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特許6016290微小電気機械システム(MEMS)デバイスを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016290
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】微小電気機械システム(MEMS)デバイスを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B81C 1/00 20060101AFI20161013BHJP
【FI】
   B81C1/00
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-216769(P2011-216769)
(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公開番号】特開2012-96350(P2012-96350A)
(43)【公開日】2012年5月24日
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】12/916,395
(32)【優先日】2010年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504199127
【氏名又は名称】フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リサ エイチ.カーリン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ダブリュ.キースト
(72)【発明者】
【氏名】リエンジュイン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ リウ
(72)【発明者】
【氏名】ルーベン ビー.モンテズ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エフ.シュタイムル
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−040831(JP,A)
【文献】 特開2002−103299(JP,A)
【文献】 特開平08−116070(JP,A)
【文献】 特開2008−117867(JP,A)
【文献】 特表2009−507658(JP,A)
【文献】 特表2005−528994(JP,A)
【文献】 米国特許第06440766(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 1/00−7/04
B81C 1/00−99/00
H01L 27/20
H01L 29/84
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
MEMSデバイスを形成する方法であって、
基板上に酸化物からなる犠牲層を形成するステップと、
前記犠牲層上にポリシリコン層を形成するステップと、
前記ポリシリコン層上に金属層を形成するステップと、
前記金属層を覆う保護層を形成するステップと、
前記保護層および前記金属層をエッチングして、前記金属層の残り部分上に形成された前記保護層の残り部分を有するコンタクトスタック構造を形成するステップと、
前記コンタクトスタック構造および前記ポリシリコン層上に酸化物層を形成するステップと、
前記酸化物層と前記ポリシリコン層をパターニングして、前記ポリシリコン層からMEMSデバイスの構造を形成し、前記酸化物層の一部を残すステップと、
前記犠牲層をエッチングして、前記MEMSデバイスの構造が可動となるようにするステップであって、前記酸化物層の一部が除去され、前記保護層の残り部分が部分的に除去され、前記保護層の残り部分上に残渣が残り、前記保護層の残り部分は、前記犠牲層をエッチングするステップの間、前記金属層の残り部分を保護し、前記犠牲層および前記酸化物層の一部が前記保護層よりも早く除去されるようにエッチングが調整される、前記犠牲層をエッチングするステップと、
前記残渣を除去するステップと、
前記保護層の残り部分を除去するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記コンタクトスタック構造がボンディングパッド構造を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記保護層は、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記保護層は、シリコンリッチ窒化シリコンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
MEMSデバイスを形成する方法であって、
基板上に第1の材料からなる犠牲層を形成するステップと、
前記犠牲層をパターニングしてパターン化された犠牲層を形成するステップと、
前記パターン化された犠牲層上にポリシリコン層を形成するステップと、
前記犠牲層上に金属層を形成するステップと、
前記金属層をパターンエッチングして、前記ポリシリコン層上にコンタクト構造を形成するステップと、
少なくとも前記金属層の残り部分を覆う保護層を形成するステップと、
前記コンタクト構造、前記保護層、及び前記ポリシリコン層上に前記第1の材料からなる被覆層を形成するステップと、
前記第1の材料からなる被覆層および前記ポリシリコン層をパターンエッチングして、前記ポリシリコン層からなるMEMS構造と、パターン化された被覆層とを形成するステップと、
前記パターン化された犠牲層をエッチングして前記MEMS構造の可動部分を形成するステップであって、前記パターン化された被覆層は除去され、前記保護層が部分的に除去され、前記保護層は、前記パターン化された犠牲層をエッチングして前記MEMS構造の前記可動部分を形成するステップの間、前記金属層の残り部分を保護し、前記パターン化された犠牲層および前記パターン化された被覆層が前記保護層よりも早く除去されるようにエッチングが調整される、前記パターン化された犠牲層をエッチングするステップと、
前記保護層を除去するステップと
を含む、方法。
【請求項6】
前記MEMS構造がボンディングパッド構造を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記保護層がシリコンリッチ窒化物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
MEMSデバイスを形成する方法であって、
基板上に第1の材料からなるパターン化された犠牲層を形成するステップと、
前記パターン化された犠牲層上を含み、前記基板上にポリシリコン層を形成するステップと、
前記ポリシリコン層上に金属コンタクトを形成するステップであって、前記金属コンタクトは、該金属コンタクトを覆う保護層を有する、前記金属コンタクトを形成するステップと、
前記ポリシリコン層上の前記金属コンタクトを前記保護層とともに覆い、かつ前記ポリシリコン層を覆う前記第1の材料からなる絶縁層を形成するステップと、
前記絶縁層および前記ポリシリコン層をパターンエッチングして、MEMS構造を形成し、前記絶縁層の一部を残すステップと、
前記パターン化された犠牲層をエッチングして前記MEMS構造の可動部分を形成するステップであって、前記絶縁層の一部が除去され、前記保護層が部分的に除去され、前記保護層は、前記犠牲層をエッチングして前記MEMS構造の可動部分を形成するステップの間、少なくとも前記金属コンタクトの残り部分の上面を汚染から保護し、前記パターン化された犠牲層および前記絶縁層の一部が前記保護層よりも早く除去されるようにエッチングが調整される、前記パターン化された犠牲層をエッチングするステップと、
前記保護層を除去するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の材料は、酸化物からなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記保護層は、窒化シリコン、および窒化チタンからなる群から選択されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記保護層がシリコンリッチ窒化物を含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
前記保護層は、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にはMEMSデバイスに関するものであり、さらに詳しくはMEMSデバイスを形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスはより多くの用途を見出しており、特に、加速度計、位置検出器、およびジャイロスコープのような空間感知に対する用途がある。これらの機能がより一般的になり、携帯電話、自動車、電子ゲームのような多くの消費者デバイスに用途を見出している。用途が増加するほど、低価格要求が増加し、該低価格要求が高容量で十分な質を備える製造プロセスに影響を与える。MEMSデバイスに典型的に含まれるものの一つは、しばしば三軸における、運動の自由度を有する部分である。この部分の製造はMEMSデバイスの機能に対して重要である。このキープロセスを他の存在しなければならない特徴と一体化することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5930664号明細書
【特許文献2】米国特許第6006764号明細書
【特許文献3】米国特許第6221752号明細書
【特許文献4】米国特許第7585754号明細書
【特許文献5】米国特許第7682860号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、特に、ある程度の運動の自由度を有する特徴を提供することに関連して、MEMSデバイスを製造するためのプロセスを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法は、基板上に犠牲層を形成するステップを含む。方法は、犠牲層上に金属層を形成するステップをさらに含む。方法は、金属層上に保護層を形成するステップをさらに含む。方法は、保護層および金属層をエッチングして、金属層の残り部分上に形成された保護層の残り部分を有する構造を形成するステップをさらに含む。方法は、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップを含み、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成する間、保護層の残り部分が金属層の残り部分を保護する。方法は、保護層を形成するために用いられる材料、および保護層の厚さが、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの後、保護層の残り部分の残留部分が金属層の残り部分上に残るように選択されることをさらに特徴とし得る。方法は、保護層および金属層をエッチングして構造を形成するステップの後、保護層の残り部分を覆う絶縁層を形成するステップをさらに備える。方法において、構造がボンディングパッド構造を含むことをさらに特徴とし得る。方法が、犠牲層上に導電性層を形成するステップと、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップに先立って、導電性層をエッチングして可動部分の機構を形成するステップとをさらに含む。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含むことをさらに特徴とし得る。方法において、保護層がシリコンリッチ窒化シリコンを含むことをさらに特徴とし得る。
【0006】
さらに、MEMSデバイスを形成する方法が記載される。方法は、基板上に犠牲層を形成するステップを含む。方法は、犠牲層上に金属層を形成するステップをさらに含む。方法は、金属層をエッチングして、金属層の残り部分を有する構造を形成するステップをさらに含む。方法は、少なくとも金属層の残り部分を覆う保護層を形成するステップをさらに含む。方法は、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップをさらに含み、保護層が、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの間、金属層の残り部分を汚染から保護する。方法において、保護層を形成するために用いられる材料、および保護層の厚さは、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの後、犠牲層の残り部分の残留部分が金属層の残り部分上に残るように選択されている。方法は、保護層をエッチングすることに先立って、保護層を覆う絶縁層を形成するステップをさらに含む。方法において、構造がボンディングパッド構造を含むことをさらに特徴とし得る。方法は、犠牲層上に導電性層を形成するステップと、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップに先立って、導電性層をエッチングして可動部分の機構を形成するステップとをさらに含んでもよい。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの一つを含むことをさらに特徴とし得る。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコンを含むことをさらに特徴とし得る。
【0007】
さらに、MEMSデバイスを形成する方法が記載される。方法は、基板上に犠牲層を形成するステップを含む。方法は、犠牲層上に金属層を形成するステップをさらに含む。方法は、金属層を覆う保護層を形成するステップを含む。方法は、保護層および金属層をエッチングして、金属層の残り部分上に形成された保護層の残り部分を有するボンディングパッド構造を形成するステップをさらに含む。方法は、少なくとも保護層の残り部分を覆う絶縁層を形成するステップをさらに含む。方法は、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップをさらに含み、保護層の残り部分が、少なくとも、ボンディングパッド構造を形成する金属層の残り部分の上面を、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの間、汚染から保護する。方法において、保護層を形成するために用いられる材料、および保護層の厚さは、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの後、犠牲層の残り部分の残留部分が金属層の残り部分上に残るように選択されている。方法は、犠牲層上に導電性層を形成するステップと、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップに先立って、導電性層をエッチングして可動部分の機構を形成するステップとをさらに含んでもよい。方法において、保護層が、シリコン窒化物および窒化チタンからなる群から選択されることをさらに特徴とし得る。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化物を含むことをさらに特徴とし得る。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含むことをさらに特徴とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態によるプロセス中の一段階におけるMEMSデバイスの断面図である。
図2図1のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図3図2のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図4図3のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図5図4のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図6図5のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図7図6のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図8図7のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図9】第2実施形態によるプロセス中の一段階におけるMEMSデバイスの断面図である。
図10図9のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
図11図10のMEMSデバイスの、プロセス中の後続の段階における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は例示の方法により説明されており、添付の図面により限定されるものではなく、図面において、同様の参照符号は類似の要素を示す。図中の要素は簡潔かつ明確に説明されており、必ずしも寸法通りに描かれていない。
【0010】
一態様において、微小電気機械システム(MEMS)デバイスは、ポリシリコン部材の運動の自由度を提供するエッチングを用いて製造され、同時に、運動の自由度を提供するエッチングを実行するために用いられたエッチャントから接触パッドを保護する。この保護は、犠牲層を堆積して、接触パッドの位置上の部分を残るように犠牲層をパターニングすることによって達成される。このエッチングが、もし接触パッドが保護されていないならば、接触パッド上に層を残す傾向があり、ワイヤボンドまたは他の接触材料を付着させることを困難にする。このエッチングは運動の自由度に対して非常に重要であり、したがって、MEMSデバイスの必要とされる性能を達成するために制御することは非常に重要である。エッチング後、犠牲層の残った部分が除去されて、接触パッドが接触に利用できるようにする。これは、以下の説明及び図面を参照することによって、より理解される。
【0011】
本明細書に記載された半導体基板は任意の半導体材料またはこれらの材料の組み合わせであってもよく、例えば、ガリウム砒素、シリコンゲルマニウム、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、シリコン、単結晶シリコン、等、およびこれらの組み合わせであってよい。
【0012】
図1は、MEMSデバイス10を示し、MEMSデバイス10は、基板12と、基板12上に成長された熱酸化層14と、ポリシリコン部分16、18、および22を有するパターニングされたポリシリコン層と、ポリシリコン部分16、18、および22上かつ熱酸化層14上の窒化シリコン層であって、ポリシリコン部分16および熱酸化層14上の窒化物部分24と、ポリシリコン部分18上の窒化物部分26と、ポリシリコン部分22および熱酸化層14上の窒化物部分28とを有する、窒化シリコン層と、堆積された酸化層であって、窒化物部分24上の酸化物部分30と、窒化物部分26上の酸化物部分32と、窒化部分28上の酸化物部分34とを有する堆積された酸化層と、酸化物部分30、32、34、および熱酸化層14上のポリシリコン層36と、酸化物部分38および酸化物部分40を有する、ポリシリコン層36上に堆積された酸化物層と、堆積された酸化物層40およびポリシリコン層36上の金属層42とを含む。ポリシリコン層36の領域31は、酸化物部分30と32との間、窒化物部分24と26との間、およびポリシリコン部分16と18との間にある。ポリシリコン層36の領域33は、酸化物部分32と34との間、窒化物部分26と28との間、およびポリシリコン部分18と22との間にある。金属層の領域35は酸化物部分38と40との間にある。様々な層の有効厚さは以下の通りである。熱酸化物層14は2.5ミクロン、ポリシリコン部分16、18および22は0.35ミクロン、窒化物部分24、26、および28は0.3ミクロン、酸化物部分30、32、および34は1.8ミクロン、ポリシリコン層36は25ミクロン、酸化物部分38および40は0.4ミクロン、金属層35は1.4ミクロンである。他の寸法でも同様に機能する。金属層42がアルミニウムを含んでもよく、銅およびシリコンのような他の材料を含んでもよい。酸化物部分30、32、および34は、好ましくはテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を用いて堆積されるが、他の技術も有効である可能性がある。様々なポリシリコン層はドープされていてもよい。ポリシリコン部分18は導電性であるべきであり、したがって、ポリシリコンがこのために選択された場合、ポリシリコンはドープされるべきである。
【0013】
図2は、0.75ミクロンの厚さを有し得るシリコンリッチ窒化シリコン(SiRN)層44を堆積した後のMEMSデバイス10を示す。SiRN層44は2.19の屈折率を有し得る。より低いか、または高い屈折率を得られるシリコンの他の相対濃度も有効である可能性がある。定比窒化シリコンは、約2.02の屈折率を有する。したがって、2.02を超える屈折率が好ましい。蒸気のフッ化水素酸(HF)に対して、シリコンリッチ窒化シリコンがより緩徐にエッチングされるので、SiRNは定比窒化シリコンよりも望ましい。SiRNは望ましい材料であるが、他の材料もまた層44に対して有効である可能性がある。典型的材料は窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物である。他の材料も有効であり得る。例示されたように、層44は導体または誘電体であってよい。
【0014】
図3は、領域35に合わせて金属層42およびSiRN層44のパターンエッチングを実行して、領域31に合わせられた領域35の金属層42と、SiRN層44の部分とを残した後のMEMSデバイス10を示す。
【0015】
図4は、0.4ミクロンの厚さを有し得る酸化物層46を堆積した後のMEMSデバイス10を示す。
図5は、酸化物層46、酸化物層40、およびポリシリコン層36を貫通する開口48、50、および52をエッチングし、酸化物部分30、32、および34を露出させた後のMEMSデバイス10を示す。開口48がコンタクトスタック54を包囲する。開口50および52は、開口50および52と隣接するポリシリコン層36の部分を、ポリシリコン層36の連続部分の一部として残すようになっている。これはMEMSデバイスの可動部材となり、MEMSデバイスの可動部分とも呼ばれる。
【0016】
図6は、酸化物部分30、32、34と、酸化物層46および40とを除去する気相HFを用いる酸化物エッチング後のMEMSデバイスを示す。酸化物30、32および34は犠牲的であると考えられる。SiRN層44はエッチストップとして機能して、金属層42がHFエッチングを受けないようにし、したがって、SiRN層44は金属層42を保護する保護層である。SiRN層44もエッチングされるが、酸化物がSiRN層より早くエッチングされるように気相HFエッチングが調整される。このエッチングの結果、残渣58が窒化物24、26、および28の上に、残渣56がSiRN層44の上に生じる。酸化物部分32および34の除去が、可動となるべきポリシリコン層36の可動部材部分をリリースする効果を有する。したがって、MEMSデバイスにおいてこの効果を有する酸化物エッチングはリリースエッチング(release etch)と呼ばれる場合がある。領域33が、ポリシリコン層36の可動部材部分のベースとして機能する。領域31で、コンタクトスタック54の一部であるポリシリコン層36の部分がポリシリコン部分18へのコンタクトを形成し、一方、ポリシリコン部分18は、領域33における可動部材とコンタクトする。HFエッチングが金属層42に接触する場合、HFエッチングが、酸素、アルミニウム、およびフッ素を含有する化合物の層を形成することが知られている。この化合物は、金属層42に対して優れた電気的接触を形成することを困難にする。例えば、金はこの化合物に良好に付着しない。さらに、この化合物は容易に除去されない。残渣56も、電気的接触を形成することに良好ではないが、残渣は、エッチングを実行した後の洗浄に通常に用いられる手法を使用して容易に除去される。例えば、過酸化水素中でのリンスの後に、350℃でベーキングすることは有効であり、これは残渣58を除去することに対しても有効である。気相HFプロセスはツールを含んでもよく、無水HF液体混合物を気化してHF蒸気を形成するか、または気体の窒素を、HFおよび水を含有する高濃度溶液に通してバブリングする。有効なプロセス希釈剤は窒素ガスである。MEMSデバイスの有効な乾燥を促進するために、気体イソプロピルアルコールまたは類似する疎水性化合物をプロセスに加えても良い。プロセスチャンバは大気圧または大気圧よりも低い圧で動作し得る。反応の温度は室温で維持されるか、または高温(25〜50℃)で実行されてもよい。さらに、プロセスパラメータは、堆積された酸化物と比較して、SiRNに対して異なるレートを達成するように調整可能である。例えば、酸化物エッチングレートはSiRNエッチングレートの4倍以上とし得る。これが、SiRN層の厚さの選択に自由度を許容する。
【0017】
フッ化水素(HF)は二酸化シリコンをエッチングするための有効な方法であり、MEMSプロセスにおいて用いられる一般的な犠牲材料である。しかしながら、特に、水の存在のために、水を含む形式のエッチングがアルミニウムを腐食する可能性がある。酸化物をエッチングするための気相HFの使用は、エッチングの間のアルミニウムの腐食を低減する。しかしながら、二酸化シリコンのエッチングによって遊離した水蒸気は、アルミニウム上で凝集する可能性があり、アルミニウム、フッ素、酸素の望ましくない化合物の形成をもたらす。
【0018】
図7は、リンスおよびベーキングを実施して、残渣56および残渣58を除去した後のMEMSデバイス10を示す。
図8は、窒化物部分24、26、および28と窒化物層44とを除去した後のMEMSデバイス10を示す。これによりコンタクトスタック54の金属層42の上面が露出される。これにより、完成したMEMSデバイスと、コンタクトする金属層42とが残され、このMEMSデバイスは、続いて従来の方法でパッケージングされる。この除去は、窒化物とポリシリコンとの間で選択性を有するドライ・プラスマエッチングを用いることによって引き起こされ得る。
【0019】
図9は、図2〜8の実施形態の代替としてのMEMSデバイス70を示し、MEMSデバイス70は、図2に示されるようなSiRNの層を堆積する代わりに、層42のパターンエッチングを実行した後の図1のMEMSデバイス10である。これにより、層40中の開口に金属層42の部分が残される。この例において、層42の残り部分と層40との間に小さな空間が存在し、これによりポリシリコン層36の小さな部分が露出される。
【0020】
図10は、層42の残り部分、露出されたポリシリコン層36の小さい部分、および層40を覆うようにSiRNの層54を堆積した後のMEMSデバイス70を示す。
図11は、SiRNの層45のパターンエッチングを実行して、層42の残り部分の側壁にSiRNが残るようにした後のMEMSデバイス70を示す。これにより、気相HFエッチングが層42の残り部分の任意の部分に(側壁にも)接触することを回避する。側壁を覆うことが、図3のMEMSデバイス10との主な違いである。
【0021】
図11のMEMSデバイス70は、その後、図4〜8におけるMEMSデバイス10について記載されたように処理される。
したがって、保護層、好ましくはSiRNが提供されることにより、連続的な構造要素として残るポリシリコン部分から形成された可動部材の運動に自由度を与える効果を有する酸化物除去エッチングの間、コンタクトが保護されることが分かる。酸化物を除去するエッチングは、可動要素の想定される動作において非常に重要である。この目的のために、気相HFエッチングは非常に有効であることが見出された。コンタクトにおけるエッチングの悪影響のために、犠牲保護層を採用することが、コンタクトの汚染問題を回避するという点において有効である。また、HFエッチングが調整されることにより、コンタクトを覆う所望のエッチストップを得る際に、犠牲保護層を過度の厚さとする必要がない。
【0022】
以上、MEMSデバイスを形成する方法が提供されたことが理解されよう。方法は、基板上に犠牲層を形成するステップを含む。方法は、犠牲層上に金属層を形成するステップをさらに含む。方法は、金属層上に保護層を形成するステップをさらに含む。方法は、保護層および金属層をエッチングして、金属層の残り部分上に形成された保護層の残り部分を有する構造を形成するステップをさらに含む。方法は、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップを含み、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成する間、保護層の残り部分が金属層の残り部分を保護する。方法は、保護層を形成するために用いられる材料、および保護層の厚さが、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの後、保護層の残り部分の残留部分が金属層の残り部分上に残るように選択されることをさらに特徴とし得る。方法は、保護層および金属層をエッチングして構造を形成するステップの後、保護層の残り部分を覆う絶縁層を形成するステップをさらに備える。方法において、構造がボンディングパッド構造を含むことをさらに特徴とし得る。方法が、犠牲層上に導電性層を形成するステップと、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップに先立って、導電性層をエッチングして可動部分の機構を形成するステップとをさらに含む。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含むことをさらに特徴とし得る。方法において、保護層がシリコンリッチ窒化シリコンを含むことをさらに特徴とし得る。
【0023】
さらに、MEMSデバイスを形成する方法が記載される。方法は、基板上に犠牲層を形成するステップを含む。方法は、犠牲層上に金属層を形成するステップをさらに含む。方法は、金属層をエッチングして、金属層の残り部分を有する構造を形成するステップをさらに含む。方法は、少なくとも金属層の残り部分を覆う保護層を形成するステップをさらに含む。方法は、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップをさらに含み、保護層が、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの間、金属層の残り部分を汚染から保護する。方法において、保護層を形成するために用いられる材料、および保護層の厚さは、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの後、犠牲層の残り部分の残留部分が金属層の残り部分上に残るように選択されている。方法は、保護層をエッチングすることに先立って、保護層を覆う絶縁層を形成するステップをさらに含む。方法において、構造がボンディングパッド構造を含むことをさらに特徴とし得る。方法は、犠牲層上に導電性層を形成するステップと、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップに先立って、導電性層をエッチングして可動部分の機構を形成するステップとをさらに含んでもよい。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの一つを含むことをさらに特徴とし得る。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコンを含むことをさらに特徴とし得る。
【0024】
さらに、MEMSデバイスを形成する方法が記載される。方法は、基板上に犠牲層を形成するステップを含む。方法は、犠牲層上に金属層を形成するステップをさらに含む。方法は、金属層を覆う保護層を形成するステップを含む。方法は、保護層および金属層をエッチングして、金属層の残り部分上に形成された保護層の残り部分を有するボンディングパッド構造を形成するステップをさらに含む。方法は、少なくとも保護層の残り部分を覆う絶縁層を形成するステップをさらに含む。方法は、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップをさらに含み、保護層の残り部分が、少なくとも、ボンディングパッド構造を形成する金属層の残り部分の上面を、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの間、汚染から保護する。方法において、保護層を形成するために用いられる材料、および保護層の厚さは、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップの後、犠牲層の残り部分の残留部分が金属層の残り部分上に残るように選択されている。方法は、犠牲層上に導電性層を形成するステップと、犠牲層をエッチングしてMEMSデバイスの可動部分を形成するステップに先立って、導電性層をエッチングして可動部分の機構を形成するステップとをさらに含んでもよい。方法において、保護層が、シリコン窒化物および窒化チタンからなる群から選択されることをさらに特徴とし得る。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化物を含むことをさらに特徴とし得る。方法において、保護層が、シリコンリッチ窒化シリコン、窒化チタン、チタン、およびアモルファス炭化物からなる群のうちの1つを含むことをさらに特徴とし得る。
【0025】
さらに、明細書及び特許請求の範囲において、「前方」、「後方」、「上方」、「下方」、「上に」、「下に」など用語が、もしあるとすれば、説明の目的で用いられているが、これは必ずしも恒久的な相対関係を説明するものではない。これらのそのように用いられた用語は、適切な状況下においては交換可能であり、本明細書において説明される発明の実施形態は、例えば、明細書において図示または説明されたもの以外の位置づけによる動作が可能である。
【0026】
前述の詳細な説明は、具体的な例示の実施の形態を参照しながら本発明を説明するものである。しかし、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更が加えられ得ることが理解されよう。例えば、別のエッチングがリリースエッチングとして有効であることが見出され、依然としてコンタクトに有害な効果をもたらす可能性があり、犠牲保護層を用いることで恩恵を受け得る。ポリシリコン層は、コンタクトメタルがパターニングされた後にパターニングされることが説明されたが、逆の場合もあり、その場合、可動部材を形成するためにポリシリコン層36がパターニングされ、その後、金属層42がパターニングされてコンタクトが形成される。詳細な説明及び添付図面は限定するものではなく、単に例と見なされるべきであり、そのような修正又は変更は、すべて本明細書で説明され定義された本発明の範囲内に入るものとする。具体的な実施例に関して説明された、利益、利点、問題の解決方法は、任意の、または全ての請求項の、重要とされ、要求され、不可欠とされる機能や構成要素であると見なされるべきではない。
【0027】
特に明記しない限り、「第1」及び「第2」等の用語は、そのような用語が述べる要素間を任意に区別するために用いる。従って、これらの用語は、必ずしもそのような要素の時間的な又は他の優先順位付けを示そうとするものではない。
【符号の説明】
【0028】
10…MEMSデバイス、12…基板、34…犠牲層、42…金属層、44…保護層。
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