特許第6016250号(P6016250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6016250ナトリウム−金属塩化物系二次電池及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016250
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】ナトリウム−金属塩化物系二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0563 20100101AFI20161013BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20161013BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20161013BHJP
   H01M 4/583 20100101ALI20161013BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20161013BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20161013BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20161013BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   H01M10/0563
   H01M10/054
   H01M4/58
   H01M4/583
   H01M10/058
   H01M4/62 Z
   H01M4/48
   H01M4/40
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-173242(P2014-173242)
(22)【出願日】2014年8月27日
(65)【公開番号】特開2015-76401(P2015-76401A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2014年8月27日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0119667
(32)【優先日】2013年10月8日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503257778
【氏名又は名称】コリア エレクトロニクス テクノロジ インスティチュート
(73)【特許権者】
【識別番号】512172187
【氏名又は名称】インダストリー−ユニバーシティー コーポレーション ファウンデーション ハンヤン ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100092956
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 栄男
(74)【代理人】
【識別番号】100101018
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 正
(72)【発明者】
【氏名】キム・ヨン チョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ク チン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ハン ス
【審査官】 小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭51−025230(JP,B1)
【文献】 特開昭59−049159(JP,A)
【文献】 特表2010−509719(JP,A)
【文献】 特表2013−519967(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0308876(US,A1)
【文献】 特公昭51−016609(JP,B1)
【文献】 特表2007−506260(JP,A)
【文献】 米国特許第06511773(US,B1)
【文献】 米国特許第04892796(US,A)
【文献】 特表平04−500286(JP,A)
【文献】 特表2004−536427(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第03604541(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/054
H01M 4/40
H01M 4/48
H01M 4/58
H01M 4/62
H01M 10/0563
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属塩化物を含む正極と、ナトリウムを含有する無機系素材の負極を用意する過程と;
二酸化硫黄(SO)とナトリウム塩(NaAlCl)を含有する無機液体電解質を上記正極と上記負極との間に配置する過程と;
を含むナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法であって、
上記正極は、炭素材に1つまたは2つ以上の異種元素が5〜15at%含まれ、上記異種元素は、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)またはケイ素(Si)であることを特徴とするナトリウム−金属塩化物系二次電池の製造方法。
【請求項2】
上記無機液体電解質のナトリウム塩に対してSOモル比含量は、1.5〜3.0であることを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法。
【請求項3】
上記金属塩化物は、
CuCl、CuCl、NiCl、FeCl、FeCl、CoCl、MnCl、CrCl、CrCl、VCl、VCl、ZnCl、ZrCl、NbCl、MoCl、MoCl、RuCl、RhCl、PdCl、AgCl、CdClのうち1つまたは2つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法。
【請求項4】
上記金属塩化物の正極内の含量は、60〜99wt%であることを特徴とする請求項3に記載のナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法。
【請求項5】
上記負極は、
ナトリウム金属、またはナトリウムを含有する合金、またはナトリウムを含有する金属間化合物をさらに含み、
上記無機系素材は、
炭素、酸化物、硫化物、リン化物、窒化物、フッ化物のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法。
【請求項6】
ナトリウムを含有する無機系素材の負極と;
電解質NaAlClと溶媒二酸化硫黄を含有する電解液と;
NaAlCl−xSOの酸化−還元反応によってNaClの生成及び分解がなされる炭素系素材と金属塩化物(CuCl)を含む正極と;
を含むナトリウム−金属塩化物系二次電池であって、
上記正極は、炭素材に1つまたは2つ以上の異種元素が5〜15at%含まれ、上記異種元素は、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)またはケイ素(Si)であることを特徴とするナトリウム−金属塩化物系二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナトリウム系二次電池に関し、さらに詳細には、常温作動性を有し、さらに安定した電気化学的特性を有するナトリウム−金属塩化物系二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品のデジタル化と高性能化などに伴い、消費者の要求が変わるにつれて、市場要求も薄形、軽量化と高エネルギー密度による高容量を有する電池の開発により流れが変わっている状況である。また、未来のエネルギー及び環境問題に対処するために、ハイブリッド電気自動車や電気自動車、及び燃料電池自動車の開発が活発に進行されているところ、自動車電源用として電池の大型化が要求されている。
【0003】
小型軽量化及び高容量で充放電可能な電池として、リチウム系二次電池が実用化されていて、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯用電子及び通信機器などに用いられている。リチウム二次電池は、正極、負極、電解質で構成され、充電によって正極活物質から出たリチウムイオンが負極活物質に挿入され、放電時にさらに脱離されるなど、両電極を往復しながらエネルギーを伝達する役目をするので、充放電が可能である。
【0004】
一方、最近、リチウムの代わりに、ナトリウムを利用したナトリウム基盤の二次電池の研究が注目されている。ナトリウムは、資源埋蔵量が豊かであることから、リチウムの代わりにナトリウムを利用した二次電池を製作することができるなら、二次電池を低い費用で製造することができる。
【0005】
前述したように、ナトリウム基盤の二次電池は、有用であるが、従来のナトリウム金属基盤のの二次電池、例えばNAS(Na−S電池)、ZEBRA(Na−NiCl電池)は、室温で使用することができないという点、すなわち高温での液状ナトリウム及び正極活物質使用による電池安全性問題及び腐食問題による電池性能低下という点に問題がある。一方、最近、ナトリウムイオンの脱挿を利用したナトリウムイオン電池が活発に研究されているが、これらのエネルギー密度及び寿命特性は、まだ低調な状況である。このため、室温で使用可能であり、エネルギー密度及び寿命特性に優れたナトリウム基盤の二次電池が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、二酸化硫黄基盤のナトリウム系無機液体電解質をイオン伝導体として使用し、同時に金属塩化物を正極材として使用して、従来のナトリウム二次電池に比べて常温作動型、高エネルギー密度、高出力密度、安全性確保、低価の競争力を確保することができるナトリウム−金属塩化物系二次電池及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、金属塩化物を含む正極及び負極を用意する過程と、二酸化硫黄(SO)とナトリウム塩で構成された無機液体電解質を上記正極と上記負極との間に配置する過程とを含むナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法の構成を開示する。
【0008】
上記ナトリウム塩は、NaAlCl、NaGaCl、NaCuCl、NaMnCl、NaCoCl、NaNiCl、NaZnCl、NaPdClのうち少なくとも1つであることを特徴とする。
【0009】
上記無機液体電解質のナトリウム塩に対してSOモル比含量は、0.5〜10であり、好ましくは、1.5〜3.0であることを特徴とする。
【0010】
上記金属塩化物は、CuCl、CuCl、NiCl、FeCl、FeCl、CoCl、MnCl、CrCl、CrCl、VCl、VCl、ZnCl、ZrCl、NbCl、MoCl、MoCl、RuCl、RhCl、PdCl、AgCl、CdClのうち1つまたは2つ以上を含むことができる。
【0011】
上記金属塩化物の正極内の含量は、60〜99wt%であることを特徴とする。
【0012】
上記負極は、ナトリウム金属、またはナトリウムを含有する合金、またはナトリウムを含有する金属間化合物、またはナトリウムを含有する無機系材料のうちいずれか1つであることを特徴とする。
【0013】
上記無機系材料は、炭素、酸化物、硫化物、リン化物、窒化物、フッ化物のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0014】
上記負極内の負極物質含有量は、60〜100wt%であることを特徴とする。
【0015】
上記正極は、炭素材及び金属塩化物を含むことができる。
【0016】
上記正極は、炭素含量が60〜100wt%であることを特徴とする。
【0017】
上記正極は、上記炭素材に1つまたは2つ以上の異種元素が0〜20at%含まれることを特徴とする。
【0018】
上記異種元素は、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明は、また、前述した製造方法で製造されたナトリウム−金属塩化物系二次電池の構成を開示する。
【0020】
また、本発明は、ナトリウムを含有する無機系素材の負極と;電解質NaAlClと溶媒二酸化硫黄を含有する電解液と;NaAlCl−xSOの酸化−還元反応によってNaClの生成及び分解がなされる炭素系素材と金属塩化物(CuCl)を含む正極と;を含むナトリウム−金属塩化物系二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のナトリウム−金属塩化物系二次電池の製造方法及びこれによるナトリウム−金属塩化物系二次電池によれば、本発明は、ナトリウム−金属塩化物系二次電池において新規高エネルギー/出力密度特性、常温作動型及び拡大された安全性及び価格競争力確保が可能であることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施例によるナトリウム−金属塩化物系二次電池を説明するための図である。
図2図2は、本発明の実施例によるナトリウム−金属塩化物系二次電池製造方法を示す図である。
図3図3は、NaAlCl−xSO電解液ラマン分光スペクトルを示す図である。
図4図4は、NaAlCl−2SO電解液イオン伝導度を示す図である。
図5図5は、CuCl正極走査電子顕微鏡写真を示す図である。
図6図6は、Na−CuCl電池の充放電特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
下記の説明では、本発明の実施例による動作を理解するのに必要な部分だけが説明され、その他の部分の説明は、本発明の要旨を不明にしないように省略されていることに留意しなければならない。
【0024】
また、以下で説明される本明細書及び請求範囲に使用される用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならないし、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念で適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味や概念として解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載した実施例と図面に示された構成は、本発明の好ましい1つの実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解しなければならない。
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施例をさらに詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施例によるナトリウム−金属塩化物系二次電池100の構成を概略的に示す図である。
【0027】
図1を参照すれば、本発明のナトリウム−金属塩化物系二次電池100は、金属塩化物2を少なくとも一部を含む金属塩化物正極3、ナトリウム含有負極4、そして二酸化硫黄(SO)基盤の無機液体電解質1、ケース5を含むことができる。このような構成のナトリウム−金属塩化物系二次電池100は、特にナトリウム−二酸化硫黄(Na−SO)二次電池であることができる。本発明のナトリウム−金属塩化物系二次電池100は、金属塩化物正極3と二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1を基盤のとして常温でも作動が可能になるように具現される。
【0028】
正極3は、多孔性の炭素及び金属塩化物2を含み、NaAlCl−xSOの酸化−還元反応が起きる場所を提供する。上記正極3に含まれる金属塩化物2は、CuCl、CuCl、NiCl、FeCl、FeCl、CoCl、MnCl、CrCl、CrCl、VCl、VCl、ZnCl、ZrCl、NbCl、MoCl、MoCl、RuCl、RhCl、PdCl、AgCl、CdClのうち1つまたは2つ以上を含むことができる。特に本発明で正極3は、多孔性の炭素材と一定重量比のCuClを含むことができる。CuCl2は、充放電時にCuの酸化数が変化しながらナトリウムイオンと反応し、CuとNaClの放電産物を得るようになり、充電時に可逆的にCuClが再形成される。正極3内の金属塩化物2の含量は、50〜100wt%または60〜99wt%、好ましくは、正極3の特性改善のために追加的な元素の配合などのために70〜95wt%とすることができる。正極3を構成する炭素材は、場合によって1つまたは2つ以上の異種元素を含むようになる。異種元素は、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)のうち少なくとも1つを含むことができる。異種元素含有量は、0〜20at%であり、好ましくは、5〜15at%としてもよい。異種元素含量が5at%未満の場合、異種元素添加による容量増大効果が非常に弱く、15at%以上の場合、炭素材の電気伝導度及び電極成形容易性が減少するようになる。
【0029】
負極4は、ナトリウム金属またはナトリウムを含む合金、金属間化合物、無機系物質を使用する。無機系物質は、炭素、酸化物、硫化物、リン化物、窒化物、フッ化物のうち少なくとも1つを含むことができる。負極4内の負極物質含有量は、60〜100wt%とすることができる。
【0030】
電解質及び正極反応活物質として使用される二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1は、NaAlCl(溶質)とSO(溶媒)で構成されることができる。二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1は、NaAlClに対してSOの含量モル比が0.5〜10に該当するもので、好ましくは1.5〜3.0に該当する。SO含量モル比が1.5未満と低くなる場合、電解質イオン伝導度が減少する問題点が現われ、3.0超過と高くなる場合、電解質の蒸気圧が高くなる問題点が現われる。溶質として使用されるNaAlCl以外にも、NaGaCl、NaCuCl、NaMnCl、NaCoCl、NaNiCl、NaZnCl、NaPdClなどを使用することもでき、このような多様な溶質のうち、NaAlClが比較的優れた電池特性を示す。二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1の製造方法としては、NaClとAlCl混合物(またはNaAlCl単独塩)にSO気体を投入することによって得ることができる。
【0031】
ケース5は、上記正極3と上記負極4との間に二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1が配置された構成物を囲むむように設けることができる。ケース5の一側には、正極3と連結される信号ライン及び負極4と連結される信号ラインが配置することができる。ケース5は、ナトリウム−金属塩化物系二次電池100を適用する分野によってそま形状やサイズを決定することができる。ケース5の材質は、非伝導性材質で構成することができる。正極3と負極4を囲む絶縁体が設けられる場合、ケース5は、伝導性材質で形成してもよい。
【0032】
図2は、本発明の実施例によるナトリウム−金属塩化物系二次電池100の製造方法を示す図である。
【0033】
図2を参照すれば、本発明のナトリウム−金属塩化物系二次電池100の製造方法は、金属塩化物2を含む正極3及び負極4を用意するS101段階と、二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1を用意及び配置するS103段階と、それらの間に二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1が配置された正極3および負極4をケース5に封入し、一定の形状で切断するS105段階とを含むことができる。
【0034】
S101段階で、正極3を用意する段階は、NaClの生成及び分解がなされる炭素材料と金属塩化物2を用意する段階と、炭素材と金属塩化物2を撹拌する段階と、撹拌された材料をスラリーに作って、これを利用して正極3を用意する段階とを含むことができる。炭素材は、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素材料のうち、NaClの生成及び分解がなされる炭素材料を用意することができる。炭素材料の形状としては、例えば、天然黒鉛のような薄片状、メソカーボンマイクロビーズのような球状、黒鉛化炭素繊維のような繊維状、または微粉末の凝集体などのうちいずれか1つであってもよい。ここで、炭素材料は、導電材としての役目をする場合がある。
【0035】
正極3は、集電体と、該集電体の表面に形成された正極活物質及び結着剤を含む正極活物質層を有することができる。正極活物質層は、前述したように、正極活物質及び結着剤を含む。正極活物質として炭素材を使用することによって、電池性能の低下を抑制することができる。正極活物質の炭素材の好ましい含有量は、正極活物質層の質量に対して60〜100wt%である。炭素材は、1つまたは2つ以上の異種元素が0〜20at%含まれることができる。ここで、異種元素は、窒素(N)、酸素(O)、ホウ素(B)、フッ素(F)、リン(P)、硫黄(S)、ケイ素(Si)を含むことができる。
【0036】
使用可能な結着剤としては、特に限定されず、従来公知の結着剤を使用することができる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFとも言う)、ポリテトラフルオルエチレン(以下、PTFEとも言う)、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、6フッ化プロピレン・フッ化ビニリデン系共重合体、4フッ化エチレン・パーフルオルビニルエテル系共重合体などを挙げることができる。これらをそれぞれ単独で使用することもでき、2種類以上を混合して使用することもできる。結着剤のその他の例示としては、例えば、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどの多糖類及びその誘導体などを挙げることができる。また、結着剤として無機微粒子、例えばコロイダルシリカなどを挙げることができる。結着剤の含有量は、正極活物質層の質量に対して20〜1質量%であることが好ましく、より好ましくは、10〜1質量%である。
【0037】
正極活物質層は、結着剤及び正極活物質以外に、必要な場合、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他成分をさらに有することができる。例えば、導電助剤、支持塩、イオン伝導性ポリマーなどを挙げることができる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、そのポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれることができる。また、これら成分の配合比は、特に限定されず、ナトリウム基盤の二次電池に対する公知されたものを適切に参照することによって調整されることができる。
【0038】
集電体は、ニッケル、銅、ステンレス(SUS)などの導電性材料を使用した薄形、メッシュ、エキスパンドグリッド(エキスパンドメタル)、パンチドメタルなどで構成される。メッシュの網目、線の直径、メッシュ数などは、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。集電体のサイズは、電池の使用用途によって決定される。大型電池に使用される大型電極を製作する場合には、面積が大きい集電体が使用される。小型電極を製作する場合には、面積が小さい集電体が使用される。
【0039】
S101段階で、負極4を用意する段階は、ナトリウム金属、またはナトリウムを含有する合金、またはナトリウムを含有する金属間化合物、またはナトリウムを含有する無機系材料を用意する段階であることができる。負極4内の負極物質含有量は、60〜100wt%とすることができる。
【0040】
S103段階で、二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1を用意及び配置する段階は、二酸化硫黄(SO)とナトリウム塩(NaAlCl)を用意する。ここで、ナトリウム塩は、NaAlCl、NaGaCl、NaCuCl、NaMnCl、NaCoCl、NaNiCl、NaZnCl、NaPdCl4などが使用されることができる。二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1において、NaAlClに対してSOモル比含量は0.5〜10、好ましくは、1.5〜3.0とすることができる。
【0041】
S105段階で、ナトリウム−金属塩化物系二次電池製造は、例えば、負極4、二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1及び正極3がケース5内に順に積層されるように配置して製造することができる。この過程で、負極4と正極3をケース5内に一定間隔で配置し、二酸化硫黄基盤の無機液体電解質1を負極と正極との間に注入した後、ケース5を封入して製造することができる。
【0042】
製造されたナトリウム−金属塩化物系二次電池は、断面が円、楕円、長円、直四角形、角を丸くした直四角形などよりなる形状になることができる。また、電池の形状としては、例えば、ペーパー型、コイン型、円筒状、角形などがあり得る。
【0043】
図3は、NaAlCl−xSO電解質に対するラマン分光分析結果を示す図であり、図4は、NaAlCl−xSOのイオン伝導度特性を示す図である。NaAlCl−xSO電解質は、NaClとAlCl混合物(またはNaAlCl単独塩)に二酸化硫黄(SO)気体を投入することによって得ることができる。
【0044】
図3及び図4を参照すれば、前述した方式で得たNaAlCl−2SO電解液は、0.1S/cmに近い、高いナトリウムイオン伝導特性を示し、低温でも比較的高い伝導度を示す液体状態を維持することが分かる。
【0045】
図5は、金属塩化物正極材料の代表的なCuCl正極の走査電子顕微鏡写真を示す図である。
【0046】
図5を参照すれば、金属塩化物正極3は、多孔性の炭素及びCuClよりなる。CuClは、充放電時にCuの酸化数が変化しながらナトリウムイオンと反応し、CuとNaClの放電産物を得るようになり、充電時に可逆的にCuClが再形成される。正極3内の金属塩化物2の含量は、50〜100wt%、好ましくは70〜95wt%に該当する。
【0047】
図6は、本発明の実施例によるNa−Metal chloride電池の充放電曲線及び寿命特性を示す図である。ここで使用される負極4は、前述したように、ナトリウム金属またはナトリウムを含む合金、金属間化合物、無機系物質を使用する。無機系物質は、炭素、酸化物、硫化物、リン化物、窒化物、フッ化物などを含む。
【0048】
図6を参照すれば、電池性能は、NaAlCl−2SO電解液、CuCl正極3、ナトリウム金属タイプの負極4を採用した代表的なNa−Metal Chloride電池の結果として優れた電池容量及び作動電圧を示している。IとI’区間は、CuClとCuClの間の酸化/還元反応区間IIとII’は、導電材カーボン上にSOの酸化/還元反応区間、そしてIIIとIII’区間は、CuClとCuの間の酸化/還元反応区間をそれぞれ示し、3V以上の高い放電電圧を示すと同時に、優れた寿命特性を示すことが分かる。
【0049】
一方、本明細書と図面に開示された本発明の実施例は、理解を助けるために特定例を提示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。ここに開示された実施例以外にも、本発明の技術的思想に基づく他の変形例が実施可能であるということは、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に自明である。
【符号の説明】
【0050】
1 電解質
2 正極
3 負極
4 ケース
100 ナトリウム−金属塩化物系二次電池
図1
図2
図3
図4
図6
図5