(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医用画像撮影装置によって被検体を撮影することにより得られた医用画像データから前記被検体の心筋の厚みまたはその周辺部位の厚みに関する形態情報を特定する形態特定手段と、
前記医用画像データに基づいて前記被検体の心筋の動きに関する心機能情報を算出する機能算出手段と、
前記特定された形態情報と前記算出された心機能情報とをそれぞれ座標軸に持つ2次元のカラーマップと、前記カラーマップ上で前記形態情報に関する閾値を示す第1の閾値バー及び前記心機能情報に関する閾値を示す第2の閾値バーと、前記医用画像データに基づく医用画像と、を表示手段に表示させる表示処理手段と、
入力操作に基づいて、前記第1及び第2の閾値バーの示す各閾値を前記2次元カラーマップ上で変更する入力手段と、
を備え、
前記表示処理手段は、前記カラーマップと、前記医用画像上の各位置における前記形態情報及び前記心機能情報とに基づいて前記医用画像を色付けし、さらに前記各閾値によって定まる前記医用画像中の領域を識別するための枠を付して、表示手段に表示させることを特徴とする医用画像処理装置。
前記特定された形態情報は、心筋石灰化部位の厚み、心筋脂肪の厚みまたは心筋梗塞部位の厚みに関する情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
前記算出された心機能情報は、心筋の壁運動または厚みの変化、心筋組織の毛細血管あるいはそれに準ずる機能血管系の血流、または心室の容積比の変化に関する情報のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
前記表示処理手段は、前記特定された形態情報としての心筋石灰化部位の厚みと前記算出された心機能情報としての心筋の動きに関する情報とを、前記医用画像としての前記被検体の心臓の短軸断面における心筋の位置に対応して、前記色付けして前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
前記表示処理手段は、前記特定された形態情報としての心筋梗塞部位の厚みと前記算出された心機能情報としての心筋組織の毛細血管あるいはそれに準ずる機能血管系の血流に関する情報とを、前記医用画像としての前記被検体の心臓の短軸断面における心筋の位置に対応して、前記色付けして前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
前記表示処理手段は、前記医用画像として前記被検体の解剖学的組織を模式化して表すモデル図を前記表示手段に表示させる請求項2または3に記載の医用画像処理装置。
前記各閾値によって定まる前記医用画像中の領域は、前記カラーマップ上で、前記厚さが前記入力手段で設定された前記第1の閾値バーが示す閾値以上の範囲に対応する領域、前記心筋の壁運動または厚みの変化、前記心筋組織の毛細血管あるいはそれに準ずる機能血管系の血流または前記心室の容積比の変化に関する情報が、前記入力手段で設定された第2の閾値バーが示す閾値より小さい範囲に対応する領域、又は前記第1の閾値バーが示す閾値以上であって第2の閾値バーが示す閾値より小さい範囲に対応する領域である請求項1から3のいずれかに記載の医用画像処理装置。
前記各閾値によって定まる前記医用画像中の領域は、前記カラーマップ上で、前記厚さが前記入力手段で設定された前記第1の閾値バーが示す閾値以上の範囲に対応する領域、前記外壁距離の差が前記入力手段で設定された第2の閾値バーが示す閾値より小さい範囲に対応する領域、又は前記第1の閾値バーが示す閾値以上であって第2の閾値バーが示す閾値より小さい範囲に対応する領域である請求項9に記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、第1実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。第1実施形態に係る医用画像処理装置1には、例えば医用画像撮影装置90が接続されている。
【0010】
(医用画像撮影装置90)
医用画像撮影装置90には、X線CT装置やMRI装置などの撮影装置が用いられる。医用画像撮影装置90は撮影手段を有し、観察対象を含む領域を撮影することにより医用画像データを生成する。例えば心臓を観察対象とした場合、医用画像撮影装置90は、心臓を含む3次元の領域を撮影することにより、心臓を含む領域を表すボリュームデータを生成する。
【0011】
一例として、医用画像撮影装置90は心臓を連続して撮影することにより、時系列に沿った複数のボリュームデータを生成する。すなわち、医用画像撮影装置90は、撮影された時間がそれぞれ異なる複数のボリュームデータを生成する。医用画像撮影装置90は、複数のボリュームデータを医用画像処理装置1に出力する。
【0012】
いわゆる造影撮影を行ってもよい。この場合、医用画像撮影装置90は造影剤が注入された被検体の心臓を連続して撮影することにより、時系列に沿った複数のボリュームデータを生成する。
【0013】
医用画像撮影装置90は、各ボリュームデータが生成された時間を示す時間情報を、各ボリュームデータに付帯させる。例えば心電計を用いて被検体の心電波形(ECG信号)を取得する。医用画像撮影装置90は被検体の心臓を連続して撮影し、心電計からECG信号を受けて、ECG信号と複数ボリュームデータとを対応付ける。これにより、各ボリュームデータが生成された時相と、各ボリュームデータとが対応付けられる。例えば医用画像撮影装置90は、複数の心拍にわたって心臓を撮影することにより、複数の心拍における複数のボリュームデータを生成する。
【0014】
(医用画像処理装置1)
医用画像処理装置1は、画像記憶部2と、形態特定部3と、機能算出部4と、表示処理部5と、ユーザインターフェース(UI)6とを備えている。
【0015】
(画像記憶部2)
画像記憶部2は、医用画像撮影装置90から送られた医用画像データを記憶する。例えば画像記憶部2は、心臓を含む領域を表す複数のボリュームデータを記憶する。
【0016】
医用画像撮影装置90がボリュームデータを生成せずに、医用画像処理装置1がボリュームデータを生成してもよい。この場合、医用画像撮影装置90は、複数の医用画像データ(例えばCT画像データ)を医用画像処理装置1に出力する。医用画像処理装置1は、複数の医用画像データに基づいてボリュームデータを生成する。
【0017】
(形態特定部3)
形態特定部3は、第1特定部31と、第2特定部32と、芯軸決定部33と、第1画像生成部34と、厚さ算出部35とを備えている。形態特定部3は、ボリュームデータに基づいて心臓の形態を特定し、心臓において心臓とは性状が異なる部位の形態を示す形態情報を求める。形態特定部3は、性状が異なる部位の形態の一例として、石灰化した部位の厚さを求める。
【0018】
(第1特定部31)
第1特定部31は、複数のボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、CT値などの画素値に基づいて各ボリュームデータから心臓の領域を特定する。例えば第1特定部31は、拡張末期(End Diastole:ED)におけるボリュームデータから心臓の領域を特定し、収縮末期(End Systole:ES)におけるボリュームデータから心臓の領域を特定する。すなわち、第1特定部31は、拡張末期における心臓の領域と、収縮末期における心臓の領域とを特定する。または、第1特定部31は、1心拍の間に生成された複数のボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、各時相に生成されたボリュームデータから心臓の領域を特定してもよい。第1特定部31によって特定された心臓の一例を、
図2に示す。
図2は、心臓を模式的に示す図である。例えば
図2に示すように、第1特定部31はボリュームデータから心臓100を特定する。
図2には、左心室101と右心室102とが表されている。
【0019】
(第2特定部32)
第2特定部32は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓の領域において石灰化した部位をボリュームデータから特定する。例えば第2特定部32は、CT値などの画素値に基づいて、心臓の領域において石灰化した部位を特定する。一例として、第2特定部32はリージョングローイング法(領域拡張法)を用いて、3次元空間における石灰化部位を特定する。例えば第2特定部32は、拡張末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよいし、収縮末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよい。すなわち、第2特定部32は、拡張末期における石灰化部位を特定してもよいし、収縮末期における石灰化部位を特定してもよい。または、第2特定部32は、1心拍中の各時相に生成されたボリュームデータから石灰化部位を特定してもよい。
【0020】
(芯軸決定部33)
芯軸決定部33は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓の芯軸を決定する。一例として、芯軸決定部33は左心室の芯軸を決定する。例えば芯軸決定部33は、心臓を表すボリュームデータにMPR処理(Multi Planar Reconstruction)を施すことによりMPR画像データを生成する。表示制御部53は、MPR画像データに基づくMPR画像を表示部61に表示させる。操作者は、表示部61に表示されたMPR画像上で、芯軸の始点と終点とを操作部62を用いて指定する。操作者によって指定された始点及び終点の座標情報が、ユーザインターフェース(UI)6から芯軸決定部33に出力される。芯軸決定部33は、始点の座標情報と終点の座標情報とを受けて、始点と終点とを通る線を芯軸として定義する。
【0021】
心臓は、心尖部(心臓下部のとがった部分)から心基部(心臓上部の血管が出ている部分)まで縦に長い形状を有する。例えば操作者は操作部62を用いて、心尖部を始点として指定し、心基部を終点として指定する。芯軸決定部33は、心尖部と心基部とを通る線を芯軸として定義する。例えば
図2に示すように、芯軸決定部33は、心尖部と心基部とを通り左心室101に交差する芯軸103を決定する。
【0022】
例えば芯軸決定部33は、拡張末期における芯軸と、収縮末期における芯軸とを決定する。または、芯軸決定部33は、1心拍中の各時相における芯軸を決定してもよいし、任意の時相における芯軸を決定してもよい。
【0023】
(第1画像生成部34)
第1画像生成部34は、心臓の領域を表すボリュームデータにMPR処理を施すことにより、芯軸に直交する短軸断面における画像データ(以下、「短軸像データ」(Short−Axis像:SA)と称する場合がある)を生成する。例えば第1画像生成部34は、拡張末期におけるボリュームデータに基づいて、拡張末期における短軸像データを生成する。また、第1画像生成部34は、収縮末期におけるボリュームデータに基づいて、収縮末期における短軸像データを生成する。または、第1画像生成部34は、1心拍中の各時相におけるボリュームデータに基づいて、各時相における短軸像データを生成してもよい。
【0024】
例えば
図2に示すように、第1画像生成部34は、芯軸103の始点(心尖部)と終点(心基部)との間の領域110において、複数の短軸断面111を等間隔に設定する。第1画像生成部34は、拡張末期におけるボリュームデータに基づいて、各短軸断面111における短軸像データを生成する。一例として、第1画像生成部34は、領域110において40フレームの短軸断面111を設定し、40フレームの短軸像データを生成する。例えば操作者は操作部62を用いて、短軸断面111の数と、互いに隣り合う短軸断面111の間隔の長さとを指定する。短軸断面111の数と間隔の長さとを示す情報が、ユーザインターフェース(UI)6から第1画像生成部34に出力される。第1画像生成部34は、操作者によって指定された短軸断面111の数と間隔の長さとに従って、短軸像データを生成する。
【0025】
同様に、第1画像生成部34は、収縮末期におけるボリュームデータに基づいて、各短軸断面111における短軸像データを生成する。一例として、第1画像生成部34は、領域110において40フレームの短軸断面111を設定し、40フレームの短軸像データを生成する。
【0026】
(厚さ算出部35)
厚さ算出部35は、第2特定部32によって特定された石灰化部位と、第1画像生成部34によって生成された複数の短軸像データとに基づいて、各短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。例えば厚さ算出部35は、収縮末期の各短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。
【0027】
図3A及び
図3Bを参照して、石灰化部位の厚さを求める処理について説明する。
図3Aは、拡張末期における左心室の短軸画像を示す図である。
図3Bは、収縮末期における左心室の短軸画像を示す図である。短軸画像120は、拡張末期における複数の短軸画像のうちの1フレームの画像である。短軸画像130は、収縮末期における複数の短軸画像のうちの1フレームの画像である。短軸画像120と短軸画像130とは、同じ短軸断面における画像である。例えば厚さ算出部35は、収縮末期における短軸画像130に基づいて石灰化部位の厚さを求める。厚さ算出部35は、短軸画像130に表された心筋の外壁132を画素値に基づいて特定する。厚さ算出部35は、心筋の内壁131を特定してもよい。厚さ算出部35は、芯軸103から外壁132に向かう方向を厚さ方向とし、外壁132上の石灰化部位133の厚さTを求める。例えば
図3Bに示すように、厚さ算出部35は、芯軸103を回転の中心とし、5°間隔ごとに72箇所の石灰化部位133の厚さTを求める。厚さ算出部35は、収縮末期における各短軸断面について、石灰化部位133の厚さTを求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、厚さ算出部35は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の厚さTを求める。なお、5°間隔は一例であり、他の角度の間隔で厚さTを求めてもよい。
【0028】
または、厚さ算出部35は、拡張末期の各短軸断面における石灰化部位の厚さを求めてもよい。この場合も、厚さ算出部35は、拡張末期における短軸画像120に表された心筋の外壁122を特定する。厚さ算出部35は、心筋の内壁121を特定してもよい。例えば厚さ算出部35は、拡張末期における各短軸断面について、5°間隔ごとに72箇所の石灰化部位の厚さを求める。
【0029】
(機能算出部4)
機能算出部4は、第1画像生成部34によって生成された各短軸像データに基づいて、心臓の機能(たとえば、心筋の動き)を示す機能情報を求める。機能算出部4は、心臓の機能情報として、拡張末期と収縮末期とにおける外壁距離の差(壁運動)を求める。または、機能算出部4は、心筋の壁厚変化を求めてもよい。
【0030】
(外壁距離の差)
外壁距離の差を求める場合について説明する。機能算出部4は、拡張末期における芯軸から外壁までの距離(外壁距離)を求め、収縮末期における芯軸から外壁までの距離(外壁距離)を求める。機能算出部4は、拡張末期における外壁距離と収縮末期における外壁距離との差を求める。
【0031】
図4A及び
図4Bを参照して具体的に説明する。
図4Aは、拡張末期における左心室の短軸画像を示す図である。
図4Bは、収縮末期における左心室の短軸画像を示す図である。
図4A及び
図4Bに示す短軸画像120と短軸画像130とは、同じ短軸断面における画像である。機能算出部4は、拡張末期における短軸画像120に表された心筋の外壁122を画素値に基づいて特定する。機能算出部4は、心筋の内壁121を特定してもよい。機能算出部4は、芯軸103から外壁122までの距離Da(外壁距離)を求める。例えば
図4Aに示すように、機能算出部4は、芯軸103を回転の中心とし、5°間隔ごとに72箇所の距離Daを求める。機能算出部4は、拡張末期における各短軸断面について、芯軸103から外壁122までの距離Daを求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の距離Daを求める。なお、5°間隔は一例であり、他の角度の間隔で距離Daを求めてもよい。
【0032】
また、機能算出部4は、収縮末期における短軸画像130に表された心筋の外壁132を画素値に基づいて特定する。機能算出部4は、心筋の内壁131を特定してもよい。機能算出部4は、芯軸103から外壁132までの距離Db(外壁距離)を求める。例えば
図4Bに示すように、機能算出部4は、芯軸103を回転の中心とし、5°間隔ごとに72箇所の距離Dbを求める。機能算出部4は、収縮末期における各短軸断面について、芯軸103から外壁132までの距離Dbを求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の距離Dbを求める。なお、5°間隔は一例であり、他の角度の間隔で距離Dbを求めてもよい。
【0033】
機能算出部4は、各短軸断面の各箇所について、拡張末期における距離Da(外壁距離)と収縮末期における距離Db(外壁距離)との差を求める。例えば機能算出部4は、拡張末期における距離Daから収縮末期における距離Dbを減算し、減算の結果得られた値を外壁距離の差とする。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の外壁距離の差を求める。これにより、1つの短軸断面111あたり72箇所で、40フレーム分の外壁距離の差が求められる。
【0034】
(壁厚変化)
壁厚変化を求める場合について説明する。機能算出部4は、拡張末期における外壁距離と内壁距離との差を壁厚として求める。機能算出部4は、拡張末期における芯軸103から外壁122までの距離Da(外壁距離)を求める。機能算出部4は、拡張末期における芯軸103から内壁121までの距離(内壁距離)を求める。機能算出部4は、拡張末期における外壁距離から内壁距離を減算し、減算の結果得られた値を壁厚とする。例えば機能算出部4は、芯軸103を回転の中心として、5°間隔ごとに72箇所の壁厚を求める。機能算出部4は、拡張末期における各短軸断面について壁厚を求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の壁厚を求める。なお、5°間隔は一例であり、他の角度の間隔で壁厚を求めてもよい。
【0035】
また、機能算出部4は、収縮末期における外壁距離と内壁距離との差を、壁厚として求める。機能算出部4は、収縮末期における芯軸103から外壁132までの距離Db(外壁距離)を求める。機能算出部4は、収縮末期における芯軸103から内壁131までの距離(内壁距離)を求める。機能算出部4は、収縮末期における外壁距離から内壁距離を減算し、減算の結果得られた値を壁厚とする。例えば機能算出部4は、芯軸103を回転の中心として、5°間隔ごとに72箇所の壁厚を求める。機能算出部4は、収縮末期における各短軸断面について壁厚を求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の壁厚を求める。なお、5°間隔は一例であり、他の角度の間隔で壁厚を求めてもよい。
【0036】
機能算出部4は、各短軸断面の各箇所について、拡張末期における壁厚と収縮末期における壁厚との差を求める。例えば機能算出部4は、拡張末期における壁厚から収縮末期における壁厚を減算し、減算の結果得られた値を壁厚の差とする。機能算出部4は、壁厚の差を収縮末期の壁厚で除算し、除算の結果得られた値を壁厚変化とする。例えば40フレームの短軸断面111が設定されている場合、機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の壁厚変化を求める。これにより、1つの短軸断面111あたり72個で、40フレーム分の壁厚変化が求められる。
【0037】
(表示処理部5)
表示処理部5は、ブルズアイマップ生成部51と、第2画像生成部52と、表示制御部53とを備えている。
【0038】
(ブルズアイマップ生成部51)
ブルズアイマップ生成部51は、形態特定部3によって求められた形態情報と、機能算出部4によって求められた機能情報とに基づいて、ブルズアイマップを生成する。例えば、ブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さと外壁距離の差とに基づいてブルズアイマップを生成する。または、ブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さと壁厚変化とに基づいてブルズアイマップを生成してもよい。
【0039】
図5及び
図6を参照して、ブルズアイマップの生成方法について説明する。
図5は、ブルズアイマップの生成方法を説明するための図であり、同心円を示す図である。
図6は、ブルズアイマップとカラーマップとを示す図である。
【0040】
まず、ブルズアイマップ生成部51は、2つの軸を有する2次元のカラーマップを用いて、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を決定する。すなわち、ブルズアイマップ生成部51は、形態情報と機能情報との組み合わせを色に変換する。カラーマップの一例を
図6に示す。例えばブルズアイマップ生成部51は、
図6に示すカラーマップ150を使用する。カラーマップ150において、横軸が外壁距離の差(又は壁厚変化)に対応し、縦軸が石灰化部位の厚さに対応する。カラーマップ150は、例えば色相と彩度との組み合わせの分布を示している。例えば外壁距離の差(又は壁厚変化)と色相とが対応し、石灰化部位の厚さと彩度とが対応する。すなわち、カラーマップ150は、外壁距離の差(又は壁厚変化)と石灰化部位の厚さとの組み合わせに対応する、色相と彩度との組み合わせを規定している。例えば外壁距離の差が大きいほど色が赤色となり、外壁距離の差が小さいほど色が青色となるように、カラーマップ150において色付けされている。また、石灰化部位が厚いほど彩度は高くなり、石灰化部位が薄いほど彩度は低くなるように、カラーマップ150において色付けされている。カラーマップ150は予め作成されて、図示しない記憶部に予め記憶されている。
【0041】
一例として、ブルズアイマップ生成部51は、カラーマップ150を用いて、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせに対応する色を決定する。具体的には、ブルズアイマップ生成部51は、外壁距離の差に基づいて横軸の座標を決定し、石灰化部位の厚さに基づいて縦軸の座標を決定し、横軸の座標と縦軸の座標とに対応する色をカラーマップ150から特定する。ブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さとして、収縮末期における石灰化部位の厚さを用いてもよいし、拡張末期における石灰化部位の厚さを用いてもよい。
【0042】
ブルズアイマップ生成部51は、各短軸断面の各箇所の色を決定する。例えばブルズアイマップ生成部51は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の色を決定する。
【0043】
ブルズアイマップ生成部51は、各短軸断面111の各箇所の色を用いて、ブルズアイマップを生成する。ブルズアイマップは、極座標形式で表される。ブルズアイマップにおける角度方向(α方向)は、短軸断面111を極座標で表した場合の角度方向に相当し、ブルズアイマップにおける軸方向(r方向)は芯軸方向に相当する。従って、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部における短軸断面111の各箇所(例えば72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も内側の円上に割り当て、心基部における短軸断面111の各箇所(例えば72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も外側の円上に割り当てる。つまり、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部における短軸断面111の各箇所(72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も内側の円上にプロットし、心基部における短軸断面111の各箇所(72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も外側の円上にプロットする。例えば
図5に示すように、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部を円140の中心とし、心基部を円140の最も外側として、1フレームの短軸断面111あたり5°間隔の72箇所の色について、40フレーム分の色を各同心円上にプロットする。
【0044】
ブルズアイマップ生成部51は、壁厚変化を用いてブルズアイマップを生成してもよい。この場合も、ブルズアイマップ生成部51は、カラーマップ150を用いて、石灰化部位の厚さと壁厚変化との組み合わせに対応する色を決定して、ブルズアイマップを生成する。
【0045】
(第2画像生成部52)
第2画像生成部52は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、ボリュームデータにボリュームレンダリングを施すことにより、心臓を立体的に表す3次元画像データを生成する。例えば第2画像生成部52は、収縮末期におけるボリュームデータに基づいて、収縮末期における心臓の3次元画像データを生成する。第2画像生成部52は、拡張末期におけるボリュームデータに基づいて、拡張末期における心臓の3次元画像データを生成してもよい。第2画像生成部52は、心臓の領域を表すボリュームデータにMPR処理を施すことにより、任意の断面におけるMPR画像データを生成してもよい。
【0046】
(表示制御部53)
表示制御部53は、ブルズアイマップ生成部51によって生成されたブルズアイマップを表示部61に表示させる。表示制御部53は、第2画像生成部52によって生成された3次元画像データに基づく3次元画像を表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、ブルズアイマップと3次元画像とを並べて表示部61に表示させてもよい。
【0047】
画像の表示例を、
図6及び
図7に示す。
図7は、心臓の3次元画像を示す図である。
図6に示すように、表示制御部53は、ブルズアイマップ160を表示部61に表示させる。ブルズアイマップ160は、外壁距離の差(又は壁厚変化)と石灰化部位の厚さとの組み合わせに対応する色の分布を示している。また、
図7に示すように、表示制御部53は、心臓の3次元画像200を表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、ブルズアイマップ160と3次元画像200とを並べて表示部61に表示させてもよい。
【0048】
表示制御部53は、2次元のカラーマップ150を表示部61に表示させてもよい。例えば表示制御部53は、第1の閾値バー151と第2の閾値バー152とを、カラーマップ150に重ねて表示部61に表示させる。第1の閾値バー151は、形態情報(石灰化部位の厚さ)に対して第1の閾値を設定するために用いられる。第2の閾値バー152は、機能情報に対して第2の閾値を設定するために用いられる。第1の閾値及び第2の閾値は、ブルズアイマップの表示領域を制限するための値である。表示制御部53は、操作部62を用いた操作者からの指示を受けて、第1の閾値バー151を縦軸方向に移動させ、第2の閾値バー152を横軸方向に移動させる。操作者は操作部62を用いて第1の閾値バー151を操作することにより、石灰化部位の厚さに対して第1の閾値を指定する。また、操作者は操作部62を用いて第2の閾値バー152を操作することにより、外壁距離の差(又は壁厚変化)に対して第2の閾値を指定する、表示制御部53は、第1の閾値と第2の閾値とに従って、ブルズアイマップの表示領域を制限する。
【0049】
例えば、石灰化部位の厚さに対して第1の閾値が設定されている場合、表示制御部53は、ブルズアイマップにおいて、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となる領域を表示部61に表示させる。
図6に示すように、表示制御部53は、枠171で囲まれた領域を表すブルズアイマップ170を、表示部61に表示させる。枠171で囲まれた領域は、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となる領域である。換言すると、石灰化部位の厚さが第1の閾値よりも薄い領域は表示されない。また、外壁距離の差(又は壁厚変化)に対して第2の閾値が設定されている場合、表示制御部53は、ブルズアイマップ170において、外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値よりも小さい領域を囲む枠172を、表示部61に表示させてもよい。
【0050】
第1の閾値と第2の閾値とが設定されている場合、表示制御部53は、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となり、かつ、外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値よりも小さい領域を、ブルズアイマップにおいて危険領域として表示部61に表示させてもよい。例えば
図6に示すように、表示制御部53は、枠171で囲まれた領域を表すブルズアイマップ180を、表示部61に表示させる。枠171で囲まれた領域は、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となる領域である。さらに表示制御部53は、ブルズアイマップ180の枠171内において、外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値よりも小さい領域173(ハッチングで示す領域)を、危険領域として表示部61に表示させる。このように、表示制御部53は、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となり、かつ、外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値よりも小さい領域を、ブルズアイマップにおいて識別可能にして表示部61に表示させる。
【0051】
表示制御部53は、
図7に示す3次元画像200において、第1の閾値と第2の閾値とによって制限された領域を、識別可能にして表示部61に表示させてもよい。例えば、表示制御部53は、ブルズアイマップ170の枠171で囲まれた領域に対応する領域201を、3次元画像200において識別可能にして表示部61に表示させる。一例として、表示制御部53は、3次元画像200において、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となる領域201を、枠で囲んだり色を付けたりして表示部61に表示させる。また、表示制御部53は、ブルズアイマップ170の枠172で囲まれた領域に対応する領域202を、3次元画像200において識別可能にして表示部61に表示させてもよい。一例として、表示制御部53は、3次元画像200において、外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値より小さい領域202を、枠で囲んだり色を付けたりして表示部61に表示させる。また、表示制御部53は、危険領域として定義された領域173に対応する領域203を、3次元画像200において識別可能にして表示部61に表示させてもよい。一例として、表示制御部53は、3次元画像200において、領域203を枠で囲んだり色を付けたりして表示部61に表示させる。
【0052】
(ユーザインターフェース(UI)6)
ユーザインターフェース(UI)6は、表示部61と操作部62とを備えている。表示部61は、CRTや液晶ディスプレイなどのモニタで構成されている。操作部62は、キーボードやマウスなどの入力装置で構成されている。
【0053】
形態特定部3と、機能算出部4と、表示処理部5とはそれぞれ、CPU、GPU、又はASICなどの図示しない処理装置と、ROM、RAM、又はHDDなどの図示しない記憶装置とによって構成されていてもよい。記憶装置には、形態特定部3の機能を実行するための形態特定プログラムと、機能算出部4の機能を実行するための機能算出プログラムと、表示処理部5の機能を実行するための表示処理プログラムとが記憶されている。形態特定プログラムには、第1特定部31の機能を実行するための第1特定プログラムと、第2特定部32の機能を実行するための第2特定プログラムと、芯軸決定部33の機能を実行するための芯軸決定プログラムと、第1画像生成部34の機能を実行するための第1画像生成プログラムと、厚さ算出部35の機能を実行するための厚さ算出プログラムとが含まれる。表示処理プログラムには、ブルズアイマップ生成部51の機能を実行するためのブルズアイマップ生成プログラムと、第2画像生成部52の機能を実行するための第2画像生成プログラムと、表示制御部53の機能を実行するための表示制御プログラムとが含まれる。CPUなどの処理装置が、記憶装置に記憶されている各プログラムを実行することにより、各部の機能が実行される。なお、形態特定プログラムと機能算出プログラムと表示処理プログラムとによって、この発明の「医用画像処理プログラム」の一例を構成する。
【0054】
(動作)
図8に示すフローチャートを参照して、第1実施形態に係る医用画像処理装置1の動作について説明する。
【0055】
(ステップS01)
第1特定部31は、複数のボリュームデータを画像記憶部2から読み込む。
【0056】
(ステップS02)
第1特定部31は、CT値などの画素値に基づいて各ボリュームデータから心臓の領域を特定する。例えば第1特定部31は、拡張末期におけるボリュームデータから心臓の領域を特定し、収縮末期におけるボリュームデータから心臓の領域を特定する。
【0057】
(ステップS03)
芯軸決定部33は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓の芯軸を決定する。例えば操作者が操作部62を用いて、心尖部を始点として指定し、心基部を終点として指定する。例えば
図2に示すように、芯軸決定部33は、心尖部と心基部とを通り左心室101に交差する芯軸103を決定する。
【0058】
(ステップS04)
第1画像生成部34は、心臓の領域を表すボリュームデータに基づいて、芯軸に直交する短軸断面における短軸像データを生成する。例えば
図2に示すように、第1画像生成部34は、芯軸103の始点(心尖部)と終点(心基部)との間の領域110において、複数の短軸断面111を等間隔に設定する。一例として、第1画像生成部34は、領域110において40フレームの短軸断面111を設定し、40フレームの短軸像データを生成する。
【0059】
(ステップS05)
機能算出部4は、各短軸像データに基づいて、心臓の機能情報の一例である外壁距離の差を求める。具体的には、機能算出部4は、拡張末期と収縮末期とにおける外壁距離の差を求める。例えば機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり5°間隔で72箇所の外壁距離の差を求める。または、機能算出部4は、壁厚変化を求めてもよい。例えば機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり5°間隔で72箇所の壁厚変化を求める。
【0060】
(ステップS06)
第2特定部32は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受け、CT値などの画素値に基づいて、心臓の領域において石灰化した部位をボリュームデータから特定する。例えば第2特定部32は、拡張末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよいし、収縮末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよい。
【0061】
(ステップS07)
厚さ算出部35は、第2特定部32によって特定された石灰化部位と、第1画像生成部34によって生成された複数の短軸像データとに基づいて、各短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。例えば厚さ算出部35は、収縮末期の各短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。一例として、厚さ算出部35は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の厚さを求める。
【0062】
なお、ステップS03からステップS05までの処理と、ステップS06の処理とは、実行される順番が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0063】
(ステップS08)
ブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせを色に変換し、ブルズアイマップを生成する。例えばブルズアイマップ生成部51は、
図6に示すカラーマップ150を用いて、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせに対応する色を決定する。一例として、ブルズアイマップ生成部51は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面あたり5°間隔ごとに72箇所の色を決定する。そして、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部における短軸断面111の各箇所(72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も内側の円上にプロットし、心基部における短軸断面111の各箇所(72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も外側の円上にプロットする。なお、ブルズアイマップ生成部51は、壁厚変化を用いてブルズアイマップを生成してもよい。
【0064】
(ステップS09)
第2画像生成部52は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓を立体的に表す3次元画像データを生成する。
【0065】
なお、ステップS03からステップS08までの処理と、ステップS09の処理とは、実行される順番が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0066】
(ステップS10)
例えば
図6に示すように、表示制御部53はブルズアイマップ160を表示部61に表示させる。また、
図7に示すように、表示制御部53は3次元画像200を表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、ブルズアイマップ160と3次元画像200とを並べて表示部61に表示させてもよい。
【0067】
操作者によって石灰化部位の厚さに対する第1の閾値が設定された場合、
図6に示すように、表示制御部53は、ブルズアイマップ170において、枠171で囲まれた領域(石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となる領域)を表示部61に表示させる。また、操作者によって外壁距離の差(又は壁厚変化)に対する第2の閾値が設定された場合、表示制御部53は、ブルズアイマップ170において、枠172(外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値よりも小さい領域)を表示部61に表示させる。また、表示制御部53は、危険領域(領域173)が表されたブルズアイマップ180を、表示部61に表示させてもよい。
図7に示すように、表示制御部53は、3次元画像200において、石灰化部位の厚さが第1の閾値以上となる領域201を識別可能にして表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、3次元画像200において、外壁距離の差(又は壁厚変化)が第2の閾値より小さい領域202を識別可能にして表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、3次元画像200において、危険領域として定義された領域203を識別可能にして表示部61に表示させてもよい。
【0068】
以上のように、第1実施形態に係る医用画像処理装置1によると、形態情報と機能情報との組み合わせを色に変換し、その色を用いてブルズアイマップを生成することにより、形態情報と機能情報とを関連付けて表示することが可能となる。すなわち、心筋の動きに影響を与えている部位(例えば石灰化部位)の情報と、心筋の動きの情報とを、1つのブルズアイマップに表すことが可能となる。そのことにより、医師などの観察者は、ブルズアイマップを参照することにより、石灰化部位と心筋の動きとを関連付けて把握することが可能となる。その結果、治療方針の検討が容易になる。
【0069】
また、ブルズアイマップと3次元画像とを対応させることにより、医師などの観察者は、ブルズアイマップによって心筋の動きを把握しつつ、3次元画像によって石灰化部位の位置を容易に把握することが可能となる。
【0070】
また、第1の閾値によって表示領域を制限することにより、医師などの観察者は、石灰化部位が厚い領域を容易に把握することが可能となる。また、第2の閾値によって表示領域を制限することにより、観察者は、心筋の機能が低下している領域を容易に把握することが可能となる。また、第1の閾値と第2の閾値とによって表示領域を制限することにより、観察者は、石灰化部位が厚く心筋の機能が低下している領域を危険領域として把握することが可能となる。
【0071】
なお、医用画像撮影装置90が医用画像処理装置1の機能を備えていてもよい。この場合、医用画像撮影装置90は心臓を撮影することによりボリュームデータを生成し、医用画像処理装置1の機能を更に実行する。これにより、医用画像撮影装置90は、形態情報と機能情報とを組み合わせたブルズアイマップを生成する。このように医用画像撮影装置90が医用画像処理装置1の機能を実行しても、医用画像処理装置1と同じ効果を奏することが可能となる。
【0072】
[第2の実施の形態]
図9を参照して、第2実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。第2実施形態に係る医用画像処理装置1Aは、第1実施形態に係る表示処理部5の代わりに、表示処理部5Aを備えている。第2実施形態では、第1実施形態に係る構成とは異なる点について説明する。第2実施形態に係る医用画像処理装置1Aはブルズアイマップを生成せずに、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を、医用画像に付けて表示する。
【0073】
(短軸断面の指定)
一例として、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を、短軸断面における短軸画像に付けて表示する場合について説明する。この場合、操作者は操作部62を用いて、任意の短軸断面の位置を指定する。例えば
図2に示すように、操作者は操作部62を用いて、芯軸103の始点(心尖部)と終点(心基部)との間の領域110内において、任意の短軸断面111の位置を指定する。操作者は操作部62を用いて、任意の時相における短軸断面を指定してもよい。一例として、拡張末期又は収縮末期における短軸断面が指定された場合について説明する。
【0074】
(形態特定部3)
形態特定部3は、操作者によって指定された短軸断面111における石灰化部位の厚さを求める。第1画像生成部34は、操作者によって指定された短軸断面111における短軸像データを生成する。拡張末期が指定された場合には、第1画像生成部34は、拡張末期におけるボリュームデータに基づいて、拡張末期における短軸像データを生成する。厚さ算出部35は、拡張末期の短軸断面111における石灰化部位の厚さを求める。収縮末期が指定された場合には、第1画像生成部34は、収縮末期におけるボリュームデータに基づいて、収縮末期における短軸像データを生成する。厚さ算出部35は、収縮末期の短軸断面111における石灰化部位の厚さを求める。例えば第1実施形態と同様に、厚さ算出部35は、芯軸103を回転の中心として、5°間隔ごとに72箇所の石灰化部位の厚さを求める。
【0075】
(機能算出部4)
機能算出部4は、操作者によって指定された短軸断面111における外壁距離の差(又は壁厚変化)を求める。例えば第1実施形態と同様に、機能算出部4は、芯軸103を回転の中心として、5°間隔ごとに72箇所の外壁距離の差(又は壁厚変化)を求める。
【0076】
(表示処理部5A)
表示処理部5Aは、表示制御部53と変換部54とを備えている。表示処理部5Aは、ブルズアイマップ生成部51に代えて、変換部54を備えている。
【0077】
(変換部54)
変換部54は、2つの軸を有する2次元のカラーマップを用いて、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を決定する。すなわち、変換部54は、形態情報と機能情報との組み合わせを色に変換する。カラーマップの一例を
図10Aから
図10Cに示す。
図10Aは、短軸画像を示す図である。
図10Bは、長軸画像を示す図である。
図10Cは、カラーマップを示す図である。例えば変換部54は、第1実施形態と同様に、
図10Cに示すカラーマップ150を使用する。
【0078】
一例として、変換部54は、カラーマップ150を用いて、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせに対応する色を決定する。拡張末期が指定された場合には、変換部54は、石灰化部位の厚さとして、拡張末期における石灰化部位の厚さを用いる。収縮末期が指定された場合には、変換部54は、石灰化部位の厚さとして、収縮末期における石灰化部位の厚さを用いる。例えば変換部54は、指定された短軸断面111について、5°間隔ごとに72箇所に対応する色を決定する。変換部54は、壁厚変化を用いて色を決定してもよい。
【0079】
(表示制御部53)
表示制御部53は、第1画像生成部34によって生成された短軸像データに基づく短軸画像を表示部61に表示させる。表示制御部53は、変換部54によって決定された色を、短軸画像の各箇所に付けて表示部61に表示させる。拡張末期が指定された場合には、表示制御部53は、拡張末期における短軸画像を表示部61に表示させ、短軸画像の各箇所に色を付けて表示部61に表示させる。収縮末期が指定された場合には、表示制御部53は、収縮末期における短軸画像を表示部61に表示させ、短軸画像の各箇所に色を付けて表示部61に表示させる。例えば
図10Aに示すように、表示制御部53は、各箇所に色が付けられた短軸画像300を表示部61に表示させる。
【0080】
(長軸断面の指定)
また、医用画像処理装置1Aは、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を、短軸断面に直交する長軸断面における長軸画像に付けて表示してもよい。この場合も、操作者は操作部62を用いて、任意の長軸断面の位置を指定する。例えば、操作者は操作部62を用いて、
図2に示す芯軸103を含む長軸断面を指定する。操作者は操作部62を用いて、任意の時相における長軸断面を指定してもよい。一例として、拡張末期又は収縮末期における長軸断面が指定された場合について説明する。
【0081】
形態特定部3は、操作者によって指定された長軸断面における石灰化部位の厚さを求める。第1画像生成部34は、操作者によって指定された長軸断面における長軸像データを生成する。拡張末期が指定された場合には、第1画像生成部34は、拡張末期におけるボリュームデータに基づいて、拡張末期における長軸像データを生成する。厚さ算出部35は、拡張末期における長軸断面における石灰化部位の厚さを求める。収縮末期が指定された場合には、第1画像生成部34は、収縮末期におけるボリュームデータに基づいて、収縮末期における長軸像データを生成する。厚さ算出部35は、収縮末期における長軸断面における石灰化部位の厚さを求める。例えば、厚さ算出部35は、予め設定された間隔ごとに複数箇所の石灰化部位の厚さを求める。
【0082】
機能算出部4は、操作者によって指定された長軸断面における外壁距離の差(又は壁厚変化)を求める。例えば、機能算出部4は、予め設定された間隔ごとに複数箇所の外壁距離の差(又は壁厚変化)を求める。
【0083】
変換部54は、カラーマップ150を用いて、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせに対応する色を決定する。
【0084】
表示制御部53は、第1画像生成部34によって生成された長軸像データに基づく長軸画像を表示部61に表示させる。表示制御部53は、変換部54によって決定された色を、長軸画像の各箇所に付けて表示部61に表示させる。拡張末期が指定された場合には、表示制御部53は、拡張末期における長軸画像を表示部61に表示させ、長軸画像の各箇所に色を付けて表示部61に表示させる。収縮末期が指定された場合には、表示制御部53は、収縮末期における長軸画像を表示部61に表示させ、長軸画像の各箇所に色を付けて表示部61に表示させる。例えば
図10Bに示すように、表示制御部53は、各箇所に色が付けられた長軸画像301を表示部61に表示させる。
【0085】
表示制御部53は、各箇所に色が付けられた短軸画像300と、各箇所に色が付けられた長軸画像301とを並べて表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、短軸画像300又は長軸画像301のうちのいずれか一方の画像を、表示部61に表示させてもよい。
【0086】
医用画像処理装置1Aは、任意の時相における任意の断面のMPR画像を生成し、そのMPR画像に色を付けて表示してもよい。また、医用画像処理装置1Aは、3次元画像を生成し、その3次元画像に色を付けて表示してもよい。
【0087】
例えば医用画像処理装置1Aは、複数の短軸像データと複数の長軸像データとを生成して、各画像を並べて表示してもよい。複数の画像の表示例を
図11に示す。
図11は、短軸画像と長軸画像との表示例を示す図である。例えば医用画像処理装置1Aは、短軸断面の位置がそれぞれ異なる短軸画像310、短軸画像311、及び短軸画像312を生成し、各短軸画像に色を付けて表示する。また、医用画像処理装置1Aは、長軸断面の位置がそれぞれ異なる長軸画像320と長軸画像321とを生成し、各長軸画像に色を付けて表示する。このように、複数の画像を並べて表示してもよい。
【0088】
第1実施形態と同様に、表示制御部53は、2次元のカラーマップ150を表示部61に表示させてもよい。また、表示制御部53は、石灰化部位の厚さに対して第1の閾値を設定し、機能情報に対して第2の閾値を設定して、短軸画像又は長軸画像の表示領域を制限してもよい。
【0089】
なお、変換部54の機能は、プログラムによって実行されてもよい。例えば、変換部54の機能を実行するための変換プログラムを、図示しない記憶装置に記憶しておく。CPUなどの処理装置が変換プログラムを実行することにより、変換部54の機能が実行される。
【0090】
(動作)
図12に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係る医用画像処理装置1Aの動作について説明する。
【0091】
(ステップS20)
第1特定部31は、複数のボリュームデータを画像記憶部2から読み込む。
【0092】
(ステップS21)
第1特定部31は、CT値などの画素値に基づいて各ボリュームデータから心臓の領域を特定する。例えば第1特定部31は、拡張末期におけるボリュームデータから心臓の領域を特定し、収縮末期におけるボリュームデータから心臓の領域を特定する。
【0093】
(ステップS22)
芯軸決定部33は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓の芯軸を決定する。例えば
図2に示すように、芯軸決定部33は、心尖部と心基部とを通り左心室101に交差する芯軸103を決定する。
【0094】
(ステップS23)
第1画像生成部34は、心臓の領域を表すボリュームデータに基づいて、芯軸に直交する短軸断面における短軸像データを生成する。例えば第1画像生成部34は、操作者によって指定された短軸断面111における短軸像データを生成する。第1画像生成部34は、操作者によって指定された長軸断面における長軸像データを生成してもよい。
【0095】
(ステップS24)
機能算出部4は、操作者によって指定された短軸断面111における外壁距離の差を求める。例えば機能算出部4は、5°間隔で72箇所の外壁距離の差を求める。または、機能算出部4は、短軸断面111あたり5°間隔で72箇所の壁厚変化を求めてもよい。機能算出部4は、操作者によって指定された長軸断面における外壁距離の差(又は壁厚変化)を求めてもよい。
【0096】
(ステップS25)
第2特定部32は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受け、CT値などの画素値に基づいて、心臓の領域において石灰化した部位をボリュームデータから特定する。例えば第2特定部32は、拡張末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよいし、収縮末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよい。
【0097】
(ステップS26)
厚さ算出部35は、第2特定部32によって特定された石灰化部位と、第1画像生成部34によって生成された短軸像データとに基づいて、短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。例えば厚さ算出部35は、収縮末期の短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。一例として、厚さ算出部35は、72箇所の厚さを求める。厚さ算出部35は、第2特定部32によって特定された石灰化部位と、第1画像生成部34によって生成された長軸像データに基づいて、長軸断面における石灰化部位の厚さを求めてもよい。
【0098】
(ステップS27)
変換部54は、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせを色に変換する。例えば変換部54は、
図10Cに示すカラーマップ150を用いて、石灰化部位の厚さと外壁距離の差との組み合わせに対応する色を決定する。一例として、変換部54は、指定された短軸断面111について、5°間隔ごとに72箇所の色を決定する。なお、変換部54は、壁厚変化を用いて色を決定してもよい。
【0099】
なお、ステップS22からステップS24までの処理と、ステップS25の処理とは、実行される順番が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0100】
(ステップS28)
表示制御部53は、第1画像生成部34によって生成された短軸像データに基づく短軸画像を表示部61に表示させる。表示制御部53は、変換部54によって決定された色を、短軸画像の各箇所に付けて表示部61に表示させる。例えば
図10Aに示すように、表示制御部53は、各箇所に色が付けられた短軸画像300を表示部61に表示させる。
【0101】
表示制御部53は、第1画像生成部34によって生成された長軸像データに基づく長軸画像を表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、変換部54によって決定された色を、長軸画像の各箇所に付けて表示部61に表示させる。例えば
図10Bに示すように、表示制御部53は、各箇所に色が付けられた長軸画像301を表示部61に表示させる。
【0102】
表示制御部53は、短軸画像300と長軸画像301とを並べて表示部61に表示させてもよいし、いずれか一方の画像を表示部61に表示させてもよい。
【0103】
以上のように、第2実施形態に係る医用画像処理装置1Aによっても、第1実施形態に係る医用画像処理装置1と同じ効果を奏することが可能となる。すなわち、形態情報と機能情報との組み合わせを色に変換し、その色を短軸画像又は長軸画像に重ねて表示することにより、形態情報と機能情報とを関連付けて表示することが可能となる。つまり、石灰化部位の情報と心筋の動きの情報とを、短軸画像又は長軸画像に重ねて表示することが可能となる。そのことにより、医師などの観察者は、短軸画像又は長軸画像を参照することにより、石灰化部位と心筋の動きとを関連付けて把握することが可能となる。その結果、治療方針の検討が容易になる。
【0104】
また、短軸画像又は長軸画像と、3次元画像とを表示することにより、観察者は、石灰化部位の位置をより容易に把握することが可能となる。
【0105】
また、第1実施形態と同様に、第1の閾値と第2の閾値とを用いて表示領域を制限することにより、観察者は、石灰化部位が厚い領域、心筋の機能が低下している領域、又は危険領域を容易に把握することが可能となる。
【0106】
なお、医用画像撮影装置90が医用画像処理装置1Aの機能を備えていてもよい。この場合、医用画像撮影装置90は心臓を撮影することによりボリュームデータを生成し、医用画像処理装置1Aの機能を更に実行する。これにより、医用画像撮影装置90は、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を医用画像に付けて表示する。このように医用画像撮影装置90が医用画像処理装置1Aの機能を実行しても、医用画像処理装置1Aと同じ効果を奏することが可能となる。
【0107】
[第3の実施の形態]
図13を参照して、第3実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。第3実施形態に係る医用画像処理装置1Bは、第1実施形態に係る形態特定部3の代わりに、形態特定部3Aを備えている。第3実施形態では、第1実施形態に係る構成と異なる点について説明する。第3実施形態に係る医用画像処理装置1Bは、石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さとを、形態情報として求める。
【0108】
(形態特定部3A)
形態特定部3Aは、第1実施形態に係る形態特定部3に加えて、第3特定部36を備えている。形態特定部3Aは、第1実施形態と同様に、
図2に示す各短軸断面111について、石灰化部位の厚さTを求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、形態特定部3Aは、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり5°間隔ごとに72箇所の厚さTを求める。形態特定部3Aは、収縮末期における石灰化部位の厚さを求めてもよいし、拡張末期における石灰化部位の厚さを求めてもよい。
【0109】
(第3特定部36)
第3特定部36は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓の周囲にある脂肪領域(心筋脂肪)をボリュームデータから特定する。例えば第3特定部36は、CT値などの画素値に基づいて、心臓の周囲にある脂肪領域を特定する。一例として、第3特定部36はリージョングローイング法を用いて、3次元空間における脂肪領域を特定する。例えば第3特定部36は、拡張末期におけるボリュームデータから脂肪領域を特定してもよいし、収縮末期におけるボリュームデータから脂肪領域を特定してもよい。すなわち、第3特定部36は、拡張末期における脂肪領域を特定してもよいし、収縮末期における脂肪領域を特定してもよい。または、第3特定部36は、1心拍中の各時相に生成されたボリュームデータから脂肪領域を特定してもよい。
【0110】
厚さ算出部35は、第3特定部36によって特定された脂肪領域と、第1画像生成部34によって生成された複数の短軸像データとに基づいて、各短軸断面における脂肪領域の厚さを求める。例えば厚さ算出部35は、収縮末期の各短軸断面における脂肪領域の厚さを求める。例えば
図3Bに示すように、厚さ算出部35は、芯軸103から外壁132に向かう方向を厚さ方向とし、脂肪領域の厚さを求める。例えば、厚さ算出部35は、芯軸103を回転の中心とし、5°間隔ごとに72箇所の脂肪領域の厚さを求める。厚さ算出部35は、収縮末期における各短軸断面について、脂肪領域の厚さを求める。40フレームの短軸断面111が設定されている場合、厚さ算出部35は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の厚さを求める。
【0111】
または、厚さ算出部35は、拡張末期の各短軸断面における脂肪領域の厚さを求めてもよい。この場合も、厚さ算出部35は、拡張末期における各短軸断面について、5°間隔ごとに72箇所の脂肪領域の厚さを求める。
【0112】
(機能算出部4)
機能算出部4は、第1実施形態と同様に、各短軸断面の各箇所について、外壁距離の差(又は壁厚変化)を求める。例えば機能算出部4は、芯軸103を回転の中心として、5°間隔ごとに72箇所の外壁距離の差(又は壁厚変化)を求める。
【0113】
(ブルズアイマップ生成部51)
ブルズアイマップ生成部51は、第1実施形態と同様に、形態特定部3Aによって求められた形態情報と、機能算出部4によって求められた機能情報とに基づいて、ブルズアイマップを生成する。第3実施形態に係るブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さと、脂肪領域の厚さと、外壁距離の差(又は壁厚変化)とに基づいてブルズアイマップを生成する。
【0114】
まず、ブルズアイマップ生成部51は、3つの軸を有する3次元のカラーマップを用いて、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を決定する。カラーマップの一例を
図14に示す。
図14は、カラーマップを模式的に示す図である。例えばブルズアイマップ生成部51は、
図14に示すカラーマップ400を使用する。カラーマップ400は3つの軸(X軸、Y軸、Z軸)を有する。X軸が外壁距離の差(又は壁厚変化)に対応する。Y軸が石灰化部位の厚さに対応する。Z軸が脂肪領域の厚さに対応する。カラーマップ400は、例えば色相と彩度との組み合わせの分布を示している。すなわち、カラーマップ400は、外壁距離の差(又は壁厚変化)と石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さとの組み合わせに対応する、色相と彩度との組み合わせを規定している。例えば外壁距離の差(又は壁厚変化)が大きいほど色が赤になり、外壁距離の差(又は壁厚変化)が小さいほど色が黒になるように、カラーマップ400において色付けされている。また、石灰化部位が厚いほど色が緑になり、石灰化部位が薄いほど色が黒になるように、カラーマップ400において色付けされている。また、脂肪領域の厚さが厚いほど色が青になり、脂肪領域の厚さが薄いほど色が黒になるように、カラーマップ400において色付けされている。カラーマップ400は予め作成されて、図示しない記憶部に予め記憶されている。
【0115】
一例として、ブルズアイマップ生成部51は、カラーマップ400を用いて、外壁距離の差と石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さとの組み合わせに対応する色を決定する。具体的には、ブルズアイマップ生成部51は、外壁距離の差に基づいてX軸の座標を決定し、石灰化部位の厚さに基づいてY軸の座標を決定し、脂肪領域の厚さに基づいてZ軸の座標を決定する。ブルズアイマップ生成部51は、X軸の座標とY軸の座標とZ軸の座標とに対応する色を、カラーマップ400から特定する。ブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さ及び脂肪領域の厚さとして、収縮末期における厚さを用いてもよいし、拡張末期における厚さを用いてもよい。
【0116】
ブルズアイマップ生成部51は、各短軸断面の各箇所の色を決定する。例えばブルズアイマップ生成部51は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の色を決定する。
【0117】
ブルズアイマップ生成部51は、各短軸断面111の各箇所の色を用いて、ブルズアイマップを生成する。第1実施形態と同様に、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部における短軸断面111の各箇所(例えば72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も内側の円上に割り当て、心基部における短軸断面111の各箇所(例えば72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も外側の円上に割り当てる。例えば
図5に示すように、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部を円140の中心とし、心基部を円140の最も外側として、1フレームの短軸断面111あたり5°間隔の72箇所の色について、40フレーム分の色を各同心円上にプロットする。
【0118】
第1実施形態と同様に、ブルズアイマップ生成部51は、壁厚変化を用いてブルズアイマップを生成してもよい。この場合も、ブルズアイマップ生成部51は、カラーマップ400を用いて、壁厚変化と石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さとの組み合わせに対応する色を決定して、ブルズアイマップを生成する。
【0119】
表示制御部53は、ブルズアイマップ生成部51によって生成されたブルズアイマップを表示部61に表示させる。表示制御部53は、ブルズアイマップと心臓の3次元画像とを並べて表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、ブルズアイマップと、短軸画像又は長軸画像とを並べて表示部61に表示させてもよい。
【0120】
第1実施形態と同様に、表示制御部53は、3次元のカラーマップ400を表示部61に表示させてもよい。また、表示制御部53は、石灰化部位の厚さに対して第1の閾値を設定し、機能情報に対して第2の閾値を設定し、脂肪領域の厚さに対して第3の閾値を設定して、ブルズアイマップの表示領域を制限してもよい。
【0121】
なお、第3特定部36の機能は、プログラムによって実行されてもよい。例えば、第3特定部36の機能を実行するための第3特定プログラムを、図示しない記憶部に記憶しておく。CPUなどの処理装置が第3特定プログラムを実行することにより、第3特定部36の機能が実行される。
【0122】
(動作)
図15に示すフローチャートを参照して、第3実施形態に係る医用画像処理装置1Bの動作について説明する。
【0123】
(ステップS30)
第1特定部31は、複数のボリュームデータを画像記憶部2から読み込む。
【0124】
(ステップS31)
第1特定部31は、CT値などの画素値に基づいて各ボリュームデータから心臓の領域を特定する。例えば第1特定部31は、拡張末期におけるボリュームデータから心臓の領域を特定し、収縮末期におけるボリュームデータから心臓の領域を特定する。
【0125】
(ステップS32)
芯軸決定部33は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓の芯軸を決定する。例えば操作者が操作部62を用いて、心尖部を始点として指定し、心基部を終点として指定する。例えば
図2に示すように、芯軸決定部33は、心尖部と心基部とを通り左心室101に交差する芯軸103を決定する。
【0126】
(ステップS33)
第1画像生成部34は、心臓の領域を表すボリュームデータに基づいて、芯軸に直交する短軸断面における短軸像データを生成する。例えば
図2に示すように、第1画像生成部34は、芯軸103の始点(心尖部)と終点(心基部)との間の領域110において、40フレームの短軸断面111を設定し、40フレームの短軸像データを生成する。
【0127】
(ステップS34)
機能算出部4は、各短軸像データに基づいて、心臓の機能情報の一例である外壁距離の差を求める。例えば機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり5°間隔で72箇所の外壁距離の差を求める。または、機能算出部4は、壁厚変化を求めてもよい。例えば機能算出部4は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり5°間隔で72箇所の壁厚変化を求める。
【0128】
(ステップS35)
第2特定部32は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受け、CT値などの画素値に基づいて、心臓の領域において石灰化した部位をボリュームデータから特定する。例えば第2特定部32は、拡張末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよいし、収縮末期におけるボリュームデータから石灰化部位を特定してもよい。
【0129】
(ステップS36)
厚さ算出部35は、第2特定部32によって特定された石灰化部位と、第1画像生成部34によって生成された複数の短軸像データとに基づいて、各短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。例えば厚さ算出部35は、収縮末期の各短軸断面における石灰化部位の厚さを求める。一例として、厚さ算出部35は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の厚さを求める。
【0130】
(ステップS37)
第3特定部36は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受け、CT値などの画素値に基づいて、心臓の周囲にある脂肪領域を特定する。例えば第3特定部36は、拡張末期におけるボリュームデータから脂肪領域を特定してもよいし、収縮末期におけるボリュームデータから脂肪領域を特定してもよい。
【0131】
(ステップS38)
厚さ算出部35は、第3特定部36によって特定された脂肪領域と、第1画像生成部34によって生成された複数の短軸像データとに基づいて、各短軸断面における脂肪領域の厚さを求める。例えば厚さ算出部35は、収縮末期の各短軸断面における脂肪領域の厚さを求める。一例として、厚さ算出部35は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面111あたり72箇所の厚さを求める。
【0132】
なお、ステップS32からステップS33までの処理と、ステップS35の処理と、ステップS37の処理とは、実行される順番が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0133】
(ステップS39)
ブルズアイマップ生成部51は、石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さと外壁距離の厚さとの組み合わせを色に変換し、ブルズアイマップを生成する。例えばブルズアイマップ生成部51は、
図14に示すカラーマップ400を用いて、石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さと外壁距離の厚さとの組み合わせに対応する色を決定する。一例として、ブルズアイマップ生成部51は、40フレームの短軸断面111について、1つの短軸断面あたり5°間隔ごとに72箇所の色を決定する。そして、ブルズアイマップ生成部51は、心尖部における短軸断面111の各箇所(72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も内側の円上にプロットし、心基部における短軸断面111の各箇所(72箇所)の色を、ブルズアイマップにおいて最も外側の円上にプロットする。なお、ブルズアイマップ生成部51は、壁厚変化を用いてブルズアイマップを生成してもよい。
【0134】
(ステップS40)
第2画像生成部52は、心臓の領域を表すボリュームデータを第1特定部31から受けて、心臓を立体的に表す3次元画像データを生成する。
【0135】
なお、ステップS32からステップS39までの処理と、ステップS40の処理とは、実行される順番が逆であってもよいし、同時に実行されてもよい。
【0136】
(ステップS41)
表示制御部53は、ブルズアイマップを表示部61に表示させる。また、表示制御部53は、3次元画像を表示部61に表示させてもよい。表示制御部53は、ブルズアイマップと3次元画像とを並べて表示部61に表示させてもよい。
【0137】
以上のように、第3実施形態に係る医用画像処理装置1Bによると、第1実施形態に係る医用画像処理装置1と同じ効果を奏することが可能となる。すなわち、石灰化部位の情報と、心筋の動きの情報と、脂肪領域の情報とを、1つのブルズアイマップに表すことが可能となる。心臓の周囲にある脂肪は、石灰化を促すおそれがあると考えられている。第3実施形態に係る医用画像処理装置1Bを用いることにより、脂肪領域の情報を含むブルズアイマップを生成することが可能となる。このように、石灰化部位の情報及び心筋の動きの情報に脂肪領域の情報を加えてブルズアイマップで表すことにより、観察者は、石灰化部位と心筋の動きと脂肪領域とを関連付けて把握することが可能となる。
【0138】
また、ブルズアイマップと3次元画像とを対応させることにより、観察者は、心筋の動きと石灰化部位の位置と脂肪領域の位置とを容易に把握することが可能となる。
【0139】
また、第1実施形態と同様に、第1の閾値と第2の閾値と第3の閾値を用いて表示領域を制限することにより、観察者は、石灰化部位が厚い領域、心筋の機能が低下している領域、脂肪が厚い領域、及び危険領域を容易に把握することが可能となる。
【0140】
上述し第1実施形態から第3実施形態に係る医用画像処理装置の他に、第1実施形態に係る処理と第2実施形態に係る処理とを組み合わせてもよい。すなわち、ブルズアイマップを生成し、短軸画像又は長軸画像を更に生成してもよい。また、第3実施形態に係る処理を第2実施形態に適用してもよい。すなわち、石灰化部位の厚さと脂肪領域の厚さと外壁距離の差(又は壁厚変化)との組み合わせに対応する色を決定し、短軸画像又は長軸画像にその色を付けて表示してもよい。
【0141】
上述した第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態において、形態特定部3は、心筋梗塞の厚さを形態情報として求めてもよい。形態特定部3は、造影撮影によって得られたボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、CT値などの画素値に基づいて心筋梗塞を特定する。上述した処理と同様に、形態特定部3は、各短軸断面の各箇所における心筋梗塞の厚さを求める。例えば形態特定部3は、40フレームの短軸断面について、5°間隔ごとに72箇所の心筋梗塞の厚さを求める、表示処理部5は、心筋梗塞の厚さを形態情報としてブルズアイマップを生成し、そのブルズアイマップを表示部61に表示させる。または、表示処理部5は、心筋梗塞の厚さを形態情報として、短軸画像に色を付けて表示部61に表示させてもよい。または、形態特定部3は、長軸断面の各箇所における心筋梗塞の厚さを求めてもよい。この場合、表示処理部5は、心筋梗塞の厚さを形態情報として、長軸画像に色を付けて表示部61に表示させる。このように形態情報として心筋梗塞の厚さを用いた場合も、上述した第1実施形態から第3実施形態と同様に、観察者は、形態情報と機能情報とを関連付けて把握することが可能となる。
【0142】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態において、機能算出部4は、心筋組織の毛細血管の血流量、あるいはそれに準ずる機能血管系(例えば冠動脈)の血流量を機能情報として求めてもよい。以下、冠動脈の血流量を求める例について述べるが、他の血管であっても同様である。形態特定部3は、造影撮影によって得られた複数のボリュームデータを画像記憶部2から読み込み、CT値などの画素値に基づいて冠動脈を特定する。機能算出部4は、各短軸断面のそれぞれに表された冠動脈の各箇所において、単位時間に通過する血液の容量を求める。例えば機能算出部4は、40フレームの短軸断面について、冠動脈の血流量を求める。表示処理部5は、冠動脈の血流量を機能情報としてブルズアイマップを生成し、そのブルズアイマップを表示部61に表示させる。または、表示処理部5は、冠動脈の血流量を機能情報として、短軸画像に色を付けて表示部61に表示させてもよい。または、機能算出部4は、長軸断面の各箇所における冠動脈の血流量を求めてもよい。この場合、表示処理部5は、冠動脈の血流量を機能情報として、長軸画像に色を付けて表示部61に表示させる。このように機能情報として冠動脈の血流量を用いた場合も、上述した第1実施形態から第3実施形態と同様に、観察者は、形態情報と機能情報とを関連付けて把握することが可能となる。
【0143】
また、上述した第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態において、機能算出部4は、心室の容積比の変化を機能情報として求めてもよい。この場合、形態特定部3は、第1実施形態、第2実施形態、及び第3形態と同様に、心臓の石灰化部位の厚さ、または、心臓の周囲にある脂肪領域を特定する。機能算出部4は、第1実施形態、第2実施形態、及び第3形態と同様に、各短軸断面の各箇所について、収縮末期と拡張末期の内壁距離を求める。
【0144】
たとえば、機能算出部4は、芯軸103を回転の中心として、5°間隔ごとに72箇所の収縮末期の内壁距離αと拡張末期の内壁距離βを求め、以下の式(1)により心室の容積比を求める。
【0145】
[数1]
{(β
2−α
2)/β
2}×100
【0146】
表示処理部5は、心室の容積比の変化を機能情報としてブルズアイマップを生成し、そのブルズアイマップを表示部61に表示させる。または、表示処理部5は、心室の容積比の変化を機能情報として、短軸画像に色を付けて表示部61に表示させてもよい。このように機能情報として心室の容積比の変化を用いた場合も、上述した第1実施形態から第3実施形態と同様に、観察者は、形態情報と機能情報とを関連付けて把握することが可能となる。
【0147】
また、第1実施形態と第3実施形態とにおいて、表示処理部5は、ブルズアイマップを生成する代わりに、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を、被検体の解剖学的組織を模式化したモデル図に付けて表示してもよい。例えば、人体の解剖図(シェーマ)を表す解剖図データを、予め図示しない記憶部に記憶させておく。一例として心臓を表すシェーマの解剖図データを、図示しない記憶部に記憶させておく。表示処理部5は、上述した実施形態と同様に、形態情報と機能情報との組み合わせに対応する色を決定する。そして、表示処理部5は、心臓のシェーマの各箇所に色を付けて表示部61に表示させる。このように人体の解剖図を用いた場合も、観察者は、形態情報と機能情報とを関連付けて把握することが可能となる。なお、シェーマを表示する場合、ブルズアイマップ生成部51を表示処理部5に設けなくてもよい。
【0148】
以上に説明した第1実施形態から第3実施形態に係る医用画像処理装置によると、形態情報と機能情報とを関連付けて表示することにより、医師などの観察者は、疾患の診断を容易に行うことが可能となる。
【0149】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。