っている。
【0116】
出発錯化合物は、例えば次の文献中に公知の慣用法に従って製造することができる:
電荷の変性/調整のために、適切に変性された配位子を用いて類似方法が実施される。
【0117】
式Ir(L
a)
3
(L
aは独立して、2座配位子、例えばL
b及び/又はL
1であり、ここで、L
bは
【化41】
である)のイリジウム金属錯化合物を製造するための慣用の1工程法は、市場で入手可能な三塩化イリジウム水和物と過剰のL
bH及び/又はL
1とを、3当量のトリフルオロ酢酸銀の存在下に、かつ場合によっては溶剤(例えばハロゲンベースの溶剤、アルコールベースの溶剤、エーテルベースの溶剤、エステルベースの溶剤、ケトンベースの溶剤、ニトリルベースの溶剤及び水)の存在下に反応させることからなっている。このトリスシクロメタル化されたイリジウム錯体は、慣用の方法で単離され、かつ精製される。ある場合には、異性体の混合物が得られる。屡々この混合物は、個々の異性体を単離することなしに使用することができる。
【0118】
式Ir(L
a)
2L
1のイリジウム金属錯体は、例えば、先ず、式
【化42】
[式中、XはH、メチル又はエチルであり、L
aは前記と同様の定義を有する]の中間イリジウム二量体を製造し、次いでL
1を付加することによって製造することができる。このイリジウム二量体は一般に、先ず三塩化イリジウム水和物とHL
b及び/又はL
1との反応及びNaXの付加により、及び適当な溶剤中、例えば2−エトキシエタノール中での三塩化イリジウム水和物とL
1との反応によって製造することができる。
【0119】
この製造時に有用である出発錯体/錯塩の多くは、実施例中に示されており及び/又は例えば引用されている文献中に公知の方法に類似している方法に従って得られる、新規化合物である。従って本発明は、更に式III又はIVの錯体に関する:
【化43】
これの電荷(存在する場合)は、殊にアルカリ金属カチオン又はハロゲン化物アニオンから選択される1以上の好適なイオンで均衡化されており;式中で、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17の少なくとも1つは、弗素、C
1〜C
4アルコキシ、フェニル、フルオロフェニルから選択されているか及び/又は隣接の2つの基R
11とR
12、又はR
12とR
13、又はR
13とR
14、又はR
14とR
15、又はR
15とR
16、又はR
16とR
17が、これらが結合している炭素構造と一緒になって、6員の縮合芳香族炭素環(これは非置換であるか又は弗素で置換されている)を形成しており、他は水素、弗素、C
1〜C
4アルコキシ、フェニル、フルオロフェニルから選択されている;
L
3及びL
4は一座の配位子であるか、又は一緒になって、請求項7中のL
1及びL
2で定義されているような二座配位子、殊に塩素、CN及び式X−34及びX−35のようなビピリジンであり;pは0又は1であり;
スペーサはC
2〜C
12アルキレン又はフェニレンであり;
Y’はOH又は−COO
−、−OSO
3−から選択されるアニオン基である。
【0120】
次の実施例は、説明の目的のみのためであり、決して本発明を限定するものではない。室温(r.t.)は20〜25℃の温度を示し;一晩とは、12〜16時間の範囲の時間を示している。「%」は、断りのない限り「質量%」である。
【0121】
実施例又は他の場所で使用されている記号は次のものを意味する:
DMF ジメチルホルムアミド
THF テトラヒドロフラン
DCM ジクロロメタン
MS 質量分析
HRMS 高解像質量分析
ESI エレクトロスプレーイオン化
GC ガスクロマトグラフィ
NMR 核磁気共鳴
PMMA ポリメチルメタクリレート
PVK ポリビニルカルバゾール
ITO インジウム錫オキシド
【0122】
実施例
一般的情報
全ての反応を不活性雰囲気中で実施する。全ての溶剤を、Aldrich又はFlukaから入手し、更に精製せずに使用する。次の化学品の全てを入手したままで使用する:IrCl
3×3.6H
2O(Johnson Matthey)、[Pd(PPh
3)
4](Umicore)、三酸化硫黄ピリジン錯体(SO
3に基づき≧45%)、2−ブロモピリジン、1−クロロイソキノリン、2−フェニルピリジン、バソフェナントロリン、フェニルボロン酸及び2,4−ジフルオロ−フェニルボロン酸及び(シグマ−Aldrich)、3−ヒドロキシピコリン酸、テトラブチルアンモニウムシアニド、テトラブチルアンモニウムクロリド、無水炭酸カリウム、無水炭酸ナトリウム及び2,2’−ビピリジル又はbpy(Fluka)、シアン化カリウム(Riedel-de Haen)、6−ブロモ−ヘキサン−1−オール(TCl)。
【0123】
1H−NMR及び
19F−NMRを、Varian Mercury 300 MHzスペクトロメータを用いて記録し、ジウテロ化された溶剤の全てを供給社から入手したまま使用する。全てのCV測定を、グローブボックス中で、AUTOLAB Potentiostat−Galvanostat PGSTAT 302を用いて実施し、全てのデータを、AUTOLAB GPESソフトウエアを用いて処理する。ガラス状炭素(GC)及び白金ワイアを、それぞれ動作電極及び参照電極として使用し、テトラブチルアンモニウムエサフルオロホスフェートを支持電解質として使用する。酸化還元対Fc
+/0(ここで、Fcはフェロセンである)を内部標準として使用する。
【0124】
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピリジン[100]の合成
【化44】
【0125】
この2−(2,4−ジフルオロフェニル)−ピリジン(以後、dfppy)は、文献記載の方法に従い、Suzuki−Miyaura クロス−カップリング反応の標準条件を用いて製造される(O.Lohse,P.Thevenin and E.Waldvogel,Synlett,1998,1,45-48; Scheme 1)。
【0126】
典型的な合成で、2−ブロモピリジン(2.16ml、22.12ミリモル)及び[Pd(PPh
3)
4](1314.4mg、5モル%)を、トルエン108ml中に溶かし、次いで蒸留H
2O(18ml)中のK
2CO
3(11.32g、81.90ミリモル)の溶液を添加する。生じる2相の黄色混合物を、N
2気泡処理によって注意深く脱酸素する。この反応混合物に、2,4−ジフルオロ−フェニルボロン酸(4191.3mg、26.54ミリモル、1.2当量)を添加する。この反応混合物を、N
2気下に110℃で18時間還流させる。冷却後に、有機二相混合物にt−ブチル−メチルエーテル60mlを添加し、水層を除去する。この有機層を蒸留H
2O 3×150ml及び食塩水150mlで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過する。褐橙色油状物が得られるまで溶剤を蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2:AcOEt 95:5)での精製によって、洗浄された緑色油状のカップリング生成物を取得し、乾燥させ、質量測定を行う(1961.9mg、収率46.4%)。
【0127】
【0128】
2−フェニル−イソキノリン[101]の合成
【化45】
【0129】
この2−フェニル−イソキノリン(以後、piq)は、文献記載方法に従い、Suzuki−Miyaura クロス−カップリング反応(スキーム 2)の標準条件を用いて製造される。
【0130】
典型的な合成で、1−クロロイソキノリン(3222.9mg、19.7ミリモル)及び[Pd(η
3−アリル)(PiPr
3)Br](372.9mg、5モル%)をo−キシレン75ml中に溶かし、次いでK
2CO
3(5.45g、39.40ミリモル)及び1.5当量のフェニル−ボロン酸(3602.5mg、29.55ミリモル)を添加する。生じる混合物を30分間のN
2気泡処理によって注意深く脱酸素し、次いでこれを、Ar気下に、150℃で18時間還流させる。冷却後に、暗色溶液に、t−ブチル−メチルエーテル60mlを添加する。有機層を蒸留H
2O 2×150mlで洗浄し、次いでNa
2SO
4で乾燥させ、濾過して殆ど無色の溶液を取得する。褐色油状物が得られるまで溶剤を蒸発させる。シリカゲルカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:AcOEt 4:1)での精製により、洗浄されたカップリング生成物が得られる。所望のフラクションを乾燥させると、白色固体が得られる(3551.0mg、収率87.8%)。
【0131】
【0132】
mer−[Ir(ppy)
2Cl]
2[200]の合成
【化46】
【0133】
この二量の塩素−架橋されたイリジウム(III)錯体は、文献記載の方法(S.Sprouse, K.A.King,P.J.Spellane,andR.J.Watts,J.Am.Chem.Soc.,1984,106,6647-6653;Scheme 3)に従って製造される。
【0134】
典型的な合成で、IrCl
3×3.6H
2O(2002.3mg、5.51ミリモル)及び2−フェニルピリジン2.5当量(ppy、1.97ml、13.76ミリモル)を、2−エトキシエタノールと蒸留H
2Oとの3:1v/v混合物165ml中に溶かす。生じる混合物を、窒素雰囲気下に15時間還流させる(120℃)。冷却後に、この溶液をガラスフリット上から濾過し、鮮黄色固体を、無水EtOH 390ml及びEt
2O 390mlで注意深く洗浄する。集められた固体をCH
2Cl
2 300ml中に溶かし、生じる溶液の量を半分になるまで減少させる。次いで、トルエンとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物170mlを添加する。この混合物を数mlまで濃縮させると、濃鮮黄色固体が生じる。溶液を除去し、鮮黄色固体をn−ヘキサン20mlで洗浄し、次いで乾燥させ、質量測定を行う(2685.0mg、収率90.9%)。
【0135】
【0136】
mer−[Ir(dfppy)
2Cl]
2[201]の合成
【化47】
【0137】
この二量の塩素−架橋されたmer−[Ir(dfppy)
2Cl]
2錯体は、文献記載の方法(S.Sprouse,K.A.King,P.J.Spellane,and.R.J.Watts, J.Am.Chem.Soc.,1984, 106,6647-6653;Scheme 4)に従って製造される。
【0138】
典型的な合成で、IrCl
3×3.6H
2O(1631.0mg、4.46ミリモル)及びdfppy[100]2.3当量(1962.0mg、10.26ミリモル)を、2−エトキシエタノールと蒸留H
2Oとの3:1v/v混合物135ml中に溶かす。生じる混合物を、窒素雰囲気下に15時間還流させる(120℃)。冷却後に、この溶液をガラスフリット上から濾過し、鮮黄色固体を無水EtOH 350ml及びEt
2O 300mlで注意深く洗浄する。集めた固体をCH
2Cl
2 250ml中に溶かし、生じる溶液の量を半分になるまで減少させる。次いで、トルエンとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物170mlを添加する。澄明混合物を数mlまで濃縮させると、鮮黄色固体が生じる。n−ヘキサン20mlで沈殿を完結させ、次いで固体を乾燥させ、質量測定を行う(2192.0mg、収率80.4%)。
【0139】
【0140】
mer−[Ir(piq)
2Cl]
2[202]の合成
【化48】
【0141】
この二量の塩素−架橋されたmer−[Ir(piq)
2Cl]
2錯体は、類似化合物に関する文献記載の方法(S.Sprouse,K.A.King,P.J.Spellane,and.R.J.Watts, J.Am. Chem.Soc.,1984,106,6647-6653; Sheme 5)に従って製造される(ここで、piqは2−フェニル−イソキノリン[101]である)。
【0142】
典型的な合成で、IrCl
3×3.6H
2O(2337.0mg、6.42ミリモル)及びpiq[101]2.3当量(3029.0mg、14.76ミリモル)を、2−エトキシエタノールと蒸留H
2Oとの3:1v/v混合物185ml中に溶かす。生じる混合物を、窒素雰囲気下に15時間還流させる(120℃)。冷却後に、この溶液をガラスフリット上から濾過し、橙赤色固体を無水EtOH 300ml及びEt
2O 300mlで注意深く洗浄する。集めた固体を乾燥させ、質量測定を行う(3185.0mg、収率77.7%)。
【0143】
【0144】
mer−[Ir(ppy)
2(bpy)]Cl[300]の合成
【化49】
【0145】
錯体[Ir(ppy)
2(bpy)]Clは、所望のクロリド塩を得るためにいくらか変更された、文献記載の方法(O.Lohse,P.Thevenin and E.Waldvogel,Synlett,1998,1,45-48;Scheme 6)に従って製造される。
【0146】
典型的な合成で、[Ir(ppy)
2Cl]
2[200](1206.4mg、1.13ミリモル)及びbpy2.2当量(392.0mg、2.51ミリモル)を、CH
2Cl
2とMeOHとの3:1v/v混合物180ml中に溶かす。生じる混合物を、窒素雰囲気下に3時間還流させる(60℃)。冷却後に、溶剤を部分的に除去し、Et
2Oとn−ヘキサンとの1:3v/v混合物160mlをゆっくり加えると不透明な溶液が生じる。この混合物量を減少させる間に、生成物が黄色固体として生じた。最後に[300]をEt
2O 30mlで洗浄し、乾燥させ、かつ質量測定を行う(1538.0mg、収率98.0%)。
【0147】
【0148】
mer−[Ir(dfppy)
2(bpy)]Cl[301]の合成
【化50】
【0149】
錯体[Ir(dfppy)
2(bpy)]Clは、所望のクロリド塩を得るためにいくらか変更された文献記載の方法(Y.Ohsawa,S.Sprouse,K.A.King,M.K.DeArmond,
K.W.Hanck,and E.J.Watts,J.Phys.Chem.1987,91,1047-1054;E.A.Plummer,J.W. Hofstraad and L.De Cola,Dalton Trans.2003,2080-2084; Scheme 7) に従って製造される。
【0150】
典型的な合成で、[Ir(dfppy)
2Cl]
2[201](1006.3mg、0.82ミリモル)及びbpy2.2当量(284.5mg、1.81ミリモル)を、CH
2Cl
2とMeOHとのそれぞれ3:1v/v混合物133ml中に溶かす。生じる混合物を、窒素雰囲気下に3時間還流させる(60℃)。冷却後に、溶剤を完全に除去し、固体をCH
2Cl
250ml中に溶かし、次いで、n−ヘキサンとEt
2Oとの3:1v/v混合物90mlをゆっくり添加する。混合物を数mlまで濃縮させると、鮮黄色固体が得られる。この生成物[301]をEt
2O 50mlで3回洗浄し、乾燥させ、質量測定を行う(1185.0mg、収率93.7%)。
【0151】
【0152】
mer−[Ir(ppy)
2(bphen)]Cl[302]の合成
【化51】
【0153】
錯体[Ir(ppy)
2(bphen)]Cl(ここで、bphenは、バソフェナントロリン又は4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンである)は、所望のクロリド塩を得るためにいくらか変更された、文献記載の方法(H.J.Bolink,L.Cappelli,E. Coronado,M.Graetzel,E.Orti,R.D.Costa,P.M.Viruela,and Md.K.Nazeeruddin,J.Am. Chem.Soc.,2006,128,14786-14787;Scheme 8参照)に従って製造される。
【0154】
典型的な合成で、[Ir(ppy)
2Cl]
2[200](1003.4mg、0.93ミリモル)及びbphen2.2当量(688.7mg、2.06ミリモル)を、CH
2Cl
2とMeOHとのそれぞれ3:1v/v混合物165ml中に溶かす。生じる混合物を、窒素雰囲気下に3時間還流させる(60℃)。冷却後に、溶剤を完全に除去し、橙赤色固体をCH
2Cl
255ml中に溶かし、次いで、Et
2Oとn−ヘキサンとの3:1混合物80mlを添加する。殆ど澄明な溶液を濃縮させると、橙黄色固体[302]が生じる。n−ヘキサンを用いて沈殿を完結させ、Et
2O 2×50mlで洗浄し、乾燥させ、質量測定を行う(1569mg、収率96.6%)。
【0155】
【0156】
mer−[Ir(piq)
2(bpy)]Cl[303]の合成
【化52】
【0157】
錯体[Ir(piq)
2(bpy)]Clは、所望のクロリド塩を得るためにいくらか変更された文献記載の方法(Y.Ohsawa, S.Sprouse, K.A.King, M.K.DeArmond,K. W.Hanck,and E.J.Watts,J.Phys.Chem.1987,91,1047-1054; E.A.Plummer, J.W. Hofstraad and L.De Cola,Dalton Trans.2003,2080-2084; Scheme 9) に従って製造される。
【0158】
典型的な合成で、[Ir(piq)
2Cl]
2[202](1202.4mg、0.94ミリモル)及びbpy2.2当量(327.4mg、2.10ミリモル)を、CH
2Cl
2とMeOHとのそれぞれ3:1v/v混合物380ml中に溶かす。生じる赤色混合物を、窒素雰囲気下に24時間還流させる(60℃)。冷却後に、溶剤を完全に除去し、橙赤色固体をCH
2Cl
2 50ml中に溶かし、次いで、n−ヘキサンとEt
2Oとのそれぞれ3:1v/v混合物70mlを加える。殆ど澄明な溶液を濃縮させると、生成物[303]が濃赤色固体として生じるから、これをEt
2O 2×50mlで洗浄し、乾燥させ、質量測定を行う(1420mg、収率94.8%)。
【0159】
【0160】
mer−[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[
n−Bu
4N]
+[400]の合成
【化53】
【0161】
錯体[Ir(ppy)
2(CN)
2]TBA(ここで、TBAはテトラブチルアンモニウムイオンである)は、いくらか変更された、文献記載の方法(Md.K. Nazeerunddin, R.H.Humphry-Baker,D.Berner,S.Rivier,L.Zuppiroli,and M.Graetzel, J.Am.Chem. Soc.,2003,125,8790-8797;D.Di Censo,s.Fantacci,F.De Angelis,C.Klein,N.Evans,K .Kalyanasundaram,H.J.Bolink,M.Graetzel,and M.K.Nazeeruddin,Inorg.Chem.2008, 47,980-989; Scheme 10) に従って製造される。
【0162】
典型的な合成で、[Ir(ppy)
2Cl
2][202](2501.9mg、2.320ミリモル)及びTBACN 10当量(6221.0mg、23.21ミリモル)を、CH
2Cl
2 430ml中に溶かす。生じる帯緑黄色溶液を、窒素雰囲気下に15時間還流させる(50℃)。冷却後に、過剰のTBACNを除去するために、溶液を蒸留H
2O 3×400mlで洗浄し、この反応混合物にAcOEt 200mlを添加する。得られる溶液を数mlまで濃縮させると、黄色固体が生じ、Et
2O 300mlで完結させる。生成物[400]をEt
2O 60ml及び蒸留水2×80mlで洗浄し、乾燥させ、質量測定を行う(3255.0mg、収率88.2%)。
【0163】
【0164】
mer−[Ir(dfppy)
2(CN)
2]K[401]の合成
【化54】
【0165】
錯体K[Ir(dfppy)
2(CN)
2]は、類似の[Ir(dfppy)
2(CN)
2]TBAに関する文献記載の方法(H.J.Bolink,L.Cappelli,E.Coronado,M.Graetzel, E.Orti,R.D.Costa,P.M.Viruela, and Md. K. Nazeeruddin,J.Am.Chem.Soc.,2006.128, 14786-14787; Scheme 11 参照) を適切に変更した方法で製造される。
【0166】
典型的な合成で、[Ir(dfppy)
2Cl]
2[201](1852.8mg、1.52ミリモル)及びKCN 10当量(991.2mg、15.22ミリモル)を、CH
2Cl
2とMeOHとの1:1v/v混合物160ml中に溶かす。生じる帯緑黄色溶液を、窒素雰囲気下に15時間還流させる(65℃)。冷却後に、溶液を完全に蒸留させる。洗浄された化合物を選択的にアセトン80ml中に溶かし、次いで、この溶液をガラスフリット上から濾過し、当初量の3分の1になるまで濃縮させ、n−ヘキサンとEt
2Oとの10:1v/v混合物110ml、次いでn−ヘキサン30mlを沈殿のために使用する。淡黄緑色固体[401]を乾燥させ、質量測定を行う(1.37g、収率67.9%)。
【0167】
【0168】
[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[Ir(ppy)
2(bpy)
2]
+[500]の合成
【化55】
【0169】
この二重錯塩(double complex)[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[Ir(ppy)
2(bpy)
2]
+は、2種の出発錯体の厳密な当モルCH
2Cl
2溶液から、次の方法によって製造される(スキーム12をも参照)。
【0170】
錯体[Ir(ppy)
2(CN)
2]TBA[400](1268.3mg、1.59ミリモル)及び[Ir(ppy)
2(bpy)
2]Cl[300](1101.0mg、1.59ミリモル)を一緒に、CH
2Cl
2500ml中に溶かす。TBAClの除去のために、生成溶液を蒸留H
2O 600mlで8回洗浄する。有機層の量を減少させ、Et
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物150mlを用いて、黄色固体[500]を沈殿させる。得られた固体をCH
2Cl
2中に溶かし、Et
2Oとn−ヘキサンとの1:1v/v混合物で再び沈殿させ、次いで乾燥させ、質量測定を行う(1523.0mg、収率79.0%)。
【0171】
【0172】
[Ir(dfppy)
2(CN)
2]
−[Ir(ppy)
2(bpy)]
+[501]の合成
【化56】
【0173】
この二重錯塩[Ir(dfppy)
2(CN)
2]
−[Ir(ppy)
2(bpy)]
+は、2種の出発錯体の厳密な当モルCH
2Cl
2溶液から、次の方法により製造される(スキーム13も参照)。
【0174】
錯体K[Ir(dfppy)
2(CN)
2][401](809.4mg、1.22ミリモル]及び[Ir(ppy)
2(bpy)]Cl[300](841.9mg、1.22ミリモル)を一緒に、CH
2Cl
2650ml中に溶かす。KClの除去のために、生成溶液を蒸留H
2O 500mlで5回洗浄する。有機層の量を当初量の1/2まで減少させ、次いでEt
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物130mlを使用して不透明な溶液を得る。濃縮により生成物を沈殿させ、n−ヘキサン30mlの添加によって完結させる。帯黄橙色固体[501]をn−ヘキサン30mlで洗浄し、乾燥させ、質量測定を行う(1299.0mg、収率83.0%)。
【0175】
【0176】
[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[Ir(dfppy)
2(bpy)]
+[502]の合成
【化57】
【0177】
この二重錯塩[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[Ir(dfppy)
2(bpy)]
+は、2種の出発錯体の厳密な当モルのCH
2Cl
2溶液から、次の方法で製造される(スキーム14も参照)。
【0178】
錯体[Ir(ppy)
2(CN)
2]TBA[400](817.3mg、1.03ミリモル)及び[Ir(dfppy)
2(bpy)]Cl[302](790.0mg、1.03ミリモル)を一緒に、CH
2Cl
2250ml中に溶かす。TBAClを除去するために、生成溶液を蒸留H
2O 600mlで8回洗浄する。有機層に、Et
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物100mlを添加する。生じる不透明な混合物を濃縮させ、同じEt
2O/n−ヘキサン混合物50mlを用いて黄色固体を沈殿させる。生成物[502]を、CH
2Cl
2及びEt
2Oとn−ヘキサンとの1:1v/v混合物から再沈殿させ、Et
2O 50mlで洗浄し、乾燥させ、かつ質量測定を行う(1142.0mg、収率86.3%)。
【0179】
【0180】
[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[Ir(ppy)
2(bphen)]
+[503]の合成
【化58】
【0181】
この二重錯塩[Ir(ppy)
2(CN)
2]
−[Ir(ppy)
2(bphen)]
+は、次の方法で、2種の出発錯体の厳密な当モルのCH
2Cl
2溶液から製造される(スキーム15も参照)。
【0182】
錯体[Ir(ppy)
2(CN)
2]TBA[400](736.5mg、0.926ミリモル)及び[Ir(ppy)
2(bphen)]Cl[302](808.0mg、0.926ミリモル)を一緒にCH
2Cl
2300ml中に溶かす。TBAClを除去するために、生成溶液を蒸留H
2O 600mlで8回洗浄する。有機層の量を減少させ、次いで、Et
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物120mlを添加する。不透明な生成混合物を濃縮させ、同じEt
2O/n−ヘキサン混合物80mlを用いて橙黄色固体の沈殿を促進させる。生成物[503]を、CH
2Cl
2及びEt
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物から再沈殿させ、乾燥させ、かつ質量測定を行う(1131.0mg、収率87.7%)。
【0183】
【0184】
[Ir(ppy)
2(3−OH−pic)][600]の合成
【化59】
【0185】
この錯体[Ir(ppy)
2(3−OH−pic)]は、文献記載の方法(T.H.Kwon, M.K.Kim,J.Kwon,D.-Y.Shin,S.J.Park,C.-L.Lee,J.-J.Kim.and Jong-In Hong, Chem. Mater.2007,19,3673-3680;Scheme 16)に従って製造される。
【0186】
典型的な合成で、[Ir(ppy)
2Cl]
2[200](1515.0mg、1.41ミリモル)、3−ヒドロキシピコリン酸2.6当量(508.5mg、3.65ミリモル)及び無水Na
2CO
34.4当量(656.1mg、6.18ミリモル)を、2−エトキシエタノール90ml中に溶かす。生じる帯緑黄色溶液を、窒素雰囲気下に24時間加熱する(135℃)。
【0187】
冷却後に、溶液をガラスフリット(IV)上から濾過し、固体をEtOH及びアセトンで洗浄する。濾過された溶液を数mlまで濃縮させ、次いで、Et
2O 40ml及びEt
2Oとn−ヘキサンとの1:1v/v混合物50mlを添加する。黄色固体が生じるから、この沈殿をn−ヘキサン120mlで完結させる。黄色固体を濾過により分離し、Et
2Oで洗浄し、乾燥させる。粗生成物[600]を蒸留H
2Oで洗浄し、再び濾過し、CH
2Cl
2及びEt
2O/n−ヘキサンから再結晶させ、次いでEt
2Oで洗浄し、乾燥させ、かつ質量測定を行う(1348.3mg、収率74.8%)。
【0188】
【0189】
[Ir(ppy)
2(pic−3−OC
6H
12OH)][601]の合成
【化60】
【0190】
標題化合物は、スキーム17に描かれているように、3−ヒドロキシピコリネートイリジウム誘導体からアルキルハライド中の臭素原子上での親核性置換を介して製造される。
【0191】
典型的な合成で、[Ir(ppy)
2(3−OH−pic)][600](1032.6mg、1.61ミリモル)、6−ブロモ−ヘキサン−1−オール2当量(425リットル、3.25ミリモル)及び無水K
2CO
33当量(670.4mg、4.85ミリモル)を、無水DMF13ml中に溶かす。生成懸濁液を撹拌し、90℃で加熱する。この反応に引き続き、TLC(AcOEt:CH
2Cl
2:MeOH7:7:3)を行う。48時間後に、CH
2Cl
2 150mlを添加し、生成混合物を水性緩衝液(pH7)150mlで、次いで蒸留H
2O 2×150mlで洗浄する。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、溶剤を蒸発させる。得られた橙色油状物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(AcOEt:CH
2Cl
2:MeOH7:7:3)で精製する。所望のフラクションを集め、溶剤を完全に蒸発させると、黄色固体[601]が生じるから、これを乾燥させ、かつ質量測定を行う(530mg、収率44.4%)。
【0192】
【0193】
[Ir(ppy)
2(pic−3−OC
6H
12OSO3
−)]TBA
+[402]の合成
【化61】
【0194】
このヘミ−スルフェートイリジウム誘導体は、スキーム18に描かれているように、相応する3−アルコキシピコリネートイリジウム化合物のスルホン化を介して製造される。
【0195】
典型的な合成で、[Ir(ppy)
2(pic−3−OC
6H
12OH)][601](475.0mg、0.64ミリモル)、10当量の三酸化硫黄−ピリジン錯体(py:SO
3 1049.0mg、6.59ミリモル)及び無水ピリジン420μlを無水CH
2Cl
210.5ml中に溶かす。生成懸濁液を室温で一晩撹拌する。過剰のpy:SO
3を除去するために、懸濁液をガラスフリット(IV)上から濾過し、次いで固体をCH
2Cl
215mlで洗浄する。最後に、AcOEt15mlを添加し、生成混合物を乾燥させると、黄色固体が得られる。テトラブチルアンモニウムクロリド約2gを全粗生成物に添加し、これらをCH
2Cl
2 30ml中に、次いで蒸留水100ml中に溶かすと、二相混合物が得られるから、これを30分間撹拌する。有機層を蒸留H
2O 8×200mlで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、量を半分まで減少させ、AcOEt 20mlを添加する。この濃縮の間に、生成物[400]が同様に黄色固体で生じるから、これをEt
2O 2×20mlで洗浄し、乾燥させ、質量測定を行う(560mg、収率82%)。
【0196】
【0197】
[Ir(ppy)
2(pic−3−OC
6H
12OSO
3−)][Ir(piq)
2(bpy)]
+[700]の合成
【化62】
【0198】
標題錯体は、正確に当モルの2種の出発錯体のCH
2Cl
2溶液から、次の方法で製造される(スキーム19も参照)。
【0199】
錯体[Ir(ppy)
2(pic−3−OC
6H
12OSO
3−)]TBA
+[402](420.1mg、0.395ミリモル)及び[Ir(piq)
2(bpy)]Cl[303](314.8mg、0.395ミリモル)を一緒に、CH
2Cl
2 210ml中に溶かす。TBAClを除去するために、生じる溶液を蒸留H
2O 300mlで8回洗浄する。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、量を減少させる。残留溶液に、Et
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物60mlを添加する。僅かに不透明な生成混合物を濃縮させ、同じEt
2O/n−ヘキサン混合物20mlで橙赤色固体の沈殿を促進させる。生成物[700]をEt
2O 50mlで洗浄し、乾燥させ、かつ質量測定を行う(499mg、収率79.9%)。
【0200】
【0201】
錯体[Ru(bp)
2(ppy)]
+CF
3SO
3−[305]の合成
【化63】
[式中、Meはメチルを表す]は、Sasaki et.al.,Eur.J.Inorg.Chem.2006,3294の記載に従って実施される。
【0202】
塩[505]の合成
【化64】
【0203】
この二重錯塩[505]は、厳密な当モルの2種の出発錯体のCH
2Cl
2溶液から、次の方法で製造される(スキーム20をも参照)。
【0204】
錯体[Ir(ppy)
2(CN)
2]TBA[400]及び[Ru(bp)
2(ppy)]
+CF
3SO
3−[305](各々0.926ミリモル)を一緒に、CH
2Cl
2 300ml中に溶かす。TBAClを除去するために、生じる溶液を蒸留H
2O 600mlで8回洗浄する。有機層の量を減少させ、次いで、Et
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物120mlを添加する。生じる不透明な混合物を濃縮させ、同じEt
2O/n−ヘキサン混合物80mlを用いて黄色固体の沈殿を促進させた。生成物[500]を再びCH
2Cl
2及びEt
2Oとn−ヘキサンとの3:1v/v混合物から再沈殿させ、乾燥させ、かつ質量測定を行う。
【0205】
光物理学的データ
UV/VIS:
一般的情報
Cary 5000 UV−可視/近赤外スペクトロフォトメータを用いて、UV−可視吸収スペクトルを記録し、基線−及び溶剤−補正を行う。使用された全ての溶剤は、分光分析級であり、全ての試料は1×10
−5Mの濃度を有した。全てのスペクトルを、石英キュベット(1cm、Hellma)(酸素不含測定のためのこれは、フリーズ−ポンプ−ソー(freeze-pump-thaw)法のために、このキュベットが、高度真空と接続することができるように変更されている)中で記録する。結果を下記の表中に示す。キュベット中の真空度が約10
−6ミリバールに達するまで脱ガス処理を繰り返す。
【0206】
【表1】
【0207】
燐光寿命:
一般的情報
時間分解発光実験を、試料、ダブルグレーティング励起及び発光モノクロメータを励起するために使用される10kHzと1MHzとの間の反復率を有するナノLED(402nm、FWHM<750ps)を備えている、HORIBA Jobin−Yvon IBH FL−322 Fluorolog 3 スペクトロメータ用い、及びデテクタとしてのTBX−4−X 単一光子計測を用いることにより実施する。この測定を、Fluorolog 3 インスツルメント上の時間関連単−光子計測(TCSPC)オプシヨンを用いることによって実施する。適合度(goodness-of-fit)を、換算χ
2関数の最小化及び質量測定された残分の可視検査により評価する。
【0208】
使用される全ての溶剤は、分光分析級である。全ての試料は、1×10
−5Mの濃度を有した。全てのスペクトルを、石英キュベット(1cm、Hellma)(これは、酸素不含の測定のために、フリーズ−ポンプ−ソー法のために、キュベットが高真空に結合できるように変更されている)中で記録する。結果を下記の表中に示す。キュベット中の真空が約10
−6ミリバールに達するまで脱ガス処理を繰り返す。
【0209】
【表2】
【0210】
フォトルミネセンス効率:
一般的情報
450Wキセノンアークランプ、ダブルグレーティング励起及び発光モノクロメータを備えた、HORIBA Jobin−Yvon IBH FL−322 Fluorolog 3 スペクトロメータを用い、デテクタとしてのTBX−4−単一光子−計測を用いて、定常状態実験を実施する。放射スペクトルを、光源強度(ランプ及び格子)及び放射スペクトル応答(デテクタ及び格子)に関して、標準補正曲線により補正する。
【0211】
使用された全ての溶剤は分光分析級であり、全ての試料は、1×10
−5Mの濃度を有した。全てのスペクトルを石英キュベット(1cm、Hellma)(酸素不含測定のためのこれは、フリーズ−ポンプ−ソー法のために、このキュベットが高真空と接続できるように変更されている)中で記録する。キュベット中の真空が約10
−6ミリバールに達するまで脱ガス処理を繰り返す。
【0212】
発光量子収率(Ф)を、光学的希溶液(脱ガスされた、励起波長でのOD<0.1)中で、溶剤としてのDCMを用い、かつ、積分球法(integrating sphere method)を用いて測定する。150Wキセノンアークランプ、格子モノクロメータ、マルチ−チャンネル フォト−デテクタとしてのCCD エリア イメージセンサ、光学的繊維及びコントロール回路を備えている、Hamamatsu PMA−12スペクトル測定系でデータを集める。全ての測定を、試料ホルダー形状及び溶剤存在を考慮して、補正する。結果を下記の表中に示す。
【0213】
【表3】
【0214】
エレクトロルミネセントデバイス
一般的情報
デバイス特徴
活性層の沈着に先だって、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)の薄層(100nm)をスピンコーティングする。この活性層は、アセトニトリル溶液からスピンコーティングされており、70nmの厚さを有する。この活性層は化合物を含有している。いくつかのデバイス中では、このデバイスのターン−オンの加速のために、少量のイオン液体(IL)1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートが添加されている。iTMCとILとの間のモル比は、2:1である。80nmの厚さのアルミニウム層が蒸着されて、カソードとして使用される。構造化されたITO−含有ガラスプレートを基材として使用する。デバイス製造及び特徴付けを、グローブボックス内で、不活性雰囲気下(<0.1ppmH
2O及び<0.1ppmO
2)に実施する。量子効率(EQE)、最大輝度(cd/m
2)及びこれを得るための動作時間、効力(cd/A)及びデバイス半価時間(検査された場合)を、次の表中に挙げる。
【0215】
【表4】