(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
<第1の実施形態>
図1は、本技術の一実施形態に係るセンサデバイスを示す概略断面図である。本実施形態のセンサデバイス1は、センサ素子100と、配線基板200と、シールド部400を有する。センサ素子100は、本実施形態においてジャイロセンサ素子として構成される。
図2は、シールド部400を取り外して見たときのセンサデバイス1の概略平面図である。なお、図中のX軸方向はセンサデバイス1の縦方向、Y軸方向は横方向、Z軸方向は厚み方向を示し、それぞれ直交する方向を示す。
【0030】
図1に示すセンサデバイス1は、全体的に略直方体形状に形成された単一のパッケージ部品として構成される。すなわち、センサ素子100は、配線基板200上の第1の接合面201に例えばフリップチップ方式により表面実装され、同じく第1の接合面201上に接合された蓋状のシールド部400によって被覆されている。センサデバイス1は、本実施形態において縦横それぞれ約3mm、厚みが約1mmの寸法で構成される。
【0031】
また、配線基板200は部品内蔵基板として構成され、内部に電子部品300が配置される。本実施形態において、電子部品300は、センサ素子100を制御するコントローラ300であり、例えば集積回路(IC:Integrated Circuit)で構成される。センサ素子100は、第1の接合面201を挟んでコントローラ300と対向するように配置される。
【0032】
[センサ素子の概要]
センサ素子100は、後述するように、複数の振動部を有する振動子部101と、振動子部101を支持する枠体102とを有する。センサ素子100は、XY平面内における所定の2方向に沿った各軸回りの角速度と、XY平面に垂直な方向に沿ったZ軸回りの角速度とに応じた信号を生成するためのジャイロセンサ素子として構成される。
【0033】
センサ素子100は、本実施形態において、シリコン(Si)を含む材料で構成される。例えば、センサ素子100は、2枚のシリコン(Si)基板を貼り合わせたSOI(Silicon On Insulator)基板に微細加工を施すことで形成され、第1の層111と、第2の層112と、第1及び第2の層111,112を接合する接合層113とを有する。
【0034】
第1及び第2の層111,112はそれぞれシリコン基板で形成され、接合層113はシリコン酸化膜で形成される。第1の層111は、振動子部101及び枠体102をそれぞれ構成し、第2の層112は、第1の層111の周縁に沿って枠状に形成される。第1及び第2の層111,112は、平面形状が正方形、長方形の略矩形状に形成され、それぞれ同一又はほぼ同一の大きさで形成されている。なお本実施形態において、第1及び第2の層111,112は、一辺が約1.7mmの正方形状に形成される。
【0035】
第1の層111は、第2の層112が接合される表面と、配線基板200と対向する裏面とを有する。第1の層111の裏面には、配線基板200と電気的に接合される複数の端子部114が形成されている。
【0036】
端子部114は、本実施形態において、電極パッドとその上に形成された半田バンプとで構成され、第1の層111の周縁に沿って、例えば各辺に6個ずつ配列されている。また、端子部114は半田バンプを含む構成に限られず、半田バンプに代えてめっきバンプ等を含んでいてもよい。
【0037】
各端子部114は、例えば、第1の層111の裏面を被覆する図示しない絶縁膜の上に形成される。これにより単結晶シリコンで形成される第1の層111を介して各端子部114が短絡することが防止される。絶縁膜は、典型的には、シリコン酸化膜で形成されるが、勿論これに限られない。
【0038】
なお、第1及び第2の層111,112の対角線の長さを10mm以下、更には5mm以下(本実施形態においては例えば約2.4mm)に形成することで、複数の端子部114間の最大寸法も10mm以下とすることができる。これにより、端子部114を含む接合部位に歪応力又は熱歪み応力等のストレスが負荷された際にも、センサ素子100に対する基板本体210の歪み量が比較的軽微になるように抑制することができる。
【0039】
枠体102は、ベース部81と、連結部82とを有する。ベース部81は、端子部114を有し、振動子部101の外側を囲む略矩形の枠状に形成される。連結部82は、ベース部81と振動子部101との間を連結し、XY平面内において変形可能な形状を有する。これにより、後述する振動子部101の振動を阻害することなく振動子部101を支持することができる。
【0040】
センサ素子100のベース部81は、配線基板200の基板本体210に対してフリップチップ方式で表面実装される。本実施形態では端子部114の形成領域に対応して枠状の第2の層112が形成されているため、第2の層112は実装時の補強層として機能する。これにより実装時におけるセンサ素子100の破損を防止することができる。またセンサ素子100を製造する際のハンドリングも容易になる。
【0041】
[配線基板]
配線基板200は、第1の接合面201と、基板本体210と、規制部220と、を有する。基板本体210は、全体として、平面形状が矩形状の多層配線基板で構成され、基板本体210の表面、裏面及び内部には、所定パターンの配線層230が形成されている。
【0042】
(第1の接合面)
第1の接合面201は、基板本体210の上面を構成するように配置され、センサ素子100の端子部114と電気的に接合されるための複数のランド部を含む。このようなランド部は、配線層230の一部を構成する。センサ素子100と第1の接合面201との電気的な接合方法については半田に限られず、導電性接着剤等の接合材が用いられてもよいし、超音波接合等の接合技術が用いられてもよい。なお、本実施形態において、第1の接合面201とセンサ素子100とは、フリップチップ方式によって電気的機械的に接合される。
【0043】
第1の接合面201は、センサ素子100の振動子部101に対向する領域に、例えば矩形の凹部が形成されていてもよい(図示せず)。当該凹部は、例えば一辺が約0.9mmの正方形状の平面形状を有し、約50μm程度の深さで構成される。さらに、センサ素子100と配線基板200との接合後の端子部114の高さは20〜30μm程度であることから、全体として、センサ素子100の振動子部101と第1の接合面201との間には約80μm程度の間隙が形成されることとなる。これにより、後述するセンサ素子100の共振振動やコリオリ力による歪み変形を妨げることなく、安定してセンサ素子100を支持することが可能となる。なお、当該凹部の深さは上記に限られず、10μm〜100μm程度で構成することができる。
【0044】
(基板本体)
基板本体210は、第1の接合面201と厚み方向に対向する第2の接合面202を有する。第2の接合面202は、制御基板等と接合される基板本体210の下面を構成し、外部接続端子232aが形成される。当該制御基板との接合方法は特に限られないが、例えば半田バンプを介したフリップチップ方式によりフェイスダウンボンディングされることで、省スペースに実装することができる。当該制御基板は、センサデバイス1が搭載される電子機器(例えば、ビデオカメラ、カーナビゲーションシステム等)の配線基板(マザーボード)であり、センサデバイス1以外にも、他の電子部品が搭載されるものを含む。
【0045】
外部接続端子232aは、配線層230の一部を構成し、例えば25個のバンプ接合用のパッド部で構成される。本実施形態においては、基板本体210が部品内蔵基板で構成され、第2の接合面202には、全面にパッド部を形成することが可能である。これにより、第2の接合面202上における外部接続端子232aの配置の自由度が高まり、センサデバイス1が搭載される制御基板等の構成に応じて外部接続端子232aの配置を設定することが可能となる。
【0046】
基板本体210は、絶縁層として有機絶縁体を含む。本実施形態においては、有機絶縁体としてガラス繊維等のフィラーの添加物を含むエポキシ樹脂が採用される。なお、以下の説明において、ガラス繊維等の添加物が添加されている場合であっても、単に「エポキシ樹脂」として説明することがあるものとする。
【0047】
また、基板本体210の有機絶縁層間には、配線層230が適宜配置される。配線層230は、上部配線層(第1の配線層)231と、下部配線層(第2の配線層)232と、を含む。これらの配線層230は、典型的には銅箔で構成され、各配線層はそれぞれビアを介して相互に電気的に接続される。上部配線層231及び下部配線層232の層数は、図示の例に限られず、適宜設定可能である。
【0048】
基板本体210は、内部構成が異なる3つの領域を有する。すなわち、基板本体210は、第1の接合面201を含む第1の領域211と、第2の接合面202を含む第2の領域212と、第1及び第2の領域211,212間に配置されコントローラ300が埋設される第3の領域213と、を含む。
【0049】
第1及び第2の領域211,212は、配線層230と有機絶縁層とが交互に多数積層された構成を有する。第1の領域211には、上部配線層231が形成される。上部配線層231は、第1の接合面201上に形成されるランド部を含む。第2の領域212には、下部配線層232が形成される。下部配線層232は、コントローラ300及びコア部221を挟んで上部配線層231と対向するように配置され、第2の接合面202上のパッド部を含む。
【0050】
なお図示は省略するが、配線層230は接地回路を含み、上部配線層231は、当該接地回路に接続される接地用端子を含んでいてもよい。これにより、センサ素子100側の端子部114のうちの一部が、当該接地用端子と接合することが可能となる。なお、当該接地用端子はグラウンド電位に接続される場合に限られず、所定の直流電位に接続されてもよい。
【0051】
一方、第3の領域213は、例えば配線層を有さず、有機絶縁層のみで構成される。第3の領域213には、コントローラ300と、それを取り囲むように配置されたコア部221と、が埋設される。なお必要に応じて、第3の領域213は配線層を有してもよい。
【0052】
コントローラ300は、後述するように、振動子部101を励振する駆動信号を出力する自励発振回路と、各軸回りの角速度各々に応じた信号に基づいてX,Y及びZ軸回りの角速度を出力する演算回路、検波回路及び平滑回路とを有する。
【0053】
コントローラ300は、単一のIC部品で構成され、半導体ベアチップで構成されてもよいし、CSP(Chip Size Package)等の半導体パッケージ部品で構成されてもよい。コントローラ300は、例えば一辺が約1.9mmの略正方形状を有する略直方体で構成されている。
【0054】
また、コントローラ300の裏面(下部配線層232と接合される面)には、例えば複数の端子部310が形成されていてもよい。端子部310は、本実施形態において、電極パッドとその上に形成される半田バンプとを含み、下部配線層232に形成されたランド部とフリップチップ方式で接合される。端子部310の配置は特に限られないが、例えばコントローラ300の裏面の周縁に沿って、例えば各辺に5〜10個ずつ配列されている。
【0055】
(基板本体の製造方法)
ここで、上記構成の基板本体210に係る製造方法の一例について、概略を説明する。基板本体10の製造方法は、第2の領域212の形成工程と、第3の領域213の形成工程と、第1の領域211の形成工程と、を有する。
【0056】
まず、第2の領域212を形成する。本工程では、有機絶縁層と配線層とを交互に積層するビルドアップ工法が採用されてもよいし、接着層を介して両面基板を積層する方法を採用してもよい。有機絶縁層としては、ガラスエポキシ基板、あるいは銅箔付樹脂シート等を用いることができる。また配線層の形成方法は特に限られず、例えばアディティブ法またはサブストラクティブ法によりパターン形成する方法、あるいは離型フィルムを用いた銅箔の転写や、スクリーン印刷等を採用することができる。また本工程において、レーザ加工等によって層間ビアを形成してもよい。
【0057】
次に、第2の領域212上に第3の領域213を形成する。まず、下部配線層232の最上層に、コントローラ300及びコア部221を実装する。コントローラ300は、上述のようにフリップチップ方式で実装される。コア部221の実装方法は特に限られないが、半田を用いたリフロー方式、超音波溶着法等が採用されてもよい。続いて、コントローラ300及びコア部221を被覆するように、プリプレグ等の半硬化状態のエポキシ樹脂層が形成される。当該樹脂層は、第2の領域212上にエポキシ樹脂を直接塗布することにより形成されてもよいし、所定厚みの接着性樹脂シート等によりコントローラ300及びコア部221をモールドし、形成されてもよい。これらの樹脂層は、成形後、加熱等により硬化される。これにより、有機絶縁層を含む第3の領域213が形成される。
【0058】
そして、第2及び第3の領域212,213まで積層された基板上に、第2の領域212と同様の方法で第1の領域211を形成する。最後に、レーザ加工、めっき処理等の手法を用いて配線層230を貫通する貫通ビア等を所定位置に形成し、上記構成の基板本体210が作製される。
【0059】
上記各工程により作製される基板本体210は、絶縁体としてエポキシ樹脂等の有機樹脂材料を採用することにより、コントローラ300を容易に埋設することができる。
【0060】
例えば、絶縁体としてセラミックス等が用いられる場合、コントローラ300を基板に内蔵するためには、コントローラ300を収容する凹部を金型等により形成する必要があり、焼成成型後に撓みの原因になりやすい。また、コントローラ300を埋設するためには、当該凹部を覆うための上層を別途作製する必要があり、コスト的に不利となる。
【0061】
本実施形態においては、絶縁体としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂材料が用いられるため、半硬化状態でコントローラ300等を埋め込むことができる。これにより、絶縁層内にコントローラ300を収容する凹部等を作製する工程が不要となり、工程数を大幅に削減することができる。さらに、セラミックス等の材料と比較して低コストに作製することができる。なお絶縁体として、PET(ポリエチレンテレフタレート)やホットメルト等の熱可塑性樹脂材料が用いられてもよい。
【0062】
なお、上記の製造工程例以外にも、例えば第3の領域213から形成する方法を採用してもよい。この場合には、第3の領域213を形成した後、第3の領域213の上部及び下部にそれぞれ樹脂層を形成する。この上下樹脂層は、それぞれ第1の領域211及び第2の領域212の一部を構成する。そして、上下方向(Z軸方向)から圧縮プレスして厚みを調整した後、当該上下樹脂層の表面にそれぞれ配線層をパターン形成する。この配線層の形成は、例えばめっき処理した後、エッチング等により行うことができる。さらに、当該配線層上にそれぞれ樹脂層を形成する。以上の積層工程を繰り返すことで、第3の領域213からZ軸方向に沿って離れる方向にそれぞれ第1及び第2の領域211,212を形成することができ、上記構成の基板本体210を作製することができる。
【0063】
(規制部)
規制部220は、コア部221を有する。規制部220は、基板本体210の第1の接合面201の変形を規制するために設けられる。なお本実施形態において「規制」とは、線膨張率及び縦弾性係数をセンサ素子100の値に近い値とすることで、第1の接合面201の熱膨張及び弾性変形を抑制することを示すものとする。
【0064】
コア部221は、本実施形態において、基板本体210の第3の領域213に埋設され、コントローラ300を取り囲んで矩形環状に配置される。コア部221の構成はこれに限られず、例えばコントローラ300を挟んで対向する2個の棒状体等で構成されてもよい。またコア部221は、下部配線層232との間で半田等により導通が確保されていてもよい。
【0065】
ここで、コア部221を構成する材料について具体的に説明する。基板本体210は、本実施形態においてエポキシ樹脂を主原料として少量のガラス繊維が添加された有機絶縁体を含む。これによりコントローラ300の内蔵及び基板本体210の多層化を容易とするが、一方で、センサ素子100の材料であるSiと比較して線膨張率が高く、縦弾性係数が低いという特徴を有する。表1は、Si、エポキシ樹脂を含むいくつかの材料に関する線膨張率と縦弾性係数との値の代表例を示す表である。
【0067】
表1を参照すると、エポキシ樹脂の線膨張率の値には幅があるが、これは、エポキシ樹脂の添加物等により値が変動するためである。例えば、本実施形態で用いられるエポキシ樹脂は、ガラス繊維が少量添加されており、約40×10
−6/℃である。この場合、Siと上記エポキシ樹脂との線膨張率は、約17倍の差を有することとなる。基板本体210には配線層230等も形成されているが、有機絶縁体が体積的にも多くを占めるため、有機絶縁体の線膨張率及び縦弾性係数により、基板本体210及び第1の接合面201の特性が影響を受ける。
【0068】
例えば、センサ素子100と基板本体210の第1の接合面201との線膨張率が大きく異なる場合に、製造時(接合時)とは異なる温度下でセンサデバイス1が用いられると、第1の接合面201上に接合されるセンサ素子100に平面方向の歪応力が発生する。これにより、センサ素子100の共振周波数の変化に伴う感度変化や、出力値の変動等が生じ、所期のセンサ特性を得られないこととなる。さらに大きな歪応力が発生した場合には、センサ素子100の端子部114を含む接合部位で破断が生じ、電気的な導通が断たれ、不良品となるおそれもある。
【0069】
そこで、本実施形態に係るセンサデバイス1は、コア部221の材料としてセンサ素子100の線膨張率の値と近い値のものを採用する。すなわち、コア部221は、いずれも、Siを含むセンサ素子100との線膨張率の差の絶対値が、有機絶縁体(エポキシ樹脂)とセンサ素子100との線膨張率の差の絶対値よりも小さい材料で形成される。
【0070】
ここで、「センサ素子100の線膨張率の値に近い」材料とは、具体的に以下のように定義する。すなわち、センサ素子100の線膨張係数(Siで形成される場合には、約2.4×10
−6/℃)との差の絶対値が20×10
−6/℃以下となる材料とする。このような材料として、表1を参照し、例えば鉄(Fe)、タングステン(W)、42アロイ(ニッケル(Ni)42%、Fe57%、銅等の微量の添加物等からなる合金)、セラミックス等が挙げられる。本実施形態においては、コア部221の材料として、例えば42アロイが採用される。
【0071】
上記材料のコア部221が環状に形成され、基板本体210内に埋設されることにより、配線基板200全体についても、センサ素子100との線膨張率の差の絶対値が有機絶縁体とセンサ素子100との線膨張率の差の絶対値よりも小さくなるように形成され、センサ素子100の線膨張係数の値に近い値で構成することが可能となる。これにより、基板本体210を含む配線基板200全体の平面(XY平面)方向の熱膨張が規制され、センサ素子100の歪応力の発生を抑制することが可能となる。したがって、センサ素子100の共振周波数の変化に伴う感度変化や、第1の接合面201における電気的接合の破断等の不具合を抑制することが可能となる。
【0072】
ここで、サイズの異なるセンサ素子100におけるセンサ素子100とコア部221との線膨張率の関係に関して、以下のような実験を行った。すなわち、一辺が10mmと5mmの2種類のSiからなる正方形のダミーセンサ素子を、各種材料からなるコア部を埋設した有機絶縁基板に実装して、−65℃〜+115℃のヒートサイクル試験で半田付け部分の信頼性を確認した。
【0073】
結果の一例として、一辺が10mmの場合、コア部の材料がCu(線膨張係数17×10
−6/℃)の場合には100サイクル未満で導通不良が発生したのに対し、コア部の材料が42アロイ(線膨張係数5×10
−6/℃)の場合は1000サイクルでも全く問題なかった。Siの線膨張係数は2.4×10
−6/℃であり、これらの結果からセンサ素子の材料Siとコア部のCuの線膨張係数の差α
dif=約15×10
−6/℃にセンサ素子の対角線の長さL
max(=14mm)を掛けたα
difL
maxが210×10
−6mm/℃では問題が発生するが、Siと42アロイの線膨張係数の差α
dif=約3×10
−6/℃にセンサ素子の対角線の長さL
max(=14mm)を掛けたα
difL
maxが42×10
−6mm/℃以下であれば全く問題ないことが分かる。またセンサ素子の一辺が5mmの場合には、10mmの場合に比べて線膨張係数の差が約2倍の場合に同様の結果が得られたことから、センサ素子の大きさが変わってもα
difL
maxで評価できることも確認した。
【0074】
全ての実験結果を整理した結論として、α
difL
max≦105が上記サイクル試験で200回を満足する実用的に許容できる範囲、α
difL
max≦84が上記サイクル試験で1000回を満足し、高い信頼性を確保できる範囲であることが分かった。これにより、本実施形態のようにセンサ素子100の一辺の長さが約3mm、あるいはそれ以下の略正方形状で構成される場合、対角線の長さL
maxは約4.2mm以下となる。したがって、コア部221とセンサ素子100の線膨張係数との差がα
dif=20×10
−6/℃以下であれば、α
difL
max≦84を満たし、高い信頼性を確保できることが確認された。
【0075】
一方、表1より、縦弾性係数についても、各材料について大きく値が異なっている。例えば、縦弾性係数が小さい、すなわち剛性が低い場合には、センサ素子100の共振周波数による振動が第1の接合面201に伝播し、基板本体210がセンサ素子100とは異なる位相で振動する可能性がある。さらに基板本体210の振動がセンサ素子100に伝播すると、センサ素子100が本来の特性とは異なる振動を行うこととなる。したがって、センサ素子100の感度等に影響が生じる。
【0076】
そこで、コア部221の材料として、縦弾性係数が例えば100GPa以上の金属材料等を採用することができる。これにより、コア部221の高い剛性が確保され、基板本体210を含む配線基板200全体の弾性変形も抑制される。したがって、センサ素子100の共振振動に伴う基板本体210の振動を抑制し、センサ素子100の感度特性の変化を抑制することができる。このような材料として、上述の42アロイであれば、195GPaであり、コア部221としての機能を十分に発揮することができる。
【0077】
さらに、コア部221の材料が42アロイ等の金属材料であれば、コントローラ300の放熱性も確保することができる。
【0078】
なお、センサ素子100及び配線基板200における線膨張率の値は、以下のように算出される。まず、固体の線膨張率αは、以下のような式で表すことができる。
ΔL=α・L・Δt・・・(2)
ここで、Lは材料の長さであり、ΔLは、温度をt
1(K)からt
2(K)までΔt(K)変化させた際の材料の長さの変化量である。これにより、センサ素子100及び配線基板200のt
1(K)における所定方向の長さと、任意のt
2(K)における同方向の長さとを測定し、(2)式を用いてそれぞれのαを算出することで、これらの線膨張率の値を比較することができる。なお、配線基板200の線膨張係数(線膨張率)はコア部221の内側、好ましくはセンサ素子100が実装される複数のランド部間の長さの変化量を測定して算出するとよい。
【0079】
また、センサ素子100及び配線基板200における縦弾性係数の値は、以下のように算出される。まず、縦弾性係数Eは、以下のような式で表すことができる。
ΔL=(σ/E)×L・・・(1)
ここで、Lは材料の長さ、σは応力、ΔLは材料に応力を与えた際の歪み量、である。(1)式より、センサ素子100及び配線基板200の縦弾性係数Eの値を算出するためには、例えば以下のように行う。すなわち、例えばこれらのX軸方向に沿って延在する一端を固定し、これとY軸方向に対向する他端に対し、Y軸方向へ所定の引っ張り応力を与え、その前後におけるY軸方向に沿った長さを測定する。応力を与える前後の長さの差がΔLに相当するため、(1)式を用いてセンサ素子100または配線基板200それぞれのEが算出でき、これらの値を比較できる。なお、配線基板200の縦弾性係数はコア部221の内側、好ましくはセンサ素子100が実装される複数のランド部間のY軸方向に沿った長さの、応力を与える前後の差を測定して算出するとよい。
【0080】
[シールド部]
シールド部400は、第1の接合面201上に配置されセンサ素子100を被覆するように構成される。
【0081】
シールド部400は、略直方体の蓋状に構成される。具体的には、側面と上面とを有し、金属板等を絞り出して形成される。第1の接合面201との接合箇所は特に限られないが、2箇所以上で接合されることにより、後述するシールド機能をより効果的に発揮することができる。接合方法についても特に限定されず、接着剤を用いた接着や半田接合、シーム溶接等のほか、機械的なカシメ固定であってもよい。基板本体210の第1の接合面201には、シールド部400の端部が嵌合する溝部や段部などが形成されていてもよい。
【0082】
また、シールド部400は、センサ素子100の線膨張率の値に近い導体材料により形成されてもよい。具体的には、表1を参照し、合金である42アロイ、あるいはW、Cu等を採用することができる。これにより、第1の接合面201との線膨張率と適合することで第1の接合面201との接合箇所におけるストレスを抑制することが可能となる。
【0083】
また、縦弾性係数が例えば100GPa以上の金属材料等を採用することで、第1の接合面201の剛性をより高めることが可能となる。
【0084】
ここで、センサデバイス1は、一般に、制御基板上に他の電子部品とともに実装されるため、当該他の電子部品から発生される電磁波の影響を受ける可能性がある。さらに、センサ素子100は、圧電効果によって振動される振動子の微小な変位を検出する必要があるため、外部からの電磁波の侵入によりセンサ特性が大きく乱れる可能性がある。
【0085】
したがって、導体で構成されるシールド部400がセンサ素子100を被覆するように配置することで、このような外部ノイズからセンサ素子100を遮蔽することが可能となる。さらに、シールド部400は、第1の接合面201に配置された接地用端子を介してグラウンド電位に接続されていてもよい。これにより、より安定したシールド効果を得ることができる。
【0086】
また、シールド部400は、センサ素子100に対する遮光機能を発揮する。後述するように、センサ素子100の駆動及び角速度の検出には、圧電膜の圧電特性が利用されるが、この種の圧電膜は圧電効果だけでなく焦電効果も有する。シールド部400は、外光の照射による分極特性の変化でセンサ素子100の駆動特性及び角速度の検出特性が変動することを防止する。
【0087】
さらに、シールド部400は、センサデバイス1のカバーとしての機能も発揮し、センサ素子100等を被覆することで、電子部品としての取り扱い性を高めることができる。
【0088】
[センサ素子]
以下、センサ素子100の構成及び動作について改めて説明する。
【0089】
図3は、センサ素子100の一構成例を示す全体斜視図であり、配線基板200と対向する素子の裏面側を示している。
図4は、センサ素子の要部(振動子部101)の構成を模式的に示す平面図である。上述したようにセンサ素子100は、振動子部101と、枠体102とを有する。振動子部101は、第1の梁の組、第2の梁の組と接続部からなり四辺を有する環状のフレーム10と、振り子部21a,21b,22a,22bとを有し、枠体102は、ベース部81と連結部82とを有する。
【0090】
フレーム10は、a軸方向に横方向、b軸方向に縦方向、c軸方向に厚み方向を有する。一方、
図4において、a軸に平行な軸方向にY軸が設定され、b軸に平行な方向にX軸が設定される。Z軸方向は、c軸方向と平行な軸方向である。
【0091】
フレーム10の各辺は、振動梁として機能し、a軸方向に相互に平行に延在する第1の梁の組11a、11bと、a軸方向に直交するb軸方向に、相互に平行に延在する第2の梁の組12a、12bとを含む。梁11a、11b、12a、12bは、それぞれ同一の長さ、幅及び厚みを有しており、フレーム10の外観は、中空の正方形状を有している。
【0092】
フレーム10の四隅に相当する部位には、第1の梁の組11a、11bと第2の梁の組12a、12bとの間を接続する接続部13a、13b、13c、13dがそれぞれ形成されている。第1の梁の組11a、11b及び第2の梁の組12a、12bの両端は、接続部13a〜13dによってそれぞれ支持される。
【0093】
フレーム10は、さらに、第1の振り子部21a、21bと、第2の振り子部22a、22bとを有する。第1の振り子部21a、21bは、相互に対角関係にある1組の接続部13a、13cにそれぞれ形成されており、その対角線方向に沿ってフレーム10の内側に延在している。第2の振り子部22a、22bは、相互に対角関係にある他の1組の接続部13b、13dにそれぞれ形成されており、その対角線方向に沿ってフレーム10の内側に延在している。第1及び第2の振り子部21a、21b、22a、22bのそれぞれの一端は、接続部13a〜13dに固定され、それぞれの他端は自由端とされ、フレーム10の中央付近に配置された振動錘として機能する。また、接続部13a〜13dに固定される一端と他端との間を、それぞれアーム部Lとする。
【0094】
センサ素子100は、フレーム10を振動させる駆動部として、第1の梁の組11a、11bに沿ってこれらの上面にそれぞれ配置された第1の駆動電極131と、第2の梁の組12a、12bに沿ってこれらの上面にそれぞれ配置された第2の駆動電極132とを有する。駆動電極131,132は、入力電圧に応じて機械的に変形し、その変形の駆動力で梁11a、11b、12a、12bを振動させる。変形の方向は、入力電圧の極性で制御される。
図4においては、理解を容易にするため、駆動電極131、132をそれぞれ異なる種類のハッチングで示す。
【0095】
駆動電極131、132は、それぞれ同一の構成を有しており、図示は省略するが、上部及び下部電極層と、これらの電極層の間に形成された圧電材料層との積層構造を有する。圧電材料層は、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で形成され、下部電極層と上部電極層との電位差に応じて伸縮するように分極配向されている。したがって、駆動電極131、132の各々の下部電極層を共通の基準電位に接続し、各々の上部電極層に交流電圧を印加することで、圧電材料層を伸縮させることができる。
【0096】
ここで、センサ素子100の動作原理について説明する。
【0097】
第1の駆動電極131と第2の駆動電極132とは、一方が伸びたとき他方が縮むように相互に逆位相の電圧が印加される。これにより、梁11a、11b及び梁12a、12bは、両端が接続部13a〜13dに支持された状態でb軸及びa軸方向に撓み変形を受け、XY平面内において双方が離間する方向と双方が近接する方向とに交互に振動する。
【0098】
したがって、第1の梁の組11a、11bが相互に近接する方向に振動する場合は、第2の梁の組12a、12bは相互に離間する方向に振動し、第1の梁の組11a、11bが相互に離間する方向に振動する場合は、第2の梁の組12a、12bは相互に近接する方向に振動する。このとき、各梁11a、11b、12a、12bの中央部は、振動の腹を形成し、それらの両端部(接続部13a〜13d)は、振動の節(ノード)を形成する。このような振動モードを以下、フレーム10の基本振動と称する。
【0099】
梁11a、11b、12a、12bは、それらの共振周波数で駆動される。各梁11a、11b、12a、12bの共振周波数は、それらの形状、長さ等によって定められる。例えば本実施形態では、梁11a、11b、12a、12bの共振周波数は、1〜100kHzの範囲で設定される。
【0100】
図5は、フレーム10の基本振動の時間変化を示す模式図である。
図5において「駆動信号1」は、第1の駆動電極131に印加される入力電圧の時間変化を示し、「駆動信号2」は、第2の駆動電極132に印加される入力電圧の時間変化を示す。
図5に示すように、駆動信号1と駆動信号2とは相互に逆位相に変化する交流波形を有する。これによりフレーム10は、(a)、(b)、(c)、(d)、(a)、・・・の順に変化し、第1の梁の組11a、11bと第2の梁の組12a、12bのうち、一方の組が近接したときは他方の組が離間し、上記一方の組が離間したときは上記他方の組が近接する振動モードで、フレーム10は振動する。
【0101】
なお、実際には入力信号が印加されてからフレームが変化(変位)するまでには圧電体の応答時間や入力動作周波数、フレーム共振周波数などの影響で遅延時間が存在する。本例においては、上記遅延時間は十分に小さいものとして
図5の時間変化を説明している。
【0102】
また、上述したフレーム10の基本振動に伴って、第1の振り子部21a、21b及び第2の振り子部22a、22bもまた、フレーム10の振動に同期して、接続部13a〜13dを中心としてXY平面内でそれぞれ振動する。振り子部21a、21b、22a、22bの振動は、梁11a、11b、12a、12bの振動により励起される。この場合、第1の振り子部21a、21bと第2の振り子部22a、22bとは、XY平面内における振り子部分の支点部すなわち上記接続部13a〜13dからの左右の揺動方向において、相互に逆位相で振動(揺動)する。
【0103】
図5に示すように、第1の梁の組11a、11bが相互に近接する方向へ振動するときは、第1の振り子部21aと第2の振り子部22aとは相互に離間する方向へ振動し(状態(b))、第1の梁の組11a、11bが相互に離間する方向へ振動するときは、第1の振り子部21aと第2の振り子部22aとは相互に近接する方向へ振動する(状態(d))。第1の振り子部21bと第2の振り子部22bもまた、第2の梁の組12a、12bの振動方向によって、相互に離間する方向と近接する方向とに交互に振動する。以上のように、第1の振り子部21a、21bと第2の振り子部22a、22bとは、フレーム10の基本振動に同期して相互に逆位相で振動する。
【0104】
以上のように駆動電極131、132に対して逆位相の交流電圧が印加されることで、フレーム10の各梁11a、11b、12a、12bは、
図5に示した振動モードで振動する。このような基本振動を継続するフレーム10にZ軸まわりの角速度が作用すると、フレーム10の各点に当該角速度に起因するコリオリ力が作用することで、フレーム10は
図6に示したようにXY平面内において歪むように変形する。したがって、このXY平面内におけるフレーム10の変形量を検出することで、フレーム10に作用した角速度の大きさ及び方向を検出することが可能となる。
【0105】
図6は、Z軸まわりに角速度が作用したフレーム10のある瞬間におけるフレーム10の変形の様子を概略的に示す平面図である。なお説明を分かりやすくするため、フレーム10の形状及び変形の様子はやや誇張して示している。基本振動をするフレーム10にZ軸を中心とする時計回り方向の角速度が作用すると、フレーム10内の各点(梁11a、11b、12a、12b、振り子部21a、21b、22a、22b)には、Z軸と直交するXY平面内において、上記各点のその瞬間における移動方向(振動方向)と時計回り方向へ90度をなす方向に当該角速度の大きさに比例したコリオリ力が発生する。すなわち、コリオリ力の向きは、
図6に示すように当該コリオリ力が作用する点の上記瞬間における振動の方向によって決まる。これにより、フレーム10は、正方形状から概略平行四辺形状となるように、XY平面内において、ひしゃげられる(歪む)。
【0106】
なお、
図6は、Z軸を中心として時計まわりに所定の角速度が作用したときの様子を示している。なお、角速度の向きが反対(反時計まわり)の場合は、各点に作用するコリオリ力の向きも反対となる。
【0107】
フレーム10に作用した角速度の検出にはどのような手段が用いられてもよい。本実施形態ではフレーム10に形成した圧電検出層によって角速度を検出する。センサ素子100は、Z軸回りの角速度を検出する圧電検出層として、
図4に示すように4個の検出電極51を有する。
【0108】
各検出電極51a,51b,51c,51dは、それぞれ接続部13a〜13d周辺にそれぞれ形成されている。各検出電極51a〜51dは、接続部13a〜13dから梁に沿って2方向に延びている。検出電極51は、駆動電極131、132と同様な構成を有しており、下部電極層と、圧電材料層と、上部電極層との積層体で構成され、各梁の機械的変形を電気信号に変換する機能を有する。
【0109】
一方、X軸回り及びY軸回りの角速度を検出する圧電検出層として、本実施形態のセンサ素子100は、振り子部21a、21b、22a及び22b上にそれぞれ形成された検出電極71a、71b、72a及び72bを有する。
【0110】
検出電極71a、71b、72a、72bは、各振り子部21a、21b、22a、22bのアーム部Lの軸心上に直線的に形成されている。検出電極71a、71b、72a、72bは、第1及び第2の駆動電極131、132と同様な構成を有しており、下部電極層と、圧電材料層と、上部電極層との積層体で構成され、アーム部Lの機械的変形を電気信号に変換する機能を有する。特に、検出電極71a、71b、72a、72bは、アーム部LのZ軸方向の変形を検出する機能を有する。
【0111】
本実施形態では、a軸に平行な軸方向に一方の角速度検出軸(Y軸)が設定され、b軸に平行な軸方向に他方の角速度検出軸(X軸)が設定される。このような構成において、振り子部21a、21b、22a、22bに形成された検出電極71a、71b、72a、72b各々は、X軸まわりの角速度及びY軸まわりの角速度をそれぞれ検出するための検出部として機能する。
【0112】
駆動電極131、132には、相互に逆位相の交流電圧がそれぞれ印加される。これにより、フレーム10の各梁11a、11b、12a、12b及び振り子部21a、21b、22a、22bは、
図5に示した振動モード(基本振動)で振動する。
図7(A)は、フレーム10にX軸回りの角速度が作用したときの振り子部21a、21b、22a、22bの振動形態を説明する概略斜視図である。一方、
図7(B)は、フレーム10にY軸回りの角速度が作用したときの振り子部21a、21b、22a、22bの振動形態を説明する概略斜視図である。
【0113】
基本振動で振動するフレーム10にX軸まわりの角速度が作用すると、
図7(A)に示すように各振り子部21a、21b、22a、22bにその瞬間での振動方向と直交する方向のコリオリ力F1がそれぞれ発生する。これにより、X軸方向に隣接する一方の振り子部21a及び振り子部22bの組は、コリオリ力F1によりZ軸の正の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極71a、72bによって各々検出される。また、X軸方向に隣接する他方の振り子部22a、21bの組は、コリオリ力F1によりZ軸の負の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極72a、71bによって各々検出される。
【0114】
一方、基本振動で振動するフレーム10にY軸まわりの角速度が作用すると、
図7(B)に示すように各振り子部21a、21b、22a、22bにその瞬間での振動方向と直交する方向のコリオリ力F2がそれぞれ発生する。これにより、Y軸方向に隣接する一方の振り子部21a及び振り子部22aの組は、コリオリ力F2によりZ軸の負の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極71a、72aによって各々検出される。また、Y軸方向に隣接する他方の振り子部21b、22bの組は、コリオリ力F2によりZ軸の正の方向へ変形し、それらの変形量が検出電極71b、72bによって各々検出される。
【0115】
X軸及びY軸に各々斜めに交差する方向の軸まわりに角速度が生じた場合にも上述と同様な原理で角速度が検出される。すなわち、各振り子部21a、21b、22a、22bは、当該角速度のX方向成分及びY方向成分に応じたコリオリ力によって変形し、それらの変形量が検出電極71a、71b、72a、72bによって各々検出される。センサ素子の駆動回路は、これら検出電極の出力に基づいて、X軸まわりの角速度及びY軸まわりの角速度をそれぞれ抽出する。これにより、XY平面に平行な任意の軸まわりの角速度を検出することができる。
【0116】
[コントローラ]
次に、コントローラ300について説明する。
【0117】
コントローラ300は、上述のようにセンサ素子100のコントローラとして用いられる。コントローラ300は、センサ素子100の各電極と電気的に接続される複数の端子部310を有する。端子部310は、上述の通り直接的には下部配線層232のランド等と接続され、基板本体210の内部に形成されたビア等を介して、センサ素子100と電気的に接続される。
【0118】
コントローラ300は、自励発振回路と、検波回路と、平滑回路と、を有する。自励発振回路は、駆動電極131、132に接続され、これらを駆動するための駆動信号(交流信号)を生成する。また、駆動電極131、132の一方に接続される端子側には、反転アンプが配置されることにより、駆動電極131、132をそれぞれ逆位相で伸縮させることができる。また、基準電位に接続される端子を有していてもよい。
【0119】
また、検出電極51a〜51d、71a、71b、72a、72bは、それぞれ演算回路に接続され、各検出電極の変形に応じた電気信号が検出される。演算回路は、X軸、Y軸及びZ軸まわりの角速度信号を生成するためにそれぞれ設けられ、検出電極51a〜51d、71a、71b、72a、72bから出力される電気信号に対し所定の演算処理(差分の演算等)を行うことで、角速度に関する信号を含む新たな演算信号を生成する。
【0120】
次にこれらの演算信号は、検波回路に出力される。検波回路では、自励発振回路からの駆動信号の出力等に同期してこれらの演算信号を全波整流し、直流化する。さらに、直流化された信号は平滑回路に出力され、平滑化される。こうして取得された直流電圧信号には、X軸、Y軸及びZ軸まわりの角速度に関する大きさ及び方向が含まれることとなる。これらの直流電圧信号は、コントローラ300の端子部310から、下部配線層232及び外部接続端子232aを介して、他の制御基板等へ出力されるように構成することが可能となる。
【0121】
以上のように構成されたセンサデバイス1は、基板本体210に埋設されたコントローラ300と、センサ素子100とがZ軸方向に対向するように配置される。これにより、センサ素子100とコントローラ300とを同一平面上に実装する必要がなく、デバイス構造をより小型化することができる。
【0122】
ここで、例えば基板本体210がセラミック基板等で構成されていた場合、部品を内蔵する構成とすることは、コスト的な面から見て現実的ではない。そこで、センサ素子100とコントローラ300との実装領域を重複させて(すなわち積層させて)実装する場合には、基板本体210に、センサ素子100及びコントローラ300のうちのいずれか一方を収容するための凹部を形成する必要がある。例えばコントローラ300を凹部に配置する場合には、当該凹部上にセンサ素子100を配置する必要があり、センサ素子100のサイズをコントローラ300及び凹部よりも大きくする必要が生じ、小型化に対応することが難しい。
【0123】
一方で、センサ素子100を当該凹部に収容する場合には、実装後のレーザトリミング等の処理が困難となる。すなわち、センサ素子100がジャイロセンサで構成される場合は、振動子の形状非対称に起因する振動特性を矯正するために、実装後に出力信号を確認しながらレーザ加工により形状の調整を行うことがある。この場合に、センサ素子100が凹部に収容されている場合は、センサ素子100の周囲が基板本体210及びコントローラ300によって覆われるため、レーザをセンサ素子100に対して照射することが難しくなる。
【0124】
本実施形態に係るセンサデバイス1は、基板本体210を構成する材料としてエポキシ樹脂等の有機樹脂材料を選択したことにより、コントローラ300を容易に埋設することができる。これにより、基板本体210上に略平坦な第1の接合面201を確保することができ、その上に実装されるセンサ素子100のサイズの自由度を高めることができる。したがって、センサ素子100の小型化が可能となり、製造時において1ウェーハからの取り数を高め、コストダウンにも寄与することができる。
【0125】
また、コントローラ300との大小関係にかかわらず、センサ素子100を常に第1の接合面201上に配置することができる。これにより、実装後におけるレーザトリミングも可能な構成とすることができる。
【0126】
また、以上のように構成されたセンサデバイス1は、42アロイ等からなるコア部221を含む規制部220を有する。これにより、エポキシ樹脂等を含む基板本体210の平面方向における線膨張率を、センサ素子100の線膨張率に近づけることができる。したがって、熱膨張に起因するセンサ素子100の特性の変化や接合部の破断等の不具合を抑制することが可能となる。
【0127】
また、エポキシ樹脂等を含む基板本体210の平面方向における縦弾性係数においても、センサ素子100の縦弾性係数により近づけることができる。これにより、基板本体210の剛性を高め、センサ素子100の振動に伴う第1の接合面201の弾性変形を抑制することが可能となる。したがって、センサ素子100の共振周波数を安定させ、センサ素子100の所期の振動特性を維持することが可能となる。
【0128】
<第2の実施形態>
図8,9は本技術の第2の実施形態に係るセンサデバイスの構成を示す図であり、
図8は概略断面図、
図9はY軸方向から見た概略側面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0129】
本実施形態に係るセンサデバイス1Aは、規制部220Aのコア部221Aとシールド部400Aとが接合部(第1の接合部)223Aにより接合されている点で第1の実施形態と異なる。その他は、第1の実施形態に係るセンサデバイス1と同様の構成を有するため、当該規制部220Aの構成を中心に説明する。
【0130】
本実施形態に係る規制部220Aは、第1の実施形態と同様の構成のコア部221Aに加えて、接合部223Aを有する。接合部223Aは、コア部221Aと、シールド部400Aとを接合し、基板本体210内に埋設される。なお、本実施形態に係る接合部223Aは、Y軸方向に対向して2箇所に配置されているが、設けられる数は特に限られない。
【0131】
接合部223Aは、基板本体210Aの内部に形成された孔に金属等が充填された柱状体で構成される。接合部223Aは、一端がコア部221Aに接合し、他端が第1の接合面201Aから突出し、シールド部400Aに当接するように構成される。接合部223Aを構成する材料は特に限られないが、例えばCu等を採用することができる。
【0132】
接合部223Aの形成方法は、例えば、以下の第1〜第3の方法が採用される。
【0133】
第1の方法としては、基板本体210Aの第1の接合面201Aに対し、レーザ照射により、接合部223Aの形成領域に孔を形成する。当該孔は、コア部221A上に形成され、底部からコア部221Aが露出するように形成される。次に、当該孔にCu等の金属ポスト(柱状体)を埋め込む。当該金属ポストの端面は第1の接合面201Aと同一面となるように構成されればよく、突出している場合は研磨等により高さを調整してもよい。
【0134】
また第2の方法としては、第1の方法と同様にコア部221A上に孔を形成し、当該孔内でめっきを成長させる方法が挙げられる。このとき、コア部221Aをシードとすることもできるし、当該孔の底部にシード層を別個形成してもよい。これによっても、上記構成の接合部223Aを形成することができる。
【0135】
また第3の方法として、第1の方法と同様に、コア部221A上に孔を形成し、当該孔に導電ペーストを充填し、接合部223Aを形成してもよい。
【0136】
さらに、第1〜3の方法のいずれにおいても、接合部223Aを構成する柱状体の端面上に導電ペースト等からなる接合材を塗布し、シールド部400Aと当接させることで、接合部223Aとシールド部400Aを電気的に接合することができる。
【0137】
一方、コア部221Aは、42アロイ等のセンサ素子100の線膨張率の値に近い材料により形成される。また、縦弾性係数が例えば100GPa以上であり剛性が高い材料を採用することができる。
【0138】
シールド部400Aも、センサ素子100の線膨張率の値に近い材料により形成される。具体的には、合金である42アロイ、W、Cu等を採用することができ、これらの材料であれば十分な剛性も確保することができる。
【0139】
接合部223Aが導体で形成され、かつコア部221Aが42アロイ、Cu等の導体で形成されることで、シールド部400Aとこれらとの導通が確保される。これにより、シールド部400A、接合部223A及びコア部221Aが一体として大きな電磁シールドを構成し、外部からの電磁波の侵入を遮蔽することが可能となる。したがって、接合部223A及びコア部221Aによって周囲を被覆される上部配線層231A及びコントローラ300に対してもシールド効果を発揮することができ、センサデバイス1A全体としての動作信頼性をより高めることが可能となる。さらに、接合部223A、コア部221A及びシールド部400Aの少なくともいずれか一つが接地回路と接続されることで、より安定してシールド効果を発揮することができる。
【0140】
また、シールド部400Aとコア部221Aとが接合部223Aによって接合されることで、基板本体230Aの第1の領域211Aにおける熱膨張をより抑制し、第1の接合面201Aと端子部114との間のストレス等を抑制する。また、第1の領域211Aの剛性が高まることにより、センサ素子100の所期のセンサ特性が安定的に維持されることが可能となる。
【0141】
<第3の実施形態>
図10は本技術の第3の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0142】
本実施形態に係るセンサデバイス1Bは、配線基板200Bにおける規制部220Bの構成が第1の実施形態と異なる。すなわち、本実施形態に係る規制部220Bは、コア部に代えて無機絶縁体製の基材224Bを含む。基材224Bは、センサ素子100と基板本体210Bとの間に配置され、基板本体210Bと積層された構成を有する。
【0143】
基材224Bは、例えばセラミックス、Si、MgO等の無機絶縁体製の多層配線基板で構成される。ここで、表1を参照すると、セラミックスの線膨張率は7.0×10
−6/℃である。すなわち基材224Bは、センサ素子100の線膨張率と近い材料で構成される。
【0144】
基材224Bの表面には、厚み方向に対向する第1の接合面201Bと第3の接合面203Bとが形成される。第1及び第3の接合面201B,203Bには、表面配線が形成される。第1の接合面201は、第1の実施形態と同様に上面を構成し、センサ素子100と電気的に接合される。第3の接合面203Bは、下面を構成し、基板本体210Bと対向する側に配置される。第1の接合面201Bと第3の接合面203Bとの間は、ビアが形成され(図示略)、各配線層との電気的な接続が確保されている。なお、基材224Bは、多層配線基板に限られず、例えば両面基板でもよい。
【0145】
第1の接合面201には、第1の実施形態と同様に、例えばセンサ素子100の端子部114と電気的に接合されるための複数のランド部を含む表面配線が形成されている。これらの表面配線は、基材224Bに配置された配線層(図示略)の一部を構成する。
【0146】
また第1の実施形態と同様に、第1の接合面201Bのセンサ素子100の振動子部101に対向する領域には、凹部が形成されていてもよい。これにより、センサ素子100の共振振動やコリオリ力による歪み変形を妨げることなく、安定してセンサ素子100を支持することが可能となる。
【0147】
一方、第3の接合面203Bには、基板本体210Bと電気的に接続するための端子部225Bが形成されていていてもよい。端子部225Bは、例えば電極パッドとその上に形成された半田バンプとで構成され、基材224Bの表面配線の一部として構成される。基材224Bは、基板本体210Bに対し端子部225Bを介してフリップチップ方式で実装される。
【0148】
シールド部400Bは、本実施形態において基材224B上に配置され、センサ素子100を被覆するように構成される。シールド部400Bの概略構成は、第1の実施形態と同様に、側面と上面とを有し、金属板等を絞り出して形成される。第1の接合面201Bとの接合方法についても第1の実施形態と同様に、接着剤を用いた接着のほか、機械的なカシメ固定、あるいは溝部や段部などと嵌合する構成としてもよい。
【0149】
また、シールド部400Bは、センサ素子100の線膨張率の値に近い材料により形成されてもよい。具体的には、合金である42アロイ、あるいはW、Cu等を採用することができる。これにより、セラミックス製の第1の接合面201との線膨張率と略適合することで第1の接合面201との接合部位におけるストレスを抑制することが可能となる。またシールド部400Bのシールド機能及び遮光機能により、センサ素子100の特性変化を抑制することが可能となる。
【0150】
基板本体210Bの概略構成は、第1の実施形態と同様である。すなわち、基板本体210Bは、内部にコントローラ300が埋設された、エポキシ樹脂からなる多層配線基板である。一方で第1の実施形態と異なる点は、コア部が埋設されない点、及び、基材224Bの第3の接合面203Bと電気的に接合する第4の接合面204Bを有する点である。
【0151】
第4の接合面204Bは、第3の接合面203Bと対向して配置され、基材224Bの端子部225Bと電気的に接続されるランド部が配置される。当該ランド部は、第1の実施形態と同様に、基板本体210Bの配線層230Bの一部を構成する。一方、第2の接合面202Bは、第1の実施形態と同様の構成を有する。すなわち、図示しない制御基板と接続される外部接続端子232Baが形成されている。
【0152】
本実施形態においては、多層配線基板である基材224B及び基板本体210Bが、フリップチップ実装で電気的に接合され、積層された構成を有する。これにより、基材224B及び基板本体210Bの各配線層が、複数の接合部225B及び適宜配置されたビアを介して電気的に接続され、一つの多層配線基板として機能することが可能となる。
【0153】
また本実施形態に係る規制部220Bは、センサ素子100の縦弾性係数及び線膨張率と近い材料で構成された基材224Bを有する。これにより、基材224B上の第1の接合面201Bは、センサ素子100に対する変形を抑制することが可能となる。したがって、センサ素子100の平面(XY平面)方向における歪応力の発生を抑制し、共振周波数の変化による特性変化を抑制することができる。また、センサ素子100の共振振動に伴う基材224Bの振動等を抑制し、センサ素子100の振動特性を維持することが可能となる。
【0154】
<第4の実施形態>
図11は本技術の第4の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0155】
本実施形態に係るセンサデバイス1Cの概略構成は、第3の実施形態に係るセンサデバイス1Bと同様である。異なる点としては、規制部220Cが、基材224Cと、さらにコア部221Cとを有する点である。
【0156】
コア部221Cは、第1の実施形態に係るコア部221Cと同様の構成を有する。すなわち、コア部221Cは、基板本体210Cの第3の領域213Cに埋設され、コントローラ300を取り囲んで環状に配置される。また、コア部221Cの材料として、例えば42アロイが採用される。これにより、コア部221Cをセンサ素子100の線膨張率と近い値で構成することができる。
【0157】
コア部221Cにより、基材224Cのみならず、基板本体210Cについてもセンサ素子100の線膨張率の値と近い値に設定することができる。これにより、基板本体210Cの平面方向の熱膨張が抑制され、第1の接合面201Cにおける破断等の不具合を抑制することが可能となる。
【0158】
また、コア部221Cの材料として42アロイを採用する場合には、縦弾性係数が100GPa以上となり、基板本体210C全体としての剛性が高められる。したがって、センサ素子100の共振周波数の変化に伴う感度変化も抑制することができる。
【0159】
また、上記基板本体210Cにより、センサデバイス1Cを制御基板等に実装した後も、基板本体210Cの当該制御基板等との接合部位における歪応力等のストレスを抑制することができ、不具合を抑制することが可能となる。
【0160】
<第5の実施形態>
図12は、本技術の第5の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0161】
本実施形態に係るセンサデバイス1Dの概略構成は、第3及び第4の実施形態に係るセンサデバイス1B,1Cと同様である。異なる点としては、規制部220Dが、基材224Dとコア部221Dとに加えて、さらに基材224Dとコア部221Dとを接続する接合部(第2の接合部)226Dを含む点である。
【0162】
接合部226Dは、基板本体210Dの内部に形成された孔に金属等が充填された柱状体で構成される。接合部226Dは、一端がコア部221Dに当接し、第4の接合面204Dから突出し、他端が基材224Dの第3の接合面203Dに当接するように構成される。接合部226Dを構成する材料は特に限られないが、例えばCu等を採用することができる。
【0163】
また、接合部226Dは、第3の接合面203Dの配線層と接続するように構成されてもよい。これにより、シールド部400D、基材224D、接合部226D及びコア部221Dの導通を確保することができ、基板本体210Dの第3の領域213Dまで被覆する大きな電磁シールドとして機能させることが可能となる。また、コア部221Dが下部配線層232Dと電気的に接続されている場合には、接合部226Dは、基材224Dの配線層と下部配線層232Dとを接続するビアとして機能することが可能となる。
【0164】
接合部226Dは、例えば、第2の実施形態における接合部223Aと同様の方法で形成することができる。したがって、第2の実施形態で説明した第1〜第3の方法と異なる部分についての説明を付け加える。
【0165】
例えば第1の方法として、金属ポストを孔に挿入する方法を挙げたが、本実施形態においては、金属ポストの高さが第4の接合面204Dから所定量突出する高さとなるように研磨等される。当該高さは、基材224Dの端子部225Dの高さを考慮して決定される。そして、基板本体210Dと基材224Dとを実装する際に、金属ポストの端面が基材224Dの表面配線と当接し、接合部226Dが形成される。
【0166】
また第2の方法として、めっきにより接合部226Dを形成する方法が挙げられるが、本実施形態においては、第4の接合面204Dから所定量めっきを突出させるため、第4の接合面204D上に所期の厚みのレジストを形成する。これによって、上記構成の接合部226Dを形成することができる。
【0167】
また第3の方法として、導電ペーストにより接合部226Dを形成する方法が挙げられるが、本実施形態においては、第4の接合面204D上に所定厚みのレジストを形成することで、第4の接合面204D上に突出した接合部226Dを形成することができる。
【0168】
さらに、第1〜第3の方法のいずれにおいても、接合部226Dを構成する柱状体の端面上に導電ペースト等からなる接合材を塗布し、基材224Dと当接させることで、接合部226Dと基材224Dとの接合部位における機械的な強度をより高めることが可能となる。
【0169】
以上のような接合部226Dは、基材224Dとコア部221Dとを固定することができるため、基材224Dの剛性を高めることができる。したがって、センサ素子100の共振周波数をより安定させ、センサ素子100の所期の振動特性を維持することが可能となる。
【0170】
また、接合部226Dは、基材224Dと基板本体210Dとの配線層を電気的に接続するビアとして用いることができ、より配線設計の自由度を高めることができる。さらに、シールド部400D、配線層及びコントローラ300を被覆する電磁シールドの一部として機能させることが可能となる。したがって、より動作信頼性の高いセンサデバイス1Dを提供することが可能となる。
【0171】
さらに、基材224Dをコア部221Dに対して固定することができるため、センサ素子100の振動に伴う第1の接合面201Dの弾性変形をより抑制して剛性を高めることが可能となる。したがって、センサ素子100の共振周波数をより安定させ、センサ素子100の所期の振動特性を維持することが可能となる。
【0172】
<第6の実施形態>
図13は、本技術の第6の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0173】
本実施形態に係るセンサデバイス1Eの概略構成は、第4の実施形態と同様である。すなわち、規制部220Cは、基材224Eと、基板本体210Eに埋設されたコア部221Eと、を含む。一方で、シールド部400Eは、基材224Eを被覆するように構成される。
【0174】
本実施形態に係る基材224Eは、第1の接合面201Eがセンサ素子100の表面面積と略同一の面積で構成される。これにより、第1の接合面201Eは、シールド部400Eの被覆する面積よりも小さく形成される。
【0175】
シールド部400Eは、本実施形態において第1の接合面201E上でなく、基板本体210Eの第4の接合面204E上に配置される。これにより、シールド部400Eが、センサ素子100だけでなく基材224Eも被覆することができる。したがって、センサ素子1Eのシールド効果をより高めることが可能となる。また、シールド部400Eにより、外気湿度及び水分の侵入、外部ストレス等からセンサ素子100と基材224Eとの接合領域を保護することが可能となり、センサデバイス1Eとしての動作信頼性をより高めることが可能となる。
【0176】
また、センサ素子100と基材224Eとがシールド部400Eの内部に配置されているため、シールド部400Eに対して外力が付加されたとしても、当該外力の影響が伝わりにくい構成とされる。したがって、センサデバイス1Eは、取り扱い性に優れ、かつ、パッケージ部品として電子機器に搭載された場合であっても、センサ特性を安定的に維持することが可能となる。
【0177】
<第7の実施形態>
図14は、本技術の第7の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0178】
本実施形態に係る規制部220Fは、第5の実施形態に係る規制部220Dと同様であり、基材224Fと、コア部221Fと、接合部226Fと、を有する。本実施形態ではさらに、配線基板200Fが、基材224Fと基板本体210Fとの間に充填される接着層250Fを有する。
【0179】
本実施形態において、基材224Fと基板本体210Fとは、上述の通り端子部225Fを介したフリップチップ実装により接合され、接着層250Fは、端子部225Fを含む接合部位を被覆するアンダーフィル材として形成される。このような接着層250Fの材料としては、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
【0180】
接着層250Fの形成方法としては、例えば、基材224Fと基板本体210Fとをフリップチップ実装した後、これらの間隙にニードル等からエポキシ樹脂等の樹脂材料を滴下する。そして、毛細管現象によって当該樹脂材料が基材224Fと基板本体210Fとの間隙に浸透され、加熱硬化されることで、接着層250Fが形成される。
【0181】
基材224Fと基板本体210Fとの間に接着層250Fを充填することで、端子部225を含めた接合部位を外気湿度や水分の侵入、あるいは外部ストレスから保護することが可能となる。このことにより、基材224Fと基板本体210Fとの接合信頼性をより高めることが可能となる。
【0182】
また、接着層250Fにより、基材224Fを基板本体210Fに対してより強固に接合させることが可能となる。これにより、基材224Fの剛性をより高め、センサ素子100の所期の振動特性を維持させることが可能となる。
【0183】
なお、本実施形態に係るセンサデバイス1Fは上記構成に限られず、第3及び第4の実施形態に係るセンサデバイス1B,1Cと同様の構成のセンサデバイスに接着層250Eを設けた構成としてもよい。これによっても、上述の作用効果を得ることができる。
【0184】
<第8の実施形態>
図15は、本技術の第8の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0185】
本実施形態に係る規制部220Gは、第7の実施形態に係る規制部220Fと同様であり、基材224Gと、コア部221Gと、接合部226Gと、を有する。また、配線基板200Gが接着層250Gを有する。さらに本実施形態に係るセンサデバイス1Gは、基板本体210Gの第3の接合面203Gが、コントローラ300と電気的に接合される。
【0186】
本実施形態に係るコントローラ300は、第7の実施形態に係るコントローラ300とは表裏が反転された状態で基板本体210Gの内部に配置されている。これにより、端子部310が配置されたコントローラ300の実装面が、下部配線層232ではなく基材224Gに対向して配置され、基材224Gの第3の接合面203Gに接合されている。接合方法は、例えばフリップチップ方式が採用される。
【0187】
基板本体210Gは、第2及び第3の領域212G,213Gを有するが、第1の領域を有しない。これに伴い、配線層230Gは、上部配線層は有さず、下部配線層232Gのみを有する。したがって、基板本体210Gの厚みをより薄く形成することが可能となる。
【0188】
ここで、本実施形態に係る配線基板200Gの製造方法の一例について説明する。配線基板200Gの製造方法は、第2の領域212Gの形成工程と、第3の領域213Gの形成工程と、基材224Gとコントローラ300及び接合部226Gとの接合工程と、を有する。
【0189】
第2の領域211Gの形成工程については、第1の実施形態に係る第2の領域212の形成工程と同様であるため、具体的な説明を省略する。すなわち、有機絶縁層上に配線層を形成することで片面あるいは両面配線基板を作製し、これらを積層する。
【0190】
第3の領域213Gの形成工程は、まず、第2の領域212G上の下部配線層232Gの一部に、コア部212Gを接合する。当該接合は、例えば半田を用いたリフロー方式により行われる。次に、第2の領域212G上に半硬化状態のエポキシ樹脂を塗布する。
【0191】
一方、基材224Gの第3の接合面203Gには、コントローラ300と接合部226Gとが接合される。コントローラ300は、上述のようにフリップチップ方式により端子部310を介して実装される。接合部226Gは、所定長さに成形された柱状体として、表面実装あるいはスルーホール実装等の手法により基材224Gに接合される。
【0192】
そして、第3の接合面203G上にコントローラ300と接合部226Gとが接合された基材224Gが、半硬化状態の樹脂層上に接合される。このとき、第3の接合面203Gと樹脂層とが対向するように接合され、コントローラ300及び接合部226Gが樹脂層内に埋設される。そして、当該樹脂層を硬化させることで、第3の領域213Gが形成される。これにより、コントローラ300及び接合部226Gを同時に形成することができ、製造工程を簡略化することができる。
【0193】
さらに本実施形態においては、第3の領域213Gの形成後、基材224G及び基板本体210Gの間隙に接着層250Gが形成される。これにより、接合部位を外気湿度や水分の侵入、あるいは外部ストレスから保護することが可能となり、基材224Gと基板本体210Fとの接合信頼性をより高めることが可能となる。また、基材224Gの剛性をより高め、センサ素子100の所期の振動特性を維持させることが可能となる。
【0194】
本実施形態に係るセンサデバイス1Gは、接合部226Gを有するため、第5の実施形態と同様に、基材224Gの剛性をより高めることが可能となる。また、センサ素子100及びコントローラ300を被覆するシールド機能を有する構成とすることができ、動作信頼性の高いセンサデバイス1Gを提供することが可能となる。
【0195】
<第9の実施形態>
図16は、本技術の第9の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0196】
本実施形態に係る規制部220Hは、第3の実施形態に係る規制部220Bと同様に、基材224Hを有する。また、コントローラ300は、第8の実施形態と同様に、基材224Hに接合されている。
【0197】
本実施形態に係る基板本体210Hは、基材224Hよりも縦弾性係数が小さく構成される。すなわち、基板本体210Hが柔軟に形成される。これにより本実施形態に係る配線基板200Hは、図示しない制御基板等に実装した際、取り付け歪み等による応力を緩和する、いわゆるダンパー効果を発揮する。
【0198】
例えば、配線基板200Hが制御基板等に接合された場合、接合時と動作時との温度の差により取り付け歪みが発生し、基板本体210Hを介してセンサ素子100に応力が与えられることがある。これにより、センサ素子100の振動特性等が影響を受ける可能性がある。
【0199】
そこで、本実施形態においては、基板本体210Hが、セラミックス、Si等からなる無機絶縁体製の基材224Hよりも縦弾性係数が小さくなるように構成される。これにより、上記制御基板等からの応力を基板本体210Hが吸収し、センサ素子100への影響を抑制することが可能となる。
【0200】
具体的には、基板本体210Hは、基材224Hよりも100GPa以上小さい値の縦弾性係数となるように構成される。例えば基材224Hがセラミックス製の場合、表1を参照すると、210GPa以下の値となるように基板本体210Hが構成されればよい。このような基板本体210Hは、有機絶縁体として、ガラス繊維等の硬質な添加物が非常に少ないエポキシ樹脂が採用される。あるいは、エポキシ樹脂より柔軟なウレタン樹脂等を添加することで、有機絶縁体の縦弾性係数をさらに低減することができる。
【0201】
一方で、センサ素子100が接合される基材224Hは、線膨張率及び縦弾性係数の面から見ても強固な構成であるため、基板本体210Hの縦弾性係数が小さい値であっても、センサ素子100の振動特性等を維持することが可能に構成される。
【0202】
基板本体210Hは、第8の実施形態と同様に、第2の領域212Hと、第3の領域213Hと、を有する。第2の領域212Hは、下部配線層232Hが形成された多層配線基板で構成される。一方、第3の領域213Hは、コントローラ300の埋設される領域の周囲にはコア部が配置されない。なお、第3の領域213Hにおいてコントローラ300の周囲には、第3の配線層233Hが形成されていてもよい。
【0203】
上記構成の基板本体210Hは、例えば以下のように製造する。まず、第2の領域212Hを第1の実施形態と同様に形成する。すなわち、ビルドアップ工法により有機絶縁層と配線層とを交互に積層して作製される。次に、第3の領域213Hについても同様に作製される。さらに、第4の接合面204H上から、第3の領域213Hの所定位置にコントローラ300を収容するための凹部を切削、レーザ加工等により形成する。最後に、コントローラ300を当該凹部に収容する。このとき、コントローラ300は基材224Hと既にフリップチップ方式等により接合されていてもよく、同時に、基材224Hと第4の接合面204Hとがフリップチップ方式で接合されてもよい。
【0204】
本実施形態においては、絶縁層がエポキシ樹脂で形成されるため、例えばセラミックス等の材料と比較しても軟質であり、凹部の形成を容易に行うことができる。また、センサ素子100は基材224Hに配置されるため、当該凹部の形状によって大きさが制限されることもない。
【0205】
また、本実施形態に係るセンサデバイス1Hは、制御基板等への実装後に与えられる応力を効果的に緩和でき、センサ素子100の振動特性を制御することができる。したがって、より動作信頼性の高いセンサデバイス1Hを提供することが可能となる。
【0206】
<第10の実施形態>
図17は、本技術の第10の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0207】
本実施形態に係る規制部220Jは、第3の実施形態に係る規制部220Bと同様に、基材224Jを有する。また、コントローラ300は、第8及び第9の実施形態と同様に、基材224Jに接合されている。本実施形態においては、センサ素子100及びコントローラ300が、いずれも半田等の導電性接合材によって基材224Jに接合されており、基材224Jと基板本体210Jとの電気的な接合がワイヤボンディングで行われている。
【0208】
センサ素子100は、基材224Jの第1の接合面201Jに導電性接合材を介して接合されており、コントローラ300は、基材224Jの第3の接合面203Jに導電性接合材を介して接合されている。
【0209】
基材224Jの第1の接合面201Jは、センサ素子100の実装領域の周囲に、端子部225Jが形成される。端子部225Jは、金(Au)で形成されたワイヤWを介して、基板本体210Jの第4の接合面204J側の端子と電気的に接続されている。これにより、コントローラ300及びセンサ素子100が接合された基材224Jと基板本体210Jとの導通を確保することができる。
【0210】
基板本体210Jは、第2の領域212Jと、第3の領域213Jと、を有する。第2の領域212Jは、上述の各実施形態と同様に、下部配線層232Jが形成された多層配線基板で構成される。一方、第3の領域213Jは、コントローラ300の埋設される領域の周囲に、第3の配線層233Jが形成される。すなわち、第4の接合面204Jの端子は、第3の配線層233Jの一部を構成する。
【0211】
本実施形態に係るシールド部400Jは、本実施形態において基板本体210Jの第4の接合面204E上に配置される。また基材224Jは、センサ素子100の表面面積よりも大きく、シールド部400Jの被覆する面積よりは小さく形成される。これにより、第1の接合面201J、第3の接合面203J及びワイヤボンディングにより接合される端子部225を含む接合部位のいずれもがシールド部400Jによって被覆されるため、外部ストレスや、外気湿度及び水分の侵入等から接合部位を保護することが可能となる。
【0212】
本実施形態においては、センサ素子100及びコントローラ300と基材224Jとの接合領域を広範にすることができ、歪応力による局所的なストレスを緩和することが可能となる。
【0213】
<第11の実施形態>
図18は、本技術の第11の実施形態に係るセンサデバイスの概略断面図である。なお、図において上述の第3の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0214】
本実施形態に係るセンサデバイス1Kの規制部220Kは、第3の実施形態に係る規制部220Bと同様に、基材224Kを有する。また、コントローラ300は、第8の実施形態と同様に、端子部310を介して基材224Kに接合されている。
【0215】
本実施形態において、基板本体210Kは、例えば銅(Cu)コア半田ボール、樹脂コア半田ボール等の半田ボールSで構成される外部接続端子232Kaを有する。外部接続端子232Kaは、基材224Kと、図示しない制御基板等とを電気的に接続するように構成される。すなわち、外部接続端子232Kaは、基材224Kの第3の接合面203K上に形成されたランド部231Kに配置されており、リフロー等によって制御基板上に実装されることが可能に構成される。ランド部231Kは、基板本体210Kの配線層を構成する。
【0216】
本実施形態においては、基板本体210Kが、基材224K上に直接形成される。すなわち、基材224Kの第3の接合面203Kと基板本体210Kの第4の接合面204Kとが密接して配置される。なお、ランド部231Kと基材224Kとの接合性を鑑み、金(Au)、ニッケル(Ni)等を含む密着層を介して接合されてもよい。
【0217】
基板本体210Kは、有機絶縁体として電波吸収体等からなるアンダーフィル樹脂Uを含む。このようなアンダーフィル樹脂Uにより、電子部品300が、制御基板からの静電ノイズ等に直接曝されることを抑制することが可能となる。
【0218】
図19(A)〜(D)は、本実施形態に係るセンサデバイス1Kの基板本体210Kの製造工程について説明した断面図である。
図19(A)は、第1の接合面201K上にセンサ素子100が実装された状態の基材224Kを示す。第3の接合面203Kには、基材224Kの配線層の一部を構成する端子部225Kが形成されている。端子部225Kは、基板本体210Kを介して制御基板等と電気的に接続するための複数の端子225Kaと、コントローラ300と電気的に接続するための複数の端子225Kbとを含んでいる。複数の端子225Kaは、例えば第3の接合面203Kの周縁部に所定間隔で配置される。複数の端子225Kbは、例えば第3の接合面203Kの中央部に所定間隔で配置される。なお、
図18では、端子部225Kの図示を省略している。
【0219】
次に、基材224Kの第3の接合面203K上に対し、端子部225Kbを介してフリップチップ方式でコントローラ300を実装する(
図19(B))。そして、端子225Kb上にランド部231Kを形成する。ランド部231Kの形成方法は特に限られず、例えばアディティブ法またはサブストラクティブ法によりパターン形成する方法、あるいは離型フィルムを用いた銅箔の転写や、スクリーン印刷等を採用することができる。
【0220】
さらに、これらランド部231K上に半田ボールSを形成する(
図19(C))。そして、コントローラ300を被覆するようにアンダーフィル樹脂Uを充填し、基板本体210Kを形成する(
図19(D))。このとき、アンダーフィル樹脂Uの厚みは、半田ボールSの端部が露出する程度に調整される。当該端部は、制御基板等と接続される外部接続端子232Kaを構成する。
【0221】
以上のように、本実施形態によれば、半田ボールSからなる外部接続端子232Kaが基材224Kと制御基板等との導通を確保することができるとともに、半田ボールSを用いることで基板本体210Kを低コストに作製することができる。また、基板本体210Kを少ない工程数で作製することが可能となる。また、静電対策用のアンダーフィル樹脂Uを用いることにより、制御基板からのノイズ等が直接コントローラ300に入り込むことを抑制することも可能となる。
【0222】
また、以上の実施形態の変形例として、以下のような構成も採り得る。
【0223】
図20は、本実施形態の変形例に係るセンサデバイス1Kaの構成を示す断面図である。本変形例においては、外部接続端子232Kaとして貫通ビアVを用いている。これによっても、基材224Kと制御基板等との導通を確保することができ、かつ容易に製造が可能である。
【0224】
具体的な製造方法については、例えば、基材224Kの第3の接合面203K上にコントローラ300を実装した後、コントローラ300を被覆するようにアンダーフィル樹脂Uを充填する。次に、固化したアンダーフィル樹脂U上に、例えばレーザ加工等によって貫通孔を形成する。当該貫通孔は、端子225Kaが底面に露出するように、第3の接合面203Kの端子225Kaに対応する位置に形成される。そして、貫通孔に対してめっき処理を行う。当該めっき処理は、電解析出法及び無電解析出法のいずれも用いることができ、すず系金属めっき等を適宜採用することができる。また、電解析出法の場合には、めっき処理に際して貫通孔内に給電層(シード層)を形成してもよい。このように、貫通孔内に貫通ビアVが形成され、貫通ビアVにより基材224Kと制御基板等との導通を確保することができる。
【0225】
以上、本技術の実施形態について説明したが、本技術はこれに限定されることはなく、本技術の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0226】
上記各実施形態に係るコントローラ300は、センサ素子100の線膨張率の値に近い材料でされてもよい。例えば、コントローラ300が、Siを含む半導体ベアチップで形成されてもよいし、42アロイ、セラミックス、Fe、Cu等の材料で構成されたカバーを有する構成としてもよい。このようなコントローラ300が基板本体210内部に埋設されることにより、第1の接合面201の変形をより抑制し、センサ素子100の振動特性をより確実に維持することが可能となる。
【0227】
さらに、第1及び第2の実施形態において、基板本体210の第1の領域211の厚みを0.2mm以下に形成し、センサ素子100とコントローラ300との実装領域を重複させるように配置することで、第1の接合面201の変形をより抑制することが可能である。すなわち、コントローラ300とセンサ素子100とを近接させて対向配置させることにより、これらの間に形成される有機絶縁層が薄くなり、第1の接合面201が、有機絶縁層の線膨張率及び縦弾性係数の影響を受けにくくなる。したがって、センサ素子100の端子部114と第1の接合面201との応力がより緩和される。さらにこの場合、上述のようにコントローラ300が、センサ素子100の線膨張率及び縦弾性係数の値に近い材料でされてもよい。
【0228】
また、以上の実施形態において、規制部としてコア部や基材を有する構成について説明したが、これに限られない。例えば、規制部は、ガラス繊維等の硬質のフィラーを所定量添加したエポキシ樹脂(有機絶縁体)を有してもよい。これによっても、基板本体の線膨張率及び縦弾性係数のいずれもセンサ素子と近い値に調整することができる。また、規制部は、配線層を有してもよい。銅箔等で形成された配線層を多層配設することによっても、基板本体の線膨張率及び縦弾性係数のいずれもセンサ素子と近い値に設定することができる。
【0229】
また、以上の実施形態においては、センサ素子100はジャイロセンサとして説明したが、これに限られず、シリコンや水晶等をMEMS加工して形成されるセンサ素子を採用することが可能である。このような素子として、例えば、圧力センサ素子や加速度センサ素子、あるいは音声センサ素子(MEMSマイク)等をセンサ素子として採用することができる。例えば圧力センサ素子は、第1の接合面との間で歪応力等のストレスが生じた場合、オフセット電圧、リニアリティ及びヒステリシス等の因子に影響が生じ、センサ特性が変化するおそれがある。したがって、このような圧力センサについても、以上の実施形態に係るセンサ素子として適用した場合、第1の接合部におけるストレスを抑制し、安定したセンサ特性を維持させることが可能となる。
【0230】
また、コントローラの端子部が外部接続端子側(制御基板側)に向けて配置されると説明した実施形態においても、当該端子部が逆向き、すなわちセンサ素子に向けて配置されていてもよい。
【0231】
また、以上の実施形態では、電子部品としてコントローラ300を挙げたが、これに限られない。例えば、レーザトリミング等の実装後の調整が不要で、かつ、埋設により動作が阻害されない電子部品であれば採用することができ、コンデンサ、抵抗器、あるいは地磁気センサ等を適宜採用することができる。
【0232】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
【0233】
(1)センサ素子と、
前記センサ素子と電気的に接合される第1の接合面と、有機絶縁体を含み電子部品が埋設された基板本体と、前記第1の接合面の変形を規制するための規制部と、を有する配線基板と
を具備するセンサデバイス。
(2)上記(1)に記載のセンサデバイスであって、
前記第1の接合面は、前記基板本体に配置され、
前記規制部は、前記基板本体に埋設されたコア部を含む
センサデバイス。
(3)上記(2)に記載のセンサデバイスであって、
前記コア部は、前記電子部品を取り囲んで環状に配置される
センサデバイス。
(4)上記(3)に記載のセンサデバイスであって、
前記配線基板は、前記第1の接合面と対向する第2の接合面をさらに有し、
前記基板本体は、
前記第1の接合面側に配置される第1の配線層と、
前記第2の接合面側に配置され前記コア部及び前記電子部品を挟んで前記第1の配線層と対向する第2の配線層と、をさらに有する
センサデバイス。
(5)上記(2)〜(4)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記第1の接合面上に配置され、前記センサ素子を被覆するシールド部をさらに具備する
センサデバイス。
(6)上記(5)に記載のセンサデバイスであって、
前記規制部は、前記シールド部と前記コア部とを接合する第1の接合部をさらに有する
センサデバイス。
(7)上記(6)に記載のセンサデバイスであって、
前記シールド部は、前記センサ素子との線膨張率の差の絶対値が、前記有機絶縁体と前記センサ素子との線膨張率の差の絶対値よりも小さい
センサデバイス。
(8)上記(2)〜(7)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記コア部は、前記センサ素子との線膨張率の差の絶対値が、前記有機絶縁体と前記センサ素子との線膨張率の差の絶対値よりも小さい
センサデバイス。
(9)上記(1)に記載のセンサデバイスであって、
前記規制部は、前記センサ素子と前記基板本体との間に配置される無機絶縁体製の基材を含み、
前記第1の接合面は、前記基材に配置される
センサデバイス。
(10)上記(9)に記載のセンサデバイスであって、
前記規制部は、前記基板本体に埋設されたコア部をさらに含む
センサデバイス。
(11)上記(10)に記載のセンサデバイスであって、
前記規制部は、前記基材と前記コア部とを接続する第2の接合部をさらに含む
センサデバイス。
(12)上記(9)〜(11)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記基材は、前記基板本体に実装され、
前記配線基板は、前記基材と前記基板本体との間に充填される接着層をさらに有する
センサデバイス。
(13)上記(9)〜(12)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記基材は、前記第1の接合面と対向して配置され、前記電子部品と電気的に接合される第3の接合面をさらに有する
センサデバイス。
(14)上記(9)〜(13)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記配線基板に配置され前記センサ素子を被覆するシールド部をさらに具備する
センサデバイス。
(15)上記(14)に記載のセンサデバイスであって、
前記シールド部は、前記第1の接合面上に配置される
センサデバイス。
(16)上記(15)に記載のセンサデバイスであって、
前記基板本体は、前記基材と対向する第4の接合面を有し、
前記シールド部は、前記第4の接合面上に配置され、前記基材と前記センサ素子とを被覆する
センサデバイス。
(17)上記(9)〜(16)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記基板本体は、前記基材よりも縦弾性係数が小さい
センサデバイス。
(18)上記(1)〜(17)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記センサ素子は、前記第1の接合面を挟んで前記電子部品と対向する
センサデバイス。
(19)上記(1)〜(18)のいずれか一つに記載のセンサデバイスであって、
前記センサ素子は、ジャイロセンサである
センサデバイス。