【実施例】
【0061】
実施例1
【0062】
【化3】
【0063】
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド
参考例1の工程3で得た化合物(100mg,0.20mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4ml)溶液に、参考例2の工程3で得た化合物(35mg,0.24mmol)、トリエチルアミン(0.04ml,0.30mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(27mg,0.20mmol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(46mg,0.24mmol)を加え、50℃にて1時間撹拌した。放冷後、反応液を酢酸エチルにて希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をNH−シリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール=50:1(v/v)]にて精製し、得られた精製物をメタノール(10ml)に溶解し、60℃にて24時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、標記化合物94mg(76%)を固体として得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3)δ:0.68(3H,s),0.95(3H,s),1.11-1.27(2H,m),1.35-1.81(8H,m),2.10-2.17(1H,m),2.25-2.32(1H,m),3.15(1H,t,J=10.5Hz),3.27(1H,br s),3.80(1H,dd,J=11.0,2.3Hz),3.85-3.95(1H,m),4.13(1H,ddd,J=10.8,4.5,1.3Hz),4.44(1H,d,J=9.2Hz),4.64(1H,d,J=9.2Hz),5.46(1H,d,J=3.7Hz),6.49(1H,d,J=3.7Hz),6.74(1H,d,J=1.8Hz),7.07(1H,dd,J=8.2,1.8Hz),7.31(1H,dd,J=8.2,2.3Hz),7.48-7.52(2H,m),7.62(1H,s),8.05(1H,d,J=5.5Hz).
MS(ESI)m/z:618(M+H)
+.
【0064】
実施例1−1
実施例1で得た化合物(302mg,0.49mmol)に、トリクロロエチレン/エタノール混合液(95/5)(4.75ml)を加えた後、約50℃に加温し溶解した。室温で静置し結晶を析出させた。析出した結晶をろ取し室温で乾燥し本結晶を得た。本結晶について、粉末X線回折、示差熱・熱重量同時測定(TG/DTA)及び吸脱湿挙動を測定した。
【0065】
本結晶は他にぎ酸エチル、アセトニトリルからも得ることができる。
粉末X線回折図を
図1に、等温吸湿脱湿曲線図を
図10に、熱分析データ(TG/DTA)を
図17に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
実施例1−2
実施例1で得た化合物(301mg,0.49mmol)に、メタノール(3.6ml)を加えた後、約50℃に加温し溶解した。室温で静置し結晶を析出させた。析出した結晶をろ取し室温で乾燥し本結晶を得た。本結晶について、粉末X線回折、TG/DTA及び吸脱湿挙動を測定した。
【0068】
本結晶は他に2−ブタノンからも得ることができる。
粉末X線回折図を
図2に、等温吸湿脱湿曲線図を
図11に、熱分析データ(TG/DTA)を
図18に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
実施例1−3
実施例1で得た化合物(100mg,0.16mmol)に、トリクロロエチレン(1.5ml)を加えた後、約50℃に加温し溶解した。室温で静置し結晶を析出させた。析出した結晶を濾取し室温で乾燥し本結晶を得た。本結晶について、粉末X線回折及びTG/DTAを測定した。
粉末X線回折図を
図3に、熱分析データ(TG/DTA)を
図19に示す。
【0071】
【表3】
【0072】
実施例2
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド 塩酸塩 水および2−プロパノール(IPA)和物 結晶
実施例1で得た化合物(192mg,0.31mmol)の2−プロパノール(2.0ml)溶液に濃塩酸(0.026ml,0.31mmol)を加えた後、室温にて18時間撹拌した。析出物をろ取し、標記結晶173mg(85%)を得た。
1H-NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ:0.62(3H,s),0.92(3H,s),1.09-1.58(6H,m),1.65-2.07(5H,m),2.53-2.94(1H,m),3.29-3.73(5H,m),4.56-4.76(1H,m),4.85-5.23(1H,m),6.80(1H,s),7.01-7.13(2H,m),7.14-7.20(1H,m),7.49-7.74(2H,m),8.19-8.42(1H,m),8.61-9.08(1H,m),10.41(1H,br s),11.25(1H,br s).
Anal. Calcd for C
30H
34Cl
2FN
5O
4・HCl・0.75H
2O・IPA: C, 54.48; H, 6.03; N, 9.63. Found: C, 54.47; H, 6.14; N, 9.65.
標記結晶の粉末X線回折図を
図4に、等温吸湿脱湿曲線図を
図12に、熱分析データ(TG/DTA)を
図20に示す。
【0073】
【表4】
【0074】
実施例3
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド 硫酸塩 水および2−プロパノール(IPA)和物
実施例1で得た化合物(52mg,0.08mmol)の2−プロパノール(0.5ml)溶液に濃硫酸(0.005ml,0.08mmol)を加えた後、室温にて2日間撹拌した。析出物をろ取し、標記化合物20mg(34%)を固体として得た。
1H-NMR(500MHz,DMSO-d
6)δ:0.62(3H,s),0.92(3H,s),1.13-1.61(6H,m),1.67-2.09(5H,m),2.45-2.88(1H,m),3.47-4.01(5H,m),4.58-4.77(1H,m),4.83-5.11(1H,m),6.79(1H,s),6.98-7.25(3H,m),7.51-7.73(2H,m),8.20-8.41(1H,m),8.51-8.73(1H,m),8.79-9.05(1H,m),10.35(1H,br s),11.18(1H,br s).
Anal. Calcd for C
30H
34Cl
2FN
5O
4・H
2SO
4・0.25H
2O・IPA: C, 49.94; H, 5.71; N, 8.82. Found: C, 49.74; H, 5.71; N, 8.85.
標記化合物の粉末X線回折図を
図5に示す。
【0075】
実施例4
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド メタンスルホン酸塩 水和物 結晶
実施例1で得た化合物(221mg,0.36mmol)の2−プロパノール(3ml)溶液にメタンスルホン酸(0.026ml,0.39mmol)を加えた後、室温にて16時間撹拌した。析出物をろ取し、標記結晶48mg(19%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ:0.62(3H,s),0.92(3H,s),1.03-2.01(11H,m),2.30(3H,s),2.47-2.56(1H,m),3.72-3.65(4H,m),4.62-4.75(1H,m),5.95-5.09(1H,m),6.73-6.85(1H,m),7.04-7.20(3H,m),7.54-7.73(2H,m),8.23-8.36(1H,m),8.60-8.75(1H,m),8.83-8.98(1H,m),10.83(1H,br s),11.22(1H,br s).
Anal. Calcd for C
30H
34Cl
2FN
5O
4・CH
3SO
3H・2H
2O: C, 49.60; H, 5.64; N, 9.33. Found: C, 49.63; H, 5.45; N, 9.30.
標記結晶の粉末X線回折図を
図6に、等温吸湿脱湿曲線図を
図13に、熱分析データ(TG/DTA)を
図21に示す。
【0076】
【表5】
【0077】
実施例5
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド エタンスルホン酸塩 水和物 結晶
実施例1で得た化合物(221mg,0.36mmol)の2−プロパノール(3ml)溶液にエタンスルホン酸(0.032ml,0.39mmol)を加えた後、室温にて23時間撹拌した。析出物をろ取し、標記結晶128mg(49%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ:0.62(3H,s),0.92(3H,s),1.05(3H,t,J=7.4Hz),1.09-1.59(6H,m),1.62-2.06(5H,m),2.38(2H,q,J=7.4Hz),2.59-3.07(1H,m),3.27-3.79(5H,m),4.53-4.76(1H,m),4.78-5.16(1H,m),6.79(1H,s),7.00-7.23(3H,m),7.51-7.75(2H,m),8.21-8.41(1H,m),8.48-9.07(1H,m),10.35(1H,br s),11.19(1H,br s).
Anal. Calcd for C
30H
34Cl
2FN
5O
4・C
2H
5SO
3H・4H
2O: C, 48.00; H, 6.04; N, 8.75. Found: C, 47.97; H, 5.93; N, 8.56.
標記結晶の粉末X線回折図を
図7に、等温吸湿脱湿曲線図を
図14に、熱分析データ(TG/DTA)を
図22に示す。
【0078】
【表6】
【0079】
実施例6
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド ベンゼンスルホン酸塩 水和物 結晶
実施例1で得た化合物(104mg,0.17mmol)の2−プロパノール(1ml)溶液にベンゼンスルホン酸一水和物(30mg,0.17mmol)を加えた後、室温にて24時間撹拌した。析出物をろ取し、標記結晶116mg(89%)を得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3)δ:0.69(3H,s),0.88(3H,s),1.09-1.85(7H,m),1.88-2.19(4H,m),2.53-2.77(1H,m),2.95-3.10(1H,m),3.53-3.69(1H,m),3.71-3.89(2H,m),4.68-4.85(1H,m),5.47-5.80(2H,m),6.52(1H,s),6.77-6.90(1H,m),7.03-7.11(1H,m),7.24-7.44(5H,m),7.63-7.98(4H,m),8.09-8.43(1H,m),10.16(1H,br s),10.96(1H,br s).
Anal. Calcd for C
30H
34Cl
2FN
5O
4・C
6H
5SO
3H・1.5H
2O: C, 53.80; H, 5.39; N, 8.71. Found: C, 53.89; H, 5.40; N, 8.80.
【0080】
標記結晶の粉末X線回折図を
図8に、等温吸湿脱湿曲線図を
図15に、熱分析データ(TG/DTA)を
図23に示す。
【0081】
【表7】
【0082】
実施例7
(3’R,4’S,5’R)−N−[(3R,6S)−6−カルバモイルテトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル]−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボキサミド p−トルエンスルホン酸塩 水和物 結晶
【0083】
実施例1で得た化合物(300mg,0.50mmol)のアセトニトリル(4ml)懸濁液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(85mg,0.45mmol)のアセトニトリル(4ml)溶液を加えた後、約50℃で加熱し溶解した。室温にて1日撹拌した。析出物をろ取し、標記結晶255mg(66%)を得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ:0.63(3H,s),0.92(3H,s),1.09-1.59(6H,m),1.66-2.03(5H,m),2.29(3H,s),2.70-2.91(1H,m),3.34-3.74(5H,m),4.67(1H,d,J=10.1Hz),4.80-5.11(1H,m),6.80(1H,s),7.02-7.22(5H,m),7.43-7.52(2H,m),7.55-7.70(2H,m),8.23-8.39(1H,m),8.45-8.74(1H,m),10.33(1H,br s),11.14(1H,br s).
Anal. Calcd for C
30H
34Cl
2FN
5O
4・C
6H
4CH
3SO
3H・1.5H
2O: C, 54.34; H, 5.55; N, 8.56. Found: C, 54.06; H, 5.45; N, 8.50.
【0084】
標記結晶の粉末X線回折図を
図9に、等温吸湿脱湿曲線図を
図16に、熱分析データ(TG/DTA)を
図24に示す。
【0085】
【表8】
【0086】
参考例1
【0087】
【化4】
【0088】
[工程1](3E/Z)−6−クロロ−3−[(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)メチレン]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン
6−クロロ−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(2.20g,13.11mmol)および2−クロロ−3−フルオロイソニコチンアルデヒド(2.20g,13.8mmol)のメタノール(130ml)溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.46ml,2.63mmol)を加え16時間加熱還流した。放冷後、析出物をろ取、冷メタノールで洗浄し乾燥させることにより、標記化合物3.37g(83%)を固体として得た。
MS(APCI)m/z:309(M+H)
+.
【0089】
[工程2](3’S,4’R,7’S,8’S,8a’R)−6”−クロロ−8’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−3’,4’−ジフェニル−3’,4’,8’,8a’−テトラヒドロ−1’H−ジスピロ[シクロヘキサン−1,6’−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7’,3”−インドール]−1’,2”(1”H)−ジオン
窒素雰囲気下、工程1で得た化合物(1.86g,6.00mmol)、(5R,6S)−5,6−ジフェニルモルホリン−2−オン(1.67g,6.60mmol)、4,4−ジメチルシクロヘキサノン(0.83g,6.60mmol)のテトラヒドロフラン(30ml)溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.15ml,1.20mmol)、モレキュラーシーブ4A(粉末)(3g)を加え、70℃にて、7日間加熱撹拌した。放冷後、不溶物をセライトろ去し、ろ液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1→1:1(v/v)]にて精製し、標記化合物3.39g(84%)を固体として得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3)δ:0.21(3H,s),0.53(3H,s),0.89-1.08(3H,m),1.28-1.43(3H,m),1.73-1.81(1H,m),2.23-2.33(1H,m),4.58(1H,d,J=11.0Hz),4.86(1H,d,J=3.2Hz),5.31(1H,d,J=11.0Hz),6.25(1H,d,J=8.3Hz),6.67(1H,dd,J=8.3,1.8Hz),6.72-6.77(2H,m),6.93(1H,d,J=1.8Hz),7.04-7.17(6H,m),7.18-7.25(3H,m),7.79(1H,t,J=4.6Hz),7.99(1H,s),8.29(1H,d,J=5.0Hz).
MS(APCI)m/z:670(M+H)
+.
【0090】
[工程3](4’S,5’R)−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボン酸
工程2で得た化合物(630mg,0.94mmol)をアセトニトリル(10ml)と水(4ml)に溶解し、炭酸カリウム(130mg,0.94mmol)を加え、85℃で16時間加熱還流した。放冷後、無水硫酸マグネシウム(113mg,0.94mmol)を加え室温で15分間撹拌した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去して(4’S,5’R)−6”−クロロ−4’−(2−クロロ−3−フルオロピリジン−4−イル)−1’−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1,2−ジフェニルエチル]−4,4−ジメチル−2”−オキソ−1”,2”−ジヒドロジスピロ[シクロヘキサン−1,2’−ピロリジン−3’,3”−インドール]−5’−カルボン酸(650mg,100%)を固体として得た[MS(ESI)m/z:688(M+H)
+]。得られたカルボン酸(650mg,0.94mmol)をメタノール(30ml)と水(8ml)に溶解し、氷冷下、硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(1.55g,2.82mmol)を加え、同温で30分間撹拌した。氷冷下、炭酸カリウム(780mg,5.64mmol)を加え、同温にて1時間撹拌した。不溶物をセライトろ去後、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム:メタノール=20:1→4:1(v/v)]より精製し、標記化合物152mg(33%)を固体として得た。
1H-NMR(500MHz,CD
3OD)δ:0.74(3H,s),0.9(3H,s),1.29-1.44(2H,m),1.48-1.58(2H,m),1.64-1.76(1H,m),1.94-2.02(1H,m),2.11(1H,ddd,J=14.0,14.0,4.0Hz),2.43-2.53(1H,m),5.07(1H,d,J=10.3Hz),5.32(1H,d,J=10.3Hz),6.84(1H,d,J=1.7Hz),7.16(1H,dd,J=8.3,2.0Hz),7.63(1H,dd,J=8.0,2.3Hz),7.75(1H,t,J=5.2Hz),8.15(1H,d,J=5.2Hz).
MS(ESI)m/z:492(M+H)
+.
【0091】
参考例2
【0092】
【化5】
【0093】
[工程1]2,6−アンヒドロ−3,4,5−トリデオキシ−5−(ジベンジルアミノ)−L−エリスロ−ヘキソン酸
メチル 2,6−アンヒドロ−3,4,5−トリデオキシ−5−(ジベンジルアミノ)−L−エリスロ−ヘキソネートメチル 2,6−アンヒドロ−3,4,5−トリデオキシ−5−(ジベンジルアミノ)−L−エリスロ−ヘキソネート(1.60g,4.70mmol)をメタノール(30ml)に溶解し、1規定水酸化ナトリウム水溶液(10ml)を氷冷下徐々に加え、その後室温で3時間撹拌した。反応液にDowex50W−X8を加えpHを5〜6に調製し、不溶物をろ去した後、ろ液を減圧濃縮し、標記化合物1.7g(100%)を固体として得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3)δ:1.18-1.26(1H,m),1.36-1.48(1H,m),1.79-1.97(2H,m),2.62(1H,t,J=11.0Hz),3.18(1H,t,J=10.4Hz),3.40(1H,d,J=11.5Hz),3.51-3.61(4H,m),3.90-3.99(1H,m),7.12-7.38(10H,m).
MS(ESI)m/z:326(M+H)
+.
【0094】
[工程2](2S,5R)−5−(ジベンジルアミノ)テトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキサミド
上記工程1で得た化合物(870mg,2.67mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(30ml)に溶解し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(361mg,2.67mmol)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩(614mg,3.20mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。塩化アンモニウム(285mg,5.44mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(l.86ml,10.7mmol)を加え、室温で8時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、標記化合物495mg(57%)を固体として得た。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3)δ:1.35-1.45(1H,m),1.60-1.70(1H,m),2.10-2.18(1H,m),2.21-2.28(1H,m),2.76(1H,tt,J=11.4,4.0Hz),3.44(1H,t,J=10.9Hz),3.67(4H,q,J=14.2Hz),3.71-3.73(1H,m),4.04(1H,dq,J=11.0,2.1Hz),5.35(1H,s),6.40(1H,s),7.21-7.36(10H,m).
MS(ESI)m/z:325(M+H)
+.
【0095】
[工程3](2S,5R)−5−アミノテトラヒドロ−2H−ピラン−2−カルボキサミド
上記工程2で得た化合物(490mg,1.51mmol)をエタノール(10ml)に溶解し、20%水酸化パラジウム(100mg)を加え、水素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。触媒をセライトろ去後、ろ液を減圧留去、乾燥し、標記化合物215mg(99%)を固体として得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ:1.11-1.22(1H,m),1.25-1.35(1H,m),1.83-1.91(2H,m),2.51-2.60(1H,m),2.90(1H,t,J=10.5Hz),3.52(1H,d,J=11.9Hz),3.78-3.84(1H,m),6.99(1H,br s),7.09(1H,br s).
MS(ESI)m/z:145(M+H)
+.
【0096】
(試験例1 Mdm2/p53結合アッセイ)
蛋白質緩衝液(20mM HEPES pH7.4,150mM NaCl,0.1% BSA)を用いて、His−p53(p53の1〜132番目のアミノ酸からなるp53部分蛋白質とヒスチジン蛋白質との融合蛋白質)およびGST−Mdm2(Mdm2の25〜108番目のアミノ酸であって、33番目のロイシン残基をグルタミン酸に変換したMdm2部分蛋白質とグルタチオントランスフェラーゼとの融合蛋白質)の蛋白質をそれぞれ6.25nM含む蛋白質希釈溶液を作成した。この蛋白質希釈溶液を、384ウェルプレート(384−well low volume NBC,Corning、カタログ番号3676)の各ウェルに8μLずつ添加した。
【0097】
次に、DMSOを用いて試験化合物を希釈し、この希釈液を10%含む蛋白質緩衝液を作製し、各ウェルに4μLずつ添加した。
【0098】
続いて、抗体希釈緩衝液(20mM HEPES pH7.4, 150mM NaCl, 0.1% BSA,0.5M KF)を用いて、XL665標識抗His抗体(HTRF monoclonal anti−6HIS antibody labeled with XL665(カタログ番号61HISXLB)、Schering/Cisboio Bioassays)およびユーロピウム(Eu)標識抗GST抗体(HTRF monoclonal anti−GST antibody labeled with europium cryptate、Schering/Cisboio Bioassays、カタログ番号61GSTKLB)をそれぞれ2.5μg/mLおよび0.325μg/mLの濃度で含む溶液を作製し、各ウェルに8μLずつ添加した(反応液総量:20μl/ウェル)。その後、プレートを25℃で1時間放置した。
【0099】
励起波長320nmにおける620nmおよび665nmの時間分解蛍光をプレートリーダー(ARVOsx、PerkinElmer、またはPHERAstar, BMGLABTECH)を用いて測定した。計測値(RFU 620nmとRFU 665nm)を用いて、以下の式にてRatio(R)を算出した。
R=(RFU 665nm−BI−C×RFU 620nm)/RFU 620nm
BI:各蛋白質、化合物、および抗体を添加していない反応液(各緩衝液のみ)の665nmの計測値
C(補正係数)=(A−BI)/D
AおよびDは、Eu標識抗GST抗体溶液のみを添加した反応液の665nmおよび620nmの各計測値
His−p53、GST−Mdm2、試験化合物および各抗体を添加した ウェルから算出したR値をR(sample)とし、His−p53、GST−Mdm2および各抗体を添加したが試験化合物を添加していないウェルから算出したR値をR(control)とし、GST−Mdm2、試験化合物および各抗体を添加したがHis−p53を添加していないウェルから算出したR値をR(background)として、下記の式からT/Cを算出し、シグモイドフィッティングを行い、Mdm2/p53結合に対するIC
50値を算出した。
【0100】
T/C=(R(sample)−R(background))/(R(control)−R(background))
化合物(1)は0.1μM以下のIC
50値を示した。
【0101】
(試験例2 抗細胞試験)
野性型p53を有するヒト肺癌由来細胞株NCI−H460を用いて抗細胞試験を実施した。
【0102】
NCI−H460細胞を、培地(10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地)に懸濁し、96ウェルのマルチウェルプレートにそれぞれ500細胞/150μL/ウェルで播種した。試験化合物をDMSOに溶解し、これを培地で希釈して検体溶液とした(DMSO濃度 1%以下)。播種の翌日、試験化合物を添加していない培地または検体溶液を、各ウェルに50μLずつ添加した。細胞播種翌日に培地を50μLずつ添加した直後と、検体溶液または培地を細胞に添加し、37℃、5% CO
2で3日間培養した後に、MTTアッセイを実施した。MTTアッセイは以下のように実施した。
【0103】
リン酸緩衝液(Dulbecco’s Phosphate−buffered Salines)を用いて5mg/mLのMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド,Sigma,M−2128)溶液を作製し、このMTT溶液を20μLずつ各ウェルに添加した。その後、プレートを37℃、5% CO
2下で4時間培養した。プレートを1200rpmで5分間遠心処理した後、培養上清をディスペンサーにて吸引除去した。DMSOを各ウェルに150μLずつ添加し、生成されたフォルマザンを溶解した。プレートミキサーを用いてプレートを撹拌することにより、各ウェルの発色を均一にした。各ウェルの吸光度をOD 540nm、reference 660nmの条件下、プレートリーダー(SpectraMaxPLUS384,Molecular Devices,CA USA)を用いて測定した。
【0104】
検体溶液添加当日に測定したOD値をSとし、検体溶液添加の3日後に測定したOD値をTとし、DMSO希釈液添加の3日後に測定したOD値をCとし、下記の計算式より各濃度におけるT/C(%)を求めて用量反応曲線を描き、50%増殖抑制濃度(GI
50値)を算出した。
【0105】
T/C(%)=(T−S)/(C−S)×100
化合物(1)は、GI
50(μM)<0.1の抗細胞効果を示した。
【0106】
(製剤例1)<カプセル剤>
実施例で得られた結晶5g、乳糖115g、トウモロコシデンプン58gおよびステアリン酸マグネシウム2gをV型混合機を用いて混合した後、3号カプセルに180mgずつ充填するとカプセル剤が得られる。
(製剤例2)<錠剤>
実施例で得られた結晶5g、乳糖90g、トウモロコシデンプン34g、結晶セルロース20gおよびステアリン酸マグネシウム1gをV型混合機を用いて混合した後、1錠当り150mgの質量で錠剤機で打錠すると錠剤が得られる。
(製剤例3)<懸濁剤>
メチルセルロースを精製水に分散、溶解させた分散媒を調製し、実施例で得られた結晶を乳鉢に量りとり、前述した分散媒を少量ずつ加えながらよく練り合わせ、精製水を加えて懸濁液100gを調製する。