(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016300
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】密閉栓
(51)【国際特許分類】
B65D 39/16 20060101AFI20161013BHJP
B65D 39/04 20060101ALI20161013BHJP
B65D 41/32 20060101ALI20161013BHJP
B65D 51/20 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
B65D39/16 D
B65D39/04 H
B65D41/32 A
B65D51/20
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-17351(P2013-17351)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-241219(P2013-241219A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】特願2012-101378(P2012-101378)
(32)【優先日】2012年4月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
【審査官】
秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−008943(JP,U)
【文献】
特開2000−255610(JP,A)
【文献】
特開平09−216646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/04、39/16、41/00、41/32、51/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の注出開口を閉塞する障壁板を、下向きに開放された環状溝を有する内筒、外筒にて形成された内外二重の筒体に一体連結して、該環状溝を打栓によって容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースキャップと、このベースキャップを、該障壁板を除いて取り囲み該筒体の該口頚部先端に対する嵌合力を増強する環状帯と、を備えた密閉栓であって、
前記ベースキャップの下端部と前記環状帯の下端部との相互間に該環状帯の引き起こしにより破断可能にそれらベースキャップと環状帯とをつなぐ複数の連結片と、該環状帯の引き起こしにより破断不能にそれらベースキャップと環状帯とをつなぐ連結部と、を設け、
前記障壁板に、上端部が該障壁板の外縁部に一体連結するとともに前記ベースキャップの前記内筒の内側に間隔を隔てて配置される環状周壁と、この環状周壁の下端部と前記ベースキャップの前記内筒の下端部とを一体連結する連結部と、を設けたことを特徴とする密閉栓。
【請求項2】
前記障壁板は、前記ベースキャップの前記内筒の上端部に一体連結する外縁部を有することを特徴とする請求項1記載の密閉栓。
【請求項3】
前記障壁板は、前記ベースキャップの前記内筒の下端部に一体連結する外縁部を有することを特徴とする請求項1記載の密閉栓。
【請求項4】
前記環状帯にヒンジを介して揺動可能に保持され、前記ベースキャップの上端面を該環状帯の上端面とともに覆い隠す蓋体を設け、
前記蓋体は、前記ベースキャップの前記内筒と前記環状周壁との隙間に嵌挿される環状突部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の密閉栓。
【請求項5】
前記内外二重の筒体のうちの外筒に、上下に沿って伸延し、前記環状帯の引き起こしに伴って該外筒を周方向に分断する第一の弱化部と、この第一の弱化部につながり、該外筒をその一部を除いて前記内筒から切り離す第二の弱化部を形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の密閉栓。
【請求項6】
前記第一の弱化部および第二の弱化部は、薄肉部にて形成されたものである、請求項5に記載の密閉栓。
【請求項7】
前記第二の弱化部の始端と終端との間に延び、前記外筒と前記内筒とを局所的につなげておくブリッジを設けたことを特徴とする請求項5又は6に記載の密閉栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の注出開口を閉塞する障壁板を、下向きに開放された環状溝を有する内筒、外筒にて形成された内外二重の筒体に一体連結して、該環状溝を打栓によって容器の口頚部に嵌合させて固定保持するベースキャップと、このベースキャップに一体連結する環状帯と、を備えた密閉栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述の如き密閉栓は、飲みきりタイプの飲用ボトルやレフィル容器等に多用されており、従来、例えば、特許文献1にて開示されたものが知られている。
【0003】
この密閉栓は、障壁板の下面に筒体を一体に突設してベースキャップを構成し、環状帯の端部をその障壁板の外周部に一体連結するとともに環状体の中間部をその障壁板の外周部に破断可能に連結し、筒体外周面を容器の口頚部内周面に嵌合させて固定保持するとともに、環状体の中間部を障壁板の外周部から引き起こして引っ張ることでベースキャップの筒体を容易に容器の口頚部から引き抜いて容器を開封できるようになっており、しかもその環状体の引き起しの有無により容器の正規の開封前に不正な開封が行われたか否かを目視で判断できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4152717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来の密閉栓では、筒体外周面を容器の口頚部内周面に嵌合させているだけなので、容器への固定保持力をさほど高くすることができず、このため容器の密封力を十分高めることができないという問題がある。
【0006】
また、従来の密閉栓においては、環状帯の中間部を障壁板の外周部から引き起して引っ張らなくてもベースキャップの筒体が容器の口頚部から引き抜ける可能性があり、このため環状体の引き起しの有無により容器の正規の開封前に不正な開封が行われたか否かを確実に判断できるとは言えないという問題があった。
【0007】
それゆえ本発明の課題は、容器の口頚部先端に対する嵌合力が高く、容器の確実な密封が行える一方、開封時には容易に開封を行うことができ、しかも容器の正規の開封前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断できる密閉栓を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の密閉栓は、容器の注出開口を閉塞する障壁板を、下向きに開放された環状溝を有する内筒、外筒にて形成された内外二重の筒体に一体連結して、該環状溝を打栓によって容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースキャップと、このベースキャップを、該障壁板を除いて取り囲み該筒体の該口頚部先端に対する嵌合力を増強する環状帯と、を備えた密閉栓において、前記ベースキャップの下端部と前記環状帯の下端部との相互間に、該環状帯の引き起こしにより破断可能にそれらベースキャップと環状帯とをつなぐ複数の連結片と、該環状帯の引き起こしにより破断不能にそれらベースキャップと環状帯とをつなぐ連結部と、を設けたことを特徴としている。
【0009】
上記の構成からなる密閉栓においては、
1)前記障壁板を、前記ベースキャップの前記
内筒の上端部に一体連結する外縁部を有するものとすること、
2)前記障壁板を、前記ベースキャップの前記
内筒の下端部に一体連結する外縁部を有するものとすること、
3)前記障壁板に、上端部が該障壁板の外縁部に一体連結するとともに前記ベースキャップの前記
内筒の内側に間隔を隔てて配置される環状周壁と、この環状周壁の下端部と前記ベースキャップの前記
内筒の下端部とを一体連結する連結部と、を設けること、
4)前記環状帯にヒンジを介して揺動可能に保持され、前記ベースキャップの上端面を該環状帯の上端面とともに覆い隠す蓋体を設け、前記蓋体を、前記ベースキャップの前記
内筒と前記環状周壁との隙間に嵌挿される環状突部を有するものとすること、さらに、
5)前記内外二重の筒体のうちの外筒に、上下に沿って伸延し、前記環状帯の引き起こしに伴って該外筒を周方向に分断する第一の弱化部と、この第一の弱化部につながり、該外筒をその一部を除いて前記内筒から切り離す第二の弱化部を形成すること、
6)前記第一の弱化部および第二の弱化部は、薄肉部にて形成されたものとすること、
が、課題解決のための手段として好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上記構成からなる本発明の密閉栓によれば、容器の注出開口を閉塞する障壁板と一体連結したベースキャップの二重の筒体の間の下向きに開放された環状溝を打栓によって容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持し、しかもベースキャップに一体連結するとともにこのベースキャップの周りを取り囲んで容器の口頚部に対する嵌合力を補強する環状帯を設けているので、容器への固定保持力を十分に高くすることができ、このため容器の密封力を十分高めることができる。
【0011】
本発明の密閉栓によれば、複数の連結片を破断させて環状帯を引き起こし、その環状帯を引っ張ることで、連結部を介してベースキャップの一端部を引き上げ、容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を上記一端部側から解除して容器を開封することができ、その際、ベースキャップと環状帯とをつなぐ複数の連結片が既に破断して容器の口頚部に対する嵌合力が低下しているので、容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を容易に解除して容器を開封することができる。
【0012】
しかも本発明の密閉栓によれば、ベースキャップの下端部とそのベースキャップの周りを取り囲む環状帯の下端部との相互間に、該環状帯の引き起こしにより破断可能にそれらベースキャップと環状帯とをつなぐ複数の連結片を設け、それらの連結片を介して環状帯が容器の口頚部に対する嵌合力を補強するようにしているので、環状帯がベースキャップの周りを取り囲んで容器の口頚部に対する嵌合力を補強している点と相俟って、連結片を破断させて環状帯を引き起こさなければ実質上容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を解除して容器を開封することはできず、それゆえ、環状体の引き起しの有無により容器の正規の開封前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断することができる。
【0013】
なお、本発明の密閉栓においては、前記障壁板は、前記ベースキャップの前記
内筒の上端部に一体連結する外縁部を有していると好ましい。このようにすれば、
内筒の下端部が変形容易な自由端部になることから、開封時に
内筒を容器の口頚部内から容易に抜き出すことができる。
【0014】
また、本発明の密閉栓においては、前記障壁板は、前記ベースキャップの前記
内筒の下端部に一体連結する外縁部を有していると好ましい。このようにすれば、
内筒の下端部が障壁板で内側から支持されることから、容器の内容物が高温充填の場合の熱履歴による
内筒の内倒れを防止して、液漏れに対する耐性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の密閉栓においては、前記障壁板に、上端部が該障壁板の外縁部に一体連結するとともに前記ベースキャップの前記
内筒の内側に間隔を隔てて配置される環状周壁と、この環状周壁の下端部と前記ベースキャップの前記
内筒の下端部とを一体連結する連結部と、を設けていると好ましい。このようにすれば、環状周壁の下端部が障壁板で内側から支持されることから、容器の内容物が高温充填の場合の熱履歴による
内筒の内倒れを防止して、液漏れに対する耐性を高めることができ、しかも環状周壁の上端部が該障壁板の外縁部に一体連結するので、
内筒の下端部と環状周壁の下端部とが一体的に変形可能になることから、開封時に
内筒を容器の口頚部内から容易に抜き出すことができる。
【0016】
そして、本発明の密閉栓においては、前記環状帯にヒンジを介して揺動可能に保持され、前記ベースキャップの上端面を該環状帯の上端面とともに覆い隠す蓋体を設け、前記蓋体は、前記ベースキャップの前記
内筒と前記環状周壁との隙間に嵌挿される環状突部を有していると好ましい。このようにすれば、容器の密封中は、蓋体がベースキャップの上端面を環状帯の上端面とともに覆い隠して、環状帯とベースキャップの外側の筒体との隙間およびベースキャップの
内筒と環状周壁との隙間にゴミ等の異物が挟まるのを防止することができ、また容器の開封時には、蓋体をヒンジにより環状帯に対して揺動させて引き上げ、その蓋体を手がかりにして複数の連結片を破断させながら環状帯を引き起こすことができるので、より容易に容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を解除して容器を開封することができる。
【0017】
また、本発明の密閉栓によれば、連結片を破断したのちにおいても、環状帯を元の姿勢に戻すことにより、リキャップした場合において、外観上、抜栓前の状態に保つことが可能であって、容器の外観形状やデザイン性等が損なわれることがない。
【0018】
さらに、本発明の密閉栓によれば、内外二重の筒体のうちの外筒については、上下に沿って伸延し、環状帯の引き起こしに伴って該外筒を周方向に分断する第一の弱化部と、この第一の弱化部につながり、該外筒をその一部を除いて内筒から切り離す第二の弱化部を形成したため、環状帯の引き起こしにより容器が開封されたとき、外筒が第一の弱化部、第二の弱化部を境にして容器の口頚部先端から切り離され、外筒の外観形状が初期形状とは大きく変わるため、容器が開封状態にあることが一目で判別できる。
【0019】
なお、本発明の密閉栓によれば、第一の弱化部、第二の弱化部を、薄肉部にて形成したため、余計な部材を付加することになしに外筒と内筒との分離が可能となり、構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第1実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図である。
【
図2】
図1に示す密閉栓を、その環状帯を引き起こした状態で示す断面図である。
【
図3】(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第2実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図である。
【
図4】(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第3実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図である。
【
図5】(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第4実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図である。
【
図6】
図5に示す密閉栓を、その蓋体を引き上げてその環状帯を引き起こした状態で示す断面図である。
【
図7】(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第5実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図である。
【
図9】
図7に示した密閉栓の抜栓状況を示した図である。
【
図10】
図7に示した密閉栓の抜栓状況を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いた実施例により詳細に説明する。ここに、
図1(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第1実施例(合成樹脂等で成形される)を容器の上部とともに模式的に示す断面図および平面図、また
図2は、
図1に示す実施例の密閉栓を、その環状帯を引き起こした状態で示す断面図であり、図中符号1は、この実施例の密閉栓の主要構成部材であるベースキャップを示す。このベースキャップ1は、容器の口頚部先端2の注出開口2aを閉塞する障壁板1aを、上端部同士が一体的につながる内筒1bおよび外筒1cの二重の筒体と一体連結し、それら二重の筒体の内筒1b、外筒1cの間の下向きに開放された環状溝1dを打栓によって容器の口頚部先端2に嵌合させて口頚部先端2に固定保持するように構成されている。
【0022】
具体的には、この第1実施例では、外筒1cの内周突条1eと容器の口頚部先端2の外周突条2bとをアンダーカット結合させるとともに、その口頚部先端2を内筒1bと外筒1cとの間に挟持して、ベースキャップ1を容器の口頚部先端2に固定保持する。また障壁板1aは、ベースキャップ2の内筒1bの上端部に一体連結する外縁部を有している。
【0023】
また、この第1実施例の密閉栓は、ベースキャップ1の外筒1cの周りを取り囲む環状帯3を備え、この環状帯3と外筒1cとの相互間には、
図1(b)に示すように、それらの下端部で周方向に間隔をおいて該環状帯3と外筒1cとを相互につなぐとともに該環状帯3の引き起こしにより破断可能な複数の連結片4と、該環状帯3と外筒1cとを1箇所において破断不能に連結する連結部5が設けられており、これら連結片4と連結部5とを介して環状帯3は、ベースキャップ1の外筒1cを外側から支持して外筒1cの拡径を規制し、容器の口頚部先端2に対する外筒1cの嵌合力を増強する。また環状帯3はその中心軸線に対し連結部5と反対の側の外周面に、半径方向外方へ突出する指掛け部3aを有している。
【0024】
上記構成からなるこの第1実施例の密閉栓によれば、容器の注出開口2aを閉塞する障壁板1aと一体連結したベースキャップ1の二重の筒体の内筒1b、外筒1cの間の下向きに開放された環状溝1dを打栓によって容器の口頚部先端2に嵌合させて固定保持し、しかもベースキャップ1に一体連結するとともにこのベースキャップ1の周りを取り囲んで容器の口頚部先端2に対する嵌合力を補強する(容器の口頚部先端2にベースキャップ1を打栓した際、外筒1cを拡径するのを抑える)環状帯3を設けているので、容器への固定保持力を十分に高くすることができ、このため容器の密封力を十分高めることができる。
【0025】
また、この第1実施例の密閉栓によれば、
図2中に矢印で示すように、環状体3の複数の連結片4を破断させて環状帯3を引き起こし、その環状帯3を引っ張ることで、連結部5を介してベースキャップ1の一端部(図では右端部)を引き上げ、容器の口頚部先端2とベースキャップ1とのアンダーカット結合を上記一端部側から解除して、ベースキャップ1を口頚部先端2から外し、容器を開封することができ、その際、ベースキャップ1と環状帯3とをつなぐ複数の連結片4が既に破断して容器の口頚部先端2に対する外筒1cの嵌合力が低下しているので、容器の口頚部先端2とベースキャップ1との嵌合を容易に解除して容器を開封することができる。
【0026】
しかもこの第1実施例の密閉栓によれば、ベースキャップ1の下端部とそのベースキャップ1の周りを取り囲む環状帯3の下端部との相互間に、該環状帯3の引き起こしにより破断可能にそれらベースキャップ1と環状帯3とをつなぐ複数の連結片4を設け、それらの連結片4を介して環状帯3が容器の口頚部先端2に対する嵌合力を補強するようにしているので、連結片4を破断させて環状帯3を引き起こさなければ実質上容器の口頚部先端2とベースキャップ1との嵌合を解除して容器を開封することはできず、それゆえ、環状体3の引き起しの有無により容器の正規の開封前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断することができる。また、指掛け部3aの対応箇所に連結片4を設けなければ、開封時にベースキャップ1を持ち上げ易くなり、操作性を向上させることができる。
【0027】
さらにこの第1実施例の密閉栓によれば、障壁板1aは、ベースキャップ1の内筒1bの上端部に一体連結する外縁部を有しているので、内筒1bの下端部が変形容易な自由端部になることから、開封時に内筒1bを容器の口頚部内から容易に抜き出すことができる。
【0028】
図3(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第2実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図であり、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この第2実施例は、障壁板1aがベースキャップ1の内筒1bの下端部に一体連結する外縁部を有している点のみ、先の第1実施例と相違しており、他の点では先の第1実施例と同一の構成を具えている。
【0029】
かかる第2実施例の密閉栓によれば、内筒1bの下端部が変形容易な自由端部にならないこと以外は、先の第1実施例と同様の作用効果を奏することができ、それに加えて、内筒1bの下端部が障壁板1aで内側から支持されることから、例えば、容器の内容物が65℃以上の高温充填の場合でも熱履歴による内筒1bの内倒れを防止して、液漏れに対する耐性を高めることができる。
【0030】
図4(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第3実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図であり、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この第3実施例は、障壁板1aに、上端部が該障壁板1aの外縁部に一体連結するとともにベースキャップ1の内筒1bの内側に間隔を隔てて配置される環状周壁1fと、この環状周壁1fの下端部とベースキャップ1の内筒1bの下端部とを一体連結する連結部1gとを設けている点のみ、先の第1実施例と相違しており、他の点では先の第1実施例と同一の構成を具えている。
【0031】
かかる第3実施例の密閉栓によれば、内筒1bの下端部が変形容易な自由端部にならないこと以外は、先の第1実施例と同様の作用効果を奏することができ、それに加えて、環状周壁1fの下端部が障壁板1aで内側から支持されることから、例えば、容器の内容物が65℃以上となる高温充填の場合でも熱履歴による内筒1bの内倒れを防止して、液漏れに対する耐性を高めることができ、しかも環状周壁1fの上端部が障壁板1aの外縁部に一体連結するので、内筒1bの下端部と環状周壁1fの下端部とが一体的に変形可能になることから、開封時に内筒1bを容器の口頚部内から容易に抜き出すことができる。
【0032】
図5(a)、(b)は、本発明の密閉栓の第4実施例を容器の上部とともに示す断面図および平面図、また
図6は、
図5に示す密閉栓を、その蓋体を引き上げてその環状帯を引き起こした状態で示す断面図であり、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。すなわち、この第4実施例は、先の第3実施例の構成において、環状帯3の、その中心軸線に対し連結部5と反対の側の外周面に、半径方向外方へ突出する指掛け部3aの代わりにヒンジ6を有し、さらに環状帯3にそのヒンジ6を介して揺動可能に蓋体7を保持し、この蓋体7で、ベースキャップ1の上端面を環状帯3の上端面とともに覆い隠すようにしており、この蓋体7は、ベースキャップ1の内筒1bと環状周壁1fとの隙間に嵌挿されて内筒1bに係合する環状突部7aを有している。
【0033】
かかる第4実施例の密閉栓によれば、先の第3実施例と同様の作用効果を奏することができ、それに加えて、容器の密封中は、蓋体7がベースキャップ1の上端面を環状帯3の上端面とともに覆い隠して、環状帯3とベースキャップ1の外筒1cとの隙間およびベースキャップ1の内筒1bと環状周壁1fとの隙間にゴミ等の異物が挟まるのを防止することができ、また容器の開封時には、
図6中に矢印で示すように、蓋体7をヒンジ6により環状帯3に対して揺動させて引き上げ、その蓋体7を手がかりにして複数の連結片4を破断させながら環状帯3を引き起こすことができるので、より容易に容器の口頚部先端2とベースキャップ1との嵌合を解除して容器を開封することができる。
【0034】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上記実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができ、例えば、第1〜第3実施例において、半径方向外方へ突出する指掛け部3aをなくして、環状帯3の意図しない引き起こしを発生しにくくしてもよく、また第4実施例において、ヒンジ6および蓋体7を設ける代わりにベースキャップ1の上端面を環状帯3の上端面とともに覆い隠すフィルム(タックシール等)を貼着しても良い。
【0035】
なお、上記第1〜第4実施例において示した本発明の密閉栓は、容器を開封すべく、環状帯3を引き起こして連結片を破断して抜栓したのちにおいても該環状帯3を元の姿勢に戻すことが可能であり、リキャップした場合において外観上は抜栓前の状態に保たれ、容器の外観形状、デザイン性等が損なわれることがない利点がある。
【0036】
次に、本発明の密閉栓の第5実施例として、抜栓されたかどうか明確に判別できる機能をさらに付加した密閉栓の構成例について説明する。
【0037】
図7(a)、(b)は、抜栓されたのちにおいて外筒1cの形状が変化して環状帯3を元に戻すことが不可能であり、抜栓されたかどうか容易に判別できる密閉栓の具体的構成を示す断面図および平面図であり、
図8は、
図7に示す密閉栓の外観斜視図を示す図である。なお、図中、先の実施例と同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
【0038】
この第5実施例は、外筒1cに、上下に沿って伸延し、環状帯3の引き起こしに伴って該外筒1cを周方向に分断する第一の弱化部8と、この第一の弱化部8につながり、該外筒1cをその一部を除いて内筒1bから切り離す第二の弱化部9を形成したものである。
【0039】
上記の構成からなる密閉栓によれば、
図9、
図10に抜栓状況を示すように、外筒1cは、第一の弱化部8を境にして周方向に分断され(
図9参照)、それに引き続いて第二の弱化部9を境にして内筒1bから切り離される(
図10参照)。これにより外筒1cは、容器の口頚部先端2から離反して抜栓後の形状が変わり、環状帯3は元の状態に戻すことができず容器が開封されたかどうか容易に判別することができる。
【0040】
第一の弱化部8、第二の弱化部9は、薄肉部を設けることによって形成することができるが、スリット状の切込みを設けることによって形成してもよく、この点については限定されない。
【0041】
この構造の密閉栓においては、環状帯3の引き起こしと、これに伴う外筒1cの第一の弱化部9による周方向の分断をスムーズに行わしめるため、第一の弱化部8は、連結部5の隣接部位に設けるのがよい(外筒1cと連結部5はつながったままの状態を維持する)。また、外筒1cと、内筒1bとは第二の弱化部9により完全に切り離されてもよいが、この場合においては、抜栓時に内筒1bとそれにつながる障壁板1aが容器の口頚部先端2に残存することになり、内容物を注出するに当たっては該内筒1bを障壁板1aとともに取り外す別の作業が必要となる。このため、第二の弱化部9の切り離し末端部には、外筒1cと内筒1bを局所的につなげておくブリッジ10を設けておくのがよい(
図7参照)。すなわち、第二の弱化部9の終端は、その始端にまでは届かない切り残し代を設けておく。ブリッジ10が存在することにより、内筒1bは、外筒1c、連結部5を介して環状帯3につながった状態に維持され、該環状帯3を引き上げるだけで内筒1bを障壁板1aとともに容器の口頚部先端2から容易に取り外すことができることになる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
かくして本発明の密閉栓によれば、容器の注出開口を閉塞する障壁板と一体連結したベースキャップの二重の筒体の間の下向きに開放された環状溝を打栓によって容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持し、しかもベースキャップに一体連結するとともにこのベースキャップの周りを取り囲んで容器の口頚部に対する嵌合力を増強する環状帯を設けているので、容器への固定保持力を十分に高くすることができ、このため容器の密封力を十分高めることができる。なお、第1実施例〜第5実施例では、ベースキャップ1を容器の口頚部先端2に打栓した際、外筒1cが環状帯3に密着していない構造(上面視で外筒1cと環状帯3の間に隙間が形成)としているが、外筒1cが拡径して環状帯3に密着するようにしてもよい。この場合には、タガ締め効果により密封性が向上して口頚部への嵌合力がさらに強固となる。
【0043】
本発明の密閉栓によれば、複数の連結片を破断させて環状帯を引き起こし、その環状帯を引っ張ることで、連結部を介してベースキャップの一端部を引き上げ、容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を上記一端部側から解除して容器を開封することができ、その際、ベースキャップと環状帯とをつなぐ複数の連結片が既に破断して容器の口頚部に対する嵌合力が低下しているので、容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を容易に解除して容器を開封することができる。この場合、環状帯を元の姿勢に戻すことが可能であり、リキャップした場合において外観上は抜栓前の状態に保たれる。
【0044】
しかも本発明の密閉栓によれば、ベースキャップの下端部とそのベースキャップの周りを取り囲む環状帯の下端部との相互間に、該環状帯の引き起こしにより破断可能にそれらベースキャップと環状帯とをつなぐ複数の連結片を設け、それらの連結片を介して環状帯が容器の口頚部に対する嵌合力を増強するようにしているので、環状帯がベースキャップの周りを取り囲んで容器の口頚部に対する嵌合力を増強している点と相俟って、連結片を破断させて環状帯を引き起こさなければ実質上容器の口頚部先端とベースキャップとの嵌合を解除して容器を開封することはできず、それゆえ、環状体の引き起しの有無により容器の正規の開封前に不正な開封が行われたか否かを目視で確実に判断することができる。
【0045】
さらに、本発明の密閉栓によれば、ベースキャップを構成する外筒に、上下に沿って伸延し、環状帯の引き起こしに伴って該外筒を周方向に分断する第一の弱化部を設けるとともに、この第一の弱化部につながり、該外筒をその一部を除いて前記内筒から切り離す第二の弱化部を設けているため、抜栓時に外筒が内筒から切り離され、その形状が抜栓前の初期形状とは大きく変わることから、抜栓されたかどうかを容易に判別することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 ベースキャップ
1a 障壁板
1b 内筒
1c 外筒
1d 環状溝
1e 内周突条
1f 環状周壁
1g 連結部
2 口頚部先端
2a 注出開口
2b 外周突条
3 環状帯
3a 指掛け部
4 連結片
5 連結部
6 ヒンジ
7 蓋体
7a 環状突部
8 第一の弱化部
9 第二の弱化部
10 ブリッジ