特許第6016321号(P6016321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許6016321-座標測定器の動作制御 図000002
  • 特許6016321-座標測定器の動作制御 図000003
  • 特許6016321-座標測定器の動作制御 図000004
  • 特許6016321-座標測定器の動作制御 図000005
  • 特許6016321-座標測定器の動作制御 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6016321
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年10月26日
(54)【発明の名称】座標測定器の動作制御
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/008 20060101AFI20161013BHJP
   G01B 21/00 20060101ALI20161013BHJP
【FI】
   G01B5/008
   G01B21/00 E
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2009-546677(P2009-546677)
(86)(22)【出願日】2008年1月21日
(65)【公表番号】特表2010-517020(P2010-517020A)
(43)【公表日】2010年5月20日
(86)【国際出願番号】EP2008000408
(87)【国際公開番号】WO2008089929
(87)【国際公開日】20080731
【審査請求日】2010年9月16日
【審判番号】不服2015-13698(P2015-13698/J1)
【審判請求日】2015年7月21日
(31)【優先権主張番号】102007004423.4
(32)【優先日】2007年1月23日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504267828
【氏名又は名称】カール・ツアイス・インダストリーエレ・メステクニク・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ルック・オットー
【合議体】
【審判長】 酒井 伸芳
【審判官】 中塚 直樹
【審判官】 関根 洋之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第00/012964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
G01B 21/00-21/32
G01B 7/00-7/34
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば、最大速度、最大加速度、移動範囲の限界位置、信号検出の限界値又はプローブ力などの、動作中有効性を保持すべき少なくとも一つの動作パラメータを決定する、座標測定器(11)の動作を制御する方法において、
a)座標測定器(11)の複数のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)にそれぞれ動作パラメータの値、例えば、座標測定器の測定ヘッドにより測定すべき対象物をプローブする際のプローブ力を計算するための計算規則、測定構成の領域内に人が存在することに依存して、測定ヘッドを動かす最大速度をより低い所定の最大値に低下させるか、或いは一定の百分率だけ低下させるとの規則、又は機械の測定範囲内における測定ヘッド又はセンサーのその時点の位置に依存して測定ヘッドのプローブ速度又はその移動速度や測定ヘッドの移動距離を低下又は制限するとの規則などの、動作パラメータを決定するための規則及び、例えば、測定すべき対象物の座標、材料の柔らかさ又は測定ヘッドのプローブピンの直径を決定する際に必要な精度などの、動作パラメータを決定するための情報の中の一つ以上を割り当てる工程と、
b)複数のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に対して、動作パラメータを決定する複数のコンポーネントを階層化する工程と、
c)階層化されたコンポーネント動作パラメータを決定する際、各コンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に対して、次の措置を実施するものとして、最も下の第一の階層に有るコンポーネント(11)から開始し、
・動作パラメータの値がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている場合には、その値を座標測定器の動作に関して有効な、動作パラメータの値として採用する措置と、
・動作パラメータの値がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられていないが、この動作パラメータの値が第一の階層又はこのコンポーネントより下の階層に有る別のコンポーネントに割り当てられていた場合には、第一の階層又はこのコンポーネントより下の階層に有る別のコンポーネントに割り当てられていた、その動作パラメータの上記採用された有効な値を引き続き有効なままとする措置とを実施し、
階層内に更に別の上の階層のコンポーネント(12,13,14,16,17,18,19)が存在する場合、そのコンポーネントに関して前記の措置を繰り返す、
工程と、
を特徴とする方法。
【請求項2】
工程c)の通り規定された階層で動作パラメータを決定する措置に代わって、或いはその措置に追加して、次の措置を実施するものとして、第一の階層に有るコンポーネント(11)から開始し、
・動作パラメータを決定するための規則がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている場合には、その規則を実行するか、有効な規則として採用するか、或いはその両方を実施する措置及び/又は
・動作パラメータを決定するための情報がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている場合には、その情報を有効な情報として採用する措置を実施し、
階層内に更に別の上の階層のコンポーネント(12,13,14,16,17,18,19)が存在する場合、そのコンポーネントに関して前記の措置を繰り返す、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)において、動作パラメータの値、動作パラメータを決定するための規則及び動作パラメータを決定するための情報の中の一つ以上が、コンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)のタイプに割り当てられ、
工程b)において、当該の階層には、座標測定器(11)の実際の構成における座標測定器(11)の構成部品でない少なくとも一つのコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)又はコンポーネントのタイプも含まれており、
工程c)において、そのようなコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)又はコンポーネントのタイプに属する少なくとも一つのコンポーネントが、座標測定器(11)の実際の構成に存在する場合にだけ、そのようなコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)又はコンポーネントのタイプに属するコンポーネントに関して動作パラメータを決定する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程a)において、動作パラメータの値が、コンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の中の少なくとも一つに割り当てられており、その値が、少なくとも別のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)及び/又はコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の組合せに依存する値である、及び/又は
動作パラメータを決定するための規則が、コンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の中の少なくとも一つに割り当てられており、その規則が、少なくとも一つの別のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)及び/又はコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の組合せに依存する、
請求項1から3までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
動作パラメータの値、動作パラメータを決定するための規則及び動作パラメータを決定するための情報の中の一つ以上が、所定の個々のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている請求項1から4までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
座標測定器(11)の構成が変更された場合、変更された構成に関して、工程c)を新たに実行する請求項1から5までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
当該のコンポーネントの階層が規定された、動作パラメータを決定するための規則だけを割り当てられているコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の中の一つが、例えば、動作パラメータの有効な値をユーザーの指示に置き換えるオペレーションなどの動作パラメータの有効な値に関するオペレーションを実行することが可能な、座標測定器(11)の動作を制御するためのプログラム又プログラム部分であり、ユーザーが、そのプログラム又はプログラム部分に動作パラメータに関する指示を出す請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法を実施するための座標測定器(11)の制御部(12)であって、制御部(12)は、その制御部の機能が、例えば、最大速度、最大加速度、移動範囲の限界位置又は信号検出の限界値などの、座標測定器(11)の少なくとも一つの動作パラメータに依存して実行されるように構成されており、その制御部が、動作中有効性を保持すべき少なくとも一つの動作パラメータを決定するための計算機器を備えている制御部において、
その制御部は、
a)動作パラメータの値、動作パラメータを決定するための規則及び動作パラメータを決定するための情報の中の一つ以上を座標測定器(11)の複数のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の各々に割り当て、
b)複数のコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に対して動作パラメータを決定する複数のコンポーネントを階層化して規定
c)階層化されたコンポーネント動作パラメータを決定する際、各コンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に対して、次の措置を実施するものとして、最も下の第一階層に有るコンポーネント(11)から開始し、
・動作パラメータの値がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている場合には、その値を動作に関して有効な動作パラメータの値として採用する措置と、
・動作パラメータの値がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられていないが、この動作パラメータの値が第一の階層又はこのコンポーネントより下の階層に有る別のコンポーネントに割り当てられていた場合には、第一の階層又はこのコンポーネントより下の階層に有る別のコンポーネントに割り当てられていた、その動作パラメータの上記採用された有効な値を引き続き有効なままとする措置とを実行し、
階層内に更に別の上の階層のコンポーネント(12,13,14,16,17,18,19)が存在する場合、そのコンポーネントに関して前記の措置を繰り返す、
ように構成されていることを特徴とする制御部。
【請求項9】
当該の制御部は、工程c)の通り規定された階層で動作パラメータを決定する措置に代わって、或いはその措置に追加して、次の措置を実施するものとして、第一の階層に有るコンポーネント(11)から開始し、
・動作パラメータを決定するための規則がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている場合には、その規則を実行するか、有効な規則として採用するか、或いはその両方を実施する措置及び/又は
・動作パラメータを決定するための情報がコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)に割り当てられている場合には、その情報を有効な情報として採用する措置を実施し、
階層内に更に別の上の階層のコンポーネント(12,13,14,16,17,18,19)が存在する場合、そのコンポーネントに関して前記の措置を繰り返す、
ように構成されている請求項8に記載の制御部。
【請求項10】
制御部(12)が、例えば、動作パラメータの有効な値をユーザーの指示に置き換えるオペレーションなどの動作パラメータの有効な値に関するオペレーションを実行することが可能なプログラム(12)又はプログラム部分を有し、そのプログラム(12)又はプログラム部分は、当該のコンポーネントの階層を規定されたコンポーネント(11,12,13,14,16,17,18,19)の中の一つである請求項8又は9に記載の制御部。
【請求項11】
制御部(12)は、ユーザーが当該のプログラム(12)又はプログラム部分に動作パラメータに関する指示を出すことが可能であるように構成されている請求項10に記載の制御部。
【請求項12】
請求項8から11までのいずれか一つに記載の制御部(12)を備えた座標測定器(11)。
【請求項13】
コンピュータプログラム(12)であって、そのコンピュータプログラムがコンピュータ上で実行された場合に、請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム(12)。
【請求項14】
データ記憶媒体(15)であって、請求項13に記載のコンピュータプログラム(12)が保存されているデータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標測定器の動作を制御するための制御部及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
座標測定器は、様々な構成で動作することが可能であり、座標測定器の所定の実施例でも、コンポーネントの交換及び/又は補完を行うことができる。それは、特に、座標の測定のために移動することが可能である、例えば、スイッチングタイプ又はプローブタイプに属する測定ヘッドについて言えることである。しかし、座標測定器という用語は、測定ヘッドを測定すべき対象物と接触させて座標を測定する機器に限定されない。むしろ、例えば、光学的に走査又はスキャンすることによって、測定を行うこともできる。更に、座標測定器とは、特に、対象物の寸法を検出することが可能であり、それを更に一度は座標系の座標に変換しなければらない機器であるとも解される。
【0003】
様々な構成が想定可能であるために、構成が変更された場合、その時々の有効な構成に座標測定器の制御部を適合させなければならない。
【0004】
本明細書の用語の使用法において、座標測定器のその時々の構成は、存在するコンポーネントの組合せによって定義される。例えば、測定ヘッドや特殊な測定テーブルなどのハードウェアコンポーネントの他に、例えば、制御部のソフトウェアコンポーネントもコンポーネントであると解釈する。測定構成に直接属さない対象物並びに測定構成及び/又は測定動作に影響を与えるその他の要素もコンポーネントと呼ぶことができる。
【0005】
それに対応して、所定の構成による測定動作において特徴的な定数である動作パラメータは、例えば、座標測定器の機械の寸法、最大加速度、最大速度などの機械のパラメータだけでなく、対象物をプローブする際の速度又は力である。むしろ、例えば、測定構成の位置や寸法、例えば、測定動作にとって重要な測定構成の領域において様々なプローブピンを収容することが可能なマガジンの位置や姿勢も動作パラメータに属する。位置と姿勢が測定動作にとって重要な場合も有る別の追加機器及び測定補助手段の例は、回転可能な測定テーブルの軸に対するブレーキアームである。そのような追加機器及び測定補助手段は、測定動作時に座標測定器の可動部分が所定の領域にアクセスできないようにしてしまうか、或いは動作パラメータを場所に依存するようにする、例えば、対象物の近接領域における速度を低下させることとなる。
【0006】
特に、測定ヘッドの位置や時間に依存する場合も有る、或いは別の理由から所与の構成に対して変化する可能性も有る動作パラメータの他に、動作パラメータの算定に関して重要な情報、例えば、人が測定構成の領域内に留まっており、そのため速度又は加速度を低下させて測定ヘッドを動かさなければならないという情報も有る。更に、測定動作の開始前及び/又は測定動作の開始後に初めて留意すべき、動作パラメータを算出するための規則が有る。測定動作の開始前に事前に留意すべき規則の例は、座標測定器の測定ヘッドにより測定すべき対象物をプローブする際のプローブ力を計算するための計算規則である。また、測定動作の開始後に留意すべき規則の例は、(例えば、フォトアイソレータで自動的に検出することができる)測定構成の領域内に人が存在することに依存して、測定ヘッドを動かす最大速度をより低い所定の最大値に低下させるか、或いは一定の百分率だけ低下させるという規則である。更に別の規則の例は、機械の測定範囲内における測定ヘッド又はセンサーの瞬間的な位置に依存して測定ヘッドのプローブ速度又はその移動速度や測定ヘッドの移動距離を低下又は制限する規則である。例えば、複雑な規則を定義して、制御部のソフトウェアに実装することも可能であり、それによって、例えば、測定すべき対象物の座標、材料の柔らかさ、測定ヘッドのプローブピンの直径やその他の情報を決定する際に必要な精度に依存して、例えば、許容可能な速度又は速度成分、加速度又は加速度成分、プローブピンに加える力やその他の動作パラメータを計算、適合、或いは変更することができる。
【0007】
動作パラメータは、共通のパラメータセットに統合して、そのパラメータセットに動作パラメータを計算するための一つ以上の規則を追加することもできる。座標測定器の構成が変化した場合、それぞれ適切な動作パラメータ値を算定しなければらないという問題が発生する。特に、動作パラメータを再度変更したり、それ以前の時点又はそれ以前の構成で有効であった状態に復元すべきである。測定動作の間、特に、所定の対象物又は対象物の配置構成を測定する間、測定ヘッド又はセンサーを支持する支持体部品又はシステム、センサー又はセンサーシステム自体、追加機器又は測定補助手段(その例は既に言及している)が追加、除去、交換された場合、動作パラメータの変更又は復元が特に問題となる。特に、座標測定器のスピンドル上のプローブピン又はプローブの組合せ、測定物体を回転軸の周りに回転させることが可能な丸テーブル、プローブピン用のブレーキアーム又はマガジンの追加、除去、交換が頻繁に行われている。そのような丸テーブル又は回転テーブルの例は、特許文献1に記載されている。
【0008】
その特許文献は、機械が座標系のX軸に沿って測定ヘッドを移動することが可能な最大速度が300mm/秒である例を明らかにしている。測定テーブルに対するブレーキアームが存在するために、一般的に、或いは所定の位置範囲において128mm/秒しか許されていない。しかし、人が操作することが可能な操作機器は、180mm/秒を上回る測定ヘッドの瞬間的な速度を禁止する所謂オーバーライド機能を備えている。測定プロセスの間に交換される測定センサー用支持体は、機械的な構造特性及び局所的な状況のために、70mm/秒の最大速度しか許されていない。更に、プローブピン交換プレートが有り、その結果、制御部による確実な衝突検知を保証するために、X方向には最大限可能な加速度の50%でしか移動することができない。それは、又もや制動距離とそのため最大速度に対して逆作用を及ぼす。更に、運用者は、制御ソフトウェアのプログラミングによって、最大速度を50mm/秒に低減している。ここで、プローブピン交換プレートを測定領域から取り出して、別の測定手段用のマガジンで置き換えた場合、それが存在することは、最大速度を一層低下させるが、違った形で低下させる可能性も有る。従って、X方向への測定ヘッドの移動に関する、その時点で有効な最大許容速度を算定することは、大きな負担を伴うこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】ドイツ特許公開第3637410号明細書
【特許文献2】欧州特許公開第0317967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、座標測定器又は測定構成の動作パラメータを確実かつ一義的に算定することが可能な、座標測定器を制御するための制御部及び方法を提示することである。特に、少なくとも部分的に同じコンポーネント又は同じタイプのコンポーネントを使用することが可能である場合に、座標測定器の異なる構成での異なる動作パラメータを算定可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一つの特徴では、動作パラメータ、動作パラメータを算定するための規則及び動作パラメータを算定するための情報の中の一つ以上をそれぞれ所定のコンポーネントと関連して定義する。そうすることによって、コンポーネントが所定の構成の一部であると決まった場合に、そのコンポーネントと共に対応するデータを一緒に提供するか、或いは例えば、呼び出すことが可能となる。しかし、ここで、所定の構成の少なくとも一つ以上の別のコンポーネントが分かった場合に初めて、コンポーネントに関して定義されたデータから動作パラメータを算定することが可能である。例えば、測定ヘッドが第一又は第二の座標測定器と組み合わされているのかに応じて、測定ヘッドには異なる最大速度又は加速度が許される。
【0012】
特に、例えば、それ以前の構成を復元する場合、動作パラメータの算定及び/又は使用に関して制御部の設定(即ち、状態)を変更するとともに、それ以前の状態を復元することも可能である。
【0013】
本発明の第一の特徴と組み合わせることが可能な第二の特徴では、特に、任意選択のコンポーネント及び/又は交換可能なコンポーネントの各々(しかし、有利には、全てのコンポーネント)に対して、そのコンポーネントと関連して定義された、動作パラメータの算定及び/又は使用に関するデータの全てを含むデータグループを定義する。更に、座標測定器の一つ以上の基本コンポーネントに関して、それに対応したデータグループを定義することができる。従って、所定の構成の一部であるコンポーネントに関するデータグループを組み合わせることによって、各構成に関して有効なパラメータセット全体を簡単かつ確実に算定することができる。更に、各構成に対して有効な、動作パラメータの算出及び使用に関する規則をデータグループから算出することができる。
【0014】
本発明の別の特徴の中の一つ以上と組み合わせることが可能な第三の特徴では、次に述べる方法により実施することとし、コンポーネントに関するシーケンスを規定するか、或いはそのようなシーケンスを事前に規定しておくものとする。そのため、そのシーケンスに関して第一の位置に有るコンポーネントと、そのシーケンスの最後の位置に有る少なくとも一つのコンポーネントとが存在することとなる。有利には、シーケンス内の各位置には、一つのコンポーネントだけが有る。しかし、シーケンス内の同じ位置に二つ以上のコンポーネントが有ることも排除しない。
【0015】
コンポーネントの物理的な配置構成のシーケンスではなく、論理的なシーケンスであるコンポーネントのシーケンスにもとづき、本方法による動作パラメータを算定するための処理を実行する。また、本方法による動作パラメータを算定するための処理とは、本方法にもとづき、動作パラメータを算定するための情報及び/又は動作パラメータを算定するための規則だけを識別して、有効な情報又は規則として採用するか、そのような規則を実施するか、或いはその両方を実行する処理であると解釈する。
【0016】
本発明の第三の特徴による実施形態では、次の方法を提案する。
【0017】
例えば、最大速度、最大加速度、移動範囲の限界位置又は信号検出の限界値などの、動作中有効性を保持すべき少なくとも一つの動作パラメータを算定する、座標測定器の動作を制御する方法であって、次の工程を実施する方法。
a)座標測定器の複数のコンポーネントにそれぞれ動作パラメータの値、動作パラメータを算定するための規則及び動作パラメータを算定するための情報の中の一つ以上を割り当てるか、或いは割り当てることができる工程、
b)複数のコンポーネントに対して、動作パラメータを算定するためのシーケンスを規定する工程、
c)規定された算定シーケンスで動作パラメータを算定する際に、各コンポーネントに関して、次の通り措置を実施することとし、シーケンスの第一の位置に有るコンポーネントから開始して、
・動作パラメータの値がコンポーネントに割り当てられている場合、その値を動作に関して有効な動作パラメータの値として採用する措置、
・動作パラメータの値がコンポーネントに割り当てられてない場合、それまでの有効な動作パラメータの値が引き続き有効なままとする措置、
・更に別のコンポーネントがシーケンスに存在する場合、そのコンポーネントに対して前記の措置を繰り返す、
工程。
【0018】
新しい有効な値の採用は、動作パラメータに関して有効な規則を留意した結果に依存する場合が有る。
【0019】
それに代わって、或いはそれに追加して、工程c)において、規定されたシーケンスで動作パラメータを算定する際に、次の通り措置を実施することとし、シーケンスの第一の位置に有るコンポーネントから開始して、
・動作パラメータを算定するための規則がコンポーネントに割り当てられている場合には、その規則を実施するか、有効な規則として採用するか、その両方を実行する措置及び/又は
・動作パラメータを算定するための情報がコンポーネントに割り当てられている場合には、その情報を有効な情報として採用する措置を実施し、
・更に別のコンポーネントがシーケンスに存在する場合、そのコンポーネントに対して前記の措置を繰り返す。
【0020】
新しい有効な動作パラメータとして動作パラメータを採用すべきか否かを調べるか、又は動作パラメータを算定するための規則及び/又は情報を採用するか、その規則を実施するか、或いはその両方を実行するか否かを調べる場合、コンポーネントのシーケンスを二回巡回することができ、一回目の巡回では、動作パラメータを調べるか、或いは場合によっては、動作パラメータの新しい値を有効な値として採用し、二回目の巡回では、規則及び/又は情報を採用するか、或いは規則を実施する。しかし、有利には、コンポーネントのシーケンスを一回だけ巡回し、シーケンスに一つのコンポーネントが有る場合、動作パラメータの値を有効と看做すか、或いは場合によっては、動作パラメータを算定するための規則及び/又は情報を有効と看做すか、又は規則を実施する。
【0021】
コンポーネントに関して規定された算定シーケンスにもとづき、予め想定可能な全ての構成を考慮した複雑な論理を必要とすること無く、座標測定器の動作に関する具体的に有効なパラメータセット又は規則と情報のセットを算定することができる。むしろ、シーケンスの形で確実な処理ステップが決定されており、その結果、それ以前の構成に属するそれ以前の状態も復元することができる。
【0022】
特に、規定されたシーケンスにおいて、少なくとも想定可能な構成の中の多くに存在しないコンポーネント又はコンポーネントタイプを考慮することができる。そのようなコンポーネント又はコンポーネントタイプは、それが座標測定器のその時点の構成に存在しない場合には、本方法の工程c)では考慮されない、即ち、特に、そのようなコンポーネント又はコンポーネントタイプに関しては、動作パラメータの値が有効な値として採用すべきか否か及び/又は動作パラメータを算定するための規則及び/又は情報を有効と看做すべきか、或いはその規則を実施すべきか否かを調べない。
【0023】
しかし、コンポーネントが構成に含まれている場合には、そのコンポーネントをシーケンスの如何なる位置に挿入すべきかを明らかとするための、規定されたシーケンスと別個の制御ルールが存在する場合も有る。それと逆に、その時々の構成内にもはや存在しないコンポーネントはシーケンスから容易に除外されているので、コンポーネントを除外するための制御ルールは不要である。前述した別個の制御ルールは、特に、例えば、駆動部が付属する本来の座標測定器などの基本コンポーネントがシーケンスの第一の位置に有ることと、所定の手法により、測定テーブル、センサー又はプローブピン用マガジンなどの追加機器又は測定補助手段がシーケンスの次の位置に有ることと、所定の手法により、例えば、プローブピン支持体などの測定センサーの支持及び/又は移動用支持体がシーケンスの更に次の位置に有ることと、本来のセンサー(例えば、プローブピン又はレーザーセンサー)がシーケンスの次の位置に有ることと、座標測定器の動作を制御するためのプログラム又はプログラム部分が最後の位置に有って、例えば、そのプログラム又はプログラム部分のユーザーが、動作パラメータと関連する指示を出すことが可能であることとから構成することができる。そのような支持体では、例えば、シーケンスにおいて、先ずは座標測定器に直に取り付けられた支持体が有り、シーケンスの直ぐ次の位置には、その支持体に更に取り付けられた、本来のセンサーを支える副支持体が有るものと規定することができる。従って、コンポーネントタイプのシーケンスは、座標測定器の構成の機械的な構造と一致する。支持体及び副支持体を備えた構成の例は、特許文献2に記載された少なくとも二つの回転シャフトをモーターで調節することが可能な座標測定器のプローブヘッド用回転・旋回装置であり、特許文献2の図5によると、その回転シャフトは、座標測定器(KMG)のスピンドルに取り付けられている。KMGに取り付けられた、その装置の第一の筐体部分は、第一の回転軸の周りを回転可能な第二の筐体部分(第一の副支持体)を支える支持体である。第二の筐体部分には、第二の回転軸の周りを回転可能な収容部(第二の副支持体)が軸支されており、その収容部には、例えば、プローブヘッドを設置することができる。
【0024】
副支持体は、支持体によって支えられるとともに、支持体の特性を有する機器である。前述した例の通り、副支持体は、KMGに対するセンサーの回転可動性を作り出すことができる。支持体又は副支持体は、例えば、測定タイプのプローブヘッド又はその他のセンサーを支えることができる。センサーとは、例えば、光学式及び/又は機械式にプローブする形態で加工物をプローブする機器又はシステムであると解釈する。従って、センサーは、例えば、カメラ、触覚式プローブヘッド又は交換プレート上の簡単なプローブピンとすることができる。
【0025】
副支持体の無い実施形態では、センサー(例えば、別の測定装置との交換用インタフェースを備えた測定タイプのプローブヘッド)を支持体に取り付けるか、或いはKMGに直に取り付けることができる。
【0026】
有利には、想定可能な全てのコンポーネントを、そのコンポーネントタイプに応じて事前に定義するとともに、想定可能な多くの構成に関するコンポーネントタイプをシーケンスとして事前に規定しておき、その結果、単に具体的な構成に関して、如何なるコンポーネントタイプに対してコンポーネントが実際に有るのかを決定するだけで済むこととなる。そして、コンポーネントタイプのシーケンスから、規定された算出シーケンスが疑いの余地無く得られる。
【0027】
特に、コンポーネントの中の少なくとも一つに動作パラメータの値を割り当てることが可能であり、その値は、少なくとも一つの別のコンポーネント及び/又はコンポーネントの組合せに依存するものである。例えば、センサー用支持体のパラメータ(例えば、測定物体をプローブする速度)は、座標測定器の基本形態、即ち、本来の機械に依存する場合が有る。そのようなパラメータは、以下で更に説明するパラメータカテゴリー「目標システムパラメータ」に該当する。従って、本来の機械が、コンポーネントのシーケンスにおいて、パラメータが機械に依存する可能性の有るコンポーネントの前に有るのが有利である。しかし、それ以外の場合には、動作パラメータを算定シーケンスで処理する際、その処理シーケンスが当該の依存するパラメータを有するコンポーネントの順番に来た時に、算定規則(又は別の条件に依存するパラメータ)を有効であると看做すことも可能である。従って、コンポーネントの中の少なくとも一つを動作パラメータを算定するための規則に割り当てることができ、その規則は、少なくとも一つの別のコンポーネント及び/又はコンポーネントの組合せに依存するものである。
【0028】
動作パラメータの値、動作パラメータを算定するための規則及び動作パラメータを算定するための情報の中の一つ以上をコンポーネントタイプに割り当てることもできる。そのようなパラメータは、別途説明する「構造配列に特有なパラメータ」のカテゴリーに該当する。
【0029】
動作パラメータの値、動作パラメータを算定するための規則及び動作パラメータを算定するための情報の中の一つ以上をコンポーネントの所定の実施例に割り当てることもできる、或いは割り当てることとする。そのようなパラメータは、同じく別途詳しく説明する「個別パラメータ」のカテゴリーに該当する。
【0030】
また、本発明は、特に、本明細書に記載された任意の実施形態で本発明による方法を実施する座標測定器の制御部に関する。
【0031】
そのような制御部を備えた座標測定器も、本発明の対象である。
【0032】
更に、コンピュータプログラムであって、そのコンピュータプログラムがコンピュータ上で実行された場合に本発明の一つ以上の実施形態で本方法を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムも本発明の範囲内に有る。この場合、プログラムコードは、例えば、ソースコードで存在することができ、そのため、そのソースコードをコンパイルしなければらないか、或いは機械読み取り可能な形式で存在することができる。
【0033】
更に、データ記憶媒体は、本発明の範囲内に有り、そのデータ記憶媒体には、(プログラムの)データ構造が保存されており、そのデータ構造は、コンピュータがそのデータ構造にアクセスした場合に、コンピュータが本発明の一つ以上の実施形態で本方法を実行することが可能なように構成されている。
【0034】
制御部がアクセスすることが可能な、或いは制御方法を実施する際にアクセスすることが可能なデータ記憶構造も、本発明の範囲内に有る。そのようなデータ記憶構造内には、個々のコンポーネントに関する動作パラメータ、動作パラメータを算定するための情報及び動作パラメータを算定するための規則の中の一つ以上が保存されている。この場合、座標測定器のコンポーネントの各々に関して、動作パラメータの値、それを算定するための情報及びそれを算定するための規則の中の一つ以上を有するデータを含むデータグループを定義する。この場合、各データグループは、コンポーネントに割り当てられたデータを含み、例えば、ファイルとして保存することができる。動作パラメータの決定と関連するデータが存在しないコンポーネントに関しては、データグループを省略することができる。
【0035】
特に、各データグループを下位グループに分けることができ、下位グループの各々が、次のデータカテゴリーの中の一つに関するデータを有する。
・構造配列に特有なパラメータに関するデータ。これらのパラメータは、特に、コンポーネントの特性を表し、有利には、コンポーネントと共に提供される。コンポーネントを交換した場合、或いはアップデートした場合、そのようなパラメータを交換するか、或いは最新の状態にすることができ、その際、目標システム(即ち、座標測定器又は機械)が分かっている必要はない。
・目標システムパラメータ。これらのパラメータは、目標システム又は目標機械に依存し、従って、有利には、目標システムと共に提供される。従って、アップデートする場合、目標機械に存在するコンポーネントの対応するデータセットを更新すべきである。所与の目標機械において、同じ構造配列又は同じ形式の別のコンポーネントにコンポーネントを交換した場合、目標システムパラメータは変わらない。
・個別パラメータ。これらのパラメータは、具体的なコンポーネントの個々の特性を表す。特に、これらのパラメータは、個々の特性を有する具体的なコンポーネントを含む、或いは搭載するコンポーネントに対して逆作用を及ぼす可能性が有る。そのような個別パラメータの例は、プローブ用測定ヘッドの測定球体の直径又は偏心度である。そのため、個別パラメータは、コンポーネントを実際の構成又は座標測定器に適合させるための情報を含み、従って、多くの場合相応のプログラムによって算定されて、使用のために保存されている。
【0036】
ここで、本発明の実施例を添付図面と関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】座標測定器を動作させる制御部を模式的に図示するとともに、更に、マガジン及び測定テーブルを模式的に図示した、ガントリー構造形式の座標測定器の図
図2】センサーとしてのプローブヘッドを更に支える副支持体を取り付けた支持体の図
図3】コンポーネントの規定されたシーケンスにもとづき動作パラメータを算定するシーケンスの模式図
図4】コンポーネントに関して、パラメータを異なるパラメータカテゴリーに分類する模式図
図5】データ記憶構造の図
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1に図示されているガントリー構造形式の座標測定器(KMG)11は、測定テーブル1を有し、その上で、KMG11のガントリーを構成する支柱2,3は、横方向支持体4と共に移動することができる。横方向支持体4の両側に有る端部は、測定テーブル1の上で長手方向にスライド可能な形で軸支された支柱2又は3と連結されている。
【0039】
横方向支持体4は、空気軸受方式により横方向支持体4に沿って(X方向に)移動可能な横方向スライダー7と組み合わされている。横方向支持体4に対して相対的な横方向スライダー7の瞬間的な位置は、基準尺目盛6にもとづき決定することができる。横方向スライダー7には、垂直方向に移動可能なスピンドル8が軸支されており、その下端は、組立機器10を介してセンサー機器5と連結されている。センサー機器5には、プローブヘッド9が下降可能な形で配置されている。
【0040】
測定テーブル1上には、追加の回転可能な測定テーブル13が配置されており、その上に、測定テーブル13を垂直な回転軸の周りに回転することにより回転させることが可能な測定物体を設置することができる。更に、測定テーブル1上には、マガジン14が配置されており、その中に、別のプローブヘッド9と交換することが可能な様々なプローブヘッドを配置するか、或いはプローブヘッド9によって支えられた別のプローブピンと交換することが可能な様々なプローブピンを配置することができる。
【0041】
更に、図1は、例えば、ソフトウェアと少なくとも一つのデータメモリ15とを備えるとともに、信号・制御配線を介して座標測定器の駆動可能なコンポーネント、特に、駆動部と接続されたコンピュータによって実現することが可能な、KMG11の制御部12を模式的に図示している。更に、制御部12は、測定データ接続部を介して、座標測定値の算出に使用されるKMG11の構成部品と接続されている。そのような座標測定器の分野の構成部品及び機器は一般的に知られているので、ここでは詳しく説明しない。
【0042】
図2は、支持体16と、それに固定された、測定用球体19を備えたプローブピン18を支える副支持体17とを図示している。支持体16は、例えば、センサー機器5に代わって、図1に図示されている座標測定器11に取り付けることができる。副支持体は、例えば、図2の右下に有る自由端に、取り付けられているプローブピン18を交換可能とする交換プレート20を備えた回転・旋回ジョイントである。
【0043】
ここで、本発明による方法に関する有利な実施例を図3〜5にもとづき説明する。
【0044】
図5は、例えば、図1によるコンピュータ又は制御部12のデータメモリ15に保存されたデータ構造を図示している。端に小文字aを付けた符号、即ち、11a〜19aは、それぞれ同じ符号を持つが、小文字aが付いていない(図1図2の)座標測定器11のコンポーネントに割り当てられたデータグループを表している。従って、符号11aは、座標測定器11自体、或いはそれに追加して配置された、例えば、支持体16などの特別なコンポーネントを備えていない基本的な機械に割り当てられたデータグループを表す。符号12aは、制御部12に割り当てられたデータグループを表す。データグループ11a〜19aの各々は、必須ではないが可能な限り、動作パラメータと、動作パラメータを算出するための規則及び/又は情報とを有し、同じデータグループの動作パラメータ、規則及び情報は、各コンポーネント11〜19に割り当てられている。
【0045】
データグループ11a〜19aの各々には、少なくとも一つの動作パラメータ、その動作パラメータを算定するための規則及びその動作パラメータを算定するための情報の中の一つ以上を保存することができる。通常多くの動作パラメータが有るので、以下で説明する動作パラメータを算定する手順では、動作パラメータの各々に対してコンポーネントのシーケンスを繰り返し順々に巡回させることができる。しかし、シーケンスを巡回させる際に、データグループ内の複数又は全ての動作パラメータのデータを評価することも可能である。以下では、単純化して、一つの動作パラメータだけについて述べる。当然のことながら、シーケンスを巡回させる中で複数の動作パラメータを算定する場合、次の工程では、それぞれその前に実施した工程と同じ動作パラメータの有効性を調べるか、或いは同じ動作パラメータに対する規則及び/又は情報をその時点で有効であると看做すものとする。しかし、そのような規則を評価する際に、重要である別の動作パラメータの情報又は値を使用することも可能である。
【0046】
ここで、図3と関連して、所定の動作パラメータを算定するための有利な方法のフローを説明する。座標測定器を構成するコンポーネントのシーケンスを規定する本発明による方法を階層モデル又は階層手法と呼ぶこともできる。この場合、図3の図面の最も下の第一の階層は、シーケンスの第一のコンポーネントに対応する。図3のケースでは、それは、座標測定器又は機械というコンポーネントである。従って、最も下の階層は、パラメータを算定するためのベースとして機械のパラメータを最初に使用することを示すために、「基本レイヤ − 機械パラメータ」と称する。例えば、そのようなパラメータは、座標測定器のデカルト座標系のX軸、例えば、図1のX軸に沿った最大許容速度である。
【0047】
そのようなパラメータの値が、割り当てられたデータグループ11a内に存在する場合、その値を動作パラメータの最初の有効な値として採用する。最大速度に関しては、通常機械のデータグループで値が定義される。
【0048】
次の階層又は算定シーケンスの次の位置には、丸テーブル又は回転テーブル13というコンポーネントが有る。それに続いて、マガジン14、支持体又はキャリヤ16、副支持体又は副キャリヤ17、センサー又はプローブピン19というコンポーネントが有る。階層構造の最も上の位置又はコンポーネントのシーケンスの最後の位置には、動作パラメータのそれまでの有効な値を、例えば、ユーザーの指示に置き換えるオペレーションを実行することが可能な制御部自体又はアプリケーションソフトウェアというコンポーネントが有る。
【0049】
ここで説明した実施例と関係無く、本発明による方法は、有利には、次の特徴の中の一つ以上を有する。
・コンポーネントのシーケンスにおける次に高い階層又は次のコンポーネントに関する動作パラメータの算定を実行する場合、そのコンポーネントに関して、動作パラメータの値が定義されている(例えば、割り当てられたデータグループ内に保存されている)か否かを調べる。定義されている場合、動作パラメータのそれまでの有効な値を当該のコンポーネントに関して定義された値で置き換えて、動作パラメータの新しい有効な値とする。定義されていない場合、動作パラメータのそれまでの有効な値が有効なままとする。それに代わって、或いはそれに追加して、動作パラメータを算定するための規則及び/又は情報に関しても同様に行う、即ち、その時点の階層のコンポーネント又はシーケンスのその時点の位置のコンポーネントに関して、そのような規則及び/又は情報が定義されているか否かを調べる。この場合、規則は、より低い位置に有る階層の動作パラメータと関連する規則を一緒に適用するとの指示及び/又はより低いの階層の情報を一緒に考慮するとの指示を含むことも可能である。従って、本階層手法は、それぞれ任意選択により所定の局所的な位置に情報を有する、重なり合った一定数の透明なフォイルと比較することができる。各局所的な位置において、各透明なフォイルが、上から見ることが可能な情報を表しており、その情報は、最上位の層として見える情報の一部を構成する。それは、より低い位置に有る層の局所的な位置に含まれる情報の全てを重ね合わせた情報である。X座標軸の方向における最大速度の例を再び取り上げると、例えば、機械の階層における有効な最大速度は、プローブピン19の階層(「センサーパラメータ」)において、その間に有る階層で最大速度に対する値が定義されていない場合には重ね合わされることとなる。
・有利には、制御部自体、或いは制御部のプログラム又はプログラム部分が、本発明による方法の他の特徴と関係なく、常に階層構造又はコンポーネントのシーケンスに配置される。それは、動作パラメータの個々の補正又は更に別の計算を実行する可能性を制御部に与えることとなる。
・通常の交換可能なコンポーネントを備えていない機械又は本来の座標測定器は、有利には、常にシーケンスの第一の位置に、即ち、最も下の階層に配置される。
・座標測定器の構成が変更された場合、例えば、コンポーネントが物理的に取り外された場合、コンポーネントのシーケンス又は階層構造において、当該のコンポーネント又は階層は取り除かれる。例えば、前述した例でプローブヘッド19というコンポーネントが取り外されて、定義する必要の無いセンサーで置き換えられた場合、機械の階層を起源とする有効な値は、少なくともアプリケーションソフトウェア又は制御部12の階層まで有効なままである。
・構成の変更時にコンポーネントが追加された場合、階層構造の位置、有利には、コンポーネントタイプのシーケンスによって規定される位置に階層が追加される。有利には、コンポーネントタイプのシーケンスを想定可能な構成のハードウェア構造によって定義するか、或いはそれに合わせる。
【0050】
動作パラメータを算定するための規則の例は、特に、最も下の階層に既に含まれる規則であり、対応する動作パラメータを、より高い階層では確かに低減(或いは、別の動作パラメータのケースでは、増大)することができるが、増大(或いは、別のケースでは、低減)することができないという規則である。例えば、測定ヘッドの最大許容速度は、より高い階層において、増大することはできないが、低減することはできる。
【0051】
図4は、階層の中の少なくとも一つにおいて、前述した様々なパラメータカテゴリーに分類することが可能な様々な動作パラメータを考慮することができることを図示している。それに代わって、図4で実線による枠線で囲まれた四角形のボックスは、図5のデータ構造のデータグループとして、例えば、データグループ17aとして解釈することもできる。図4の左の「評価」という矢印は、そのボックス内のパラメータをシーケンスにおいて下から上に評価すべきあることを意味していない。その矢印は、むしろ図3に模式的に図示されている評価時に動作パラメータを部分的に一つの同じ階層で考慮することができることを表している。


図1
図2
図3
図4
図5