(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016296
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】片面粘着テープ及び片面粘着テープ引き出し装置
(51)【国際特許分類】
C09J 7/02 20060101AFI20161013BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20161013BHJP
B65H 35/07 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
C09J7/02 Z
C09J201/00
B65H35/07 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-223756(P2012-223756)
(22)【出願日】2012年10月8日
(65)【公開番号】特開2014-77026(P2014-77026A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591038026
【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093470
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 富士雄
(74)【代理人】
【識別番号】100119747
【弁理士】
【氏名又は名称】能美 知康
(72)【発明者】
【氏名】福山 克義
(72)【発明者】
【氏名】山本 正和
【審査官】
小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2006−0005099(KR,A)
【文献】
特開平11−005956(JP,A)
【文献】
特開2000−297262(JP,A)
【文献】
特開2007−177076(JP,A)
【文献】
特許第4940385(JP,B1)
【文献】
特開2002−265889(JP,A)
【文献】
特開2013−067772(JP,A)
【文献】
特開昭63−083186(JP,A)
【文献】
特公昭49−037114(JP,B1)
【文献】
特開2001−354923(JP,A)
【文献】
特開2004−277558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縁辺及び短辺を有する基材と、前記基材の片面に粘着材が塗布され、粘着面及び前記粘着面と対向する面に非粘着面を有し、前記粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープであって、
前記縁辺から所定の距離離間した位置に、複数の平行した切り込み部が前記縁辺に垂直に形成されており、
前記複数の切り込み部のそれぞれの中心を通る直線上で、前記粘着面が内側となるように折り曲げられて前記折り曲げ部の前記粘着材同士が貼りあわされていることを特徴とする粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ。
【請求項2】
前記複数の切り込み部は等間隔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ。
【請求項3】
前記切り込み部は前記基材から前記粘着面まで貫通していることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ。
【請求項4】
前記切り込み部は前記基材を貫通していない非貫通溝であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ。
【請求項5】
前記切り込み部の中心は非貫通であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ。
【請求項6】
縁辺及び短辺を有する基材と、前記基材の片面に粘着材が塗布され、粘着面及び前記粘着面と対向する面に非粘着面を有し、前記縁辺から所定の距離離間した位置に複数の平行した切り込み部が前記縁辺に垂直に形成されている片面粘着テープがロール状に巻回された片面粘着テープ巻回体を支持するテープ支持部と、
前記切り込み部が形成されている前記縁辺側を、前記複数の切り込み部のそれぞれの中心を通る直線上で前記粘着面を内側として折り曲げ、折り曲げ部を形成する折り曲げ手段と、
前記折り曲げ部の前記粘着材同士を貼りあわせ、前記粘着面側に非粘着部を形成する非粘着部形成手段と、
を有することを特徴とする粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置。
【請求項7】
前記折り曲げ部の幅は、前記切り込み部の長さの半分であることを特徴とする請求項6に記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置。
【請求項8】
前記テープ支持部と前記折り曲げ手段との間に設けられ、前記折り曲げ部の幅を調節する幅調節手段を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置。
【請求項9】
前記粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープを切断する切断手段を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面のみに粘着材を塗布した片面粘着テープ、この片面粘着テープを巻回した片面粘着テープ巻回体及びこの片面粘着テープ巻回体を使用するテープ引き出し装置に関し、さらに詳しくは、貼付後に剥がしやすく、どこからでも切り取ることが可能な片面粘着テープ、この片面粘着テープを巻回した片面粘着テープ巻回体及びこの片面粘着テープ巻回体を使用するテープ引き出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
片面粘着テープは、片面側全面に粘着材が塗布されているため、片面粘着テープを貼付すると粘着テープ全面が貼りつく。粘着テープの全面が貼りつくため、片面粘着テープの粘着性能は高いが、貼付後に粘着テープを剥がそうとすると、その外周部を爪などの鋭利なもので引き起こし、引き起こされた箇所を掴んで剥がすか、はさみやカッターなどの切断器具を用いて切断するなど、かなり手間がかかってしまう。
【0003】
例えば、デパート、スーパーマーケット、商店及びコンビニエンスストアでは毎日大量の商品や食品が粘着テープにより梱包、包装され、輸送、販売されている。これらの商品や食品の利用時には粘着テープが剥がす必要がある。その場合、常に上述した剥がし難さに直面し、剥がすのに手間取っていた。また、一般の企業、工場、官公庁、学校等においても、郵便物や、宅配便の輸送梱包に片面粘着テープが大量に使用されており、それらもほとんど開封時に剥がされている。そのため、テープの先端部のみを二重重ねにして剥がしやすくする方法が用いられていたが、この方法も、剥がしやすい箇所がテープの先端部にしかないため、剥がしやすい箇所が明確に分からず、その位置を探すのに手間取ったり、また、折り返し分だけテープを長く使うため不経済である等の欠点を有していた。
【0004】
また、下記特許文献1にも示されているように、手や道具を使って側端部を折り返すことが考えられているが、それらもただ単に部分的に折返すだけで、人が剥がすときの必要な機能性に関しては全く考慮されておらず、剥がす位置の発見や手掛かりの十分な寸法等の剥がしやすさの追及はなされておらず、安定した使いやすさが得られるものとなっていなかった。
【0005】
上記のような問題点を解決した粘着テープは様々開発されている。下記特許文献2に記載された発明は、可撓性を有する基材の一つの面に粘着剤を付着させ、リール状に巻き込んだ粘着テープであって、粘着テープの一方の側端が粘着面側に折りこまれて把持機能部を有するように形成されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−058755号公報
【特許文献2】特開2003−221565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2に記載されている発明によれば、迅速かつ容易に剥がすことのできる粘着テープを提供することができる。しかしながら、貼付した粘着テープ全体を剥がすことはできるが、任意の位置で手で切り取ることは難しい。また、貼付したテープの一部のみ剥がしたい場合には、はさみやカッターなどの切断器具を用いないと剥がし難いという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべく完成されたものであって、片面粘着テープを貼付した際に、片面粘着テープの縁辺どこからでも剥がしやすく、かつカットしやすい片面粘着テープを消費者に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様の
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープは、縁辺及び短辺を有する基材と、前記基材の片面に粘着材が塗布され、粘着面及び前記粘着面と対向する面に非粘着面を有
し、前記粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープであって、前記縁辺から所定の距離離間した位置に、複数の平行した切り込み部が
前記縁辺に垂直に形成されており、前記複数の切り込み部のそれぞれの中心を通る直線上で、
前記粘着面が内側となるように折り曲げられ
て前記折り曲げ部の前記粘着材同士が貼りあわされていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の態様の
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープによれば、縁辺から所定の距離離間
した位置に、複数の平行した切り込み部が前記縁辺に垂直に形成されているため、粘着面側に非粘着部を形成するように縁辺から折り曲げる際に縁辺がばらけることなく、容易に非粘着部を形成することができる。このため、
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープを剥がす際に、非粘着部を掴むことで手で容易に剥がすことができる。また、切り込み部が形成されているため、貼付されたテープの端からだけでなく、切り込み部の入った箇所ならどこからでも手で容易に片面粘着テープを剥がすことができる。
加えて、片面粘着テープは、カットしやすいように、短辺方向に軸を持つ部材、例えば一軸延伸フィルムなどが基材として用いられることが多いが、本発明の第1の態様の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープによれば、切り込み部の方向と基材の軸の方向が同じ方向となり、粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープのカットがさらに容易となる。
【0011】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様の
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープにおいて、前記切り込み部は等間隔に形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、
第1の態様の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープにおいて、上記片面粘着テープを作製する際に、歯車など等間隔に凸部を有する部材を用いて、
容易に切り込み部を形成することができる。
【0015】
また、本発明の
第3の態様は、第1
又は2の態様の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープにおいて、前前記切り込み部は前記基材から前記粘着面まで貫通していることを特徴とする。
【0016】
本発明の
第3の態様によれば、切り込み部が貫通しているため、力をかけずに容易に片面粘着テープをカットできるようになる。
【0017】
また、本発明の
第4の態様は、第1
又は2の態様の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープにおいて、前記切り込み部は前記基材を貫通していない非貫通溝であることを特徴とする。
【0018】
本発明の
第4の態様によれば、切り込み部にある程度の力をかけない限り切り込み部が切れることがなくなる。このため、片面粘着テープを剥がす際に、力をかけるつもりのなかった切り込み部から片面粘着テープが裂けてしまうことがなくなり、貼付されている片面粘着テープ全体を、手で容易に剥がすことができるようになる。
【0019】
本発明の
第5の態様は、第1又は2の態様の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープにおいて、前記切り込み部の中心は非貫通であることを特徴とする。
【0020】
本発明の
第5の態様によれば、単に切り込み部の中心が非貫通となるようにすることにより、実質的に第4の態様の場合と同等の作用効果を奏することができるようになる。
【0021】
また、本発明の
第6の態様の
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置は、
縁辺及び短辺を有する基材と、前記基材の片面に粘着材が塗布され、粘着面及び前記粘着面と対向する面に非粘着面を有し、前記縁辺から所定の距離離間した位置に複数の平行した切り込み部が前記縁辺に垂直に形成されている片面粘着テープがロール状に巻回された片面粘着テープ巻回体を支持するテープ支持部と、前記切り込み部が形成されている前記縁辺側を、
前記複数の切り込み部のそれぞれの中心を通る直線上で前記粘着面を内側として折り曲げ、折り曲げ部を形成する折り曲げ手段と、前記折り曲げ部の前記粘着材同士を貼りあわせ、前記粘着面側に非粘着部を形成する非粘着部形成手段と、を有することを特徴とする。
本発明の
第6の態様によれば、片面粘着テープの切り込み部を有する縁辺を、切り込み部全体が重ね合わせられるように折り曲げられることができるテープ引き出し装置を提供することができる。
【0022】
本発明の第7の態様
の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置は、
前記第6の態様の粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置において、前記折り曲げ部の幅は、前記切り込み部の長さの半分であることを特徴とする。
第7の態様の
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープ引き出し装置によれば、切り込み部全体がきれいに重ね合わせられた状態とすることができる。
【0023】
また、本発明の第8の
態様の粘着面側に非粘着部が形成されたテープ引き出し装置は、
第6又は7の態様の
粘着面側に非粘着部が形成されたテープ引き出し装置において、前記テープ支持部と前記折り曲げ手段との間に設けられ、前記折り曲げ部の幅を調節する幅調節手段を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の第8の態様によれば、切り込み部の長さの異なる片面粘着テープを用いた場合でも、折り曲げ部の幅を調節することで切り込み部全体を重ね合わせることができるようになる。
【0025】
また、本発明の第9の
態様の粘着面側に非粘着部が形成されたテープ引き出し装置
は、第6〜8のいずれかの態様の粘着面側に非粘着部が形成されたテープ引き出し装置において、
粘着面側に非粘着部が形成された片面粘着テープを切断する切断手段を有することを特徴とする。
【0026】
本発明の第9の態様によれば、片面粘着テープを切り込み部の設けられていない縁辺側からでも切断することができるようになる。また、切り込み部が設けられている縁辺側でも、手で切断する場合よりも弱い力でテープを切断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1Aは本発明の第1実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図1Bは本発明の第1実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図、
図1Cは
図1BにおけるIC−IC線での断面図、
図1Dは
図1BにおけるID−ID線での断面図である。
【
図2】
図2は片面粘着テープを製造する製造装置の概略斜視図である。
【
図3】
図3は片面粘着テープ巻回体の概略斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る片面粘着テープ巻回体を貼付する際に使用されるテープ引き出し装置の概略斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る片面粘着テープ巻回体を貼付する際に使用されるテープ引き出し装置の概略側面図である。
【
図6】
図6Aは本発明の第2実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図6Bは本発明の第2実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図、
図6Cは
図6BにおけるVIC−VIC線での断面図、
図6Dは
図6BにおけるVID−VID線での断面図である。
【
図7】
図7Aは本発明の第3実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図7Bは本発明の第3実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図である。
【
図8】
図8Aは本発明の第4実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図8Bは本発明の第4実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図、
図8Cは
図8BにおけるVIIIC−VIIIC線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための片面粘着テープを例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも均しく適応し得るものである。
【0029】
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る片面粘着テープを説明する。なお、
図1Aは本発明の第1実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図1Bは本発明の第1実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図、
図1Cは
図1BにおけるIC−IC線での断面図、
図1Dは
図1BにおけるID−ID線での断面図である。
【0030】
本実施形態における片面粘着テープ1は、基材2と、粘着材3と、で構成されている。基材2は所定の厚さを有し、切断される方向と平行な短辺21と、片面粘着テープ1を引き出す方向と平行な縁辺22とを有する帯状である。短辺21の幅は20mmである。短辺12の幅はこれに限るものではなく、15mm以上であれば問題なく、使用時に必要な幅を選択して作製すればよい。
【0031】
基材2として用いられる部材は、可撓性を有する布、セロファン、紙、樹脂製フィルム、自然分解性を有する有機物または無機物のフィルム、ゴム、不織布、ガーゼ、金属性フィルム、木材製フィルム等、可撓性で帯状のものであればよい。本実施形態では短辺方向にカットしやすいよう、短辺方向に軸を有する一軸延伸フィルムである樹脂製フィルムを用いている。
【0032】
粘着材3は基材2の片面の全面に塗布されており、片面粘着テープ1には、非粘着面11と、粘着面12とが形成されている。本実施形態では、粘着材としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を用いているが、粘着性能があればどのような部材を用いてもよく、天然ゴム、ブチルゴム等のゴム系の粘着材や、アクリル系の合成粘着材等を用いてもよい。
【0033】
片面粘着テープ1の一方の縁辺22には、短辺21と平行であり、非粘着面11から粘着面12まで貫通している切り込み部4が2mm間隔で等間隔に設けられている。切り込み部4は縁辺22まで到達しておらず、縁辺22から0.5mm離れて設けられている。この間隔は片面粘着テープ1の短辺の長さによって適宜定めてよく、本実施形態の片面粘着テープよりも短辺の長さが長い片面粘着テープの場合、0.5mmよりも大きく間隔をとってもよい。この間隔は、0.5mm〜3mmであれば好ましい。このため、片面粘着テープ1に非粘着部13を形成するために縁辺22が折り曲げられる際に、縁辺22がばらけてしまうことがなく、容易に非粘着部13を形成することができる。
【0034】
この切り込み部4を設けることで、本実施形態の片面粘着テープ1を貼付した後に剥がす際、どこからでも容易に手でカットできるようになる。また、貼付する際も、はさみやカッターなどの切断器具を用いずとも、容易に手でカットすることができる。切り込み部4を設ける間隔が広くなりすぎてしまうと、カットできる箇所が狭くなってしまい、間隔を狭くしすぎると、片面粘着テープ1の縁辺がばらけやすくなり、片面粘着テープ1の耐久性が落ちてしまう。このため、切り込み部4を設ける間隔は1mm〜3mmであることが好ましい。
【0035】
また、本実施形態では切り込み部4を等間隔に設けているが、必ずしも切り込み部4を等間隔にする必要はなく、切り込み部4ごとの間隔がそれぞれ1mm〜3mmの幅であれば等間隔である必要はない。また、切り込み部4を短辺21と平行となるように設けているが、必ずしも短辺21と平行である必要はない。例えば切り込み部4と縁辺22とのなす角度を45度や60度としてもよい。本実施形態では、基材2に短辺方向に軸を有する一軸延伸フィルムを用いているため、切り込み部4が設けられている箇所は斜めに切断されるが、他の部分は基材2の軸に沿って、短辺21に略平行な方向に切断されることになる。
【0036】
片面粘着テープ1は、切り込み部4の中心を通る線Lにおいて、非粘着面11側が外側となるように山折りされており、粘着面12側に、非粘着部13が形成されている。粘着面12側に非粘着部13が形成されることで、本実施形態の片面粘着テープ1を貼付した後に剥がす際、どこからでも容易に手で剥がし始めることができる。また、手で掴む箇所に粘着材3が塗布されていないので、手を汚さずに片面粘着テープ1を剥がすことができる。
【0037】
次に、
図2、
図3を参照して、本実施形態の片面粘着テープの製造方法を説明する。なお、
図2は片面粘着テープを製造する製造装置の概略斜視図、
図3は片面粘着テープ巻回体の概略斜視図である。
【0038】
製造装置5は、
図2に示すように、片面粘着テープ1を形成する粘着面形成装置51と、片面粘着テープ1に切り込み部4を形成する切り込み部形成装置52と、片面粘着テープ1を所定の幅へと切断する切断装置53と、を備えている。粘着面形成装置51は、基材2の片面に粘着材3を塗布し、片面粘着テープへと処理を行う装置となっている。粘着材3の塗布方法はドクターブレード法などの公知の方法が用いられており、その説明は省略する。
【0039】
切り込み部形成装置52は、外周囲に所定間隔をあけて複数本の切り込み部形成歯521が配設された円板状の押圧ロール52Aと、この押圧ロールとの間で片面粘着テープ1を挟み込む受けロール52Bとを有している。押圧ロール52Aは所定の直径、肉厚及び硬度を有する金属性の円板状の歯車で形成されており、軸52aを中心に回転し、切り込み部4を形成しながら片面粘着テープ1をX方向へ送り出す。複数本の切り込み部形成歯521は、所定ピッチ及び高さを有する略鋸歯状の歯となっている。この切り込み部形成歯521は、片面粘着テープ1に設ける切り込み部4と同じ間隔、本実施形態では2mmの間隔で配設されている。
【0040】
切断装置53は、片面粘着テープ1の進行方向と逆方向に切断面を設けた切断材(図示せず)で形成されている。切断装置53によって、片面粘着テープ1は所定の幅のテープとなる。この後、片面粘着テープ1は軸Cを中心として巻き取られ、
図3に示された片面粘着テープ巻回体10とされ、製造が完了する。
【0041】
次に、
図4、
図5を参照して、本実施形態に係る片面粘着テープ巻回体を用いたテープ引き出し装置について説明する。なお、
図4は、本実施形態に係る片面粘着テープ巻回体を貼付する際に使用されるテープ引き出し装置の概略斜視図、
図5は、本実施形態に係る片面粘着テープ巻回体を貼付する際に使用されるテープ引き出し装置の概略側面図である。
【0042】
このテープ引き出し装置6は、テープ引き出し装置本体60と、テープ支持部61と、折り曲げ手段62と、非粘着部形成手段63と、幅調節手段64と、切断手段65と、で構成されている。
【0043】
テープ引き出し装置本体60は、長辺及び短辺を有する長方形状の底部60aと、底部60aの各辺から垂直に立設された側壁部60bと、側壁部60bの上面に固定された上部カバー60cとで形成された直方体形状である。上部カバー60cには片面粘着テープ巻回体10を収容するテープ収容部60dが設けられており、テープ収容部60dの側面には片面粘着テープを支持するテープ支持部61が取り付けられている。
【0044】
テープ支持部61は、テープ巻回体10の中心Cを通る回転軸61aと、回転軸61aを回転自在のまま支持する軸支持部61bとで構成されている。
【0045】
テープ引き出し装置6に収容された片面粘着テープ巻回体10は、テープ支持部61から送り出され、順に幅調節手段64と、折り曲げ手段62と、非粘着部形成手段63と、切断手段65とを通過して、外部に片面粘着テープ1が引き出される。
【0046】
幅調節手段64は、片面粘着テープ巻回体10に設けられた切り込み部4の長さによって、後述する折り曲げ手段62によって折り曲げられる幅を調節するものであり、幅決定手段64a及び幅調節機構64bとで構成されている。本実施形態に係るテープ引き出し装置6を使用する際、切り込み部4の長さを確認し、切り込み部4の長さの半分の長さで折り曲げられるよう、幅決定手段64aによって幅を決定する。
【0047】
幅決定手段64aによって折り曲げ幅が決定されると、幅調節機構64bによって、折り曲げ手段62の折り曲げ幅が決定される。折り曲げ手段62は、片面粘着テープ巻回体10の切り込み部4が設けられた縁辺側に設けられており、引き出された片面粘着テープ1の切り込み部4が設けられた縁辺を、粘着面12側が内側となるように垂直に折り曲げる。
【0048】
折り曲げ手段62によって切り込み部4が設けられた縁辺が折り曲げられると、非粘着部形成手段63により、折り曲げられた部分の粘着材同士が貼りあわせられ、片面粘着テープ1の切り込み部が設けられた縁辺側に非粘着部13が形成される。この後、切断手段65により、片面粘着テープ1は切断され、所望の位置に貼付される。本発明の片面粘着テープ1は切り込み部4に力をかけることにより、容易に手で切断できるため、切断手段65を用いずとも切断することは可能である。
【0049】
以上、本実施形態で作製された片面粘着テープ巻回体を用いたテープ引き出し装置について説明したが、本実施形態で作製された片面粘着テープ巻回体ではなく、切り込み部を有しない片面粘着テープ巻回体を用い、テープ引き出し装置に切り込み部形成手段を設けたテープ引き出し装置を用いてもよい。
【0050】
本実施形態に係る片面粘着テープ1を用いることで、野菜などを束ねるテープ、プラスチック容器の封止、ダンボール箱等の梱包などに用いられたテープを切断する際に、片面粘着テープの縁辺どこからでも剥がしやすく、かつカットしやすい片面粘着テープとすることができる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、
図6を参照して、本発明の第2実施形態に係る片面粘着テープを説明する。なお、
図6Aは本発明の第2実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図6Bは本発明の第2実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図、
図6Cは
図6BにおけるVIC−VIC線での断面図、
図6Dは
図6BにおけるVID−VID線での断面図である。また、本実施形態について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0052】
本実施形態において、片面粘着テープ1Aは、切断しやすいように設けられている切り込み部4Aが非貫通である。片面粘着テープ1Aを作製する際、基材2の厚みよりも短い切り込み部4Aが設けられている。切り込み部4Aを非貫通とすることにより、切断の容易性を維持したまま、片面粘着テープ1Aの耐久性を増すことができる。このため、片面粘着テープを剥がす際に、力をかけるつもりのなかった切り込み部から片面粘着テープが裂けてしまうことがなくなり、貼付されている片面粘着テープ全体を、手で容易に剥がすことができるようになる。
【0053】
[第3実施形態]
次に、
図7を参照して、本発明の第3実施形態に係る片面粘着テープを説明する。なお、
図7Aは本発明の第3実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図7Bは本発明の第3実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図である。また、本実施形態について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0054】
本実施形態において、片面粘着テープ1Bは、縁辺22Bの一方のみではなく両方に切り込み部4Bが設けられている。切り込み部4Bを縁辺22Bの両方に設けることで、片面粘着テープ1Bのどちら側からでも手で容易にカットすることができるようになる。
【0055】
[第4実施形態]
次に、
図8を参照して、本発明の第4実施形態に係る片面粘着テープを説明する。なお、
図8Aは本発明の第4実施形態に係る片面粘着テープの展開図、
図8Bは本発明の第4実施形態に係る片面粘着テープの概略平面図、
図8Cは
図8BにおけるVIIIC−VIIIC線での断面図である。また、本実施形態について、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0056】
本実施形態において、片面粘着テープ1Cは、切り込み部4Cの中央部分に非貫通部41が設けられ、第1切り込み部4C1及び第2切り込み部4C2が形成されている。本実施形態の片面粘着テープ1Cを折り曲げると、第1切り込み部4C1及び第2切り込み部4C2とが重なり、片面粘着テープ1Cの端辺には非貫通部41があらわれる。切り込み部4Cが片面粘着テープ1Cの端辺まで到達していないので、切断の容易性を維持したまま、片面粘着テープ1Aの耐久性を増すことができる。このため、片面粘着テープ1Cを剥がす際に、力をかけるつもりのなかった切り込み部から片面粘着テープが裂けてしまうことがなくなり、貼付されている片面粘着テープ全体を、手で容易に剥がすことができるようになる。
【符号の説明】
【0057】
1 片面粘着テープ
10 片面粘着テープ巻回体
11 非粘着面
12 粘着面
13 非粘着部
2 基材
21 短辺
22 縁辺
3 粘着材
4 切り込み部
5 製造装置
51 粘着面形成装置
52 切り込み部形成装置
53 切断装置
6 テープ引き出し装置
61 テープ支持部
62 折り曲げ手段
63 非粘着部形成手段
64 幅調節手段
65 切断手段