【実施例】
【0046】
以下、本発明に係るアースアンカーを従来例として説明した各アースアンカーと比較して説明する。なお、以下の説明においては、本発明に係るアースアンカーを本実施例とし、
図5に示す従来の構成を第1比較例、
図6(a)に示す従来の構成を第2比較例、
図6(b)に示す従来の構成を第3比較例、
図7に示す従来の構成を第4比較例、
図8に示す従来の構成を第5比較例とした。
【0047】
最初に
図5に示す第1比較例を実際に使用した場合を想定して考えてみる。第1比較例を地中に埋めてみても、地中から受ける抵抗によって地中内で芯金から両側に向かって抵抗板が規定通りに開くものは僅かで、第1比較例の多くがその抵抗板が地中の中で開かないか、又は、抵抗板自体が
図5(d)に示すように地中で折れてしまったりすると考えられる。その結果、第1比較例を地中に埋めこんだ後にアンカーワイヤを規定以下の引っ張り力で引っぱっただけでも簡単に支柱から抜けてしまうものが数多く生じることが考えられる。
【0048】
また、抵抗板が地中内でうまく開いた場合であっても、その後の長期の使用中に補強対象物である建造物の振動等がアンカーワイヤを介して第1比較例に伝わり、抵抗板の周囲に液状化現象が生じて、第1比較例の地中に埋まったアンカーの部分の位置が地中においてしっかりと定まらなくなると考えられる。その結果、アンカーワイヤの他端を支柱に取り付けた後に、アンカーワイヤが緩んでしまい、このアンカーワイヤを支柱に頻繁に結び直す作業が必要となることが考えられる。
【0049】
また、第1比較例は、その構造自体が複雑であるため、個々の値段が高くつき、限られた予算内では数多くの第1比較例を準備できず、その結果、第1比較例を介して補強する支柱の数も限られてしまい、支柱の倒れを防止するための抵抗力もその分低下してしまうことが考えられる。
【0050】
続いて、
図6(a)に示す第2比較例を実際に使用した場合を想定して考えてみる。第2比較例は、金属の太い棒の一部に螺旋部を設けただけの構成であるので、地中に埋め込んだ状態で地中に接するアンカー本体の面積があまり大きくはない。その結果、地中に埋め込んだ後であっても、アンカーワイヤから受ける引っ張り力の方が第2比較例を地中から抜かせないようにする抵抗力よりもかなり勝り、地中から抜け易いことが考えられる。特に、大雨が降って地中に雨水が浸み込んだ場合に第2比較例が地中から抜けないようにする抵抗力が弱まり、簡単に地中から抜けてしまうことが考えられる。また、第2比較例を地中に埋め込む過程を考えてみても、例えば地中の螺旋部が埋め込まれる部分にこれよりも大きい石などが埋まっていると、このような石から受ける抵抗力により第2比較例をこれ以上地中に深く埋め込むことができず、第2比較例を地中から抜き出して再度埋め込むという面倒な作業が生じる可能性が考えられる。
【0051】
続いて、
図6(b)に示す第3比較例を実際に使用した場合を想定して考えてみる。第3比較例は、第2比較例と類似しているが第2比較例のように螺旋部の代わりにこの部分に螺旋翼を有していることが異なっている。しかしながら、このような螺旋翼をねじ込みながら第3比較例を地中に踏み込んでいく最中に螺旋翼より深い側に埋まった小石が第3比較例を埋め込んでいくに従って螺旋翼の進み方向に集まってきて、これが抵抗力となって第3比較例を地中に埋め込むことがそれ以上できなくなることが考えられる。従って、第3比較例を地上から所望の深さまで埋め込むことができなくなり、その結果、アンカーワイヤの他端を支柱に結び付けた後、アンカーワイヤに大きな張力が作用すると、地中の浅い位置に埋まった螺旋翼が地中から簡単に抜け出してしまうことが考えられる。また、上述の第2比較例と同様に大雨が降って地中に雨水が浸み込んだ場合に、第3比較例が地中から抜けないようにする抵抗力が弱まり、地中から簡単に抜けてしまうことが考えられる。
【0052】
また、第3比較例を地中にうまく埋設したとしても、その後の長期の使用中に補強対象物である建造物の振動等がアンカーワイヤを介して第3比較例に伝わり、抵抗板の周囲に液状化現象が生じて、第1比較例の地中に埋まったアンカーの部分の位置が地中においてしっかりと定まらなくなると考えられる。その結果、アンカーワイヤの他端を支柱に取り付けた後に、アンカーワイヤが緩んでしまい、このアンカーワイヤを支柱に頻繁に結び直す作業が必要となることが考えられる。
【0053】
続いて、
図7に示す第4比較例を実際に使用した場合を想定して考えてみる。この第4比較例の構造は、地中に埋設するその底部が平面状の受圧部をなしているので、打設棒によって第4比較例を地中に埋め込むに従って受圧部より下側にある小石等が集まってきて、この受圧部に抵抗を与える。そのため、アンカー本体の打設時に地中の状態によってかなり影響を受け、特に小石等が多く含まれているような地面にこの第4比較例を埋設する場合、十分な深さまでアンカー本体を埋設することができず、アンカーワイヤに少し余分な張力が作用しただけでもアンカー本体が地中から抜けてしまうことが考えられる。また、上述の第2比較例及び第3比較例と同様に、大雨が降って地中に雨水が浸み込んだ場合に第3比較例が地中から抜けないようにする抵抗力が弱まり、地中から簡単に抜けてしまうことが考えられる。
【0054】
また、第3比較例を地中にうまく埋設したとしても、その後の長期の使用中に補強対象物である建造物の振動等がアンカーワイヤを介して第3比較例に伝わり、回転翼の周囲に液状化現象が生じて、第1比較例の地中に埋まったアンカーの部分の位置が地中においてしっかりと定まらなくなると考えられる。その結果、アンカーワイヤの他端を支柱に取り付けた後に、アンカーワイヤが緩んでしまい、このアンカーワイヤを支柱に頻繁に結び直す作業が必要となることが考えられる。
【0055】
続いて、
図8に示す第5比較例を実際に使用した場合を想定して考えてみる。この第5比較例を使用するにあたって、図面からも明らかなように最初に大きな溝を地中に掘り、その後第5比較例に係るアンカー本体を溝の底に所定の間隔で配置すると共にこれらを互いに横棒で連結し、アンカーワイヤを地上に出した状態で再び溝を土で埋めるという大掛かりな作業を必要とし、作業の大変さや作業に係るコスト面からも実情に即していないものであると考えられる。
【0056】
以上の各比較例に比べて、本発明特定される本実施例はこれらの構造と全く異なるものであり、それ故これら各比較例の有する欠点をすべて解消していることが明らかである。
【0057】
具体的には、円盤状本体を地中に埋め込む際に、この直径方向を埋め込み方向としてスライドハンマーを介して打ち込んでいくので、地中から受ける抵抗が極めて少ない状態で所望の深さまで円盤状本体を打ち込むことができる。これは、アンカー本体を地中に打設する際にこの円盤状本体が地中に進入していく部分の投影面積(円盤状本体の厚み×円盤状本体の直径)が小さいことに起因している。
【0058】
また、この円盤状本体の打ち込み方向先端側は円盤状本体の周方向に円弧状なしているので、仮にその先端に土の中に埋まった小石が当たってもいわゆる楔作用によりこの小石を円盤状本体の側方や周囲に逃がしながら地中さらに深くまで円盤状本体が入り込んでいくことができる。その結果、円盤状本体を地中の所望の位置まで迅速かつ余分な力をかけずに侵入させることができる。
【0059】
また、円盤状本体の地表からの打設方向、即ち円盤状本体が地表に浸入していく方向と、実際に本実施例のアンカーワイヤを支柱に結びつけて所定の張力を維持しながら固定した状態となった場合のアンカーワイヤの延在方向とは、例えば
図3に示すように60度乃至90度程度の所定の角度をなしているので、本実施例を地中に埋設してアンカーワイヤを支柱に締結した後、支柱が傾いてアンカーワイヤに余分な張力が作用しても、円盤状本体の周囲面ではなくアンカーワイヤが延在する側の平面部全体に地中からの大きな抗力が作用する。これによって、円盤状本体がアンカーワイヤに引っ張られてその方向に移動することはなく、支柱が倒れてしまうのを防止することができる。
【0060】
更には、本実施例では円盤状本体に複数の(3つの)水抜き孔が形成されているので、本実施例を支柱に埋設した後、その後の長期の使用中に補強対象物である建造物の振動等がアンカーワイヤを介して本実施例に伝わっても、円盤状本体の周囲の圧縮される土の中に含まれる水分は複数の水抜き孔を介してこの円板状本体の反対側の地中に抜くことができるため、アースアンカーの円盤状本体によって圧縮される土中の局所的な部分に液状化現象が生じることがない。これによって、上記各比較例において問題となってきた地中に埋まったアンカーの部分の位置が液状化現象により所定位置にしっかりと定まらなくなるという問題を解決できる。その結果、アンカーワイヤの他端を支柱に取り付けた後に、アンカーワイヤに過大な引っ張り力が作用してもアンカーワイヤが緩まないようにし、アンカーワイヤが弛んで支柱が倒れるのを防止すると共に、このアンカーワイヤを支柱に頻繁に結び直す従来の煩雑な作業を必要としなくなる。
【0061】
以上のことから、本発明に係るアースアンカーである本実施例によると、上述した各比較例に係るアースアンカーに比べて極めて設置し易くかつ支柱の倒れを効果的に防止することが明らかである。即ち、第1比較例のようにコストが高くつくことはなく、第2比較例乃至第4比較例のように多数のアースアンカーを設置しても支柱が倒れてしまうようなこともなく、第5比較例のように大がかりかつ設置コストの極めて嵩む設置方法をとらなくても済むという様々な利点を本発明に係るアースアンカーは有している。
【0062】
なお、上述の実施形態においては、本発明に係るアースアンカーをぶどうやなしを収穫する果樹園の葡萄棚やなし棚の一部をなす支柱を支える場合について説明したが、本発明に係るアースアンカーはこれ以外の果樹園の栽培棚の支柱倒れ防止に用いても良いことは言うまでもない。特に降雪地帯における果実等の栽培棚の支柱倒れ防止に用いると効果が大きい。その理由は、積雪により棚の上に過大な重みがかかると共に、地面に積もった雪から解け始め、棚に積もった雪が解けるのはかなり後になってからであり、その間ずっと雪の重みが支柱を倒そうとするように作用するからである。
【0063】
また、本発明に係るアースアンカーを上述のような果樹園の栽培棚の支柱の倒れ防止に用いる代わりに、台風時などにおける強風から様々なものを守る防風ネットの支柱の倒れ防止にも置いても良い。また、郊外の幹線道路沿いに設置した大きな広告パネルの支柱の倒れ防止などに用いても良い。
【0064】
また、例えばキャンプ場などでのイベントを開催の際にテントの材質に用いる厚手の布(デニム地)を屋根材に代用した屋根付きの簡易イベント開催コーナーを設置するのに使用する支柱の倒れ防止に本発明のようなアースアンカーを適用しても良い。これにより、何らかの事情により支柱が倒れて屋根つきの簡易イベント開催コーナーが半壊又は全壊し、イベント参加者にけが人が生じたりパニックが起きたりすることを確実に防止できる。
【0065】
以上のように、本発明のアースアンカーは従来例にはない特別な構成を有しているので、簡単な形状で安価に得ることができるとともに、埋設作業が地面の密度に左右されることなく簡単かつ容易に行うことができ、埋設後は十分な耐補強力を得ることができる。また、アースアンカー周囲の液状化による補強力の低下を防止できるので、長期に亘り一定の補強力を安定に維持することができる。
【0066】
なお、本発明において、円盤状本体に水抜き穴を設けることは必ずしも必要としないが、このような水抜き穴を設けることで、上述した地中の液状化現象に伴うアンカーワイヤの弛みをより効果的に防止できる。