特許第6016224号(P6016224)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016224
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-72010(P2012-72010)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-202110(P2013-202110A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031783
【氏名又は名称】サミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123559
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 俊和
(72)【発明者】
【氏名】近藤 孝志
(72)【発明者】
【氏名】村田 那由太
【審査官】 大浜 康夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−295831(JP,A)
【文献】 特開2010−172374(JP,A)
【文献】 特開2006−181372(JP,A)
【文献】 特開2011−072334(JP,A)
【文献】 特開2006−218001(JP,A)
【文献】 特開2011−244840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体が流下可能な遊技領域が前面に形成された遊技盤と、
遊技者が視認可能な発光役物とを備え、
前記発光役物は、
前面に透光部分及び不透光部分を有する装飾部と、
前記装飾部の後方に配置される光拡散シートと、
前記光拡散シートの後方に配置され、側方からの入射光を前記光拡散シートの側に出射させる導光部材と、
前記装飾部の前記不透光部分の後方に配置され、側方から前記導光部材の内部に光を照射する光源とを含み、
前記導光部材は、透光性を有する板状部材であって、前後方向に貫通する孔が複数個形成されており、
前記導光部材には、側方からの入射光を前記光拡散シートの側に出射させるためのレンズが複数個形成されており、
複数個の前記レンズは、前記孔を実質的に中心として放射状に配列されており、
前記光源は、前記導光部材に形成されている複数個の前記孔のそれぞれに配置される、遊技機。
【請求項2】
遊技媒体が流下可能な遊技領域が前面に形成された遊技盤と、
遊技者が視認可能な発光役物とを備え、
前記発光役物は、
前面に透光部分及び不透光部分を有する装飾部と、
前記装飾部の後方に配置される光拡散シートと、
前記光拡散シートの後方に配置され、側方からの入射光を前記光拡散シートの側に出射させる導光部材と、
前記装飾部の前記不透光部分の後方に配置され、側方から前記導光部材の内部に光を照射する光源とを含み、
前記導光部材は、透光性を有する板状部材であって、前後方向に貫通する孔が複数個形成されており、
前記導光部材には、側方からの入射光を前記光拡散シートの側に出射させるためのレンズが複数個形成されており、
複数個の前記レンズは、前記孔に実質的に同じ向きに対向する複数個の円弧状の線分のそれぞれに沿って配列されており、
各前記レンズは、前記孔に対向する円弧に沿う形状を有しており、
前記光源は、前記導光部材に形成されている複数個の前記孔のそれぞれに配置される、遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等の遊技機においては、弾球された遊技球が遊技領域(遊技盤の表面に形成されて遊技球が流下可能な領域であって、遊技球の流下による遊技や演出を実現するための領域。)を流下して、その流下の過程で遊技球が遊技領域内の遊技釘や風車に衝突しつつ転回して流下方向が変化する。その結果、遊技領域上に配置された各種入賞口に遊技球が入賞すれば所定の賞球の払出しがされ、一方いずれの入賞口にも入賞せずアウト口に遊技球が流入すれば賞球の払出しはされない。遊技者は、弾球における自らの技量を発揮して、又は遊技球の流下における偶然性を利用しつつ遊技球の入賞及び賞球の払出しを期待し、遊技を楽しむのである。
【0003】
近年、LEDにより発光する役物を有するパチンコ機が提案されている。例えば、点光りするLEDが背面に設けられた発光役物を有するパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また近年では、可動体(役物)を用いることが一般的に行われている。可動体を用いることにより、液晶ユニット単独では表現しきれない演出を補い、加えて液晶ユニットとの連動等による新たな演出を実現することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−224252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LEDにより発光する役物を有するパチンコ機は提案されているが、近年のパチンコ機では高い演出効果を発揮させるために、役物の個数が多くなってきたり、役物が大きくなってきたり厚くなってきたりしている。液晶ユニットも、大きくなってきたり厚くなってきたりしている。そのため、発光役物を配置可能な空間が小さくなって、発光役物を配置することが困難になってきており、発光役物を薄くする必要が生じてきている。加えて、発光役物の後側にLED等の光源を離散的に配置して後方照射を行うと、発光役物の表面側では光源からの距離に応じた明暗が生じ、点光りという現象が生じる。発光役物を薄くすればするほど、表面と光源の距離が短くなり、点光りがより一層明確になってしまう。発光役物は光演出効果が高いので、配置可能な空間が限られている中でも、比較的に均一な面発光を行う発光役物が配置されたパチンコ機が提供されることが望まれている。
【0006】
本願発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、限られた空間であっても配置可能でかつ比較的に均一な面発光を行う発光役物を有する遊技機を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本願発明の例示的側面としての遊技機は、遊技媒体が流下可能な遊技領域が前面に形成された遊技盤と、遊技者が視認可能な発光役物とを有する。発光役物は、前面に透光部分及び不透光部分を有する装飾部と、装飾部の後方に配置される光拡散シートと、光拡散シートの後方に配置され、側方からの入射光を光拡散シートの側に出射させる導光部材と、装飾部の不透光部分の後方に配置され、側方から導光部材の内部に光を照射する光源とを含む。
【0008】
本願発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0009】
限られた空間であっても配置可能でかつ比較的に均一な面発光を行う発光役物を有する遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るパチンコ機の正面図である。
図2図1に示すパチンコ機の外観斜視図である。
図3図1に示すパチンコ機においてガラス枠を前方開放した状態の外観斜視図である。
図4】前枠と遊技盤ユニットとを前後に分解した分解斜視図である。
図5】遊技盤の表面(遊技盤面)に取り付けられるセンター役物の一部を構成する発光役物の分解斜視図である。
図6図5に示す導光部材の後面を示す背面図である。
図7】(a)は図6に示す導光部材における円で囲まれた部分の拡大図であり、(b)は(a)のB−B線における導光部材の断面図である。
図8図5に示す導光部材の後方に光源用基板が積層された状況を前方から見た図である。
【実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を用いて説明する。図1は、実施形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図であり、図2は、図1に示すパチンコ機2の外観斜視図である。
【0012】
パチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、ガラス枠12、発射ユニット(不図示)、球皿14を有している。遊技盤ユニット5の一部である遊技盤6の表面に形成された遊技領域16に向けて、発射ユニットによって1球ずつ遊技球(遊技媒体)23が発射可能とされている。
【0013】
パチンコ機2は、後述する発射装置ハンドル15を遊技者が操作することによって、遊技領域16に向けて遊技球23が発射され、遊技球23の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機(いわゆるパロット機)、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。また、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機を概念することができる。
【0014】
本願においては、一般的な方向の定義として、パチンコ機を正面(遊技者側)から見た場合における方向で上下左右方向を定義する。また、遊技者からパチンコ機に向かう方向を後方、パチンコ機から遊技者に向かう方向を前方と定義する。また、遊技球23が遊技領域16を流下する場合、原則として流下方向(下方)が下流側であり、逆方向(上方)が上流側となるが、下流、上流の概念は上下に限定されず、あくまで遊技球の流下する方向を下流側と定義する。
【0015】
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニット5を保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内側には、遊技盤ユニット5の他にも各種制御基板や遊技球23用の通過経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0016】
パチンコ機2の周囲を囲む外枠4、その内側にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニット5を保持する前枠9、前枠9の前方にヒンジ22によって前方開閉可能に揺動支持されガラス(ガラス板)10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持するガラス枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0017】
ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。ガラス10は、2枚の透明平板ガラスが前後に配置されてガラス枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に遊技球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者がガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないようにする不正アクセス防止機能、を発揮する。ガラス枠12には、略中央に大きく中央開口が形成されており、その中央開口の周囲を囲むように装飾部材32が配置されており、中央開口を塞ぐようにガラス10が配置されている。
【0018】
球皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施形態においては上球皿14aと下球皿14bとを有している。上球皿14aは遊技盤6の下方、すなわちガラス枠12の下方部分に配置され、下球皿14bは、その上球皿14aの更に下方に配置されている。
【0019】
発射ユニットは、球送り装置(不図示)によって球皿14の一部としての上球皿14aから発射位置に送り出された遊技球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の遊技球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、前枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射装置ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
【0020】
図3は、図1に示すパチンコ機2においてガラス枠12を前方開放した状態の外観斜視図である。ガラス枠12を前方開放すると、前枠9に保持された遊技盤ユニット5の遊技領域16が前方に露出する。このパチンコ機2においては、前枠9の後方から遊技盤ユニット5が取り付けられ、前枠9の略中央に大きく開口形成された中央開口9aに遊技領域16が臨むようになっている。なお、このパチンコ機2では、中央開口9aの内側面の一部が外レール26aとして機能しており、発射ユニットによって発射された遊技球23が外レール26aによって遊技領域16の上部に向けて案内されるようになっている。
【0021】
図4は、前枠9と遊技盤ユニット5とを前後に分解した分解斜視図である。図4においては、遊技盤ユニット5も、遊技盤6、スペーサ(基盤部材)11、後方ユニット(役物ユニット)13に分解して示している。
【0022】
前枠9は、ガラス枠12の後方に位置し、ヒンジ22を介して外枠4に軸支され、ヒンジ22を中心として前後に揺動開閉可能とされている。前枠9の後方に遊技盤ユニット5が保持されるようになっており、前枠9の中央開口9aから遊技領域16が前方に臨むようになっている。遊技盤ユニット5は、前方ユニット8、遊技盤6、スペーサ11、後方ユニット13を有して大略構成されている。前方ユニット8は、遊技盤6の表面(遊技盤面)6aに取り付けられる部品であり、例えば、遊技領域16を囲むように配置されるレール飾り26、遊技盤6に開口形成されたセンター開口6bの周囲を囲むセンター役物7、始動入賞口29等を含む。
【0023】
遊技盤6は、表面に遊技領域16を形成する盤状部材であり、その略中央位置には、後方ユニット13の一部や演出表示装置(不図示)を臨ませるためのセンター開口6bが形成されている。遊技盤面6aには、流下する遊技球23の流下経路を変更させることにより遊技を演出するための、多数の遊技釘や風車等(いずれも不図示)も配置されている。遊技盤6は、アクリル等の樹脂で形成され、かつ、透光性を有しており、特に本実施形態においては透明である。
【0024】
スペーサ11は、遊技盤6の後方に取り付けられる平板状の樹脂部材である。本実施形態においては、スペーサ11は黒色であって不透光とされており、その後方が遊技者から視認できないようになっている。スペーサ11は、図4に示すように、周囲において連続し、かつ中央が開口したいわゆるドーナツ形状を呈しており、遊技盤6の周囲における後面を支持している。またスペーサ11は、側面の少なくとも一部を覆うように位置している。
【0025】
スペーサ11は、前枠9に遊技盤6を取り付ける際の補助部材として機能する。前枠9に取付け可能な遊技盤の前後方向における厚さは、本実施形態に係る遊技盤6の厚さよりも厚い。そのため、遊技盤6にスペーサ11を取り付けて遊技盤ユニット5全体としての取付け部分における厚さを増大させて、前枠9に取付け可能な厚さと一致させている。それにより、この遊技盤6をスペーサ11と共に前枠9に適正に取り付けることができるようになっている。
【0026】
後方ユニット13は、スペーサ11の後方に取り付けられる遊技演出用の役物ユニットである。後方ユニット13は、動作演出や光演出によって遊技者に対して演出を提供するためのもので、その一部がセンター開口6bから前方に露出するように配置されて遊技者に呈示される。また、後方ユニット13の中央開口13aには、その後方に取り付けられる演出表示装置の表示面が位置するようになっている。この遊技盤6は透明であるので、センター開口6b以外の部分においても遊技盤面6aを透過してその後方にある後方ユニット13が遊技者から視認できるようになっている。
【0027】
図5は、遊技盤6の表面(遊技盤面)6aに取り付けられるセンター役物7の一部を構成する発光役物40の分解斜視図である。発光役物40は、遊技盤6の前方に位置する透明なガラス(ガラス板)10と、遊技盤6との間に配置される。そのため、遊技者は前方から発光役物40を視認することができ、遊技者に光演出を提供する。発光役物40は、図5に示す通り、装飾部41と、光拡散シート42と、導光部材43と、光源用基板44と、支持体45とを有する。図5には、発光役物40が取り付けられる摺動部材70も表示されている。
【0028】
装飾部41は、例えば透光性を有する樹脂製材料によって形成されたものであって、前面に透光部分41b及び不透光部分41cを有する板状部41aと、板状部41aの外周において後方に突出した側壁とを含む。側壁を含む装飾部41の外縁部41dの少なくとも一部は、例えば導電性材料である金属がめっきされている。外縁部41dの色は、例えば金色系の色である。図5では、不透光部分41cは斜線によって表現されている。
【0029】
後述するように、装飾部41には後方から前方の向きに光が照射され、その光は透光部分41bを透過して前方に伝達し、不透光部分41cは前方への光の伝達を遮断する。例えば、透光部分41bは不透光部分41cより前方に突出し、不透光部分41cは黒色塗料によって形成される。装飾部41が、突出した透光部分41bと、黒色の不透光部分41cと、金色系の金属めっきによって形成された外縁部41dとを有する場合、それら3つの部位の形態の相違が前方において顕著に視認されるため、装飾部41が遊技者に提供する光演出効果は高くなる。特に、光が装飾部41の後方から前方の向きに照射されたとき、透光部分41bから前方に光が伝達されるので上述の3つの部位の形態の相違が前方において更に顕著に視認され、装飾部41が遊技者に提供する光演出効果は更に高くなる。
【0030】
光拡散シート42は、透光性を有する樹脂等の絶縁体材料によって形成されている光学素子であって、装飾部41の板状部41aの後方に配置され、後方から入射してくる光を装飾部41に向けて拡散させながら出射させる。光拡散シート42は絶縁体材料によって形成されているので、装飾部41の外縁部41dに導電性材料である金属がめっきされていても、外縁部41dと光源用基板44に設けられる配線等の金属部分とが電気的に短絡することを抑制することができる。すなわち、光拡散シート42は、光を拡散させる機能とともに、光源用基板44を電気的に保護する機能を兼ね備えている。
【0031】
加えて、遊技盤6がアクリル等の樹脂によって形成されている場合、遊技盤面6aを遊技球23が流下する際に遊技盤6が遊技球23と接触して摩擦することにより帯電するという、遊技盤がベニヤ板によって形成されている場合にはほとんど生じない現象が生じる可能性が高くなる。光拡散シート42は絶縁体材料によって形成されているので、光拡散シート42は、遊技盤6の帯電した部分と、導電性材料である金属がめっきされることにより形成された装飾部41の外縁部41dとが電気的に短絡することを抑制することができる。それにより、遊技盤6が焼け付くことを抑制することができる。すなわち、光拡散シート42は、遊技盤6を電気的に保護する機能を更に有する。
【0032】
更にまた、遊技盤6がアクリル等の樹脂によって形成されている場合、上述の通り遊技盤6が帯電するという現象が生じる可能性が高くなるが、光拡散シート42が絶縁体材料によって形成されているので、装飾部41の外縁部41dに導電性材料である金属がめっきされていても、外縁部41dと光源用基板44に設けられる配線等の金属部分とが電気的に短絡することを抑制することができる。
【0033】
導光部材43は、光拡散シート42の後方に配置され、側方からの入射光を光拡散シート42の側、つまり前方に出射させる光学素子である。導光部材43の厚さは装飾部41の外縁部41dの側壁の厚さより薄い。光拡散シート42も薄く、光拡散シート42及び導光部材43が装飾部41の板状部41aの後方に積層されると、導光部材43の側面は装飾部41の外縁部41dの側壁によって覆われる。そのため、導光部材43からの光は装飾部41の側壁から外側に漏れない。
【0034】
導光部材43について、図6及び図7をも用いて更に説明する。図6は、図5に示す導光部材43の後面を示す背面図である。図7(a)は図6に示す導光部材43における円Yで囲まれた部分の拡大図であり、図7(b)は図7(a)のB−B線における導光部材43の断面図である。本実施形態における導光部材43は、樹脂等によって形成された透光性を有する板状部材であって、図5図6及び図7(a)に示す通り、前後方向に貫通する孔43aが離散的に複数個形成されている。各孔43aには、光源用基板44に設けられる光源44aが挿入されて配置される。図6及び図7に示す通り、導光部材43の後面には、側方からの入射してくる光源44aからの光を光拡散シート42の側、つまり前方に出射させるためのレンズ43bが複数個形成されている。
【0035】
図7(b)に示す通り、レンズ43bは導光部材43の後面に形成された凹部である。例えば、レンズ43bは、板状の導光部材43の後面が削られることにより、又は、凹部を形成するための凸部を有する型に液体状の樹脂を流し込んで固化させることにより形成される。図6において破線により示された直線状の線分p1〜p5のように、導光部材43の複数個のレンズ43bは孔43aを実質的に中心として放射状に配列されている。光源44aからの側方照射光は、導光部材43の外側に向かって進行する。複数個のレンズ43bが放射状に配列されているので、光源44aからの側方照射光を板状の導光部材43の全体に伝達させることができる。
【0036】
更に、図6及び図7(a)の円Y内において破線により示された円弧状の線分r1〜r11近傍のように、複数個のレンズ43bは、孔43aに対して実質的に同じ向きに対向する複数個の円弧状の線分に沿って配置されている。円弧状の線分は、孔43aから遠ざかるにつれて長くなっている。そのため、円弧状の線分に沿って配置された複数個のレンズ43bにより、光源44aからの拡散して照射される側方照射光を板状の導光部材43全体に低損失率で伝達させることができる。
【0037】
更にまた、各レンズ43bは、それらが配列されている円弧状の線分に沿う形状を有している。このように各レンズ43bが孔43aに対向する円弧に沿う形状を有しているので、光源44aから拡散して照射される光は各レンズ43bによって効率よく外側に伝達させることができ、その結果、光源44aからの光を板状の導光部材43の全体に伝達させることができる。導光部材43全体に伝達した光源44aからの側方照射光は、レンズ43bを形成する側面によって、反射、屈折、又は散乱等され、それにより側方照射光の一部の進行方向は前方に変わる。上述の通り導光部材43には孔43aが離散的に複数個形成されている。そのため、導光部材43は側方からの入射光を光拡散シート42の側、つまり前方に出射する際、光量が平面内の場所にほとんど依存することなく均一となるような面発光を出射させることができる。
【0038】
光源用基板44は、導光部材43の後方に配置され、光源44aが取り付けられた基板である。光源44aは、光源用基板44が導光部材43の後方に積層された際に導光部材43の孔43aに重なって配置されるように、光源用基板44に取り付けられる。
【0039】
加えて、光源44aは導光部材43の孔43aを形成する側面に光を照射することができるように、すなわち発光面44b(図8参照)が前方ではなく側方に向くように光源用基板44に取り付けられる。更に、光源44aは、装飾部41の板状部41a、光拡散シート42、導光部材43及び光源用基板44がその順に積層されたときに、板状部41aにおける不透光部分41cの後方となる位置に配置される。そのため、光源44aは前方から視認されない。光源44aの点消灯は、例えば副制御基板(不図示)によって制御される。光源44aは、例えばLEDである。
【0040】
光源44aと導光部材43の孔43aとの位置関係を図8を用いて説明する。図8は、図5に示す導光部材43の後方に光源用基板44が積層された状況を前方から見た図である。図8に示す通り、光源44aの発光面44bは導光部材43の各孔43aを形成している側面43cと対向しており、その側面43cは導光部材43の前面及び後面と実質的に直交している。その構成により、光源44aは側方から導光部材43の内部に、光を効率よく照射することができる。
【0041】
上述の通り、導光部材43の後面には凹状のレンズ43bが複数個設けられており、複数個のレンズ43bは、孔43aを実質的に中心として放射状に、かつ孔43aに実質的に同じ向きに対向する複数個の円弧状の線分に沿って配置されている。加えて、導光部材43に孔43aが離散的に複数個形成されている。そのため、少ない個数の光源44aを用いて、光源44aからの側方照射光を板状の導光部材43の全体に伝達させることができる。加えて、光源44aは導光部材43の後面ではなく孔43aに挿入されるので、光源44aが導光部材43の後面に配置された場合に比べて発光役物40を薄くすることができる。
【0042】
仮に、光源44aが導光部材43の後面に離散的に配置された場合を仮定する。その場合、導光部材43が後方から光源44aが照射する光を受けると、導光部材43の前面では、光源44aからの距離から遠ざかるにつれて前方へ伝達する光の量が少なくなり、いわゆる点光りという現象が生じる。しかしながら、本実施形態では、光源44aは導光部材43に離散的に形成された各孔43aに配置され、光を側方照射する。そのため、少ない個数の光源44aを用いて、前方へ伝達する光の量を場所にほぼ依存することなく均一にすることができる。すなわち、本実施形態における導光部材43及び光源44aの構成により、均一な面発光を行わせることができる。
【0043】
支持体45は、光源用基板44の後方に配置され、装飾部41と、光拡散シート42と、導光部材43と、光源用基板44とを前方に支持する部材である。装飾部41、光拡散シート42、導光部材43及び光源用基板44は、ネジによって支持体45の前方に取り付けられる。支持体45の後面は、発光役物40を上下にスライド移動させるためのスライド機構に取り付けられる。
【0044】
本実施形態では、支持体45の後面は、スライド機構の一部としての摺動部材70にネジによって取り付けられる。摺動部材70は上下方向に長い板状部材であって、例えば摺動部材70の前方の下方部分に支持体45の後面が取り付けられる。摺動部材70の右側面には前後方向のガイド溝が等間隔に複数個形成されており、センター役物7にはそのガイド溝と噛み合い、スライド機構の一部としての歯車(不図示)が設けられており、歯車が回転することにより摺動部材70が上下にスライド移動する。摺動部材70が上下にスライド移動することにより、発光役物40は上下にスライド移動する。発光役物40の上下方向のスライド移動は、例えば副制御基板によって制御される。
【0045】
本実施形態では、導光部材43に離散的に設けられた各孔43aに光源44aが挿入されるので、発光役物40を薄くすることができる。その結果、パチンコ機2に限られた空間しかなくても、比較的に均一な面発光を行う発光役物40を限られた空間に配置することができる。加えて、上記のスライド機構を用いることにより、発光役物40を容易に上下にスライド移動させることが可能となる。更に、発光役物40は、パチンコ機2の上方に位置する球タンクを隠すカバーとして使用することもできる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、レンズ43bは導光部材43の後面に設けられた凹部である。しかしながら、レンズ43bは導光部材43の後面に設けられた凹部に限定されない。例えば、導光部材43の後面に薄膜の反射部が設けられている場合であれば、光は反射部により前方側に反射されるので、レンズ43bは導光部材43の前面に設けられた透明な凸状部であってもよい。
【0047】
上述した実施形態では、発光役物40は上下にスライド移動する。しかしながら、上記のスライド機構と同様のスライド機構により、発光役物40は、左右又は前後にスライド移動可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0048】
2:パチンコ機(遊技機)
3:遊技機枠
4:外枠
5:遊技盤ユニット
6:遊技盤
6a:表面(遊技盤面)
6b:センター開口
7:センター役物(前方ユニットの一部)
8:前方ユニット
9:前枠
9a:中央開口
10:ガラス(ガラス板)
11:スペーサ(基盤部材)
12:ガラス枠
13:後方ユニット(役物ユニット)
13a:中央開口
14:球皿
14a:上球皿
14b:下球皿
15:発射装置ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ
23:遊技球(遊技媒体)
26:レール飾り(前方ユニットの一部)
26a:外レール
29:始動入賞口(前方ユニットの一部)
32:装飾部材
40:発光役物
41:装飾部
41a:板状部
41b:透光部分
41c:不透光部分
41d:外縁部
42:光拡散シート
43:導光部材
43a:孔
43b:レンズ
43c:(導光部材の孔を形成している)側面
44:光源用基板
44a:光源
44b:発光面
45:支持体
70:摺動部材
Y:円
p1〜p5:線分
r1〜r11:線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8