特許第6016247号(P6016247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6016247電子適用のためのフェナントロ[9,10−b]フラン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016247
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】電子適用のためのフェナントロ[9,10−b]フラン
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/77 20060101AFI20161013BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20161013BHJP
   C07D 413/14 20060101ALI20161013BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   C07D307/77CSP
   C07D405/14
   C07D413/14
   H05B33/14 B
   H05B33/22 B
   H05B33/22 D
【請求項の数】15
【全頁数】66
(21)【出願番号】特願2013-532158(P2013-532158)
(86)(22)【出願日】2011年10月4日
(65)【公表番号】特表2013-544776(P2013-544776A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011067255
(87)【国際公開番号】WO2012045710
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年10月1日
(31)【優先権主張番号】10186807.3
(32)【優先日】2010年10月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516264118
【氏名又は名称】ユー・ディー・シー アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】トーマス シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シルトクネヒト
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ムーラー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン レナーツ
(72)【発明者】
【氏名】ニコル ランガー
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート ヴァーゲンブラスト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン メッツ
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−522708(JP,A)
【文献】 特表2010−505241(JP,A)
【文献】 米国特許第05077142(US,A)
【文献】 特開2001−076878(JP,A)
【文献】 William M. Horspool et al.,Substituent and wavelength effects in the photochemistry of 5,6,7,8-tetrachloro-3a,9a-dihydro-2,3,9a-triarylfuro(2,3-b)(1,4)benzodioxin derivatives,Tetrahedron Letters,1983年,24(35),pp. 3745-3748
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】
の化合物であって、
前記式中、
1及びR2は、相互に独立して、H、F、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
1及びR2はともに基
【化2】
を形成し、
前記式中、
206’、R208’、R205、R206、R207、R208、R209、及びR210は、相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、若しくはEによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C1〜C18フルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C7〜C25アラルキル、Gによって置換されたC7〜C25アラルキル、CN、又は−CO−R28であり、
1及びX2は、相互に独立して、基−NA11’であるか、又はC10〜C28アリール基であり、当該アリール基は、任意でGにより置換されていてよく、かつL3及びL4が相互に独立して単結合、又は架橋単位BUであり、
1及びA1’は、相互に独立して、C6〜C24アリール基、Gによって置換されたC6〜C24アリール基、C2〜C20ヘテロアリール基、又はGによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
1及びA1’は、これらが結合している窒素原子とともに、芳香族複素環、又は環系を形成し、
BUが、
【化3】
であり、ここでm1はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、0、1、2、3、又は4であり、
41はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、Cl、F、CN、NR4545’、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C1〜C25アルキコキシ基であり、ここで相互に隣接していない1つ以上の炭素原子は、−NR45−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−O−によって置き換えられてよく、かつ/又はここで1つ以上の水素原子は、Fによって置き換えられてよく、又はR41はC6〜C24アリール基、又はC6〜C24アリールオキシ基であり、ここで1つ以上の炭素原子は、O、S、又はNによって置き換えられてよく、かつ/又は1つ以上の非芳香族基R41によって置換されてよく、又は
2つ以上の基R41は、環系を形成し、
119とR120は相互に独立して、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであるか、又は
119とR120はともに、式=CR121122の基を形成し、ここで
121及び122は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、若しくはC2〜C20ヘテロアリール、若しくはGによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
119とR120はともに、五員環又は六員環を形成し、これらの環はC1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、又は−C(=O)−R28によって任意で置換されていてよく、
28はH、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
かつ/又は−L3−X1及び−L4−X2は、相互に独立して、下記式の基
【化4】
であり、
上記式中、
5’’、R6’’、R7’’、及びR8’’は、相互に独立して、C6〜C18アリール、当該アリールは、任意でGによって置換されていてよく、又はC2〜C20ヘテロアリールであり、当該アリールは、任意でGによって置換されていてよく、R9’’は水素であるか、又はR5’’の意味を有し、m6は1〜4の整数であり、
3は、O、S、又はN−R121’であり、
9は、O、S、又はN−R121’であり、
1及びQ2は、炭素環式芳香族環、又は複素環式芳香族環を形成するのに必要な原子を表し、これらの環は任意で別の1つ若しくは複数の環と縮合して縮合環を形成していてよく、かつ/又は任意でGによって置換されていてよく、
116、及びR117は、相互に独立して、H、ハロゲン、−CN、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、Gによって置換されたC7〜C25アラルキル、−C(=O)−R78、−C(=O)OR77、又は−C(=O)NR7576であるか、又は、
75、R76、及びR78は相互に独立して、H、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
77は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
121’は、C6〜C18アリール、又はC2〜C20ヘテロアリールであり、当該アリールはC1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル、若しくはC1〜C18アルコキシによって任意で置換されていてよく、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
123、R124、R125、及びR126は、相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル、C6〜C24アリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C20ヘテロアリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであり、
127及びR128は、相互に独立して、H、CN、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル、C6〜C24アリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C20ヘテロアリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであり、
1は単結合、−(CR47=CR48m2−、−(Ar3m3−、−[Ar3(Y1m5m4−、−[(Y1m5Ar3m4、又は−[Ar3(Y2m5Ar4m4−であり、ここで、
1は、−(CR47=CR48)−であり、
2は、NR49、O、S、C=O、C(=O)Oであり、ここで、R49は、H、C6〜C18アリール、当該アリールは任意でC1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されていてよく、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
47及びR48は相互に独立して、水素、フッ素、C1〜C25アルキル、又はC6〜C24アリールであり、当該アリールは任意でGによって置換されていてよく、
m2は、1〜10の整数であり、m3は、1〜5の整数であり、m4は、1〜5の整数であり、m5は、1〜10の整数であり、
Ar1及びAr2は相互に独立して、C6〜C24アリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、又はC2〜C20ヘテロアリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよい、であり、Ar3及びAr4は相互に独立して、アリーレン、又はヘテロアリーレンであり、当該アリーレンは任意で置換されていてもよく、
4、X5、及びX6は、相互に独立して、N又はCHであり、ただし、置換基X4、X5、及びX6のうち少なくとも1つがNであり、
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR65−、−SiR7071−、−POR72−、−CR63=CR64−、又は−C≡C−であり、かつ
Eは、−OR69、−SR69、−NR6566、−COR68、−COOR67、−CONR6566、−CN、又はハロゲンであり、
Gは、E、又はC1〜C18アルキルであり、
63及びR64は相互に独立して、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
65及びR66は相互に独立して、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、又は
65とR66はともに、五員環又は六員環を形成し、
67は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
68は、H、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
69は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
70及びR71は相互に独立して、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、又はC1〜C18アルキルによって置換されたC6〜C18アリールであり、かつ
72は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、又はC1〜C18アルキルによって置換されたC6〜C18アリールであり、
45とR45’は相互に独立して、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基であり、ここで相互に隣接していない1つ以上の炭素原子は、−NR45’’−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−O−によって置き換えられてよく、かつ/又はここで1つ以上の水素原子は、Fによって置き換えられてよく、又はR45とR45’は、C6〜C24アリール基又はC6〜C24アリールオキシ基であり、ここで1つ以上の炭素原子は、O、S、又はNによって置き換えられてよく、かつ/又は1つ以上の非芳香族基R41によって置換されてよく、
45’’は、C1〜C25アルキル基、又はC4〜C18シクロアルキル基である、前記化合物。
【請求項2】
下記式
【化5】
[前記式中、X1、X2、L3、L4、R1、及びR2は、請求項1に定義の通りである]
で示される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1及びR2が、下記式
【化6】
[前記式中、R7、R8、及びR9は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、又はOによって中断されたC1〜C18アルキルである]
の基であるか、又は
1とR2はともに基
【化7】
[前記式中、R205、R206、R207、及びR208は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Oによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、若しくはOによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC1〜C18フルオロアルキルである]
を形成する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の化合物であって、
−L3−X1、及び−L4−X2が相互に独立して、式−NA11’、又は
【化8】
の基であり、ここでA1及びA1’は相互に独立して、
【化9】
であるか、又はA1及びA1’は、これらが結合している窒素原子とともに、芳香族複素環を形成するか、又は環系
【化10】
を形成し、m’は、0、1、又は2であり、
m1はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、0、1、2、3、又は4であり、
116、R117、及びR117’は相互に独立して、H、ハロゲン、−CN、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、−C(=O)−R77、−C(=O)OR78、又は−C(=O)NR7576であるか、又は
相互に隣接する置換基R116、R117、及びR117’は、環を形成することができ、R75、R76、及びR78は相互に独立して、H、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
77は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
BUが、
【化11】
であり、ここでm1は上記定義の通りであるか、
41はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、Cl、F、CN、NR4545’、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C1〜C25アルキコキシ基であり、ここで相互に隣接していない1つ以上の炭素原子は、−NR45−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−O−によって置き換えられてよく、かつ/又はここで1つ以上の水素原子は、Fによって置き換えられてよく、又はR41はC6〜C24アリール基、又はC6〜C24アリールオキシ基であり、ここで1つ以上の炭素原子は、O、S、又はNによって置き換えられてよく、かつ/又は1つ以上の非芳香族基R41によって置換されてよく、又は
2つ以上の基R41は、環系を形成し、
47とR48は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、又はC6〜C10アリールであり、当該アリールは、1つ以上のC1〜C8アルキル基若しくはC1〜C8アルコキシ基によって任意で置換されていてよく、
119とR120は相互に独立して、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであるか、又は
119とR120はともに、式=CR121122の基を形成し、ここで
121及び122は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、若しくはC2〜C20ヘテロアリール、若しくはGによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
119とR120はともに、五員環又は六員環を形成し、これらの環はC1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、又は−C(=O)−R28によって任意で置換されていてよく、
28はH、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
又は下記式
【化12】
の基であり、ここでR116’は、R116の意味を有し、R116、R117、及びR117’は、上記定義の通りであり、D、E、及びGは、請求項1に定義の通りであるか、又は
下記式
【化13】
の基であり、ここでR116、R117、及びR117’は、上記定義の通りであり、かつR124、R125、及びR126は、請求項1に定義の通りである、前記化合物。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物であって、−L3−X1、及び−L4−X2が相互に独立して、式−NA11’、又は
【化14】
の基であり、ここでA1及びA1’は相互に独立して、
【化15】
であるか、又はA1及びA1’は、これらが結合している窒素原子とともに、下記式
【化16】
の基を形成し、
116及びR117は相互に独立して、C1〜C18アルキル、当該アルキルは−O−によって任意で中断されていてよく、又はC1〜C18アルコキシであり、
BUは、
【化17】
であり、ここでR41はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、C1〜C18アルキル、当該アルキルは任意で−O−によって中断されていてよく、又はC1〜C18アルコキシであり、m1は0、1、又は2である、前記化合物。
【請求項6】
−L3−X1、及び−L4−X2が相互に独立して、下記式
【化18】
の基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
−L3−X1、及び−L4−X2が相互に独立して、下記式
【化19】
の基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の化合物であって、以下のもの:
【化20】
【表1】
【化21】
【表2】
【化22】
【表3】
【化23】
【表4】
【化24】
【表5】
【化25】
【表6】
から選択され、ここで
1)1とR2はともに、
【化26】
の基を形成し、
2)1とA1’はともに、
【化27】
の基を形成し、
前記AR−1〜AR−3、及び前記HE−1〜HE−10は、それぞれ以下の通り:
【化28】
である、前記化合物。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の化合物を含有する電子デバイス。
【請求項10】
エレクトロルミネッセントデバイスである、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項に記載の化合物を含有する、正孔輸送層又は電子輸送層。
【請求項12】
請求項9若しくは10に記載の有機電子デバイス、又は請求項11に記載の正孔輸送層若しくは電子輸送層を有する装置であって、据え置き型ディスプレー装置、及び携帯型のディスプレー装置、イルミネーション装置、キーボード、服飾品、家具、壁紙から成る群から選択される、前記装置。
【請求項13】
請求項1に記載の式Iの化合物を、電子写真の光受容体、光電変換デバイス、有機太陽電池、スイッチングデバイス、有機発光電界効果トランジスタ、イメージセンサ、色素レーザー、及びエレクトロルミネッセントデバイスに用いる使用。
【請求項14】
式Iの化合物の製造方法であって、X1及びX2が相互に独立して、−NA11’
【化29】
であり、m’は、0、1、又は2であり、
下記式
【化30】
[前記式中、X11及びX12は、ハロゲンである]
の化合物を、式HNA11’
【化31】
[前記式中、A1、A1’、L3、L4、R1、R2、R41、及びm1は、請求項1に定義の通りである]
の化合物と、塩基及び触媒の存在下、溶媒中で反応させる工程を有する、前記製造方法。
【請求項15】
下記式(II)
【化32】
[前記式中、L3、L4、R1、及びR2は、請求項1に記載の通りである]
の化合物であって、X11及びX12がそれぞれ独立して、ハロゲン原子、又は−OS(O)2CF3、−OS(O)2アリール、−OS(O)2CH3、−B(OH)2、−B(OY12
【化33】
、−BF4Na、又は−BF4Kであり、ここでY1はそれぞれ独立して、C1〜C10アルキル基であり、Y2はそれぞれ独立して、C2〜C10アルキレン基である、前記化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイス、特にエレクトロルミネッセントデバイスに関し、これらのデバイスは、式Iの化合物を、特にリン光性化合物のためのホストとして含有するものである。このホストは、リン光性材料とともに、エレクトロルミネッセントデバイスの効率、安定性、製造性、又は特性を改善させることができる。
【0002】
US5077142は、アノードとカソードを有するエレクトロルミネッセントデバイスであって、1つ以上の有機層をサンドイッチ状に有するものに関し、当該有機層は、一般式(B)m−(A)nで示される化合物を含有し、ここでBは、環式炭化水素、縮合多環式炭化水素、O含有複素環、N含有複素環、及びS含有複素環から選択され、Aは、ベンゼン、ビフェニル、メトキシベンゼン、又はナフタレン基から選択され、mは、1〜6の範囲の整数であり、nは、1〜6の範囲の整数である。 以下の化合物が明示的に開示されている:
【化1】
【0003】
EP1067165は、アノードとカソードの間に配置された1つ以上の有機化合物薄層から構成される発光層を有する、有機エレクトロルミネッセントデバイスを記載しており、ここで1つ以上の前記有機化合物薄層は、窒素アニオン(例えば、芳香族複素環に含まれるもの)及び金属カチオンによって形成されるイオン性配位結合と、窒素原子若しくはカルコゲンと金属との間で形成される配位結合の双方を有する有機金属錯体を含有する。有機金属錯体の金属カチオンは、Al、Ga、In、Tl、Be、Mg、Sr、Ba、Ca、Zn、Cd、Hg、Pd、又はCuから選択され得る。以下の金属錯体が、明示的に開示されている:
【化2】
【0004】
US7183010は、基板を有する有機発光デバイスに関するものであり、前記基板にわたってアノードとカソードが配置されており、前記アノードとカソードとの間にはルミネッセンス層が配置されており、ここで前記ルミネッセンス層はホストと1つのドーパントを含有し、前記ホストは、固体の有機材料を有し、当該有機材料は、2成分の混合物を有し、当該混合物は、電子及び/又は正孔のいずれかを輸送可能な、モノマー状態とアグリゲート状態の両方を形成可能な有機化合物(=第一成分)と、第一のホスト成分との混合の際に連続的かつ実質的にピンホールのない層を形成可能な有機化合物(=第二成分)を含有するものであり、前記ドーパントは、発光デバイスからの光を生成するように選択される。ジナフト[1’,2’:2,3;2",1":10,11]ペリロ[1,12]フラン(194−45−6;テトラベンゾ[1,2:5,6:7,8:11,12]ペンタフェノ[13,14−bcd]フラン(8Cl、9Cl)が、明示的に開示されている:
【化3】
【0005】
US6828044は、ドーパントが下記式
【化4】
で表されるベンゾフランを含有するデバイスを記載している。ここでRaとRbは相互に独立して、アリール基又はヘテロアリール基を表し、これらが結合している窒素は、フェニル環の3位又は4位に位置しており、Rcは、水素又はアルキル、アリール基又はヘテロアリール基を表し、Rdは、1つ以上の水素又はアルキル、置換された窒素、アリール基又はヘテロアリール基であり、当該アリール基は、結合して縮合環Aを形成することができる。
【0006】
WO2006097419は、下記式(I)
【化5】
の繰り返し単位を含有することができるポリマーを記載しており、ここでAは、五員、六員、又は七員の芳香族複素環であり、これらの環は窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個含有し、特に少なくとも1個の窒素原子と、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるさらなる少なくとも1個のヘテロ原子を含有する。
【0007】
WO2007/090773は、下記式
【化6】
の繰り返し単位を有するポリマーに関し、ここでAは、五員、六員、又は七員の芳香族複素環であり、当該環は窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個、特に少なくとも1個の窒素原子と、窒素、置換された窒素、酸素、及び硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子を少なくとも1個含有し、Ra、R1、R2、R3、R4、R1'、R2'、R3'、及びR4'のうち少なくとも1つが、基R10であり、ここでR10は、基−(Sp)x1−[PG’]<であり、ここでSpはスペーサー単位であり、PG’は、重合可能な基から誘導される基であり、x1は0又は1であり、かつxは0であるか、又は1〜4の整数である。
【0008】
WO2008031743は、下記式
【化7】
の化合物を、特にリン光性化合物のためのホストとして含有するエレクトロルミネッセントデバイスに関する。Aは、五員、六員、又は七員の芳香族複素環であり、これらの環は窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個、特に少なくとも1個の窒素原子と、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子を少なくとも1個含有する。
【0009】
WO2008/119666は、下記式
【化8】
の化合物、その製造方法、及び有機発光ダイオード(OLED)における前記化合物の使用、特にリン光性化合物のためのホストとしての使用を開示している。Aは、五員、六員、又は七員の芳香族複素環であり、これらの環は窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子を少なくとも1個、特に少なくとも1個の窒素原子と、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるさらなるヘテロ原子を少なくとも1個含有する。
【0010】
Aの例は、
【化9】
であり、ここでR7は、R8の意味を有し、R8"は、R8の意味を有し、XはO、N−R17であり、ここでR205、R206、R207、R208、R209、R210、R8、R9、R8'、R9'、R10、及びR17は、下記定義の通りであり、pは、0、1、2、又は3であり、点線・・・はビフェニル単位に対する結合を示す。
【0011】
これらの改善点にも拘わらず、エレクトロルミネッセントデバイスの効率、安定性、製造性、及び/又はスペクトル特性を改善させる、新たなホスト及び輸送材料を有する有機発光デバイスに対して需要がある。
【0012】
従って本発明の目的は、有機電子デバイス、特に有機発光デバイスで用いる際に、良好な効率、良好な稼働寿命、良好な製造性、良好なスペクトル特性、熱によるストレスに対する高い安定性、及び/又は低い稼働電圧を示す化合物を提供することであった。
【0013】
前記目的は、下記式の化合物
【化10】
の化合物によって解決され、
前記式中、
1及びR2は、相互に独立して、H、F、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
1及びR2はともに基
【化11】
を形成し、
前記式中、
206'、R208'、R205、R206、R207、R208、R209、及びR210は、相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、若しくはEによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C1〜C18フルオロアルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C7〜C25アラルキル、Gによって置換されたC7〜C25アラルキル、CN、又は−CO−R28であり、
1及びX2は、相互に独立して、基−NA11'であり、
1及びA1'は、相互に独立して、C6〜C24アリール基、Gによって置換されたC6〜C24アリール基、C2〜C20ヘテロアリール基、又はGによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
1及びA1'は、これらが結合している窒素原子とともに、芳香族複素環、又は環系、例えば
【化12】
(=第I群)を形成し、上記式中m’は、0、1、又は2であり、又はA1及びA1'は、C10〜C28アリール基を形成し(=第III群)、当該アリール基は、任意でGにより置換されていてよく、
かつ/又は−L3−X1及び−L4−X2は、相互に独立して、下記式の基
【化13】
(=第II群)であり、
上記式中、
5''、R6''、R7''、及びR8''は、相互に独立して、C6〜C18アリール、当該アリールは、任意でGによって置換されていてよい、又はC2〜C20ヘテロアリールであり、当該アリールは、任意でGによって置換されていてよく、R9''は水素であるか、又はR5''の意味を有し、m6は1〜4の整数であり、
3は、O、S、又はN−R121'、特にN−R121'であり、
9は、O、S、又はN−R121'、特にOであり、
1及びQ2は、炭素環式芳香族環、又は複素環式芳香族環を形成するのに必要な原子を表し、これらの環は任意で別の1つ若しくは複数の環と縮合して縮合環を形成していてよく、かつ/又は任意でGによって置換されていてよく、
116、及びR117は、相互に独立して、H、ハロゲン、−CN、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、Gによって置換されたC7〜C25アラルキル、−C(=O)−R78、−C(=O)OR77、又は−C(=O)NR7576であるか、又は、
相互に隣接する置換基R116とR117は環を形成してよく、R75、R76、及びR78は相互に独立して、H、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
77は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
121'は、C6〜C18アリール、又はC2〜C20ヘテロアリールであり、当該アリールはC1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル、若しくはC1〜C18アルコキシによって任意で置換されていてよく、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
123、R124、R125、及びR126は、相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル、C6〜C24アリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C20ヘテロアリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであり、
127及びR128は、相互に独立して、H、CN、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18フルオロアルキル、C6〜C24アリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C20ヘテロアリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであり、
1は単結合、−(CR47=CR48m2−、−(Ar3m3−、−[Ar3(Y1m5m4−、−[(Y1)m5Ar3m4−、又は−[Ar3(Y2m5Ar4m4−であり、ここで、
1は、−(CR47=CR48)−であり、
2は、NR49、O、S、C=O、C(=O)Oであり、ここで、R49は、H、C6〜C18アリール、当該アリールは任意でC1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されていてよく、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
47及びR48は相互に独立して、水素、フッ素、C1〜C25アルキル、又はC6〜C24アリールであり、当該アリールは任意でGによって置換されていてよく、
m2は、1〜10の整数であり、m3は、1〜5の整数であり、m4は、1〜5の整数であり、m5は、1〜10の整数であり、
Ar1及びAr2は相互に独立して、C6〜C24アリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよく、又はC2〜C20ヘテロアリール、当該アリールはGによって任意で置換されていてよい、であり、Ar3及びAr4は相互に独立して、アリーレン、又はヘテロアリーレンであり、当該アリーレンは任意で置換されていてもよく、
4、X5、及びX6は、相互に独立して、N又はCHであり、ただし、置換基X4、X5、及びX6のうち少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つがNであり、かつL3及びL4が相互に独立して単結合、又は架橋単位BUであり、当該BUは例えば、
【化14】
であり、
41はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、Cl、F、CN、NR4545'、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基、C1〜C25アルキコキシ基であり、ここで相互に隣接していない1つ以上の炭素原子は、−NR45−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−O−によって置き換えられてよく、かつ/又はここで1つ以上の水素原子は、Fによって置き換えられてよく、又はR41はC6〜C24アリール基、又はC6〜C24アリールオキシ基であり、ここで1つ以上の炭素原子は、O、S、又はNによって置き換えられてよく、かつ/又は1つ以上の非芳香族基R41によって置換されてよく、又は
2つ以上の基R41は、環系を形成し、
1はO、S、又はNR43であり、
43は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−で中断されたC1〜C18アルキル、又はC2〜C20ヘテロアリール基であり、
47とR48は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、又はC6〜C10アリールであり、当該アリールは、1つ以上のC1〜C8アルキル基若しくはC1〜C8アルコキシ基によって任意で置換されていてよく、
119とR120は相互に独立して、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC7〜C25アラルキルであるか、又は
119とR120はともに、式=CR121122の基を形成し、ここで
121及び122は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、若しくはC2〜C20ヘテロアリール、若しくはGによって置換されたC2〜C20ヘテロアリールであるか、又は
119とR120はともに、五員環又は六員環を形成し、これらの環はC1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、又は−C(=O)−R28によって任意で置換されていてよく、
28はH、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−SO−、−SO2−、−O−、−NR65−、SiR7071、−POR72−、CR63=CR64−、又は−C≡C−であり、かつ
Eは、−OR69、−SR69、−NR6566、−COR68、−COOR67、CONR6566、−CN、又はハロゲンであり、
Gは、E、又はC1〜C18アルキルであり、
63及びR64は相互に独立して、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
65及びR66は相互に独立して、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、又は
65とR66はともに、五員環又は六員環を形成し、
67は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
68は、H、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
69は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、又は−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
70及びR71は相互に独立して、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、又はC1〜C18アルキルによって置換されたC6〜C18アリールであり、かつ
72は、C1〜C18アルキル、C6〜C18アリール、又はC1〜C18アルキルによって置換されたC6〜C18アリールであり、
45とR45'は相互に独立して、C1〜C25アルキル基、C4〜C18シクロアルキル基であり、ここで相互に隣接していない1つ以上の炭素原子は、−NR45''−、−O−、−S−、−C(=O)−O−、又は−O−C(=O)−O−によって置き換えられてよく、かつ/又はここで1つ以上の水素原子は、Fによって置き換えられてよく、又はR45とR45'は、C6〜C24アリール基又はC6〜C24アリールオキシ基であり、ここで1つ以上の炭素原子は、O、S、又はNによって置き換えられてよく、かつ/又は1つ以上の非芳香族基R41によって置換されてよく、
45''は、C1〜C25アルキル基、又はC4〜C18シクロアルキル基であり、かつ
m1はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、0、1、2、3、又は4であり、特に0、1、又は2であり、極めて特に0又は1である。
【0014】
下記式
【化15】
の基のうち、
【化16】
の基が好ましい。
【0015】
下記式
【化17】
の化合物が好ましく、ここで、X1、X2、L3、L4、R1、及びR2は、上記定義の通りである。
【0016】
好ましくは、R1及びR2が、
【化18】
の基であり、ここでR8及びR9は、相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、又はOによって中断されたC1〜C18アルキルであるか、又はR1及びR2はともに以下の基
【化19】
を形成し、ここでR205、R206、R207、及びR208は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、若しくは−O−によって中断されたC1〜C18アルコキシ、又はC1〜C18フルオロアルキルである。
【0017】
1、L3、及びL4は相互に独立して単結合、又は架橋単位BUである。この架橋単位BUの例は、下記式
【化20】
の基、特に
【化21】
であり、ここでm1、X1、R41、R119とR120は上記定義の通りであり、かつR47とR48は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、又はC6〜C10アリールであり、当該アリールは1個以上のC1〜C8アルキル若しくはC1〜C8アルコキシ基によって任意で置換されていてよい。
【0018】
好ましくは、R119及びR120は相互に独立して、C1〜C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、ヘキシル、オクチル、又は2−エチルヘキシル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C12アルキル、例えば−CH2(OCH2CH2w−OCH3であり、ここでw=1、2、3、又は4であり、C6〜C14アリール、例えばフェニル、ナフチル、又はビフェニルであり、Gによって置換されたC6〜C14アリール、例えば−C64OCH3、−C64OCH2CH3、−C63(OCH32、−C63(OCH2CH32、−C64CH3、−C63(CH32、−C62(CH33、若しくはC64tBuであるか、又はR119及びR120はともに、四員乃至八員環、特に五員環又は六員環、例えばシクロヘキシル若しくはシクロペンチルを形成し、これらはC1〜C8アルキルによって任意で置換されていてよい。
【0019】
1は0又は1であるのが好ましい。
【0020】
41は好ましくは、C1〜C12アルキル、Oによって中断されたC1〜C12アルキル、又はC1〜C12アルコキシである。
【0021】
47及びR48は好ましくは、相互に独立してH、又はC1〜C4アルキルである。
【0022】
最も好ましくは、L1、L3、及びL4が単結合であるか、又は以下の基
【化22】
であり、ここでm1は0又は1であり、R41はC1〜C25アルキル基である。
【0023】
本発明の好ましい態様において、−L3−X1、及び−L4−X2は、相互に独立して、式−NA11'、又は下記の基
【化23】
であり、ここでA1及びA1'は、相互に独立して、
【化24】
であるか、又はA1及びA1'はともに、これらが結合している窒素原子とともに、芳香族複素環を形成するか、又は環系
【化25】
を形成し、m’は0、1、又は2であり、
m1は同じであっても異なっていてもよく、それぞれ0、1、2、3、又は4であり、特に0、1、又は2、極めて特に0又は1であり、
116、R117、及びR117'は相互に独立して、H、ハロゲン、特にF、−CN、C1〜C18アルキル、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gによって置換されたC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gによって置換されたC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eによって置換され、かつ/又はDによって中断されたC1〜C18アルコキシ、C7〜C25アラルキル、−C(=O)−R77、−C(=O)OR78、又は−C(=O)NR7576であるか、又は
相互に隣接する置換基R116、R117、及びR117'は、環を形成することができ、R75、R76、及びR78は相互に独立して、H、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
77は、C6〜C18アリール、C1〜C18アルキル若しくはC1〜C18アルコキシによって置換されたC6〜C18アリール、C1〜C18アルキル、−O−によって中断されたC1〜C18アルキルであり、
BUが、
【化26】
であり、ここでR119とR120、m1とR41は、上記定義の通りであり、m1は上記定義の通りである。
【0024】
上記態様において、−L3−X1、及び−L4−X2はより好ましくは、相互に独立して、式−NA11'の基であるか、又は
【化27】
の基であり、A1及びA1'は相互に独立して、
【化28】
であるか、又はA1及びA1'はこれらが結合している窒素原子とともに、下記式
【化29】
の基を形成し、
116及びR117は相互に独立して、C1〜C18アルキル、当該アルキルは、−O−によって任意で中断されていてよく、又はC1〜C18アルコキシであり、
Buは、
【化30】
であり、ここでR41はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、C1〜C25アルキル、当該アルキルは任意で−O−によって中断されていてよく、又はC1〜C25アルコキシであり、m1は0、1、又は2である。
【0025】
本発明のさらに好ましい態様において、−L3−X1及び−L4−X2は相互に独立して、C10〜C28アリール基であり、特に下記式
【化31】
の基であり、R116'は、R116の意味を有し、R116、R117、及びR117'は、上記定義の通りであり、D、E、及びGは、上記定義の通りである。
【0026】
116、R116'、R117、及びR117'は好ましくは、相互に独立して、H、C1〜C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、若しくはn−ヘプチル、Oによって中断されたC1〜C12アルキル、例えば−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OCH2CH2OCH3、又は−CH2OCH2CH2OCH2CH3、又はC1〜C12アルコキシである。
【0027】
上記態様において、−L3−X1、及び−L4−X2はより好ましくは、相互に独立して下記式
【化32】
の基である。
【0028】
本発明のさらなる好ましい態様において、−L3−X1、及び−L4−X2はより好ましくは、相互に独立して下記式
【化33】
の基であり、ここでR116、R117、R117'、R124、R125、及びR126は、上記定義の通りである。本発明のさらなる好ましい態様において、−L3−X1、及び−L4−X2は、相互に独立して下記式
【化34】
の基であり、ここでR116とR117は、上記定義の通りである。
【0029】
好ましくは、R116、R116'、R117、及びR117'は、相互に独立して、H、C1〜C12アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、2−メチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、若しくはn−ヘプチル、Oによって中断されたC1〜C12アルキル、例えば−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3、−CH2OCH2CH2OCH3、又は−CH2OCH2CH2OCH2CH3、又はC1〜C12アルコキシである。
【0030】
上記態様において、−L3−X1、及び−L4−X2はより好ましくは、相互に独立して下記式
【化35】
の基である。代替的に、−L3−X1、及び−L4−X2は、下記の式
【化36】
の基である。
【0031】
特に好ましい態様では、本発明は下記式
【化37】
の化合物を指向しており、ここでR1及びR2は、下記式
【化38】
の基であり、ここでR7、R8、及びR9は相互に独立して、H、C1〜C18アルキル、C1〜C18アルコキシ、又はOによって中断されたC1〜C18アルキルであるか、又はR1及びR2はともに下記の基
【化39】
を形成し、−L3−X1、及び−L4−X2は相互に独立して、下記の式
【化40】
の基、特に
【化41】
である。
【0032】
化合物A−1〜A−9、B−1〜B−9、C−1〜C−6、D−1〜D−6、E−1〜E−18、及びF−1〜F−18が、特に好ましい。さらなる態様では、E−19、E−20、F−19、及びF−20の化合物が好ましい。請求項8を参照されたい。
【0033】
式Iの化合物の製造方法では、X1及びX2が相互に独立して、−NA11'、又は
【化42】
であり、m’は、0、1、又は2であり、前記製造方法は、下記式
【化43】
[式中、X11及びX12は、ハロゲン、例えば臭素又はヨウ素を表す]
の化合物を、HNA11'
【化44】
の化合物と、塩基(例えば水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、又は炭酸ナトリウム)、及び触媒(例えば銅(0)、又は銅(I)(例えば銅、銅−ブロンズ、臭化ヨウ化銅(copper bromide iodide)、又は臭化銅)の存在下、溶媒(例えばトルエン、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシド)中で反応させることを有し、ここでA1、A1'、L3、L4、R1、R2、R41、及びm1は、上記定義の通りである。
【0034】
ウルマン縮合(Ullmann condensation)と言われるこの反応は、Yamamoto及びKurataによってChem. and Industry, 737-738 (1981)に、J. Mater. Chem. 14 (2004) 2516に、H. B. Good-brand et al.がJ. Org. Chem. 64 (1999) 670に、またK. D. Belfield et al.が、J. Org. Chem. 65 (2000) 4475に、触媒として銅を用いて記載されている。さらに、パラジウム触媒をアリールハロゲン化合物のカップリングのために使用することができ、これはM. D. Charles et al.が、Organic Lett. 7 (2005) 3965に、A. F. Littke et. al.がAngew. Chem. Int. Ed. 41 (2002) 4176に記載されており、またここで述べられた文献に記載されている。
【0035】
本発明による式Iの化合物は、以下の方法に従って製造することができ、当該方法は、下記式
【化45】
の誘導体を、
ホウ酸誘導体X12−Arと反応させるか、又は下記式
【化46】
の誘導体を、X11−Arと反応させ、ここでX11は、ハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモ、又はヨードを、好ましくはブロモ若しくはヨードを表し、最も好ましくは、ブロモを表し、X12は、以下の
【化47】
を意味し、
Arは、下記式
【化48】
の基(=第II群)、又はC10〜C28アリール基(=第III群)であり、ここで前記反応は、μ−ハロ(トリイソプロピルホスフィン)(η3−アリル)パラジウム(II)型のアリルパラジウム触媒の存在下で行う(例えばW099/47474参照)。
【0036】
この方法は好ましくは、有機溶媒の存在下で行い、前記有機溶媒は例えば、芳香族炭化水素、又は通常の極性有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、若しくはジオキサン、又はこれらの混合物であり、最も好ましいのは、トルエンである。溶媒の量は通常、ホウ酸誘導体1molあたり1〜10lの範囲で選択される。また、前記反応を不活性雰囲気下、例えば窒素若しくはアルゴン雰囲気下で行うことも好ましい。さらに、水性塩基(例えばアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属炭酸塩;例えばNaOH、KOH、Na2CO3、K2CO3、Cs2CO3など)の存在下で反応を行うことが好ましく、K2CO3水溶液を選択するのが好ましい。通常、塩基対ホウ酸若しくはホウ酸エステル誘導体のモル比は、0.5:1〜50:1の範囲、特に1:1で選択する。一般的に反応温度は40〜180℃の範囲に、好ましくは還流条件下に選択する。反応時間は好ましくは1〜80時間の範囲、より好ましくは20〜72時間の範囲で選択する。好ましい態様では、カップリング反応又は縮合反応に慣用の触媒を用い、ここでWO2007/101820に記載されているPdベースのものが好ましい。パラジウム化合物は、閉鎖される結合の数に基づき1:10000〜1:50の比率で、好ましくは1:5000〜1:200の比率で添加する。例えば、パラジウム(II)塩、例えばPdAc2、又はPd2dba3を用いること、及び以下の
【化49】
から成る基から選択される配位子を添加することが好ましく、ここで
【化50】
である。
【0037】
配位子は、Pdに対して1:1〜1:10の比で添加される。また、触媒を溶液又は懸濁液中で添加するのも好ましい。適切な有機溶媒は、上述のようなものが好ましく、好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン、THF、ジオキサンを、より好ましくはトルエン、又はこれらの混合物を使用する。溶媒の量は通常、ホウ酸誘導体1molあたり1〜10lの範囲で選択される。
【0038】
−L3−X1、及び−L4−X2が同一であり、かつ下記式
【化51】
のものである式Iの化合物は、Synthesis 2005, 47又はSynthesis 2003, 1683に従って、又はこれと同様に製造できる。このような反応の例を、以下に示す:
【化52】
【0039】
−L3−X1、及び−L4−X2が同一であり、かつ下記式
【化53】
のものである式Iの化合物は、Inorg. Chem. 2006,45,147又はInorg. Chem. 2005,44,1232に従って、又はこれと同様に製造できる(Ulmann反応)。
【化54】
ここで、X11は、臭素、又はヨウ素であり、好ましくはヨウ素である。
【0040】
−L3−X1、及び−L4−X2が同一であり、かつ下記式
【化55】
のものは、Adv. Funkt. Mater. 2006, 16, 1449に従って、又はこれと同様に製造できる。 このような反応の例を、以下に示す:
【化56】
【0041】
下記式の化合物
【化57】
式中、L3、L4、R1、及びR2は、請求項1で定義の通りであり、X11とX12はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、又は−OS(O)2CF3、−OS(O)2−アリール、特に
【化58】
、−OS(O)2CH3、−B(OH)2、−B(OY12
【化59】
−BF4Na、又はBF4Kであり、ここでY1はそれぞれ独立して、C1〜C10アルキル基であり、Y2はそれぞれ独立して、C2〜C10アルキレン基、例えば−CY34−CY56−、又は−CY78−CY910−CY1112−であり、ここでY3、Y4、Y5、Y6、Y7、Y8、Y9、Y10、Y11、及びY12は相互に独立して、水素若しくはC1〜C10アルキル基であり、特に−C(CH32C(CH32−、−CH2C(CH32CH2−、又は−C(CH32CH2C(CH32−である前記化合物は、式Iの化合物の製造における中間生成物であり、本発明のさらなる対象である。
【0042】
フェナントロ[9,10−b]フランの製造は、J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1989, 2329; Tetrahedron Letters 1969, 457; J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1991 , 3159、及びJ. Chem. Soc. Perkin Trans. 1990, 2127に記載されているように実施することができる。
【化60】
Rは、R1の意味を有する。
【0043】
Tetrahedron 2010, 66, 5612は、フェナントロ[9,10−b]フランの製造を記載しており、ここでR1とR2は、環を形成する。
【化61】
【0044】
環の芳香族化は、Synthetic Communications 2006, 36, 1983-1990又はSynthesis 2003, 13, 1977-1988に従って行うことができる。
【化62】
【0045】
ヒドロキシ基は、WO2006000544の例4及び5に記載の方法と同様にして、取り除くことができる。
【化63】
【0046】
本発明の化合物は、電子写真の光受容体、光電変換デバイス、有機太陽電池(有機の光起電装置)、スイッチングデバイス、例えば有機トランジスタ、例えば有機FET、及び有機TFT、有機発光電界効果トランジスタ(OLEFET)、イメージセンサ、色素レーザー、及びエレクトロルミネッセントデバイス(=有機発光ダイオード(OLED))に用いることができる。
【0047】
従って、本発明のさらなる対象は、本発明による化合物を含有する電子デバイスである。
【0048】
この電子デバイスは好ましくは、エレクトロルミネッセントデバイスである。
【0049】
式Iの置換化合物(第I群:例えばA−1〜A−9、及びB−1〜B−9)は、正孔輸送材料及び/又はホストとして使用できる。
【0050】
式Iの置換化合物(第II群:例えばC−1〜C−6、及びD−1〜D−6)は、電子輸送材料として使用できる。
【0051】
式Iの置換化合物(第III群:例えばE−1〜E−20、及びF−1〜F−20)は、電子輸送材料として使用できる。
【0052】
従って、本発明のさらなる対象は、本発明による化合物を含有する正孔輸送層又は電子輸送層である。
【0053】
1〜C25アルキル(C1〜C18アルキル)は通常、可能であれば直鎖状又は分枝鎖状である。その例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、及び2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、又はオクタデシルである。C1〜C8アルキルは通常、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、及び2−エチルヘキシルである。C1〜C4アルキルは通常、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチルである。
【0054】
2〜C25アルケニル基(C2〜C18アルケニル基)は、直鎖状又は分枝鎖状のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチルブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデカ−2−エニル、又はn−オクタデカ−4−エニルである。
【0055】
2〜C24アルキニル(C2〜C18アルキニル)は、直鎖状又は分枝鎖状であり、好ましくはC2〜C8アルキニルであり、これは非置換又は置換されており、例えばエチニル、1−プロピ−3−ニル、1−ブチ−4−ニル、1−ペンチ−5−ニル、2−メチル−3−ブチ−2−ニル、1,4−ペンタジ−3−ニル、1,3−ペンタジ−5−ニル、1−ヘキシン−6−イル、シス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジン−5−イル、1−オクチン−8−ニル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル、又は1−テトラコシン−24−イルである。
【0056】
1〜C25アルコキシ基(C1〜C18アルコキシ基)は、直鎖状又は分枝鎖状のアルコキシ基であり、その例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、又はt−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、及びオクタデシルオキシである。C1〜C8アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、2−ペンチルオキシ、3−ペンチルオキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ、及び2−エチルヘキシルオキシであり、好ましいのは、C1〜C4アルコキシ、例えば通常はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシである。
【0057】
「シクロアルキル基」という用語は通常、C4〜C18シクロアルキル、特にC5〜C12シクロアルキル、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロのニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルであり、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチルであり、これらは非置換でも、置換されていてもよい。
【0058】
1〜C18フルオロアルキル、特にC1〜C4フルオロアルキルは、分枝状又は非分枝状の基であり、ここで全ての、又は一部の水素原子は、Fによって置換されており、その例は−CF3−、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF32、−(CF23CF3、及び−C(CF33である。
【0059】
6〜C24アリール(任意で置換されていてよい)は通常、フェニル、4−メチルフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチルであり、特に1−ナフチル若しくは2−ナフチル、ビフェニリル、テルフェニリル、ピレニル、2−若しくは9−フルオレニル、フェナントリル、又はアントリルであり、これらは非置換であっても置換されていてもよい。
【0060】
2〜C20ヘテロアリールは、5〜7個の環原子を有する環、又は縮合環系を示し、ここで窒素、酸素、又は硫黄があり得るヘテロ原子であり、C2〜C20ヘテロアリールは通常、5〜30個の原子と共役π電子を少なくとも6個有する複素環基であり、その例は、チエニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロールイル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、キノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、又はフェノキサジニルであり、これらは非置換であっても、置換されていてもよい。
【0061】
6〜C24アリール及びC2〜C20ヘテロアリール基は好ましくは、1つ以上のC1〜C8アルキル基によって置換されている。
【0062】
「アリールエーテル基」とは通常、C6〜C24アリールオキシ基であり、これはつまり、O−C6〜C24アリール、例えばフェノキシ又は4−メトキシフェニルである。
【0063】
「アラルキル基」とは通常、C7〜C24アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ωフェニル−ドデシル、ω−フェニル−オクタデシル、ω−フェニル−エイコシル、又はω−フェニルドコシルであり、好ましいのはC7〜C18アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、又はωフェニル−オクタデシルであり、特に好ましいのは、C7〜C12アラルキル、例えばベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニルブチル、又はω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチルであり、ここで脂肪族炭化水素基も、芳香族炭化水素基も、非置換であっても、置換されていてもよい。
【0064】
アリーレン基の例は、フェニレン、ナフチレン、フェナレニレン、アントラシレン、及びフェナントリレンであり、これらは1つ以上のC1〜C18アルキル基によって任意で置換されていてもよい。好ましいアリーレン基は、1,3−フェニレン、3,6−ナフチレン、及び4,9−フェナレニレンであり、これらは1つ以上のC1〜C18アルキル基によって任意で置換されていてもよい。
【0065】
ヘテロアリーレン基の例は、1,3,4−チアジアゾール−2,5−イレン、1,3−チアゾール−2,4−イレン、1,3−チアゾール−2,5−イレン、2,4−チオフェニレン、2,5−チオフェニレン、1,3−オキサゾール−2,4−イレン、1,3−オキサゾール−2,5−イレン、及び1,3,4−オキサゾール−2,5−イレン、2,5−インデニレン、2,6−インデニレンであり、特にピラジニレン、ピリジニレン、ピリミジニレン、及びトリアゾリレンであり、これらは1つ以上のC1〜C18アルキル基によって任意で置換されていてもよい。好ましいヘテロアリーレン基は、2,6−ピラジニレン、2,6−ピリジニレン、4,6−ピリミジニレン、及び2,6−トリアゾリレンであり、これらは1つ以上のC1〜C18アルキル基によって任意で置換されていてもよい。
【0066】
上記基のあり得る置換基は、C1〜C18アルキル、ヒドロキシ基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、又はシアノ基である。
【0067】
「ハロアルキル」とは、上記アルキル基を部分的に又は完全に置換することによって得られる基を意味し、その例はトリフルオロメチルなどである。
【0068】
置換基(例えばR41)が1つの基に一度以上現れる場合、その置換基はそれぞれ異なっていてよい。
【0069】
「Gによって置換された」とは、置換基Gが1個以上、特に1〜3個、存在し得ることを意味する。
【0070】
上述のように上記基は、Eによって置換されていてよく、かつ/又は所望の場合には、Dによって中断されていてよい。中断はもちろん、単結合によって相互に接続された少なくとも2個の炭素原子を有する基の場合にのみ、可能である。C6〜C18アリールは、中断されていない。中断されたアリールアルキルは、アルキル分子中に単位Dを有する。1つ以上のEによって置換され、かつ/又は1つ以上の単位Dによって中断されたC1〜C18アルキルの例は、
(CH2CH2O)1-9−Rxであり、ここでRxは、H、又はC1〜C10アルキル、又はC2〜C20アルカノイル(例えばCO−CH−(C25)C49)、CH2−CH(ORy')−CH2−O−Ryであり、ここでRyは、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキル、フェニル、C7〜C15フェニルアルキルであり、Ry'は、Ryと同じ定義であるか、又はHであり、
1〜C8アルキレン−COO−Rz、例えばCH2COORz、CH(CH3)COORz、CH(CH32COORzであり、ここでRzは、H、C1〜C18アルキル、(CH2CH2O)1-9−Rxであり、Rxは上記定義の通りであり、CH2CH2−O−CO−CH=CH2、CH2CH(OH)CH2−O−CO−C(CH2)=CH2である。
【0071】
本願の有機電子デバイスは例えば、有機太陽電池(有機の光起電装置)、スイッチングデバイス、例えば有機トランジスタ、例えば有機FET、及び有機TFT、有機発光電界効果トランジスタ(OLEFET)、又は有機発光ダイオード(OLED))であり、OLEDが好ましい。
【0072】
式Iの化合物は好ましくは、電子輸送材料、正孔輸送材料、及び/又はリン光性材料のためのホストとして使用することができる。
【0073】
本願の特に好ましい態様では、式Iの化合物を、リン光性エミッタと組み合わせて、好ましくは有機発光デバイス中でホストとして使用する。
【0074】
リン光性材料
リン光性材料は単独で使用でき、また特定の場合においては、同じ層若しくは異なる層と相互に組み合わせて使用することができる。リン光性物質とその関連材料の例は、WO00/57676 , WO00/70655 , WO01 /41512 , WO02/1 5645 , US2003/0017361 , WO01/93642, WO01/39234, US6,458,475, WO02/071813, US6.573.651 , US2002/0197511 , WO02/074015, US6.451.455, US2003/0072964, US2003/0068528, US6,413,656, US6,515,298, US6.451.415, US6,097,147, US2003/0124381 , US2003/0059646, US2003/0054198, EP 1239526, EP 1238981 , EP1244155, US2002/0100906, US2003/0068526, US2003/0068535, JP2003073387, JP2003073388, US2003/0141809, US2003/0040627, JP2003059667, JP2003073665, US2002/0121638, WO06/000544, WO07/074093, WO07/1 15981 , WO08/101842, WO09/100991 , WO 1 0/129323, WO201 0056669, WO1 0086089, US2010/213834, US201 1/089407及び W01 1/073149に記載されている。
【0075】
IrL3及びIrL2L’型のシクロメタル化Ir(III)錯体(例えば緑色放射性fac−トリス(2−フェニルピリジナト−N,c2')イリジウム(III)、及びビス(2−フェニルピリジナト−N,c2'))イリジウム(III)(アセチルアセトネート)の放射波長は、シクロメタル化配位子L上の適切な位置における電子供与又は電子求引性の基による置換によって、又はシクロメタル化配位子Lとは異なる複素環を選択することによって、移動させることができる。放射波長はまた、補助配位子L’の選択によって、移動させることもできる。赤色発光物質の例は、ビス(1−(フェニル)イソキノリン)イリジウム(III)アセチルアネトネート、(アセチルアセトナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)ピリジナト−N,C3')イリジウム(III)−(アセチルアセトネート)、及びトリス(1−フェニルイソキノリナト−N,C)イリジウム(III)である。青色エミッタの例は、ビス(2−(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2')イリジウム(III)(ピコリネート)である。
【0076】
リン光性材料としてビス(2−(2’−ベンゾ[4,5−a]チエニル)ピリジナト−N,C3)イリジウム(アセチルアセトネート)[Btp2Ir(acac)]を用いた赤色エレクトロルミネッセンスは、報告されている(Adachi, C, Lamansky, S., Baldo, M. A. , Kwong, R. C, Thompson, M. E., and Forrest, S. R., App. Phys. Lett., 78, 1622 1624 (2001))。
【0077】
別の重要なリン光性材料には、シクロメタル化されたPt(II)錯体、例えばシス−ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2')白金(II)、シス−ビス(2−(2'−チエニル)ピリジナト−N,C3')白金(II)、シス−ビス(2−(2'−チエニル)キノリナト−N、C5')白金(II)、又は(2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−NC2')白金(II)アセチルアセトネートが含まれる。Pt(II)ポルフィリン錯体、例えば2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H、23Hポルフィン白金(H)もまた、有用なリン光性材料である。
【0078】
有用なリン光性材料の他の例には、三価ランタニドの配位錯体、例えばTh3+、及びEu3+が含まれる(J.Kido et al, Appl. Phys. Lett., 65, 2124 (1994))。
【0079】
他の重要なリン光性材料は、WO06/000544、及びWO2008/101842に記載されている。
【0080】
リン光性材料の例は、A−1〜A−234、B−1〜B−234、C−1〜C−44、及びD−1〜D−234の化合物であり、これらはWO2008/101842に記載されている。好ましい例はWO2009/100991に、例48〜53、及び54〜78として記載されている。
【0081】
有機電子デバイスの適切な構造は、当業者に公知であり、以下に詳述する通りである。
【0082】
有機トランジスタは一般的に、正孔輸送能力及び/又は電子輸送能力を有する有機層から形成された半導体層、電導層から形成されたゲート電極、及び半導体層と電導層との間に導入された絶縁層を有する。ソース電極とドレーン電極はこの配置上に搭載され、これによりトランジスタ素子が形成される。さらに、当業者に公知のさらなる層が、有機トランジスタ内に存在していてよい。
【0083】
有機太陽電池(光電変換素子)は一般的に、並列に配置された2つのプレート状電極の間に有機層を有する。この有機層は、組み合わせ型電極上に配置構成されていてよい。有機層の位置については特に制限はなく、また電極材料についても特に制限はない。しかしながら、並列に配置されたプレート状電極を用いる場合、少なくとも1つの電極が好ましくは、透明電極(例えばITO電極、又はフッ素ドープされた酸化スズ電極)から形成されているのが好ましい。有機層は、2つの補助層から形成されている。この2つの層とは、p型半導体特性又は正孔輸送能力を有する層と、n型半導体特性又は電子輸送特性で形成された層である。さらに、当業者に公知のさらなる層が、有機太陽電池内に存在していてよい。
【0084】
本発明はさらに、アノード(An)とカソード(Ka)、前記アノード(An)と前記カソード(Ka)との間に配置された発光層E、及び任意で少なくとも1つのさらなる層を有する有機発光ダイオードに関し、前記少なくとも1つのさらなる層は、正孔/励起子に対する少なくとも1つのブロック層、電子/励起子に対する少なくとも1つのブロック層、少なくとも1つの正孔注入層、及び少なくとも1つの正孔輸送層から選択される。
【0085】
本発明によるOLEDの構造
よって本発明による有機発光ダイオード(OLED)は、一般的に以下の構造を有する:
アノードAnとカソードKa、及び前記アノードAnと前記カソードKaとの間に配置された発光層E、並びに前記カソードKaと前記発光層Eとの間に配置された電子輸送層。
【0086】
本発明によるOLEDは例えば、好ましい態様では、以下の層から形成されていてよい:
1.アノード
2.正孔輸送層
3.発光層
4.正孔/励起子に対するブロック層
5.電子輸送層
6.カソード。
【0087】
上記構造とは異なる層順も可能であり、これは当業者に公知である。例えば、OLEDが上記全ての層を有さないことも可能である。例えば、前記層(1)、(3)、(4)、(5)、及び(6)を有するOLEDは、同様に適切である。OLEDはさらに、電子/励起子に対するブロック層を、正孔輸送層(2)と発光層(3)との間に有することができる。
【0088】
さらには、複数の上記機能(電子/励起子ブロック層、正孔/励起子ブロック層、正孔注入、正孔輸送、電子注入、電子輸送)を、1つの層内で組み合わせることも可能であり、これは例えば、この層内に存在する単一の材料によって可能であると考えられる。例えば1つの態様において、正孔輸送層内で使用される材料が、同時に励起子及び/又は電子をブロックすることができる。
【0089】
さらに、上記特定のOLEDの層はそれぞれ、2つ又は3つの層から形成されていてもよい。例えば、正孔輸送は電極から正孔が注入される層と、正孔注入層から発光層へと正孔を輸送する層とから形成されていてよい。電子輸送層は同様に、複数の層からなっていてよく、それは例えば電子が電極によって注入される層、及び電子注入層から電子を受け取る層、及びこれらを発光層に輸送する層である。上述のこれらの層はそれぞれ、例えばエネルギーレベル、熱抵抗、及び荷電担体のモビリティといった要因に応じて、また有機層又は金属電極により特定される層のエネルギー効率に応じて、選択される。当業者は、本発明に従って発光物質として用いられる有機化合物に最適に適合するように、OLEDの構造を選択することができる。
【0090】
特に効率的なOLEDを得るためには例えば、正孔輸送層のHOMO(最高被占軌道)をアノードの作用機能に適合させ、及び電子輸送層のLUMO(最低空軌道)を、カソードの作用機能に適合させるべきある(上記層が、本発明によるOLED内に存在する場合)。
【0091】
アノード(1)は、正電荷担体をもたらす電極である。これは例えば、金属、各種金属の混合物、金属合金、金属酸化物、又は各種金属酸化物の混合物から形成されていてよい。代替的に、アノードは導電性ポリマーであってよい。適切な金属には、金属、及び主族の金属の合金、遷移金属、及びランタノイド金属が含まれ、特に元素周期表のIb、IVa、Va、VIa族の金属、及びVIIIa族の遷移金属である。アノードが透明であるべき場合には一般的に、元素周期表(IUPAC)のIIb、IIIb、及びIVb族の混合金属酸化物が用いられ、その例はインジウムスズ酸化物(ITO)である。アノード(1)は同様に有機材料、例えばポリアニリンを有することができ、これは例えばNature, Vol.357, pp 477〜479(1992年6月11)に記載されている。形成される光を出すために、アノード又はカソードの少なくとも一方は、少なくとも部分的に透明であるべきである。アノード(1)のために使用される材料は好ましくはITOである。
【0092】
本発明によるOLEDの層(2)のための適切な正孔輸送材料は、例えばKirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 4th edition, Vol. 18, pp. 837 〜860, 1996年に開示されている。正孔輸送分子とポリマーは、正孔輸送材料として使用することができる。使用される正孔輸送分子は通常、以下のものから成る群から選択される:トリス[N−(1−ナフチル)−N−(フェニルアミノ)]トリフェニルアミン(1−ナフDATA)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、1,1−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC)、N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)−[1,1’−(3,3’−ジメチル)ビフェニル]−4,4’−ジアミン(ETPD)、テトラキス(3−メチルフェニル)−N,N,N’,N’−2,5−フェニレンジアミン(PDA)、α−フェニル−4−N,N−ジフェニルアミノスチレン(TPS)、p−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン(DEH)、トリフェニルアミン(TPA)、ビス[4−(N,N−ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル(4−メチルフェニル)メタン(MPMP)、1−フェニル−3−[p−(ジエチルアミノ)スチリル]−5−[p−(ジエチルアミノ)フェニル]ピラゾリン(PPR又はDEASP)、1,2−トランスビス(9H−カルバゾール−9−イル)シクロブタン(DCZB)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−(1,1’ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TTB)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDTA)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジン(β−NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロポリエステルビフルオレン(スピロ−TPD)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン(スピロ−NPB)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルフルオレン(DMFL−TPD)、ジ[4−(N,N−ジトルイルアミノ)フェニル]シクロヘキサン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチルベンジジン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,2−ジメチルベンジジン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノンジメタン(F4−TCNQ)、4,4’,4’’−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(PPDN)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)ベンジジン(MeO−TPD)、2,7−ビス[N,N−ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン(MeO−スピロ−TPD)、2,2’−ビス[N,N−ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン(2,2−MeO−スピロ−TPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ[4−(N,N−ジトルイルアミノ)フェニル]ベンジジン(NTNPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ[4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン(NPNPB)、N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,4−ジアミン(β−NPP)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン(DPFl−TPD)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニルフルオレン(DPFL−NPB)、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−TAD)、9,9−ビス[4−(N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ)フェニル]−9H−フルオレン(BPAPF)、9,9−ビス[4−(N,N−ビス(ナフタレン−2−イル)アミノ)フェニル]−9H−フルオレン(NPAPF)、9,9−ビス[4−(N,N−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビスフェニルアミノ)フェニル]−9H−フルオレン(NPBAPF)、2,2’7,7’−テトラキス[N−ナフタレニル(フェニル)アミノ]−9,9’−スピロビフルオレン(スピロ−2NPB)、N,N’−ビス(フェナントレン−9−イル)−スピロビフルオレン(スピロ−5)、2,2’−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン(2,2’−スピロDBP)、2,2’−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン(スピロ−BPA)、2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジトルイル)アミノスピロビフルオレン(スピロ−TTB)、N,N,N’,N’−テトラナフタレン−2−イルベンジジン(TNB)、ポルフィリン化合物、及びフタロシアニン、例えば銅フタロシアニン、及び酸化チタンフタロシアニンである。通常使用される正孔輸送ポリマーは、ポリビニルカルバゾール、(フェニルメチル)ポリシラン、及びポリアニリンから成る群から選択される。同様に、正孔輸送分子をポリマー(例えばポリスチレン及びポリカーボネート)にドープすることによって、正孔輸送ポリマーを得ることもできる。適切な正孔輸送分子は、上述の分子である。
【0093】
さらに、1つの態様では、カルベン錯体を正孔輸送材料として用いることができ、少なくとも1つの正孔輸送材料のバンドギャップは一般的に、使用される発光材料のバンドギャップよりも大きい。本願の文脈において「バンドギャップ」とは、三重項エネルギーであると理解される。適切なカルベン錯体は例えば、WO 2005/019373 A2, WO 2006/056418 A2, WO 2005/113704, WO 2007/115970, WO 2007/115981及びWO 2008/000727に記載されるカルベン錯体である。適切なカルベン錯体の例は、fac−イリジウム−トリス(1,3−ジフェニルベンゾイミダゾリン−2−イリデン−CC2')(Ir(dpbic)3)であり、これは例えば、WO2005/019373に開示されている。 好ましくは、正孔輸送層は式
【化64】
の化合物を含有し、これは酸化モリブデン(MoOx)、特にMoO3、又は酸化レニウム(ReOx)特にReO3でドープされている。このドーパントは、ドーパントとカルベン錯体の量に対して、0.1〜60質量%、好ましくは10〜50質量%の量で含まれている。
【0094】
さらに、1つの態様では、式Iの置換化合物(第I群:例えばA−1〜A−9、及びB−1〜B−9)は、正孔輸送材料として使用できる。
【0095】
発光層(3)は、発光材料を少なくとも1つ有する。これは原則的に、蛍光性又はリン光性のエミッタであってよく、適切な発光材料は、当業者に公知である。少なくとも1つの発光材料は好ましくは、リン光性エミッタである。使用するのが好ましいリン光性エミッタ化合物は、金属錯体ベースのものであり、特にRu、Rh、Ir、Pd、及びPtの金属錯体であり、特にIrの錯体が重要である。
【0096】
本発明によるOLEDで使用するための適切な金属錯体は例えば、WO 02/60910 A1 , US 2001/0015432 A1 , US 2001/0019782 A1 ,US 2002/0055014 A1 , US 2002/0024293 A1 , US 2002/0048689 A1 , EP 1 191 612 A2, EP 1 191 613 A2, EP 1 211 257 A2, US 2002/0094453 A1 , WO 02/02714 A2, WO 00/70655 A2, WO 01/41512 A 1 , W O 02/15645 A1 , WO 2005/019373 A2,WO 2005/113704 A2 , WO 2006/1 15301 A1 , WO 2006/067074 A1 , WO 2006/056418,WO 200612181 1 A1 , WO 20070951 18 A2, WO 2007/1 15970, WO 2007/1 15981 and WO 2008/000727, WO06/000544, WO07/074093, WO07/1 15981 , WO08/101842, WO09/100991 , WO10/129323, WO2010056669, WO10086089, US2010/213834, US201 1/089407及びW01 1/073149に記載されている。
【0097】
本発明の1つの態様において式Xの化合物は、発光層中でマトリックス材料として、カルベン錯体とともに三重項エミッタとして用いられる。
【化65】
上記式中、Xは、NR24、S、O、又はPR24であり、
24は、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり、
Aは−NR2627、−P(O)R28'27、−P(O)R28'29、−PR1011、−S(O)212、−S(O)R13、−Sr14、又は−OR15であり、
1、R2、及びR3はそれぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルであり、ここで基R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つが、アリール又はヘテロアリールであり、
4、及びR5はそれぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、基A、又はドナー特性若しくはアクセプター特性を有する基であり、
n及びmは、相互に独立して0、1、2、又は3であり、
26、R27は窒素原子とともに、環原子を3〜10個有する環残基を形成し、これは非置換であるか、又は1個以上の置換基によって置換されており、当該置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びドナー特性若しくはアクセプター特性を有する基から選択され、かつ/又は前記環残基は、環原子を3〜10個有する1個以上の別の環残基と環状になっていてよく、ここで環状の残基は、非置換であるか、又は1個以上の置換基で置換されていてよく、当該置換基は、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びドナー特性若しくはアクセプター特性を有する基から選択され、
28'、R29、R10、R11、R12、R13、R14、及びR15は、相互に独立して、アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル、又はヘテロシクロアルキルである。式Xの化合物、例えば
【化66】
は、WO2010079051 (PCT/EP2009/067120)に記載されている(特にp19〜26、及びp27〜34の表、p35〜37、及びp42〜43)。
【0098】
ジベンゾフランベースのさらなるマトリックス材料は例えば、US2009066226, EP1885818B1 , EP1970976, EP1998388及びEP2034538に記載されている。特に好ましいマトリックス材料を以下に示す:
【化67-1】
【化67-2】
【化67-3】
【化67-4】
【0099】
上記化合物中、TはO又はSであり、好ましくはOである。Tが1つの分子中に一回以上現れる場合、基Tはすべて、同じ意味を有する。
【0100】
本発明の特に好ましい態様において、式Iの化合物、特に式Iの置換化合物(第I群:例えばA−1〜A−9、及びB−1〜B−9)は、発光層中でマトリックス材料(ホスト)として、リン光性材料(三重項エミッタ)とともに使用され、これは例えば、WO06/000544, WO2008/101842及びWO2009100991に記載されている。リン光性材料の例は、A−1〜B−234、B−1〜B−234、C−1〜C−44、及びD−1〜D−234の化合物であり、これらはWO2008/101842に記載されている。好ましい例はWO2009/100991に、例48〜53、及び54〜78として記載されている。
【0101】
さらなる態様において式Xの化合物は、正孔/励起子ブロック材料として用いられ、好ましくは上記の三重項エミッタとともに使用される。式Xの化合物は、マトリックス材料として、又はマトリックス材料と正孔/励起子ブロック材料の両方として、上記三重項エミッタとともに使用できる。よって、マトリックス材料及び/又は正孔/励起子ブロック材料として、OLEDにおいて式Xの化合物とともに用いるのに適切な金属錯体は例えばまた、WO 2005/019373 A 2 , W O 2006/056418 A2, WO 2005/1 13704, WO 2007/115970, WO 2007/1 15981及びWO 2008/000727に記載されたカルベン錯体である。ここで、WO出願の開示内容について明示的に参照した場合、これらの開示内容は、本願の内容に組み込まれると理解されるべきである。
【0102】
OLEDで通常使用される正孔ブロック材料は、式Xの化合物、2,6−ビス(N−カルバゾリル)ピリジン(mCPy)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バソクプロイン(BCP))、ビス(2−メチル−8−キノリナト)−4−(フェニルフェニラト)アルミニウム(III)(BAlq)、フェノチアジンS,S−ジオキシド誘導体、及び1,3,5−トリス(N−フェニル−2−ベンジルイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)であり、TPBIはまた、電子電導材料としても適切である。さらに適切な正孔ブロック材料及び/又は電子輸送材料は、2,2’,2"−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム、4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール、6,6’−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−2−イル]−2,2’−ビピリジル、2−フェニル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2,7−ビス[2−(2,2−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン、1,3−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン、2−(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、トリス−(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、1−メチル−2−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−f][1,10]−フェナントロリンである。さらなる態様では、カルボニル基を有する基を介して結合された芳香族環又は芳香族複素環を有する化合物を使用することができ、これはWO2006/100298に開示されているように、ジシリル化合物であって、ジシリルカルバゾール、ジシリルベンゾフラン、ジシリルベンゾチオフェンS−酸化物、及びジシリルベンゾチオフェンS,S−二酸化物から成る群から選択されるものであり、詳細には例えば、WO2009003919 (PCT/EP2008/058207)及びWO2009003898 (PCT/EP2008/058106)に記載されており、WO2008/034758にはジシリル化合物が、正孔/励起子(4)に対するブロック層として、又は発光層(3)におけるマトリックス材料として開示されている。
【0103】
好ましい態様において本発明は、(1)アノード、(2)正孔輸送層、(3)発光層、(4)正孔/励起子に対するブロック層、(5)電子輸送層、及び(6)カソード、並びに任意でさらなる層を有する本発明によるOLEDに関する。
【0104】
本発明によるOLEDの層(5)に適した電子輸送材料は、以下のものを包含する:オキシノイド化合物にキレートされた金属、例えば2,2’、2"−(1,3,5−フェニレン)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](TPBI)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、(Alq3)、フェナントロリンベースの化合物、例えば2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DDPA=BCP)、又は4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(DPA)、及びアゾール化合物、例えば2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、及び3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BPhen)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(Bpy−OXD)、6,6’−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−2−イル]−2,2’−ビピリジル(BP−OXD−Bpy)、4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール(NTAZ)、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(NBphen)、2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン(Bby−FOXD)、1,3−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン(OXD−7)、トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン(3TPYMB)、1−メチル−2−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5−f][1,10]フェナントロリン(2−NPIP)、2−フェニル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(PADN)、2−(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(NHBphen)。層(5)は、電子輸送を容易にするため、またOLEDの層のインターフェースで励起子の消滅を防止するためのバッファ層又はバリア層としても役立つ。層(5)は好ましくは、電子のモビリティを改善し、かつ励起子の消滅を減少させる。好ましい態様において、CsCO3でドープされたBCPは、電子輸送材料として使用される。原則的には、電子輸送(導電性)層は、式(I)の化合物を少なくとも1つ、電子輸送材料として有する。
【0105】
さらに、1つの態様では、式Iの置換化合物(例えば第II群及び第III群:C1〜C−6、D−1〜D−6、E−1〜E−20、及びF−1〜F20)を、電子輸送材料として用いることができる。
【0106】
正孔輸送材料及び電子輸送材料として述べた上記材料のうち、複数の機能を満たすものがある。例えば幾つかの電子輸送材料は、HOMOが低い時には、同時に正孔ブロック材料である。これらは例えば、正孔/励起子に対するブロック層(4)として使用できる。
【0107】
電荷輸送層はまた、使用される材料の輸送特性を改善するため、第一には層厚にを熱くするため(ピンホール/短絡の回避)、第二にデバイスの稼働電圧を最小化するため、電気的にドープされていてよい。正孔輸送材料は例えば、電子アクセプターによってドープされていてよい。例えばフタロシアニン又はアリールアミン、例えばTPD若しくはTDTAは、テトラフルオロテトラシアンキノジメタン(F4−TCNQ)で、又はMoO3又はWO3でドープできる。電気的なドーピングは、当業者に公知であり、例えばW.Gao, A. Kahn, J. Appl. Phys., Vol. 94, No. 1 , 1 July 2003 (p-doped organic layers); A. G. Werner, F. Li, K. Harada, M. Pfeiffer, T. Fritz, K. Leo. Appl. Phys. Lett., Vol. 82, No. 25, 2003年6月23日、及びPfeiffer et al., Organic Electronics 2003, 4, 89 - 103に開示されている。正孔輸送層は例えば、カルベン錯体(例えばIr(dpbic)3)に加えて、MoO3、ReO3、又はWO3によってドープすることができる。
【0108】
カソード(6)は、電子又は負電荷担体を導入するのに役立つ電極である。カソードに適切な材料は、元素周期表(旧IUPAC)でIa族のアルカリ金属、例えばLi、Cs、IIa族のアルカリ土類金属、例えばカルシウム、バリウム、若しくはマグネシウム、IIb族の金属(これには、ランタニドとアクチニド、例えばサマリウムが含まれる)から成る群から選択される。さらに、アルミニウム又はインジウムといった金属、及び上記すべての金属の組み合わせを用いることができる。さらに、リチウム含有有機金属化合物、又はフッ化カリウム(KF)は、稼働電圧を減少させるため、有機層とカソードとの間に適用することができる。
【0109】
本発明によるOLEDはさらに、当業者に公知のさらなる層を有することができる。例えば、正電荷の輸送を容易にする、かつ/又は層間のバンドギャップを相互に適合させる層を、層(2)と発光層(3)との間に用いることができる。代替的に、このさらなる層は、保護層として用いられてよい。同様にさらなる層が、負電荷の輸送を容易にするため、かつ/又は層間のバンドギャップを相互に適合させるため、発光層(3)と層(4)との間に存在してよい。代替的に、この層は、保護層として用いられてよい。
【0110】
好ましい態様において本発明によるOLEDは、層(1)〜(6)に加えて、以下に記載する層を少なくとも1つ有する:
・アノード(1)と正孔輸送層(2)との間の正孔注入層
・正孔輸送層(2)と発光層(3)との間の電子ブロック層
・電子輸送層(5)とカソード(6)の間の電子注入層。
【0111】
正孔注入層のための材料は、以下のものから選択することができる:銅フタロシアニン、4,4’,4"−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4"−トリス(N−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(2T−NATA)、4,4’,4"−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ)トリフェニルアミン(1T−NATA)、4,4’,4"−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(NATA)、チタンオキシドフタロシアニン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(PPDN)、N,N,N’.N’,−テトラキス(4−メトキシフェニル)ベンジジン(MeO−TPD)、2,7−ビス[N,N−ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン(MeO−スピロ−TPD)、2,2’−ビス[N,N−ビス(4−メトキシフェニル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン(2,2’−MeO−スピロ−TPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジトリルアミノ)フェニル]ベンジジン(NTNPB)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ−[4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル]ベンジジン(NPNPB)、N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンゼン−1,4−ジアミン(α−NPP)。原則的に正孔注入層は、式Xの化合物を少なくとも1つ、正孔注入材料として有する。さらに、ポリマーの正孔注入材料を使用することができ、それは例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、自己ドープ性ポリマー、例えばスルホン化ポリ(チオフェン−3−[2[(2−メトキシエトキシ)エトキシ]−2,5−ジイル](Plexcore(登録商標)OC、導電性インキ、Plextronicsから市販で入手可能)、及びコポリマー、例えばポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)であり、これはPEDOT/PSSとも呼ばれる。
【0112】
電子注入層のための材料としては例えば、KF、又は
【化68】
(8−ヒドロキシキノリノラトリチウム(Liq))が選択できる。KFが、Liqよりも好ましい。
【0113】
当業者には、適切な材料をどのように選択すべきかがわかる(例えば電気化学分野の知識に基づいて)。各層に適切な材料は当業者に公知であり、例えばWO00/70655に開示されている。
【0114】
さらに、本発明によるOLEDで使用される層の幾つかは、電荷担体輸送の効率を上げるため、表面処理されていてよい。各層について挙げた材料の選択は好ましくは、高い効率で長い寿命を有するOLEDが得られるように決定する。
【0115】
本発明によるOLEDは、当業者に公知の方法で製造することができる。一般的に、本発明によるOLEDは、各層を適切な基板に順次蒸着させることによって得られる。適切な基板は例えば、ガラス、無機の半輸送体(semi-transport:通常はITO若しくはIZO)、又はポリマーフィルムである。蒸着のためには、慣用の技術を使用することができ、例えば熱蒸着、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)などである。代替的な方法においてOLEDの有機層は、当業者に公知のコーティング技術を用いて、適切な溶媒中で溶液又は分散液から適用できる。
【0116】
一般的に、異なる層は以下の厚さを有する:アノード(1)は50〜500nm、好ましくは100〜200nm;正孔伝導層(2)は5〜100nm、好ましくは20〜80nm;発光層(3)は1〜100nm、好ましくは10〜80nm;正孔/励起子に対するブロック層(4)は2〜100nm、好ましくは5〜50nm;電子伝導層(5)は5〜100nm、好ましくは20〜80nm;カソード(6)は20〜1000nm、好ましくは30〜500nm。カソード、ひいてはOLEDの放出スペクトルに関連して、本発明によるOLEDにおける正孔と電子の再結合ゾーンの相対的な位置は、各種要因のなかでも特に各層の相対的な厚さによって影響を受けることがある。これはつまり、電子輸送層の厚さを好ましくは、再結合ゾーンの位置が、ダイオードの光学共振特性に適合するように、ひいてはエミッタの放出波長に適合するように選択すべきであるということである。OLEDにおける各層の層厚の比率は、使用する材料次第である。使用するさらなる層の層厚は、当業者に公知である。電子伝導層及び/又は正孔伝導層は、電気的にドープされている場合、規定の層厚より厚くてもよい。
【0117】
本願の電子輸送層を用いることによって、効率が高く、稼働電圧が低いOLEDを得ることができる。しばしば、本願の電子輸送層を用いることによって得られるOLEDはさらに、寿命が長い。OLEDの効率はさらに、OLEDの他の層を最適化することによって改善することができる。成形基板、及び新規の正孔輸送材料(これらにより稼働電圧の減少、又は量子効率の上昇が得られる)は、同様に本発明によるOLEDで使用できる。さらに、異なる層のエネルギーレベルを調節するため、及びエレクトロルミネッセンスを容易にするために、OLED中に別の層が存在していてよい。
【0118】
OLEDはさらに、少なくとも1つの第二発光層を有することができる。OLEDの発光全体は、少なくとも2つの発光層の発光から構成されていてよく、また白色光を含むことができる。
【0119】
OLEDは、エレクトロルミネッセンスが有用なあらゆる装置で使用できる。適切なデバイスは好ましくは、据え置き型、及び携帯型のディスプレー装置、及びイルミネーション装置から選択される。据え置き型のディスプレー装置は例えば、コンピューターのディスプレー装置、テレビ;プリンター、台所器具、及び広告パネルにおけるディスプレー装置;イルミネーション、及び情報パネルである。携帯型のディスプレー装置は例えば、携帯電話、ラップトップ、デジタルカメラ、MP3プレーヤー、乗り物におけるディスプレー、及びバスや電車での目的地表示である。本発明によるOLEDが使用可能なさらなるデバイスは例えば、キーボード、服飾品、家具、壁紙である。
【0120】
さらに、本願の化合物は、OLEDにおいて逆構造で使用することができる。逆構造のOLED、及びそこで通常使用される材料は、当業者に公知である。
【0121】
さらに本発明は、以下の群:
据え置き型ディスプレー装置、例えばコンピューターのディスプレー装置、テレビ、プリンター、台所器具及び広告パネルにおけるディスプレー装置、イルミネーション、情報パネル、及び携帯型のディスプレー装置、例えば携帯電話、ラップトップ、デジタルカメラ、MP3プレーヤー、乗用車におけるディスプレー装置、並びにバス及び電車での目的地表示ディスプレー、イルミネーション装置、キーボード、服飾品、家具、壁紙
から選択される装置に関し、当該装置は、本発明による有機電子デバイスを有するか、又は本発明による正孔輸送層を有するか、又は本発明による電子輸送層を有するものである。
【0122】
以下の実施例は説明のみを目的とするものであり、特許請求の範囲を制限するものではない。特に言及しない限り、全ての部とパーセンテージは質量に関するものである。
【0123】
実施例
例1
【化69】
a)水50ml中の水酸化リチウム6.88g(164mmol)を、塩化メチレン200ml中の2,7−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオン20g(54.6mmol)及びベンジル(トリフェニル)ホスホニウムクロリド43.6g(112mmol)に添加する。 この反応混合物を、25℃で4時間撹拌する。この有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒を留去し、生成物は、エタノール中に煎出する(収率:20g(69%))。
【化70】
b)2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)2.50g(11.0mmol)を、クロロベンゼン25ml中の5,10−ジブロモ−2,3−ジフェニル−2,3−ジヒドロフェナントロ[9,10−b]フラン5.6g(10.0mmol)に添加する。この反応混合物を2時間、窒素下で還流し、ジクロロメタンを添加し、そしてこの反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。この有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させる。 溶媒を留去し、生成物は、ジブチルエーテル中に煎出する(収率:4.80g(91%))。
【化71】
c)ナトリウムt−ブトキシド2.01g(20.9mmol)を、トルエン100ml中の例1bの生成物4.80g(9.08mmol)に添加する。N−フェニルアニリン3.38g(20.0mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。酢酸パラジウム(II)102mg(0.45mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。トリ−t−ブチルホスフィン184mg(91mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。この反応混合物を18時間、90℃でアルゴン下で撹拌する。1%のシアン化ナトリウム溶液を添加し、この混合物をジクロロメタンで抽出する。この有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒を留去する。トルエン/シクロヘキサン(1:4)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物についての結果は以下の通りである(収率:3.18g(50%)):
【0124】
例2
【化72】
例1c)を繰り返すのだが、N−フェニルアニリンの代わりに
【化73】
を用いる。化合物A−2が、54%の収率で得られる。
【0125】
本願による実施例1
アノードとして用いるITO基板を、まず市販のLCD製造用洗浄剤(Deconex(登録商標)20NS、及び25ORGAN-ACID(登録商標)中和剤)で洗浄し、それから超音波浴内のアセトン/イソプロパノール混合物中に入れる。あらゆる有機残渣を排除するため、基板をオゾン炉中でさらに25分間、連続的なオゾン流にさらす。この処理によってまた、ITOの正孔輸送特性が改善する。それからPlexcore(登録商標)OC AJ20-1000(Plextronics Inc.社から市販で入手可能)をスピンコートし、乾燥させて正孔注入層を得る(〜40nm)。
【0126】
その後、以下に規定する有機材料を、蒸着によってきれいな基板に、約10-7〜10-9mbarで、約0.5〜5nm/分の速度で適用する。正孔輸送と励起子のブロッカーとしてIr(dpbic)3(この製造については、WO2005/019373の出願におけるIr錯体(7)を参照)を、厚さ45nmで基板に適用し、ここで最初の35nmには、導電性改善のためにMoOx(〜10%)がドープされている。
【化74】
これにより、下記化合物
【化75】
10質量%と、化合物A−1(マトリックス材料)90質量%との混合物が、蒸着により厚さ20nmで適用される。
【0127】
これにより、材料のビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq)が、蒸着により厚さ10nmで励起子と正孔のブロッカーとして適用される。
【0128】
次に、
【化76】
93質量%と、Cs2CO37質量%との混合物を、電子輸送層として蒸着により厚さ50nmで適用し、最後に厚さ100nmのAl電極を、蒸着により適用する。
【0129】
事前に作成された部品はすべて、ガラス蓋で窒素雰囲気内に封止されている。
【0130】
本願に対する比較例1
OLEDの製造と構成は本願実施例1と同様に行うのだが、化合物A−1の代わりにホストとしてα−NPDを用いる。
【0131】
OLEDを同定するため、エレクトロルミネッセンススペクトルを様々な電流と電圧で記録する。さらに電流−電圧特性を、放出される出力光とともに測定する。出力光は、光度計による較正によって、光度パラメーターに変換できる。寿命を特定するため、OLEDを一定の電圧密度で稼働させ、出力光の減少を記録する。寿命は、ルミネッセンスが初期ルミネッセンスの半分に減少して駄目になるまでの時間として規定される。
【表1】
1)外部光子効率(EQE)は、基板又はデバイスから逃げた生成光子の数/それを通じて流れる電子の数である。
【0132】
ホストとして化合物A−1を用いる本願実施例1のデバイスは、α−NPDをホストとして用いる本願比較例1のデバイスと比べて、外部量子効率が良好である。
【0133】
本願による実施例2
正孔注入層の後、以下に規定する有機材料を、蒸着によってきれいな基板に、約10-7〜10-9mbarで、約0.5〜5nm/分の速度で適用する。正孔輸送と励起子ブロッカーとしてα−NPDを基板に20nmの厚さで適用し、ここで最初の10nmが、導電性改善のためにMoOx(〜10%)でドープされている。
【0134】
これにより、下記化合物
【化77】
10質量%と、化合物A−2(マトリックス材料)90質量%との混合物が、蒸着により厚さ20nmで適用される。
【0135】
これにより、材料のBAlqが、蒸着により厚さ10nmで励起子と正孔のブロッカーとして適用される。次に、BCP93質量%と、Cs2CO37質量%との混合物を、電子輸送層として蒸着により厚さ50nmで適用し、最後に厚さ100nmのAl電極を、蒸着により適用する。
【0136】
本願に対する比較例2
OLEDの製造と構成は本願実施例2と同様に行うのだが、化合物A−2の代わりにホストとして4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を用いる。
【表2】
1)HTL=正孔輸送層。
【0137】
ホストとして化合物A−1を用いる本願実施例2のデバイスは、α−NPDをホストとして用いる本願比較例2のデバイスと比べて、寿命が良好である。
【0138】
本願による実施例3
正孔注入層の後、以下に規定する有機材料を、蒸着によってきれいな基板に、約10-7〜10-9mbarで、約0.5〜5nm/分の速度で適用する。正孔輸送と励起子ブロッカーとして化合物A−2を基板に20nmの厚さで適用し、ここで最初の10nmが、導電性改善のためにMoOx(〜10%)でドープされている。
【0139】
これにより、下記化合物
【化78】
10質量%と、化合物α−NPD(マトリックス材料)90質量%との混合物が、蒸着により厚さ20nmで適用される。
【0140】
これにより、材料のBAlqが、蒸着により厚さ10nmで励起子と正孔のブロッカーとして適用される。次に、
【化79】
93質量%と、Cs2CO37質量%との混合物を、電子輸送層として蒸着により厚さ50nmで適用し、最後に厚さ100nmのAl電極を、蒸着により適用する。
【表3】
【0141】
正孔輸送材料(HTM)として化合物A−1を用いる本願実施例3のデバイスは、α−NPDをHTMとして用いる本願比較例2のデバイスと比べて、寿命が良好である。
【0142】
例3
【化80】
【0143】
ナトリウムt−ブトキシド0.84g(8.74mmol)を、トルエン60ml中の例1bの生成物2.10g(3.98mmol)に添加する。カルバゾール0.70g(8.37mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。酢酸パラジウム(II)43mg(0.19mmol)を添加する。トリ−t−ブチルホスフィン77mg(0.38mmol)を添加する。この反応混合物を24時間、100℃でアルゴン下で撹拌する。この反応混合物をシリカゲルのプラグを通じて濾過し、濾液の溶媒を留去する。トルエン/シクロヘキサン(1:4)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物(化合物A−8)についての結果は以下の通りである(収率:1.31g(47%)):
【0144】
例4
【化81】
【0145】
a)水25ml中の水酸化リチウム1.96g(81.9mmol)を、3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオン(Brunner, Klemens; Dijken, Addy van; Boerner, Herbert; Bastiaansen, Jolanda J. A. M.; Kiggen, Nicole M. M.; Langeveld, Bea M. W. ; J. Am. Chem. Soc. 126 (2004) 6035-6042)10.0g(27.3mmol)、及び塩化メチレン230ml中のベンジル(トリフェニル)ホスホニウムクロリド21.7g(55.8mmol)に添加する。この反応混合物を、25℃で20時間撹拌する。水100mlを添加し、有機層を分離する。この水性層を塩化メチレンで抽出し、1まとめにした有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を留去し、生成物はエタノール中に煎出する(収率:10.4g(72%))。
【化82】
【0146】
b)2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(DDQ)4.70g(20.7mmol)を、クロロベンゼン50ml中の6,9−ジブロモ−2,3−ジフェニル−2,3−ジヒドロフェナントロ[9,10−b]フラン10.0g(18.8mmol)に添加する。この反応混合物を4時間、窒素下で還流し、ジクロロメタンを添加し、そしてこの反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。この有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させる。 溶媒を留去し、生成物は、ジブチルエーテル中に煎出する。トルエン/シクロヘキサン(4:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物についての結果は以下の通りである(収率:5.40g(54%)):
【化83】
【0147】
c)ナトリウムt−ブトキシド0.42g(4.35mmol)を、トルエン15ml中の例4bの生成物1.00g(1.89mmol)に添加する。N−フェニル−N−ナフチルアミン0.91g(4.16mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。酢酸パラジウム(II)21mg(0.09mmol)を添加する。トリ−t−ブチルホスフィン38mg(0.19mmol)を添加する。この反応混合物を18時間、100℃でアルゴン下で撹拌する。この反応混合物をシリカゲルのプラグを通じて濾過し、濾液の溶媒を留去する。トルエン/シクロヘキサン(1:4)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物(B−2)についての結果は以下の通りである(収率:540mg(35%)):
【0148】
例5
【化84】
ナトリウムt−ブトキシド0.42g(4.35mmol)を、トルエン30ml中の例4bの生成物1.00g(1.89mmol)に添加する。カルバゾール0.70g(4.19mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。酢酸パラジウム(II)21mg(0.09mmol)を添加する。トリ−t−ブチルホスフィン38mg(0.19mmol)を添加する。この反応混合物を24時間、100℃でアルゴン下で撹拌する。この反応混合物をシリカゲルのプラグを通じて濾過し、濾液の溶媒を留去する。トルエン/シクロヘキサン(1:4)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物(B−8)についての結果は以下の通りである(収率:720mg(54%)):
【0149】
例6
【化85】
【0150】
ナトリウムt−ブトキシド0.84g(8.74mmol)を、トルエン60ml中の例1bの生成物2.10g(3.98mmol)に添加する。ピレン−1−ホウ酸2.10g(8.53mmol)を添加する。この反応混合物を、アルゴンで脱気する。酢酸パラジウム(II)43mg(0.19mmol)を添加する。トリ−t−ブチルホスフィン77mg(0.38mmol)を添加する。この反応混合物を24時間、100℃でアルゴン下で撹拌する。塩化メチレンをこの反応混合物に添加し、それから溶解していない残留物を濾別し、廃棄する。この濾液の溶媒を留去する。n−ヘキサン・酢酸エチル(9:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物についての結果は以下の通りである(収率:290mg(54%)):MS(MALDI(pos):m/z(%)):770(M+,100%)。
【0151】
例7
【化86】
【0152】
a)2.5Mのn−ブチルリチウムをヘキサン中に溶かした溶液7.2ml(18.0mmol)を、水不含のテトラヒドロフラン(THF)中の例1b)の生成物3.95g(7.48mmol)に、アルゴン下、−78℃で添加する。この反応混合物を、−78℃で30分間撹拌する。2−イソプロポキシ−4,4’,5,5’−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを添加する。この反応混合物を30分間撹拌し、それから25℃に温め、水中に注ぎ、この水相をジエチルエーテル及びジクロロメタンで抽出する。この有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去する。この生成物は精製をせずに、次の反応工程のために用いる。
【化87】
【0153】
b)炭酸カリウムの2M水溶液10mlを、ジオキサン10ml及びトルエン50mlの混合物中にある、例7a)の生成物1.80g(2.89mmol)及び2−クロロ−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン1.70g(6.36mmol)に添加する。それからこの反応混合物を、アルゴンで脱気する。2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジ−メトキシビフェニル(sPhos)143mg(0.35mmol)、及び酢酸パラジウム(II)6.5mg(0.029mmol)を添加し、この反応混合物を24時間120℃でアルゴン下で撹拌する。1%のシアン化ナトリウム水溶液40mlを添加し、この反応混合物を100℃で1時間撹拌する。 溶媒を留去し、生成物を濾別する。この生成物を水とエタノールで洗浄する。トルエン、トルエン/酢酸エチル(10:1)、トルエン/酢酸エチル(1:1)、及びトルエン/エタノール(10:1)を用いたシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによれば、生成物についての結果は以下の通りである(E−19;収率:41mg(2%)):MS(APCI(pos):m/z(%):833(M+1,100%)。