(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016212
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】コルゲートフィン式熱交換器の排水構造
(51)【国際特許分類】
F28F 1/16 20060101AFI20161013BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20161013BHJP
F28F 1/26 20060101ALI20161013BHJP
F28F 1/30 20060101ALI20161013BHJP
F28F 13/18 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
F28F1/16 Z
F28D1/053 A
F28F1/26 Z
F28F1/30 E
F28F13/18 B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-228529(P2012-228529)
(22)【出願日】2012年10月16日
(65)【公開番号】特開2014-81113(P2014-81113A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健司
【審査官】
鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−243147(JP,A)
【文献】
特開平01−291097(JP,A)
【文献】
特開2010−025477(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/034633(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/106757(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/053
F28F 1/16、1/26
F28F 1/30、1/32
F28F 17/00
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対峙する一対のヘッダーパイプ間に、互いに平行な複数のアルミニウム製の扁平状熱交換チューブを水平方向に配置し、上記熱交換チューブ間にアルミニウム製のコルゲートフィンを接合してなるコルゲートフィン式熱交換器において、
上記熱交換チューブの幅方向の端部に鍔部が延設され、
該鍔部に適宜間隔をおいて設けられる切り込みによって傾斜状に切り起こされる切起し片にて上記コルゲートフィンに保水される水を吸引する流水路を形成してなり、
上記熱交換チューブの厚さが1.5mm〜1.93mmにおいて、上記熱交換チューブの厚さx、上記鍔部の長さa、及び上記切り込みの深さbの関係は、
a≧0.9x
であり、かつ、
b≧0.75a
であることを特徴とするコルゲートフィン式熱交換器の排水構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコルゲートフィン式熱交換器の排水構造において、
上記熱交換チューブの厚さx、上記鍔部の長さaの関係は、
a≦2x
であることを特徴とするコルゲートフィン式熱交換器の排水構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコルゲートフィン式熱交換器の排水構造において、
上記鍔部の表面は親水性処理されたものであることを特徴とするコルゲートフィン式熱交換器の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コルゲートフィン式熱交換器の排水構造に関するもので、更に詳細には、コルゲートフィンと扁平状熱交換チューブとを交互に配置されるパラレルフロー型熱交換器の排水性を向上させる排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、対峙する一対のヘッダーパイプ間に、互いに平行な複数の扁平状の熱交換チューブを水平方向に配置し、これら熱交換チューブ間にコルゲートフィンを接合してなるコルゲートフィン式熱交換器が広く使用されている。この種のコルゲートフィン式熱交換器を蒸発器として用いた場合、表面に凝縮水(結露水)が付着し、通気抵抗の増大、更には、コルゲートフィン表面に付着する水膜が抵抗となり伝熱を阻害してしまい、熱交換性能の低下を招く問題があった。
【0003】
上記問題を解決する手段として、熱交換チューブの幅方向の端部外面に、熱交換チューブの上下側に隣接するコルゲートフィンとの間に保水される水を吸引する流水路を熱交換チューブの長手方向に適宜ピッチをおいて形成するコルゲートフィン式熱交換器の排水構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、流水路は、熱交換チューブの幅方向の端部に延設される鍔部に傾斜状に切り起こされる切起し片にて形成されている。
【0004】
特許文献1に記載の技術においては、コルゲートフィンの表面に凝縮し、水滴となった凝縮水(結露水)が、熱交換チューブの上下側に隣接するコルゲートフィン間に保水された状態で、流水路のエッジ部が保水に接触することで、流れ落ちる起点となり、水を誘引して下方側のコルゲートフィンへ排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−243147号公報(特許請求の範囲、
図1〜
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、流水路のエッジ部が保水に接触することで流れ落ちる起点となり、コルゲートフィンの表面に付着した結露水を排水するものである。ここで、本発明者は、特許文献1に記載の切起し片に着目し、切起し片を形成する鍔部の長さと切り込みの深さを最適化することにより、コルゲートフィンに付着した凝縮水(結露水)が効率よく下方側のコルゲートフィンに排出されることを知見した。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、扁平状の熱交換チューブの幅方向の端部に延設される鍔部の長さと切り込みの深さを最適化することで、コルゲートフィンに付着した凝縮水(結露水)を効率よく下方側のコルゲートフィンへ排出するコルゲートフィン式熱交換器の排水構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、この発明のコルゲートフィン式熱交換器の排水構造は、 対峙する一対のヘッダーパイプ間に、互いに平行な複数の
アルミニウム製の扁平状熱交換チューブを水平方向に配置し、上記熱交換チューブ間に
アルミニウム製のコルゲートフィンを接合してなるコルゲートフィン式熱交換器において、 上記熱交換チューブの幅方向の端部に鍔部が延設され、 該鍔部に適宜間隔をおいて設けられる切り込みによって傾斜状に切り起こされる切起し片にて上記コルゲートフィンに保水される水を吸引する流水路を形成してなり、 上記熱交換チューブの厚さx、上記鍔部の長さa、及び上記切り込みの深さbの関係は、
a≧0.9x
であり、かつ、
b≧0.75a
であることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
また、上記熱交換チューブの厚さx、上記鍔部の長さaの関係は、
a≦2x
であることがさらに好ましい(請求項
2)。
【0011】
このように構成することにより、鍔部の長さを熱交換チューブの2倍以下に抑えることができるため、鍔部を容易に加工することができ、組み付けや熱交換器の取り扱いによる変形を防止することができる。
【0012】
また、上記鍔部の表面は親水性処理されたものであることが好ましい(請求項
3)。このように構成することにより、コルゲートフィンに付着した凝縮水(結露水)を速やかに排出することができる。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成されるこの発明によれば、切起し片を形成する鍔部の長さと切り込みの深さを最適化することにより、コルゲートフィンに付着した凝縮水(結露水)を効率よく下方側のコルゲートフィンへ排出することができる。そのため、コルゲートフィン間を流通する空気の抵抗の増大を低減することができ、熱交換率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明に係るコルゲートフィン式熱交換器の排水構造を示す正面図(a)及び(a)のI部拡大正面図(b)である。
【
図2】この発明に係る排水構造の一部を断面で示す斜視図(a)及びこの発明におけるコルゲートフィンの一部拡大斜視図(b)である。
【
図3】流水路を有する熱交換チューブを示す斜視図(a)及び熱交換チューブの一部拡大斜視図(b)である。
【
図4】鍔部に切り込みを入れる前の熱交換チューブを示す斜視図(a)、鍔部の幅と同じ長さの切り込みを入れた状態の熱交換チューブを示す斜視図(b)、切起しを形成した状態の熱交換チューブを示す斜視図(c)である。
【
図5】鍔部に切り込みを入れる前の熱交換チューブを示す斜視図(a)、鍔部の幅よりも短い長さの切り込みを入れた状態の熱交換チューブを示す斜視図(b)、切起しを形成した状態の熱交換チューブを示す斜視図(c)である。
【
図6】コルゲートフィンを取り付けた熱交換チューブと送風方向の関係を示す説明図である。
【
図7】コルゲートフィン式熱交換器の排水実験を示す説明図である。
【
図8】上記排水実験を行ったコルゲートフィン式熱交換器の保水重量と経過時間との関係を示すグラフである。
【
図9】
図8に示すグラフにおいて経過時間がゼロの時の保水重量を100、経過時間が180秒の時の保水重量を0として、各経過時間における保水重量の指数を保水量として示すグラフ(a)及びこのグラフの一部を拡大したグラフ(b)である。
【
図10】熱交換チューブの厚さを厚くしたコルゲートフィン式熱交換器で上記排水実験を行った際の保水重量と経過時間との関係を示すグラフである。
【
図11】
図10に示すグラフにおいて経過時間がゼロの時の保水重量を100、経過時間が180秒の時の保水重量を0として、各経過時間における保水重量の指数を保水量として示すグラフ(a)及びこのグラフの一部を拡大したグラフ(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、この発明を実施するための形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
この発明に係るコルゲートフィン式熱交換器1は、
図1,
図2に示すように、それぞれアルミニウム(アルミニウム合金を含む)製の左右に対峙する一対のヘッダーパイプ2a,2bと、これらヘッダーパイプ2a,2b間に互いに平行に水平方向に架設(連結)される複数の扁平状の熱交換チューブ3及び隣接する熱交換チューブ3間に介在されるコルゲートフィン4をろう付けしてなる。なお、熱交換チューブ3には複数に区画された熱媒体流路3aが形成されている。また、上下端のコルゲートフィン4の上部外方側及び下部開放側には、それぞれアルミニウム製のサイドプレート5がろう付けされている。また、ヘッダーパイプ2a,2bの上下開口端にはアルミニウム製のエンドキャップ6がろう付けされている。
【0017】
上記のように構成される熱交換器1において、
図1ないし
図3に示すように、熱交換チューブ3の幅方向の側端部には、熱交換チューブ3の長手方向に沿って鍔部7が延設されており、この鍔部7に適宜ピッチをおいて切込みを介して例えば傾斜状に切り起こされる切起し片8によって、熱交換チューブ3の上下側に隣接するコルゲートフィン4間に保水される水を吸引する流水路10が形成されている。この場合、
図3に示すように、熱交換チューブ3の両端部に鍔部7を延設し、この鍔部7に切起し片8が形成される。この切起し片8の表面には、
図3(b)に示すように、例えば微細粗面処理や親水性塗料の塗布等の親水性処理によって親水性皮膜9が形成されている。このように切起し片8の表面に親水性皮膜9を形成することによって、コルゲートフィン4間に保水された水を速やかに排出することができる。
【0018】
この場合、流水路10がコルゲートフィン4の側端部より外側に位置していると、コルゲートフィン4に付着した凝縮水(結露水)が上下に隣接するコルゲートフィン4間に保水された水が速やかに排出されないため、少なくとも流水路10の一部は、コルゲートフィン4の側端部の内側に位置している必要がある。
【0019】
上記のように構成される熱交換器1において、コルゲートフィン4は、薄板を所定の高さになるように山−谷折りを交互に繰り返して成形されており、熱交換器正面からの視点では、V字形状の連続として見ることができる。
【0020】
この発明の排水メカニズムとしては、V字形状(谷折り)フィン表面に凝縮した凝縮水(結露水)は、下段への水路がないため、コルゲートフィン4の幅方向に互いに並行に設けられた複数の縦スリットを切り起こして形成されたフィンルーバ4a(
図2(b)参照)を介して隣の逆V字形状(山折り)部に移動し、逆V字形状部に集まった凝縮水は、下方の開口部から、熱交換チューブ3に形成された流水路10を介して、下方側のコルゲートフィン4に流れ込むといったメカニズムをスムーズに繰り返すことにより、排水が促進される構造である。
【0021】
なお、コルゲートフィン4にフィンルーバ4aを設けることにより、熱交換能力の向上が図れる。すなわち、空気の通路に所定角度に成形された所定数のルーバーを設けることで、乱流効果等により熱伝達性能の向上が図れる。
【0022】
上記のように構成される排水構造によれば、熱交換器表面がウェットな状態となると、コルゲートフィン4の表面に凝縮し、水滴となった凝縮水(結露水)が、熱交換チューブ3の上下側に隣接するコルゲートフィン4間に保水された状態で、切起し片8(流水路10)のエッジ部が保水に接触することで、流れ落ちる起点となり、水を誘引して下方側のコルゲートフィン4へ排出することができる。以下同様にして、コルゲートフィン4の表面に凝縮し、水滴となった凝縮水(結露水)は、順次下方側のコルゲートフィン4へ排出される。
【0023】
次に、
図4(a)〜
図5(c)に基づいて、切起し片8の形成方法について説明する。
図4(a)〜
図4(c)に示される熱交換チューブ3では、鍔部7に切り込み7aが一定の間隔をおいて設けられている。この場合において、切り込み7aの深さb(切込深さb)は鍔部7の長さa(鍔部長さa)と等しくなるように形成されている。そして、
図4(c)に示すように、切り込み7aを入れた鍔部7を切り起こすことで、熱交換チューブ3に対して傾斜状に切り起こされる切起し片8が形成される。
【0024】
また、
図5(a)〜
図5(c)に示すように、熱交換チューブ3は切込深さbと鍔部長さaが等しいものでなくてもよく、切込深さbが鍔部長さaの半分以上であれば切込深さbが鍔部長さaより短くてもよい。この場合には、切り込み7aを入れた鍔部7を切り起こすことで、基端部に鍔部7の平坦部7bを残して熱交換チューブ3に対して傾斜状に切り起こされる切起し片8が鍔部7の外側に形成される。
【0025】
ここで、熱交換チューブ3の厚さx(チューブ厚x)と鍔部長さaの関係は、a≦2xであることが好ましい。その理由は、a>2xであると切起し片8を形成する際の加工が困難になり、また、鍔部7の平坦部7bの幅が大きくなることで、熱交換チューブ3の組み付けや熱交換器1の取り扱いにより切起し片8が変形し易くなるからである。
【0026】
次に、
図7に基づいて、コルゲートフィン4に保水される水の排水効果を評価するための試験方法について説明する。この試験は、熱交換チューブ3とコルゲートフィン4とからなる熱交換器1のコア1aを垂直にした状態で水を蓄えた水槽11に沈め、その後水槽11から引き上げたコア1aのコルゲートフィン4に保水される水の量の変化を計測することで行われる。保水される水の量の変化は保水される水の重量を測定することで測定される。
【0027】
上記試験で行われた計測の中で、チューブ厚xが1.5mmの熱交換チューブ3であって、鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍(2.4mm)であり切込深さbが鍔部長さaと等しい2.4mmの場合、鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍(2.4mm)であり切込深さbが鍔部長さaの0.75倍(1.8mm)の場合、及び鍔部長さaがチューブ厚xの1.2倍(1.8mm)であり切込深さbが鍔部長さaと等しい1.8mmの場合の保水される水の量を
図8,
図9(a),
図9(b)に示す。
【0028】
図8,
図9(a),
図9(b)から、鍔部長さaの割合、切込深さbの割合に関わらず、コルゲートフィン4で保水される水の重量変化{保水重量(g)}と保水量(%)は水槽11から引き上げられた直後から20秒を経過するまでは急速に減少するが、20秒を経過した後では現象が緩やかになることが判る。ここで、保水量とは、水槽11から引き上げた直後のコルゲートフィン4に保水される水の重量を100とし、水槽11から引き上げて180秒経過した時のコルゲートフィン4に保水される水の重量を0とした時の各経過時間における保水重量の指数をいう。
【0029】
ここで、鍔部長さaが2.4mm、切込深さbが1.8mmである場合の保水重量は、鍔部長さa、切込深さbが共に2.4mmである場合の保水重量よりも多い保水重量を有しているため、鍔部長さaと切込深さbが共に2.4mmである場合でより高い排水機能を有している。これは、鍔部長さaに対する切込深さbの割合を小さくすることで平坦部7bの面積が大きくなり、平坦部7bに凝縮水(結露水)が滞留することに起因している。
【0030】
また、
図9(b)に示すように、コルゲートフィン4に保水された水の量は、チューブ厚xに対する鍔部長さaが長く、かつ鍔部長さaに対する切込深さbの割合が大きいほど、急速に少なくなることがわかる。そのため、切込深さbを大きくすることで、コルゲートフィン4に保水された水を排水する速度が速くなる。これは、切込深さbを大きくすることで平坦部7bの面積が小さくなり、平坦部7bへの凝縮水(結露水)の滞留が少なくなることに起因している。
【0031】
一方、上記試験で行われた計測の中で、チューブ厚xが1.93mmの熱交換チューブ3であって、鍔部長さaがチューブ厚xの0.9倍(1.74mm)であり、切込深さbが鍔部長さaの1倍(1.74mm),0.5倍(0.87mm)とした場合の保水される水の量を
図10,
図11に示す。
図10に示すように、切込深さbが0.87mmである場合の保水重量は、切込深さbが1.74mmである場合の保水重量よりも多い保水重量を有している。そのため、鍔部長さaと切込深さbが等しい場合の排水機能は、切込深さbが鍔部長さaの0.5倍である場合の排水機能よりも高くなる。これは、厚さ1.5mmの熱交換チューブ3の場合と同様に、鍔部長さaに対する切込深さbの割合が大きくなるほど排水機能が向上することを示している。
【0032】
また、
図11に示すように、コルゲートフィン4に保水された水の量は、切込深さbが大きいほど急速に少なくなることが判る。そのため、切込深さbを大きくすることで、コルゲートフィン4に保水された水を排水する速度が速くなる。これは、厚さ1.5mmの熱交換チューブ3の場合と同様に、切込深さbが大きくなるほど排水速度が速くなることを示している。
【0033】
図10,
図11に示される結果から、排水機能と排水速度は、切込深さbが深くなるほど良好となることが判る。また、
図8〜
図9(b)に示すように、鍔部長さaを長くしたにも関わらず切込深さbを深くしない場合には、排水速度は変化せず排水機能が低下することが判る。
【0034】
図7に基づく試験は、1.5mm,1.93mmの2通りのチューブ厚xについて、チューブ厚xに対する鍔部長さaを1.6倍,1.5倍,1.2倍,1倍,0.9倍,0.8倍,0.5倍,0.3倍の8通りとし、かつ、鍔部長さaに対する切込深さbを1倍,0.75倍,0.5倍,0.25倍の4通りとして行った。そして、全ての組み合わせについて、水槽11から引き上げた直後からの時間に対する保水される水の重量及び保水量について計測を行ない、排水性の評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0035】
表1に示す排水性の評価は、水槽11から引き上げたコア1aのコルゲートフィン4に保水される水の重量変化{保水重量(g)}と水の排出速度{保水量(%)}に基づいて行われる。コルゲートフィン4の排水性は、コルゲートフィン4に保水される水の重量が少なく(保水重量が少なく)、コルゲートフィン4から排出される水の排出速度が高い(保水量が急激に減少する)ほど良好であると判断される。また、表1に示される排水性の◎は排水性が極めて良好であることを示し、○は排水性が良好であることを示し、△は製品として使用可能なレベルの排水性であることを示し、×は製品として使用不可能なレベルの排水性であることを示している。
【0036】
表1に示すように、極めて良好な排水性を得ることができる範囲(◎)は、チューブ厚xが1.5mmの場合には、鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.5倍でありかつ鍔部長さaと切込深さbが等しい場合である。また、チューブ厚xが1.93mmの場合には、鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.2倍でありかつ鍔部長さaと切込深さbが等しい場合、又は鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.5倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.75倍となる場合である。
【0037】
また、良好な排水性を得ることができる範囲(○)は、チューブ厚xが1.5mmの場合には、鍔部長さaがチューブ厚xの1.2倍〜0.8倍でありかつ鍔部長さaと切込深さbが等しい場合、鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜0.9倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.75倍となる場合、又は鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.5倍となりかつ切込深さbが長さaの0.5倍となる範囲である。また、チューブ厚xが1.93mmの場合には、鍔部長さaがチューブ厚xの1倍〜0.8倍でありかつ鍔部長さaと切込深さbが等しい場合、鍔部長さaがチューブ厚xの1.2倍〜0.8倍でありかつ切込深さbが鍔部厚さaの0.75倍となる場合、又は鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.2倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.5倍となる範囲である。
【0038】
従って、チューブ厚xと鍔部長さaの関係がa≧
0.9xであり、かつ切込深さbとチューブ厚xの関係がb≧0.75
aである場合には、チューブ厚xに関わらず、良好な排水性を得ることが可能となる。
【0039】
また、製品として使用可能なレベルの排水性を得ることができる範囲(△)は、チューブ厚が1.5mmの場合には、鍔部長さaがチューブ厚xの0.8倍でありかつ鍔部長さaと切込深さbが等しい場合、鍔部長さaがチューブ厚xの0.8倍〜0.5倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.75倍となる場合、鍔部長さaがチューブ厚xの1.2倍〜0.8倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.5倍となる場合、又は鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.5倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.25倍となる場合である。
【0040】
また、チューブ厚が1.93mmの場合には、鍔部長さaがチューブ厚xの0.5倍〜0.3倍でありかつ鍔部長さaと切込深さbが等しい場合、鍔部長さaがチューブ厚xの0.5倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.75倍となる場合、鍔部長さaがチューブ厚xの1.0倍〜0.8倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.5倍となる場合、又は鍔部長さaがチューブ厚xの1.6倍〜1.2倍でありかつ切込深さbが鍔部長さaの0.25倍となる場合である。
【0041】
従って、チューブ厚xと鍔部長さaの関係がa≧0.5xであり、かつ切込深さbと鍔部厚xの関係がb≧0.38xである場合には、チューブ厚xに関わらず、良好な排水性を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 熱交換器
2a,2b ヘッダーパイプ
3 熱交換チューブ
4 コルゲートフィン
4a フィンルーバ
7 鍔部
7a 切り込み
8,8A 切起し片
9 親水性皮膜
10 流水路
11 水槽