(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載された監視システムにおいて、前記制御部は、前記順位付けされた画像を一つの監視モニタに分割表示させる場合には、重要度の高い画像を監視モニタの中央に表示させるようにし、また、複数の監視モニタにそれぞれ表示させる場合には、監視者から見て中央から脇に向かって順に表示させることを特徴とする監視システム。
請求項1または2に記載された監視システムにおいて、前記制御部は、前記カメラの画角内に死角が生じる場合には、対向配置された別のカメラの画像から死角部分を切り出して前記カメラの画像に合成することによって、死角補正映像を生成することを特徴とする監視システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施の形態1>
以下に、本発明の実施の形態1に係る監視システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、監視システム1は、監視カメラ10、画像処理装置20、WEBエンコーダ30、IPネットワーク網40、システム管理サーバ50、操作端末60、WEBデコーダ70、監視モニタ80を含んで構成される。
監視カメラ10は、パン、チルト、ズームの調整機能を有する雲台を備えたカメラであり、監視カメラ10で撮像された画像信号は画像処理装置20に出力される。
画像処理装置20は、監視カメラ10から入力された画像信号を画像処理し、特開2005−57743号公報に開示のある差分法を用いた物体認識処理技術で侵入者検知を行い、侵入者を検知した場合には、侵入者を示す差分画像を囲む外接矩形の面積(検知枠面積)を算出する。
WEBエンコーダ30は、画像処理装置20から入力された画像信号をエンコードし、画像データのヘッダ部に画像処理装置20から入力された侵入者の座標位置情報と検知枠面積情報を付加してIPネットワーク網40へ配信する。
システム管理サーバ50は、本発明の監視システム1全体の制御を行なう制御部51と、監視カメラ10それぞれの設置位置やプリセットポイント情報やプリセット画像における死角エリアが予め登録されたプリセット情報テーブル52と、WEBエンコーダ30を介して送信された画像データを蓄積する画像データ蓄積メモリ53を備える。
操作端末60は、システム管理サーバ50に登録された各種設定情報の変更・更新等を行うためにユーザが使用する端末である。
WEBデコーダ70は、システム管理サーバ50から送信された画像データをデコードし、監視モニタ80に出力する。
【0013】
上記構成によって、本発明の監視システム1では、監視カメラ10で撮像された画像信号は画像処理装置20に出力され、画像処理装置20で、監視カメラ10から入力された画像信号で侵入者が検知されると、侵入者の座標位置および検知枠面積を算出してWEBエンコーダ30へ出力する。WEBエンコーダ30は、画像処理装置20から入力された画像信号をエンコードし、画像データのヘッダ部に侵入者の座標位置と検知枠面積情報を付加してIPネットワーク網40へ配信する。
システム管理サーバ50では、制御部51が、侵入者移動方向判定手段51aと、雲台動作制御手段51bと、表示優先順位決定手段51cと、表示制御手段51dとを備えることで、侵入者の座標位置情報および検知枠面積情報から侵入者の移動方向を算出し、プリセット情報テーブル52を基に、当該移動方向に応じて監視カメラ10の雲台を制御して、侵入者を進行方向の前方から撮像できるよう監視カメラ10の向きや画角を制御する。
さらに、侵入者の検知枠面積情報を基に、監視モニタ80に表示する優先順位およびレイアウトを決定し、IPネットワーク網40を介して、WEBデコーダ70に送信する。WEBデコーダ70に送信された画像データはデコードされ監視モニタ80にて表示される。
【0014】
ここで、画像処理装置20で行われる検知枠面積算出処理について
図2を用いて説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る画像処理装置20の検知枠面積算出処理のフローチャートである。
まず、初期化処理ステップS101では、検知枠面積算出処理を実行するための画像メモリ(図示せず)、ワークメモリ(図示せず)等の初期化を行う。
次に、差分法による侵入物体の検出処理(ステップS102〜 ステップS106) を行う。
画像入力ステップS102では、監視カメラ10から、例えば、横方向320画素、高さ方向240画素の入力画像を得る。
差分処理ステップS103では、画像入力ステップS102で得た入力画像と、予め作成し図示しない画像メモリに記録しておいた侵入者の映っていない基準背景画像との間で、画素毎の輝度値の差分値を計算する。
二値化処理ステップS104では、差分処理ステップS103で得られた差分画像の画素値(差分値)を、例えば、1画素の画素値を8ビットで計算し、これを256階調で表し、所定のしきい値Th(
例えば、Th=20)未満の画素値を“0”、しきい値Th以上の画素の画素値を“255”として二値化画像を得る。なお、しきい値Thは、上記実施例では、20と設定したが、20に限定されるものではなく、侵入者の検出条件、入力画像の状態等で実験的に定められる。
【0015】
ラベリング処理ステップS105では、二値化処理ステップS104で得られた二値化像中の画素値“255”となる画素のかたまりを検出し、各々に番号を付けて区別できるようにする。
侵入者存在判定ステップS106では、ラベリング処理ステップS105で番号付けされた画素値“255”となる画素のかたまりが所定の条件(例えば、大きさが横方向20画素以上、高さ方向50画素以上)を満たした場合に、監視対象領域内に侵入者が存在すると判定する。
【0016】
検知枠面積算出ステップS107では、侵入者存在判定ステップS106で監視対象領域内に侵入者が存在すると判定された場合に、ラベリング処理ステップS105で番号付けされた画素値“255”となる画素のかたまりの外接矩形に基づき、矩形左上の座標(X1、Y1)と矩形右下の座標(X2、Y2)から面積((X2−X1)×(Y1−Y2))を求め、また、上記2つの座標から画像上の侵入者位置((X2+X1)/2、Y2)を求める。(
図3(a)参照)
【0017】
なお、一般にカメラで撮影された画像座標から物体の3次元位置座標を推定する問題はコンピュータビジョンなどの分野で様々な研究が進められており、その一般式はカメラパラメータと呼ばれる行列要素を用いたアフィン変換によって得られる。
【0018】
しかし、本監視システムにおいて侵入者は地面(屋内においては床面)上を移動することを仮定すれば、侵入者の位置座標は地面(床面)である二次元平面上の一点で近似できる。たとえ、床面に凹凸があり侵入者が高さ方向に多少上下しても、本システムの監視カメラを地面(床面)から十分高い位置に設置することで侵入者の位置の近似は十分に成り立つ。
【0019】
よって、カメラ撮影画像座標(2次元座標)から物体の3次元位置座標(3次元座標) を推定する問題は、「撮影画像(2次元座標)と地面(2次元座標)」すなわち2次元平面どうしの対応問題に帰着する。これはいわゆる射影変換で簡単に知ることができる。
【0020】
ここで、システム管理サーバ50のプリセット情報テーブル52に登録されている各種情報について、
図3を用いて説明する。
図3は、システム管理サーバ50のプリセット情報テーブル52に登録されている各種情報を模擬的に示した図である。以降、説明を簡略化するため監視空間座標を2次元座標として説明するものとする。
図3(a)は、画像処理装置20による検知画像を示す図であり、1001は検知画像、1002は侵入者、また、1003は侵入者の検知枠である。
図3(b)は、監視空間を上方から俯瞰した二次元座標イメージ図であり、101は監視カメラA、102は監視カメラB、103は監視カメラC、104は監視カメラD、1005は空間座標、1006は監視カメラAのプリセットポイントa、また、1007は監視カメラAのプリセットポイントbである。
システム管理サーバ50では、予め
図3(b)のような空間座標1005(ここでは2次元平面座標)、及び空間座標1005内の各監視カメラの位置およびプリセット画角がプリセット情報テーブル52に登録されている。また、
図3(a)に示す各監視カメラのプリセット画像における画面内の座標情報もプリセット情報テーブル52に登録されており、空間座標との対応テーブルを保有している。
従って、システム管理サーバ50では、画像処理装置20から定期的に送られてくる侵入者1002の検知枠1003の底辺の中心点の位置情報と検知枠面積情報から、侵入者位置に対応する監視カメラ及びその監視カメラのプリセット番号をプリセット情報テーブル52から検索でき、監視カメラで侵入者を前方から撮影することが可能となる。
【0021】
次に、システム管理サーバ50で行われる動作について
図4を用いて説明する。
図4は、本発明の実施の形態1に係るシステム管理サーバ50の動作フローチャートである。
まず、画像情報入力ステップS201では、画像データ蓄積メモリ53から蓄積された画像データを取り込む。
侵入者有無確認ステップS202では、画像データのヘッダ部に付加された侵入者の座標位置情報と検知枠面積情報から侵入者の有無を確認する。
侵入者移動確認ステップS203では、画像データのヘッダ部に付加された侵入者の座標位置情報を基に、侵入者移動方向判定手段51aが侵入者の座標位置の変化量を算出して侵入者の移動の有無を確認する。
侵入者移動方向算出ステップS204では、侵入者移動確認ステップS203で侵入者の移動を確認した場合には、侵入者の移動方向を算出する。
雲台制御ステップS205では、雲台動作制御手段51bが侵入者移動方向算出ステップS204で算出された侵入者の移動方向に応じて、プリセット情報テーブル52の監視カメラ10それぞれの設置位置やプリセットポイント情報を基に、侵入者を前方から撮影することが可能な監視カメラ10を割り出し、当該監視カメラ10の雲台の向きや画角を制御する。
【0022】
モニタ優先順位決定ステップS206では、表示優先順位決定手段51cが画像データ蓄積メモリ53に蓄積された複数の監視カメラ10の画像データに付加された侵入者の検知枠面積情報を比較することにより、監視モニタ80に表示する際の優先順位を決定する。
モニタ表示制御ステップS207では、モニタ優先順位決定ステップS206で決められた優先順位に基づき、予めユーザが操作端末60から登録した画面レイアウトに従って画像データを配置し、WEBデコーダ70に送信する。
【0023】
ここで、システム管理サーバ50の制御部51の雲台動作制御手段51bで行われる雲台制御と、表示優先順位決定手段51cで行われる優先順位決定の具体例について
図5を用いて説明する。
図5は、侵入者の行動予測に基づく監視カメラの旋回制御と時間経過による検知枠面積の変化イメージを示す図である。
図5(a)は侵入者205の行動予測前の監視空間206、
図5(b)は侵入者205の行動予測後の監視空間206を示している。また、201は監視カメラA、2001は監視カメラA201のプリセット画角、202は監視カメラB、2002及び2002’は監視カメラB202のプリセット画角、203は監視カメラC、2003は監視カメラC203のプリセット画角である。また、
図5(c)は経過時間毎に各監視カメラが撮像した画像の侵入者検知枠面積の大きさの変化を表す。ただし、×は侵入者が検知されなかったことを示す。
【0024】
時刻t=1で、監視カメラA201に接続された画像処理装置で侵入者205が検知され、検知枠面積は時間経過と共に大きくなるため、監視カメラA201に侵入者が近づいていると判断される。時刻t=2で、システム管理サーバ50は近傍の監視カメラB202、監視カメラC203に対し侵入者205の進行方向にプリセット旋回制御を行なう。
侵入者205の移動方向が判明した時点で、現在侵入者205を大きく捉えている監視カメラ以外の監視カメラに対しても前もって侵入者205に対して旋回させることで、侵入者205が近づいてくるのを待ち受けすることができる。
また、進行方向の監視カメラを侵入者205に向けることで、侵入者205の顔を正面方向から捉えることができる。この時の監視空間206における監視カメラB202のプリセット画角は
図5(B)の2006’のようになる。
時刻t=2、時刻t=3の時点では、監視カメラA201の検知枠面積が最大であるため、監視カメラA201の画像の重要度が最も高い。また、
時刻t=4では、監視カメラA201のプリセット画角2001から侵入者205が消えたことで、監視カメラB202の検知枠面積が最も大きくなり、監視カメラB202の画像の重要度が最も高くなる。
同様に、時刻t=5では、監視カメラC203の画像の重要度が最も高くなる。
【0025】
次に、システム管理サーバ50の制御部51の表示制御手段51dでのモニタ表示制御の具体例について
図6を用いて説明する。
図6は、監視モニタ80の最重要画像の表示場所のイメージ図である。
図6(a)は13分割表示した監視モニタの表示例であり、監視モニタ80の分割中心に最重要画像301を表示させた例である。また、
図6(b)は複数台の監視モニタ80が設置された場合の表示例であり、監視者305の前に並んだ複数の監視モニタ80の中で、中央に設置された監視モニタに最重要画像302を表示させた例である。
つまり、侵入者が検知された際の検知枠面積の大きさから得られた重要度から、システム管理サーバ50は監視モニタ80に表示する映像を選択する。
図6(a)の13分割表示例の場合は、分割中心に最重要映像301を表示させ、その周りに、例えば、優先順位に従って螺旋状にその他の画像を表示させる。また、
図6(b)の複数台の監視モニタ80が設置された場合は、監視者305から見て正面の監視モニタに最重要画像302を表示させ、次に重要度が高い画像をその脇から順に表示させる。重要度は時間経過と共に変化するため、表示画像も変化に応じて切り替える。監視者は常に最も見やすい位置で重要な画像をモニタすることが可能となり視認性の向上を図ることが可能になる。
【0026】
次に、システム管理サーバ50の制御部51の表示制御手段51dで行われる障害物による侵入者の死角対策に関するモニタ表示制御の具体例について
図7〜
図9を用いて説明する。
図7は、障害物による死角がある場合の監視空間イメージ図である。
403は監視空間の俯瞰イメージ、401は監視カメラA、402はカメラB、407は障害物A、405は障害物A407の近くにいる侵入者a、408は障害物B、406は障害物B408の近くにいる侵入者bである。また、4001はカメラA401のプリセット画角、4002はカメラB402のプリセット画角である。
本実施例の場合、カメラA401は侵入者a405を捉えることが可能であるが、侵入者a405が障害物A407の死角になり捉えることができない。逆に、カメラB402は侵入者b406を捉えることが可能であるが、侵入者b406が障害物B408の死角になり捉えることができない。
【0027】
図8は、
図7の監視空間における監視カメラA401の画像に監視カメラB402の切り出し画像を合成する合成画像生成イメージ図である。
図8(a)の4011はカメラA401の画像であり、
図8(b)の4012は監視カメラB402の画像、また、4015は監視カメラB402の画像の中の監視カメラA401では死角となる箇所の切り出しエリアである。また、
図8(c)の4020は監視カメラA401の画像に監視カメラB402の切り出しエリア4015を合成させた画像である。システム管理サーバ50のプリセット情報テーブル52には予め監視カメラA401の死角となるエリアに相当する監視カメラB402の画像内の切り出しエリアが設定される。
図8のように、監視モニタ80に監視カメラA401の画像を表示する際に、監視カメラB402の配信画像の中からこの死角部分を切り出して監視カメラA401の画像に合成させるようにする。
【0028】
図9は、
図8における合成画像生成処理の系統図である。
501はミキサー、502は加算器である。
図9のように、監視カメラA401の画像4011(INPUT(A))と監視カメラB402の切り出し画像4015(INPUT(B))は制御信号C、1−Cにより乗算された後、両者を加算して出力画像(OUTPUT)とする。制御信号Cの値により切り出し画像の合成度合いを実画像、半透明、透明と選択が可能とする。
例えば、切り出しエリアの画像4015はCの値により以下のようになる。
(1)C=0の場合
出力画像=監視カメラAの画像・・・透明
(2)C=0.5の場合
出力画像=0.5×監視カメラAの画像+0.5×監視カメラBの画像・・・半透明
(3)C=1の場合
出力画像=監視カメラBの画像・・・実画像
なお、操作端末60からシステム管理サーバ50の表示制御手段51dを操作することにより、合成度合いの設定が行えるようにする。
このように、監視者は監視カメラA401の画像では本来見えなかった死角の箇所を監視カメラB402の切り出し画像を合成させることによって同一画面内で視認することが可能になる。
【0029】
次に、システム管理サーバ50のプリセット情報テーブル52に登録する監視カメラのプリセット画角の設定方法について、
図10を使って説明する。
図10は、監視空間に配置された監視カメラのプリセット画角設定イメージ図である。
図10(a)は監視カメラが1台の場合の監視空間603であり、601は監視カメラA、6011〜6016は監視カメラA601のプリセット画角である。また、
図10(b)は監視カメラが2台の場合の監視空間603であり、601は監視カメラA、6011〜6013は監視カメラA601のプリセット画角、602は監視カメラA601と対向する位置に配置された監視カメラB、6021〜6023は監視カメラB602のプリセット画角である。なお、本実施例での監視カメラの水平視野角は15°とする。
図10(a)では、監視空間603にカメラが1台しか無いため、各プリセット画角が重ならないように設定するためにはカメラに対して90/15=6ポイントのプリセット設定を行う。従って、各プリセットポイントにおける監視カメラA601の水平旋回角度は、以下の6通りとなる。
(1)15/2=7.5°
(2)15+15/2=22.5°
(3)15×2+15/2=37.5°
(4)15×3+15/2=52.5°
(5)15×4+15/2=67.5°
(6)15×5+15/2=82.5°
また、
図10(b)では、監視空間603に対向配置された監視カメラA601と監視カメラB602が存在するため、各プリセット画角が重ならないように設定するためにはカメラに対して45/15=3ポイントのプリセット設定を行う。各プリセットポイントにおけるカメラの水平旋回角度は、以下の3通りとなる。
(1)15/2=7.5°
(2)15+15/2=22.5°
(3)15×2+15/2=37.5°
図10(b)のように対向配置された監視カメラが2台存在する場合は、
(N−1)×水平視野角+水平画角/2<45
となる最大のNを求めると、この値がプリセット設定必要数となる。
つまり、システム管理サーバ50では、プリセット情報テーブル52に、監視カメラの設置状況に応じて、各々の監視カメラの視野範囲が重ならないように各カメラに対してプリセット角度設定を行うことで効率的な監視が可能になる。
【0030】
ここで、監視空間に配置された監視カメラのプリセット画角に重なりが生じた場合の対処方法について、
図11を用いて説明する。
図11は、監視空間に配置された監視カメラのプリセット画角に重なりが生じた場合のプリセット画角設定イメージ図である。
図11において、703は監視空間、701は監視カメラA、7011は監視カメラA701のプリセット画角aa、7012は監視カメラA701のプリセット画角ab、また、702は監視カメラB、7015は監視カメラB702のプリセット画角ba、7016は監視カメラB702のプリセット画角bb、また、7020は監視カメラA701と監視カメラB702のプリセット画角の重なり部分である。なお、本実施例での監視カメラの水平視野角は30°とする。
(N−1)×水平視野角+水平画角/2<45の式に当てはめると、N=2となりプリセット設定必要数は2ポイントであることが分かる。
各プリセットポイントにおけるカメラの水平旋回角度は、以下の2通りとなる。
(1)30/2=15°
(2)30+30/2=45°
図11に示すように、監視カメラA701、監視カメラB702の水平旋回角度45°で設定されたプリセット画角ab7012、プリセット画角bb7016に重なりが発生する。
システム管理サーバ50は、重なりが生じたプリセット画角を同時に制御しないように制限を設けるものとする。
例えば、プリセット画角aa7011を制御する場合、監視カメラB702に対し同時に制御するプリセット画角はプリセット画角bb7016になり、プリセット画角ab7012を制御する場合、監視カメラB702に対し同時に制御するプリセット画角はプリセット画角ba7015になる。
このように、システム管理サーバ50では、重なりが生じた互いのプリセット画角を同時に制御しないように制限を持たせることで更に効率的な監視が行える。
【0031】
次に、監視空間に複数の監視カメラが一定方向に配置された場合のカメラ視野角の設定方法について、
図12を使って説明する。
図12は、監視空間に複数の監視カメラが一定方向に配置された場合の水平視野角を示す図である。
図12(a)は監視空間805の断面イメージ図であり、801は監視カメラA、8001は監視カメラA801の垂直視野角、802は監視カメラB、8002は監視カメラB802の垂直視野角、803は監視カメラC、8003は監視カメラC803の垂直視野角である。また、L1は監視カメラA801の撮像範囲、L2は監視カメラB802の撮像範囲、L3は監視カメラC803の撮像範囲である。また、806は被写体、H1は被写体806の高さ、H2は被写体位置での垂直方向の撮像範囲、L4は監視カメラ800から被写体806までの距離である。
以降の計算の条件として、各カメラの垂直視野角を30[°]、被写体806の高さを1.7[m]、被写体806がモニタ画面の縦10%に表示される大きさを表示の限界と仮定する。
等倍率で撮像した場合、1.7[m]の被写体806が画面の10%になる監視カメラ800から被写体までの距離(L4)は以下の通りに求められる。
L4=(1.7/0.1)/(2×tan15°)=32[m]
電子ズーム2倍とした場合は、L4=31.72×2=64[m]
電子ズーム4倍とした場合は、L4=31.72×4=128[m]
となる。
侵入者が監視カメラA801の方向から監視カメラC803の方向にまっすぐに移動した場合、システム管理サーバ50は、以下の方法で監視カメラの電子ズーム制御とカメラ切換えを実施することで、監視者は侵入者を最適な大きさでモニタすることが可能になる。
(1) 0≦L4<32 の場合 監視カメラAの等倍率
(2) 32≦L4<64 の場合 監視カメラAの電子ズーム2倍
(3) 64≦L4<128 の場合 監視カメラAの電子ズーム4倍
(4)128≦L4<160 の場合 監視カメラBの等倍率
(5)160≦L4<192 の場合 監視カメラBの電子ズーム2倍
(6)192≦L4<256 の場合 監視カメラBの電子ズーム4倍
(7)256≦L4<288 の場合 監視カメラCの等倍率
(8)288≦L4<320 の場合 監視カメラCの電子ズーム2倍
(9)320≦L4<384 の場合 監視カメラCの電子ズーム4倍
【0032】
<実施の形態2>
以下に、本発明の実施の形態2に係る監視システムについて、図面を参照して説明する。
図13は、本発明の実施の形態2に係る監視システムの構成を示すブロック図である。
図13に示すように、監視システム2は、監視カメラ5台を有するシステムであって、監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941、画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942、WEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943、IPネットワーク網904、システム管理サーバ905、操作端末906、WEBデコーダ907、監視モニタ908を含んで構成される。
監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941は、パン、チルト、ズームの調整機能を有する雲台を備えたカメラであり、監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941で撮像された画像信号はそれぞれ画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942に出力される。
画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942は、監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941から入力された画像信号を画像処理し、特開2005−57743号公報に開示のある差分法を用いた物体認識処理技術で侵入者検知を行い、侵入者を検知した場合には、侵入者を示す差分画像を囲む外接矩形の面積(検知枠面積)を算出する。
WEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943は、画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942からそれぞれ入力された画像信号をエンコードし、画像データのヘッダ部に画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942から入力された侵入者の座標位置情報と検知枠面積情報を付加してIPネットワーク網904へ配信する。
システム管理サーバ905は、本発明の監視システム2全体の制御を行なう制御部935と、監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941それぞれの設置位置やプリセットポイント情報やプリセット画像における死角エリアが予め登録されたプリセット情報テーブル915と、WEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943を介して送信された画像データを蓄積する画像データ蓄積メモリ925を備える。
操作端末906は、システム管理サーバ905に登録された各種設定情報の変更・更新等を行うためにユーザが使用する端末である。
WEBデコーダ907は、システム管理サーバ905から送信された画像データをデコードし、監視モニタ908に出力する。
【0033】
上記構成によって、本発明の監視システム2では、監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941で撮像された画像信号は画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942に出力され、画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942で、監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941から入力された画像信号で侵入者が検知されると、侵入者の座標位置および検知枠面積を算出してWEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943へ出力する。WEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943は、画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942から入力された画像信号をエンコードし、画像データのヘッダ部に侵入者の座標位置と検知枠面積情報を付加してIPネットワーク網904へ配信する。
システム管理サーバ905では、制御部935が、侵入者移動方向判定手段935aと、雲台動作制御手段935bと、表示優先順位決定手段935cと、表示制御手段935dと、回線状態判定手段935eとを備えることで、侵入者の座標位置情報および検知枠面積情報から侵入者の移動方向を算出し、プリセット情報テーブル915を基に、当該移動方向に応じて監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941の雲台を制御して、侵入者を進行方向の前方から撮像できるよう監視カメラA901,監視カメラB911,監視カメラC921,監視カメラD931,監視カメラE941の向きや画角を制御する。
また、侵入者の検知枠面積情報を基に、監視モニタ908に表示する優先順位およびレイアウトを決定し、IPネットワーク網904を介して、WEBデコーダ907に送信する。WEBデコーダ907に送信された画像データはデコードされ監視モニタ908にて表示される。
【0034】
上記のように、システム管理サーバ905では、画像処理装置A902,画像処理装置B912,画像処理装置C922,画像処理装置D932,画像処理装置E942から送られる検知枠面積情報と、侵入者移動方向判定手段935aによる次に侵入者を捉えることが予測される監視カメラ情報に従い、表示優先順位決定手段935cで監視カメラごとに重要度を設定する。なお、操作端末906からの画像選択要求による画像へのアクセス数を重要度算定のパラメータとして加えてもよい。
さらに、システム管理サーバ905は、回線状態判定手段935eにより、WEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943に対して所定の周期で通信チェックを行い、WEBエンコーダA903,WEBエンコーダB913,WEBエンコーダC923,WEBエンコーダD933,WEBエンコーダE943のどこで通信異常が発生しているかを把握したり、また、IPネットワーク網904のネットワークスイッチ(図示せず)から所定の周期で回線負荷情報を取得することで現在の通信状態を把握することが可能である。
以降の説明のために、WEBエンコーダの重要度を以下ように仮定する。なお、t=0〜4は所定の経過時間を示す。
t=0 重要度は、A>B>C>D>E
t=1 重要度は、B>C>D>E>A
t=2 重要度は、C>D>E>A>B
t=3 重要度は、D>E>A>B>C
t=4 重要度は、E>A>B>C>D
ここで、t=1のときに通信負荷による回線障害が発生した場合、システム管理サーバ905は、重要度が最も低い監視カメラA901に接続されるWEBエンコーダA903に対して、ネットワークへ配信する映像フレームレートを下げるように指示する。
回線障害が復旧しない場合は、WEBエンコーダA903に対し、映像の配信を停止するように指示する。さらに、回線障害が復旧しない場合は、重要度が2番目に低い監視カメラE941に接続されるWEBエンコーダE943に対し、IPネットワーク網904へ配信する映像フレームレートを下げるように指示する。さらに、回線障害が復旧しない場合は、WEBエンコーダE943に対し、映像の配信を停止するように指示する。
以降、回線状態が回復するまで、同様に、WEBエンコーダD933、WEBエンコーダC923に対して行うことで、最重要な映像が優先的にモニタ表示可能な状況を作ることが可能になる。
【0035】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態2によれば、監視カメラ毎、時間毎に重要度を設定しているため、現時点で必要な画像を優先的にIPネットワーク網に配信することで、重要な画像データを欠落することなく回線を効率的に利用することが可能になる。