(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、会員制紹介販売組織における適正で合理的な報酬プランを設定するための報酬予測計算装置、予測サーバー、予測プログラム及び予測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、
会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率
の予測をする報酬予測計算装置であって、
前記報酬額の計算のための変動条件
、計算命令そして決定命令を入力する入力手段と、
入力された変動条件と
配当率が収束する報酬決定ルールを記録する記憶手段と、
前記計算命令が入力されると、入力された変動条件
及び変更された変動条件に応じて前記報酬決定ルールに基づき前記報酬額の計算を
前記決定命令が入力されるまで繰り返し行ってその配当率の予測をする制御手段と、
前記予測による配当率の表示をする表示手段と、
前記決定命令が入力されると、該決定命令に係る配当率と前記表示と同時に記憶された変動条件を決定データとして出力する出力手段と、
を有し、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数(S(i))と、 所与の最高限度額(M)と、所与の報酬基数(g)とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額(P(i))を算出し、
前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を
計算するように構成されている。
【0013】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率は必ず収束するので、変動条件(パラメータ)を動かした場合に、これに対応する収束した配当率が求められるので、報酬プランの定量的評価をすることが可能になる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化(量子化)して評価を加え、暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をそのまま用いるのではなく、任意の階段状(ステップ状)に丸めた値に切り下げることができるようになるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、単に最高限度額による制限を導入するのみならず、報酬基数を変化させることによって、報酬額を決定するために統括会社の支払のハードルの上げ下げの調整をきめ細かくおこなうことができる。加えて、報酬を受ける会員にとっても報酬額と連動することが期待される商品購入合計個数をベースにして調整しているので、受け入れやすい。
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
ここで、配当率は、会員制紹介販売流通組織が受ける当該商品に関する販売額などの配当原資と報酬額の比率をいう(本明細書において、同じ)。この配当原資は、商品そのものの販売額のみならず、会員の入会金のような組織にとって配当原資となる収入を含むものである。また、販売額の全額のみならず、必要な控除をおこなった一部であってもよい。
【0014】
また、前記暫定報酬額は、深さnの階層を有する二分木データ構造の第i階層に属する会員の報酬額について、前記最高限度額をM円、
基本報酬額をh円、報酬基数をg個、各会員の商品購入個数を1個、前記商品購入合計個数をS(i)個、その暫定報酬額をP(i)円、とし、INT{ }は、{ }内の数の整数値をとる演算子、*は積算演算記号とした場合に、
P(i)=h*INT{S(i)/g}
であって、
決定される報酬額は、
M≦P(i)かつk+i=n+1
を充たす、kの最小値となる第n層から数えてm番目である階層により場合分けし、
[場合1]:
i≦n−m+1の階層の会員については、報酬額を最高限度額であるM円とし、
[場合2]:
i>n−m+1の階層の会員については、報酬額を暫定報酬額であるP(i)=h*INT{(2
n-i+1−2)/g}円として、
報酬額を計算することが望ましい。
【0015】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても変動条件(パラメータ)に対応する収束した配当率が求められるので、報酬プランの定量的評価をすることが可能になる。
また、基本報酬額に離散化による評価値をかけて暫定報酬額としているので、報酬額は、最高限度額、報酬基数、基本報酬額の3つを主要なパラメータとして、配当率を変えることができるので、報酬プランの決定が柔軟にできる。
【0016】
さらに、上記目的を達成するために、本発明は、
会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率の予測をする報酬予測計算サーバーであって、
ネットワークを介して端末装置と通信可能であり、該端末装置から送信される
前記報酬額の計算のための変動条件、計算命令そして決定命令を受信し、算出された配当率
及び前記決定命令が受信されたときの決定データとしての配当率を前記端末装置に送信する通信部と、
受信した変動条件と
配当率が収束する報酬決定ルールを記録する記憶部と、
受信した
前記計算命令を受けて、受信した変動条件に応じて前記報酬決定ルールに基づき前記報酬額の計算を
前記決定命令を受信するまで繰り返し行ってその配当率を予測する制御部と、
受信した前記決定命令を受けて、前記予測による配当率及び該配当率に基づく定量評価を前記端末装置に提供をする提供部と、
を備え、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数(S(i))と、所与の最高限度額(M)と、所与の報酬基数(g)とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額(P(i))を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を
計算するように構成されている。
【0017】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価を、ネットワークを通じて端末装置に提供することができる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化して評価した暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をステップ的に丸めた値に切り下げることができるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、報酬基数を変化させることによってその試算が簡単にできる。
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
【0018】
会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率の予測をするために、コンピュータを、前記報酬額の計算のための変動条件
、計算命令そして決定命令を入力する入力手段と、
入力された変動条件と
配当率が収束する報酬決定ルールを記録する記憶手段と、
入力された変動条件に応じて前記報酬決定ルールに基づき前記報酬額の計算を
前記決定命令が入力されるまで繰り返し行ってその配当率を予測する制御手段と、
前記予測による配当率の表示をする表示手段と、
前記決定命令が入力されると、前記配当率と前記表示と同時に記憶された変動条件を決定データとして出力する出力手段と、
して機能させるための報酬予測計算プログラムであって、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数(S(i))と、所与の最高限度額(M)と、所与の報酬基数(g)とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額(P(i))を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を
計算して機能させるようにプログラムとして構成されている。
【0019】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価をコンピュータで行うプログラムを提供することができる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化して評価した暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をステップ的に丸めた値に切り下げることができるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、報酬基数を変化させることによってその試算が簡単にできる。
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
【0020】
加えて、会員制紹介販売流通組織の会員に対する報酬額を計算してその配当率
の予測をする報酬予測計算方法において、
前記報酬額の計算のための変動条件を入力する入力ステップと、
入力された変動条件
を記録する記憶ステップと、
計算命令が入力されると、入力された変動条件に応じて
配当率が収束する報酬決定ルールに基づき前記報酬額の計算を
決定命令が入力されるまで繰り返し行ってその配当率を予測する制御ステップと、
前記予測による配当率の表示をする表示ステップと、
前記ユーザ判断が所望の配当率である場合に前記配当率と前記表示と同時に記憶された変動条件を決定データとして出力する出力ステップと、
を含む報酬予測計算方法であって、
前記報酬決定ルールは、
[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、
[2]各会員の報酬額について、
前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数(S(i))と、所与の最高限度額(M)と、所与の報酬基数(g)とに基づき、
階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額(P(i))を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を
計算するように構成されている。
【0021】
このように構成されているために、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価をコンピュータに行わせることができる報酬予測計算方法を提供することができる。
また、報酬基数というパラメータを導入し、商品購入合計個数について報酬基数で離散化して評価した暫定報酬額を算出している。これにより、商品購入合計個数をステップ的に丸めた値に切り下げることができるため、報酬額ひいては配当率を計算するにあたり、報酬基数を変化させることによってその試算が簡単にできる。
【0022】
さらに、会員組織の階層の浅い古手の会員は報酬の最高限度額を制限し、階層の深い比較的新しい会員は商品購入合計個数に応じた報酬額となる。したがって、比較的高額の報酬を受け取る会員は最高限度額に制限されるものの、最高限度額に達さない、紹介が多くない会員に取っては減額の要素がないため、広く会員の紹介のモチベーションを保つことが容易であり、これを事前に会員に提示することもできるため、受け入れやすい。加えて、統括会社にとっても、最高限度額と報酬基数を同時に動かした場合の配当率の評価を容易に行うことができるため、柔軟な報酬プランを検討することができる。
【0023】
なお、上記の発明において、「出力」とは、表示や印刷だけではなく、データとして他のプログラムや装置に与える場合を含む。
【0024】
また、「入力」とは、少なくとも変動条件をCPUに与えるためのインターフェースを経るものをいう。「入力部」、「入力手段」とは、キーボード、マウス、音声入力装置など、人間とのインターフェースをとるものだけではなく、インターフェース回路、インターフェースプログラムなど、他のプログラムや他のコンピュータなどとのインターフェースをとるものを含む。実施形態では、キーボード10がこれに該当する。
【0025】
また、「プログラム」とは、コンピュータによって直接実行可能なものだけでなく、ハードディスクなどにインストールすることによって実行可能となるものを含む。また、圧縮された場合や暗号化された場合も含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、会員制紹介販売組織の報酬配分について、階層が無限に深くなっても配当率が必ず収束するので、収束した配当率に基づいていろいろな変動条件における定量的評価を安定して行うことができる。また、報酬の最高限度額を各会員の組織内の深さに応じて決定するので、会員に受け入れやすい合理的な報酬プランを検討することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(会員制紹介販売組織の組織展開、二分木データ構造)
各例を説明する前に、本発明の報酬予測計算装置等が予測を行う会員制紹介販売組織がマッピングされる二分木データ構造について
図7を用いて説明する。会員制紹介販売組織は、報酬計算をするために二分木データ構造にマッピングされている。すなわち、各会員は、二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて階層を構成しており、新しい会員は、このデータ構造のいずれかの箇所に仮想的に配置される。
図7に示す黒丸は二分木データ構造の各ノードに配置された会員を示しており、
図7は、第1層(根ノード)から第i層を経由して第n層まで会員が充填されて展開した販売組織を示している。なお、黒丸は一部省略している箇所がある。
【0029】
(会員制紹介販売組織の運営)
会員制紹介販売組織においては、統括会社は、会員からの紹介を受けて商品の販売を行い、紹介した会員へ報酬決定ルールに従って報酬を支払う。
会員は、統括会社が取り扱う商品を購入することにより、新しくこの販売組織の会員となって二分木データ構造の一つのノードを占める。そして、このような紹介が連鎖することにより、商品の購入が促進されるとともにその会員のノードの下位に配置された会員が増えるのでより多い報酬を受けとることになる。
このように、会員は紹介を通じて報酬を受けることになるため、紹介を行う動機付けが生じる。同様に、紹介を受けた会員も、それぞれ新たな会員を紹介すると、紹介を通じて報酬を受け取ることができるので、以下、同様に連鎖的に組織が展開される。
【0030】
最初に入会した会員(「トップ」ともいう。)は、この会員制紹介販売組織の二分木データ構造の「第1層(あるいは、「根ノード」)」に仮想的に配置される。この状態を、「最初の会員は第1層にいる」と表現することができる。最初の会員から紹介を受けて新たに組織に加入した会員は、「第2層」以下に配置される。仮に、2人紹介したとすると、第2層の2つに分かれた枝に、その紹介された会員が配置される。以下、同様に、この会員制紹介販売組織の二分木データ構造は、各層の各ノードで2つに枝分かれをして下位の層に展開される。
図7に示すように、第2層のノードに2人の紹介された会員が配置され、第3層のノードに4人の会員が配置される。
【0031】
もっとも、各会員が行う紹介は、2人に限られるものではない。会員は、3人またはそれ以上の新しい会員を紹介しても差し支えない。ただし、その場合であっても、この会員制紹介販売組織の組織展開は「二分木データ構造」を維持しており、
図7に示すように、紹介された会員は、このような「二分木データ構造」のいずれかの箇所に配置されて、ひとつのノードから2つに枝分かれをして階層を構成するように展開される。
【0032】
(前提1)
本発明で取り扱う報酬予測において、会員制紹介販売組織は、このような二分木データ構造にマッピングされており、第n層まで会員で充たされていることを前提とする(前提1)。以下、便宜上、各ノードから2つに枝分かれした枝について、紙面に向かって左側の枝または下側の枝を左と呼び、右側の枝または上側の枝を右と呼ぶことにする。
【0033】
上記した「二分木データ構造」は、2つに枝分かれするので、2進法の表記とよく適合する。左の枝に「0」、右の枝に「1」を割り当てると、各会員が配置されたノードは、このような2進法の表記によりその位置が一意に定まる。例えば、101という二進数にはトップ(第1層)→左(第2層)→右(第3層)という第3層の左から2番目のノードが対応する。このため、各会員が配置された位置について、データベースで取り扱うのに、論理演算で容易に設定でき見通しがよい。
【0034】
(前提2)
この報酬は、一定期間における紹介実績(商品販売実績)を集計して決定する(前提2)。このような「前提」のもとに、以下に示す「報酬決定ルール」により当該期間中に会員が受け取るべき報酬額を決定し、その配当率を計算する。
【0035】
(第1の実施形態:装置)
(装置の全体構成と動作の概要)
図1に、この発明の一実施形態である報酬予測計算装置1の全体構成を示す。
入力部10は、報酬予測計算を行うための変動条件、計算命令などを装置1に入力するためのものである。記憶部14は、入力された「変動条件」が記憶されるとともに、「報酬決定ルール」が格納される。
【0036】
制御部12は、入力部10から変動条件が入力されると記憶部14内の変動条件テーブルファイルに記憶し、次に、計算命令が入力されると、記憶部14の報酬決定ルール30を検索し、この報酬決定ルール30に基づき変動条件に対応する報酬額と売上額を計算し、これから配当率を計算して、表示部16に表示する。表示と同時に表示されている配当率とその基礎となる変動条件を記憶部14内の計算結果ファイル38に記憶する。
【0037】
ユーザは、表示された配当率を見て、これが所望の配当率でなければ、変動条件を変更して再び計算命令を入力部10から入力することもできる。上記の操作を繰り返した結果、所望の配当率が表示されると、ユーザは、決定命令を入力部から入力して、制御部12は、表示されている配当率とその基礎となる変動条件を記憶部14内の計算結果ファイル38に決定データとして出力する。
【0038】
(ハードウェア構成)
図2に、
図1の制御部12を、CPU20を用いて実現した場合の報酬予測計算装置1のハードウェア構成を示す。
図2において、CPU20には、メモリ22、表示部であるディスプレイ16、入力部であるキーボード10、記憶部であるハードディスク(HDD)14、DVD/CD−ROMドライブ24が接続されている。なお、DVD/CD−ROMドライブ24は、DVD/CD−ROMは、これらに限るものではなく、他の外部記憶用メディアの読み出しができるものであってもよい。
ハードディスク14には、報酬決定ルール30、報酬予測プログラム32、OS(オペレーティングシステム)34、キーボード10から入力された変動条件テーブルファイル36などが記憶されており、最終的に決定された配当率に基づく計算結果ファイル38が格納される。報酬決定ルール30、報酬予測プログラム32は、DVD/CD−ROMドライブ24を介して、DVDまたはCD−ROM26から記憶部14にインストールされたものである。これ以外のメディアであっても、他のインターフェースにより、記憶部14に記憶させても差し支えない。
また、ハードディスク14は、これに限るものではなく、CPU20等と接続される他の記憶媒体の読み出し書き出しができるものであればよく、光ディスクやSSD、USBメモリなどであってもよい。
また、報酬決定ルール30は報酬予測プログラムの一部としたが、これに限るものではなく、別であってもよい。
【0039】
(変動条件テーブルファイル)
表1に変動条件テーブルファイル36の構成を示す。
【0041】
(報酬決定ルール)
報酬決定ルールは、表1に示したパラメータを用いて報酬を算出するに当たり、会員の配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数と、所与の最高限度額と、所与の報酬基数とに基づき、前記配当率の計算が収束するように、階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を決定する、というものである。
【0042】
(報酬決定ルールのパラメータ)
「報酬決定ルール」は、表1の変動条件テーブルで表される変動条件をパラメータ(変数)として有する。後述のように、このようなパラメータを持つ関数として、階層の深さが第n層まである階層の第i層に仮想的に配置された会員の配当率をF(i)という関数であらわす(1≦i≦n)。
【0043】
表1の変動条件テーブルの項目(パラメータ)について説明する。集計期間を除くと、各パラメータは整数である。
「各会員から分枝する会員数」(番号1)は、二分木データ構造を採用しているため、左の枝と右の枝に対し、それぞれひとりずつとなり、合計2人としている。
「各会員の商品購入個数」(番号2)は、ひとりの会員が一つの商品を購入するとして、1個としている。
「片側報酬基数」(番号3)は、後述のように報酬額の計算をするために当該会員の商品購入合計個数を離散化(量子化)して報酬単位uの数がいくつあるかを決定するパラメータである。「片側」というのは、それぞれの会員から分枝する左右の枝の片側という意味で、実際には二分木データ構造を採用しているので、この2倍が計算上用いる報酬基数gである。なお、*は、積をとることを示す(以下、この明細書において同じ。)。配当率を計算するにあたり、大きな影響を有する基本的なパラメータである。
「集計期間」(番号4)は、報酬を計算するための期間であり、この期間の商品購入個数を基礎として報酬が計算される。
「最高限度額」(番号5)は、「集計期間」中に1人の会員が受け取る報酬の最高限度額をいう。これをM(円)とする。
「基本報酬額」(番号6)は、上記の報酬単位uごとに支払う報酬額であり、基本報酬額と報酬単位を掛け合わせたものが、後述の暫定報酬額となる。これをh(円)とする。
「商品単価」(番号7)は、新しい会員が購入する商品ひとつの価格であり、これをA(円)とする。
「入会金」(番号8)は、新しい会員が入会する際に統括会社に支払うものである。これをb(円)とする。
「階層の深さ」(番号9)は、会員制紹介販売流通組織が二分木データ構造に展開されたときの根ノード(トップ)から数えた階層の番号をいい、これをnとする。
【0044】
次に、報酬決定ルールの概略は、以下のようなものである。
報酬決定ルールは、会員が報酬を受ける条件として、後述の商品購入合計個数S(i)を、報酬基数g(=2*a)で割り、その商を報酬単位u(i)として、報酬単位1単位あたりの基本報酬額をh円として、基本報酬額と報酬単位u(i)を乗じた積を暫定報酬額P(i)と計算している。すなわち、商品購入合計個数S(i)を報酬基数g(=2*a)でデジタル化(量子化)されてステップ状に計算される。このようにすることで、最初のステップに達することができない場合、すなわち、商品購入合計個数S(i)が報酬基数gの数を下回ると報酬額は0になり、報酬が支払われない。商品購入合計個数S(i)が報酬額にそのまま比例するのではなく、商品購入合計個数について離散化(量子化)して切り下げるため、一定のステップごとにこれを超えたものについて報酬額が高くなる。各階層でこのような評価が行われる。
また、各ステップは、商品購入合計個数S(i)が報酬基数gの整数倍ごとに基本報酬額h円を支払うようにしているが、このステップの大きさは報酬基数gの整数倍でなくてもよく、各ステップで変化させてもよい。
【0045】
(第i層の会員の報酬)
さらに、報酬決定ルールに沿って詳細に説明する。
図7に示す二分木データ構造はn層からなる階層構造であるから、第1層から始まり、その下に2つに左右に枝分かれした第2層、同じく第2層から2つに左右に枝分かれした第3層、…、同じく第(i−1)層から2つに左右に枝分かれした第i層、…、同じく第(n−1)層から2つに左右に枝分かれした第n層が構成される。
そうすると、表1の変動条件テーブルで示すように、各会員の商品購入個数は1個であるので、第i層の当該会員の下位の(すなわち、傘下の)会員グループの商品購入合計個数(第i層の当該会員自身の商品購入個数1個は含まない。)をS(i)とすると、S(i)は、当該会員のノードから分枝する下位に配された紹介者の人数と一致し、第i層から始まり第n層で終了する二分木データ構造の全体の会員数2
n-(i-1)−1から1を減じたものとなるから、(式1)のようになる。なお、第1層から始まり第n層で終了する二分木データ構造の全体の会員数は、2
0+2
1+2
2+…+2
(n-1)=2
n−1である。
【0046】
S(i)=(2
n-(i-1)−1)−1(個)
=2
n+1-i−2(個) (式1)
【0047】
報酬額の決め方としては、あらかじめ基本報酬額を定め、これと商品購入合計個数との積を取って、商品購入合計個数と線形な関係になるよう報酬額を決めることもできる。
しかし、もう少し報酬の敷居を高くして、ある個数を閾値としてその閾値を超えると報酬が支払われるとすると、その閾値の個数まで紹介をしようとするインセンティブが高まることが期待される。そして、その閾値を可変にすることができれば、紹介のインセンティブと報酬とをより繊細に決定することができる。このため、「商品購入合計個数」を報酬基数gで離散化(量子化)して報酬単位u(i)に変換して評価することとした。
そうすると、報酬単位u(i)は、(式2)に示すように、(式1)のS(i)=2
n+1-i−2)(個)を、報酬基数gで除した整数部分として表わすことができる。ここで、報酬基数gを片側報酬基数aの2倍の2*aとすると、報酬単位u(i)は、S(i)を2*aで除した整数部分となる。
【0048】
u(i)=INT{S(i)/g} (式2)
=INT{S(i)/(2*a)}(単位)
【0049】
ここに、INT{ }とは、カッコ内の数値の整数部分を取り出す演算子である(以下、同じ)。この報酬単位u(i)に対し、基本報酬額を定め、これらの積を取ることにより、報酬額を決定することができる。
このように考えると、この集計期間中に第i層のひとりの会員が受け取ることになる報酬額P(i)は、(式3)に示すように、基本報酬額h(円)に(式2)の報酬単位u(i)を掛け合わせたものとなる。
【0050】
P(i)=h*u(i)(円) (式3)
【0051】
(最高限度額の導入)
第i層のひとりの会員の報酬P(i)は、以上のようにして(式3)に示すように求められるが、nが大きい場合報酬額は指数関数的に大きくなるので、配当率が発散する心配が生じる。そこで発散しないように、報酬額P(i)を暫定報酬額とし、その上限額として最高限度額M(円)を導入する。
この最高限度額Mは、報酬を制限するものであるので、会員にとって、公平感があり受け入れやすいものが望ましい。そこで、まず、上記の暫定報酬額P(i)を計算し、次に、最高限度額を超えたものについてのみ最高限度額に制限することとした。
暫定報酬額P(i)が最高限度額Mに達する層(最初に最高限度額を上回る報酬額となる層)を第n層から数えてm番目の層とすると、mは次の不等式(式4)を充たすkの最小値として求めることができる。
ただし、iは第1層から数え、kは第n層から数えるため、iとkにはi+k=n+1の関係があり、(式1)を考慮すると、(式4)に示されるように、求められたkの最小値であるmは、M、h、a(g)の3つのパラメータで決定され、nによらない。すなわち、mはnに無関係な定数である。
【0052】
M≦P(i)=h*u(i)
=h*INT{S(i)/g)}
=h*INT{(2
n+1-i−2)/g}
=h*INT{(2
k−2)/g)} (式4)
【0053】
このようにして、最高限度額Mに達する層であるmを求め、次のような場合分けを行って階層ごとに会員の報酬を定める。第1層〜第n+1−m層までの会員は報酬を最高限度額M円に制限するものである。
[場合1]:
i≦n+1−mの会員については、報酬を最高限度額M円とする。
[場合2]:
i>n+1−mの会員については、報酬を暫定報酬額P(i)=h*INT{(2
n+1-i−2)/g}円とする。
報酬基数gは、片側報酬基数aの2倍を採用すると、二分木データ構造において当該会員のノードの左右の枝に属する会員の商品購入個数がa個ずつごとにバランスよく両下層の会員が配置されていることに合致する。また、離散化による評価が直感的で受け入れやすい。
このような場合分けに従って、以下、組織全体の集計期間中の報酬の総額Bを場合1と場合2に分けて算出する。場合1では、会員が属する層によらず、一律に報酬額は最高限度額Mに制限される。場合2では、第i層に属するひとりの会員の報酬額は暫定報酬額P(i)と同額になり、どの層に属するかにより報酬額は異なる。
【0054】
(場合1における報酬総額BM)
場合1では、
図8に示すように、第n+1−m層からトップである第1層までの会員の報酬は一律最高限度額のM円となる。したがって、次の(式5)に示すように、場合1の総額BMは、M円に第1層から第n+1−m層までの会員数の総和を掛け合わせればよい。
【0056】
(場合2における報酬総額BR)
場合2では、各層の会員ひとりの報酬額P(i)は最高限度額Mに達しない。場合2の二分木データ構造の最上位の会員は、
図8に示すように、第(n−m+2)層に属する。したがって、この会員とその下位の(傘下の)グループに属する会員全体の報酬総額BP(円)は、第(n−m+2)層から第n層までの各層の会員の報酬額をすべて足し込んだもの(
図8の各ハッチングの部分)であるから、式5と同様に考えて、次の式6の第1式のようになり、式2と式3から第2式が導かれる。これをn−m+2=1として書き直すと、n=m−1、n−i+1=m−1、i−1=i−(n−m+2)であるので、第3式に示すようになる。
【0058】
式6で求められたBPは、
図8に示すように、第(n−m+2)層に属するひとりの会員とその会員から分枝する下位の階層に属する会員全体の報酬総額になるものであるから、これを第(n−m+2)層に属する会員の数2
n-m+1で積算すると、(場合2)の全体の報酬総額BRが(式7)に示すように求められる。なお、
図8では、場合2の各ハッチング部分は重なって表示されているが、共通のデータがあることを示すものではなく、二分木データ構造において各ハッチング部分はそれぞれ独立である(別な分木である)。
【0060】
そうすると、集計期間中の会員全体の報酬総額Bは、(式5)で示す(場合1)の報酬総額BMと(式7)で示す(場合2)の報酬総額BRとの合計であるから、報酬総額Bは次の(式8)で表わされる。
【0061】
B=BM+BR
=M*(2
n-m+1−1)+BP*2
n-m+1
=(M+BP)*2
n-m+1−M (式8)
【0062】
また、商品単価Aと入会金(登録料)bとを合わせた集計期間中の統括会社の受取総額Iは次の(式9)であらわすことができる。
【0063】
I=A*(2
n−1)+b*2
n-1=(2*A+b)*2
n-1−A (式9)
【0064】
したがって、(式8)を(式9)で除したものが統括会社の配当率F(n)であるから、配当率F(n)は、次に示す(式10)のように計算できる。
【0065】
F(n)=B/I
={(M+BP)*2
n-m+1−M}/{(2*A+b)*2
n-1−A}*100(%)(式10)
【0066】
(配当率F(n)の収束)
このように計算された配当率F(n)が必ず収束することを示す。(式10)についてnを無限大とした極限値は、次の(式11)のとおりとなる。
【0067】
lim F(n)=(M+BP)/{2
m-2*(2*A+b)}*100(%)(n→∞)(式11)
【0068】
(式11)の右辺はnが無限大になったときにnに無関係な一定値に収束することを示している。したがって、(場合1)、(場合2)で示した報酬決定ルールに沿って配当額を決定すれば、(式11)は発散することはないので、このような配当額から配当率を定めれば、理論上破綻することはない。したがって、計算される配当率F(n)は確定値となるので、信頼性の高いきわめて強力な配当の指標であることがわかる。このような配当額の決定についての提案は今までないものであり、このような報酬決定ルールに基づく報酬予測はきわめて強力な手法であることが示された。
【0069】
(計算処理)
図3に報酬予測プログラム30をフローチャートにより示す。以下、これに沿って処理の流れを説明する。
【0070】
(S310)キーボード10から変動条件が入力される。入力された変動条件は、ハードディスク(HDD)14に記憶される。同様に、計算命令が入力され、配当率の計算が開始される。
【0071】
(S312)変動条件をHDD14から読み出し、後述する報酬決定ルールに従い、予測報酬と予測全体売上を計算する。次に、予測報酬を予測全体売上で除して、予測配当率を算出する。
【0072】
(S314)算出した予測配当率をディスプレイ16に表示する。算出した予測配当率とその場合の変動条件をHDD14の計算結果ファイル38に記録する。
【0073】
(S316)予測配当率が所望の値であれば、(S318)に移行し、所望の値でなければ、(S310)に戻り、再度、変動条件と計算命令に従い、配当率を再計算する。
【0074】
(S318)所望の値である配当率およびその変動条件を、HDD14に出力し、記録する。
【0075】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、報酬決定ルールやプログラムを複数記録したデータベースを、処理を行う装置内に格納している。これに限らず、これらデータベースを他の装置に記録したり、通信回線を介してアクセスするようにすることが考えられる。
第2の実施形態では、報酬決定ルールを、演算プログラムとしてサーバーに実装する。この場合は、端末装置から、変動条件をサーバーに送信して、演算結果を端末装置に送信するので、端末装置から簡単に変動条件を変更して配当率を求めることができる。
本実施の形態で求めた配当率と、実績に基づく配当率との差異を定量的に把握することにより、状況に応じたさらに合理的な報酬プランの提供や報酬プランの管理を行うことができるであろう。
【0076】
(処理サーバー)
本実施形態による報酬予測計算システム160を
図4に示す。この実施形態では、サーバー装置(処理サーバー)100と端末装置102,104,106、…が、インターネットを介して接続されている。サーバー装置100は、報酬予測計算プログラム、報酬決定ルールを記録しており、ウェブサーバー(クラウドサーバー)として機能するものである。端末装置102、104、106、…は、サーバー装置100にアクセスすることにより、報酬予測計算機能を利用することができる。
【0077】
図6に、この発明の第2の実施形態である報酬計算予測サーバー100の全体構成を示す。入力部110、制御部112、記憶部114、表示部116、通信部118を備えている。
入力部110は、サーバーのユーザからサーバーに必要な情報を与えるためのインターフェースである。キーボードマウス、音声入力装置など、人間とのインターフェースをとるものだけではなく、インターフェース回路、インターフェースプログラムなど、他のプログラムや他のコンピュータなどとのインターフェースをとるものを含む。
制御部112は、少なくとも端末装置102、104、106、…や記憶部114と情報のやり取りを行って配当率を計算するための制御を行うものである。
記憶部114は、少なくとも、報酬予測プログラムを格納し配当率の計算およびその結果を記憶するもので、必要に応じ、ユーザ登録情報などを記憶する。
表示部116は、少なくとも配当率を表示するためのものをいい、たとえば、ディスプレイ装置を用いてもよい。
通信部118は、サーバー装置100外部と通信網などを利用して通信を行うものである。
【0078】
端末装置102、104、106、…のハードウェア構成は、図示しないが、基本的に
図6のサーバー100のハードウェア構成と同様である。なお、端末装置は、クライアントであるため、報酬計算予測プログラム等を格納したり、報酬予測計算をしたりする必要はなく、少なくとも、変動条件をサーバー100に送信して、報酬予測計算の結果を受け取り、記録・保持できればよい。
【0079】
(変動条件)
変動条件は、第1の実施形態の表1に示すものと同様である。
【0080】
(処理フロー)
図5に、サーバー装置100に記録された報酬予測プログラムのフローチャートとこれに対応する端末装置102、…に記録された閲覧プログラムのフローチャートを示す。
【0081】
最初に、サーバー装置100は、端末装置102、104、106、…から通信部118を介してアクセスを受け、端末装置に入力されたユーザ識別子が送信されて、そのログインを許可する(不図示)。その際、制御部112があらかじめ記憶部114に記憶されたユーザ識別子情報と照合して、許可してもよい。たとえば、ユーザ識別子として、「0102」が送信され、その際に、セキュリティを確保するためパスワードが併用されてもよい。
【0082】
(S520)次に、ログインが許可された端末装置102は、変動条件と計算命令をサーバー装置100に送信する。
【0083】
(S510)サーバー装置100はこれを受信して、変動条件を記憶部114に記録するとともに、記憶部114に格納する報酬決定ルールと報酬予測プログラムを起動して制御部112において報酬予測計算を行い、配当率を計算する。さらに、配当率と変動条件などの計算結果を記憶部114に記録するとともに、通信部118を介して端末装置102に送信する。
【0084】
(S522)端末装置102はこれを受信して、閲覧プログラムは計算結果を表示した画面を表示する。
【0085】
(S524)ユーザが所望の配当率であると考える場合は、(S526)に進み、ユーザ操作により、決定命令をサーバー装置100に送信する。そうでない場合は、(S520)にジャンプして別の変動条件と計算命令をサーバー装置100に送信し、再計算させる。この処理が繰り返されて、さらに、サーバー装置100では再計算を行い、結果を端末装置102に送信する。
【0086】
(S512)ステップS526において決定命令が送信され、サーバー装置100が決定命令を受信すると、決定した配当率とその際の変動条件を表示した画面を端末装置102に送信する。
【0087】
(S528)ステップ512の画面が送信されると、端末装置102は受信した決定配当率と変動条件を表示する。
【0088】
このようにして、端末装置102、…にサーバー装置100の報酬予測プログラムを利用させることができる。
【実施例1】
【0089】
以下、本発明の報酬決定ルールに沿って、配当率を求めた計算例を示す。これは、装置、サーバーのいずれにも該当する。
(計算例1)
報酬決定ルールに沿って、報酬プランの基本形から変動条件を抽出し、配当率Fを算出する。変動条件は、表2のように定めて計算する。
表2に示すように、主要なパラメータである報酬基数g(片側報酬基数a)、最高限度額M,基本報酬額hを抜き出して示すと以下のようになる。
g、a:片側報酬基数aは3個(報酬基数gは6個となる)
M:最高限度額Mは、2,400千円
h:基本報酬額hは、5千円
【0090】
【表2】
【0091】
このM、h、aの条件で階層の深さn=15の場合(会員数32,000人余の場合)に、(式4)を用いて最高限度額に達する層mを求めると、(式4)を充たすkの最小値mは、
m=12
となる。そうすると、このmとnの条件のとき、(場合1)の報酬総額BMは、(式5)から、
BM=M*(2
5−1)
=2,400,000*15=36,000,000(円)
となる。一方、(場合2)のBPは、(式6)から、
BP=h*2,845
=5,000*2,845=14,225,000(円)
となり、(場合2)の報酬総額BRは、(式7)から、
BR=BP*2
4
=14,225,000*16=227,600,000(円)
となる。したがって、(式8)から、
報酬総額B=BM+BR
=36,000,000+227,600,000
=263,600,000(円)
となる。
これに対し、統括会社の受取総額Iは、(式9)から、
受取総額I=A*(2
n−1)+b*2
n-1=(2*A+b)*2
n-1−A
=(2*10,000+3,000)*2
14-10,000
=376,822,000(円)
であるので、(式10)を適用して、配当率F(15)を求めると、
配当率F(15)=(B/I)*100(%)
=(263,600,000/376,822,000)*100(%)
=69.95%
となる。
このような配当は、リスクを抑えた手堅い配当ということができる。
【0092】
なお、一般に、配当率F(n)は、実績の配当率と必ずしも一致しない場合もあるかもしれないが、この不一致は、個々の会員の紹介者の偏り(多寡)、地域的な紹介者の偏り(多寡)などが原因として推定される。このような不一致についてさらに解析を加えることにより、統括会社にとっては報酬プランの設定方法などに反映できる営業上の重要な情報が得られるものと考えられる。このように、報酬プランについて、配当率F(n)という定量的な評価ができるため、さらにより魅力的でリスクの少ない新たな報酬プランの策定が可能になる。
【実施例2】
【0093】
(計算例2:a=2とした場合)
次に、変動条件を変え、片側報酬基数aをa=2とした場合の計算例を示す。
表3に示すように、主要なパラメータである報酬基数g(片側報酬基数a)、最高限度額M,基本報酬額hを抜き出して示すと以下のようになる。
g、a:片側報酬基数aは2個(報酬基数gは4個となる)
M:最高限度額Mは、2,400千円
h:基本報酬額hは、5千円
【0094】
【表3】
【0095】
a=2(左の枝2個、右の枝2個)とした場合以外は、計算例1と同様である。
この条件で階層の深さn=15の場合に、(式10)を適用して、配当率を求めると次の結果を得る。この場合は、計算例1と同様に計算をすると、m=11となり、
配当率F(15)=95.9%
となる。
この配当率の数値は、配当の評価としてかなり高く、統括会社としてはリスクが伴うものかもしれない。しかし、過去の傾向や現実の状況により、もっと低い配当率になること(たとえば実績配当率は50%程度と推定できるなど。)が考えられるのであれば、リスクがあるものの訴求力の強い魅力的な報酬プランの一つとして検討することもできるだろう。
【実施例3】
【0096】
(計算例3:a=4とした場合)
さらに、変動条件を変え、a=4とした場合の計算例を示す。これは、会員がより多くの商品を購入するケースである。
表4に示すように、主要なパラメータである報酬基数g(片側報酬基数a)、最高限度額M,基本報酬額hを抜き出して示すと以下のようになる。
g、a:片側報酬基数aは4個(報酬基数gは8個となる)
M:最高限度額Mは、2,400千円
h:基本報酬額hは、5千円
【0097】
【表4】
【0098】
a=4(それぞれ左の枝4個、右の枝4個)とした場合以外は、計算例1、2と同様である。この場合は、計算例1、2と同様に計算をすると、m=12となり、
配当率F(15)=47.6%
となる。
この場合、配当率は50%を切っており、実施例2と比べると、リスクは小さいが、いわば魅力のない報酬プランであると評価されるであろう。
【0099】
以上示したように、計算例1〜3において(式10)を用いて配当率を計算した。このように報酬プランを決めるh、M、g(a)という3つのパラメータ(変動条件)を変えることにより、必ず収束する配当率を容易に得られる。また、商品単価A、入会金bなどを変えて異なる配当率とすることもできるので、柔軟で容易な報酬プランの予測・評価を行うことができる。
【0100】
このような予測に関しての利点は、以下のようなものがある。
第一に、この予測を組織展開の開始前に行うことで、経済状況等諸般の事情を勘案しながら、定量的で信頼のできる指標をもとに報酬プランを弾力的に決定することができる。
第二に、この予測を組織展開の開始以降に行うことで、統括会社全体としての配当率を予測するのにとどまらず、個々の会員の実績値と予測値の差異を評価することにより、活動の活発な拠点組織を見出して全体の組織展開戦略を立てることができ、会員個々の活動の指針を示すこともできる。
【0101】
このように報酬予測計算が収束するということのみならず、商品単価A,入会金bなどを含む直観に訴えやすいパラメータを操作して報酬予測計算をすることができるため、会員にとって魅力があるプラン策定を簡単に検討することができる。加えて、統括会社にとっての経営の存続・安定化と紹介の過熱化の鎮静をも考えた現実的なプランの検討が簡単に行えるようになり、社会的な要請にも応えることができる実効性と汎用性のある報酬計算予測技術を提供することができる。このようなことを可能とする会員制紹介販売組織の会員に対する適正で合理的な報酬プランを決定することができる報酬予測装置、方法、およびソフトウェアは今まで提案されたことはなく、本発明により、初めて実現されたものである。
【解決手段】報酬決定ルールは、[1]各会員が二分木データ構造の各ノードにそれぞれ仮想的に配置されて充填された階層を構成するようにマッピングされた配置情報を有し、[2]各会員の報酬額について、前記配置情報に基づいてその会員から分枝する下位の階層に属する会員が購入した商品の総個数である商品購入合計個数(S(i))と、所与の最高限度額(M)と、所与の報酬基数(g)とに基づき、階層ごとに前記商品購入合計個数について前記報酬基数により離散化して評価した暫定報酬額(P(i))を算出し、前記暫定報酬額が前記最高限度額を超えないように前記報酬額を決定する。